(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128025
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】WDMフィルタ部品
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20220825BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20220825BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20220825BHJP
【FI】
G02B5/28
H04J14/02
G02B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026321
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】304056637
【氏名又は名称】株式会社中原光電子研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中原 基博
(72)【発明者】
【氏名】有島 功一
【テーマコード(参考)】
2H148
5K102
【Fターム(参考)】
2H148GA13
2H148GA23
2H148GA62
2H148GA66
5K102AA15
5K102AD01
5K102PC01
5K102PH47
5K102RB02
5K102RB03
(57)【要約】
【課題】本開示は、小型で多チャンネル化の可能なWDMフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、複数の波長の光を入出力する第1のポートと、前記複数の波長のうちの少なくともいずれかを入出力する第2のポートと、を備えるWDMフィルタ部品であって、前記第1のポートが、GRINレンズの断面のうちのGRINレンズ中心軸とは異なる位置に配置されている、WDMフィルタ部品である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の光を入出力する第1のポートと、
前記複数の波長のうちの少なくともいずれかを入出力する第2のポートと、
を備えるWDMフィルタ部品であって、
前記第1のポートが、GRINレンズの断面のうちのGRINレンズ中心軸とは異なる位置に配置されている、
WDMフィルタ部品。
【請求項2】
前記第1のポートの配置されている第1のGRINレンズの前記第1のポートから1/4ピッチの位置に、前記複数の波長の一つを反射しかつ前記複数の波長の残りを透過する波長フィルタが配置され、
前記波長フィルタで反射された光を出力する前記第2のポートが、前記第1のGRINレンズの前記第1のポートと同じ端面に配置されている、
請求項1に記載のWDMフィルタ部品。
【請求項3】
前記第1のGRINレンズは1/2ピッチであり、前記第1のGRINレンズの1/4ピッチの位置に前記波長フィルタが配置され、
前記波長フィルタで透過された光が出射される前記第1のGRINレンズの出力端に、前記波長フィルタとは異なる波長を反射する波長フィルタを備える第2のGRINレンズが接続され、
前記第2のGRINレンズに入射される仮想の入力ポートは、前記第2のGRINレンズの中心軸とは異なる位置に配置されている、
請求項2に記載のWDMフィルタ部品。
【請求項4】
前記第1のポートの配置されている第1のGRINレンズ及び前記第2のポートの配置されている第2のGRINレンズのレンズ長は1/4ピッチ以下であり、
前記第1のGRINレンズと前記第2のGRINレンズの間に、前記複数の波長に対して光学的に透明な透過部が配置され、
前記第2のGRINレンズと前記透過部の間に、前記複数の波長の一つを透過しかつ前記複数の波長の残りを反射する波長フィルタが配置されている、
請求項1に記載のWDMフィルタ部品。
【請求項5】
前記波長フィルタで前記透過部内へ反射された波長を反射する反射膜が、前記透過部の前記波長フィルタに対向する面に配置されている、
請求項4に記載のWDMフィルタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、WDMフィルタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重伝送方式(以下、WDM(Wavelength Division Multiplex)方式という)を用いた通信システムにおいて、光信号の合分波を行うWDMフィルタが提案されてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WDMフィルタの多チャンネル化が求められている。そこで本開示は、多チャンネル化の容易なWDMフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のWDMフィルタ部品は、
複数の波長の光を入出力する第1のポートと、
前記複数の波長のうちの少なくともいずれかを入出力する第2のポートと、
を備えるWDMフィルタ部品であって、
前記第1のポートが、GRINレンズの断面のうちのGRINレンズ中心軸とは異なる位置に配置されている。
【0006】
具体的には、本開示のWDMフィルタ部品は、
前記第1のポートの配置されている第1のGRINレンズの前記第1のポートから1/4ピッチの位置に、前記複数の波長の一つを反射しかつ前記複数の波長の残りを透過する波長フィルタが配置され、
前記波長フィルタで反射された光を出力する前記第2のポートが、前記第1のGRINレンズの前記第1のポートと同じ端面に配置されている。
【0007】
