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  • 特開-シェルター扉 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128109
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】シェルター扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/16 20060101AFI20220825BHJP
   E05F 15/619 20150101ALI20220825BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20220825BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20220825BHJP
   E06B 5/18 20060101ALN20220825BHJP
   E06B 5/16 20060101ALN20220825BHJP
【FI】
E06B7/16 C
E05F15/619
E05C3/04 G
E04H9/14 B
E04H9/14 E
E04H9/14 K
E04H9/14 Z
E06B5/18
E06B5/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026454
(22)【出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2E036
2E052
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036BA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036HB14
2E036HC07
2E052AA10
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA02
2E052KA04
2E139AA01
2E139AA07
2E139AA15
2E139AA23
2E139AA25
2E139AA30
2E139AB22
2E239CA06
2E239CA12
2E239CA32
2E239CA35
2E239CA42
2E239CA66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】円滑に閉鎖できて、閉鎖と同時に高い密閉性が自動的に確保できるとともに、構造が簡単で不具合が生じ難いシェルター扉を提供する。
【解決手段】シェルター扉1は、扉70、開閉機構3、およびラチェット機構4等を有している。扉70は蝶番71を中心に回動する内開きの開き戸である。開閉機構3は駆動装置50によって動作する。扉70は、開閉機構3の動作によって回動し、開口部120を開放・閉鎖する。開閉機構3の動作に伴って、ロックバー35は回動し、扉70が開口部120を閉鎖するとき、ロックバー35は、回動抑止装置21に圧縮力が付勢された状態で密着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルター筐体に設けられた開口部を開閉する内開きの開き戸である扉と、
前記扉を回動させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、前記シェルター筐体に固定された円弧形状のガイド装置と、前記扉に回動可能に支持されて、前記ガイド装置に内接した状態で第1方向、および前記第1方向と逆の方向である第2方向に回動する回動装置と、前記回動装置を駆動する駆動装置と、前記回動装置に固定されるとともに同期して回動するロックバーと、前記シェルターに固定される回動抑止装置とを有し、
前記回動装置が前記第1方向に回動するとき、前記扉は前記開口部を閉鎖する方向に回動し、前記回動装置が前記第2方向に回動するとき、前記扉は前記開口部を開放する方向に回動し、前記扉が前記開口部を閉鎖するとき、前記ロックバーは、前記回動抑止装置に圧縮力が付勢される状態で密接して前記回動装置の前記第1方向の回動が抑止されるとともに、前記扉は前記シェルター筐体に圧縮力が付勢される状態で密接することを特徴とするシェルター扉。
【請求項2】
前記ガイド装置は、内周部に内周歯が設けられ、前記回動装置は、外周部に前記内周歯に噛合する外周歯が設けられることを特徴とする請求項1に記載のシェルター扉。
【請求項3】
前記シェルター筐体に回動可能に固定される係合爪を有するラチェット機構を備え、
前記扉が前記開口部を閉鎖したとき、前記係合爪と前記外周歯は係合して、前記回動装置の前記第2方向の回動が抑制されることを特徴とする請求項2に記載のシェルター扉。
【請求項4】
前記ラチェット機構は、前記係合爪と前記外周歯の係合を解放するための手動操作できるハンドルを有することを特徴とする請求項3に記載のシェルター扉。
【請求項5】
