IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

特開2022-128132通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法
<>
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図1
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図2
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図3
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図4
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図5
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図6
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図7
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図8
  • 特開-通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128132
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20220825BHJP
   H04B 10/272 20130101ALN20220825BHJP
【FI】
H04L12/44 B
H04L12/44 200
H04B10/272
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026494
(22)【出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和2年度総務省「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発 技術課題エ「モバイルフロントホール/バックホールの通信リソース管理技術」」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】更科 昌弘
【テーマコード(参考)】
5K033
5K102
【Fターム(参考)】
5K033AA01
5K033DA01
5K033DA15
5K033DB17
5K033DB22
5K033EA02
5K033EA06
5K102AA65
5K102AB12
5K102AL08
5K102AM03
5K102AM06
(57)【要約】
【課題】 光通信システム全体の遅延時間を考慮した上で子局装置に通信許可を与えるタイムスロットの間隔を制御できる通信制御装置が望まれている。
【解決手段】 本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、子局装置を収容する親局装置と、親局装置と接続する集線装置と、上りパケットの通信許可を与えるスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備えるシステムにおける通信制御装置であって、上りパケットの受信時刻及び集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻から子局装置から集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、遅延時間中の最小遅延時間と、光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理遅延時間を算出する第1手段と、信号処理遅延時間と、目標遅延時間とに基づき、スロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2手段と備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおいて、
前記子局装置は、
前記第1のノードから送信された前記上りパケットの受信時刻を付与するタイムスタンプ付与手段とを備え、
前記親局装置は、
前記受信時刻を読み取るタイムスタンプ読取手段と、
前記通信制御装置から通知された遅延調整情報を用いて、前記子局装置に割り当てる前記タイムスロットの間隔を更新する帯域制御手段と、
前記第1のノード及び第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間を計測する伝送時間計測手段とを備え、
前記集線装置は、
前記上りパケットを前記第2のノードへ送信した送信時刻を計測するパケット送信時刻計測手段とを備え、
前記通信制御装置は、
前記上りパケットの前記受信時刻及び前記送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する前記遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける通信制御装置であって、
前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と
備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に搭載されるコンピュータを、
前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と
して機能させることを特徴とする通信制御プログラム。
【請求項5】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に使用する通信制御方法であって、
第1の遅延制御手段は、前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出し、