この形態では、前記第1のポートと前記第2のポートとは、前記第1のGRINレンズの中心軸に対して対称に配置されていてもよい。
また、前記第1のGRINレンズは1/2ピッチであり、前記第1のGRINレンズの1/4ピッチの位置に前記波長フィルタが配置されていてもよい。
また、前記波長フィルタで透過された光が出射される前記第1のGRINレンズの出力端に、前記波長フィルタとは異なる波長を反射する波長フィルタを備える第2のGRINレンズが接続されていてもよい。この場合、前記第2のGRINレンズに入射される仮想の入力ポートは、前記第2のGRINレンズの中心軸とは異なる位置に配置されている。
【0008】
具体的には、本開示のWDMフィルタ部品は、
前記第1のポートの配置されている第1のGRINレンズ及び前記第2のポートの配置されている第2のGRINレンズのレンズ長は1/4ピッチ以下であり、
前記第1のGRINレンズと前記第2のGRINレンズの間に、前記複数の波長に対して光学的に透明な透過部が配置され、
前記第2のGRINレンズと前記透過部の間に、前記複数の波長の一つを透過しかつ前記複数の波長の残りを反射する波長フィルタが配置されている。
【0009】
この形態では、前記波長フィルタで前記透過部内へ反射された波長を反射する反射膜が、前記透過部の前記波長フィルタに対向する面に配置されていてもよい。
【0010】
本開示のWDMフィルタ部品は、
前記第1のポートの配置されている複数の前記第1のGRINレンズの中心軸が同一平面上に配列され、
各第1のGRINレンズの前記第1のポートが、前記同一平面に垂直でありかつ各第1のGRINレンズの中心軸を通る直線上に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、多チャンネル化の容易なWDMフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【
図2】集積型GRINレンズ11aの断面図の一例を示す。
【
図3】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【
図4】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【
図5】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【
図7】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【
図8】本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、集積型GRINレンズ11a、11b及び11cを備え、4チャネルを合分波する。
【0015】
図2に、集積型GRINレンズ11aのA-A’断面の一例を示す。集積型GRINレンズ11aは、複数のGRINレンズ112が1つのキャピラリ111に保持されている。本実施形態では、一例として、4本のGRINレンズ112A,112B,112C,112Dが備わる例を示す。これにより、本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、4×4の16チャネルを実現する。本開示は、GRINレンズ112の数を増やすことで、容易にチャネル数を増やすことが可能である。
【0016】
GRINレンズ112A,112B,112C,112Dの中心軸は、直線Lx上に配置されている。ポートP1A,P1B,P1C,P1Dは、GRINレンズ112A,112B,112C,112Dの中心軸とは異なる位置に配置されている。例えば、ポートP1A,P1B,P1C,P1Dは、GRINレンズ112の中心軸を通る直線Lxと直角の直線Ly上に配置されている。GRINレンズ112Aの中心軸からポートP1Aまでの距離r1、及びGRINレンズ112Aの中心軸からポートP2Aまでの距離r2は、任意であり、例えば、ポートP1A,P1B,P1C,P1Dにおける距離r1及びポートP2A,P2B,P2C,P2Dにおける距離r2が、等しい構成を採用することができる。
【0017】
集積型GRINレンズ11a、11b及び11cは、
図1に示すように、GRINレンズ112に波長フィルタ113が配置されている。GRINレンズ112のポートP1から波長フィルタ113までのレンズ長は、ポートP1から入力された光がGRINレンズ112の中心軸に集光される長さであり、例えば1/4ピッチと同等またはそれ以下である。波長フィルタ113からGRINレンズ112の出力端までのレンズ長は、中心軸から入射された光を平行光にする長さであり、例えば1/4ピッチと同等またはそれ以下である。波長フィルタ113は、集積型GRINレンズ11a、11b及び11cごとに定められた波長の光を反射する。
【0018】
波長λ1~λ4の光が集積型GRINレンズ11aのポートP1に入力され、波長λ1の光が集積型GRINレンズ11aの波長フィルタ113で反射され、ポートP2から出力される。
【0019】
波長フィルタ113で透過された波長λ2~λ4の光はGRINレンズ112を透過し、集積型GRINレンズ11aから出力される。集積型GRINレンズ11bのGRINレンズ112が集積型GRINレンズ11aのGRINレンズ112の出力端と接続されており、波長λ2~λ4の光が集積型GRINレンズ11bのGRINレンズ112に入射される。波長λ2~λ4の光のうちの波長λ2の光が集積型GRINレンズ11bの波長フィルタ113で反射され、ポートP3から出力される。
【0020】
