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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127897
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】暖房熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/08 20060101AFI20220825BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20220825BHJP
【FI】
F24D3/08 J
F24H1/00 602L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026127
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正浩
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
【テーマコード(参考)】
3L024
3L070
【Fターム(参考)】
3L024CC18
3L024DD06
3L024DD13
3L024DD17
3L024DD22
3L024DD27
3L024DD34
3L024GG06
3L024GG07
3L024HH48
3L070AA02
3L070AA07
3L070AA09
3L070BB02
3L070BC02
3L070BC26
3L070CC01
3L070DE06
3L070DF07
(57)【要約】
【課題】熱媒体の循環による暖房機能と、浴槽水の循環による追焚機能および除菌機能を有する暖房熱源装置において、除菌処理の実行中に意図しない高温水が浴槽内に出力されることを抑制する。
【解決手段】熱媒体循環経路510は、第1の循環ポンプ310の作動時に形成され、暖房端末に対して熱媒体を循環供給する。制御弁330は、熱媒体循環経路510に配置される。熱交換器410は、制御弁330の開放時に熱媒体が通流される一次側経路411を有する。追焚循環経路520は、第2の循環ポンプ400の作動時に形成され、浴槽からの浴槽水を熱交換器410の二次側経路412の通流後に浴槽へ戻す。除菌灯610は、追焚循環経路520に配置され、点灯時に除菌効果を有する波長域の光線を照射する。除菌運転において、制御器は、第2の循環ポンプ400を作動し、除菌灯610を点灯させるとともに、制御弁300を閉止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房熱源装置であって、
第1の循環ポンプの作動時に形成される、前記暖房熱源装置に接続された暖房端末に対して液状の熱媒体を循環供給するための熱媒体循環経路と、
前記熱媒体を加熱するための熱源と、
前記熱媒体循環経路に含まれるように配置された制御弁と、
前記制御弁の開放時に前記熱媒体が通流される一次側経路を有する熱交換器と、
第2の循環ポンプの作動時に形成される、浴槽からの浴槽水が前記熱交換器の二次側経路の通流後に前記浴槽へ戻される追焚循環経路と、
前記追焚循環経路に含まれるように配置され、点灯時に除菌効果を有する波長域の光線を照射する除菌灯と、
前記除菌灯を用いて前記追焚循環経路を通流する前記浴槽水を除菌するための除菌運転において、前記第2の循環ポンプを作動し、前記除菌灯を点灯させるとともに、前記制御弁を閉止するように、前記第2の循環ポンプ、前記制御弁および前記除菌灯を制御する制御器とを備える、暖房熱源装置。
【請求項2】
前記浴槽水を加熱するための追焚運転において、前記熱交換器は、前記熱媒体循環経路を通流する前記熱媒体の熱量によって、前記追焚循環経路を通流する前記浴槽水を加熱するように構成され、
前記制御器は、前記除菌運転および前記追焚運転との同時運転中には、前記制御弁を開放する、請求項1に記載の暖房熱源装置。
【請求項3】
前記制御器は、前記除菌運転の非実行中に、前記制御弁の開放を許可する、請求項1または2に記載の暖房熱源装置。
【請求項4】
前記制御器は、暖房運転の開始時から所定時間が経過するまでの期間において、前記制御弁を開放した状態下で前記熱媒体の温度を上昇させる迅速加熱運転を実行するための手段を有し、
前記制御器は、前記除菌運転と前記迅速加熱運転との同時運転中には、前記制御弁の開放を禁止する、請求項1から3のいずれか1項に記載の暖房熱源装置。
【請求項5】
前記制御器は、前記制御弁を閉止した状態下で前記迅速加熱運転を実行するときには、前記制御弁を開放した状態下で前記迅速加熱運転を実行するときよりも、前記熱源による加熱量を増加する、請求項4に記載の暖房熱源装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記制御弁を閉止した状態下で前記迅速加熱運転を実行するときには、前記制御弁を開放した状態下で前記迅速加熱運転を実行するときよりも、前記熱源による加熱量を低下する、請求項4に記載の暖房熱源装置。
【請求項7】
前記追焚循環経路に接続され、追焚運転時に前記浴槽に加熱された前記浴槽水を導入するための流路を形成する一方で、気泡運転時に前記浴槽に気泡が混入された前記浴槽水を導入するための流路を形成するように構成された流路切替手段をさらに備え、
前記気泡運転において、前記制御器は、前記第2の循環ポンプを作動するとともに、前記制御弁を閉止するように、前記第2の循環ポンプおよび前記制御弁を制御する、請求項1に記載の暖房熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房熱源装置に関し、より特定的には、熱媒体の循環による暖房機能と、浴槽水の循環による追焚機能および除菌機能とを有する暖房熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-54180号公報(特許文献1)には、紫外線照射のためのUV(Ultra Violet)灯に代表される除菌灯によって、浴槽循環水を除菌する風呂システムが記載されている。上記風呂システムにおいて、除菌灯は、浴槽水を循環するための追焚循環経路に配置されている。循環ポンプの作動によって形成された追焚循環経路を通流する浴槽水は、除菌灯の点灯時に紫外線照射によって除菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記風呂システムに適用される暖房熱源装置の一態様として、熱媒体の循環による暖房機能と、浴槽水の循環による追焚機能とを具備するものがある。このような暖房熱源装置では、暖房循環経路を通流する熱媒体を用いて、風呂の追焚運転が実現される。具体的には、暖房循環経路の熱媒体が制御弁を介して液々熱交換器を通流することにより、追焚循環経路を通流する浴槽水が加熱されることによって、追焚運転が行なわれる。したがって、暖房運転によって暖房循環経路に熱媒体が通流している状態下での、追焚運転の非実行時には、制御弁の閉止によって液々熱交換器への熱媒体の供給が遮断される。