第2の遅延制御手段は、前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する
ことを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)以降のモバイルサービスでは、高密度に配置された膨大な数の無線基地局を効率的に収容するために、モバイルアクセスネットワーク(モバイルフロントホール、モバイルバックホール)にPON(Passive Optical Network)システムを適用した構成が検討されている。PONのトポロジーによって必要な光ファイバ数を削減でき、また、光コネクタ数も削減できることから収容局での省スペース化が期待できる。
【0003】
しかしながら、PONシステムの特徴として、PON子局である複数のONU(Optical Network Unit)に対して、一定時間ごとに上り方向の送信許可を与えているため(動的帯域割当機能;DBA(Dynamic Bandwidth Allocation))、ONUにおいて、上りパケットの送信待ち時間が発生する。これにより、遅延制約が厳しいモバイルアクセスネットワークへPONシステムを適用するには、何らかしらの低遅延化が必須となる。
【0004】
低遅延化の方法として、上り送信許可を与えるタイムスロットを、1DBA周期中に複数回割り当てることで、上記送信待ち時間を制御する方法が検討されてきた(例えば、非特許文献1、2)。この方式では、タイムスロットの割り当て間隔を最大遅延時間と同じくすることで、上りパケットの送信待ち時間を最大でも設定した遅延時間内に抑えることができる。この低遅延化方式は、遅延発生要素の内、上りパケットの送信待ち時間に対して、効果が期待できる
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“First Demonstration of an Ultra-Low-Latency Fronthaul Transport Over a Commercial TDM-PON Platform”,Tu2K. 3, OFC 2018
【非特許文献2】“MFH向け低遅延TDM-PONシステムの上り帯域割当の最適化提案”,B-8-21, 2018年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、その他の遅延発生要素としては、PON区間の光ファイバ伝送による遅延と、ONU、OLT(Optical Line Terminal;PON親局)装置や集線用スイッチの信号処理遅延が考えられる。つまり、上記低遅延化方式を実際に利用する場合、伝送遅延と信号処理遅延も考慮してパラメータを設定する必要がある。
【0007】
そのため、子局装置に通信許可を与えるタイムスロットの間隔を制御する方式において、全体の遅延時間を考慮した上で効率的にタイムスロットの間隔を制御できる通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおいて、(1)前記子局装置は、前記第1のノードから送信された前記上りパケットの受信時刻を付与するタイムスタンプ付与手段とを備え、(2)前記親局装置は、(2-1)前記受信時刻を読み取るタイムスタンプ読取手段と、(2-2)前記通信制御装置から通知された遅延調整情報を用いて、前記子局装置に割り当てる前記タイムスロットの間隔を更新する帯域制御手段と、(2-3)前記第1のノード及び第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間を計測する伝送時間計測手段とを備え、(3)前記集線装置は、前記上りパケットを前記第2のノードへ送信した送信時刻を計測するパケット送信時刻計測手段とを備え、(4)前記通信制御装置は、(4-1)前記上りパケットの前記受信時刻及び前記送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(4-2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する前記遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける通信制御装置であって、(1)前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と備えることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の通信制御プログラムは、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に搭載されるコンピュータを、(1)前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
第4の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に使用する通信制御方法であって、(1)第1の遅延制御手段は、前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出し、(2)第2の遅延制御手段は、前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、子局装置に通信許可を与えるタイムスロットの間隔を制御する方式において、全体の遅延時間を考慮した上で効率的にタイムスロットの間隔を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係るPON親局装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るPON子局装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る上位集線装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に係るPONシステムにおいて1DBA周期中に割り当てるタイムスロット(タイムスタンプ幅、タイムスタンプ間隔)を示す説明図である。
