(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128034
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】案内システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220825BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220825BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220825BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20220825BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220825BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20220825BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G08G1/0968
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026335
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一弥
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HD16
2C032HD21
2F129AA03
2F129DD03
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2F129HH04
2F129HH12
5H181AA01
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5H181FF14
5H181FF22
5H181FF33
5H181FF35
5H181FF38
(57)【要約】
【課題】より高速に、周遊の経路を案内することを目的とする。
【解決手段】出発地と観光地と受け付ける受付部と、前記観光地における複数の周遊地点間の予め定められた複数の経路である複数の周遊地点間経路であって、予め区画された複数のエリアのうちの少なくとも1つとそれぞれ対応づけられた複数の前記周遊地点間経路から、前記出発地を含む前記エリアに対応づけられた少なくとも1つの前記周遊地点間経路を抽出する抽出部と、前記出発地から、前記抽出部により抽出された前記周遊地点間経路における移動の開始地点までの経路と、前記周遊地点間経路と、を案内する案内部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地と観光地と受け付ける受付部と、
前記観光地における複数の周遊地点間の予め定められた複数の経路である複数の周遊地点間経路であって、予め区画された複数のエリアのうちの少なくとも1つとそれぞれ対応づけられた複数の前記周遊地点間経路から、前記出発地を含む前記エリアに対応づけられた少なくとも1つの前記周遊地点間経路を抽出する抽出部と、
前記出発地から、前記抽出部により抽出された前記周遊地点間経路における移動の開始地点までの経路と、前記周遊地点間経路と、を案内する案内部と、
を備える案内システム。
【請求項2】
前記案内部は、さらに、前記抽出部により抽出された前記周遊地点間経路における移動の終了地点から前記出発地までの経路を案内する請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記周遊地点間経路に対応づけられたエリアは、前記周遊地点間経路に対応づけられた複数の周遊地点の配置態様に基づいて定められたエリアである請求項1又は2に記載の案内システム。
【請求項4】
前記周遊地点間経路に対応づけられたエリアは、行政区画に基づいて定められたエリアである請求項1又は2に記載の案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
旅行や物流等のために経路を案内する技術がある。例えば、特許文献1には、より多くの施設が存在する地域を通過しつつ、出発地点から目的地点に至る旅行計画を作成する方法が開示されている。また、特許文献2には、旅行行程の作成及び変更を容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-257984号公報