【0005】
一方、上記暖房熱源装置においては、暖房運転の開始時の所定時間内に、通常よりも高い温度の熱媒体を暖房端末に供給して、速やかに当該暖房端末を温める運転(いわゆる、ホットダッシュ運転)を行なうことが可能である。ホットダッシュ運転では、暖房循環経路の通流量を確保する目的で、上記制御弁が開放される。
【0006】
したがって、除菌運転の実行中にホットダッシュ運転が開始された場合には、制御弁が開放した状態にて暖房循環経路が形成される。この場合、液々熱交換器に加熱された熱媒体が供給されるため、追焚循環経路を通流する浴槽水が加熱される。すなわち、除菌運転およびホットダッシュ運転が同時に実行される場合には、浴槽水の加熱を想定していないにもかかわらず、実質的に追焚運転が実行されることになり、結果的に意図しない高温水が浴槽へ出力される虞がある。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、熱媒体の循環による暖房機能と、浴槽水の循環による追焚機能および除菌機能を有する暖房熱源装置において、除菌処理の実行中に意図しない高温水が浴槽内に出力されることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、暖房熱源装置は、熱媒体循環経路と、熱源と、制御弁と、熱交換器と、追焚循環経路と、除菌灯と、制御器とを備える。熱媒体循環経路は、第1の循環ポンプの作動時に形成され、暖房熱源装置に接続された暖房端末に対して液状の熱媒体を循環供給する。熱源は熱媒体を加熱する。制御弁は、熱媒体循環経路に含まれるように配置される。熱交換器は、制御弁の開放時に熱媒体が通流される一次側経路を有する。追焚循環経路は、第2の循環ポンプの作動時に形成され、浴槽からの浴槽水を熱交換器の二次側経路の通流後に浴槽へ戻す。除菌灯は、追焚循環経路に含まれるように配置され、点灯時に除菌効果を有する波長域の光線を照射する。除菌灯を用いて追焚循環経路を通流する浴槽水を除菌するための除菌運転において、制御器は、第2の循環ポンプを作動し、除菌灯を点灯させるとともに、制御弁を閉止するように、第2の循環ポンプ、制御弁および除菌灯を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱媒体の循環による暖房機能と、浴槽水の循環による追焚機能および除菌機能を有する暖房熱源装置において、除菌処理の実行中に意図しない高温水が浴槽内に出力されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に従う暖房熱源装置の概略構成図である。
図2】暖房回路における熱媒体の通流経路を説明するためのブロック図である。
図3】本実施の形態に従う暖房熱源装置における制御弁の開閉制御を説明するフローチャートである。
図4】本実施の形態に従う暖房熱源装置における制御弁の開閉制御を説明するための概念的な波形図である。
図5】暖房熱源装置の暖房運転におけるHD制御の一例を説明するフローチャートである。
図6】暖房熱源装置の暖房運転におけるHD制御の他の例を説明するフローチャートである。
図7】本実施の形態に従う暖房熱源装置における制御弁の開閉制御の変更例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、実施の形態に従う暖房熱源装置100の概略構成図である。
図1を参照して、暖房熱源装置100は、給湯回路101と、追焚回路102と、暖房回路103と、コントローラ300とを備える。給湯回路101は、カラン105や図示しないシャワー等の給湯栓の開栓時に、設定温度に制御された適温の湯を出力するように構成される。追焚回路102は、図示しない浴槽内の湯を加熱循環するように構成される。暖房回路103は、暖房熱源装置100に接続された暖房端末(図示せず)装置に対して、液状の熱媒体である高温水を循環供給するように構成される。コントローラ300は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。コントローラ300は、「制御器」の一実施例に対応する。
【0013】
追焚回路102は、浴槽水吸入口191および浴槽水吐出口192の間に、浴槽内の湯を加熱循環するための追焚循環経路を形成するように構成される。浴槽水吸入口191および浴槽水吐出口192は、浴槽内に配置された浴槽アダプタ(図示せず)に設けられた開口部と、配管を経由してそれぞれ接続される。
【0014】
暖房回路103から熱媒体を受ける暖房端末(図示せず)は、暖房戻口302と暖房出力口(低温)304との間、または、暖房戻口302と暖房出力口(高温)306との間に接続される。
【0015】
以下、順に、給湯回路101、追焚回路102および暖房回路103の構成について説明する。
【0016】
給湯回路101は、缶体10に格納された、一次熱交換器11a、二次熱交換器21aおよび燃焼バーナ30aを含む。給湯回路101は、さらに、入水管50と、バイパス管60と、出湯管70とを含む。
【0017】
入水管50には、水道水等が給水される。入水管50および出湯管70の間にはバイパス管60が配置される。入水管50には、バイパス管60への分流を制御するための分配弁80が介挿接続される。分配弁80の開度に応じて、給水量の一部が入水管50からバイパス管60へ分流される。
【0018】
さらに、入水管50には、温度センサ110および流量センサ150が配置される。温度センサ110は、入水温度を検出する。流量センサ150は、分配弁80よりも下流側(缶体側)に配置されており、缶体10を通過する流量(缶体流量)を検出する。
【0019】
入水管50の水は、まず二次熱交換器21aによって予熱された後、一次熱交換器11aにおいて主加熱される。一次熱交換器11aおよび二次熱交換器21aによって所定温度まで加熱された湯は、出湯管70から出湯される。
【0020】
出湯管70は、合流点75においてバイパス管60と接続される。したがって、暖房熱源装置100からは、缶体10から出力された高温水と、バイパス管60からの低温水とを混合した適温の湯が、台所や浴室等の給湯栓や、図示しない風呂への注湯回路などの所定の給湯箇所に供給される。
【0021】
