(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128148
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】情報収集装置、情報収集プログラム及び情報収集方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026518
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆介
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍治
(72)【発明者】
【氏名】木下 航
(72)【発明者】
【氏名】秋山 悟
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA02
3C223AA05
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF03
3C223FF14
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF34
3C223FF42
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報の原因の調査用情報を効率よく収集する。
【解決手段】情報収集装置は、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信する受信部と、受信部が受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する収集部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する収集部と、
を備える、
情報収集装置。
【請求項2】
前記収集部は、警報と、調査用情報の収集手順とを対応付けた異常対応手順テーブルを参照することによって、前記調査用情報を収集する、
請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記受信部が受信した警報の前記調査用情報の収集を、当該警報の受信時から一定期間が経過した後に開始する、
請求項1又は2に記載の情報収集装置。
【請求項4】
前記警報は、制御ステーションの部位の種類を示す部位情報及び部位の場所を示すロケーション情報が組み合わされたアービトレーションに対応付けて識別され、
前記部位情報は、
制御ステーションが接続された制御バスを指し示す情報、
制御ステーション内のCPUカードを指し示す情報、
制御ステーション内のI/Oネスト全体を指し示す情報、及び、
制御ステーション内のI/Oモジュールを指し示す情報、
の少なくとも1つを含み、
前記ロケーション情報は、
複数の制御ステーションをドメインごとに区画する制御バスのドメインの場所を指し示す情報、
ドメイン内の制御ステーションの場所を指し示す情報、
制御ステーション内の冗長化CPUにおける稼働中CPU又は待機中CPUの場所を指し示す情報、
制御ステーション内のI/O系統の場所を指し示す情報、
制御ステーション内のI/Oネストの場所を指し示す情報、
I/Oネスト内のI/O装置ユニットの場所を指し示す情報、及び、
I/O装置ユニット内のスロットの場所を指し示す情報、
の少なくとも1つを含み、
前記収集部は、前記受信部が受信した警報のアービトレーションに基づいて特定された制御ステーションの部位から、前記調査用情報を収集する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項5】
前記受信部が受信した警報と、アービトレーションと、カウント時間とを対応付けて警報管理テーブルに登録する登録部を備え、
前記収集部は、前記警報管理テーブルに登録されカウント時間がカウントダウン中の警報の前記調査用情報は収集しない、
請求項4に記載の情報収集装置。
【請求項6】
前記カウント時間は、対応する警報の前記調査用情報の収集を遅らせるためのDelay時間であり、
前記登録部は、前記警報管理テーブルに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報と同一の警報を、前記警報管理テーブルに上書き登録し、
前記上書き登録は、カウントダウン中のDelay時間をリセットすることを含み、
前記収集部は、Delay時間のカウントダウンが終了した警報の前記調査用情報を収集する、
請求項5に記載の情報収集装置。
【請求項7】
前記同一の警報は、同一のアービトレーションに対応付けて識別され、
前記登録部は、前記警報管理テーブルに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと同一のアービトレーションの警報を、前記警報管理テーブルに上書き登録する、
請求項6に記載の情報収集装置。
【請求項8】
前記カウント時間は、互いに関連性を有する警報を無視するための不感帯時間であり、
前記登録部は、前記警報管理テーブルに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報と関連性を有する警報は、前記警報管理テーブルに登録せず、
前記収集部は、不感帯時間のカウントダウンが終了した警報の前記調査用情報は収集しない、
請求項5に記載の情報収集装置。
【請求項9】
前記互いに関連性を有する警報は、互いに関連するアービトレーションに対応付けて識別され、
前記登録部は、前記警報管理テーブルに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと関連するアービトレーションの警報は、前記警報管理テーブルに登録しない、
請求項8に記載の情報収集装置。
【請求項10】
前記受信部が受信した警報から監視対象の警報を選定する選定部を備え、
前記登録部は、前記選定部が選定した警報を前記警報管理テーブルに登録する、
請求項5~9のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項11】
前記収集部は、受信部が受信した複数の警報と、学習済みモデルとを用いて特定した警報の前記調査用情報を収集し、
前記学習済みモデルは、複数の警報に対応するデータが入力されると、前記調査用情報の収集対象とすべき警報を特定するデータを出力する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項12】
コンピュータに、
プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信し、
受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する、
処理を実行させる情報収集プログラム。
【請求項13】
情報収集装置が、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信することと、
前記情報収集装置が、受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集することと、
を含む、
情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報収集装置、情報収集プログラム及び情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を管理する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
警報が受信されると、従来は、エンジニアが現地に行って警報の原因の調査用情報を収集していた。この場合、例えば、エンジニアの移動に時間を要するため、適切な情報をタイムリーに収集できなかったり、環境条件等によりそのような移動が困難であったりするという問題がある。従って、効率のよい情報収集技術に対する要望が存在する。
【0005】