前記扉は、前記ロックバーが回動したときの接触を回避するための溝が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシェルター扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部の閉鎖と同時に、自動的に封止状態となるシェルター扉に関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災では、津波、長時間続く火災が発生し、多くの尊い人命が失われた。また、近年は国際情勢も緊迫しており、海外での核兵器や、生物、化学兵器の開発による緊張状態が続いており、核兵器等を使用した軍事攻撃の脅威が高まっている。このような状況に鑑みると、地震、火災、津波、放射能被爆等の不測の事態が発生した場合、自身の生命を守るために、安全に避難できるシェルターが求められる。シェルターに取り付ける扉については、所定の強度を具備するとともに、水没による浸水を防止するため、有害物質を含んだ気体の侵入を防止するため、さらには、放射性物質の侵入を防止するために、高い気密性を確保する必要がある。
【0003】
特許文献1の発明によれば、利用者がハンドルレバーなどを操作しなくても防災扉を高気密で閉鎖できる防火扉が開示されている。具体的には、扉本体20が閉鎖方向へ回動する際には、ロッド40が、トリガー装置60によって保持状態が解除されるとともに、グレモン錠70によって上方への移動を許容される。すると、ロッド40の先端部40aが圧縮コイルバネ42の付勢力によって受け具50の内部へテーパ面40cおよび当接面40eに案内されながら挿入される。この際、蝶番15,15を中心にして回動させた扉本体20がシール材16を圧接しながら開口部10を閉鎖し、防災扉1に求められる防火性能などの防災性能や防音性能が実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-303689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で開示されている防災扉は、構造が複雑であり、例えば、何らかの原因でトリガー装置に不具合が生じた場合、扉を円滑に閉鎖することはできない。また、ロッドの先端部が、圧縮コイルバネの付勢力によって受け具の内部へテーパ面および当接面に案内されながら挿入される構成となっていることから、扉を密閉する力には、自ずと限界がある。密閉する力を高めるためには、バネ乗数の高い圧縮コイルを用いる必要があり、扉を閉鎖するときに、バネ乗数の高い圧縮コイルを圧縮するステップを踏む必要があるからである。
【0006】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、円滑に閉鎖できて、閉鎖と同時に高い密閉性が自動的に確保できるとともに、構造が簡単で不具合が生じ難いシェルター扉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、シェルター扉であって、シェルター筐体に設けられた開口部を開閉する内開きの開き戸である扉と、扉を回動させる開閉機構を備え、開閉機構は、シェルター筐体に固定された円弧形状のガイド装置と、扉に回動可能に支持されて、ガイド装置に内接した状態で第1方向、および第1方向と逆の方向である第2方向に回動する回動装置と、回動装置を駆動する駆動装置と、回動装置に固定されるとともに同期して回動するロックバーと、シェルターに固定される回動抑止装置を有し、回動装置が第1方向に回動するとき、扉は開口部を閉鎖する方向に回動し、回動装置が第2方向に回動するとき、扉は開口部を開放する方向に回動し、扉が開口部を閉鎖するとき、ロックバーは、回動抑止装置と圧縮力が付勢される状態で密接して回動装置の第1方向の回動が抑止されるとともに、扉はシェルター筐体に圧縮力が付勢される状態で密接することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、扉が開口部を閉鎖するとき、ロックバーは、回動抑止装置と圧接した状態となってロックバーの第1方向の回動が抑止されるとともに、扉はシェルター筐体に圧縮力が付勢される状態で密接するので、扉が開口部を閉鎖すると同時に、高い密閉性が自動的に確保できる。
また、この構成によれば、扉は、ガイド装置と回動装置、およびロックバーと回動抑止装置の両方で二重に閉鎖されているので、開放しようとする外力が扉に作用したとき、仮に、回動装置とガイド装置との接触部が滑ろうとしても、ロックバーが回動抑止装置に圧縮力が付勢される状態で密接しているので扉が開放されることはない。
【0009】
好ましくは、ガイド装置は、内周部に内周歯が設けられ、回動装置は、外周部に内周歯に噛合する外周歯が設けられることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ガイド装置は、内周部に内周歯が設けられ、回動装置は、外周部に内周歯に噛合する外周歯が設けられるので、ガイド装置と回動装置の接触部が滑ることはない。
【0011】
好ましくは、シェルター筐体に回動可能に固定される係合爪を有するラチェット機構を備え、扉が開口部を閉鎖したとき、係合爪と外周歯は係合して、回動装置の第2方向の回動が抑制されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、扉が開口部を閉鎖したとき、係合爪と外周歯は係合して、回動装置の第2方向の回動が抑制されるので、駆動装置の動作を停止した状態でも、ガイド装置と回動装置は協働して扉の閉鎖状態を保つ。