図6】実施形態に係るPONシステムの特徴動作を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係るPON親局装置及び上位集線装置からPON制御装置に通知したパラメータの一例を示す説明図である。
図8】実施形態に係るPON子局装置から上位集線装置までの間に発する遅延量(遅延時間)の分布を示す説明図である。
図9】実施形態に係るPONシステムの遅延量の改善効果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)主たる実施形態
以下、本発明に係る通信システム、通信制御装置、通信制御プログラム、及び通信制御方法の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(A-1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、通信システム1は、無線ユニット(RU;Radio Unit)10及び分散ノード(DU;Distribute Unit)20と、モバイルの集約ノード(CU;Central Unit)70と、両者の間に適用されるPONシステム2とを備える。従来、分散ノード20と集約ノード70の間は、光ファイバを1対1で配線していたが、PONシステム2を適用した場合、スター型の光ファイバ配線となる。
【0017】
通信システム1は、この実施形態では、モバイルアクセスネットワークを前提とするが、これに限らず、例えば、FTTH(Fiber To The Home)サービスにも適用できる。この実施形態では、PONシステム2に特徴を有するので、以下では、PONシステム2を中心に説明を行う。
【0018】
PONシステム2は、PON子局装置30(30-1~30-n)と、PON親局装置40(30-1~30-m)と、上位集線装置50と、PON制御装置60とを備える。各PON子局装置30及びPON親局装置40の数は特にされず、任意の数を適用できる。以下では、各PON子局装置30(30-1~30-n)及びPON親局装置40(30-1~30-m)を区別する必要が無い場合には、枝番(-)を省略して、単にPON子局装置30、PON親局装置40と記載するものとする。
【0019】
図2は、実施形態に係るPON親局装置の内部構成を示すブロック図である。図2において、PON親局装置40は、MAC処理部41と、DBA処理部42と、トランシーバ43と、通信インタフェース44と、RTT計測部45とを備える。
【0020】
実施形態に係るPON親局装置は、図2に示す各構成部を搭載した専用のICチップ等のハードウェアとして構成しても良いし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成して良いが、機能的には、図2で表すことができる。
【0021】
MAC処理部11は、PONシステムのMACレイヤーの処理(親局の処理)を行うものである。また、MAC処理部11は、PON子局装置30からの上りパケットのタイムスタンプ(上りパケットがPON子局装置30に到着した時刻)を読み取るタイムスタンプ読取部411を有する。
【0022】
DBA処理部42は、PON子局装置30に対して通信帯域を割当てる計算(以下、「DBA計算」とも呼ぶ)を行うものである。DBA処理部42は、動的に、各PON子局装置30に対して割当てる上り通信の帯域(タイムスロット)を決定し、決定した内容をMAC処理部11に通知する。上述のMAC処理部11は、DBA処理部42の帯域割当処理の結果に従って配下のONU50が帯域制御するように制御する。
【0023】
DBA処理部42は、PON制御装置60から通知された遅延調整(タイムスロット間隔)に従い、次回のDBA計算におけるタイムスロット制御を行う。DBA処理部42は、PON制御装置60の遅延調整に必要なデータ(後述する目標遅延時間、タイムスロット幅、RTT計測部45で計測したRTT)をPON制御装置60に通知する。DBA処理部42がPON制御装置60と連携して行う低遅延化処理の詳細については動作の項で述べる。
【0024】
トランシーバ43は、光/電気変換手段と、電気/光変換手段とを備えて構成される。光/電気変換手段は、上り光信号を上り電気信号に変換する。光/電気変換手段として、例えば、PD(Photo Diode)を用いることができる。電気/光変換手段は、下り電気信号を下り光信号に変換する。電気/光変換手段として、例えば、LD(Laser Diode)を用いることができる。
【0025】
通信インタフェース44は、PON制御装置60と接続するための通信インタフェースである。通信インタフェース44の通信規格は特に限定されず、例えば、イーサネット等を適用できる。
【0026】
RTT計測部45は、DBA処理部42の指示に従い、RTT(ラウンドトリップタイム)を計測するものである。
【0027】
図3は、実施形態に係るPON子局装置の内部構成を示すブロック図である。図3において、PON子局装置30は、MAC処理部31と、トランシーバ32とを備える。
【0028】
実施形態に係るPON子局装置は、図3に示す各構成部を搭載した専用のICチップ等のハードウェアとして構成しても良いし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成して良いが、機能的には、図3で表すことができる。
【0029】
MAC処理部11は、PONシステムのMACレイヤーの処理(子局の処理)を行うものである。また、MAC処理部11は、上りパケットに対して到着時刻(言い換えれば、上りパケットの受信時刻)のタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与部311を有する。タイムスタンプの付与(書き込み)は、例えば、PONヘッダー内の予備領域を使用する。
