(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127911
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】リリース機能付き吊り具
(51)【国際特許分類】
B66C 1/34 20060101AFI20220825BHJP
B66C 1/36 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B66C1/34 L
B66C1/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026144
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】521078573
【氏名又は名称】株式会社コマロック
(71)【出願人】
【識別番号】594049227
【氏名又は名称】株式会社オーザック
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】前薗 栄作
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 隆
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004CD03
3F004CD09
3F004DA02
(57)【要約】
【課題】クレーンによる重量物や荷の吊り上げ移動に用いる吊り具であって、特に吊り上げ移動後に、作業者が離れた位置から吊り具の開放操作を容易に行え、合わせて構造の簡素化を図ることが可能なリリース機能付き吊り具を提供する。
【解決手段】重量物や荷に掛けられる吊りワイヤ2が掛止されるフック部10と、フック部10の基部11に回動可能に連結され、クレーン側の連結ワイヤ6が掛止される連結用金具20と、フック部10の基部11に回動可能に連結され、フック部10の先端部12に上方から係止され、フック部10の基部11と先端部12の間の開口部13を閉じることにより、フック部10に掛止された吊りワイヤ2の外れ止めとして機能する外れ止め部30を備え、フック部10の基部11寄りの外面に、フック部10の先端部12を外れ止め部30から離間させる方向にフック部11を回動操作する紐40を係止させる紐係止部16を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンによる重量物や荷の吊り上げ移動に用いるリリース機能付き吊り具であって、
重量物や荷に掛けられる吊りワイヤが掛止されるフック部と、
フック部の基部に回動可能に連結され、クレーン側の連結ワイヤが掛止される連結用金具と、
フック部の基部に回動可能に連結され、フック部の先端部に上方から係止され、フック部の基部と先端部の間の開口部を閉じることにより、フック部に掛止された吊りワイヤの外れ止めとして機能する外れ止め部を備え、
フック部の基部寄りの外面に、フック部の先端部を外れ止め部から離間させる方向にフック部を回動操作する紐を係止させる紐係止部が設けられている、
ことを特徴とするリリース機能付き吊り具。
【請求項2】
紐係止部に係止された紐が、吊り下げ移動時に、上方の支点を経由して作業者の手元まで延びるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1記載のリリース機能付き吊り具。
【請求項3】
外れ止め部に、吊り上げ移動時に、連結用金具に対する外れ止め部の相対回動を規制し、フック部の先端部への係止状態を保持するロック機構が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2記載のリリース機能付き吊り具。
【請求項4】
外れ止め部が、フック部の基部からフック部の先端部まで延びる上板部と、フック部の基部の両脇からフック部の先端部の両脇まで延びる側板部からなり、フック部の基部と先端部の間の開口部を閉じる姿勢で、フック部の先端部を上方および左右から覆うように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のリリース機能付き吊り具。
【請求項5】
紐係止部が、フック部の吊り下げ姿勢で、連結用金具が上下方向の垂直姿勢にあるとき、連結用金具の回動点を通る鉛直線を中心線として、フック部の先端部と反対側の外面に設けられている、
