(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128009
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/63 20180101AFI20220825BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20220825BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026289
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】武藤 哲平
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA08
3L260BA24
3L260BA80
3L260CB22
3L260EA07
3L260EA09
3L260FA08
3L260FA13
3L260FC15
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】壁際に設置されているのを簡易に判定できる空気調和機を提供する。
【解決手段】室内機1に設けられ室内の熱移動を検知する赤外線センサからなる人感センサ60と、左右に可動して風向を変える左右風向板である左右ルーバー26と、人感センサ60の検出値が閾値を越えたときに人が居ると判断する制御部90とを備えた空気調和機に於いて、制御部90は、暖房運転を行うと共に左右ルーバー26を左右にスイング動作させ、左右ルーバー26のスイング動作の一往復中に一回人感センサ60の検出値が閾値を越え、且つ左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで人感センサ60の検出値が閾値を越えるのが連続して所定回数に達したとき、室内機1の左右どちらか一方の近傍に側壁があると判断するので、室内機1の左右どちらか一方の近傍に壁があるのを簡易に判定できるものである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機に設けられ室内の熱移動を検知する赤外線センサと、左右に可動して風向を変える左右風向板と、前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときに人が居ると判断する制御部とを備えた空気調和機に於いて、前記制御部は、暖房運転を行うと共に前記左右風向板を左右にスイング動作させ、前記左右風向板のスイング動作の一往復中に一回前記赤外線センサの検出値が閾値を越え、且つ前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるのが連続して所定回数に達したとき、前記室内機の左右どちらか一方の近傍に側壁があると判断する壁際設置判定制御を行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
時間を計時するタイマを備え、前記制御部は、前記左右風向板の向きを常に同じ向きにしてから前記左右風向板の一往復のスイング動作を開始すると共に、スイング動作を開始すると同時にタイマのカウントを開始し、スイング動作を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときにタイマのカウントを停止してそのカウントした時間を記憶し、前回の記憶した時間と今回の記憶した時間を比較して同一である時、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたと判断することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記壁際設置判定制御で、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるとき、前記左右風向板のスイング動作の一往復を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるまでの前記タイマのカウントした時間により壁の方向を判断し、通常運転時の前記左右風向板のスイング運転で壁があると判断した方向には前記左右風向板のスイング動作を制限することを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、通常、空気調和機の室内機は部屋の高所の壁に設置されるが、壁の左右方向の略中央に設置される場合もあれば、室内機から見て右側又は左側の壁に接近して設置される場合もある。室内機から見て右側又は左側の壁に接近して設置された状態で、室内機の吹出口に設けられた可動ルーバーを左右にスイング動作させると、室内機から見て接近している壁に暖房時には温風が、又、冷房時には冷風が当たり、壁の劣化や結露が発生してしまうため、室内機の近傍に壁があるかを判定する必要があった。
