(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128112
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】双指向性アンテナおよび偏波共用アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/40 20060101AFI20220825BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 9/04 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01Q1/40
H01Q9/30
H01Q9/04
H01Q13/10
H01Q21/24
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026458
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久我 宣裕
(72)【発明者】
【氏名】滝波 真
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AB05
5J021AB06
5J021JA05
5J045AA12
5J045LA04
5J046AA02
5J046AA12
5J046AB06
5J046AB08
5J046PA07
5J046QA02
(57)【要約】
【課題】誘電体を用いて比較的簡単に双指向性アンテナを構成できるようにする。
【解決手段】双指向性アンテナが、底面が導体板の平面に面するように配置される誘電体と、前記誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が導体板の平面に面するように配置される誘電体と、
前記誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点と、
を備える双指向性アンテナ。
【請求項2】
前記誘電体の長手方向の中央の位置に設けられた前記給電点に、モノポールアンテナが設けられている
請求項1に記載の双指向性アンテナ。
【請求項3】
前記誘電体の長手方向の両端がテーパー状になっている、
請求項1または請求項2に記載の双指向性アンテナ。
【請求項4】
前記誘電体の正面および裏面、もしくは何れか一方である導体設置面の長手方向の中央の位置に設けられ、前記導体設置面の長手方向と直交する方向の両端である第1端および第2端を有する導体線路部と、
長手方向が前記導体設置面の長手方向と一致し、かつ、長手方向の中央の位置で前記導体線路部の前記第1端に結合されるように、前記誘電体の前記導体設置面に設けられる第1導体部と、
前記第1導体部と同じ長さを有し、長手方向が前記導体設置面の長手方向と一致し、かつ、長手方向の中央の位置で前記導体線路部の前記第2端に結合されるように、前記誘電体の前記導体設置面に設けられる第2導体部と、
を備える、請求項1から3の何れか一項に記載の双指向性アンテナ。
【請求項5】
底面が導体板の平面に面するように配置される誘電体で構成される誘電体線路部と、
底面が前記導体板の前記平面に面し、長手方向が前記誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第1アンテナ部と、
前記第1アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記導体板の前記平面に面し、長手方向が前記誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第2アンテナ部と、
前記誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点と、
を備える双指向性アンテナ。
【請求項6】
前記誘電体線路部の長手方向の中央の位置に設けられた前記給電点に、モノポールアンテナが設けられている
請求項5に記載の双指向性アンテナ。
【請求項7】
前記誘電体線路部の長手方向の中央以外かつ端以外の位置に設けられた前記給電点に、スロットが設けられている
請求項5に記載の双指向性アンテナ。
【請求項8】
直交する第1平面および第2平面を有する導体板の前記第1平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と平行になるように配置される第1誘電体と、
前記第1誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第1給電点と、
前記第2平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と平行になるように配置される第2誘電体と、
前記第2誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第2給電点と、
を備える偏波共用アンテナ。
【請求項9】
直交する第1平面および第2平面を有する導体板の前記第1平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と直交するように配置される誘電体で構成される第1誘電体線路部と、
底面が前記第1平面に面し、長手方向が前記第1誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第1誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第1アンテナ部と、
前記第1アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記第1平面に面し、長手方向が前記第1誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第1誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第2アンテナ部と、
前記第1誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第1給電点と、
前記第2平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と直交するように配置される誘電体で構成される第2誘電体線路部と、
底面が前記第2平面に面し、長手方向が前記第2誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第2誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第3アンテナ部と、
前記第3アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記第2平面に面し、長手方向が前記第2誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第2誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第4アンテナ部と、
前記第2誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第2給電点と、
を備える偏波共用アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双指向性アンテナおよび偏波共用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
道路に沿ったエリアなど細長いエリアをカバーするのに有利なアンテナとして双指向性アンテナが知られている。
例えば特許文献1には、八木アンテナによる2つのアンテナ部が、指向性が反対方向になるように配置され、これら2つのアンテナ部の励振素子が逆相で給電を受ける双指向性アンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミリ波帯など信号波長が短い場合、導体損失が無視できなくなり、誘電体の表面波を用いたアンテナが有利になる。双指向性アンテナについても、誘電体を用いて構成されること考えられる。その際、上記のような給電の位相調整が不要であるなど、簡単な構成にできることが好ましい。
【0005】
本発明の目的の一例は、誘電体を用いて比較的簡単な構成とすることができる双指向性アンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、双指向性アンテナは、底面が導体板の平面に面するように配置される誘電体と、前記誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点と、を備える。
【0007】
前記誘電体の長手方向の中央の位置に設けられた前記給電点に、モノポールアンテナが設けられていてもよい。
【0008】
前記誘電体の長手方向の両端がテーパー状になっていてもよい。
【0009】