【特許文献2】特開2001-236353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の技術を用いて、出発地、観光地における複数の地点を巡る経路を探索すると、観光地における複数の地点間の経路の探索処理に負担がかかり、経路探索に時間がかかる。このため、経路探索指示を行ってから案内が開始されるまでに多くの時間がかかる。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、より高速に、周遊の経路を案内することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、案内システムは、出発地と観光地と受け付ける受付部と、前記観光地における周遊地点間の経路である複数の周遊地点間経路であって、それぞれ位置の異なる複数のエリアのうちの少なくとも1つとそれぞれ対応づけられた予め定められた複数の前記周遊地点間経路から、前記出発地を含む前記エリアに対応づけられた少なくとも1つの前記周遊地点間経路を抽出する抽出部と、前記出発地から、前記抽出部により抽出された前記周遊地点間経路における周遊が開始される周遊地点までの経路と、前記周遊地点間経路と、を案内する案内部と、を備える。
【0006】
すなわち、案内システムにおいては、予め定められた周遊地点間経路から、出発地を含むエリアに対応する周遊地点間経路が抽出される。このため、案内システムは、経路案内の要求を受ける度に観光地における複数の周遊地点間の経路を探索する場合に比べて、経路の探索の処理負担を軽減し、経路探索指示を行ってから案内が開始されるまでの時間を低減することで、より高速に、周遊の経路を案内できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)案内システムの構成:
(2)案内処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)案内システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる案内システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態において、案内システム10は、利用者端末100と協働する。本実施形態において、利用者端末100は、案内システム10から周遊の経路の案内を受けるために利用される。ここで、経路とは、移動の開始地点から移動の終了地点まで至る道順を示す。
【0010】
案内システム10は、利用者端末100のユーザに周遊のための経路を案内するシステムである。案内システム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部40を備えている。通信部40は、他の装置と有線又は無線で通信するための回路を備えている。制御部20は、通信部40を介して、利用者端末100等の外部の装置と通信を行い、任意の情報を送受信することができる。
【0011】
記録媒体30には、周遊地点間経路DB30a、地図情報30bが記録される。周遊地点間経路DB30aは、既定の観光地毎の、複数の周遊地点間経路が蓄積されるデータベースである。ここで、観光地とは、周遊の対象となる地域であり、本実施形態では、複数の周遊の対象となる地点(以下では、周遊地点とする)を含む。周遊地点間経路とは、対応する観光地における周遊対象の複数の地点である複数の周遊地点を巡るための、周遊地点間の経路である。
地図情報30bは、利用者端末100の位置や案内対象の施設の特定等に利用される情報であり、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。地物を示すデータには、地物の属性が対応づけられている。
【0012】
利用者端末100は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部200、ユーザI/F部410、通信部430、図示しない記録媒体を備える。
【0013】
ユーザI/F部410は、ユーザからの入力を受付け、また、ユーザに対する各種の情報の提示に用いられるインタフェース部である。ユーザI/F部410は、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、スピーカ等の画像や音声の出力部、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力部を備えている。通信部430は、他の装置と有線、又は無線での通信に用いられる回路を備えている。制御部200は、通信部430を介して案内システム10と通信を行い、任意の情報を送受信することができる。
【0014】
制御部200は、記録媒体に記録された各種のプログラムを実行することによって、各種の機能を実現する。例えば、カーナビゲーション装置、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)等によって利用者端末100を構成することができる。本実施形態において、利用者端末100は、ブラウザを介して、案内システム10と情報のやり取りを行う。すなわち、利用者端末100のユーザは、ブラウザを介して、案内システム10から案内される経路を確認できる。
【0015】