集積型GRINレンズ11bの波長フィルタ113で透過された波長λ3~λ4の光はGRINレンズ112を透過し、集積型GRINレンズ11bから出力される。集積型GRINレンズ11cのGRINレンズ112が集積型GRINレンズ11bのGRINレンズ112の出力端と接続されており、波長λ3~λ4の光が集積型GRINレンズ11cに入射される。波長λ3~λ4の光のうちの波長λ3の光が集積型GRINレンズ11cの波長フィルタ113で反射され、ポートP4から出力される。波長フィルタ113で透過された波長λ4の光はGRINレンズ112を透過し、集積型GRINレンズ11cのポートP5から出力される。
【0021】
ここで、本実施形態では、ポートP1がGRINレンズ112の中心軸とは異なる位置に配置されている。このため、集積型GRINレンズ11aの波長フィルタ113で反射された光は、GRINレンズ112の中心軸に対してポートP1と対称な位置に配置されているポートP2から出力される。
【0022】
また、本実施形態では、波長λ2~λ4の光が集積型GRINレンズ11bのGRINレンズ112に入射される仮想の入力ポートは、当該GRINレンズ112の中心軸とは異なる位置に配置されている。例えば、仮想の入力ポートは、GRINレンズ112の中心軸から距離r1の位置に配置される。このため、集積型GRINレンズ11bに備わる波長フィルタ113で反射された光は、集積型GRINレンズ11bに備わるGRINレンズ112の中心軸に対して前記仮想の入力ポートと対称な位置に配置されているポートP3から出力される。集積型GRINレンズ11cについても同様である。
【0023】
以上説明したように、本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、集積型GRINレンズ11a、11b及び11cを用いることで、4波長の合分波を行うことができる。ここで、本実施形態は、4波長の光のすべてがGRINレンズ内で合分波されるため、4波長の光のクロストークが小さく、4波長の光の損失を防ぐことができる。また、集積型GRINレンズ11a、11b及び11cは、GRINレンズ112の中央部に細い切込み(30~100μm)を入れ、基板なし又は薄い基板付きの波長フィルタ113を挿入することで製造することができる。集積型GRINレンズ11a、11b及び11cは同じ構造を有するため、集積型GRINレンズ11a、11b及び11cの製造が容易である。
【0024】
なお、本実施形態では、集積型GRINレンズ11a及び11cの間に配置されている集積型GRINレンズ11bが1個であり、4波長を合分波する例を示したが、本発明はこれに限定されない。集積型GRINレンズ11bを増やすことで、5波長以上の任意の合分波に適用することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図3に、本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、キャピラリ111が、さらにGRINレンズ114-1及び114-2を備える。本実施形態では、集積型GRINレンズ11aのGRINレンズ114-1にポートP3が配置され、集積型GRINレンズ11aのGRINレンズ114-2にポートP3が配置される。
【0026】
GRINレンズ114-1及び114-2のレンズ長は、入射された平行光を平行光で出射する長さであり、例えば1/2ピッチである。
波長λ1~λ4の光が集積型GRINレンズ11aに入射され、波長λ1の光が集積型GRINレンズ11aの波長フィルタ113で反射される。波長λ1の光は、集積型GRINレンズ11aのポートP2から出力される。波長フィルタ113で透過された波長λ2~λ4の光はGRINレンズ112を透過し、集積型GRINレンズ11aから出力される。
波長λ2~λ4の光が集積型GRINレンズ11bに入射され、波長λ2の光が集積型GRINレンズ11bの波長フィルタ113で反射される。波長λ2の光は、集積型GRINレンズ11bから平行光で出射され、集積型GRINレンズ11aのGRINレンズ114-1に入射され、GRINレンズ114-1を透過し、ポートP3から平行光で出射される。
波長λ3~λ4の光が集積型GRINレンズ11cに入射され、波長λ3の光が集積型GRINレンズ11cの波長フィルタ113で反射される。波長λ3の光は、集積型GRINレンズ11cから平行光で出射され、集積型GRINレンズ11bのGRINレンズ114-1に入射され、GRINレンズ114-1を透過し、集積型GRINレンズ11aのGRINレンズ114-2に入射され、GRINレンズ114-2を透過し、ポートP4から平行光で出射される。
集積型GRINレンズ11cの波長フィルタ113で透過された波長λ4の光はGRINレンズ112を透過し、集積型GRINレンズ11cのポートP5から出力される。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、キャピラリ111が、さらにGRINレンズ114-1及び114-2をさらに保持することで、ポートP1~P4を集積型GRINレンズ11aに配置することができる。
【0028】
本実施形態では、3つの集積型GRINレンズ11a~11cを備え、各集積型GRINレンズ11a~11cが1/2ピッチのGRINレンズ114を2本備える例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば4つの集積型GRINレンズを備え、各集積型GRINレンズが1/2ピッチのGRINレンズ114を3本備えていてもよい。これにより、ポートP1~P5を集積型GRINレンズ11aに配置することができる。
【0029】
なお、上述の実施形態では、1つのキャピラリ111の中に1/2ピッチのGRINレンズ112が配置され、GRINレンズ112に波長フィルタ113が配置されている例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図4に示すように、
