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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128090
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/50 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B65B11/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026417
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】小山 明夫
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB05
3E051AB06
3E051AB09
3E051BA01
3E051BA12
3E051CA01
3E051CA10
3E051CB10
3E051EB01
3E051FB01
3E051HE05
(57)【要約】
【課題】被包装物を自着性包装材で簡単に連続包装できる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置1は、第1包装材Paが巻かれる第1ロール20と、第2包装材Pbが巻かれる第2ロール21と、被包装物Xを所定領域A内に置いて、被包装物を第1包装材及び第2包装材で包む作業に用いる包装台10と、第1包装材及び第2包装材を切断する切断機構30と、を備える。第1包装材は、所定領域内において、自着面Pa1が上側に向いた状態で、被包装物の下側に敷かれる。第2包装材は、所定領域内において、自着面Pb1が下側に向いた状態で、被包装物を上側から覆う。切断機構は、包装台を上側から押さえる押さえ部31と、押さえ部の下面32から突出する切断刃42と、を有する。切断刃は、押さえ部が包装台を押さえた状態において、所定領域の全周に臨んで、被包装物を包んだ状態で包装台に置かれた各包装材を、所定領域の全周に沿って切断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を帯状の包装材で包む包装装置であって、
片側の面が自着性を有する自着面である第1包装材が巻かれる第1ロールと、
片側の面が前記自着面である第2包装材が巻かれる第2ロールと、
前記被包装物を所定領域内に置いて、該被包装物を前記第1ロールから引き出される前記第1包装材及び前記第2ロールから引き出される前記第2包装材で包む作業に用いる包装台と、
前記第1包装材及び前記第2包装材を切断する切断機構と、
を備え、
前記第1ロールから引き出される前記第1包装材は、前記所定領域内において、前記自着面が上側に向いた状態で、前記被包装物の下側に敷かれるように構成されており、
前記第2ロールから引き出される前記第2包装材は、前記所定領域内において、前記自着面が下側に向いた状態で、前記被包装物を上側から覆うように構成されおり、
前記切断機構は、
前記包装台を上側から押さえる押さえ部と、
前記押さえ部における前記包装台に臨む面から突出する切断刃と、を有し、
前記切断刃は、前記押さえ部が前記包装台を押さえた状態において、前記所定領域の全周に臨んで、前記被包装物を包んだ状態で前記包装台に置かれた前記第1包装材及び前記第2包装材を、前記所定領域の全周に沿って切断するように構成されている、包装装置。
【請求項2】
被包装物を帯状の包装材で包む包装装置であって、
片側の面が自着性を有する自着面である包装材が巻かれるロールと、
前記被包装物を所定領域内に置いて、該被包装物を前記ロールから引き出される前記包装材で包む作業に用いる包装台と、
前記包装材を切断する切断機構と、
を備え、
前記ロールから引き出される前記包装材は、前記所定領域内において、前記自着面が上側に向いた状態で、前記被包装物の下側に敷かれて、折り返された後に、前記自着面が下側に向いた状態で、前記被包装物を上側から覆うように構成されており、
前記切断機構は、
前記包装台を上側から押さえる押さえ部と、
前記押さえ部における前記包装台に臨む面から突出する切断刃と、を有し、
前記切断刃は、前記押さえ部が前記包装台を押さえた状態において、前記所定領域の全周に臨んで、前記被包装物を包んだ状態で前記包装台に置かれた前記包装材を、前記所定領域の全周に沿って切断するように構成されている、包装装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装装置において、