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のリリース機能付き吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンによる重量物や荷の吊り上げ移動に用いる吊り具において、特に吊り上げ移動後に吊り具をリリースすることが可能なリリース機能付き吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量物、建築資材その他の荷の吊り上げ移動にクレーン装置が用いられている。クレーン装置は、先端にフック、シャックルなどの吊り具が吊り下げられており、吊りワイヤの先端を吊り具に掛けるとともに、吊りワイヤの後端を吊り荷である重量物等に掛け、作業者がクレーン装置を操作して、玉掛けした重量物等を安全に吊り上げて移動し、目的の場所に着地させて吊りワイヤを外すようにしている。
【0003】
吊り具の一種であるフックには、吊り上げ移動時にフックから吊りワイヤが外れないように外れ止め(ロック機構)が設けられている。外れ止めは吊り荷を目的の場所に着地させてから解除(リリース)するようになっている。外れ止めの解除方法としては、作業者が自分の手で解除するタイプと、機械を用いて自動解除するタイプがある。
【0004】
吊り具に関する従来技術として、消波ブロック用途の吊り具(特許文献1)、外れ止めとしてストッパーを設けた吊り具(特許文献2、3)、自動着脱機能を設けた吊り具(特許文献4)、弾性部材の付勢力を外れ止めに利用した吊り具(特許文献5)、外れ止めの解除をレバーで行うようにした吊り具(特許文献6)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1-162484号公報
【特許文献2】特開平8-277086号公報
【特許文献3】特開平9-12261号公報
【特許文献4】特開平9-255273号公報
【特許文献5】特開2015-212185号公報
【特許文献6】実開昭63-52882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の吊り具は、外れ止めを作業者が自分の手で開放操作するか、機械(シリンダー装置)を用いて解除操作しなければならず、前者の場合、海岸、港湾、河川等の場所で重量物など吊り上げ移動し設置する場合は困難を伴う。また、後者の場合、吊り具の構造が複雑大型化し、保守費用も高くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、クレーンによる重量物や荷の吊り上げ移動に用いる吊り具であって、特に吊り上げ移動後に、作業者が離れた位置から吊り具の開放操作を容易に行え、合わせて構造の簡素化を図ることが可能なリリース機能付き吊り具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、クレーンによる重量物や荷の吊り上げ移動に用いるリリース機能付き吊り具であって、
重量物や荷に掛けられる吊りワイヤが掛止されるフック部と、
フック部の基部に回動可能に連結され、クレーン側の連結ワイヤが掛止される連結用金具と、
フック部の基部に回動可能に連結され、フック部の先端部に上方から係止され、フック部の基部と先端部の間の開口部を閉じることにより、フック部に掛止された吊りワイヤの外れ止めとして機能する外れ止め部を備え、
フック部の基部寄りの外面に、フック部の先端部を外れ止め部から離間させる方向にフック部を回動操作する紐を係止させる紐係止部が設けられている
ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るリリース機能付き吊り具は、
紐係止部に係止された紐が、吊り下げ移動時に、上方の支点を経由して作業者の手元まで延びるように構成されている
ことを第2の特徴とする。
【0010】
本発明に係るリリース機能付き吊り具は、
外れ止め部に、吊り上げ移動時に、連結用金具に対する外れ止め部の相対回動を規制し、フック部の先端部への係止状態を保持するロック機構が設けられている
ことを第3の特徴とする。
【0011】
本発明に係るリリース機能付き吊り具は、
外れ止め部が、フック部の基部からフック部の先端部まで延びる上板部と、フック部の基部の両脇からフック部の先端部の両脇まで延びる側板部からなり、フック部の基部と先端部の間の開口部を閉じる姿勢で、フック部の先端部を上方および左右から覆うように構成されている
ことを第4の特徴とする。
【0012】
本発明に係るリリース機能付き吊り具は、
紐係止部が、フック部の吊り下げ姿勢で、連結用金具が上下方向の垂直姿勢にあるとき、連結用金具の回動点を通る鉛直線を中心線として、フック部の先端部と反対側の外面に設けられている
ことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のリリース機能付き吊り具によると、重量物や荷の吊り上げ移動後に、作業者が離れた位置から、吊り具の開放操作を容易に行えるという効果を奏する。これにより、海岸、港湾、河川等の場所で重量物など吊り上げ移動し設置する場合においても、これらの作業を効率よく行えるという効果を奏する。
【0014】
さらには、離れた位置から操作できるリリース機構を備えながら、構造の簡素化を図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るリリース機能付き吊り具を示すもので、吊り具の側面図、
【
図3】
図1に示す吊り具に吊り荷により荷重が掛かった状態を示す図、
【
図4】
図1に示す吊り具のフック部に吊りワイヤを通した状態を示す図、
【
図5】クレーン操作による荷の吊り上げ時の状態を示す図、
【
図6】クレーン操作による吊り荷の吊り下げ時の状態を示す図、
【
図7】クレーン操作による吊り荷の着地時の状態を示す図、
【
図8】着地時状態の吊り荷に対し、吊り具をリリース操作した状態を示す図、
【
図9】本発明に係る吊り具をクレーンの主巻と補巻に吊り下げた状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1ないし
図8は本発明に係る第1の実施形態を示すもので、これらの図において、符号1はリリース機能付き吊り具を示している。
【0017】
リリース機能付き吊り具1(以下、「吊り具1」と略する)は、クレーンによる重量物や建築資材、荷の吊り上げ移動に用いるもので、これらの吊り上げ移動後に吊り具をリリースする機能を備えている。
図1および
図2に示すように、吊り具1は、フック部10と、シャックル部20と、外れ止め部30を備えている。
【0018】
フック部10は、重量物や建築資材、その他の荷(以下、吊り荷と称する場合がある)に掛けられる吊りワイヤ2が掛止される金具で、基部11から先端部12にかけて略U字形の湾曲形状をしている。フック部10は、基部11と先端部12の間に吊りワイヤ2が通される開口部13が形成され、その内側に吊り荷の荷重を支持する荷重支持部14が設けられている。基部11には水平方向にボルト孔15が設けられている。
【0019】
シャックル部20は、フック部10の基部11に回動可能に連結され、クレーン側の連結ワイヤ6(
図3参照)が掛止される吊り金具で,逆U字形の連結部21とボルト22から構成されている。連結部21には左右の下端に環部23が形成され、左右の環部23,23に水平方向にボルト孔24が設けられている。
【0020】
上記シャックル部20は、ボルト22を一方の環部23のボルト孔24から、フック部10の基部11のボルト孔15、他方の環部23のボルト孔24に挿通し、ナット25をボルト22に締結することで、フック部10の基部11に回動可能に連結されている。
【0021】
外れ止め部30は、フック部10の開口部13から内側に通された吊りワイヤ2が、吊り荷の荷重支持時に外れるのを防止する外れ止めとして機能する板状の金具で、フック部10の基部11に回動可能に連結されている。
【0022】
上記外れ止め部30は、左右の側板部31,31と上側の上板部32を備えており、外れ止め部30の基端部33では、左右の側板部31,31がフック部10の基部11の両脇に位置し、左右の側板部31,31に設けられたボルト孔(図示せず)に前記ボルト22が挿通されている。上板部32にはフック部10の基部11の外面との干渉を避ける開口部が設けられている。また、外れ止め部30の先端部34は、左右の側板部31,31および上板部32がフック部10の先端部12まで延びており、フック部10の先端部12に上方および左右から覆うように係止可能とされている。
【0023】
上記の外れ止め部30は、基端部33に左右の支持片35を介してストッパー片36が支持されており、ストッパー片36は、シャックル部20の後寄りで水平方向に延びており、
図1に示すように、シャックル部20の後面に当接し、シャックル部20に対する外れ止め部30の相対回動を規制するロック機構Lの一部を構成する。
【0024】
ストッパー片36からはボルト37が前方に延び、ボルト37はシャックル部20の前面で水平方向に延びる定着板38を介して先端にナット39が螺合されている。これらボルト37、定着板38、ナット39は、ストッパー片36とともに前記ロック機構Lを構成し、ボルト37およびナット39で、シャックル部20に対しストッパー片26と定着板38を前後から固定することにより、シャックル部20に対する外れ止め部30の相対回動を規制する。