案内システム10は、利用者端末100から、出発地と観光地との指定を含む経路案内の要求を受付け、観光地における周遊地点間経路と、出発地からこの周遊地点間経路の開始地点までの経路と、を案内する機能を備える。周遊地点間経路の開始地点とは、周遊地点間経路における移動が開始される周遊地点であり、この機能は、制御部20が案内プログラム21を実行することによって実現される。案内プログラム21が実行されると、制御部20は、パターン生成部21a、受付部21b、抽出部21c、案内部21dとして機能する。
【0016】
パターン生成部21aは、観光地における複数の地点間の経路を、周遊地点間経路として生成する機能である。制御部20は、パターン生成部21aの機能により、観光地における複数の周遊地点間の経路を、周遊のパターンである周遊地点間経路として生成する。本実施形態の周遊地点間経路の生成処理の詳細を説明する。制御部20は、観光地における周遊地点群の形状を特定する。ここで周遊地点群の形状とは、周遊地点群の概形であり、例えば、周遊地点群の凸包である。本実施形態では、制御部20は、観光地における周遊地点群の凸包を特定する。旅行者が外部から観光地の周遊に向かう場合、この凸包における重心の近傍よりも先に、この凸包における外縁部近傍に到達する。そのため、効率よく周遊を行うためには、この凸包における外縁部近傍の周遊地点を周遊の開始地点とすることが望ましい。そこで、本実施形態では、制御部20は、この凸包における外縁部近傍に存在する周遊地点それぞれを周遊の開始地点として選択する。
【0017】
制御部20は、選択した開始地点それぞれについて、以下の処理を行う。制御部20は、開始地点と異なる周遊地点のうち、開始地点からの距離が既定の閾値(例えば、観光地の幅の30%の距離、10km等、)以上離れた周遊地点それぞれを、順に周遊の終了地点として選択する。ただし、制御部20は、開始地点と異なる周遊地点それぞれを、順に終了地点として選択してもよい。そして、制御部20は、終了地点を選択する度に、開始地点から、他の周遊地点を経由して、終了地点に至る経路を、最近傍法等の手法による巡回セールスマン問題を解くことで求める。これにより、制御部20は、観光地における各周遊地点を、より効率よく巡るための周遊地点間経路を生成できる。
【0018】
このように、本実施形態では、制御部20は、観光地の周遊地点群の凸包における外縁部近傍に存在する周遊地点それぞれを周遊の開始地点として選択し、選択した開始地点毎に周遊地点間経路を生成する。ただし、制御部20は、観光地の全ての周遊地点それぞれを、周遊の開始地点として選択し、選択した開始地点毎に周遊地点間経路を生成してもよい。また、制御部20は、観光地の周遊地点のうちの既定の一部の周遊地点それぞれを、周遊の開始地点として選択し、選択した開始地点毎に周遊地点間経路を生成してもよい。また、制御部20は、人手により決定された周遊地点の訪問順序での周遊地点間の経路をダイクストラ等の経路探索アルゴリズムで探索することで、周遊地点間経路を生成してもよい。制御部20は、探索した経路を、順方向の1つの経路として設定してもよいし、観光地によっては逆方向の経路として設定してもよいし、順方向及び逆方向の双方の移動が可能な経路として設定してもよい。
また、制御部20は、人手により決定された周遊地点の訪問順序での周遊地点間の経路の指定を受け付けてもよい。例えば、制御部20は、人手により決定された経路を、周遊地点間の経路として受け付けてもよい。その際に、制御部20は、指定された経路を、順方向の1つの経路として設定してもよいし、観光地によっては逆方向の経路として設定してもよいし、順方向及び逆方向の双方の移動が可能な経路として設定してもよい。
【0019】
本実施形態では、制御部20は、観光地における複数の周遊地点の全てを通る周遊地点間経路を生成するが、制御部20は、観光地における複数の周遊地点の少なくとも一部を通る周遊地点間経路を生成することとしてもよい。
【0020】
制御部20は、生成した周遊地点間経路それぞれについて、出発地になりうる領域が区分された複数のエリアのうちの少なくとも1つと対応づけて、記録媒体30に記録する。本実施形態では、制御部20は、周遊地点間経路の情報として、開始地点、終了地点、周遊地点間の経路の情報を記録する。この複数のエリアとして、予め区画された複数のエリアが規定されている。以下では、この区画されたエリアを、区画エリアとする。本実施形態では、観光地は日本国内に存在し、複数の区画エリアとして、日本の行政区画に基づくエリアが規定されている。本実施形態では、複数の区画エリアとして、都道府県それぞれが規定されているとするが、例えば、地方(例えば、関西地方、関東地方等)、市町村等の他のエリアが規定されていてもよい。ただし、観光地は日本国外に存在し、複数の区画エリアとして、日本以外の国を含むエリアが規定されてもよい。例えば、複数の区画エリアとして、日本以外の国の行政区画に基づくエリアが規定されてもよい。
【0021】