前記切断刃は、前記押さえ部が前記包装台を押さえた状態において、前記所定領域の全周に沿って移動可能である、包装装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の包装装置において、
前記切断機構は、
前記切断刃を前記押さえ部における前記包装台に臨む面から反対側に引っ込むように付勢する付勢手段と、
前記押さえ部における前記包装台に臨む面とは反対側に配置され、前記切断刃に連結された把持部と、を有し、
前記切断刃は、前記把持部が前記付勢手段の付勢力に抗して上側から押さえられることによって、前記押さえ部における前記包装台に臨む面から突出するように構成されている、包装装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の包装装置において、
前記押さえ部における前記包装台に臨む面は、前記切断刃より内側に、凹部又は開口部を含み、
前記包装台は、前記所定領域内に、凹部又は開口部を含む、包装装置。
【請求項6】
請求項1に記載の包装装置において、
前記第1ロール及び前記第2ロールと前記所定領域との間に配置された第3ロールと、を備え、
前記第3ロールは、前記第1包装材を下側に通すとともに、前記第2包装材を上側に通すように構成されている、包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を帯状の包装材で包む包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を帯状の包装材で包む包装装置が知られている。例えば、特許文献1に開示の手動式包装機(包装装置)は、フィルム筒体(ロール)から引出される長尺帯フィルム(包装材)が、作業台に載置された被包装物を包んだ後に、カッター部で適当長さに切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-138010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、片側の面が自着性を有する自着面で構成された包装材(自着性包装材)が知られている。自着面は、特殊な接着剤が塗布されており、自着面同士は互いに接着するが、自着面以外には接着しないという性質を持つ。
【0005】
このような自着性包装材は、例えば、個人同士のプレゼント用の包装紙等に採用されており、正方形や長方形等の形状で販売されている。自着性包装材を2枚用意して、各自着性包装材の自着面同士を被包装物を挟んだ状態で互いに貼り合わせることによって、被包装物が包まれる。2枚の自着性包装材の代わりに、1枚の自着性包装材を折り返して使用してもよい。
【0006】
被包装物を自着性包装材で包んだ後に、鋏やカッターナイフ等を用いて、自着性包装材における被包装物が包まれた部分の周りを、全周に亘って切断する。これにより、一連の包装作業が完成して、所望の形状・サイズの包装済み品が得られる。
【0007】
しかしながら、例えば店舗等において多数の被包装物を連続的に包装する場合、上述の鋏やカッターナイフ等を用いた切断作業を、1つの被包装物を自着性包装材で包む度に行う必要があり、面倒である。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被包装物を自着性包装材によって簡単に連続包装することが可能な、包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る包装装置は、被包装物を帯状の包装材で包む包装装置であって、片側の面が自着性を有する自着面である第1包装材が巻かれる第1ロールと、片側の面が上記自着面である第2包装材が巻かれる第2ロールと、上記被包装物を所定領域内に置いて、上記被包装物を上記第1ロールから引き出される上記第1包装材及び上記第2ロールから引き出される上記第2包装材で包む作業に用いる包装台と、上記第1包装材及び上記第2包装材を切断する切断機構と、を備え、上記第1ロールから引き出される上記第1包装材は、上記所定領域内において、上記自着面が上側に向いた状態で、上記被包装物の下側に敷かれるように構成されており、上記第2ロールから引き出される上記第2包装材は、上記所定領域内において、上記自着面が下側に向いた状態で、上記被包装物を上側から覆うように構成されおり、上記切断機構は、上記包装台を上側から押さえる押さえ部と、上記押さえ部における上記包装台に臨む面から突出する切断刃と、を有し、上記切断刃は、上記押さえ部が上記包装台を押さえた状態において、上記所定領域の全周に臨んで、上記被包装物を包んだ状態で上記包装台に置かれた上記第1包装材及び上記第2包装材を、上記所定領域の全周に沿って切断するように構成されている。