前記双指向性アンテナが、前記誘電体の正面および裏面、もしくは何れか一方である導体設置面の長手方向の中央の位置に設けられ、前記導体設置面の長手方向と直交する方向の両端である第1端および第2端を有する導体線路部と、長手方向が前記導体設置面の長手方向と一致し、かつ、長手方向の中央の位置で前記導体線路部の前記第1端に結合されるように、前記誘電体の前記導体設置面に設けられる第1導体部と、前記第1導体部と同じ長さを有し、長手方向が前記導体設置面の長手方向と一致し、かつ、長手方向の中央の位置で前記導体線路部の前記第2端に結合されるように、前記誘電体の前記導体設置面に設けられる第2導体部と、を備えるようにしてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、双指向性アンテナは、底面が導体板の平面に面するように配置される誘電体で構成される誘電体線路部と、底面が前記導体板の前記平面に面し、長手方向が前記誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記導体板の前記平面に面し、長手方向が前記誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第2アンテナ部と、前記誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点と、を備える。
【0011】
前記誘電体線路部の長手方向の中央の位置に設けられた前記給電点に、モノポールアンテナが設けられていてもよい。
【0012】
前記誘電体線路部の長手方向の中央以外かつ端以外の位置に設けられた前記給電点に、スロットが設けられていてもよい。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、偏波共用アンテナは、直交する第1平面および第2平面を有する導体板の前記第1平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と平行になるように配置される第1誘電体と、前記第1誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第1給電点と、前記第2平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と平行になるように配置される第2誘電体と、前記第2誘電体の長手方向の端以外の位置に設けられる第2給電点と、を備える。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、偏波共用アンテナは、直交する第1平面および第2平面を有する導体板の前記第1平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と直交するように配置される誘電体で構成される第1誘電体線路部と、底面が前記第1平面に面し、長手方向が前記第1誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第1誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記第1平面に面し、長手方向が前記第1誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第1誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第2アンテナ部と、前記第1誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である第1給電点と、前記第2平面に底面が面し、かつ、長手方向が前記第1平面と前記第2平面との交線と直交するように配置される誘電体で構成される第2誘電体線路部と、底面が前記第2平面に面し、長手方向が前記第2誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第2誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端に結合される誘電体で構成される第3アンテナ部と、前記第3アンテナ部と同じ長さを有し、底面が前記第2平面に面し、長手方向が前記第2誘電体線路部の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で前記第2誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち前記第1端とは異なる第2端に結合される誘電体で構成される第4アンテナ部と、前記第2誘電体線路部の長手方向の端以外の位置に設けられる第2給電点と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
上記した双指向性アンテナおよび偏波共用アンテナによれば、双指向性アンテナまたは偏波共用アンテナを、誘電体を用いて比較的簡単な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る双指向性アンテナの第1例の正面図である。
【
図2】
図1に示す双指向性アンテナの上面図である。
【
図3】実施形態に係る双指向性アンテナの第2例の正面図である。
【
図4】
図3に示す双指向性アンテナの上面図である。
【
図5】実施形態に係る双指向性アンテナの第3例の斜視図である。
【
図6】
図5に示す双指向性アンテナの上面図である。
【
図7】実施形態に係る双指向性アンテナの第4例の斜視図である。
【
図8】
図7に示す双指向性アンテナの上面図である。
【
図9】実施形態に係る偏波共用アンテナの第1例の側面図である。
【
図10】
図9に示す偏波共用アンテナの上面図である。
【
図11】実施形態に係る偏波共用アンテナの第2例の側面図である。
【
図13】実施形態に係る双指向性アンテナの第5例の正面図である。
【
図14】
図13に示す双指向性アンテナの指向性の第1例を示す図である。
【
図15】双指向性アンテナ500の反射係数特性の第1例を示す図である。
【
図16】
図13に示す双指向性アンテナの指向性の第2例を示す図である。
【
図17】双指向性アンテナ500の反射係数特性の第1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、実施形態に係る双指向性アンテナの第1例の正面図である。
図1に示す例で、双指向性アンテナ100は、直方体の誘電体110と、誘電体110の底面の長手方向の中央の位置に設けられる単一の給電点120と、給電点に設けられるモノポールアンテナ130とを備える。モノポールアンテナ130は、その長手方向が誘電体110の底面に対して垂直になるように設置されている。
誘電体110の底面の中央から、誘電体110に穴が設けられ、その穴にモノポールアンテナ130が挿入されていてもよい。
【0019】
誘電体110は、導体板910の平面910a上に、誘電体110の底面が平面910aに面するように(面して接するように)設置されている。導体板910が、双指向性アンテナ100に含まれていてもよいし、双指向性アンテナ100の外部の構成となっていてもよい。
ここでいう誘電体は、導電性よりも誘電性が有意な物である。双指向性アンテナ100に用いられる誘電体の材質は、特定のものに限定されない。例えば、誘電体110としてセラミックスが用いられていてもよいし、プラスチックが用いられていてもよい。なお、誘電体110の誘電率が高いことで、双指向性アンテナ100の小型化を図ることができる。後述するアンテナについても同様である。
【0020】
図1では、導体板910が水平に設置されている場合の例を示しており、水平方向のうち誘電体110の長手方向をx軸方向とし、短手方向をy軸方向としている。また、鉛直方向上向きをz軸方向としている。
ただし、導体板910の平面910aが水平面に対してなす角度は、任意の角度とすることができる。したがって、誘電体110の底面が水平面に対してなす角度は、任意の角度とすることができる。平面910a上における誘電体110の向きについても、誘電体110の長手方向が、カバーしたいエリアの長手方向に沿っていればよく、いろいろな向きとすることができる。
【0021】
誘電体110の長手方向における給電点120およびモノポールアンテナ130の位置は、正確に中央に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
モノポールアンテナ130の向きも、誘電体110の底面に対して正確に垂直な向きに限定されず、誤差を含んでいてもよい。
誘電体110の形状は直方体に限定されず、底面を有し、底面と平行な長手方向を有するいろいろな形状とすることができる。
【0022】
図2は、
図1に示す双指向性アンテナの上面図である。
図2に示す例で、モノポールアンテナ130が、誘電体110の短手方向についても中央に位置している。これにより、誘電体110の短手方向への放射抑制効果が高くなり、また、指向性の対称性がよくなる。
【0023】
以上のように、誘電体110は、その底面が導体板910の平面910aに面するように配置される。給電点120は、誘電体110の長手方向の端以外の位置に設けられる。
これにより、双指向性アンテナ100が、誘電体110の長手方向の両側に指向性を有するようにできる。また、誘電体110の長手方向における給電点120の位置を調整することで、誘電体110の長手方向の両端における電磁界の位相を揃えることができる。特に、アンテナが複数の給電点を有する場合のような、給電点における電磁界の位相を調整する機構は不要である。