そこで、室内機に物体から放射される赤外線を受けると、入射エネルギー量に応じた熱起電力を発生するサーモパイルセンサを設け、このサーモパイルセンサをモータ駆動により左右に可動させ、サーモパイルセンサにより取得される熱画像から壁が近傍にあるかを判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、サーモパイルセンサを使用する場合、焦電センサを使用する場合に比べてセンサを可動させる機構が必要となり、更に制御が複雑になるとともにマイコンの処理量が増加するため、マイコンの機能が高いものを使用する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、室内機に設けられ室内の熱移動を検知する赤外線センサと、左右に可動して風向を変える左右風向板と、前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときに人が居ると判断する制御部とを備えた空気調和機に於いて、前記制御部は、暖房運転を行うと共に前記左右風向板を左右にスイング動作させ、前記左右風向板のスイング動作の一往復中に一回前記赤外線センサの検出値が閾値を越え、且つ前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるのが連続して所定回数に達したとき、前記室内機の左右どちらか一方の近傍に側壁があると判断する壁際設置判定制御を行うものである。
【0006】
また、請求項2では、時間を計時するタイマを備え、前記制御部は、前記左右風向板の向きを常に同じ向きにしてから前記左右風向板の一往復のスイング動作を開始すると共に、スイング動作を開始すると同時にタイマのカウントを開始し、スイング動作を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときにタイマのカウントを停止してそのカウントした時間を記憶し、前回の記憶した時間と今回の記憶した時間を比較して同一である時、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたと判断するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記制御部は、前記壁際設置判定制御で、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるとき、前記左右風向板のスイング動作の一往復を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるまでの前記タイマのカウントした時間により壁の方向を判断し、通常運転時の前記左右風向板のスイング運転で壁があると判断した方向には前記左右風向板のスイング動作を制限するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、室内機に設けられ室内の熱移動を検知する赤外線センサと、左右に可動して風向を変える左右風向板と、前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときに人が居ると判断する制御部とを備えた空気調和機に於いて、前記制御部は、暖房運転を行うと共に前記左右風向板を左右にスイング動作させ、前記左右風向板のスイング動作の一往復中に一回前記赤外線センサの検出値が閾値を越え、且つ前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるのが連続して所定回数に達したとき、前記室内機の左右どちらか一方の近傍に側壁があると判断する壁際設置判定制御を行うので、室内機の左右どちらか一方の近傍に壁があるのを簡易に判定できるものである。
【0009】
又、前記左右風向板のスイング動作の一往復中に前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるのが二回以上のときでは、壁以外のものも検知しているとして壁際設置判定エラーとして誤って壁の判定を行うことがなく、又、人が移動したときは前記左右風向板のスイング動作の一往復中の異なるタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたり、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるのが連続しないので、人を誤って壁と判断することを防止でき、又、前記左右風向板のスイング動作の一往復中に前記赤外線センサの検出値が閾値を越えることがなければ、人がおらず且つ室内機の左右の近傍に壁がない状態と判定して、人がおらず且つ室内機の左右の近傍に壁がない状態を確実に判定できるものである。