出湯管70には、流量調整弁90および温度センサ120,130が設けられる。温度センサ120は、出湯管70のバイパス管60との合流点75よりも上流側(缶体側)に配置されて、缶体10からの出力湯温を検出する。温度センサ130は、合流点75よりも下流側(出湯側)に設けられて、バイパス管60からの水が混合された後の出湯温度を検出する。流量調整弁90は、出湯流量を制御するために設けられる。
【0022】
缶体10において、燃焼バーナ30aからは、燃料ガスと、送風ファン40によって供給される燃焼用空気との混合気が出力される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ30aからの火炎によって生じる燃焼熱は、缶体10内で一次熱交換器11aおよび二次熱交換器21aへ与えられる。
【0023】
一次熱交換器11aは、燃焼バーナ30aによる燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器21aは、燃焼バーナ30aからの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。缶体10の燃焼ガスの流れ方向下流側には、熱交換後の燃焼排ガスを排出処理するための排気経路15が設けられる。このように、缶体10では、燃焼バーナ30aでの燃焼による発生熱量により、一次熱交換器11aおよび二次熱交換器21aで、入水管50から供給された水を加熱する。
【0024】
燃焼バーナ30aへのガス供給管31には、元ガス電磁弁32、ガス比例弁33および、能力切換弁35a~35cが配置される。元ガス電磁弁32は、燃焼バーナ30aへの燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。ガス供給管31のガス流量は、ガス比例弁33の開度に応じて制御される。能力切換弁35a~35cは、複数の燃焼バーナ30aのうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数(バーナ燃焼本数)を切換えるために開閉制御される。
【0025】
次に、追焚回路102を含む、暖房熱源装置100における浴槽への給湯に関連した構成について説明する。なお、以下では、浴槽に対する給湯を「注湯」と表記する一方で、浴槽以外の給湯栓(カラン105等)への給湯を、単に「給湯」と表記することとする。
【0026】
暖房熱源装置100は、出湯管70から分岐して浴槽(図示せず)へ給湯するための注湯配管180をさらに備える。注湯配管180は、出湯管70から流量調整弁90を経由して分岐される。さらに、注湯配管180には、注湯開閉弁210および逆止弁220が介挿接続される。注湯配管180は、後程説明する風呂戻り配管194と、合流点185で連結される。
【0027】
コントローラ300による注湯開閉弁210の開閉制御によって、給湯回路101から浴槽へ注湯するための経路の形成/遮断を制御することができる。注湯開閉弁210に対応して、注湯流量を検出するための流量センサ215が配置される。
【0028】
追焚回路102は、風呂戻り配管194と、風呂往き配管195と、追焚循環ポンプ400と、風呂熱交換器410と、UVユニット600とを含む。
【0029】
風呂戻り配管194は、浴槽水吸入口191と、風呂熱交換器410の二次側経路の一方端との間を接続する。追焚循環ポンプ400は、風呂戻り配管194に介挿接続される。風呂熱交換器410の二次側経路の他方端(浴槽側)は、風呂往き配管195によって、浴槽水吐出口192と連結される。
【0030】
追焚運転時には、追焚循環ポンプ400が作動することにより、浴槽水吸入口191から暖房熱源装置100へ浴槽内の浴槽水が吸入される。そして、吸入された湯が、風呂戻り配管194、追焚循環ポンプ400、風呂熱交換器410(二次側経路)、および、風呂往き配管195を経由して、浴槽水吐出口192から浴槽内に戻される追焚循環経路が形成される。追焚循環経路において、風呂熱交換器410の入力側および出力側には、温度センサ372および374がそれぞれ設けられる。温度センサ372,374は、例えば、サーミスタによって構成される。以下では、風呂熱交換器410の出力側に配置された温度センサ374による検出温度を、出側温度Tchとも称する。
【0031】
追焚運転時には、暖房回路103の制御弁330が開放される。これにより、後述する暖房回路103で加熱された熱媒体が、風呂熱交換器410の一次側経路を通流する。この結果、風呂熱交換器410の二次側経路を通過する追焚循環経路の湯が、風呂熱交換器410の一次側経路を通過する熱媒体との液々熱交換で加熱されることにより、浴槽内の湯温を上昇させることができる。
【0032】
なお、制御弁330は、代表的には、開閉制御される熱動弁によって構成することができる。或いは、風呂熱交換器410(一次側経路)を通過する熱媒体の流量を制御するために、開度制御可能な流量調整弁によって、制御弁330を構成することも可能である。
【0033】
さらに、風呂戻り配管194は、合流点185において、注湯配管180と連結される。これにより、注湯開閉弁210が開放されると、給湯回路101からの湯が、注湯配管180を経由して合流点185に供給される。注湯運転時には、追焚循環ポンプ400が停止されているため、供給された湯は、風呂戻り配管194および風呂往き配管195をそれぞれ経由して、浴槽水吸入口191および浴槽水吐出口192の両方から、浴槽内に供給される。これにより、給湯回路101から浴槽へ至る注湯経路が形成される。
【0034】
UVユニット600は、風呂戻り配管194において、浴槽水が通流するように配置される。UVユニット600は、通流する浴槽水に紫外線を照射するためのUV灯610を内蔵する。すなわち、UV灯610は、点灯時に除菌効果を有する波長域の光線(紫外線)を照射するように構成されており、「除菌灯」の一実施例に相当する。
【0035】
UV灯610は、追焚循環ポンプ400の作動によって浴槽水が導入される追焚循環経路に含まれるように配置されている。UVユニット600を通過する浴槽水は、UV灯610の点灯時に紫外線照射によって除菌されることにより、雑菌数が低減する。UV灯610を内蔵するUVユニット600は、追焚循環経路上のいずれに配置されてもよい。また、本実施の形態では、「除菌灯」としてUV灯610を例示するが、点灯時に除菌効果を有する波長域の光線を照射するものであれば、UV灯610以外にも、蛍光灯や発光ダイオード(LED)等によって「除菌灯」を構成することも可能である。
【0036】
本実施の形態に従う暖房熱源装置100では、UVユニット600を配置することによって、追焚循環経路を通流する浴槽水に対して除菌処理を実行することができる。当該除菌処理は、風呂熱交換器410による加熱の有無を問わず、すなわち追焚運転時以外であっても、追焚循環ポンプ400の作動およびUV灯610の点灯により実行することができる。