双指向性アンテナ100によれば、このように、双指向性アンテナの構成を、誘電体を用いて比較的簡単な構成とすることができる。
【0024】
また、誘電体110の長手方向の中央の位置に設けられた給電点120に、モノポールアンテナ130が設けられている。
これにより、誘電体110の長手方向の両端における電磁界の位相を揃えることができ、双指向性アンテナ100を双指向性アンテナとして機能させることができる。
【0025】
図3は、実施形態に係る双指向性アンテナの第2例の正面図である。
図3の双指向性アンテナ150を
図1の双指向性アンテナと比較すると、双指向性アンテナ150は、誘電体110に代えて誘電体160を備える。誘電体160は、長手方向の両端がテーパー状に形成されている。誘電体160のうちテーパー状に形成されている部分をテーパー部160aと表記する。
誘電体160は、長手方向の両端がテーパー状に形成されている点以外は、誘電体110と同様である。双指向性アンテナ150は、誘電体160と誘電体110との相違点以外は、双指向性アンテナ100と同様である。
【0026】
図4は、
図3に示す双指向性アンテナの上面図である。
図4の例でも、誘電体160の両端にテーパー部160aが示されている。
図4についても、誘電体160は、長手方向の両端がテーパー状に形成されている点以外は、
図2の誘電体110と同様である。
図4に示される双指向性アンテナ150は、誘電体160と誘電体110との相違点以外は、
図2に示される双指向性アンテナ100と同様である。
【0027】
以上のように、双指向性アンテナ150では、誘電体160の長手方向の両端がテーパー状になっている。
誘電体160の長手方向の両端がテーパー状になっていることで、双指向性アンテナ150の指向性を強めることができる。
【0028】
図5は、実施形態に係る双指向性アンテナの第3例の斜視図である。
図5に示す例で、双指向性アンテナ200は、誘電体線路部210と、第1アンテナ部220と、第2アンテナ部230と、単一の給電点120と、モノポールアンテナ130とを備える。
誘電体線路部210は、直方体の誘電体で構成され、導体板910の平面910a上に、誘電体線路部210の底面が平面910aに面するように(面して接するように)設置されている。導体板910が、双指向性アンテナ200に含まれていてもよいし、双指向性アンテナ200の外部の構成となっていてもよい。
【0029】
第1アンテナ部220は、直方体の誘電体で構成され、導体板910の平面910a上に、第1アンテナ部220の底面が平面910aに面するように(面して接するように)設置されている。誘電体線路部との位置関係では、第1アンテナ部220は、第1アンテナ部220の長手方向が誘電体線路部210の長手方向と直交し、かつ、第1アンテナ部220の長手方向の中央の位置で誘電体線路部210の長手方向の端に結合されている。誘電体線路部210の長手方向の両端のうち、第1アンテナ部220が結合される端を、第1端210aとも表記する。
ここでいう結合されることは、物理的に一体になっていることである。結合されることは、製造時に一体的に製造されることであってもよいし、複数のものが繋ぎ合わさっていることであってもよい。
【0030】
第2アンテナ部230は、第1アンテナ部220と同じ長さの直方体の誘電体で構成され、導体板910の平面910a上に、第2アンテナ部230の底面が平面910aに面するように(面して接するように)設置されている。第2アンテナ部230の形状が、第1アンテナ部220と同じ形状であってもよい。
誘電体線路部との位置関係では、第2アンテナ部230は、第2アンテナ部230の長手方向が誘電体線路部210の長手方向と直交し、かつ、第2アンテナ部230の長手方向の中央の位置で誘電体線路部210の長手方向の端に結合されている。誘電体線路部210の長手方向の両端のうち、第2アンテナ部230が結合される端を、第2端210bとも表記する。
【0031】
第2アンテナ部230は、第2アンテナ部の例に該当する。第2端210bは、誘電体線路部の長手方向の2つの端のうち第1端210aとは異なる端である。
誘電体線路部210と、第1アンテナ部220と、第2アンテナ部230とで、「H」字型の誘電体を形成する。
誘電体線路部210、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230が、同じ材質の誘電体を用いて構成されていてもよい。
【0032】
給電点120は、誘電体線路部210の底面の長手方向の中央の位置に設けられる単一の給電点である。モノポールアンテナ130は、給電点120に設けられる。モノポールアンテナ130は、その長手方向が誘電体線路部210の底面に対して垂直になるように設置されている。
【0033】
図5では、導体板910が水平に設置されている場合の例を示しており、水平方向のうち第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の長手方向をx軸方向とし、誘電体線路部210の長手方向をy軸方向としている。また、鉛直方向上向きをz軸方向としている。
ただし、導体板910の平面910aが水平面に対してなす角度は、任意の角度とすることができる。したがって、誘電体線路部210、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の底面が水平面に対してなす角度は、任意の角度とすることができる。平面910a上における誘電体線路部210、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の向きについても、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の長手方向が、カバーしたいエリアの長手方向に沿っていればよく、いろいろな向きとすることができる。
【0034】
誘電体線路部210の長手方向における給電点120およびモノポールアンテナ130の位置は、正確に中央に限定されず、誤差を含んでいてもよい。さらには、誘電体線路部210の長手方向における給電点120およびモノポールアンテナ130の位置は、誘電体線路部210の両端で電磁界の位相が同じになる位置であればよく、中央に限定されない。例えば、給電点120およびモノポールアンテナ130が、誘電体線路部210の長手方向における電磁界の位相の中心から電波の波長の整数倍だけずれた位置に配置されていてもよい。
【0035】
モノポールアンテナ130の向きも、誘電体線路部210の底面に対して正確に垂直な向きに限定されず、誤差を含んでいてもよい。
第1アンテナ部220の長手方向における誘電体線路部210との結合箇所の位置は、正確に中央に限定されず、誤差を含んでいてもよい。第2アンテナ部230の長手方向における誘電体線路部210との結合箇所の位置は、正確に中央に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
誘電体線路部210、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の形状は、何れも直方体に限定されず、底面を有し、底面と平行な長手方向を有するいろいろな形状とすることができる。
【0036】
図6は、
図5に示す双指向性アンテナの上面図である。
図6に示す例で、モノポールアンテナ130が、誘電体線路部210の短手方向についても中央に位置している。
【0037】
以上のように、誘電体線路部210は、底面が導体板910の平面910aに面するように配置される誘電体で構成される。第1アンテナ部220は、底面が導体板910の平面910aに面し、長手方向が誘電体線路部210の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で誘電体線路部210の長手方向の2つの端のうち第1端210aに結合される誘電体で構成される。第2アンテナ部230は、第1アンテナ部220と同じ長さを有し、底面が導体板910の平面910aに面し、長手方向が誘電体線路部210の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で誘電体線路部210の長手方向の2つの端のうち第1端210aとは異なる第2端210bに結合される誘電体で構成される。給電点120は、誘電体線路部210の長手方向の端以外の位置に設けられる。
【0038】
双指向性アンテナ200によれば、双指向性アンテナ100との比較において、アンテナの長さをより短くすることができる。また、双指向性アンテナ200によれば、第1アンテナ部220の両端および第2アンテナ部230の両端をテーパー状にする必要なしに、比較的強い双指向性を得られる。
【0039】
ここで、第1アンテナ部220と誘電体線路部210との結合箇所を第1アンテナ部220における給電点のような機能を果たし、誘電体線路部210が第1アンテナ部220に交流電磁界を供給することで、第1アンテナ部220を、双指向性アンテナ100のような双指向性アンテナとして機能させることができる。第2アンテナ部230についても同様に、双指向性アンテナ100のような双指向性アンテナとして機能させることができる。
【0040】