【0013】
好ましくは、ラチェット機構は、係合爪と外周歯の係合を解放するための手動操作できるハンドルを有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、係合爪と外周歯の係合の解放は、手動操作できるハンドルで実行するので、電磁的な手段に比べて故障が少なく、開放動作の信頼性を高め得る。
【0015】
好ましくは、扉は、ロックバーが回動したときの接触を回避するための溝が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、扉は、ロックバーが回動したときの接触を回避するための溝が設けられているので、扉と回動装置の離隔距離を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】内部側から視たシェルター扉の正面図である。
図2】(a)は、シェルター扉が開口部を閉鎖するときの平面断面図であり、(b)は、シェルター扉が回動抑止装置の近傍を通過するときの平面断面図である。
図3】ラチェット機構を説明する平面図である。
図4】シェルター扉の変形例を説明する内部側から視た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1~3を参照して本発明の実施形態を詳述する。
【0019】
図1に示す通り、シェルター筐体100は、内部が避難空間となる略立方体の筐体であり、床160、天井150、および床160と天井150に接続して四方を取り囲む側壁170を有している。側壁170には開口部120が設けられている。側壁170に設けられた開口部120によって、シェルター筐体100の内部と外部を往来することができる。開口部120は、シェルター扉1によって開閉される。
【0020】
シェルター扉1は、扉70、開閉機構3、およびラチェット機構4等を有している。扉70は蝶番71を中心に回動する内開きの開き戸であり、開閉機構3の動作によって回動し、開口部120を開放・閉鎖する。開閉機構3の動作に伴って、ロックバー35は回動し、扉70が開口部120を閉鎖するとき、ロックバー35は、回動抑止装置21に圧縮力が付勢された状態で密着する。
【0021】
ラチェット機構4は、回動装置30の第2方向DR2(図3参照)の回動を抑止するための装置である。
【0022】
開閉機構3は、ガイド装置20、回動装置30、および駆動装置50を有している。ガイド装置20は、天井150に固定されている円弧形状の部材であり、内周側に内周歯23が設けられている。すなわち内歯車の一種に相当する部材であり、また、円弧の中心は、扉70の回動中心軸70a(図2参照)に一致するように配設されている。
【0023】
回動装置30は、ロッド31、歯車32を有している。ロッド31は、断面が円形の棒部材であり、扉70の側端縁101が延びる方向に沿って延びている。また、軸支部材12を介して扉70に回動可能に支持されている。ロッド31の上端は天井150に設けられた円弧形状のガイド溝151に挿入されている。ガイド溝151の円弧の中心は、扉70の回動中心軸70aに一致する。またガイド溝151の幅はロッド31の直径より若干大きく設定されている。これにより、扉70が回動するとき、ロッド31の上端はガイド溝151に沿って円滑に移動できる。
【0024】
歯車32は、ロッド31の上端部に固定されており、外周部に外周歯33が設けられている。歯車32に設けられた外周歯33と、ガイド装置20に設けられた内周歯23は噛合している。
【0025】
軸支部材12は、扉70の上端部、およびロックバー35を挟み込む位置に配置されて扉70に固定されている。これにより、ロッド31の円滑な回動が確保できる。また、ロックバー35が回動抑止装置21に圧縮力が付勢された状態で密着したときのロッド31の変形を抑制できる。
【0026】
3本のロックバー35は、ロッド31が伸びる方向に直交する方向に延びており、ロッド31に固定されている。これによりロックバー35は、ロッド31の回動に同期して回動する。ロックバー35の固定位置は、扉70の上端部、中間部、下端部に対応する位置となっている。扉70が開口部120を閉鎖するとき、ロックバー35と側壁170に固定される回動抑止装置21は圧縮力が付勢された状態で密着する。
【0027】
本実施形態は、3個のロックバー35と3個の回動抑止装置21を有しているが、これらは、3個以下でもよいし、3個よりも多くてもよい。
【0028】
回動装置30は、駆動装置50が動作することで回動する。駆動装置50は、バッテリーで駆動するモーター51と回動変換部55を有している。モーター51と回動変換部55は、扉70に固定されている。回動変換部55は、モーター51に固定された傘歯車(図示略)と、ロッド31の下端部に固定された傘歯車(図示略)を有しており、これらの傘歯車同士は噛合している。これにより、モーター51の回動は、回動変換部55を経由してロッド31の中心軸廻りの回動に変換される。
【0029】
図2(a)、(b)に示す通り、扉70は、蝶番71を介して側壁170にヒンジ接合されている。これにより、扉70は、回動中心軸70a廻りに回動して、開口部120を閉鎖・開放する。
【0030】