本発明は、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報の原因の調査用情報を効率よく収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る情報収集装置は、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信する受信部と、受信部が受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する収集部と、を備える。
【0007】
一側面に係る情報収集プログラムは、コンピュータに、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信し、受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する、処理を実行させる。
【0008】
一側面に係る情報収集方法は、情報収集装置が、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報を受信することと、情報収集装置が、受信した警報に基づいて特定された制御ステーションの部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラント用の制御ステーションに関する異常を示す警報の原因の調査用情報を効率よく収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報収集装置の概略構成の例を示す図である。
【
図2】操作監視端末の概略構成の例を示す図である。
【
図7】カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
【
図8】カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
【
図9】カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
【
図10】カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
【
図11】カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
【
図12】操作監視端末において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【
図13】操作監視端末において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【
図14】操作監視端末において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【
図15】変形例に係る操作監視端末の概略構成の例を示す図である。
【
図16】学習済みモデルの概略構成の例を示す図である。
【
図17】操作監視端末のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る情報収集装置の概略構成の例を示す図である。実施形態に係る情報収集装置を、操作監視端末5と称し図示する。操作監視端末5は、プラント1の監視等のために用いられる。
【0013】
プラント1は、生成物を得るためのさまざまな施設を備える工場等である。生成物の例は、LNG(液化天然ガス)、樹脂(プラスチック、ナイロン等)、化学製品等である。施設の例は、工場施設、機械施設、生産施設、発電施設、貯蔵施設、石油、天然ガス等を採掘する井戸元における施設等である。
【0014】
プラント1のさまざまな場所に、フィールド機器2が設けられる。フィールド機器2は、無線通信及び/又は有線等によって、制御ステーション3等の他の装置と通信可能に構成される。フィールド機器2は、例えば、センサ機器及び操作機器に大別(分類)される。センサ機器は、例えば物理量を取得(検出、測定等)する機器である。センサ機器の例は、圧力センサ、温度センサ、流量センサ、pHセンサ、速度センサ、加速度センサ等である。操作機器は、例えば物理量を操作する機器である。操作機器の例は、バルブ、ポンプ及びファン等であり、モータ及びアクチュエータ等によって駆動される。
【0015】
制御ステーション3は、プラント1を制御するプラント用の制御ステーションである。制御の例は、プラント1の運転制御である。そのような制御ステーション3は、運転制御装置等とも称される。例えば、制御ステーション3は、プラント1が所望の状態で稼働するように、プラント1の運転を制御する。
【0016】
運転制御の例について述べる。例えば、制御ステーション3は、プロセス値PVを設定値SVに近づけるように、操作値MVを制御する。プロセス値PVは、プラント1におけるプロセスの状態を示すデータである。プロセス値PVは、例えば対応するフィールド機器2によって取得される。プロセス値PVの例は、圧力、温度、流量、pH値、速度及び加速度等である。設定値SVは、プラント1におけるプロセス値PVの目標を示すデータ(目標値)である。設定値SVは、例えば制御ステーション3に与えられ、プラント1の制御に供される。設定値SVの例は、プロセス値PVと同様に、圧力、温度、流量、pH、速度及び加速度等である。操作値MVは、プラント1における操作を示すデータである。操作値MVは、例えば対応するフィールド機器2から取得されたり、制御ステーション3から対応するフィールド機器2に与えられたりする。与えられた操作値MVに従って、フィールド機器2が動作する。操作値MVの例は、バルブ操作量(例えばバルブ開度)、ポンプ操作量及びファン操作量等である。
【0017】
図1に例示されるように、プラント1に対して、複数の制御ステーション3が設けられてよい。各制御ステーション3は、プラント1の対応する部分の運転制御を担当する。例えば、各制御ステーション3は、対応するフィールド機器2からデータを取得したり、対応するフィールド機器2にデータを送信したりする。制御ステーション3の数及び各制御ステーション3に対応するフィールド機器2の数は、任意に定められてよい。各制御ステーション3と各フィールド機器2とが1:1で対応していてもよい。なお、各制御ステーション3は、プラント1内に配置されてもよい。
【0018】
制御ステーション3に対して、エンジニアリング端末4及び操作監視端末5が通信可能に接続される。この例では、制御ステーション3と、エンジニアリング端末4と、操作監視端末5とが、制御バスを介して接続される。制御バスは、データ伝送用に構築された専用のバス(ネットワーク等とも呼べる)である。
【0019】
制御バスによって伝送されるデータのいくつかは、プラント1の制御に用いられる。制御にはリアルタイム制御も含まれ得る。制御バスにおけるデータ伝送の欠落等の不具合を防ぐことは、極めて重要である。制御バスは、例えば専用に構築された特殊なネットワークであり、信頼性向上等の観点から二重化される(後述の
図3も参照)。二重化された制御バスは、2つの通信経路で同じデータを並列に送受信してよい。一方の通信経路に不具合等が発生しても、データの伝送(送受信)が維持される。そのような制御バスを構成するネットワークの例は、Vnet/IP(登録商標)等である。
【0020】
複数の制御ステーション3は、制御バスのドメインごとに区画されて配置されてよい。例えば、制御バスの各ドメインに対応する部屋ごとに、1つ以上の制御ステーション3が分かれて収容される。制御バスのドメインのうちのいくつかのドメインが、ドメインD1及びドメインD2として図示される。この例では、ドメインD1及びドメインD2それぞれに、2つ以上の制御ステーション3が対応付けられる。
【0021】
エンジニアリング端末4は、例えば制御ステーション3の立ち上げ、保守、運用等に用いられる。例えば、制御ステーション3の設定、ソフトウェアアップデート(後述のオフライン作業の一例)等の際に、エンジニアリング端末4が用いられる。
【0022】