また、誘電体線路部210の長手方向における給電点120の位置を調整することで、誘電体線路部210の長手方向の両端における電磁界の位相を揃えることができる。誘電体線路部210の長手方向の両端における電磁界の位相が揃うことで、第1アンテナ部220の両端における電磁界の位相と、第2アンテナ部230の両端における電磁界の位相とを揃えることができる。
これにより、双指向性アンテナ200では、双指向性アンテナ100を2つ並べて指向性を強める場合と同様に、指向性を強めることができる。
【0041】
ここで、双指向性アンテナ150のように、アンテナとしての誘電体の両端をテーパー状にすることでも、指向性を強めることができる。ただし、この場合は、誘電体の両端をテーパー状にできるように、誘電体の長さが必要である。これに対して、双指向性アンテナ200では、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の両端をテーパー状にする必要無しに指向性を強めることができ、この点で、双指向性アンテナ200の小型化を図ることができる。
一方、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230について、それぞれの両端をテーパー状にするための長さを確保できる場合は、テーパー状にしてもよい。これにより、双指向性アンテナ200の指向性をさらに強めることができる。
【0042】
また、双指向性アンテナ200では、給電点120を単一の給電点とすることができ、アンテナが複数の給電点を有する場合のような、給電点における電磁界の位相を調整する機構は不要である。
双指向性アンテナ200によれば、このように、双指向性アンテナの構成を、誘電体を用いて比較的簡単な構成とすることができる。
【0043】
また、誘電体線路部210の長手方向の中央の位置に設けられた給電点120に、モノポールアンテナ130が設けられている。
これにより、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230の長手方向の両端における電磁界の位相を揃えることができ、双指向性アンテナ200を双指向性アンテナとして機能させることができる。
【0044】
図7は、実施形態に係る双指向性アンテナの第4例の斜視図である。
図7の双指向性アンテナ250を
図5の双指向性アンテナ200と比較すると、双指向性アンテナ250では、給電点120が誘電体線路部210の長手方向の中央からずれて設けられている。また、双指向性アンテナ250では、給電点120に、モノポールアンテナ130に代えて誘電体線路部210のスロット260が設けられている。
【0045】
双指向性アンテナ250では、給電点120は、誘電体線路部210の長手方向および両端の何れとも異なる位置に設けられる。
仮に、誘電体線路部210の長手方向の中央に給電点120およびスロット260を設けたとすると、誘電体線路部210の両端における電磁界の位相が逆になり、第1アンテナ部220と第2アンテナ部230とが指向性を弱め合うことになる。
【0046】
そこで、双指向性アンテナ250では、誘電体線路部210の両端における電磁界の位相が揃うように、給電点120を誘電体線路部210の長手方向の中央からずれた位置に設ける。例えば、誘電体線路部210の長手方向の中央から誘電体線路部210内における電波の波長の4分の1の奇数倍だけずれた位置に給電点120を設けるようにしてもよい。誘電体線路部210内における電波の波長をλgとすると、この場合の誘電体線路部210の長手方向の中央と給電点120との距離は、(2n+1)λg/4と表される。ここで、nは、n≧0の整数である。
【0047】
誘電体線路部210は、給電点120の位置が誘電体線路部210の長手方向の中央からずれている点、および、給電点120に誘電体線路部210のスロット260が設けられる点以外は、誘電体線路部210と同様である。双指向性アンテナ250は、給電点120の位置の相違、および、モノポールアンテナ130と誘電体線路部210のスロット260との相違点以外は、双指向性アンテナ200と同様である。
【0048】
図8は、
図7に示す双指向性アンテナの上面図である。
図8の例でも、給電点120が誘電体線路部210の長手方向の中央からずれて設けられ、また、給電点120に誘電体線路部210のスロット260が設けられている。誘電体線路部210ではスロット260の位置に加工は行われず、導体板910のスロット260の位置に穴が開けられていてもよい。
図8についても、双指向性アンテナ250は、給電点120が誘電体線路部210の長手方向の中央からずれて設けられている点、および、給電点120に、モノポールアンテナ130に代えて誘電体線路部のスロット260が設けられている点以外は、
図6に示される双指向性アンテナ200と同様である。
【0049】
以上のように、誘電体線路部210の長手方向の中央以外かつ端以外の位置に設けられた給電点120に、スロットが設けられている。
これにより、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230それぞれの長手方向の両端における電磁界の位相を揃えることができ、双指向性アンテナ250を双指向性アンテナとして機能させることができる。
【0050】
図9は、実施形態に係る偏波共用アンテナの第1例の側面図である。
図9の例で、導体板920は、直交する第1平面920aおよび第2平面920bを有している。第1平面920aおよび第2平面920bのそれぞれに、双指向性アンテナ100が設けられている。これらの双指向性アンテナ100の各々は、
図1および2を参照して説明したのと同様である。
【0051】
第1平面920aに設けられている双指向性アンテナ100を第1双指向性アンテナ101と表記する。第1双指向性アンテナ101の誘電体110、給電点120、モノポールアンテナ130を、それぞれ、第1誘電体111、第1給電点121、第1モノポールアンテナ131と表記する。
第2平面920bに設けられている双指向性アンテナ100を第2双指向性アンテナ102と表記する。第2双指向性アンテナ102の誘電体110、給電点120、モノポールアンテナ130を、それぞれ、第2誘電体112、第2給電点122、第2モノポールアンテナ132と表記する。
【0052】
偏波共用アンテナ300は、第1双指向性アンテナ101と、第2双指向性アンテナ102とを備える。さらに、導体板920も偏波共用アンテナ300に含まれていてもよい。あるいは、導体板920が偏波共用アンテナ300の外部の構成となっていてもよい。
【0053】
第1双指向性アンテナ101は、第1誘電体111の底面が第1平面920aに面し(面して接し)、かつ、第1誘電体111の長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。
第2双指向性アンテナ102は、第2誘電体112の底面が第2平面920bに面し(面して接し)、第2誘電体112の長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。
【0054】
このように、第1双指向性アンテナ101が設置される第1平面920aと、第2双指向性アンテナ102が設置される第2平面920bとは、直交する。かつ、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とは、長手方向が平行になるように配置されることで、指向性の向きを揃えて配置されている。これにより、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とで偏波が直交し、偏波共用アンテナ300を偏波共用アンテナとして機能させることができる。
【0055】
第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とは、同じ仕様のアンテナであってもよい。この場合、同じアンテナを2つ製造して、第1双指向性アンテナ101および第2双指向性アンテナ102として使用することができ、設計および製造の効率化を図ることができる。
【0056】
ただし、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とは、偏波が直交していればよく、独立に動作するアンテナとすることができる。したがって、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とで仕様が異なっていてもよい。例えば、第1双指向性アンテナ101の長さと第2双指向性アンテナ102の長さとが同一であることは必須ではない。
また、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102とで、必ずしも同期をとる必要は無い。例えば、第1双指向性アンテナ101と第2双指向性アンテナ102との長手方向の両端の位置など、長手方向の位置が揃っていなくてもよい。また、第1給電点121と第2給電点122とで、電磁界の位相が異なっていてもよい。
【0057】
図9では、第1平面920aと第2平面920bとが、それぞれ水平面から45度傾くように、導体板920が配置されている場合の例を示している。水平方向のうち、第1誘電体111および第2誘電体112の長手方向をx軸方向とし、水平方向、かつ、x軸方向に直交する方向をy軸方向としている。また、鉛直方向上向きをz軸方向としている。