制御部20は、生成した周遊地点間経路における開始地点と、複数の区画エリアそれぞれと、の位置関係に基づいて、周遊地点間経路に対応づける区画エリアを特定する。本実施形態では、制御部20は、観光地から見て生成した周遊地点間経路における開始地点と同じ方面の区画エリアを、この周遊地点間経路に対応づける区画エリアとして特定する。より具体的には、制御部20は、観光地における基準となる既定の地点(例えば、観光地における周遊地点群の平均の位置の地点、既定のオブジェクト(ランドマーク、役所等)の地点等)から、生成した周遊地点間経路の開始地点の方向を特定する。以下では、観光地における基準となる既定の地点を、観光地基準地点とする。本実施形態では、制御部20は、北方向を基準(0°)として、観光地基準地点から見た周遊地点間経路の開始地点の方向の方位角を特定する。また、制御部20は、同様に、観光地基準地点から見た複数の区画エリアにおける基準となる地点であるエリア基準地点それぞれの方位角を特定する。エリア基準地点は、例えば、区画エリアにおける役所、ランドマーク等の地点である。
【0022】
そして、制御部20は、複数の区画エリアから、対応する方位角が周遊地点間経路の開始地点の方位角と既定の誤差(例えば、±30°±45°等)以内である区画エリアを特定する。制御部20は、生成した周遊地点間経路に、特定した区画エリアを対応付けて、周遊地点間経路DB30aに記録する。
図2に、生成された周遊地点間経路の一例を示す。
図2における白丸印は周遊地点を示し、破線は各区画エリアの境界を示し、バツ印は観光地基準地点を示し、黒丸印はエリア基準地点を示す。
図2の例では、3つの区画エリア(区画エリアA~C)が規定されている。
図2の例では、生成された周遊地点間経路として、楕円状の実線で囲まれた観光地S1における周遊地点P1~P4を巡る周遊地点間経路が実線の曲線矢印で示されている。
図2に示す周遊地点間経路は、周遊地点P1~P4の順に巡る周遊地点間経路であるため、周遊地点P1が開始地点、周遊地点P4が終了地点となる。制御部20は、観光地基準地点から見た、周遊地点間経路の開始地点である周遊地点P1の方位角を特定する。また、制御部20は、観光地基準地点から見た、区画エリアA~Cのエリア基準地点の方位角を特定する。制御部20は、区画エリアA~Cのうち、周遊地点P1の方位角と既定の誤差以内の方位角である区画エリアを区画エリアAと特定し、区画エリアAを周遊地点間経路に対応づける。このように、周遊地点間経路には、観光地基準地点から見て、周遊地点間経路の開始地点の方向と既定の誤差以内の方向の区画エリアが対応付けられる。
【0023】
なお、本実施形態では、制御部20は、パターン生成部21aの機能による処理を、利用者端末100から経路案内の要求を受け付ける前に実行する。ただし、制御部20は、利用者端末100に対する経路の案内を行っていないタイミングであれば、他のタイミングにも、パターン生成部21aの機能による処理を実行してもよい。
【0024】
受付部21bは、利用者端末100から出発地と観光地との指定を受け付ける機能である。制御部20は、受付部21bの機能により、利用者端末100から出発地と、周遊先の観光地と、の指定を含む経路案内の要求を受け付ける。制御部20は、例えば、利用者端末100から、自宅登録されている地点、利用者端末100の位置等を、出発地として受け付ける。ただし、制御部20は、利用者端末100から、出発地として、利用者端末100のユーザにより入力された地点を受け付けてもよい。
【0025】
抽出部21cは、観光地に対応する複数の周遊地点間経路を周遊地点間経路DB30aから特定し、特定した周遊地点間経路から、出発地に対応する周遊地点間経路を抽出する機能である。制御部20は、抽出部21cの機能により、周遊地点間経路DB30aから受付部21bの機能により受付けられた観光地に対応する複数の周遊地点間経路を特定する。また、制御部20は、複数の区画エリアのうち、受付部21bの機能により受付けられた出発地を含む区画エリアを特定する。そして、制御部20は、特定した周遊地点間経路のうち、特定した区画エリアが対応づけられた少なくとも1つの周遊地点間経路を抽出する。
【0026】
案内部21dは、抽出部21cにより抽出された周遊地点間経路と、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路と、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路と、の情報を利用者端末100に表示させることで、これらの情報をユーザに案内する機能である。
制御部20は、案内部21dの機能により、抽出部21cの機能により抽出された周遊地点間経路それぞれについて、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路の探索と、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路の探索と、を実行する。制御部20は、地図情報30bに基づいて、出発地から開始地点まで到達する経路、及び、終了地点から出発地まで到達する経路を探索する。より具体的には、制御部20は、地図情報30bに基づいて、移動手段の移動開始地点(出発地、終了地点)を起点のノードとし、ノードに接続される道路区間として選択すべきか否かを判定する判定対象の道路区間を特定する。そして、制御部20は、特定した道路区間について通過コストを取得する。ここで、通過コストは、例えば、既定のデフォルト値、又は、既定のデフォルト値にコスト係数が乗じられた値等である。判定対象の道路区間の通過コストは、予め求められていてもよいし、経路として選択すべきか否か判定される際に通過コストが求められるとしてもよい。