【0037】
次に、暖房熱源装置100内の暖房回路103について説明する。
暖房回路103は、暖房運転時に、暖房戻口302と暖房出力口(低温)304との間、および、暖房戻口302と暖房出力口(高温)306との間のそれぞれに、熱媒体(代表的には、高温水)の循環経路を形成するように構成される。
【0038】
暖房戻口302と暖房出力口(低温)304との間には、図示しない暖房端末が接続される。当該低温側の暖房端末は、例えば、暖房回路103からの熱媒体が通流される、床暖房用の温水パネルによって構成される。同様に、暖房戻口302と暖房出力口(高温)306との間にも、図示しない暖房端末が接続される。当該高温側の暖房端末は、例えば、暖房回路103からの熱媒体によって加熱された温風を出力する、ルームヒーターによって構成される。
【0039】
暖房回路103は、一次熱交換器11bおよび二次熱交換器21bと、燃焼バーナ30bとを含む。一次熱交換器11b,二次熱交換器21bおよび燃焼バーナ30bは、給湯回路の一次熱交換器11a、二次熱交換器21aおよび燃焼バーナ30aと共通の缶体10内に格納されている。
【0040】
一次熱交換器11bは、燃焼バーナ30bによる燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器21bは、燃焼バーナ30bからの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。能力切換弁36a,36bの開閉制御によって、複数の燃焼バーナ30bのうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数(バーナ燃焼本数)が切換えられる。燃焼バーナ30bに対しては、燃焼バーナ30aと共通のガス供給管31、元ガス電磁弁32およびガス比例弁33を経由して、燃料ガスが供給される。
【0041】
さらに、暖房回路103は、暖房循環ポンプ310と、暖房膨張タンク320と、制御弁330と、配管350,360,370,380,390と、端末熱動弁305と、温度センサ382,384とを含む。
【0042】
配管350の一端は、一次熱交換器11bの一方端(入側)と接続される。配管350の他端は、複数の端末熱動弁305を経由して複数の暖房出力口(低温)304と接続される。
【0043】
配管360は、一次熱交換器11bの他方端(出側)および配管380の間に配設される。後述するように、配管360には、風呂熱交換器410および制御弁330が設けられる。配管360および370は、一次熱交換器11bの同一側(出側)で分岐しており、配管370によって、一次熱交換器11bの他方端および暖房出力口306(高温)の間が接続される。
【0044】
配管380は、暖房戻口302と二次熱交換器21bの一方端(入側)との間を連結する。配管390は、暖房膨張タンク320と、二次熱交換器21bの他方端(出側)との間を連結する。
【0045】
暖房循環ポンプ310の吸入口311は、暖房膨張タンク320と接続される。暖房循環ポンプ310の吐出口312は、配管350の分岐部355と接続される。
【0046】
暖房膨張タンク320は、暖房回路103を循環する熱媒体を一時的に貯留する。暖房膨張タンク320の水位低下時には、給水弁327を開放することにより、配管51から給水することができる。また、水位上昇時には、配管325を経由して、オーバーフロータンク328から排水栓106へ、熱媒体を排出することができる。また、図示を省略しているが、缶体10の内部で発生したドレン(凝縮水)は、ドレンタンク(図示せず)にて貯留され、中和処理後に外部へ排出される。
【0047】
配管360には、コントローラ300からの指令に応じて開閉制御される制御弁(代表的には、熱動弁)330が介挿接続される。制御弁330の開放時には、一次熱交換器11bで加熱された熱媒体は、配管370によって暖房出力口306(高温)へ出力される経路と、配管360を経由して循環される経路とに分けられる。したがって、制御弁330の開放時には、一次熱交換器11bから出力された熱媒体を、配管360、風呂熱交換器410(一次側経路)、合流点385および配管380を経由して、二次熱交換器21bへ循環させる経路がさらに形成される。一方で、制御弁330が閉状態であると、一次熱交換器11bから出力された熱媒体は、風呂熱交換器410(一次側経路)を通過することなく、配管370のみへ供給される。
【0048】
一次熱交換器11bの出力側には、暖房回路103における缶体10からの出力温度、即ち、加熱後の熱媒体温度を検出するための温度センサ384が配置される。一方で、暖房膨張タンク320には、タンク内の熱媒体温度を検出するための温度センサ382が配置される。温度センサ382によって検出された低温側熱媒体温度は、暖房出口(低温)304から供給される熱媒体の温度に相当する。温度センサ382,384は、例えば、サーミスタにより構成される。
【0049】
コントローラ300は、各センサからの出力信号(検出値)およびユーザ操作を受けて、暖房熱源装置100の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。ユーザ操作には、暖房熱源装置100の運転オンオフ指令および設定湯温指令が含まれる。さらに、UVユニット600を搭載した暖房熱源装置100では、ユーザ操作は、UV灯610を用いた除菌運転のオンオフ指令を含む。除菌運転に関しては、浴槽の残り湯を翌朝の洗濯等に用いることを想定して、除菌終了時刻を指定するタイマー運転機能を設けることができる。この場合、ユーザ操作は、除菌終了時刻を含む。例えば、これらのユーザ操作は、図示しないリモートコントローラに対して入力される。
【0050】
コントローラ300は、ユーザ操作に従って、除菌のためのUV灯610の点灯時間を設定する。除菌終了時刻が指定された除菌運転(タイマー除菌運転)では、当該除菌終了時刻において浴槽水の雑菌数が所定値以下となるように、UV灯610の点灯時間は、コントローラ300により自動的に設定される。
【0051】
制御指令には、各弁の開閉および開度指令、燃焼バーナ30a,30bに対する指令(燃焼オンオフおよび発生熱量)、並びに、暖房循環ポンプ310のオンオフ指令等が含まれる。運転オン/オフ指令は、給湯回路101による給湯運転および注湯運転、追焚回路102による追焚運転、ならびに、暖房回路103による暖房運転の各々のオン/オフ指令を含む。なお、暖房運転については、暖房端末に対するオン指令に応じて、暖房熱源装置100における暖房運転が自動的にオンされてもよい。
【0052】