ただし、第1平面920a、第2平面920bのそれぞれが水平面に対してなす角度は、特定の角度に限定されず、第1平面920aと第2平面920bとが直交していればよい。例えば、第1平面920aが水平面に平行になり、第2平面920bが水平面と直交していてもよい。
【0058】
第1平面920aと第2平面920bとの交線と、第1誘電体111の長手方向との位置関係は、完全に平行である場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。第1平面920aと第2平面920bとの交線と、第2誘電体112の長手方向との位置関係も、完全に平行である場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
第1平面920aと第2平面920bとの位置関係も、正確に直交する場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
【0059】
図10は、
図9に示す偏波共用アンテナの上面図である。
図10でも、第1平面920aと第2平面920bとの交線と、第1誘電体111の長手方向と、第2誘電体112の長手方向とが並行であることが示されている。また、
図10でも、第1給電点121と、第1モノポールアンテナ131とが、第1誘電体111の長手方向の中央に位置することが示されている。また、
図10でも、第2給電点122と、第2モノポールアンテナ132とが、第2誘電体112の長手方向の中央に位置することが示されている。
【0060】
以上のように、導体板920は、直交する第1平面920aおよび第2平面920bを有する。第1誘電体111は、第1平面920aに第1誘電体111の底面が面し、かつ、第1誘電体111の長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。第1給電点121は、第1誘電体111の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である。第2誘電体112は、第2平面920bに第2誘電体112の底面が面し、かつ、第2誘電体112の長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。第2給電点122は、第2誘電体112の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である。
【0061】
これにより、第1誘電体111、第1給電点121、および、第1モノポールアンテナ131を含む第1双指向性アンテナ101と、第2誘電体112、第2給電点122、および、第2モノポールアンテナ132を含む第2双指向性アンテナ102とが、偏波が直交するように配置される。これにより、偏波共用アンテナ300を偏波共用アンテナとして機能させることができる。
【0062】
第1誘電体111の長手方向の両端、および、第2誘電体112の長手方向の両端のそれぞれがテーパー状になっていてもよい。
【0063】
図11は、実施形態に係る偏波共用アンテナの第2例の側面図である。
図9の場合と同様、
図11の例でも、導体板920は、直交する第1平面920aおよび第2平面920bを有している。一方、
図9の場合と異なり
図11の例では、第1平面920aおよび第2平面920bのそれぞれに、双指向性アンテナ200が設けられている。これらの双指向性アンテナ200の各々は、
図7および
図8を参照して説明したのと同様である。
【0064】
第1平面920aに設けられている双指向性アンテナ200を第1双指向性アンテナ201と表記する。第1双指向性アンテナ201の給電点120、モノポールアンテナ130を、それぞれ、第1給電点121、第1モノポールアンテナ131と表記する。第1双指向性アンテナ201の誘電体線路部210、第1アンテナ部220、第2アンテナ部230を、それぞれ、第1誘電体線路部211、第1アンテナ部221、第2アンテナ部231と表記する。第1誘電体線路部211の第1端210a、第2端210bを、それぞれ、第1端211a、第2端211bと表記する。
【0065】
第2平面920bに設けられている双指向性アンテナ200を第2双指向性アンテナ202と表記する。第2双指向性アンテナ202の給電点120、モノポールアンテナ130を、それぞれ、第2給電点122、第2モノポールアンテナ132と表記する。第2双指向性アンテナ202の誘電体線路部210、第1アンテナ部220、第2アンテナ部230を、それぞれ、第2誘電体線路部212、第3アンテナ部222、第4アンテナ部232と表記する。第2誘電体線路部212の第1端210a、第2端210bを、それぞれ、第1端212a、第2端212bと表記する。
【0066】
偏波共用アンテナ400は、第1双指向性アンテナ201と、第2双指向性アンテナ202とを備える。さらに、導体板920も偏波共用アンテナ400に含まれていてもよい。あるいは、導体板920が偏波共用アンテナ400の外部の構成となっていてもよい。
【0067】
第1双指向性アンテナ201は、第1誘電体線路部211の底面、第1アンテナ部221の底面、および、第2アンテナ部231の底面が、何れも第1平面920aに面し(面して接し)、かつ、第1アンテナ部221の長手方向、および、第2アンテナ部231の長手方向が、何れも、第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。
【0068】
第2双指向性アンテナ202は、第2誘電体線路部212の底面、第3アンテナ部222の底面、および、第4アンテナ部232の底面が、何れも第2平面920bに面し(面して接し)、かつ、第3アンテナ部222の長手方向、および、第4アンテナ部232の長手方向が、何れも、第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行になるように配置される。
【0069】
これにより、第1双指向性アンテナ201と、第2双指向性アンテナ202とは、同じ方向に指向性を有し、かつ、偏波が直交する。これにより、偏波共用アンテナ400を偏波共用アンテナとして機能させることができる。
また、双指向性アンテナ200のほうが双指向性アンテナ100よりも強い指向性を得られることで、偏波共用アンテナ400によれば、偏波共用アンテナ300よりも強い指向性を得られる。
【0070】
第1双指向性アンテナ201と第2双指向性アンテナ202とは、同じ仕様のアンテナであってもよい。この場合、同じアンテナを2つ製造して、第1双指向性アンテナ201および第2双指向性アンテナ202として使用することができ、設計および製造の効率化を図ることができる。
【0071】
ただし、第1双指向性アンテナ201と第2双指向性アンテナ202とは、偏波が直交していればよく、独立に動作するアンテナとすることができる。したがって、第1双指向性アンテナ201と第2双指向性アンテナ202とで仕様が異なっていてもよい。例えば、第1双指向性アンテナ201の長さと第2双指向性アンテナ202の長さとが同一であることは必須ではない。
また、第1双指向性アンテナ201と第2双指向性アンテナ202とで、必ずしも同期をとる必要は無い。例えば、第1双指向性アンテナ201と第2双指向性アンテナ202との長手方向の両端の位置など、長手方向の位置が揃っていなくてもよい。また、第1給電点121と第2給電点122とで、電磁界の位相が異なっていてもよい。
【0072】
図9の場合と同様、
図11では、第1平面920aと第2平面920bとが、それぞれ水平面から45度傾くように、導体板920が配置されている場合の例を示している。水平方向のうち、第1誘電体111および第2誘電体112の長手方向をx軸方向とし、水平方向、かつ、x軸方向に直交する方向をy軸方向としている。また、鉛直方向上向きをz軸方向としている。
ただし、第1平面920a、第2平面920bのそれぞれが水平面に対してなす角度は、特定の角度に限定されず、第1平面920aと第2平面920bとが直交していればよい。例えば、第1平面920aが水平面に平行になり、第2平面920bが水平面と直交していてもよい。
【0073】
第1平面920aと第2平面920bとの交線と、第1アンテナ部221の長手方向および第2アンテナ部231の長手方向との位置関係は、完全に平行である場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。第1平面920aと第2平面920bとの交線と、第3アンテナ部222の長手方向および第4アンテナ部232の長手方向との位置関係も、完全に平行である場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
第1平面920aと第2平面920bとの位置関係も、正確に直交する場合に限定されず、誤差を含んでいてもよい。
【0074】
図12は、
図11に示す偏波共用アンテナの上面図である。
図12でも、第1アンテナ部221、第2アンテナ部231、第3アンテナ部222、および、第4アンテナ部232の何れの長手方向も、第1平面920aと第2平面920bとの交線と平行であることが示されている。また、
図10で、第1アンテナ部221が、第1アンテナ部221の長手方向の中央で第1誘電体線路部211と連結されていることが示されている。同様に、