操作監視端末5は、制御ステーション3からのデータに基づいて、また、ユーザ操作等にも基づいて、プラント1を監視する。例えば、操作監視端末5は、制御ステーション3に関する異常を示す警報を受信し、操作監視端末5のユーザ(オペレータ等)に提示する。以下、制御ステーション3に関する異常を示す警報を、単に「警報」という場合もある。
【0023】
本実施形態において、操作監視端末5は、警報の原因の調査(原因の特性、分析、解析等)に供することのできる情報を収集(取得等)する情報収集装置としての機能を有する。以下、そのような情報を、単に「調査用情報」、「警報の調査用情報」等という場合もある。
【0024】
図2は、操作監視端末の概略構成の例を示す図である。操作監視端末5は、受信部51と、記憶部52と、選定部53と、登録部54と、収集部55とを含む。端的に述べると、受信部51は、制御ステーション3からの警報を受信する。記憶部52は、操作監視端末5での処理に必要な情報を記憶する。選定部53は、受信部51が受信した警報を選定する。登録部54は、選定部53が選定した警報を登録する。収集部55は、登録部54が登録した警報の調査用情報を収集する。警報の受信及び調査用情報の収集は、制御バスによるデータ伝送を用いて行われる。以下、それぞれの部分について詳述する。
【0025】
受信部51は、警報を受信する。警報は、例えば、警報ID(No)と、警報内容を記述するメッセージ内容とを含む。一実施形態において、警報は、部位情報及びロケーション情報の組み合わせによって識別される。部位情報は、制御ステーション3の部位の種類を示す。ロケーション情報は、制御ステーション3の部位の場所を示す。以下、部位情報及びロケーション情報の組み合わせを、「アービトレーション」と称する。
【0026】
図3は、アービトレーションの例を示す図である。
図3の左側には、制御ステーション3の外観例が示され、各部位の種類を示す部位情報のうち、「CPUカード」、「I/Oネスト全体」、「I/Oモジュール」及び「制御バス」が例示される。
【0027】
部位情報「CPUカード」は、制御ステーション3内のCPUカードを指し示す情報である。なお、以下では、CPUカードを、単に「CPU」という場合もある。CPUは、プラント1の制御に必要な演算処理等を担う。プラント1の制御の欠落等の不具合を防ぐことの重要性の観点から、制御ステーション3は、CPUを冗長化(例えば二重化)するために、複数のCPUを含む。二重化されたCPUのうちの一方のCPUは稼働し、他方のCPUは待機する。稼働中CPUに異常が発生すると、その異常を示す警報が発生するとともに、待機中CPUが稼働中CPUに切り替わる。
【0028】
部位情報「I/Oネスト全体」は、制御ステーション3内のI/Oネスト全体を指し示す情報である。I/Oネストは、複数のI/Oモジュールを含んで構成される。
【0029】
部位情報「I/Oモジュール」は、制御ステーション3内のI/Oモジュール(I/O装置ユニット)を指し示す情報である。I/Oモジュールは、制御ステーション3の制御に用いられる種々のデータの入出力等を担う。入力データの例は、フィールド機器2からのデータ、制御バスからの(操作監視端末5等からの)データ等である。出力データの例は、フィールド機器2へのデータ、制御バスへの(操作監視端末5等への)データ等である。
【0030】
部位情報「制御バス」は、制御ステーション3が接続された制御バスを指し示す情報である。部位情報「制御バス」は、制御バス(制御バス全体)を指し示す情報であってもよいし、制御バスのうちの制御ステーション3が接続された部分だけを指し示す情報であってもよい。
図3には、二重化された制御バスの2つの通信経路が模式的に示される。
【0031】
図3の右側には、制御ステーション3の部位の場所を示すロケーション情報のうち、「ドメイン」、「ステーション」、「CPU制御」、「I/O系統」、「I/Oノード」、「I/Oユニット」及び「I/Oスロット」が例示される。
【0032】
ロケーション情報「ドメイン」は、制御バスのドメインの場所(
図1のドメインD1、ドメインD2等)を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「ドメイン」は、番号(ドメインNo)で表される。
【0033】
ロケーション情報「ステーション」は、ドメイン内の制御ステーション3の場所を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「ステーション」は、番号(ステーションNo)で表される。
【0034】
ロケーション情報「CPU制御」は、制御ステーション3内の冗長化CPUにおける稼働中CPU及び待機中CPUの場所を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「CPU制御」は、稼働中(制御実行中)のCPU及び待機中のCPUのいずれか(冗長化CPUの制御/待機)で表される。
【0035】
ロケーション情報「I/O系統」は、制御ステーション3内のI/O系統の場所を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「I/O系統」は、番号(I/Oインタフェース系統No)で表される。
【0036】
ロケーション情報「I/Oノード」は、制御ステーション3内のI/Oネストの場所を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「I/Oノード」は、番号(I/OネストNo)で表される。
【0037】
ロケーション情報「I/Oユニット」は、制御ステーション3内のI/O装置ユニットの場所を指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「I/Oユニット」は、番号(I/O装置ユニットNo)で表される。
【0038】
ロケーション情報「I/Oスロット」は、制御ステーション3内のI/O装置ユニットのスロットを指し示す情報である。この例では、ロケーション情報「I/Oスロット」は、番号(I/O装置ユニットのスロットNo)で表される。
【0039】
例えば以上説明したような部位情報及びロケーション情報が、矛盾の無い範囲で適宜組み合わされ、アービトレーションを構成する。アービトレーションの例は、部位情報「CPU」とロケーション情報「CPU制御」の組み合わせ、部位情報「I/Oネスト全体」とロケーション情報「ドメイン」、「ステーション」の組み合わせ、部位情報「I/Oモジュール」とロケーション情報「ドメイン」、「ステーション」、「I/O系統」、「I/Oノード」、「I/Oユニット」、「I/Oスロット」の組み合わせ等である。
【0040】
図3に例示される部位情報及びロケーション情報以外にも、制御ステーション3の部位の種類を示すさまざまな情報が部位情報として扱われ、制御ステーション3の部位の場所を示すさまざまな情報がロケーション情報として扱われてよい。
【0041】
アービトレーションの用途の例について述べる。先にも述べたように、アービトレーションは、警報の識別に用いられてよい。例えば、警報(警報ID、メッセージ内容等)と、アービトレーションとの対応関係が予め定められており、その対応関係に基づいて、警報がアービトレーションによって識別される。また、アービトレーションは、制御ステーション3の部位の特定に用いられてよい。例えば、部位情報「CPU」及びロケーション情報「CPU制御」の組み合わせによって、制御ステーション3のCPUのうちの稼働中CPU及び待機中CPUのいずれのCPUであるのかまでが特定される。
【0042】
図2に戻り、記憶部52は、操作監視端末5において実行される処理に必要な種々の情報を記憶する。記憶部52に記憶される情報の例として、プログラム52a、監視対象警報テーブル53a、警報管理テーブル54a及び異常対応手順テーブル55aが例示される。プログラム52aは、コンピュータに操作監視端末5(情報収集装置)の処理を実行させるプログラム(情報収集プログラム)である。監視対象警報テーブル53a、警報管理テーブル54a及び異常対応手順テーブル55aについては後述する。
【0043】