給湯運転および注湯運転時には、給湯回路101の燃焼バーナ30aでの燃焼によって、入水管50の低温水が加熱されて出湯管70へ出力される。コントローラ300は、給湯運転および注湯運転時における、燃焼バーナ30aによる要求発生熱量P*を算出する。例えば、要求発生熱量P*は、缶体出側温度の検出値が目標値に制御されるように算出される。缶体出側温度の目標値は、ユーザによって設定された給湯運転および注湯運転時の設定温度と、バイパス管60の分流率(分配弁80の開度)に基づいて設定できる。
【0053】
追焚運転および暖房運転時には、暖房循環ポンプ310の駆動によって形成される循環経路を循環する熱媒体が、燃焼バーナ30bでの燃焼によって加熱される。コントローラ300は、燃焼バーナ30bによる要求発生熱量P*を、温度センサ384によって検出された一次熱交換器11bの出力温度(温度センサ384)の検出値が目標値へ制御されるように算出する。
【0054】
コントローラ300は、給湯運転、注湯運転、暖房運転および追焚運転の各々において、算出された要求発生熱量P*に従って、燃焼バーナ30a,30bへの供給ガス量を算出する。さらに、コントローラ300は、この供給ガス量を実現するような、燃焼バーナ30a,30bのうちのバーナ燃焼本数およびガス流量の組合せを決定するとともに、決定されたバーナ燃焼本数およびガス流量が実現されるように、ガス比例弁33の開度および能力切換弁35a~35c,36a,36bの開閉を制御する。さらに、コントローラ300は、算出された供給ガス量に対して、送風ファン40による送風量の比(空燃比)が所定値(例えば、理想空燃比)となるように、送風ファン40の回転数を制御する。
【0055】
除菌運転時には、コントローラ300は、追焚循環ポンプ400の作動および停止を指示するための制御信号と、UV灯610の点灯および消灯を指示するための制御信号とを生成する。追焚循環ポンプ400は制御信号に従って作動または停止する。UV灯610は、制御信号に従った電源電圧の供給の有無に応じて点灯または消灯する。
【0056】
次に、暖房熱源装置100の暖房回路103での通流経路をさらに詳細に説明する。
図2は、暖房回路103における熱媒体の通流経路を説明するためのブロック図である。
【0057】
図2を参照して、暖房回路103では、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動により、下記の熱媒体循環経路510を形成することによって熱媒体(温水)を循環加熱することができる。すなわち、暖房循環ポンプ310は「第1の循環ポンプ」の一実施例に対応する。
【0058】
暖房循環ポンプ310の作動によって、暖房戻口302から、配管380、二次熱交換器21b、配管390、および、暖房膨張タンク320を経由して、暖房循環ポンプ310の吸入口311に至る吸入経路が形成される。暖房膨張タンク320から暖房循環ポンプ310に吸入された熱媒体は、吐出口312から、配管350の分岐部355へ出力される。
【0059】
暖房循環ポンプ310から吐出された熱媒体は、配管350の分岐部355において、端末熱動弁305および暖房出力口(低温)304に至る出力経路と、燃焼バーナ30bから受熱する一次熱交換器11bを通過する加熱経路とに分岐される。当該加熱経路は、一次熱交換器11bの通過後に、配管370を経由して暖房出力口(高温)306から熱媒体を出力する出力経路と、一次熱交換器11bの通過後、配管360、風呂熱交換器410(一次側経路411)、および、合流点385、配管380、二次熱交換器21b、および、配管390を介して、再び暖房膨張タンク320へ至る戻り経路とを含む。当該戻り経路は、制御弁330の開放時に形成される一方で、制御弁330の閉止時には非形成とされる。
【0060】
暖房運転時には、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動により熱媒体循環経路510を形成することで、暖房出力口306(高温)と接続された暖房端末に対しては、一次熱交換器11bを通過した高温の熱媒体が供給される。一方で、暖房出力口304(低温)と接続された暖房端末に対しては、暖房膨張タンク320内の熱媒体が供給される。これにより、暖房熱源装置100(暖房回路103)から暖房端末(図示せず)へ熱媒体が供給される。燃焼バーナ30b、一次熱交換器11bおよび二次熱交換器21bは「熱源」を構成する。
【0061】
暖房運転時には、制御弁330は開状態および閉状態のいずれであってもよいが、制御弁330を開放して上記戻り経路を形成することにより、暖房端末へ出力される熱媒体の流量を減少する一方で、熱交換器(二次熱交換器21bおよび一次熱交換器11b)を通過する熱媒体の流量が増加する。このため、制御弁330を開放して上記戻り経路を形成する動作モードとすることによって、熱媒体の温度を速やかに上昇することができる。例えば、暖房熱源装置100では、特定の暖房端末に対して、暖房運転の開始から一定時間が経過するまで、通常よりも(即ち、上記一定時間の経過後よりも)高い温度の熱媒体を供給して、速やかに当該暖房端末を温めるために、いわゆるホットダッシュ制御(以下、HD制御とも称する)を行なうことが可能である。この際に、上述した、制御弁330を開放する動作モードを適用することができる。例えば、HD制御の実行時には、暖房出力口から低温暖房端末へ供給される熱媒体の温度が、通常時の60℃程度から、70℃程度に上昇される。HD制御は「迅速加熱運転」に相当する。通常、高温暖房端末に対しては、HD制御は適用されない。
【0062】
追焚回路102では、追焚循環ポンプ400が作動することにより、浴槽190との間に風呂熱交換器410の二次側経路412を含む追焚循環経路520が形成される。追焚運転時には、制御弁330が開放された状態で熱媒体循環経路510を形成することにより、追焚循環経路520を通流する浴槽水が、風呂熱交換器410の一次側経路411および二次側経路412間の液々熱交換により加熱される。
【0063】
除菌運転の実行時においても、追焚循環ポンプ400が作動することにより、追焚循環経路520が形成される。さらに、UVユニット600に内蔵されるUV灯610が点灯することにより、追焚循環経路520を通流する浴槽水が除菌される。
【0064】
ここで、暖房熱源装置100では、除菌運転の実行時に、HD制御が開始されることで、浴槽水の加熱が想定されていない一方で、制御弁330が開放した状態にて、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動による熱媒体循環経路510が形成されるケースがある。当該ケースでは、風呂熱交換器410の一次側経路411に加熱された熱媒体が通流するため、追焚循環経路520を通流する浴槽水が、風呂熱交換器410の一次側経路411および二次熱交換器412間の熱交換により加熱される。すなわち、除菌運転およびHD制御が同時に実行されるケースでは、浴槽水の加熱を想定していないにもかかわらず、実質的に追焚運転が実行されることになり、結果的に意図しない高温水が浴槽190へ出力される虞がある。