図10で、第2アンテナ部231が、第2アンテナ部231の長手方向の中央で第1誘電体線路部211と連結されていることが示されている。第3アンテナ部222が、第3アンテナ部222の長手方向の中央で第2誘電体線路部212と連結されていることが示されている。第4アンテナ部232が、第4アンテナ部232の長手方向の中央で第2誘電体線路部212と連結されていることが示されている。
【0075】
以上のように、導体板920は、直交する第1平面920aおよび第2平面920bを有する。第1誘電体線路部211は、第1平面920aに底面が面し、かつ、長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と直交するように配置される誘電体で構成される。第1アンテナ部221は、底面が第1平面920aに面し、長手方向が第1誘電体線路部211の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で第1誘電体線路部211の長手方向の2つの端のうち第1端211aに結合される誘電体で構成される。第2アンテナ部231は、第1アンテナ部221と同じ長さを有し、底面が第1平面920aに面し、長手方向が第1誘電体線路部211の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で第1誘電体線路部211の長手方向の2つの端のうち第1端211aとは異なる第2端211bに結合される誘電体で構成される。第1給電点121は、第1誘電体線路部211の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である。
また、第2誘電体線路部212は、第2平面920bに底面が面し、かつ、長手方向が第1平面920aと第2平面920bとの交線と直交するように配置される誘電体で構成される。第3アンテナ部222は、底面が第2平面920bに面し、長手方向が第2誘電体線路部212の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で第2誘電体線路部212の長手方向の2つの端のうち第1端212aに結合される誘電体で構成される。第4アンテナ部232は、第3アンテナ部222と同じ長さを有し、底面が第2平面920bに面し、長手方向が第2誘電体線路部212の長手方向と直交し、かつ、長手方向の中央の位置で第2誘電体線路部212の長手方向の2つの端のうち第1端212aとは異なる第2端212bに結合される誘電体で構成される。第2給電点122は、第2誘電体線路部212の長手方向の端以外の位置に設けられる単一の給電点である。
【0076】
これにより、第1誘電体線路部211、第1アンテナ部221、第2アンテナ部231、第1給電点121、および、第1モノポールアンテナ131を含む第1双指向性アンテナ201と、第2誘電体線路部212、第3アンテナ部222、第4アンテナ部232、第2給電点122、および、第2モノポールアンテナ132を含む第2双指向性アンテナ202とが、偏波が直交するように配置される。これにより、偏波共用アンテナ400を偏波共用アンテナとして機能させることができる。
【0077】
第1アンテナ部221、第2アンテナ部231、第3アンテナ部222、および、第4アンテナ部232の長手方向の両端それぞれがテーパー状になっていてもよい。
双指向性アンテナ250の場合と同様、第1双指向性アンテナ201、および、第2双指向性アンテナ202の両方に、モノポールアンテナに代えてスロットが設けられていてもよい。この場合、給電点の位置は、誘電体線路部の長手方向の中央からずれて配置される。
【0078】
図13は、実施形態に係る双指向性アンテナの第5例の正面図である。
図13に示す例で、双指向性アンテナ500は、双指向性アンテナ100と、整合状態調整部510とを備える。整合状態調整部510は、導体線路部520と、第1導体部530と、第2導体部540とを備える。
【0079】
双指向性アンテナ100は、
図1および2を参照して説明したのと同様である。
整合状態調整部510は、「H」字型の導体(電気伝導体)を用いて構成され、双指向性アンテナ100の正面および裏面に設置される。あるいは、整合状態調整部510が、双指向性アンテナ100の正面および裏面のうち何れか一方にのみ設置されていてもよい。すなわち、整合状態調整部510は、双指向性アンテナ100の誘電体110の正面および裏面、もしくは何れか一方に設置される。
【0080】
ここでいう裏面は、正面と反対側の面である。すなわち、誘電体110の正面、裏面は、いずれも、上面および底面以外の面のうち誘電体110の長手方向に平行な面である。上面は、底面と反対側の面である。
整合状態調整部510が設置される面を、導体設置面とも称する。
【0081】
整合状態調整部510は、その中央および長手方向が、誘電体110の中央および長手方向と一致するように、誘電体110の導体設置面(正面および裏面、もしくは何れか一方)に設置される。特に、整合状態調整部510は、整合状態調整部510の長手方向の中央が導体設置面の長手方向の中央と一致するように設置される。一方、整合状態調整部510の短手方向の中央が、導体設置面の短手方向の中央と一致することは必須ではない。
【0082】
導体線路部520は、長方形の平板状の導体で構成される。導体線路部520は、導体設置面の長手方向の中央の位置に設けられ、第1導体部530と第2導体部540とを電気的に接続する。
以下では、導体線路部520の長手方向が導体設置面の長手方向に直交する場合を例に説明する。ただし、導体線路部520の長手方向が導体設置面の長手方向と一致していてもよい。すなわち、導体設置面の長手方向が、導体線路部520の短手方向になっていてもよいし、導体線路部520の長手方向になっていてもよい。
【0083】
導体線路部520は、導体線路部520の軸(幅方向の中央)と誘電体110の導体設置面の中央とが一致し、かつ、導体線路部520の長手方向が誘電体110の長手方向と直交するように、誘電体110の導体設置面に配置される。誘電体110の長手方向は、誘電体110の導体設置面の長手方向と一致する。したがって、導体線路部520の長手方向は、誘電体110の導体設置面の長手方向と直交する。
【0084】
第1導体部530は、長方形の平板状の導体で構成される。第1導体部530は、第1導体部530の長手方向が導体線路部520の長手方向と直交し、かつ、第1導体部530の長手方向の中央の位置で導体線路部520の2つの端である第1端520aおよび第2端520bのうち第1端520aに結合されるように、誘電体110の導体設置面に設けられる。
なお、2つの導体が結合される場合、これら2つの導体が一体になっていることで電気的にも接続される。
【0085】
第2導体部540は、第1導体部530と同じ長さの長方形の平板状の導体で構成される。第2導体部540の形状は、第1導体部530と同じ形状であってもよい。第2導体部540は、第2導体部540の長手方向が導体線路部520の長手方向と直交し、かつ、第2導体部540の長手方向の中央の位置で導体線路部520の第2端520bに結合されるように、誘電体110の導体設置面に設けられる。第2端520bは、導体線路部520の第1端520aおよび第2端520bのうち、第1端520aとは異なる端である。
【0086】
導体線路部520と、第1導体部530と、第2導体部540とが、同じ材質の導体を用いて構成されていてもよい。
整合状態調整部510の長さをLenと表記し、幅をWidと表記する。
【0087】
図14は、双指向性アンテナ500の指向性の第1例を示す図である。
図14の例では、誘電体の寸法は0.767×0.033×0.103λ
0であり、比誘電率は30である。λ
0は、自由空間波長を表す。以下の
図15から
図17の例についても同様である。
図14では、Lenの値を20ミリメートル(mm)とし、Widの値5、10、15、20ミリメートルのそれぞれについて、各方位における双指向性アンテナ500の利得が極座標形式のグラフで示されている。
図14のグラフで、方位の単位は度(°)であり、利得の単位はデシベル(dB)である。双指向性アンテナ500の長手方向は、グラフの横方向、すなわち、90度および270度の方向である。
【0088】
線L11は、Wid=5の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L12は、Wid=10の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L13は、Wid=15の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L14は、Wid=20の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。
【0089】
図14に示されるように、Wid=5、10、15、20の何れの場合も、双指向性アンテナ500の長手方向である90度および270度のそれぞれの方向に、双指向性アンテナ500の指向性が得られている。すなわち、双指向性アンテナ500が、双指向性アンテナとして機能することが示されている。
【0090】
図15は、双指向性アンテナ500の反射係数特性(整合特性)の第1例を示す図である。