【0010】
また、請求項2によれば、時間を計時するタイマを備え、前記制御部は、前記左右風向板の向きを常に同じ向きにしてから前記左右風向板の一往復のスイング動作を開始すると共に、スイング動作を開始すると同時にタイマのカウントを開始し、スイング動作を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたときにタイマのカウントを停止してそのカウントした時間を記憶し、前回の記憶した時間と今回の記憶した時間を比較して同一である時、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたと判断するので、壁が近傍にあれば必ず前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越え、それにより確実に壁を判定できるものである。
【0011】
また、請求項3によれば、前記制御部は、前記壁際設置判定制御で、前記左右風向板のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるとき、前記左右風向板のスイング動作の一往復を開始してから前記赤外線センサの検出値が閾値を越えるまでの時間により壁の方向を判断し、通常運転時の前記左右風向板のスイング動作で壁があると判断した方向には前記左右風向板のスイング動作を制限するので、通常運転で暖房のときは温風、冷房のときは冷風が壁や壁の窓に当たらず、壁や壁紙等が劣化したり、壁や壁の窓に結露が生じるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例による空気調和機のケースの斜視図。
【
図4】
図1に示されたケースから送風口横ケース体を取り外した状態の部分拡大斜視図。
【
図5】
図1に示されたケース内にある人感センサ付近の構造を説明する上下方向の部分拡大断面図。
【
図6】
図1に示されたケース内にある人感センサ付近の構造を説明する部分拡大概構成図。
【
図8】本発明の実施例による壁際設置判定制御のフローチャート図。
【
図9】本発明の実施例による壁際設置判定制御のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、前後とはケースの掛けられている壁から突出する方向を前とし、壁を後とする。また、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
次に、この発明の一実施形態における燃焼装置を図に基づいて説明する。
1は室内の壁面に設置された室内機で、箱状のケース10で構成されており、ケース10は、上面に設けられ空気を吸い込む吸い込み口21と、室内の空気をケース10内に取り込み室内へ送風する送風ファン22と、この送風ファン22が取り込んだ空気と熱交換を行う複数の熱交換器23と、これらの熱交換器23の外周を通過した空気を送風する送風口24と、この送風口24に設置され室内への送風方向を上下に変更する上下風向板である上下ルーバー25と、この送風口24に設置され室内への送風方向を左右に変更する左右風向板である左右ルーバー26と、熱交換器23の上方に配置されケース10内への塵埃の侵入を防止するフィルタユニット30と、フィルタユニット30に設けられたフィルタ31を清掃する清掃ユニット40と、清掃ユニット40により清掃されたフィルタ31を一時的に保持する保持部12と、ケース10に取り付けられ塵埃を収集する収集箱13と、ケース10の後面に設けられて壁Waに固定される金属製の支持板14と、を有している。
【0014】
前記ケース10は、支持板14に支持された後部ケース体50と、この後部ケース体50に支持され室内ファン33の後部を覆っている中央部ケース体51と、この中央部ケース体51に支持されフィルタユニット30の前方を覆っている前部ケース体52と、送風口24の右方で前部ケース体52の下方に位置する送風口横ケース体53と、で構成されており、送風口横ケース体53には、送風口横ケース体53を貫通するレンズ孔54が形成されており、当該レンズ孔54には後述する人感センサ60の半球部62aが位置する。
【0015】
前記送風口24は、底面を構成する送風口底面24aと、側面を構成する送風口側面板24bとで構成されており、送風口底面24aと送風口側面板24bとは中央部ケース体51とビスにより螺着されている。送風口側面板24bには、上下風向板である上下ルーバー25を上下方向に動作可能となるよう支持する上下支軸25aが貫通する上下貫通穴27と、左右風向板である左右ルーバー26を左右方向に動作可能となるよう支持する左右支軸26aが貫通する左右貫通穴28とが形成されている。
【0016】