扉70は、略直方体の部材であり、中空構造の外殻72に充填材73が充填されている。外殻72は、鋼製である。充填材73の素材としては、コンクリート、水、砂、あるいはこれらを複合的に用いたものであることが好ましい。コンクリートが充填されることで扉70の強度を高めることができるとともに、放射能を遮蔽できる。また、水を充填することで火災のときの温度上昇を抑制できるとともに、放射能を遮蔽できる。また、砂を充填することで扉70の耐火性能を向上できる。
【0031】
扉70は、側壁170に対向する面にパッキン75が環状に設けられている。パッキン75は、側壁170と扉70に生じる隙間を封止するためのものである。さらに、ロックバー35が回動したとき、ロックバー35との接触を回避するための溝74が設けられている。これにより、扉70とロッド31の離隔距離を小さく設定できる。
【0032】
図3に示す通り、ラチェット機構4は係合爪41、カム42、バネ43、およびハンドル44を有している。
【0033】
係合爪41は支点41a廻りに回動できる状態で、また、カム42は支点42a廻りに回動できる状態で、それぞれ天井150に支持されている。また、バネ43は天井150に固定され、係合爪41が時計回りに回動する方向の力を付勢している。ハンドル44は側壁170に固定されている。ハンドル44の回動に同期してカム42は回動する構造となっている。具体的には、図3において、ハンドル44を時計回りに回動すると、カム42も時計回りに回動し、ハンドル44を反時計回りに回動するとカム42も反時計回りに回動する。ハンドル44は所定範囲の回動のみが許容されるように設定されている。具体的にはカム42が実線に位置する状態から点線に位置する状態に至るまでの回動が許容されている。
【0034】
歯車32の第2方向DR2の回動が抑制され、またその抑制が開放されるメカニズムについて説明する。
【0035】
扉70が開放されているとき、係合爪41は、バネ43で付勢された状態で、カム42の突起部42bでない部分で支持されている。すなわち図3における実線の状態で、静止位置が保たれている。この状態で扉70が開口部120を閉鎖する方向に回動すると、係合爪41が外周歯33に係合する。これにより歯車32の第2方向DR2の回動が拘束される。その結果、扉70の開口部120を開く方向の回動が拘束される。
【0036】
ハンドル44を反時計廻りに回動することで、カム42は反時計回りに回動する。これにより、バネ43の付勢力によって係合爪41は反時計回りに回動する。突起部42bと係合爪41が接触することで、係合爪41が反時計回りに回動する。これにより、係合爪41と外周歯33の係合は解かれる。その結果、扉70は、双方向に自由に回動できる。
【0037】
本実施形態では、ハンドル44は手動により回動することを前提としているが、手が不自由な方々や、手の力の弱い方々、例えば高齢者の方々の避難を考慮して、電動で回動できるようにしてもよい。また、車椅子で避難する方々が回動しやすい位置にハンドル44を配置することが好ましい。
【0038】
ロックバー35、回動抑止装置21によって、扉70がロックされるメカニズムについて図2(a)、(b)を参照して説明する。
【0039】
扉70は、回動装置30の回動に伴って回動する。回動装置30が第1方向DR1に回動するとき、ロックバー35も同様に溝74を通過しながら第1方向DR1に回動し、扉70は開口部120を閉鎖する方向に回動する。回動装置30が第2方向DR2に回動するとき、ロックバー35も同様に溝74を通過しながら第2方向DR2に回動し、扉70は開口部120を解放する方向に回動する。
【0040】
側端部78が、回動抑止装置21の近傍を通過しながら、開口部120を閉鎖する方向に回動するとき、ロックバー35は、回動抑止装置21と干渉しない状態で第1方向DR1に回動する。(図2(b)参照)。これにより、扉70は回動抑止装置21の近傍を円滑に通過しながら回動できる。
【0041】
扉70が、開口部120を閉鎖するとき、ロックバー35の先端部に設けられた凸部35aは、回動抑止装置21の先端部に設けられた凹部21aに挿入されて、モーター51の回動力による圧縮力が付勢された状態で密着する。凸部35aと凹部21aに生じる圧縮力は、扉70が開口部120を閉鎖する方向に回動すればするほど強固になる。このとき、係合爪41は外周歯33に係合する。これにより、扉70の開口部120を開放する方向の回動が拘束され、仮にモーター51の駆動を停止して、モーター51の回動力による付勢がなくなったとしても、扉70のロック状態が解除されることはない。上述の通り、凸部35aと凹部21aに生じる圧縮力と、係合爪41の係合による回動抑止効果によって、扉70は、開口部120を閉鎖すると同時に強固なロック状態となる。
【0042】
本実施形態におけるシェルター扉1は、扉70を閉鎖するステップを踏むだけで、別途扉をロックするステップを踏むことなく、自動的に強固に密閉できる。また、電磁的な手段を要さないことから、回路の不具合等によってロックかできない状態を回避できる。すなわち、従来のものと比べて信頼性が高いものとなっている。
【0043】
本実施形態の変形例について図4を参照して説明する。本実施形態と変形例は共通する内容が多いことから、主に相違点について説明する。本実施形態と共通の構成については同様の符号を付し、異なる構成については200番台の符号を付す。なお、ハンドルの表示は省略している。