図15では、Lenの値を20ミリメートル(mm)とし、Widの値5、10、15、20ミリメートルのそれぞれについて、双指向性アンテナ500の反射係数特性が示されている。
図15のグラフの横軸は、周波数をギガヘルツ(GHz)で示す。縦軸は、反射係数特性をデシベル(dB)で示す。
【0091】
線L21は、Wid=5の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L22は、Wid=10の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L23は、Wid=15の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L24は、Wid=20の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。
【0092】
線がグラフの下側にあるほど、(すなわち、反射係数が小さいほど)双指向性アンテナ500の電力効率がよくなる。
双指向性アンテナ500に接続された無線機器が送信を行う場合、使用周波数で可能な限り反射係数が小さくなるようにすることが望ましい。つまり、双指向性アンテナ500に印加した電力が反射される割合が小さくなることで、双指向性アンテナ500から放射される割合が大きくなる。
双指向性アンテナ500に接続された無線機器が受信を行う場合、双指向性アンテナ500が受けた電力を無線機器に取り出せる割合が大きくなる。
【0093】
図15の例で、整合状態調整部510の幅(Widの値)が大きくなるにつれて、送受信の効率のよい周波数が小さくなっている。
このように、整合状態調整部510の幅を調整することで、双指向性アンテナ500における整合状態を調整することができる。
【0094】
図16は、双指向性アンテナ500の指向性の第2例を示す図である。
図16では、Widの値を5ミリメートル(mm)とし、Lenの値10、20、30、40ミリメートルのそれぞれについて、各方位における双指向性アンテナ500の利得が極座標形式のグラフで示されている。
図16のグラフで、方位の単位は度(°)であり、利得の単位はデシベル(dB)である。双指向性アンテナ500の長手方向は、グラフの横方向、すなわち、90度および270度の方向である。
【0095】
線L31は、Len=10の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L32は、Len=20の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L33は、Len=30の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。線L34は、Len=40の場合の、双指向性アンテナ500の指向性を示す。
【0096】
図16に示されるように、Len=10、20、30、40の何れの場合も、双指向性アンテナ500の長手方向である90度および270度のそれぞれの方向に、双指向性アンテナ500の指向性が得られている。すなわち、双指向性アンテナ500が、双指向性アンテナとして機能することが示されている。
【0097】
図16に示されるように、Len=10、20、30、40の何れの場合も、双指向性アンテナ500の長手方向である90度および270度のそれぞれの方向に、双指向性アンテナ500の指向性が得られている。すなわち、双指向性アンテナ500が、双指向性アンテナとして機能することが示されている。
【0098】
図17は、双指向性アンテナ500の反射係数特性(整合特性)の第2例を示す図である。
図17では、Widの値を5ミリメートル(mm)とし、Lenの値10、20、30、40ミリメートルのそれぞれについて、双指向性アンテナ500の反射係数特性が示されている。
図15のグラフの横軸は、周波数をギガヘルツ(GHz)で示す。縦軸は、反射係数特性をデシベル(dB)で示す。
【0099】
線L41は、Len=10の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L42は、Len=20の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L43は、Len=30の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。線L44は、Len=40の場合の、双指向性アンテナ500の反射係数特性を示す。
図15を参照して説明したように、線がグラフの下側にあるほど、(すなわち、反射係数が小さいほど)双指向性アンテナ500の電力効率がよくなる。
【0100】
図17の例で、整合状態調整部510の長さ(Lenの値)が大きくなるにつれて、送受信の効率のよい周波数が小さくなっている。
このように、整合状態調整部510の長さを調整することで、双指向性アンテナ500における整合状態を調整することができる。
【0101】
以上のように、導体線路部520は、誘電体110の正面および裏面、もしくは何れか一方である導体設置面の長手方向の中央の位置に設けられ、導体設置面の長手方向と直交する方向の両端である第1端520aおよび第2端520bを有する。第1導体部530は、第1導体部530の長手方向が導体設置面の長手方向と一致し、かつ、第1導体部530の長手方向の中央の位置で導体線路部520の第1端520aに結合されるように、誘電体110の導体設置面に設けられる。第2導体部540は、第1導体部530と同じ長さを有し、第2導体部540の長手方向が導体設置面の長手方向と一致し、かつ、第2導体部540の長手方向の中央の位置で導体線路部520の第2端520bに結合されるように、誘電体110の導体設置面に設けられる。
【0102】
双指向性アンテナ500によれば、導体線路部520の長さまたは幅、あるいはこれら両方を調整することで、双指向性アンテナ500の整合状態における周波数特性を調整することができる。
【0103】
なお、整合状態調整部510の適用対象は、双指向性アンテナ100に限定されない。
例えば、整合状態調整部510が、双指向性アンテナ150に適用されていてもよい。この場合、整合状態調整部510は、整合状態調整部510の中央および長手方向が、誘電体160の中央および長手方向と一致するように、誘電体160の導体設置面(正面および裏面、もしくは何れか一方)に設置される。
【0104】
また、整合状態調整部510が、双指向性アンテナ200に適用されていてもよい。この場合、整合状態調整部510は、誘電体線路部210の両脇の面、あるいは両脇の面のうち何れか一方に設置される。ここでいう誘電体線路部210の両脇の面は、誘電体線路部210の長手方向に平行な面のうち、底面および上面以外の面である。
図5の例では、誘電体線路部210の面のうち、x軸に垂直な2つの面が、誘電体線路部210の両脇の面に該当する。整合状態調整部510を誘電体線路部210に設ける場合の説明では、誘電体線路部210の両脇の面、あるいは両脇の面のうち何れか一方を導体設置面と称する。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0105】
整合状態調整部510が、双指向性アンテナ200に適用される場合、整合状態調整部510が、誘電体線路部210に加えて、あるいは代えて、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230、もしくは何れか一方に設けられていてもよい。
整合状態調整部510を第1アンテナ部220に設ける場合、第1アンテナ部220の面のうち、誘電体線路部210の第1端210aに結合される面と反対側の面に、整合状態調整部510を設置することができる。
図5の例の場合、第1アンテナ部220の面で、座標軸yに直交する2つの面のうち、誘電体線路部210の第1端210aに結合される面と反対側の面(y座標値が小さい側の面)に整合状態調整部510が設置されていてもよい。整合状態調整部510を第1アンテナ部220に設ける場合の説明では、第1アンテナ部220の面のうち、誘電体線路部210の第1端210aに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0106】
整合状態調整部510を第2アンテナ部230に設ける場合、第2アンテナ部230の面のうち、誘電体線路部210の第2端210bに結合される面と反対側の面に、整合状態調整部510を設置することができる。
図5の例の場合、第2アンテナ部230の面で、座標軸yに直交する2つの面のうち、誘電体線路部210の第2端210bに結合される面と反対側の面(y座標値が大きい側の面)に整合状態調整部510が設置されていてもよい。整合状態調整部510を第2アンテナ部230に設ける場合の説明では、第2アンテナ部230の面のうち、誘電体線路部210の第2端210bに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0107】
また、整合状態調整部510が、双指向性アンテナ250に適用されていてもよい。この場合の整合状態調整部510の配置は、整合状態調整部510が双指向性アンテナ200に適用される場合と同様の配置とすることができる。整合状態調整部510が双指向性アンテナ250に適用される場合の説明における導体設置面は、整合状態調整部510が双指向性アンテナ200に適用される場合の説明における導体設置面と同様である。