【0010】
かかる構成によれば、片側の面に自着面を有する包装材(自着性包装材)として、第1ロールに巻かれた第1包装材と、第2ロールに巻かれた第2包装材とを用意する。第1ロールから引き出される第1包装材を、その自着面を上側に向けた状態で、被包装物の下側に敷くとともに、第2ロールから引き出される第2包装材を、その自着面を下側に向けた状態で、被包装物の上側に覆う。第1包装材及び第2包装材は、自着面同士の自着性によって、被包装物を上下から挟んだ状態で、互いに貼り合わされる。これにより、被包装物は、包装台の所定領域内において、第1包装材及び第2包装材に包まれる。
【0011】
そして、押さえ部で包装台を上側から押さえて、押さえ部における包装台に臨む面から突出する切断刃を、所定領域の全周に臨ませる。これにより、被包装物を包んだ状態で包装台に置かれた第1包装材及び第2包装材は、所定領域の全周に沿って切断される。1つの被包装物の包装作業が完了すると、第1包装材及び第2包装材を第1ロール及び第2ロールから引き出して、次の被包装物の包装作業に順次移行する。
【0012】
以上の通り、被包装物を、糊やテープ等を使用することなく、自着面の自着性によって、第1包装材及び第2包装材で簡単に包むことができる。また、被包装物を包んだ状態の第1包装材及び第2包装材を、鋏やカッターナイフ等を使用することなく、切断刃によって、所定領域の全周に沿って、すなわち所定領域に対応する所定形状・サイズに、簡単に切断することができる。また、第1包装材及び第2包装材が帯状なので、1つの被包装物の包装作業が完了次第、各包装材を各ロールから引き出すことにより、次の被包装物の包装作業に簡単に移行することができる。
【0013】
したがって、被包装物を自着性包装材によって簡単に連続包装することが可能な、包装装置を提供することができる。
【0014】
さらに、後述する1枚の包装材のみを使用する構成に比較して、包装材を途中で折り返す必要がない分、包装作業が簡単である。
【0015】
第2の発明に係る包装装置は、被包装物を帯状の包装材で包む包装装置であって、片側の面が自着性を有する自着面である包装材が巻かれるロールと、上記被包装物を所定領域内に置いて、上記被包装物を上記ロールから引き出される上記包装材で包む作業に用いる包装台と、上記包装材を切断する切断機構と、を備え、上記ロールから引き出される上記包装材は、上記所定領域内において、上記自着面が上側に向いた状態で、上記被包装物の下側に敷かれて、折り返された後に、上記自着面が下側に向いた状態で、上記被包装物を上側から覆うように構成されており、上記切断機構は、上記包装台を上側から押さえる押さえ部と、上記押さえ部における上記包装台に臨む面から突出する切断刃と、を有し、上記切断刃は、上記押さえ部が上記包装台を押さえた状態において、上記所定領域の全周に臨んで、上記被包装物を包んだ状態で上記包装台に置かれた上記包装材を、上記所定領域の全周に沿って切断するように構成されている。
【0016】
かかる構成によれば、1枚の包装材を途中で折り返すことによって、基本的に、上述した2枚の包装材を使用する構成と、同様の効果を得ることができる。また、上述した2枚の包装材を使用する構成に比較して、包装材を巻くためのロールの個数を、少なくすることができる。
【0017】
一実施形態では、上記切断刃は、上記押さえ部が上記包装台を押さえた状態において、上記所定領域の全周に沿って移動可能である。
【0018】
かかる構成によれば、たとえ切断刃が所定領域の全周に亘って設けられていない場合であっても、押さえ部で包装台を上側から押さえた後に、切断刃を所定領域の全周に沿って移動させることによって、切断刃を所定領域の全周に臨ませることができる。
【0019】
一実施形態では、上記切断機構は、上記切断刃を上記押さえ部における上記包装台に臨む面から反対側に引っ込むように付勢する付勢手段と、上記押さえ部における上記包装台に臨む面とは反対側に配置され、上記切断刃に連結された把持部と、を有し、上記切断刃は、上記把持部が上記付勢手段の付勢力に抗して上側から押さえられることによって、上記押さえ部における上記包装台に臨む面から突出するように構成されている。
【0020】
かかる構成によれば、切断刃は、把持部が上側から押さえられたとき以外、押さえ部における包装台に臨む面から突出しない。したがって、安全性の観点で有利である。
【0021】
一実施形態では、上記押さえ部における上記包装台に臨む面は、上記切断刃より内側に、凹部又は開口部を含み、上記包装台は、上記所定領域内に、凹部又は開口部を含む。
【0022】