【0025】
このように、上記のロック機構Lは、
図3に示すように、フック部10の吊り下げ姿勢で、シャックル部20が垂直姿勢(上下方向)にあるとき、外れ止め部30の先端部34によるフック部10の先端部12の係止状態をロックし、吊り荷の荷重支持時に、フック部10の開口部13から内側に通された吊りワイヤ2が、吊り荷の荷重支持時に外れるのを防ぐようになっている。なお、後述するように、紐40の操作により容易に上記のロック状態を解除することができる。
【0026】
上記のように構成された吊り具1において、フック部10の基部11寄りの外面に、フック部10の先端部12を外れ止め部30から離間させる方向にフック部10を回動操作する紐40を係止させる紐係止部16が設けられている。紐係止部16には紐40の一端を係止させる係止孔16aが設けられている。
【0027】
上記の紐係止部16の位置を詳しく説明すると、
図3に示すように、フック部10の吊り下げ姿勢で、シャックル部20が垂直姿勢(上下方向)にあるとき、ボルト22の回動点Oを通る鉛直線を中心線として、フック部10の先端部12と反対側の外面に、前記紐係止部16が設けられている。紐係止部16のより好ましい位置は、吊り荷の荷重支持時に、フック部10の開口部13から内側に通された吊りワイヤの中心線を通る水平線付近の位置(図示例は同水平線より少し上側位置)である。
【0028】
紐係止部16に通された紐40は、吊り具1の上方で、
図4を参照して、クレーン3から吊りワイヤ4を経由して吊り下げられた第2吊り具5を経由して図示しない作業者(例えばクレーン操作の作業者)の手元まで延びている。紐40の長さは作業現場に適した長さが確保され、例えば5m~20m程度に調整可能であるが、長さの制約は特にない。紐40にはロープなどが用いられる。
【0029】
次に、上記のように構成された吊り具1を用いて、荷Wを吊り上げ移動し、目的の場所に載置するまでの手順について、
図4から
図8を参照しながら以下に説明する。
【0030】
(荷の吊り上げ)
まず、
図4に示すように、荷Wに掛止された吊りワイヤ2を、クレーン3から吊り下げられた吊り具1に掛ける。この場合、吊り具1における外れ止め部30の先端部34を上向きにして、フック部10の開口部13から吊りワイヤ2を通し、吊りワイヤ2をフック部10の内側の荷重支持部14に配置し、この状態で、外れ止め部30の先端部34を下向きにして、フック部10の先端部12に係止する。
【0031】
次に、クレーン操作により、
図5に示すように、吊り具1を引き上げると、フック部10の荷重支持部14(
図1参照)に荷重が支持された荷Wが吊り上げられる。荷Wの吊り上げ時は、シャックル部20をストッパー片36および定着板38が挟むロック機構Lにより、外れ止め部30の上向き方向への回動が規制される結果、外れ止め部30によるフック部10の先端部12への係止状態が保持され、吊り上げ時にフック部10から吊りワイヤ2が外れる心配がない。
【0032】
(荷の移動)
次に、クレーン操作により、吊り荷Wを目的の場所の直上位置まで移動させる。吊り荷Wの移動中は、シャックル部20に対するロック機構Lの作用が働いているので、フック部10の先端部12に対する外れ止め部30の係止状態が保持されており、吊り荷の移動時にフック部10から吊りワイヤ2が外れる心配がない。
【0033】
(荷の吊り下げ)
次に、吊り荷が目的の場所の直上に達したら、クレーン操作により、
図6に示すように、吊り荷をゆっくりと吊り下げる。吊り下げ時は、上記同様に、シャックル部20に対するロック機構Lの作用が働いているので、フック部10の先端部12に対する外れ止め部30の係止状態が保持され、吊り荷Wの降下中にフック部10から吊りワイヤ2が外れる心配がない。
【0034】
(荷の載置)
次に、吊り荷Wが目的の場所に着地したら、吊り具1から吊りワイヤ2を外す。
図7に示すように、図示しない作業者がリリース操作用の紐40を矢印のように引っ張ると、クレーン3の直下の第2吊り具5を経由して下方の吊り具1に延びる紐40が引き上げられるので、紐40の引き上げにより、
図8に示すように、フック部10がボルト22を中心として、
図8の時計回りに回動し、フック部10の先端部12が、外れ止め部30から離間して、外れ止め部30による外れ止めがリリース(開放)される。外れ止め部30はシャックル部20に対しストッパー片36および定着板38により元の姿勢が維持される。