前記上下支軸25aは、一端側が上下ルーバー25と接続し他端側が上下ルーバー25を上下方向へ動作させる上下ルーバーモータ91と軸支している。左右支軸26aは、一端側が左右ルーバー26と接続し他端側が左右ルーバー26を左右方向へ動作させる左右ルーバーモータ92と軸支している。よって、制御部90により駆動開始指示が出されることで上下ルーバーモータ91、左右ルーバーモータ92が駆動し、上下ルーバー25と左右ルーバー26とがそれぞれの方向へ動作する。
【0017】
55は送風口24より右側のケース10内に配置され制御基板等の電子部品が取り付けられるプラスチック樹脂成形品から成るケース基板であり、当該ケース基板55には、赤外線センサからなる人感センサ60が設置される基板70を装着し固定可能な基板ホルダー56が形成されている。
前記人感センサ60は、基板70にハンダで固定され赤外線を感知して一定温度以上の熱を持った物が移動する熱変化があったかを検知する受光素子61と、この受光素子61の周囲を覆い樹脂材料で構成されたレンズ62と、を有している。
このレンズ62は、レンズ孔54の縁に当接する半球状の半球部62aと、基板70との接地面から半球部62aの下端にある円筒状の円筒部62bと、で構成されている。レンズ62によって受光素子61の周囲は覆われた状態である。
【0018】
前記受光素子61は、熱変化を検知する範囲が点線で示すように前方へ向けて扇状に広がっており、半球部62aの外周縁より内側に検知範囲が収まるよう基板70に設置されている。受光素子61は、検知範囲内の熱変化を検知して室内の人の存在有無を判断する。また、レンズ孔54は受光素子61が熱変化を検知する範囲を阻害しないよう、送風口横ケース体53の表面から内部空間Inへ向けてすり鉢状に窪んでいる。
【0019】
63はレンズ62の円筒部62bを覆うように設置された断熱材であり、円筒部62bが加熱されることでの温度上昇を防止することで半球部62aの温度上昇を防止し、受光素子61が半球部62aでの熱変化を検知し室内に人が存在すると誤検知することを未然に防ぐことができる。
【0020】
前記断熱材63は材質がウレタンフォーム等の発泡樹脂であり円筒部62bの外周面全体と当接して覆うドーナツ状に形成されている。断熱材63の設置手順としては、レンズ62に断熱材63を被せるように嵌め込み、円筒部62bの外周面に断熱材63が当接した状態で送風口横ケース体53を嵌め込むことで、送風口横ケース体53と基板70とで断熱材63が挟持された状態となる。これにより、レンズ孔54とレンズ62との間の隙間を埋めることができるため、暖房運転時に温風がレンズ孔54とレンズ62との間の隙間から漏れ出すことを抑制でき、半球部62aが加熱されて温度上昇したことにより受光素子61が熱変化を検知して人の存在を誤検知することが防止でき、また、接着剤等を用いて円筒部62bの周囲に断熱材63を密着させる必要がないため、簡易に断熱材63を円筒部62bの外周面に密着した状態で固定することができる。
【0021】
90はマイコンで構成された制御部で、リモコン100に備えられた風量変更スイッチの操作に応じて風量の大小が設定され送風ファン22の回転数を設定風量に応じた回転数に設定する。また、リモコン100に備えられた図示しない風向変更スイッチの操作に応じて上下ルーバーモータ91と左右ルーバーモータ92とを駆動させ、上下風向板である上下ルーバー25と左右風向板である左右ルーバー26とを所定の範囲内において任意の角度に設定する。
又、リモコン100に備えられた図示しない壁際設置判定スイッチの操作に応じて、壁際設置判定制御を行うものである。尚、空気調和機設置後の最初の運転時に自動的に壁際設置判定制御を行うようにしてもよい。
【0022】
91はタイマで、制御部90の指示によりカウントを開始して計時を開始し、又、制御部90の指示によりカウントを停止して計時を停止し、計時を停止した時点でのカウントした時間を制御部90に出力するものである。
【0023】
次にこの空気調和機の壁際設置判定制御の動作について
図8にて説明する。
まずリモコン100に備えられた壁際設置判定スイッチをオン操作すると(S1)、制御部90は暖房運転を開始する。(S2)
そして、制御部90は、壁を検知しやすくするために、前記人感センサ60の感度を上げる。(S3)
【0024】
そして、次に制御部90は、左右ルーバー26が正面に向いているかを確認し(S4)、正面を向いていなければ、左右ルーバーモータ92を駆動させて左右ルーバー26を正面に向ける。(S5)
そして、左右ルーバー26が正面に向いた状態で、制御部90は左右ルーバー26を左右スイング一往復動作させる。(S6)
【0025】
そして、次に制御部90は、左右スイング一往復動作で人感センサ60の出力が閾値を越えたのが一回かを判定し(S7)、人感センサ60の出力が閾値を越えたのが一回でなかったら、次に人感センサ60の出力が閾値を越えたのは0回かを判定し(S8)、人感センサ60の出力が閾値を越えたのが0回であれば、壁際に設置されていないと判定し(S9)、(S35)へと進む。