【0030】
トランシーバ32は、上述のトランシーバ43と同様である。
【0031】
図4は、実施形態に係る上位集線装置の内部構成を示すブロック図である。図4において、上位集線装置50は、複数のPON親局装置40と接続する各ポート51と、上位(集約ノード70)に通じる集線部52と、通信インタフェース53と、送信時刻計測部54とを備える。
【0032】
実施形態に係る上位集線装置は、図4に示す各構成部を搭載した専用のICチップ等のハードウェアとして構成しても良いし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成して良いが、機能的には、図4で表すことができる。
【0033】
集線部52は、上りパケットに付与されたタイムスタンプを削除した上で、集約ノード70にパケットを送信する。
【0034】
通信インタフェース53は、上述の通信インタフェース44と同様である。
【0035】
送信時刻計測部54は、上りパケットを集約ノード70に送信した時刻を計測するものである。送信時刻計測部54は、計測した上りパケットの送信時刻をPON制御装置60に通知する。
【0036】
PON制御装置60は、図1に示すように、PON親局装置40及び上位集線装置50と接続し、遅延制御部61を備える。
【0037】
実施形態に係るPON制御装置は、図1に示す各構成部を搭載した専用のICチップ等のハードウェアとして構成しても良いし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成して良いが、機能的には、図1で表すことができる。また、PONシステム2では、PON制御装置60は、独立した構成としたが、PON親局装置40又は上位集線装置50内に本装置(本装置の機能)を搭載しても良い。
【0038】
遅延制御部61は、PON親局装置40から通知された上りパケットの到着時刻(受信時刻)と、上位集線装置50から通知された上りパケットの送信時刻(受信時刻)等のパラメータに基づき、パケットの遅延量(遅延時間)を把握する。続いて、遅延制御部61は、遅延量分布から最小の遅延時間を特定し、特定した最小の遅延時間を用いて信号処理に係る信号処理遅延時間を算出する。そして、遅延制御部61は、信号処理遅延時間と、上りパケット待ち時間に対する目標遅延時間とから上りパケットの待ち時間を制御する最適なタイムスロット間隔を求める。これ以上の遅延制御部61の詳細については動作の項で述べる。
【0039】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する実施形態に係るPONシステム2の動作を説明する。
【0040】
(A-2-1)従来方式との相違
PONシステム2の特徴動作の説明に先立って、従来の上りパケットのタイムスロットの間隔制御について説明を行う。図5は、実施形態に係るPONシステムにおいて1DBA周期中に割り当てるタイムスロットを示す説明図である。
【0041】
図5において、Tは、上りパケットの送信待ち時間の目標遅延時間である。Tは、以下の(1)式で表すことができる。
=t1+t2 …(1)
【0042】
上記(1)式において、t1は、割り当てる帯域サイズによって決まるタイムスロット幅である。一方、t2は、タイムスロットの間隔である。従来方式では、t2は、T-t1で決定していた。
【0043】
PONシステム2では、上りパケットの遅延時間の実測値から、信号処理遅延時間を求め、この時間を考慮してt2を最適化することを特徴としている。
【0044】
(A-2-2)PONシステム2の特徴動作
図6は、実施形態に係るPONシステムの特徴動作を示すフローチャートである。以下のステップS101~S105の処理と、ステップS106~S108の処理は同時並行的に実行される。
【0045】
PON子局装置30は、下位(RU10及びDU20)から送信された上りパケットに対して、タイムスタンプ(受信時刻(T))を付与する(S101)。
【0046】
PON親局装置40は、PON子局装置30から送信された上りパケット(例えば、ヘッダー)からタイムスタンプ(T)を読み取る(S102)。
【0047】
PON親局装置40は、読み取った受信時刻(T)を、通信インタフェース44を介してPON制御装置60に通知する(S103)。
【0048】
上位集線装置50は、送信時刻計測部54を用いて、集線部52を介して集約ノード70へ送信された上りパケットの送信時刻(T)を計測する(S104)。
【0049】
上位集線装置50は、計測した上りパケットの送信時刻(T)を、通信インタフェース53を介してPON制御装置60に通知する(S105)。
【0050】
図7は、実施形態に係るPON親局装置及び上位集線装置からPON制御装置に通知したパラメータの一例を示す説明図である。図7において、パラメータ表200は、上りパケットを識別する「パケットID」と、PON子局装置30が上りパケットを受信した時刻である「受信時刻(T)」と、上位集線装置50が計測した上りパケットの送信時刻である「送信時刻(T)」とを備える。
【0051】
上記パケットIDは、上りパケットの出所が識別できれば良く、例えば、パケットIDとしては、VLAN-IDを適用して良い。PON親局装置40、上位集線装置50が受信時刻(T)、送信時刻(T)と共に、パケットIDを付与して送信することにより、PON制御装置60は、各装置から送信されたパラメータを関連付けて取り扱うことができる。
【0052】
一方、PON親局装置40は、RTT計測部45で計測したPON区間のRTTをPON制御装置60に通知する(S106)。
【0053】
PON親局装置40は、DBA処理部42で算出したタイムスロット幅(t1)をPON制御装置60に通知する(S107)。DBA処理部42が行うDBA計算(t1の算出等)は、種々様々な既存技術を適用できる。
【0054】