【0065】
したがって、本実施の形態に従う暖房熱源装置100では、図3に示された制御処理に従って、除菌運転の実行時には、制御弁330を閉状態とし、制御弁330の開放を禁止する。ただし、除菌運転中であっても、追焚運転時には、制御弁330を開放させる。
【0066】
図3は、本実施の形態に従う暖房熱源装置100における制御弁330の開閉制御を説明するフローチャートである。図3に示したフローチャートに従う制御処理は、図1に示したコントローラ300によって繰り返し実行される。
【0067】
図3を参照して、コントローラ300は、ステップS01により、除菌運転の実行中であるか否かを判定する。上述のように、図示しないリモートコントローラに対するユーザのスイッチ操作に基づいて、ステップS01の判定は実行できる。
【0068】
コントローラ300は、除菌運転中(S01のYES判定時)には、ステップS02に処理を進めて、UV灯610に電源電圧を供給することにより、UV灯610を点灯状態にする。
【0069】
コントローラ300は、ステップS03により、追焚運転中であるか否かを判定する。上述のように、図示しないリモートコントローラに対するユーザのスイッチ操作に基づいて、ステップS03の判定は実行できる。
【0070】
コントローラ300は、除菌運転中であり、かつ、追焚運転中である場合(S03のYES判定時)には、ステップS08に処理を進めて、制御弁330を開放させる。一方で、除菌運転中であり、かつ、追焚運転の非実行時(S03のNO判定時)には、ステップS04に処理を進めて、制御弁330を閉止させる。すなわち、コントローラ300は、除菌運転中は、追焚運転時を除いて、制御弁330を閉止する。図2で示したように、制御弁330を閉止することにより、熱媒体循環経路510では、一次熱交換器11bを通過した熱媒体が、配管360、風呂熱交換器410(一次側経路411)、合流点385、配管380、二次熱交換器21b、および配管390を介して、再び暖房膨張タンク320へ至る戻り経路が非形成とされる。したがって、除菌運転中に、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動により熱媒体循環経路510が形成された場合であっても、追焚循環経路520を通流する浴槽水が風呂熱交換器410の一次側経路411および二次側経路412間の液々熱交換により加熱されることを抑制することができる。
【0071】
ステップS01に戻って、除菌運転の非実行時(S01のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS06により、UV灯610への電源電圧の供給を停止することにより、UV灯610を消灯状態とする。さらに、コントローラ300は、ステップS06により、制御弁330の開放を許可する。すなわち、コントローラ300は、熱媒体循環経路510において上記戻り経路の形成を許可する。
【0072】
コントローラ300は、ステップS07により、追焚運転中であるか否かを判定する。上述のように、図示しないリモートコントローラに対するユーザのスイッチ操作に基づいて、ステップS07の判定は実行できる。
【0073】
コントローラ300は、追焚運転中(S07のYES判定時)には、ステップS08により、制御弁330を開放させる。一方、追焚運転の非実行中(S07のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS09に処理を進めて、HD制御の適用中であるか否かを判定する。HD制御は、暖房運転の開始時の所定時間において実行される。暖房運転の開始からの経過時間が所定時間を超えているか否かに基づいて、ステップS09の判定は実行できる。
【0074】
HD制御の適用中(S09のYES判定時)には、コントローラ300は、ステップS08により、制御弁330を開放させる。一方、HD制御の非適用中(S09のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS10により、制御弁330を閉止させる。
【0075】
図4は、本実施の形態に従う暖房熱源装置100における制御弁330の開閉制御を説明するための概念的な波形図である。図4には、追焚運転、除菌運転およびHD制御の有無に応じた制御弁330の動作波形が示される。
【0076】
図4を参照して、時刻t0にて、暖房熱源装置100では、追焚運転が実行されており、暖房運転は実行されていないものとする。このとき、追焚回路102では、追焚循環ポンプ400の作動(オン)により追焚循環経路520(図2)が形成されている。暖房回路103では、制御弁330を開放した状態で、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bを作動させることにより、熱媒体循環経路510(図2)が形成されている。
【0077】
追焚運転中の時刻t1にて、ユーザ操作に従って除菌運転が開始されると、追焚回路102では、追焚循環ポンプ400を作動させた状態でUV灯610が点灯される。ユーザ操作に従ってUV灯610の点灯時間が設定される。なお、時刻t1では追焚運転中であるため、暖房回路103において、制御弁330は閉止されず、開状態に維持される。時刻t1以降、追焚循環経路520においては、風呂熱交換器410による浴槽水の加熱と、UVユニット600による浴槽水の除菌とが並行して行われる。
【0078】
時刻t2にて追焚運転が停止されると、暖房熱源装置100では、除菌運転が単独で実行される。このため、制御弁330が閉止される。また、追焚運転の停止に応じて、暖房回路103では、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動が停止されるため、熱媒体循環経路510が非形成となる。
【0079】
除菌運転中の時刻t3にて暖房運転が開始されると、暖房運転の開始から一定時間が経過する時刻t5まで、HD制御が実行される。そのため、HD制御が開始される時刻t3から除菌運転が終了する時刻t4までは、HD制御が除菌運転と同時に実行されることになる。この時刻t3から時刻t4までの期間、暖房回路103では、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動によって熱媒体循環経路510が形成されるものの、制御弁330は閉止される。よって、一次熱交換器11bを通過した熱媒体が風呂熱交換器410(一次側経路411)を介して暖房膨張タンク320に至る戻り経路の形成が阻止される。これにより、追焚循環経路520を通流する浴槽水が、風呂熱交換器410での液々熱交換により加熱されることを抑制することができる。