かかる構成によれば、被包装物の上側を覆う包装材を、所定領域内において、押さえ部における凹部又は開口部によって上方に逃がすことができる。同様に、被包装物の下側に敷かれた包装材を、所定領域内において、包装台における凹部又は開口部によって下方に逃がすことができる。これにより、被包装物が一定の厚みを有する場合に、被包装物の上下各々に位置する包装材を、上下の凹部又は開口部において均等に逃がすことによって、被包装物を包装材で包んだときの仕上がり状態(包装済み品)を、厚み方向(上下方向)に均等にすることができる。
【0023】
一実施形態では、上記第1ロール及び上記第2ロールと上記所定領域との間に配置された第3ロールと、を備え、上記第3ロールは、上記第1包装材を下側に通すとともに、上記第2包装材を上側に通すように構成されている。
【0024】
かかる構成によれば、第1包装材の自着面と第2包装材の自着面とが、所定領域に至る前に互いに貼り合わされることを、抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被包装物を自着性包装材によって簡単に連続包装することが可能な、包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る包装装置を押さえ部が開いた状態で示す正面図である。
図2図2は、包装装置を押さえ部が閉じた状態で示す平面図である。
図3図3は、包装台の所定領域近傍を模式的に示す拡大正面図である。
図4図4は、ローラカッターの構造を模式的に示すIV-IV線における断面図である。
図5図5は、第2の実施形態に係る図1相当図である。
図6図6は、その他の実施形態に係る押さえ部の下面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0028】
(第1の実施形態の構成)
図1は、第1の実施形態に係る包装装置1の正面図である。図2は、包装装置1の平面図である。本明細書において、図1における上下方向を、上下方向又は厚み方向という。図2における左右方向を、前後方向又は長さ方向といい、左側を前側、右側を後側という。図2における上下方向を、左右方向又は幅方向という。
【0029】
包装装置1は、菓子折等の被包装物Xを帯状の包装材で連続的に包むものであり、例えば小売り店舗等に導入され得る。
【0030】
本実施形態では、包装材として、第1包装材Pa及び第2包装材Pbが用意される。各包装材Pa,Pbの幅寸法は、互いに等しい。
【0031】
各包装材Pa,Pbは、自着性包装材である。具体的には、第1包装材Paは、その片側の面Pa1が自着性を有する自着面で構成されている(以下、「自着面Pa1」という)。第2包装材Pbは、その片側の面Pb1が自着性を有する自着面で構成されている(以下、「自着面Pb1」という)。
【0032】
自着面は、自着性を有する特殊な接着剤が塗布されており、自着面同士は互いに接着するが、自着面以外には接着しないという性質を持つ。
【0033】
このような自着性を有する接着剤の材料として、例えば、天然ゴムラテックスとスチレン・アクリロニトリル共重合体水性エマルジョンとを含むものや、天然ゴムとスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とを含むエラストマー等を用いることができ、具体的には、サイデン化学株式会社のサイビノール加圧接着剤E(商品名)等を用いることができる。
【0034】
図1に示すように、包装装置1は、架台2と、ブラケット3と、包装台10と、第1ロール20と、第2ロール21と、通過ロール22,23と、第3ロール24と、切断機構30と、を備える。
【0035】
架台2は、前後左右に延びる枠状の上梁2aと、上梁2aの下側において同様に前後左右に延びる枠状の下梁2bと、上梁2a及び下梁2bの四隅同士を連結する4つの縦梁2cと、下梁2bの四隅の下部に設けられた4つの高さ調整用レベラー2dと、有する。
【0036】
2つの後側の縦梁2cのうちの一方には、正面視で略L字状のブラケット3が取り付けられている。
【0037】
上梁2aの上部には、四角板状の包装台10が載置されている。包装台10は、包装作業に用いられる樹脂製の台である。包装台10は、ユーザの手によって、その所定領域A内に被包装物Xが置かれる。包装台10は、被包装物Xを第1包装材Pa及び第2包装材Pbで包む作業に用いられる。
【0038】
図2に示すように、所定領域Aは、包装台10の略中央部に位置する正方形状の領域である。所定領域Aの形状・サイズは、一連の包装作業が完了した後における包装済み品の形状・サイズに対応する。所定領域Aの幅寸法は、各包装材Pa,Pbの幅寸法よりも小さい。