【0027】
制御部20は、求めた通過コストに基づいて公知の手法、例えば、ダイクストラ法等によって出発地から目的地までの経路を探索する。なお、本実施形態においては、利用者が車両によって移動することが想定されており、探索される経路は、道路上を車両が移動するための経路であるが、他の移動手段での経路が探索されてもよい。
【0028】
そして、制御部20は、抽出部21cにより抽出された周遊地点間経路それぞれについて、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路と、周遊地点間経路と、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路と、を示す情報(例えば、地図上におけるリンクの順列、ノードの順列、経路を示す画像、テキスト等)を利用者端末100に送信し、送信した情報の表示を指示する。
図3に、
図2と同様の周遊地点間経路が抽出された場合に案内部21dの機能により表示される画像の一例を示す。
図3の例では、
図2と同様の周遊地点間経路と、出発地から周遊地点間経路の開始地点(周遊地点P1)までの経路と、周遊地点間経路の終了地点(周遊地点P4)から出発地までの経路と、が示されている。また、
図4に、出発地として区画エリアC内の地点が受付けられた場合に案内部21dの機能により表示される画像の一例を示す。
図4の例では、区画エリアCに対応付けられている、周遊地点P4、P2、P1、P3の順で巡る周遊地点間経路が案内されている。
【0029】
また、例えば、利用者端末100がカーナビゲーション装置である場合、利用者端末100の制御部200は、現在地を含む地図を表示し、現在地を表示し、案内システム10から案内された経路の情報に基づいて経路を強調表示してもよい。そして、制御部200は、直進方向と異なる方向に進行する交差点を案内交差点とし、案内交差点の手前の既定距離に達すると交差点での進行方向を案内してもよい。
また、制御部20は、周遊地点間経路と併せて、周遊地点間経路における各周遊地点の情報(例えば、周遊地点名、おすすめの店舗等)を、利用者端末100に送信して表示させることで、案内してもよい。
【0030】
以上の本実施形態の構成により、案内システム10は、利用者端末100から出発地と観光地との指定を含む経路案内の要求を受付けると、予め生成した周遊地点間経路が記録された周遊地点間経路DB30aから、受け付けた観光地に対応する周遊地点間経路を特定する。そして、案内システム10は、特定した周遊地点間経路から、受付けた出発地を含む区画エリアに対応する周遊地点間経路を抽出し、抽出した周遊地点間経路が示す経路、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路を案内する。
【0031】
このように、案内システム10は、予め定められた周遊地点間経路から、これにより、案内システム10は、経路案内の要求を受ける度に観光地における複数の周遊地点間の経路を探索する場合に比べて、経路の探索の処理負担を軽減しつつ、より高速に、周遊の経路を案内できる。このため、利用者端末100のユーザは、観光地で周遊地点をどのように巡って周遊するか検討する際に、周遊の経路を短時間で確認できる。また、案内システム10は、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路、及び、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路についても案内できる。
【0032】
旅行のガイドブック、ウェブ上の旅行記事等において、観光地における複数の地点を巡る既定の経路が案内される場合がある。しかし、出発地によっては、案内された経路では、効率よく各地点を巡れない場合がある。例えば、案内された経路における最初の地点が出発地から最も離れている場合、ユーザは、始めに最も離れた地点への移動を行うこととなり、効率よく各地点を巡れない。そこで、本実施形態では、周遊地点間経路DB30aの周遊地点間経路には、観光地基準地点から見て、周遊地点間経路の開始地点の方向と既定の誤差以内の方向の区画エリアが対応付けられている。観光地基準地点から見て、出発地点の区画エリアと、周遊地点間経路の開始地点と、は既定の誤差以内の方向にある。そのため、抽出部21cの機能により観光地の周遊地点のうち、出発地から比較的、短時間で到達可能な周遊地点を開始地点とする周遊地点間経路が抽出される。これにより、案内システム10は、より効率よく周遊を開始できる周遊地点間経路を案内できる。