【0080】
時刻t4にて除菌運転が終了すると、制御弁330の開放が許可されるため、制御弁330が開放される。暖房回路103では、制御弁330を開放した状態で熱媒体循環経路510が形成される。追焚回路102では、除菌運転の終了に応じて追焚循環ポンプ400が停止され、追焚循環経路520が非形成となる。
【0081】
時刻t5にてHD制御が終了すると、熱媒体循環経路510において制御弁330が閉止され、通常の暖房運転が行われる。暖房運転が終了すると、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bが停止され、熱媒体循環経路510が非形成となる。
【0082】
暖房運転の停止中の時刻t6にて再び暖房運転が開始されると、暖房運転の開始から一定時間が経過する時刻t9まで、HD制御が実行される。このとき除菌運転が非実行中であるため、暖房回路103では、制御弁330を開放した状態で熱媒体循環経路510が形成される。
【0083】
HD制御の開始後の時刻t7にてタイマー除菌運転が開始されると、除菌終了時刻が到来するまで、UV灯610の点灯時間が間欠的に繰り返し設定される。非点灯時間と点灯時間とのセットを1個の制御サイクルとして、除菌終了時刻において最後の点灯時間が終了するように逆算して、複数の制御サイクルが設定される。
【0084】
HD制御の適用中にUV灯610の点灯時間が設定される場合には、UV灯610の点灯時間(時刻t7から時刻t8の期間)、一時的に制御弁330が閉止される。熱媒体循環経路510において上述した戻り経路の形成が阻止されるため、追焚循環経路520を通流する浴槽水が、風呂熱交換器410での熱交換によって加熱されることを抑制することができる。
【0085】
その一方で、除菌運転中は制御弁330を閉止した状態でHD制御が行われるため、熱媒温度の速やかな上昇が抑制されてしまうことが懸念される。したがって、本実施の形態では、HD制御の適用時には、制御弁330の状態に応じて、缶体出側温度Thtの目標温度(缶体目標温度Tht*)を変更する。すなわち、制御弁330の状態に応じて、燃焼バーナ30bによる要求発生熱量P*を変更する。
【0086】
図5は、暖房熱源装置の暖房運転におけるHD制御の一例を説明するフローチャートである。図5に示したフローチャートに従う制御処理は、暖房運転のオン中にコントローラ300によって繰り返し実行される。
【0087】
図5を参照して、コントローラ300は、ステップS21により、HD制御の開始条件が成立しているかどうかを判定する。HD制御開始条件は、例えば、暖房運転の開始時に成立する。なお、暖房運転の開始時であっても、温度センサ382によって検出される暖房膨張タンク320内の湯温が所定温度よりも高い場合には、ステップS21をNO判定としてもよい。
【0088】
コントローラ300は、HD制御の開始条件が成立しないとき(S21のNO判定時)には、通常の暖房運転を行う。この場合には、缶体目標温度Tht*は所定値T0に設定される。例えば、T0は、暖房出力口(低温)304から出力される熱媒体の温度が60℃程度になるように設定される。
【0089】
コントローラ300は、HD制御の開始条件が成立すると(S21のYES判定時)、処理をS22に進めて、制御弁330が開状態であるか閉状態であるかを判定する。制御弁330が閉状態である場合(S22のYES判定時)、コントローラ300は、処理をS23に進めて、制御弁330の開放が許可されているか否かを判定する。図3に示したフローチャートに従う制御処理により制御弁330が閉止され、制御弁330の開放が禁止されている場合(S04)、ステップS23ではNO判定とされる。
【0090】
一方、制御弁330が開状態である場合(S22のNO判定時)、コントローラ300は、ステップS26により、缶体目標温度Tht*をHD制御でのデフォルト値T1に設定する(Tht*=T1)。例えばT1は、暖房出力口(低温)304から出力される熱媒体の温度が80℃程度になるように設定される。
【0091】
一方で、制御弁330が閉状態であり、かつ、制御弁330の開放が禁止されている場合(S23のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS27に処理を進めて、缶体目標温度Tht*をデフォルト値T1よりも高い所定値T2に設定する(T1<T2)。例えばT2は、暖房出力口(低温)304から出力される熱媒体の温度が83℃程度になるように設定される。このように、ステップS26,S27により、HD制御における缶体目標温度Tht*は、制御弁330が開状態か閉状態かに応じてT1またはT2に設定される。図5の処理では、制御弁330が閉状態のときには、HD制御における缶体目標温度Tht*をデフォルト値T1よりも増加させることにより、熱源(燃焼バーナ30b、一次熱交換器11bおよび二次熱交換器21b)による加熱量を増加させる。
【0092】
コントローラ300は、ステップS28により、HD制御の終了条件が成立しているか否かを判定する。例えば、ステップS28では、HD制御回路からの経過時間が所定時間を超えたか否かが判定される。
【0093】
コントローラ300は、HD制御開始からの経過時間が所定時間を超えるまでの間(S28のNO判定時)、ステップS22~S27の処理を繰り返し実行する。一方で、HD制御開始からの経過時間が所定時間を超えると(S28のYES判定時)、コントローラ300は、ステップS29に処理を進めて、HD制御を終了する。今回の暖房運転がオフされるまで、図5のフローチャートにおいてステップS21がNO判定とされて、缶体目標温度Tht*=T0に設定される(S25)。これにより、暖房運転の開始時のみHD制御を適用することができる。
【0094】
図6は、暖房熱源装置の暖房運転におけるHD制御の他の例を説明するフローチャートである。図6に示したフローチャートに従う制御処理は、暖房運転のオン中にコントローラ300によって繰り返し実行される。図6のフローチャートは、図5のフローチャートにおけるステップS27を、ステップS30に置き換えたものである。
【0095】
図6では、制御弁330が閉状態であり、かつ、制御弁330の開放が禁止されている場合(S23のNO判定時)、コントローラ300は、ステップS30に処理を進めて、缶体目標温度Tht*をデフォルト値T1よりも低い所定値T3に設定する(T0<T3<T1)。例えばT3は、暖房出力口(低温)304から出力される熱媒体の温度が77℃程度になるように設定される。このように、ステップS26,S30により、HD制御における缶体目標温度Tht*は、制御弁330が開状態か閉状態かに応じてT1またはT3に設定される。