【0039】
図3は、包装台10の所定領域A近傍を模式的示す。包装台10の所定領域A内には、凹部11が設けられている。詳細には、被包装物Xは、凹部11に載置される。凹部11の底には、被包装物Xを保護するためのスポンジ12が敷かれている。
【0040】
図1に示すように、ブラケット3の下端部には、第1ロール20が配置されている。ブラケット3の上端部には、第2ロール21が配置されている。第1ロール20には、第1包装材Paが巻かれている。第2ロール21には、第2包装材Pbが巻かれている。第1包装材Pa及び第2包装材Pbは、それらの自着面Pa1,Pb1同士が互いに向き合うように、互いに逆方向に、第1ロール20及び第2ロール21に巻かれている。
【0041】
第1包装材Paを手で引っ張ることによって、第1包装材Paは、第1ロール20から引き出される。第2包装材Pbを手で引っ張ることによって、第2包装材Pbは、第2ロール21から引き出される。ここで、第1ロール20及び第2ロール21はともに、包装台10(所定領域A)よりも後側に配置されている。第1包装材Pa及び第2包装材Pbは、第1ロール20及び第2ロール21から包装台10(所定領域A)に向けて、前方に引き出される。
【0042】
ブラケット3における上下方向中間部、すなわち第1ロール20と第2ロール21との間には、上下方向に並んだ2つの通過ロール22,23が配置されている。下側の通過ロール22は、第1ロール20から引き出される第1包装材Paを前側に通す。上側の通過ロール23は、第2ロール21から引き出される第2包装材Pbを前側に通す。
【0043】
第3ロール24は、前後方向において、第1ロール20及び第2ロール21と包装台10の所定領域Aとの間に配置されている。第3ロール24は、第1包装材Paを下側に通すとともに、第2包装材Pbを上側に通す。第3ロール24は、包装台10の後端部に、ブラケットを介して取り付けられている。
【0044】
図3に示すように、第1ロール20から引き出される第1包装材Paは、所定領域A内において、自着面Pa1が上側に向いた状態で、被包装物Xの下側に敷かれる。一方、第2ロール21から引き出される第2包装材Pbは、所定領域A内において、自着面Pb1が下側に向いた状態で、被包装物Xを上側から覆う。
【0045】
切断機構30は、第1包装材Pa及び第2包装材Pbを切断するものである。以下、切断機構30の具体的構成について説明する。図1,2に示すように、切断機構30は、押さえ部31と、4つの移動式ローラカッター40と、を有する。
【0046】
押さえ部31は、四角板状に形成されており、包装台10を上側から押さえる。図1は、押さえ部31が開いた状態を示す。図2は、押さえ部31が閉じた状態を示す。
【0047】
図1に示すように、押さえ部31における包装台10に臨む面32(以下、「下面32」という)には、その中央部に正方形状の開口部33が設けられている。具体的には、開口部33は、押さえ部31を貫通する貫通孔である。図2に示すように、押さえ部31が閉じた状態、すなわち、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、開口部33の周縁部33aは、所定領域Aの外周を全周に亘って沿うようになっている。
【0048】
押さえ部31の下面32とは反対側の面34(以下「上面34」という)には、開口部33の周縁部33aを全周に亘って沿うように、具体的には、開口部33の周縁部33aにおける4つの辺各々に沿うように、4つのガイドレール35が設けられている。
【0049】
図2に示すように、ローラカッター40は、ガイドレール35に案内されて、開口部33の周縁部33aにおける各辺に沿って、移動可能である。すなわち、4つのローラカッター40は、全体として、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、所定領域Aの全周に沿って移動可能である(図2の二点鎖線参照)。
【0050】
ローラカッター40を所定領域Aから逃がすために、押さえ部31には、開口部33(所定領域A)の四隅より外側に、周縁部33aにおける各辺に連続する切り欠き33bが設けられている。ガイドレール35は、切り欠き33bにも沿うように、設けられている。
【0051】
なお、図2における符号38は、押さえ部31を開閉させるヒンジである。符号39は、押さえ部31を開閉するときにユーザが把持する把手である。
【0052】
図4は、ローラカッター40の構造を模式的に示しており、図2のIV-IV線における断面を示す。図4に示すように、ローラカッター40は、把持部41と、切断刃42と、付勢手段としてのバネ43と、を有する。