【0026】
又、(S8)で人感センサ60の出力が閾値を越えたのは0回でなければ、人感センサ60の出力が二回以上閾値を越えたこととなり、この場合は、近傍に位置する壁以外のもの、例えば人等も検知していると判断して、多検知回数A=A+1とし(S10)、多検知回数Aと所定回数aを比較して(S11)、多検知回数Aが所定回数a未満の場合は(S4)に戻り、多検知回数Aが所定回数a以上の場合は、壁が判定できないとして壁際設置判定エラーへと進み(S12)、そして(S35)へと進むものである。
【0027】
次に、(S7)で、左右スイング一往復動作で人感センサ60の出力が閾値を越えたのが一回だった時、制御部90は、左右ルーバー26が正面に向いているかを確認し(S13)、正面を向いていなければ、再度左右ルーバーモータ92を駆動させて左右ルーバー26を正面に向ける。(S14)
そして、左右ルーバー26が正面に向いた状態で、制御部90はタイマ91のカウントを開始して計時を開始すると共に(S15)、左右ルーバー26を左右スイング一往復動作させる。(S16)
【0028】
そして、制御部90は、左右スイング一往復動作開始から終了するまでの間に人感センサ60の出力が閾値を越えたとき(S17)、タイマ91のカウントを停止し(S18)、タイマ91から出力された計時を停止した時点でのカウント時間tを記憶する。(S19)
又、(S17)で、左右スイング一往復動作開始から終了するまでの間に人感センサ60の出力が閾値を越えなかったときは、制御部90は、タイマ91のカウントが左右スイング一往復動作にかかる時間、本実施例では28秒に達したらタイマ91のカウントを停止し(S21)、(S7)では左右スイング一往復動作で人感センサ60の出力が閾値を一回越えたのに、今回は左右スイング一往復動作で人感センサ60の出力が閾値を越えなかったので、壁が検知できない壁検知エラーと判断して、壁検知エラー回数B=B+1とし(S22)、壁検知エラー回数Bと所定回数bを比較して(S23)、壁検知エラー回数Bが所定回数b未満の場合は(S4)に戻り、壁検知エラー回数Bが所定回数b以上の場合は、壁が検知できないと判断して(S12)へと進むものである。
【0029】
又、(S19)でタイマ91から出力された計時を停止した時点でのカウント時間tを記憶した後、次に前回のカウント時間tを記憶していれば(S24)、前回のカウント時間tが今回のカウント時間tと同じか比較する。(S25)
尚、前記(S24)で前回のカウント時間tが記憶されていなければ、今回が最初に記憶したカウント時間tと判断して(S4)に戻る。
【0030】
又、(S25)で前回のカウント時間tと今回のカウント時間tが同じだった場合は、左右ルーバー26の左右スイング動作の一往復中の同じタイミングで人感センサ60の出力が閾値を越えていることとなり、前回及び今回とも同じものを連続して検知したとして連続一致回数N=N+1とし(S26)、連続一致回数Nと所定回数nを比較して(S27)、連続一致回数Nが所定回数n未満の場合は(S4)に戻り、連続一致回数Nが所定回数n以上の場合は、室内機の近傍に壁が位置するのを検知できたとして壁際設置と判定するものである。(S28)
【0031】
又、(S25)で前回のカウント時間tと今回のカウント時間tが同じではなかった場合は、前回と今回で同じものを連続して検知していないとして連続一致回数N=0にリセットすると共に(S29)、リセット回数R=R+1とし(S30)、リセット回数Rが所定回数r未満の場合は(S4)に戻り、リセット回数Rが所定回数r以上の場合は、壁が検知できないと判断して(S12)へと進むものである。(S31)
【0032】
そして前記(S28)で壁際設置と判定したら、次に壁が室内機1の左側にあるのか、右側にあるのかを判定するため、まず記憶しているカウント時間tが、左右スイング一往復動作の開始時の正面から一方向に最大限向くまでの時間内かどうか、本実施例では左右スイング一往復動作の開始時の正面からまず左側にスイングし、正面から左側に最大限スイングするまでにかかる時間が7秒なので、記憶しているカウント時間tが7秒以下かを判定し(S32)、記憶しているカウント時間tが7秒以下であれば、壁は壁が室内機1の左側近傍にあると判定して(S33)、通常の左右スイング運転では左側に左右ルーバー26が向かないように制限するようにする。(S34)
そして制御部90は、人感センサ60の感度を下げて通常の感度に戻し(S35)、暖房運転を停止して(S36)、壁際設置判定を終了するものである。(S37)
【0033】