図3に示す集積型GRINレンズ11aが、2つの集積型GRINレンズ11a-1及び11a-2と、それらの間に配置されている波長フィルタ113と、で構成されていてもよい。このように、GRINレンズ112が1/4ピッチのGRINレンズ112Hに分かれており、個別の集積型GRINレンズ11a-1及び11a-2に保持されていてもよい。集積型GRINレンズ11b及び11cについても同様である。
【0030】
本実施形態のWDMフィルタ部品は、
図4に示す構成を採用することで、集積型GRINレンズ11a-2及び11b-1を組み合わせた光部品を作製することができる。合分波する波長数に必要な個数の当該光部品を用意し、波長フィルタ113を後から張り合わせることで、任意の波長数のWDMフィルタ部品を容易に製造することが可能になる。
【0031】
(第3の実施形態)
図5に、本実施形態に係るWDMフィルタ部品の一例を示す。本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、GRINレンズ112-1~112-5と、波長フィルタ113-2~113-5と、透過部115とを備え、4チャネルを合分波する。
【0032】
GRINレンズ112-1~112-5は、GRINレンズ112-1~112-5の中心軸と直角な端面を有し、当該端面が透過部115に固定されている。波長フィルタ113-2~113-5は、それぞれ異なる波長を透過する。例えば、波長フィルタ113-2は波長λ1を透過し、波長フィルタ113-3は波長λ2を透過し、波長フィルタ113-4は波長λ3を透過し、波長フィルタ113-5は波長λ4を透過する。透過部115は、波長λ1~λ4に対して透明なガラスである。
【0033】
波長λ1~λ4の光がGRINレンズ112-1に入射される。このとき、GRINレンズ112-1の中心軸A1からずらして入射される。これにより、GRINレンズ112-1から透過部115に斜めに入射される。
【0034】
GRINレンズ112-1から透過部115に入射された波長λ1~λ4の光は、透過部115の側面に到達する。この側面に、波長λ1を透過し、波長λ2~λ4を反射する波長フィルタ113-2が配置されている。波長フィルタ113-2を透過した波長λ1の光はGRINレンズ112-2に入射される。GRINレンズ112-2に入射された波長λ1の光はGRINレンズ112-2を透過し、出射される。
【0035】
同様にして、GRINレンズ112-3からは波長λ2の光が出射され、GRINレンズ112-4からは波長λ3の光が出射され、GRINレンズ112-5からは波長λ4の光が出射される。
【0036】
ここで、入力位置r
0による出射角θについて検討する。入力位置r
0は、GRINレンズ112-1の中心軸A
1からポートP1までの距離[mm]である。GRINレンズの光線軌跡の式より、次式が得られる。
【数1】
n
0はGRINレンズ112-1の中心屈折率、gはGRINレンズ112-1のg値[mm
-1]、zはレンズ長[mm]、θ
0は入射角度[rad]である。
【0037】
式(1)において、入射角度θ0を0°とすると右辺第二項は無視できる。またレンズ長zをコリメートさせるために、z=1/4Pピッチにすると、ピッチP=2π/gであることから、
(数2)
gz=g*(1/4P)=g*(1/4*2π/g)=1/2π
である。このため、sin(gz)=1である。
【0038】
従って、
(数3)
θ=-n0×g×r0
となる。
【0039】
GRINレンズ112-1の直径が0.29であり、
図6に示す条件の場合、入力位置r
0=50μmで入射した光は、約5度で出射される。なお、入力位置r
0及び出射角θは任意に設定可能である。
【0040】
GRINレンズ112-2の中心軸A2からポートP2までの距離は、任意であるが、入力位置r0と等しい構成を採用することができる。GRINレンズ112-3の中心軸A3からポートP3までの距離、GRINレンズ112-4の中心軸A4からポートP4までの距離、GRINレンズ112-5の中心軸A5からポートP5までの距離についても同様である。
【0041】
図5では、透過部115の側面に到達する度に各波長を分離する構成を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、波長λ2~λ4を反射する反射膜116を備え、ポートP2~P5を同一面に配列してもよい。また、
図8に示すように、反射膜116を備え、ポートP1~P5を同一面に配列してもよい。このように、本開示は、反射膜116を用いて、ポートP1~P5の配置を任意に構成することができる。
【0042】
ここで、本実施形態においても、
図7に示すA-A’断面は、
図2に示すように、複数のGRINレンズ112-1が備わっていてもよい。このように、本実施形態についても、容易にチャネル数を増やすことが可能である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るWDMフィルタ部品は、透過部115の側面にGRINレンズ112-1~112-5を配置し、GRINレンズ112-1への入力位置を中心からずらすことで、GRINレンズ112-1の入射角変換を利用した直角平面での実装が可能になる。このため、実装が容易であり、低価格のWDMフィルタ部品を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
11a、11b、11c:集積型GRINレンズ
111:キャピラリ
112、112H、112-1、112-1A、112-1B、112-1C、112-1D、112-2、112-3、112-4、112-5、114-1、114-2、114-1H、114-2H:GRINレンズ
113、113-2、113-3、113-4、113-5:波長フィルタ