【0053】
把持部41は、押さえ部31の下面32とは反対側(上面34側)に配置されている。把持部41は、支持部41aと、本体部41bと、を有する。支持部41aは、ガイドレール35の上をスライドする。本体部41bは、支持部41aの上側及び外側を覆うように配置されており、バネ43を介して、支持部41aに連結されている。
【0054】
切断刃42は、把持部41の本体部41bに、連結されている。具体的には、切断刃42は、把持部41の本体部41bに固定されており、本体部41bの下面から下方に突出して、本体部41bと一体的に移動する。切断刃42は、開口部33の周縁部33aよりやや内側に配置されており、開口部33を介して、包装台10における所定領域Aの外周に臨んでいる。換言すると、押さえ部31の下面32は、切断刃42より内側(図4における左側)から切断刃42よりやや外側(図4における右側)に、開口部33を含む。切断刃42は、円形状に形成されており、把持部41に対して回転可能である。
【0055】
バネ43は、把持部41の本体部41bを上方向に付勢することによって、本体部41bに連結された切断刃42を、押さえ部31の下面32から反対側(上側)に引っ込むように付勢する。切断刃42は、把持部41の本体部41bがバネ43の付勢力に抗して上側から押さえられることによって、押さえ部31の下面32から突出する(図4の二点鎖線参照)。
【0056】
切断刃42は、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、把持部41をガイドレール35に沿って移動させることによって、開口部33の周縁部33aにおける各辺に沿って移動可能である。すなわち、4つの切断刃42は、全体として、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、所定領域Aの全周に沿って移動可能である(図1の二点鎖線参照)。
【0057】
図2に示すように、包装台2における押さえ部31に押さえられる部分よりも後側(第1ロール20及び第2ロール21側)には、幅方向に延びるガイドレール37が設けられている(図1において図示省略)。詳細には、ガイドレール37は、第3ロール24よりも前側に配置されている。ガイドレール37は、包装台2の幅方向両端部に設けられたブラケット(図示せず)によって、支持されている。図示しないが、ガイドレール37の下面と包装台2との間には、各包装材Pa,Pbが通過できる程度の隙間が設けられている。
【0058】
ガイドレール37の幅寸法は、所定領域A(開口部33)の幅寸法よりも大きく、さらに各包装材Pa,Pbの幅寸法よりも大きい。
【0059】
図2に示すように、ガイドレール37には、ローラカッター50(図1において二点鎖線で図示)が案内されている。ローラカッター50は、第3ロール24を上側から覆うように配置されており、ガイドレール37に沿って、幅方向に移動可能である(図2の二点鎖線参照)。
【0060】
ローラカッター50は、把持部51と、切断刃(図示せず)と、付勢手段としてのバネ(図示せず)を、有する。ローラカッター50の構造は、ローラカッター40と同様であるため、詳細な説明を省略する。切断刃は、把持部51をガイドレール37に沿って移動させることによって、幅方向に移動可能である。
【0061】
次に、包装装置1を用いて、被包装物Xを第1包装材Pa及び第2包装材Pbで連続包装する方法について説明する。
【0062】
先ず、図2,3に示すように、被包装物Xを、包装台10における所定領域A内の凹部11に載置する。
【0063】
次に、図3に示すように、第1包装材Paを第1ロール20から引き出して、第3ロール24の下側に通す。一方、第2包装材Pbを第2ロール21から引き出して、第3ロール24の上側に通す。
【0064】
次に、図3に示すように、第1包装材Paを、所定領域A内において、自着面Pa1を上側に向けた状態で、被包装物Xの下側に敷く。一方、第2包装材Pbを、所定領域A内において、自着面Pb1を下側に向けた状態で、被包装物Xの上側に覆う。
【0065】
これにより、図3に示すように、第1包装材Pa及び第2包装材Pbは、自着面Pa1,Pb1同士の自着性によって、被包装物Xを上下から挟んだ状態で、互いに貼り合わされる(C点参照)。そして、被包装物Xは、包装台10の所定領域A内において、第1包装材Pa及び第2包装材Pbに包まれる。
【0066】