選定部53は、受信部51が受信した警報から監視対象の警報を選定する。受信部51が受信する警報には、調査用情報を収集する必要性が極めて低い警報が含まれることも少なくない。例えばプラント1においてバルブの開閉操作がその運転制御の許容範囲内で行われた場合でも、そのことを示す情報が警報として発生しうる。このような警報の調査用情報を収集する必要性はほとんど存在しない。選定部53によって、そのような警報を取り除くように事前選定(フィルタリング)が行われる。選定は、例えば監視対象警報テーブル53aを参照することによって行われる。
【0044】
図4は、監視対象警報テーブルの例を示す図である。この例では、監視対象警報テーブル53aは、「警報」と、「監視要否」と、「カウント時間」とを対応付けて記述する。
【0045】
「警報」は、受信部51が受信した警報であり、図では「警報A」等として模式的に示される。「監視要否」は、その警報を監視対象とすべきか否か、より具体的には後述の情報収取の対象とすべきか否かを示す。監視要否が「要」の警報は、監視対象とされる。監視要否が「否」の警報は、監視対象とはされない。この例では、警報A及び警報Bが、監視対象とされる。警報Cは、監視対象からはずされる。
【0046】
「カウント時間」は、一部の警報を排除するために用いられる。原理は後述する。
図4には、カウント時間として、「Delay時間」及び「不感帯時間」が例示される。この例では、警報Aのカウント時間はDelay時間であり、その長さは20秒である。警報Bのカウント時間は不感帯時間であり、その長さは30秒である。カウント時間の警報への対応付け及びカウント時間の具体的な長さは、後述するように適宜設定される。
【0047】
カウント時間による警報排除について述べる。同一の或いは互いに関連性を有する一群の警報が連続して発生する場合がある。それらすべての警報の調査用情報を収集すると、情報量が多くなり、また、有益性でない情報(重複報等)の割合も増加する。有益でない情報が増加すると、警報の原因の特定等が困難になる。また、情報量が多くなると、その分、制御バスによって伝送されるデータ量が増加し、制御バスへの負担が大きくなる。先に述べたように制御バスには高い信頼性が要求されるので、制御バスへの負担はなるべく抑制する必要がある。こういった意味において、上述の一群の警報の少なくとも一部の警報を排除することが望ましい。一群の警報のいくつかの例について述べる。
【0048】
一群の警報の例は、CPUの故障に起因して発生する警報である。例えば、稼働中CPUが故障(fail)すると、警報が発生するとともに、待機中CPUが稼働中CPUに切り替わる。failしたCPUにおいては、自己診断が行われる。自己診断では、CPUが故障から復帰(recover)可能であるか否か等が確認される。復帰可能な場合、そのCPUが待機中CPUとなり、CPUの二重化が維持される。このような自己診断によって、CPUがfail及びrecoerを繰り返すチャタリングが生じうる。fail及びrecoverが繰り返される都度、同一の警報が発生する。このように繰り返し発生する警報は、CPUの故障に起因して発生する同一の一群の警報である。同一の警報は、同一のアービトレーションに対応付けて識別されうる。同一のアービトレーションは、この例では、部位情報「CPU」及びロケーション情報「CPU制御」の組み合わせである。
【0049】
上述のチャタリングに起因して発生するような一群の警報については、それらの警報のうちの1つの警報の調査用情報だけを収集し、残り警報は排除することが効率的である。また、調査用情報の収集は、チャタリングが収束してCPU動作が安定化した後で行うことが望ましい。例えば、受信部51による警報の受信時から一定期間が経過した後に、その警報の調査用情報の収集が開始されるとよい。一定期間は、チャタリングが収束するまでの期間に基づいて定められてよい。このような警報の排除に、Delay時間が利用される。Delay時間は、対応する警報の調査用情報の収集を遅らせるためのカウント時間として設定される。
【0050】
一群の警報の別の例は、オフライン作業(オフラインエンジニアリング作業)に起因して発生する警報である。オフライン作業は、例えば制御ステーション3のリセットを伴う作業であり、制御ステーション3によるプラント1の運転制御、例えばフィールド機器2との通信等は停止状態となる。オフライン作業の例は、制御ステーション3のソフトウェアアップデート等である。オフライン作業によって、例えば制御ステーション3の各部位の異常を示すさまざまな警報が発生する。例えば、I/Oモジュールに関して、I/Oモジュールへのデータベースダウンロードの開始を示すメッセージ内容の警報が発生する。この影響を受けて、I/Oモジュールの異常等を示す警報が発生する。CPUに関して、制御ステーションの停止等を示す警報が発生する。この影響を受けて、制御ステーション3の故障(fail)等を示す警報が発生する。これらの警報は、オフライン作業に起因して発生する互いに関連性を有する一群の警報である。
【0051】
上述のオフライン作業に起因して発生するような互いに関連性を有する一群の警報の調査用情報は、収集しない(排除する)方が効率的である。警報の原因がオフライン作業であることが分かっているからである。後述するように、このような警報の排除が、不感帯時間によって実現される。不感帯時間は、互いに関連性を有する警報を無視するためのカウント時間である。不感帯時間の詳細は後述する。
【0052】
一群の警報の別の例は、制御ステーション3の特定部位の異常に起因して発生する警報である。より具体的には、特定部位の異常の影響を受けて異常が生じるいくつかの部位(影響部位)が存在する場合、それらの影響部位について発生する警報が、互いに関連性を有する一群の警報である。例えば、制御ステーションのfail(CPUの異常に起因)に対する復帰警報として、制御ステーションのリセットスタート、自動リセットスタート、通電初期化スタート、通電継続スタート等の警報が発生する。この影響を受けて、I/Oユニット及びCPU間を接続するバスの異常、I/Oモジュールの異常等を示す警報が発生する。これらの警報は、オフライン作業に起因して発生する互いに関連性を有する一群の警報である。これらの警報は、特定部位(例えばCPU)の異常の影響を受けて影響部位(例えばI/Oユニット、I/Oモジュール等)について発生する互いに関連性を有する一群の警報である。
【0053】
影響部位の異常に起因して発生するような互いに関連性を有する一群の警報の調査用情報も、収集しない方が効率的である。特定部位の警報の調査用情報を収集すれば十分だからである。後述するように、このような警報の排除も、不感帯時間によって実現される。
【0054】
上述のような同一の一群の警報(例えばCPUの故障に起因して発生する警報)に対して、監視対象警報テーブル53aは、Delay時間を対応付ける。いずれの警報にどの程度の長さのDelay時間を対応づけるのか等の具体的な内容は、実際の警報発生の運用等に応じて適宜設定されてよい。例えばCPUの故障に起因して発生する一群の警報の発生を含む期間の長さ(チャタリング収束に要する時間等)等を与えるDelay時間が設定される。
【0055】
上述のような互いに関連性を有する一群の警報(例えばオフライン作業、特定部位の異常等に起因して発生する警報)に対して、監視対象警報テーブル53aは、不感帯時間を対応付ける。いずれの警報にどの程度の長さの不感帯時間を対応付けるのか等の具体的な内容は、実際の警報発生の運用等に応じて適宜設定されてよい。例えばオフライン作業に起因して発生する一群の警報それぞれの発生が含まれる期間の長さ、特定部位の異常に起因して発生する影響部位の異常を示す一群の警報それぞれの発生が含まれる期間の長さ等を与える不感帯時間が設定される。
【0056】
図2に戻り、登録部54は、選定部53が選定した警報を登録する。より具体的に、登録部54は、警報と、アービトレーションと、カウント時間とを対応付けて警報管理テーブル54aに登録する。
【0057】