【0033】
また、本実施形態では、案内システム10は、パターン生成部21aの機能により、巡回セールスマン問題を解くことで、周遊地点間経路を生成することで、より効率よく周遊可能な経路を案内できる。
【0034】
(2)案内処理:
図5は、案内システム10が実行する案内処理を示すフローチャートである。本実施ケ位置では、案内システム10は、パターン生成部21aの機能による処理を実行し、観光地毎の周遊地点間経路を記録媒体30に記録した後で、
図5の処理を開始する。
【0035】
S100において、制御部20は、受付部21bの機能により、利用者端末100から出発地と、観光地と、の指定を含む経路案内の要求を受け付ける。
S105において、制御部20は、抽出部21cの機能により、周遊地点間経路DB30aからS100で受付けられた観光地に対応する複数の周遊地点間経路を特定する。
【0036】
S110において、制御部20は、抽出部21cの機能により、複数の区画エリアのうち、S100で受付けられた出発地を含む区画エリアを特定する。そして、制御部20は、S105で特定された周遊地点間経路のうち、特定した区画エリアが対応づけられた少なくとも1つの周遊地点間経路を抽出する。
【0037】
S115において、制御部20は、案内部21dの機能により、S100で受け付けられた出発地から、S110で抽出された周遊地点間経路の開始地点までの経路を探索する。
S120において、制御部20は、案内部21dの機能により、S110で抽出された周遊地点間経路の終了地点から、S100で受け付けられた出発地までの経路を探索する。
S125において、制御部20は、案内部21dの機能により、S110で抽出された周遊地点間経路それぞれについて、周遊地点間経路とS115、及び、S120で探索された経路とを示す情報を利用者端末100に送信し、送信した情報の表示を指示する。
【0038】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、各種の態様を採用可能である。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されてもよい。例えば、案内システム10の機能が複数のサーバに分散されていてもよい。
【0039】
また、案内システム10の各機能(パターン生成部21a、受付部21b、抽出部21c、案内部21d)の少なくとも一部や、利用者端末100の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していてもよい。例えば、案内システム10は、パターン生成部21aを備えなくてもよい。その場合、例えば、パターン生成部21aの機能が外部の装置に実装され、案内システム10は、この外部の装置から、区画エリアと対応づけられた周遊地点間経路の情報を取得することとしてもよい。また、案内システム10は、区画エリアと対応づけられた周遊地点間経路の情報の入力を受付けることで、周遊地点間経路の情報を取得してもよい。案内システム10の記録媒体30は、予め、区画エリアと対応づけられた周遊地点間経路の情報を記録していることとしてもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。例えば、
図5の処理において、S115の処理とS120の処理との順番が入れ替わってもよい。
【0040】
また、案内システム10の受付部21b、抽出部21c、案内部21dの各機能が利用者端末100に実装されることとしてもよい。この場合、利用者端末100の制御部200が、利用者端末100の記録媒体に記録されたプログラムを実行することで、これらの機能を実現する。また、区画エリアに対応づけられた周遊地点間経路の情報は、予め、利用者端末の記録媒体に周遊地点間経路DBとして記録される。利用者端末100の制御部200のCPUの性能が低い場合、観光地における周遊地点間の経路の探索を行うと、探索の処理に時間がかかり、ユーザにとっての利便性が低下する可能性がある。このような場合であっても、利用者端末100は、受付部21b、抽出部21c、案内部21dの各機能によって、予め用意された周遊地点間経路から、観光地における周遊地点間の経路を抽出することで、探索の処理に時間をかけずに、より高速に周遊の経路を案内できる。
【0041】
上述の実施形態では、区画エリアは、行政区画に基づくエリアである。ただし、区画エリアは、他のエリアであってもよい。例えば、区画エリアは、観光地を基準に区分されたエリアであってもよい。例えば、区画エリアは、観光地において定められた地点(例えば、観光地基準地点等)を通る東西に延びる直線、及び、南北に延びる直線で区分された4つのエリアであってもよい。
【0042】
また、複数の区画エリアは、観光地における周遊地点の配置態様に基づいて区分されたエリアであってもよい。周遊地点の配置態様とは、周遊地点がどのように配置されているかを示し、例えば、観光地における周遊地点群の形状である。例えば、観光地における複数の周遊地点の凸包である多角形における重心(多角形の各頂点の平均位置)を始点として、この多角形の各辺の中心の方へ延びる直線を規定する。この直線により区分されるエリアを、複数の区画エリアとしてもよい。