又、(S32)で記憶しているカウント時間tが7秒以下ではない場合、次に左右スイング一往復動作の開始時に最初に向く方向とは逆の方向にあるのかを判定するために、記憶しているカウント時間tが、左右スイング一往復動作の開始時の正面から一方向に最大限向いた後に正面に戻り、その正面に戻ってから反対方向に最大限向くまでの時間内かどうか、本実施例では左右スイング一往復動作の開始時の正面からまず左側にスイングし、正面から左側に最大限スイングするまでにかかる時間が7秒、その状態から正面に戻るまでにかかる時間が7秒、そしてその正面に戻ってから反対方向の右側に最大限スイングするまでにかかる時間が7秒なので、記憶しているカウント時間tが14秒以上21秒以下かを判定し(S38)、記憶しているカウント時間tが14秒以上21秒以下であれば、壁は壁が室内機1の右側近傍にあると判定して(S39)、通常の左右スイング運転では右側に左右ルーバー26が向かないように制限するようにし(S40)、(S35)へと進むものである。
尚、(S38)で記憶しているカウント時間tが14秒以上21秒以下ではない場合は、正確に壁が検知されていないと判断して(S12)へと進むものである。
【0034】
以上のように、室内機1に設けられ室内の熱移動を検知する赤外線センサからなる人感センサ60と、左右に可動して風向を変える左右風向板である左右ルーバー26と、前記人感センサ60の検出値が閾値を越えたときに人が居ると判断する制御部90とを備えた空気調和機に於いて、前記制御部90は、暖房運転を行うと共に前記左右ルーバー26を左右にスイング動作させ、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中に一回前記人感センサ60の検出値が閾値を越え、且つ前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記人感センサ60の検出値が閾値を越えるのが連続して所定回数に達したとき、前記室内機1の左右どちらか一方の近傍に側壁があると判断する壁際設置判定制御を行うので、室内機1の左右どちらか一方の近傍に壁があるのを簡易に判定できるものである。
【0035】
又、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中に前記人感センサ60の検出値が閾値を越えるのが二回以上のときでは、壁以外のものも検知しているとして壁際設置判定エラーとして誤って壁の判定を行うことがなく、又、人が移動したときは前記左右風向板のスイング動作の一往復中の異なるタイミングで前記赤外線センサの検出値が閾値を越えたり、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記人感センサ60の検出値が閾値を越えるのが連続しないので、人を誤って壁と判断することを防止でき、又、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中に前記人感センサ60の検出値が閾値を越えることがなければ、人がおらず且つ室内機1の左右の近傍に壁がない状態と判定して、人がおらず且つ室内機1の左右の近傍に壁がない状態を確実に判定できるものである。
【0036】
又、時間を計時するタイマ91を備え、前記制御部90は、前記左右ルーバー26の向きを常に同じ向きにしてから前記左右ルーバー26の一往復のスイング動作を開始すると共に、スイング動作を開始すると同時にタイマ91のカウントを開始し、スイング動作を開始してから前記人感センサ60の検出値が閾値を越えたときにタイマ91のカウントを停止してそのカウントした時間を記憶し、前回の記憶した時間と今回の記憶した時間を比較して同一である時、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記人感センサ60の検出値が閾値を越えたと判断するので、壁が近傍にあれば必ず前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記人感センサ60の検出値が閾値を越え、それにより確実に壁を判定できるものである。
【0037】
又、前記制御部90は、前記壁際設置判定制御で、前記左右風向板である左右ルーバー26のスイング動作の一往復中の同じタイミングで前記赤外線センサからなる人感センサ60の検出値が閾値を越えるとき、前記左右ルーバー26のスイング動作の一往復を開始してから前記人感センサ60の検出値が閾値を越えるまでの時間により壁の方向を判断し、通常運転時の前記左右ルーバー26のスイング動作で壁があると判断した方向には前記左右ルーバー26のスイング動作を制限するので、通常運転で暖房のときは温風、冷房のときは冷風が壁や壁の窓に当たらず、壁や壁紙等が劣化したり、壁や壁の窓に結露が生じるのを防止できるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 室内機
26 左右ルーバー
60 人感センサ
90 制御部