【0096】
HD制御では、燃焼バーナ30bから一次熱交換器11bへ与えられる熱量が増加するため、制御弁330を閉止させた場合には、一次熱交換器11bの流量が小さくなるため、缶体出側温度Thtが過上昇することによって、頻繁に燃焼の停止を余儀なくされることが懸念される。したがって、図6の処理では、制御弁330が閉状態のときには、HD制御における缶体目標温度Tht*をデフォルト値T1よりも低下させることにより、熱源(燃焼バーナ30b、一次熱交換器11bおよび二次熱交換器21b)による加熱量を低下させる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態に従う暖房熱源装置によれば、浴槽水の加熱を伴わずに追焚循環経路を形成する動作モード時には、制御弁330を閉止させることにより、当該動作モード中に熱媒体循環経路が形成された場合であっても、熱源により加熱された熱媒体が風呂熱交換器410(一次側経路)を通過することがない。その結果、追焚循環経路を通流する浴槽水が風呂熱交換器410での熱交換により加熱されることを抑制されるため、意図しない高温の浴槽水が浴槽に出力されることを抑制することができる。
【0098】
なお、上述した実施の形態では、浴槽水の加熱を伴わずに追焚循環経路を形成する動作モードとして、浴槽水を除菌するための除菌運転を説明したが、当該動作モードは除菌運転に限定されない。例えば、微小な気泡を混入させた浴槽水を浴槽内に噴射する運転(以下、気泡運転とも称する)においても当該動作モードが適用される。
【0099】
気泡運転機能を有する風呂装置では、気泡を混入させた浴槽水を浴槽内に噴射させるために、浴槽の側壁には気泡発生機能付きの循環アダプタが設置される。循環アダプタは追焚循環経路に接続されている。これにより、循環アダプタを介して浴槽への注湯および浴槽水の追い焚きが可能である。また、追焚循環ポンプ400の作動による追焚循環経路を形成することにより、浴槽内に気泡を含む噴出水流を出力することも可能である。
【0100】
循環アダプタは、図示は省略するが、加熱された浴槽水を浴槽に導入するための追焚湯水流出路と、気泡が混入された浴槽水を浴槽に導入するための気泡湯水流出路と、流路切替機構とを有している。流路切替機構は、追焚湯水流出路を開放しつつ、気泡湯水流出路を遮断して通常の湯水が吐出される状態と、追焚湯水流出路を遮断しつつ、気泡湯水流出路を開放して気泡湯水が噴出される状態とを切り替え可能に構成されている。
【0101】
気泡運転中、気泡を含む噴出水流は入浴者に対する身体温浴効果を生じさせる。ただし、気泡運転中にHD制御が開始された場合には、浴槽水の加熱が想定されていない一方で、制御弁330が開放した状態にて、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動による熱媒体循環経路510が形成されるケースがある。当該ケースでは、浴槽水の加熱を想定していないにもかかわらず、実質的に気泡運転と追焚運転とが同時に実行されることになり、意図しない高温の噴出水流が出力される虞がある。
【0102】
したがって、本実施の形態に従う暖房熱源装置100では、図7に示された制御処理に従って、気泡運転の実行時には、制御弁330を閉状態とし、制御弁330の開放を禁止する。
【0103】
図7は、本実施の形態に従う暖房熱源装置100における制御弁330の開閉制御の変更例を説明するフローチャートである。図7に示したフローチャートに従う制御処理は、図1に示したコントローラ300によって繰り返し実行される。
【0104】
図7を参照して、コントローラ300は、ステップS11により、気泡運転の実行中であるか否かを判定する。図示しないリモートコントローラに対するユーザのスイッチ操作に基づいて、ステップS11の判定は実行できる。
【0105】
コントローラ300は、気泡処理の運転中(S11のYES判定時)には、ステップS12に処理を進めて、制御弁330を閉止させる。上述のように、制御弁330を閉止することにより、熱媒体循環経路510では、一次熱交換器11bの通過した熱媒体が、配管360、風呂熱交換器410(一次側経路411)、合流点385、配管380、二次熱交換器21b、および配管390を介して、再び暖房膨張タンク320へ至る戻り経路が非形成とされる。したがって、気泡運転中に、暖房循環ポンプ310および燃焼バーナ30bの作動により熱媒体循環経路510が形成された場合であっても、追焚循環経路520を通流する浴槽水が風呂熱交換器410の一次側経路411および二次側経路412間の液々熱交換により加熱されることを抑制することができる。
【0106】
ステップS01に戻って、気泡運転中の非実行時(S11のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS13により、制御弁330の開放を許可する。すなわち、コントローラ300は、熱媒体循環経路510において上記戻り経路の形成を許可する。
【0107】
コントローラ300は、ステップS14により、追焚運転中であるか否かを判定する。上述のように、図示しないリモートコントローラに対するユーザのスイッチ操作に基づいて、ステップS14の判定は実行できる。
【0108】
コントローラ300は、追焚運転中(S14のYES判定時)には、ステップS15により、制御弁330を開放させる。一方、追焚運転の非実行中(S15のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS16に処理を進めて、HD制御の適用中であるか否かを判定する。HD制御は、暖房運転の開始時の所定時間において実行される。暖房運転の開始からの経過時間が所定時間を超えているか否かに基づいて、ステップS16の判定は実行できる。
【0109】
HD制御の適用中(S16のYES判定時)には、コントローラ300は、ステップS15より、制御弁330を開放させる。一方、HD制御の非適用中(S16のNO判定時)には、コントローラ300は、ステップS17により、制御弁330を閉止させる。
【0110】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
100 暖房熱源装置、300 コントローラ、310 暖房循環ポンプ、330 制御弁、400 追焚循環ポンプ、410 風呂熱交換器、411 一次側経路、412 二次側経路、510 熱媒体循環経路、520 追焚循環経路、610 UV灯。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7