【0043】
例えば、制御部20は、パターン生成部21aの機能により、観光地における複数の周遊地点の凸包をギフト包装法等の手法により求め、求めた凸包の重心を特定する。制御部20は、特定した重心を始点として凸包の各辺の中心へ延びる複数の直線により区分されるエリアを、区画エリアとして求める。制御部20は、周遊地点間経路を生成した場合、求めた区画エリアのうち、生成した周遊地点間経路における開始地点を含むエリアを特定し、周遊地点間経路を、特定したエリアに対応づける。
【0044】
図6に、観光地S2における周遊地点群の凸包と、この凸包に基づいて定められるエリアと、の例を示す。
図6における丸印は、観光地S2における周遊地点を示し、一点鎖線の三角形は観光地S2における周遊地点群の凸包を示す。また、破線は、凸包の中心Oを始点として、凸包の三角形の各辺の中心の方向へ延びる直線を示す。凸包の中心Oから、凸包の三角形の各辺の中心の方向へ延びる3つの直線により区分された3つのエリアD~Fが存在する。
図6の例では、この3つのエリアが、区画エリアとして用いられる。この場合、制御部20は、周遊地点間経路を、エリアD~Fのうち開始地点を含むエリアと対応付けて、周遊地点間経路DB30aに記録する。なお、制御部20は、周遊地点間経路の開始地点が区画エリアの境界上に存在する場合、この周遊地点間経路を、この境界を挟む複数のエリアのうちの一部のエリアと対応づけてもよいし、全てのエリアと対応づけてもよい。そして、制御部20は、出発地を受け付けた場合に、エリアD~Fのうちこの出発地を含むエリアに対応付けられた周遊地点間経路を抽出して案内する。
【0045】
また、制御部20は、観光地における複数の周遊地点の凸包の中心を特定し、特定した中心を始点として凸包の各頂点へ延びる複数の直線により区分されるエリアを、区画エリアとして求めてもよい。制御部20は、周遊地点間経路を生成した場合、求めた区画エリアのうち、生成した周遊地点間経路における開始地点を含むエリアを特定し、周遊地点間経路を、特定したエリアに対応づける。
【0046】
図7に、観光地S2における周遊地点群の凸包と、この凸包に基づいて定められるエリアと、の例を示す。
図7における丸印は、観光地S2における周遊地点を示し、一点鎖線の三角形は観光地S2における周遊地点群の凸包を示す。また、破線は、凸包の中心Oを始点として、凸包の三角形の各頂点の方向へ延びる直線を示す。凸包の中心Oから、凸包の三角形の各頂点の方向へ延びる3つの直線により区分された3つのエリアG~Iが存在する。
図7の例では、この3つのエリアが、規定のエリアとして用いられる。この場合、制御部20は、周遊地点間経路を、エリアG~Iのうち開始地点を含む区画エリアと対応付けて、周遊地点間経路DB30aに記録する。なお、制御部20は、周遊地点間経路の開始地点が区画エリアの境界上に存在する場合、この周遊地点間経路を、この境界を挟む複数のエリアのうちの一部のエリアと対応づけてもよいし、全てのエリアと対応づけてもよい。そして、制御部20は、出発地を受け付けた場合に、エリアG~Iのうちこの出発地を含む区画エリアに対応付けられた周遊地点間経路を抽出して案内する。
このように、より観光地の周遊地点の概形に応じて規定されたエリアを用いることで、案内システム10は、よりユーザが早く観光地に到達可能な周遊地点間経路を案内できる。
【0047】
また、上述の実施形態では、制御部20は、案内部21dの機能により、周遊地点間経路と、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路と、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路と、を案内する。ただし、制御部20は、案内部21dの機能により、周遊地点間経路と、出発地から周遊地点間経路の開始地点までの経路と、を案内し、周遊地点間経路の終了地点から出発地までの経路については案内しないとしてもよい。
【0048】
周遊地点間経路は、観光地における周遊地点間の経路を示す情報であればよい。また、周遊地点間経路は、観光地における周遊地点間の経路に加えて、他の情報を含んでいてもよい。例えば、周遊地点間経路は、経路それぞれにおける移動の所要時間、移動の所要料金等を示してもよい。
【0049】
本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、他の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…案内システム、20…制御部、21…案内プログラム、21a…パターン生成部、21b…受付部、21c…抽出部、21d…案内部、30…記録媒体、30a…周遊地点間経路DB、40…通信部、43…通信部、100…利用者端末、200…制御部、410…ユーザI/F部、430…通信部