PON親局装置40は、DBA処理部42で管理する目標遅延時間(T)をPON制御装置60に通知する(S108)。なお、目標遅延時間(T)は、提供するサービスが必要とする値であり、運用条件を決定する段階で定まるもの(所定値)である。
【0055】
PON制御装置60(遅延制御部61)は、取得した受信時刻(T)と、送信時刻(T)とからPON子局装置30から上位集線装置50までに発生する遅延量(遅延時間)を求める(S109)。
【0056】
図8は、実施形態に係るPON子局装置から上位集線装置までの間に発する遅延量(遅延時間)の分布を示す説明図である。
【0057】
図8の遅延量分布図300では、遅延時間の最大値、及び最小値及び平均値を含む遅延量分布301が示されている。遅延時間は、伝送遅延時間(T)と送信待ち時間(T)と信号処理遅延時間(T)との合計値(T+T+T)となる。
【0058】
このうち、伝送遅延時間(T)と信号処理遅延時間(T)は固定の値となる。一方、送信待ち時間(T)は、上りパケットが送信できるタイミングによって大きく揺らぐ。そのため、複数回測定を行い最大と最小の分布を把握する。遅延制御部61では、遅延分布(図8の遅延量分布図300)から、最小の遅延時間(Tmin)を特定する。
【0059】
遅延制御部61は、最小の遅延時間(Tmin)に基づき、信号処理遅延(Tp)を算出する(S110)。Tminの値は、上りパケットが待ち時間がなく送信できた(T=0)とみなせるため、Tmin=T+Tとなる。そして、Tは、以下の(2)式により算出できる。
=Tmin-T …(2)
【0060】
上記(2)式において、Tは、DBA処理部42から通知される値(RTT)を適用するものとする。
【0061】
遅延制御部61は、上記(2)式により算出した信号処理遅延時間(T)と、目標遅延時間(T)とを用いて、最適なタイムスロット間隔(t2)を求める(S111)。タイムスロット間隔(t2)は、タイムスロット間隔(t2)と信号処理遅延(T)の合計値が目標遅延時間(T)以下になればよいので(t2+T<T)、以下の(3)式から求まる。以下の(3)式を満たすt2が最適なタイムスロット間隔となる。
t2<T-T …(3)
【0062】
遅延制御部61は、上記(3)式で算出したタイムスロット間隔(t2)をPON親局装置40(DBA処理部42)に通知する(S112)。
【0063】
DBA処理部42は、遅延制御部61から通知されたタイムスロット間隔(t2)に基づき、次回のDBA計算において、タイムスロット間隔を更新する(S113)。
【0064】
本実施形態の方式では、遅延量(遅延時間)の分布を把握する必要があるため、運用開始時は、従来と同様に、t2=TD-t1で決まるタイムスロット間隔を用いる。その後、遅延量の分布を把握し、遅延量の最小値を特定できた段階で、上記(3)式で算出した値を使用する。これにより、最大遅延量を目標遅延時間以下に抑えることができる。
【0065】
(A-3)実施形態の効果
本発明によれば、PONシステム2は、信号処理遅延時間を考慮して上りパケットの送信待ち時間を制御できるようなった。図9は、実施形態に係るPONシステムの遅延量の改善効果を示す説明図である。図9において、遅延量分布図400では、従来方式による遅延量分布401と、本実施形態に係る方式による遅延量分布402が示されている。遅延量分布401では、最大の遅延時間が目標遅延時間(T)を超過しているが、遅延量分布402では、最大の遅延時間が目標遅延時間以下に抑えることができている。
【符号の説明】
【0066】
1…通信システム、2…PONシステム、10…無線ユニット、11…MAC処理部、20…分散ノード、30…PON子局装置、31…MAC処理部、32…トランシーバ、40…PON親局装置、41…MAC処理部、42…DBA処理部、43…トランシーバ、44…通信インタフェース、45…RTT計測部、50…上位集線装置、51…ポート、52…集線部、53…通信インタフェース、54…送信時刻計測部、60…PON制御装置、61…遅延制御部、70…集約ノード、200…パラメータ表、300、400…遅延量分布図、301、401、402…遅延量分布、311…タイムスタンプ付与部、411…タイムスタンプ読取部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおいて、
前記子局装置は、
前記第1のノードから送信された前記上りパケットの受信時刻を付与するタイムスタンプ付与手段とを備え、
前記親局装置は、
前記受信時刻を読み取るタイムスタンプ読取手段と、
前記通信制御装置から通知された遅延調整情報を用いて、前記子局装置に割り当てる前記タイムスロットの間隔を更新する帯域制御手段と、
前記第1のノード及び第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間を計測する伝送時間計測手段とを備え、
前記集線装置は、
前記上りパケットを前記第2のノードへ送信した送信時刻を計測するパケット送信時刻計測手段とを備え、
前記通信制御装置は、
前記上りパケットの前記受信時刻及び前記送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する前記遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段とを備え
前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける通信制御装置であって、
前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と備え
前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値である
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に搭載されるコンピュータを、
前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、