次に、図2に示すように、押さえ部31で包装台10を上側から押さえて、押さえ部31の下面32から突出する切断刃42(図1参照)を、所定領域Aの全周に臨ませる。具体的には、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、4つのローラカッター40各々の把持部41を、上側から押さえながら、各ガイドレール35に沿って、すなわち開口部33の周縁部33aにおける各辺に沿って移動させる。
【0067】
これにより、4つの切断刃42は、全体として、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、所定領域Aの全周に沿って移動する。すなわち、4つの切断刃42は、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、所定領域Aの全周に臨むようになる。したがって、被包装物Xを包んだ状態で包装台10に置かれた第1包装材Pa及び第2包装材Pbは、所定領域Aの全周に沿って切断される。
【0068】
次に、所定領域Aの後側、より詳細には、第3ロール24の上側において、包装材Pbを、ローラカッター50によって幅方向に切断する。具体的には、ローラカッター50の把持部51を、上側から押さえながら(切断刃を突出させながら)、ガイドレール37に沿って、幅方向に移動させる。これにより、包装材Pbは、ローラカッター50(ガイドレール37)を境に、長さ方向において前後に分離される。
【0069】
次に、押さえ部31を開いて、各包装材Pa,Pbにおける切断刃42によって切断された不要な部分を、除去する。これにより、1つの被包装物Xの包装作業が完了する。
【0070】
1つの被包装物Xの包装作業が完了すると、第1包装材Pa及び第2包装材Pbを第1ロール20及び第2ロール21から再度引き出して、次の被包装物Xの包装作業に順次移行する。
【0071】
(第1の実施形態の効果)
以上、第1の実施形態によれば、被包装物Xを、糊やテープ等を使用することなく、自着面Pa1,Pb1の自着性によって、第1包装材Pa及び第2包装材Pbで簡単に包むことができる。また、被包装物Xを包んだ状態の第1包装材Pa及び第2包装材Pbを、鋏やカッターナイフ等を使用することなく、切断刃42によって、所定領域Aの全周に沿って、すなわち所定領域Aに対応する所定形状・サイズに、簡単に切断することができる。また、第1包装材Pa及び第2包装材Pbが帯状なので、1つの被包装物Xの包装作業が完了次第、各包装材Pa,Pbを各ロール20,21から引き出すことにより、次の被包装物Xの包装作業に簡単に移行することができる。
【0072】
したがって、被包装物Xを自着性包装材Pa,Pbによって簡単に連続包装することが可能な、包装装置1を提供することができる。
【0073】
さらに、後述する1枚の包装材のみを使用する構成(第2の実施形態)に比較して、包装材を途中で折り返す必要がない分、包装作業が簡単である。また、後述する1枚の包装材のみを使用する構成(第2の実施形態)に比較して、折り返し用ロールピン26(図5参照)まで包装材を引き出す必要がないので、切断刃42によって除去される包装材の不要部分を極力少なくすることができる。
【0074】
たとえ切断刃42が所定領域Aの全周に亘って設けられていない場合であっても(全周刃でない場合であっても)、押さえ部31で包装台10を上側から押さえた後に、切断刃42を所定領域Aの全周に沿って移動させることによって、切断刃42を所定領域Aの全周に臨ませることができる。
【0075】
切断刃42は、把持部41が上側から押さえられたとき以外、押さえ部31の下面32から突出しない。したがって、安全性の観点で有利である。
【0076】
図3に示すように、被包装物Xの上側を覆う第2包装材Pbを、所定領域A内において、押さえ部31における開口部33によって上方に逃がすことができる。同様に、被包装物Xの下側に敷かれた第1包装材Paを、所定領域A内において、包装台10における凹部11によって下方に逃がすことができる。これにより、被包装物Xが一定の厚みを有する場合に、被包装物Xの上下各々に位置する包装材Pa,Pbを、上下の開口部33及び凹部11において均等に逃がすことによって、被包装物Xを包装材Pa,Pbで包んだときの仕上がり状態(包装済み品)を、厚み方向(上下方向)に均等にすることができる。
【0077】