【0044】
シェルター扉201のモーター51の回動は、回動変換部255を経由してロッド231a、231bの中心軸廻りの回動に変換される。ロックバー35は、ロッド231a、231bにそれぞれ1個ずつ固定されており、ロッド231a、231bの回動に同期して回動する。ロッド231a、231bの先端部は、ガイド溝251a、251bに挿入されている。ロックバー35の固定位置は、扉70の中間部に対応する位置となっている。扉70が開口部120を閉鎖するとき、ロックバー35は側壁170に固定される回動抑止装置21に圧縮力が付勢される状態で密着する。
【0045】
一対のガイド装置220a、220bのうちの一方のガイド装置220aは、天井150に固定され、他方のガイド装置220bは床160に固定されている。一対のガイド装置220a、220bは、円弧形状の部材であり、円弧の中心は、扉70の回動中心軸70aに一致するように配設されている。
【0046】
一対のラチェット機構204a、204bのうちの一方のラチェット機構は、天井150に固定され、他方のラチェット機構は床160に固定されている。床160の上方に床板260が設けられ、ラチェット機構204bは、床160と床板260の間に設けられた空間に収容されている。
【0047】
ロッド231a、231bに固定されるロックバー35は、それぞれ1個ずつであり、それぞれ側壁170に固定された回動抑止装置21と圧縮力が付勢される状態で密着するが、ロックバー35をロッド231a、231bにそれぞれ2個以上固定して回動抑止装置21と圧縮力が付勢される状態で密着するようにしてもよい。
【0048】
本実施形態、および変形例は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るシェルター扉は、閉鎖と同時に強固にロックされることから、手の不自由な方々も、別途ドアノブを閉鎖する等の動作を要さない。手の不自由な方々も手を煩わすことなく安心してシェルターに避難できることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0050】
1、201:シェルター扉
3:開閉機構
4:ラチェット機構
20:ガイド装置
23:内周歯
21:回動抑止装置
30:回動装置
33:外周歯
35:ロックバー
41:係合爪
44:ハンドル
50:駆動装置
70:扉
100:シェルター筐体
120:開口部
DR1:第1方向
DR2:第2方向
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
シェルター筐体に設けられた開口部を開閉する内開きの開き戸である扉と、
前記扉を回動させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、前記シェルター筐体に固定された円弧形状のガイド装置と、前記扉に回動可能に支持されて、前記ガイド装置に内接した状態で第1方向、および前記第1方向と逆の方向である第2方向に回動する回動装置と、前記回動装置を駆動する駆動装置と、前記回動装置に固定されるとともに同期して回動するロックバーと、前記シェルター筐体に固定される回動抑止装置とを有し、
前記回動装置が前記第1方向に回動するとき、前記扉は前記開口部を閉鎖する方向に回動し、前記回動装置が前記第2方向に回動するとき、前記扉は前記開口部を開放する方向に回動し、前記扉が前記開口部を閉鎖するとき、前記ロックバーは、前記回動抑止装置に圧縮力が付勢される状態で密接して前記回動装置の前記第1方向の回動が抑止されるとともに、前記扉は前記シェルター筐体に圧縮力が付勢される状態で密接することを特徴とするシェルター扉。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、シェルター扉であって、シェルター筐体に設けられた開口部を開閉する内開きの開き戸である扉と、扉を回動させる開閉機構を備え、開閉機構は、シェルター筐体に固定された円弧形状のガイド装置と、扉に回動可能に支持されて、ガイド装置に内接した状態で第1方向、および第1方向と逆の方向である第2方向に回動する回動装置と、回動装置を駆動する駆動装置と、回動装置に固定されるとともに同期して回動するロックバーと、シェルター筐体に固定される回動抑止装置を有し、回動装置が第1方向に回動するとき、扉は開口部を閉鎖する方向に回動し、回動装置が第2方向に回動するとき、扉は開口部を開放する方向に回動し、扉が開口部を閉鎖するとき、ロックバーは、回動抑止装置と圧縮力が付勢される状態で密接して回動装置の第1方向の回動が抑止されるとともに、扉はシェルター筐体に圧縮力が付勢される状態で密接することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
本実施形態におけるシェルター扉1は、扉70を閉鎖するステップを踏むだけで、別途扉をロックするステップを踏むことなく、自動的に強固に密閉できる。また、電磁的な手段を要さないことから、回路の不具合等によってロックできない状態を回避できる。すなわち、従来のものと比べて信頼性が高いものとなっている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3