図5は、警報管理テーブルの例を示す図である。この例では、警報管理テーブル54aは、「警報」と、「アービトレーション」と、「抑制」と、「カウント時間」とを対応付けて記述する。警報及びアービトレーションは、これまで説明したとおりである。
【0058】
「抑制」は、カウント時間がDelay時間及び不感帯時間のいずれであるのかを示す。抑制「ON」は、カウント時間が不感帯時間であることを示す。抑制「OFF」は、カウント時間がDelay時間であることを示す。
【0059】
「カウント時間」は、カウントダウン中のカウント時間の残り時間を示す。この例では、警報Aのカウント時間(Delay時間)の残り時間が20秒であり、警報Bのカウント時間(不感帯時間)の残り時間が30秒である。
【0060】
図2に戻り、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報と同一の警報を、警報管理テーブル54aに上書き登録する。上書き登録によって、登録されていた警報が警報管理テーブル54aから削除され(排除され)る。カウントダウン中のDelay時間はリセットされる(例えば再び20秒に戻される)。ここで、同一の警報は、同一のアービトレーションに対応付けて識別されてよい。その場合、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと同一のアービトレーションの警報を、警報管理テーブル54aに上書き登録する。
【0061】
登録部54は、警報管理テーブル54aに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報と関連性を有する警報は、警報管理テーブル54aに登録しない(排除する)。ここで、互いに関連性を有する警報は、互いに関連するアービトレーションに対応付けて識別されてよい。その場合、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと関連するアービトレーションの警報は、警報管理テーブル54aに登録しない。
【0062】
収集部55は、受信部51が受信した警報、より具体的には選定部53が選定し登録部54が警報管理テーブル54aに登録した警報を、必要に応じて読み出し、読み出した警報の調査用情報を収集する。
【0063】
先に説明したように、警報管理テーブル54aに登録されている警報に対しては、カウント時間がカウントダウンされている。収集部55は、警報管理テーブル54aに登録されカウント時間がカウントダウン中の警報の調査用情報は収集しない。カウント時間によって、警報の調査用情報の収集を保留するための期間が与えられるともいえる。
【0064】
収集部55は、カウント時間のカウントダウンが終了した警報について、必要に応じてその警報の調査用情報を収集する。具体的に、収集部55は、Delay時間のカウントダウンが終了した警報の調査用情報を収集する。すなわち、収集部55は、受信部51が受信した警報の調査用情報の収集を、当該警報の受信時から一定期間が経過した後に開始する。一方で、収集部55は、不感帯時間のカウントダウンが終了した警報の調査用情報は収集しない。
【0065】
収集部55は、調査用情報を、対応する制御ステーション3の部位から収集する。対応する制御ステーション3の部位は、警報(例えば警報ID/及び/又はメッセージ内容)に基づいて特定され、具体的には、例えば異常対応手順テーブル55a内で警報に対応付けられた収取手順において特定される。収集部55は、異常対応手順テーブル55aを参照することによって、調査用情報を収集する。
【0066】
図6は、異常対応手順テーブルの例を示す図である。この例では、異常対応手順テーブル55aは、「警報」と、「収集手順」とを対応付けて記述する。
【0067】
「収集手順」は、調査用情報の収集手順を記述する情報であり、図では「収集手順A」等として模式的に示される。この例では、警報Aの調査用情報の収集手順が収集手順Aであり、警報Bの調査用情報の収集手順が収集手順Bである。収集手順は、例えば、情報収集の対象となる制御ステーション3の部位から所望の調査用情報を取得するための実行ファイルの起動等を含む。収集手順は、複数の異なる実行ファイルを順番に起動等すること(複数の手順)を含んでよい。例えば制御ステーション3の部位のうちの大きい部位(例えば制御バス)から小さい部位の順に、対応する実行ファイルが起動され、調査用情報が収集される。
【0068】
例えば以上説明したようにして、カウント時間のカウントダウンが終了した警報のうちのいくつかの警報の調査用情報が収集される。これに関するいくつかの動作の例について、
図7~
図11を参照して説明する。
【0069】
図7~
図11は、カウント時間のカウントダウンに基づく情報収集の例を示す図である。
図7に示される例では、Delay時間に関して、同一の警報(同一のアービトレーションの警報)が1回だけ発生する。時刻t11において、1回目の警報(警報1回目)が受信され、Delay時間とともに登録される。Delay時間のカウントダウンが開始される。時刻t21において、Delay時間のカウントダウンが終了し、情報収集が開始される。
【0070】
図8に示される例では、Delay時間に関して、同一の警報が2回発生する。時刻t11において、1回目の警報(警報1回目)が受信され、Delay時間とともに登録される。Delay時間のカウントダウンが開始される。このDelay時間のカウントダウンが終了するより前の時刻t12において、2回目の警報(警報2回目)が受信され、Delay時間がリセットされる。1回目の警報が排除され(キャンセルされ)、2回目の警報がDelay時間とともに登録される。時刻t22において、Delay時間のカウントダウンが終了し、2回目の警報の調査用情報の収集が開始される。
【0071】
図9に示される例では、Delay時間に関して、同一の警報がN回発生する。Nは、2以上の整数である。時刻t11において、1回目の警報(警報1回目)が受信され、Delay時間とともに登録される。Delay時間のカウントダウンが開始される。このDelay時間のカウントダウンが終了するより前の時刻t12において、2回目の警報(警報2回目)が受信され、Delay時間がリセットされる。1回目の警報が排除され、2回目の警報がDelay時間とともに登録される。Delay時間のカウントダウンが終了するより前の時刻t1Nにおいて、N回目の警報(警報N回目)が受信され、Delay時間がリセットされる。2回目の警報が排除され、N回目の警報がDelay時間とともに登録される。時刻t2Nにおいて、Delay時間のカウントダウンが終了し、N回目の警報の調査用情報の収集が開始される。
【0072】
図10に示される例では、不感帯時間に関して、オフライン作業に起因するいくつかの警報が発生するが、それらの警報の調査用情報は収集されない(警報が排除される)。時刻t31において、オフライン作業によって発生した警報(オフライン作業メッセージ)が受信され、登録される。不感帯時間のカウントダウンが開始される。この不感帯時間のカウントダウンが終了するより前の時刻t32において、先のオフライン作業に起因して(紐づいて)発生した警報が受信されるが、無視される(排除される)。すなわち、この警報は、警報管理テーブル54aに登録されない。時刻t41において不感帯時間のカウントダウンが終了し、先の時刻t31で発生した警報も排除される。その後に発生する警報(不感帯時間後の警報)については、これまでと同様に説明される。この例では、時刻t51において警報が受信され、登録される。時刻t61において、Delay時間のカウントダウンが開始される。Delay時間のカウントダウンが終了し、その警報の調査用情報の収集が開始される。
【0073】