整合状態調整部510が双指向性アンテナ250に適用される場合、整合状態調整部510が、誘電体線路部210の両脇の面、あるいは両脇の面のうち何れか一方(導体設置面)に設置されていてもよい。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0108】
整合状態調整部510が双指向性アンテナ250に適用される場合、整合状態調整部510が、誘電体線路部210に加えて、あるいは代えて、第1アンテナ部220および第2アンテナ部230、もしくは何れか一方に設けられていてもよい。
整合状態調整部510を第1アンテナ部220に設ける場合、第1アンテナ部220の面のうち、誘電体線路部210の第1端210aに結合される面と反対側の面(導体設置面)に、整合状態調整部510を設置することができる。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0109】
整合状態調整部510を第2アンテナ部230に設ける場合、第2アンテナ部230の面のうち、誘電体線路部210の第2端210bに結合される面と反対側の面(導体設置面)に、整合状態調整部510を設置することができる。
この場合、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、整合状態調整部510を設置することができる。
【0110】
また、整合状態調整部510が、偏波共用アンテナ300に適用されていてもよい。この場合、整合状態調整部510は、第1双指向性アンテナ101および第2双指向性アンテナ102、もしくは何れか一方に設置される。第1双指向性アンテナ101における整合状態調整部510の配置は、双指向性アンテナ100における整合状態調整部510の配置と同様である。第2双指向性アンテナ102における整合状態調整部510の配置は、双指向性アンテナ100における整合状態調整部510の配置と同様である。
【0111】
整合状態調整部510が第1双指向性アンテナ101に設置される場合の説明では、
図1および
図2における双指向性アンテナ100の場合と同様に、第1誘電体111の面のうち、導体板920の第1平面920aに面して接する面を、第1誘電体111の底面と称し、底面と反対側の面を上面と称する。また、第1誘電体111の面のうち、底面および上面以外、かつ、第1誘電体111の長手方向と平行な面を、第1誘電体111の正面および裏面と称し、正面および裏面、もしくは何れか一方を導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第1双指向性アンテナ101の導体設置面に設置されていてもよい。
【0112】
整合状態調整部510が第2双指向性アンテナ102に設置される場合の説明では、
図1および
図2における双指向性アンテナ100の場合と同様に、第2誘電体112の面のうち、導体板920の第2平面920bに面して接する面を、第2誘電体112の底面と称し、底面と反対側の面を上面と称する。また、第2誘電体112の面のうち、底面および上面以外、かつ、第2誘電体112の長手方向と平行な面を、第2誘電体112の正面および裏面と称し、正面および裏面、もしくは何れか一方を導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第2双指向性アンテナ102の導体設置面に設置されていてもよい。
【0113】
また、整合状態調整部510が、偏波共用アンテナ400に適用されていてもよい。この場合、整合状態調整部510は、第1双指向性アンテナ201および第2双指向性アンテナ202、もしくは何れか一方に設置される。第1双指向性アンテナ201における整合状態調整部510の配置は、双指向性アンテナ200における整合状態調整部510の配置と同様である。第2双指向性アンテナ202における整合状態調整部510の配置は、双指向性アンテナ200における整合状態調整部510の配置と同様である。
【0114】
整合状態調整部510が第1双指向性アンテナ201に設置される場合、整合状態調整部510が、第1誘電体線路部211に設置されていてもよい。あるいは、整合状態調整部510が、第1誘電体線路部211に加えて、あるいは代えて、第1アンテナ部221および第2アンテナ部231、もしくは何れか一方に設けられていてもよい。
【0115】
整合状態調整部510が第1誘電体線路部211に設置される場合の説明では、
図5および
図6における双指向性アンテナ200の場合と同様に、第1誘電体線路部211の面のうち、導体板920の第1平面920aに面して接する面を、第1誘電体線路部211の底面と称し、底面と反対側の面を上面と称する。また、第1誘電体線路部211の長手方向に平行な面のうち、底面および上面以外の面を、第1誘電体線路部211の両脇の面と称する。第1誘電体線路部211の両脇の面、あるいは両脇の面のうち何れか一方を導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第1誘電体線路部211の導体設置面に設置されていてもよい。
【0116】
整合状態調整部510が第1アンテナ部221に設置される場合の説明では、第1アンテナ部221の面のうち、第1誘電体線路部211の第1端211aに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第1アンテナ部221の導体設置面に設置されていてもよい。
【0117】
整合状態調整部510が第2アンテナ部231に設置される場合の説明では、第2アンテナ部231の面のうち、第1誘電体線路部211の第2端211bに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第2アンテナ部231の導体設置面に設置されていてもよい。
【0118】
整合状態調整部510が第2双指向性アンテナ202に設置される場合、整合状態調整部510が、第2誘電体線路部212に設置されていてもよい。あるいは、整合状態調整部510が、第2誘電体線路部212に加えて、あるいは代えて、第3アンテナ部222および第4アンテナ部232、もしくは何れか一方に設けられていてもよい。
【0119】
整合状態調整部510が第2誘電体線路部212に設置される場合の説明では、
図5および
図6における双指向性アンテナ200の場合と同様に、第2誘電体線路部212の面のうち、導体板920の第2平面920bに面して接する面を、第2誘電体線路部212の底面と称し、底面と反対側の面を上面と称する。また、第2誘電体線路部212の長手方向に平行な面のうち、底面および上面以外の面を、第2誘電体線路部212の両脇の面と称する。第1誘電体線路部211の両脇の面、あるいは両脇の面のうち何れか一方を導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第2誘電体線路部212の導体設置面に設置されていてもよい。
【0120】
整合状態調整部510が第3アンテナ部222に設置される場合の説明では、第3アンテナ部222の面のうち、第2誘電体線路部212の第1端212aに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第3アンテナ部222の導体設置面に設置されていてもよい。
【0121】
整合状態調整部510が第4アンテナ部232に設置される場合の説明では、第4アンテナ部232の面のうち、第2誘電体線路部212の第2端212bに結合される面と反対側の面を、導体設置面と称する。
整合状態調整部510が、整合状態調整部510の長手方向が、導体設置面の長手方向と一致し、かつ、整合状態調整部510の長手方向の中央が、導体設置面の長手方向の中央と一致するように、第4アンテナ部232の導体設置面に設置されていてもよい。
【0122】
上述した整合状態調整部510の形状および配置は、上記と完全に一致する場合に限定されず、誤差が含まれていてもよい。整合状態調整部510以外のアンテナの各部の形状および配置についても、誤差が含まれていてもよい。
【0123】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0124】
100、150、200、250、500 双指向性アンテナ
101、201 第1双指向性アンテナ
102、202 第2双指向性アンテナ
110、160 誘電体
111 第1誘電体
112 第2誘電体
120 給電点
121 第1給電点
122 第2給電点
130 モノポールアンテナ
131 第1モノポールアンテナ
132 第2モノポールアンテナ
160a テーパー部
210 誘電体線路部
210a、211a、212a 第1端
210b、211b、212b 第2端
211 第1誘電体線路部
212 第2誘電体線路部
220、221 第1アンテナ部
230、231 第2アンテナ部
222 第3アンテナ部
232 第4アンテナ部
260 スロット
300、400 偏波共用アンテナ
510 整合状態調整部
520 導体線路部
530 第1導体部
540 第2導体部
910、920 導体板
910a 平面
920a 第1平面
920b 第2平面