【0035】
外れ止め部30がリリースされると、
図8の矢印に示すように、フック部10の開口部13から吊りワイヤ2が自重落下により外れる。フック部10から吊りワイヤ2が外れた後は、地面G上に載置した荷Wから吊りワイヤ2を取り外す。
【0036】
続いて、クレーン3の操作により、吊り具1を次の荷の吊り上げ位置に戻し、以上の手順に従い、吊り具1を用いて、次の荷以降の吊り上げ、移動、吊り下げ、載置、リリースの作業を行う。以上により、吊り具1を用いて、荷の吊り上げ、移動、吊り下げ、載置、リリースの一連の作業を行うことができる。
【0037】
本実施形態によると、吊り荷を目的の位置に着地させた後は、作業者が紐40を引き上げることにより、フック部10を、ボルト22を中心として回動させ、外れ止め部30をリリース(開放)せしめ、フック部10に通された吊りワイヤ2を自重落下により外すことができる。これにより、吊り荷の吊り下げ位置が、作業者の操作位置から遠い場所、作業者が容易に近づけない場所であっても、作業者の遠隔操作により、吊り具1の外れ止め部30のリリース操作を容易に行えるようになる。
【0038】
図9は本発明に係る第2の実施形態を示すもので、同図において、符号1は吊り具を示しており、前記実施形態で示す部材と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0039】
図9に示すように、クレーン3は重荷重(例えば10トン~100トン超)用の主巻M
1と補助用の補巻M
2を備えている。重荷重用の主巻M
1はクレーン3から吊りワイヤ4を経由して第2吊り具(フック)5を備え、第2吊り具5に連結ワイヤ6を経由して吊り具1が吊り下げられている。補助用の補巻M
2はクレーン3から吊りワイヤ7を経由して第3吊り具(フック)8を備え、第3吊り具8に、吊り具1のフック部10の紐係止部16に係止された紐40の先端が係止されている。
【0040】
図9に示す実施形態では、補巻M
2にリリース操作用の紐40の先端が係止されているから、吊り荷の着地後、補巻M
2の巻き上げ操作により、紐40を引き上げることで、フック部10を回動させ、外れ止め部30をリリース(開放)せしめ、フック部10に通された吊りワイヤ2を自重落下により外すことができる。
【0041】
図9に示す実施形態では、重量物、例えば、海岸や堤防近くに消波ブロックや魚礁ブロックを設置する場合など、作業者が容易に近づけない場所に、本実施形態の吊り具1を用いることにより、これら重量物を吊り上げ移動し、確実に据え付けることができる。
【0042】
本発明の吊り具によると、吊り荷としては上記例に限らない。斜面の法面にブロックを積み上げる場合、建築物の上層階に建築資材を搬送する場合は、作業者の操作位置から遠く、また、作業者が容易に近づけない場所であるから、本発明の吊り具を用いると、これら重量物、土木建築資材を容易に吊り上げ移動することができる。
【0043】
本発明の吊り具で吊り上げ移動可能な荷としては、上記の重量物、土木建築資材に限らない。他の吊り荷、例えば粉状体や粒状物を収容したフレコンバッグ、コンテナ、コンクリート構造物などにも適し、用途に限定はない。吊りワイヤは、ワイヤロープや繊維スリング(繊維で作られた吊りロープ)、チェーンスリング(チェーンの吊り具)など、玉掛けが可能なもの全てが対象に含まれる。
【0044】
かくして、本発明に係るリリース機能付き吊り具によると、重量物、建築資材、その他の荷を、クレーン操作により吊り上げ移動し、作業者が離れた位置から吊りワイヤを容易にリリース操作することができ、これらの作業を効率よく行うことができるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、クレーンによる重量物、建築資材、その他の荷の吊り上げ移動に用いる吊り具として、広く利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 吊り具
2,4,7 吊りワイヤ
3 クレーン
5 第2吊り具
6 連結ワイヤ
8 第3吊り具
10 フック部
11 基部
12,34 先端部
13 開口部
14 荷重支持部
15,24 ボルト孔
16 紐係止部
16a 係止孔
20 シャックル部(連結用金具)
21 連結部
22,37 ボルト
23 環部
25,39 ナット
30 外れ止め部
31 側板部
32 上板部
33 基端部
35 支持片
36 ストッパー片
38 定着板
40 紐
G 地面
L ロック機構
M1 主巻
M2 補巻
W 吊り荷