図11に示される例では、不感帯時間に関して、制御ステーション3の特定部位の警報に起因してするいくつかの影響部位の警報が発生するが、それらの影響部位の警報の調査用情報は収集されない(警報が排除される)。時刻t71において、特定部位の警報が受信され、Delay時間とともに登録される。Delay時間のカウントダウンが開始される。時刻t72において、影響部位の警報が受信され、不感帯時間とともに登録される。不感帯時間が終了する前の時刻t73において、影響部位の警報が受信されるが、無視される(排除される)。時刻t74において、Delay時間のカウントが終了し、特定部位の警報の調査用情報の収集が開始される。時刻t75において、不感帯時間のカウントダウンが終了し、先の時刻t72で発生した警報も排除される。その後に発生する警報(不感帯時間後の警報)については、これまでと同様に説明される。この例では、時刻t81において、別の部位についての警報が受信され、登録される。時刻t91において、Delay時間のカウントダウンが開始される。Delay時間のカウントダウンが終了し、その警報の調査用情報の収集が開始される。
【0074】
例えば以上説明したように、Delay時間又は不感帯時間を利用することで、同一の或いは互いに関連性を有する一群の警報の少なくとも一部の警報が排除される。収集部55によって、有用な調査用情報が効率よく収集される。
【0075】
図2に戻り、収集部55は、収集した調査用情報をユーザに提示(表示等)するためのGUI(Graphical User Interface)を備えてよい。例えば、ユーザ操作に応じて、収集された調査用情報が絞り込んで提示されてよい。絞り込みの例は、警報の種類ごと、アービトレーションごと等の絞り込みである。また、受信部51が受信した警報、より具体的には選定部53が選定し登録部54が登録した警報のうち、収集部55による調査用情報の収集対象とならず排除された警報の情報も、GUIによって提示されてよい。このように提示される情報は、例えば警報の排除の妥当性等の検討に供することができる。
【0076】
図12~
図14は、操作監視端末において実行される処理(操作監視方法(情報収集方法))の例を示すフローチャートである。
【0077】
図12には、警報を受信してから調査用情報を収集するまでのいくつかの処理の例が示される。詳細な処理はこれまで説明したとおりであるので、説明は繰り返さない。
【0078】
ステップS1において、操作監視端末が、警報を受信する。これまで説明したように、操作監視端末5の受信部51が、警報を受信する。
【0079】
ステップS2において、操作監視端末が、監視対象の警報を選定する。これまで説明したように、操作監視端末5の選定部53が、監視対象警報テーブル53aを参照して、先のステップS1で受信部51が受信した警報から監視対象の警報を選定する。カウント時間等の対応付けも行われる。
【0080】
ステップS3において、操作監視端末が、警報を登録する。これまで説明したように、操作監視端末5の登録部54が、先のステップS2で選定部53が選定した警報を、警報管理テーブル54aに登録する。アービトレーション及びカウント時間等も登録される。
【0081】
ステップS4において、操作監視端末が、必要な警報の調査用情報を収集する。これまで説明したように、操作監視端末5の収集部55が、警報管理テーブル54aに登録された警報のうちの特定の警報(例えばDelay時間のカウントダウンが終了した警報)の調査用情報を、警報に基づいて特定された制御ステーション3の部位から収集する。
【0082】
ステップS4の処理が完了した後、フローチャートの処理は終了する。
【0083】
図13には、登録部54による警報の登録処理の例が示される。この処理は、受信部51が警報を受信し、選定部53が警報を選定したことに応じて実行される。以下では、受信部51が受信し、選定部53が選定した警報を、「今回の警報」という。
【0084】
ステップS11において、同一アービトレーション等が検索される。登録部54は、警報管理テーブル54aを参照し、今回の警報のアービトレーションと同一の又は関連するアービトレーションの警報を検索する。
【0085】
ステップS12において、同一レコード等があるか否かが判断される。登録部54は、警報管理テーブル54aに今回の警報のアービトレーションと同一の又は関連するアービトレーションの警報が存在する場合、同一レコード等があると判断する。同一レコード等がある場合(ステップS12:Yes)、ステップS14に処理が進められる。そうでない場合(ステップS12:No)、ステップS13に処理が進められる。
【0086】
ステップS13において、新規レコードが登録される。登録部54は、今回の警報を、警報管理テーブル54aに追加して登録する。
【0087】
ステップS14において、抑制がONであるか否かが判断される。登録部54は、今回の警報のアービトレーションと同一の又は関連するアービトレーションの警報の抑制がONであるか否かを判断する。先に述べたように、抑制がONである場合、カウント時間は不感帯時間である。そうでなければカウント時間はDelay時間である。抑制がONである場合(ステップS14:Yes)、ステップS16に処理が進められる。そうでない場合(ステップS14:No)、ステップS15に処理が進められる。
【0088】
ステップS15において、既存レコードが上書き登録される。登録部54は、警報管理テーブル54aに登録されている警報の代わりに、今回の警報をDelay時間とともに警報管理テーブル54aに登録する。先に登録されていた警報は警報管理テーブル54aから削除され(排除され)、Delay時間はリセットされる。
【0089】
ステップS16において、登録が中止される。登録部54は、今回の警報を登録しない(排除する)。
【0090】
ステップS13、ステップS15又はステップS16の処理が完了した後、フローチャートの処理は終了する。
【0091】
図14には、警報管理テーブル54aに登録されている警報の読み出し処理の例が示される。この処理は、適宜繰り返し実行される。
【0092】
ステップS21において、Delay/不感帯カラム値がカウントダウンされる。すなわち、警報管理テーブル54aに登録されている警報のカウント時間(Delay時間、不感帯時間)のカウントダウンが進められる。この処理は、例えば、記憶部52、登録部54又は収集部55によって実行される。
【0093】
ステップS22において、当該カラム値が0以下であるかが判断される。先のステップS21でのカウントダウンが進められた後のカウント時間が0になったか否かが判断される。この処理は、例えば、記憶部52、登録部54又は収集部55によって実行される。当該カラム値が0以下の場合(ステップS22:Yes)、ステップS23に処理が進められる。そうでない場合(ステップS22:No),ステップS24に処理が進められる。
【0094】
ステップS23において、当該レコードが取り出されたり削除されたりする。収集部55は、Delay時間のカウントダウンが終了した警報を警報管理テーブル54aから取り出し、その警報の調査用情報を収集する。収集部55は、不感帯時間のカウントダウンが終了した警報を登録部54から削除(排除)し、その警報の調査用情報は収集しない。削除処理は、記憶部52又は登録部54によって実行されてもよい。
【0095】
ステップS24において、警報登録レコードがあるか否かが判断される。警報管理テーブル54aに登録されている警報が存在するか否かが判断される。この処理は、例えば、記憶部52、登録部54又は収集部55によって実行される。警報登録レコードがある場合(ステップS24:Yes)、ステップS21に処理が戻される。そうでない場合(ステップS24:No)、フローチャートの処理は終了する。
【0096】
例えば以上説明したように、操作監視端末5によって、制御ステーション3からの警報に応じて、その調査用情報が自動的に収集される。従来のようにエンジニアが現地に行って調査用情報を収集する必要が無いので、調査用情報を効率よく収集することが可能になる。また、カウント時間(Delay時間、不感帯時間)のカウントダウンを利用すれば、同一の或いは互いに関連性を有する一群の警報の少なくとも一部の警報を排除することができる。その分、調査用情報の収集効率がさらに高められる。
【0097】