第1包装材Paの自着面Pa1と第2包装材Pbの自着面Pb1とが、所定領域Aに至る前に互いに貼り合わされることを、抑制することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る図1相当図である。以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2の実施形態に係る包装装置1は、被包装物Xを帯状の包装材Pcのみで包む。包装材Pcは、片側の面Pc1が自着性を有する自着面である(以下、「自着面Pc1」という)。包装装置1は、ブラケット3と、包装台10と、ロール25と、折り返し用ロールピン26と、切断機構30と、を備える。ロール25には、包装材Pcが巻かれる。包装台10は、その所定領域A内に被包装物Xが置かれる。包装台10は、被包装物Xをロール25から引き出される包装材Pcで包む作業に用いられる。切断機構30は、包装材Pcを切断するものである。
【0079】
ロール25から引き出される包装材Pcは、所定領域A内において、自着面Pc1が上側に向いた状態で、被包装物Xの下側に敷かれる。包装材Pcは、所定領域Aよりも前側に配置された折り返し用ロールピン26において、折り返される。包装材Pcは、折り返され後に、所定領域A内において、自着面Pc1が下側に向いた状態で、被包装物Xを上側から覆う。
【0080】
切断機構30は、包装台10を上側から押さえる押さえ部31と、押さえ部31における包装台10に臨む面(下面)32から突出する切断刃42と、を有する。切断刃42は、押さえ部31が包装台10を押さえた状態において、所定領域Aの全周に臨んで、被包装物Xを包んだ状態で包装台10に置かれた包装材Pcを、所定領域Aの全周に沿って切断する。
【0081】
図5に示すように、折り返し用ロールピン26は、包装台10の前端部に、ブラケットを介して着脱可能に取り付けられている。
【0082】
第2の実施形態によれば、1枚の包装材を途中で折り返すことによって、基本的に、上述した2枚の包装材を使用する構成(第1の実施形態)と、同様の効果を得ることができる。また、上述した2枚の包装材を使用する構成(第1の実施形態)に比較して、包装材を巻くためのロールの個数を、少なくすることができる(2個→1個)。
【0083】
第1の実施形態のように、2つのロール(第1ロール20及び第2ロール21)を上下に並べる必要がないので、第1の実施形態に比較して、包装装置1全体の高さ寸法を、小さくすることができる。包装装置1全体の高さ寸法が小さくなるので、架台2において、下梁2b及び縦梁2c(図1参照)を無くして、上梁2aの四隅の下部にレベラー2dを直接設けてもよい。
【0084】
(その他の実施形態)
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0085】
上記実施形態では、切断刃42は、所定領域Aの全周に沿って移動する移動式ローラカッター40に含まれていたが、これに限定されない。図6は、その他の実施形態に係る押さえ部31の下面32を示す。この実施形態によれば、押さえ部31の下面32には、開口部33の周縁部の全周に沿って、すなわち所定領域Aの全周に亘って、切断刃(全周刃)42が直接固定されている(図6のドット部参照)。
【0086】
押さえ部31の下面32は、切断刃42より内側に、開口部33ではなく、凹部を含んでもよい。
【0087】
包装台10は、所定領域A内に、凹部11ではなく、貫通孔からなる開口部を含んでもよい。この場合、被包装物Xは、下側に敷かれる第1包装材Pa(包装材Pc)を介して、包装台Xの所定領域A内に置かれる。
【0088】
所定領域Aの形状は、正方形状に限定されず、例えば、三角形等の多角形状、円形状、等、その他の任意の形状に、適宜設定してもよい。所定領域Aの全周に臨むように、切断刃42が押さえ部31の下面32から突出するようにすればよい。
【0089】
切断機構30を、所定領域Aの形状・サイズに応じて交換可能な、交換式にしてもよい。
【0090】
例えば、第1ロール20を包装台10の後側に配置するとともに、第2ロール21を包装台10の左右一方側に配置して、第1包装材Paを第1ロール20から包装台10の所定領域Aに向けて前方に引き出すとともに、第2包装材Pbを第2ロール21から包装台10の所定領域Aに向けて左右他方に引き出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
X 被包装物
A 所定領域
Pa 第1包装材
Pa1 自着面
Pb 第2包装材
Pb1 自着面
Pc 包装材
Pc1 自着面
C 接着点
1 包装装置
10 包装台
11 凹部
20 第1ロール
21 第2ロール
24 第3ロール
25 ロール
26 折り返し用ロールピン
30 切断機構
31 押さえ部
32 下面(押さえ部における包装台に臨む面)
33 開口部
33a 周縁部
40 ローラカッター
41 把持部
42 切断刃
43 バネ(付勢手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6