前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段として機能させ
前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値である
ことを特徴とする通信制御プログラム。
【請求項4】
第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に使用する通信制御方法であって、
第1の遅延制御手段は、前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出し、
第2の遅延制御手段は、前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出し、
前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値である
ことを特徴とする通信制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおいて、(1)前記子局装置は、前記第1のノードから送信された前記上りパケットの受信時刻を付与するタイムスタンプ付与手段とを備え、(2)前記親局装置は、(2-1)前記受信時刻を読み取るタイムスタンプ読取手段と、(2-2)前記通信制御装置から通知された遅延調整情報を用いて、前記子局装置に割り当てる前記タイムスロットの間隔を更新する帯域制御手段と、(2-3)前記第1のノード及び第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間を計測する伝送時間計測手段とを備え、(3)前記集線装置は、前記上りパケットを前記第2のノードへ送信した送信時刻を計測するパケット送信時刻計測手段とを備え、(4)前記通信制御装置は、(4-1)前記上りパケットの前記受信時刻及び前記送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(4-2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する前記遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段とを備え、(4-3)前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
第2の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける通信制御装置であって、(1)前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段と備え、(3)前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値であることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第3の本発明の通信制御プログラムは、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に搭載されるコンピュータを、(1)前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出する第1の遅延制御手段と、(2)前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出する第2の遅延制御手段として機能させ、(3)前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値であることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第4の本発明は、第1のノードを収容する子局装置と、前記子局装置を収容する親局装置と、前記親局装置と接続するネットワーク上位の集線装置と、前記親局装置が前記子局装置に上りパケットの通信許可を与えるタイムスロットの遅延調整を行う通信制御装置とを備える通信システムにおける当該通信制御装置に使用する通信制御方法であって、(1)第1の遅延制御手段は、前記子局装置が前記上りパケットを受信した受信時刻及び前記集線装置が上りパケットを第2のノードへ送信した送信時刻のデータ群から前記子局装置から前記集線装置までに発生する遅延時間を把握した上で、前記遅延時間中の最小遅延時間と、前記第1のノード及び前記第2のノード間に適用される光通信区間の伝送時間とに基づき、信号処理に伴い遅延した時間である信号処理遅延時間を算出し、(2)第2の遅延制御手段は、前記信号処理遅延時間と、前記上りパケットの送信待ち時間に対する目標遅延時間とに基づき、前記タイムスロットの間隔を制御する遅延調整情報を算出し、(3)前記遅延調整情報は、前記タイムスロットの間隔を示す時間であり、前記目標遅延時間から前記信号処理遅延時間を差し引いた値以下の最適値であることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
MAC処理部1は、PONシステムのMACレイヤーの処理(親局の処理)を行うものである。また、MAC処理部1は、PON子局装置30からの上りパケットのタイムスタンプ(上りパケットがPON子局装置30に到着した時刻)を読み取るタイムスタンプ読取部411を有する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
MAC処理部1は、PONシステムのMACレイヤーの処理(子局の処理)を行うものである。また、MAC処理部1は、上りパケットに対して到着時刻(言い換えれば、上りパケットの受信時刻)のタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与部311を有する。タイムスタンプの付与(書き込み)は、例えば、PONヘッダー内の予備領域を使用する。