以上、本開示の一実施形態について説明した。開示される技術は、上記の実施形態に限られない。いくつかの変形例について説明する。
【0098】
上記実施形態では、警報として、制御ステーション3の部位の故障、オフライン作業等に起因して発生する警報を例に挙げて説明した。ただし、これらの例に限らず、さまざまな事象に起因して発生する警報が扱われてよい。他の警報の例は、PA(Process Automation)用のPLC(Programmable Logic Controller)における警報(A&E(Alarm and Event)等とも称される)等である。このようなPLCの警報も、先に
図3を参照して説明したようなアービトレーションによる識別が適用可能であり、従って、そこから受信される警報も、操作監視端末5による調査用情報の収集対象となりうる。
【0099】
上記実施形態では、監視対象警報テーブル53aによって警報とカウント時間とが対応付けられる例について説明した。ただし、カウント時間の警報への対応付けはさまざまに行われてよい。カウント時間は、警報が警報管理テーブル54aに登録されるまでの任意のタイミングにおいて、操作監視端末5内の任意の機能ブロックによって警報に対応づけられてよい。
【0100】
上記実施形態では、受信部51が受信した警報のうちの、選定部53によって選定され、登録部54によって登録された警報の調査用情報が収集部55によって収集される例について説明した。ただし、選定部53による選定及び/又は登録部54による登録は必須ではない。例えば、操作監視端末5は、選定部53を備えていなくてもよい。その場合、収集部55は、受信部51が受信し、登録部54が登録した警報の調査用情報を収集する。操作監視端末5は、登録部54を備えていなくてもよい。その場合、収集部55は、受信部51が受信し選定部53が選定した警報の調査用情報を収集する。操作監視端末5は、選定部53及び登録部54を備えていなくてもよい。その場合、収集部55は、受信部51が受信した警報の調査用情報を収集する。
【0101】
上記実施形態では、カウント時間(Delay時間及び不感帯時間)を用いて同一の或いは互いに関連性を有する一群の警報の少なくとも一部の警報を排除する例について説明した。ただし、警報排除の手法は、これに限られない。そのような変形例について、
図15及び
図16を参照して説明する。
【0102】
図15は、変形例に係る操作監視端末の概略構成の例を示す図である。例示される操作監視端末5Aは、操作監視端末5(
図2)と比較して、選定部53及び登録部54を含まない点、記憶部52及び収集部55に代えて記憶部52A及び収集部55Aを含む点、並びに、学習部56を含む点において相違する。
【0103】
記憶部52Aは、記憶部52(
図2)と比較して、監視対象警報テーブル53a及び警報管理テーブル54aを含まない点、プログラム52aに代えてプログラム52aAを含む点、並びに、学習済みモデル55b及び訓練データ56aを含む点において相違する。プログラム52aAは、コンピュータに操作監視端末5Aの処理を実行させるプログラムである。
【0104】
学習済みモデル55bは、例えば、受信部51が受信する警報に対応するデータ(入力データ)が入力されると、収集部55による調査用情報の収集の対象となる警報を特定するためのデータ(出力データ)を出力する。「警報に対応するデータ」は、例えば、警報ID/メッセージ内容等を、学習済みモデル55bへの入力に適したデータ形式に変換したデータであってよい。「警報を特定するためのデータ」は、例えば、各警報に対する確率値を示すデータであってよい。最も確率の高い警報が、収集部55による調査用情報の収集の対象となる警報として特定されてよい。学習済みモデル55bについて、
図16も参照して説明する。
【0105】
図16は、学習済みモデルの概略構成の例を示す図である。この例では、学習済みモデル55bは、入力層と、複数の中間層と、出力層とを含むニューラルネットワークである。入力層には、入力データが入力される。出力層は、例えば全結合層であり、出力データを出力する。中間層は、入力層と出力層との間に設けられる。それぞれの層内のいくつかのニューロンが、白丸で模式的に示される。ニューラルネットワークの例は、DQN(Deep Q-Network)である。このような構成の学習済みモデルの原理は公知であるので、詳細な説明は行わない。
【0106】
学習済みモデル55bは、先に説明した同一の一群の警報に対応するデータが入力されると、それら一群の警報のうちの1つの警報だけを特定するデータを出力してよい。入力データは、一定期間内に受信される警報の時系列データであってよい。一定期間の設定も含め、学習済みモデル55bが学習してよい。この一定期間は、これまで説明したDelay時間に対応する。すなわち、Delay時間による警報排除機能と同様の機能が、学習済みモデル55bによって実現される。
【0107】
学習済みモデル55bは、先に説明した互いに関連性を有する一群の警報に対応するデータが入力されると、それら一群の警報をいずれも特定しないデータを出力してよい。入力データは、一定期間内に受信される警報の時系列データであってよい。一定期間の設定も含め、学習済みモデル55bが学習してよい。この一定期間は、これまで説明した不感帯時間に対応する。すなわち、不感帯時間による警報排除機能と同様の機能が、学習済みモデル55bによって実現される。
【0108】
学習済みモデル55bは、入力データが入力されると、出力データを出力するように、訓練データ56aを用いて訓練(機械学習等)され、生成される。訓練データの例は、入力データと出力データとを組み合わせたデータセットである。そのようなデータセットは、例えば、ユーザが、操作監視端末5において受信された過去の警報を用いて準備し、記憶部52Aに格納してよい。
【0109】
図15に戻り、収集部55Aは、受信部51が受信した複数の警報と、学習済みモデル55bとを用いて特定した警報の調査用情報を収集する。具体的に、収集部55Aは、受信部51が受信した複数の警報に対応するデータ(上述のように時系列データであってよい)を、学習済みモデル55bに入力する。学習済みモデル55bは、複数の警報のうち、調査用情報の収集対象とすべき警報を特定するデータを出力する。収集部55Aは、例えばこれまで説明したように異常対応手順テーブル55aを参照して、学習済みモデル55bによって特定された警報の調査用情報を収集する。
【0110】
上記の操作監視端末5Aによれば、学習済みモデル55bによって、カウント時間(Delay時間及び不感帯時間)による警報排除の機能が実現される。従って、例えば操作監視端末5の選定部53、監視対象警報テーブル53a、登録部54及び警報管理テーブル54a等が不要になる。その分、操作監視端末5Aの構成を簡素化したり、また、カウント時間の設定等に係る設計コスト等を低減したりすることができる。
【0111】
学習部56は、記憶部52Aに記憶された訓練データ56aを用いて学習済みモデル55bの学習を行う。これにより、学習済みモデル55bを生成でき、さらには、例えば最新の受信警報等に基づく最新の訓練データ56aが準備され記憶部52Aに記憶される都度、最新の訓練データ56aを用いた学習により学習済みモデル55bをアップデートすることができる。なお、学習部56及び訓練データ56aは、操作監視端末5Aの外部(例えば図示しない情報処理装置等)に設けられてもよい。この場合には、操作監視端末5Aの外部において生成された訓練済みの学習済みモデル55b(例えば調整済みのDQN)が操作監視端末5Aに提供され用いられる。
【0112】
図17は、操作監視端末のハードウェア構成の例を示す図である。例示されるハードウェア構成を備えるコンピュータ等が、これまで説明した操作監視端末5として機能する。例示されるハードウェア構成は、バス等で相互に接続される通信装置5a、表示装置5b、HDD(Hard Disk Drive)5c、メモリ5d及びプロセッサ5eを備える。
【0113】
通信装置5aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を可能にする。表示装置5bは、例えばタッチパネルやディスプレイなどである。HDD5cは、記憶部52として機能し、例えばプログラム52a(操作監視プログラム、情報収集プログラム)を記憶する。
【0114】
プロセッサ5eは、プログラム52aをHDD5c等から読み出してメモリ5dに展開することで、コンピュータを、操作監視端末5として機能させる。機能は、これまで説明したような選定部53の機能、登録部54の機能及び収集部55の機能を含む。
【0115】
プログラム52aは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、プログラム52aは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0116】
操作監視端末5以外の装置、例えばエンジニアリング端末4等も、上述と同様のハードウェア構成を備えてよい。
【0117】
以上説明した操作監視端末5(情報処理装置の一例)は、例えば次のように特定される。
図1及び
図2等を参照して説明したように、操作監視端末5は、プラント1用の制御ステーション3に関する異常を示す警報を受信する受信部51と、受信部51が受信した警報に基づいて特定された制御ステーション3の部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する収集部55と、を備える。
【0118】
上記の操作監視端末5によれば、制御ステーション3からの警報に応じて、その調査用情報が自動的に収集される。従って、調査用情報を効率よく収集することができる。
【0119】
図2及び
図6等を参照して説明したように、収集部55は、警報と、調査用情報の収集手順とを対応付けた異常対応手順テーブル55aを参照することによって、調査用情報を収集してよい。例えばこのようにして、適切な収集手順で、調査用情報を収集することができる。
【0120】
収集部55は、受信部51が受信した警報の調査用情報の収集を、当該警報の受信時から一定期間が経過した後に開始してよい。これにより、例えば警報発生直後等に生じうる制御ステーション3の部位の不安定動作時(例えばチャタリング時等)での情報収集を避け、部位の動作が安定化した適切なタイミングで調査用情報を収集することができる。
【0121】
図3等を参照して説明したように、警報は、制御ステーション3の部位の種類を示す部位情報及び部位の場所を示すロケーション情報が組み合わされたアービトレーションに対応付けて識別されてよい。部位情報は、制御ステーション3が接続された制御バスを指し示す情報、制御ステーション3内のCPUカードを指し示す情報、制御ステーション3内のI/Oネスト全体を指し示す情報、及び、制御ステーション3内のI/Oモジュールを指し示す情報の少なくとも1つを含んでよい。ロケーション情報は、複数の制御ステーション3をドメイン(ドメインD1等)ごとに区画する制御バスのドメインの場所を指し示す情報、ドメイン(ドメインD1等)内の制御ステーション3の場所を指し示す情報、制御ステーション3内の冗長化CPU(CPUカード)における稼働中CPU又は待機中CPUの場所を指し示す情報、制御ステーション3内のI/O系統の場所を指し示す情報、制御ステーション3内のI/Oネストの場所を指し示す情報、I/Oネスト内のI/O装置ユニットの場所を指し示す情報、及び、I/O装置ユニット内のスロットの場所を指し示す情報、の少なくとも1つを含んでよい。収集部55は、受信部51が受信した警報のアービトレーションに基づいて特定された制御ステーション3の部位から、調査用情報を収集してよい。例えばこのように警報がアービトレーションで識別されることにより、適切に特定された警報の調査用情報を収集することができる。
【0122】
図2及び
図5等を参照して説明したように、操作監視端末5は、受信部51が受信した警報と、アービトレーションと、カウント時間とを対応付けて警報管理テーブル54aに登録する登録部54を備え、収集部55は、警報管理テーブル54aに登録されカウント時間がカウントダウン中の警報の調査用情報は収集しなくてよい。例えばこのようにして、上述のような適切なタイミングで調査用情報を収集することができる。
【0123】
図4、
図5及び
図7~
図9等を参照して説明したように、カウント時間は、対応する警報の調査用情報の収集を遅らせるためのDelay時間であり、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報と同一の警報を、警報管理テーブル54aに上書き登録し、上書き登録は、カウントダウン中のDelay時間をリセットすることを含み、収集部55は、Delay時間のカウントダウンが終了した警報の調査用情報を収集してよい。同一の警報は、同一のアービトレーションに対応付けて識別され、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録されDelay時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと同一のアービトレーションの警報を、警報管理テーブル54aに上書き登録してよい。例えばこのようなDelay時間の利用により、同一の一群の警報の一部の警報を排除し、その分、調査用情報の収集効率をさらに高めることができる。
【0124】
図4、
図5、
図10及び
図11等を参照して説明したように、カウント時間は、互いに関連性を有する警報を無視するための不感帯時間であり、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報と関連性を有する警報は、警報管理テーブル54aに登録せず、収集部55は、不感帯時間のカウントダウンが終了した警報の調査用情報は収集しなくてよい。互いに関連性を有する警報は、互いに関連するアービトレーションに対応付けて識別され、登録部54は、警報管理テーブル54aに登録され不感帯時間がカウントダウン中の警報のアービトレーションと関連するアービトレーションの警報は、警報管理テーブル54aに登録しなくてよい。例えばこのような不感帯時間の利用により、互いに関連性を有する一群の警報を排除し、その分、調査用情報の収集効率をさらに高めることができる。
【0125】
図2等を参照して説明したように、操作監視端末5は、受信部51が受信した警報から監視対象の警報を選定する選定部53を備え、登録部54は、選定部53が選定した警報を警報管理テーブル54aに登録してよい。これにより、例えば調査用情報を収集する必要性が極めて低い警報を取り除くように事前選定(フィルタリング)することができる。
【0126】
図15及び
図16等を参照して説明したように、収集部55Aは、受信部51が受信した複数の警報と、学習済みモデル55bとを用いて特定した警報の調査用情報を収集し、学習済みモデル55bは、複数の警報に対応するデータが入力されると、調査用情報の収集対象とすべき警報を特定するデータを出力してよい。このような学習済みモデル55bを用いることで、例えばカウント時間(Delay時間及び不感帯時間)による警報排除の機能を実現することもできる。
【0127】
図2及び
図17等を参照して説明したプログラム52aも、本開示の一態様である。プログラム52aは、コンピュータに、プラント1用の制御ステーション3に関する異常を示す警報を受信し、受信した警報に基づいて特定された制御ステーション3の部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集する、処理を実行させる。このようなプログラム52aによっても、これまで説明したように、調査用情報を効率よく収集することができる。
【0128】
図12等を参照して説明した情報収集方法も、本開示の一態様である。情報収取方法は、操作監視端末5(情報収集装置の例)が、プラント1用の制御ステーション3に関する異常を示す警報を受信すること(ステップS1)と、操作監視端末5が、受信した警報に基づいて特定された制御ステーション3の部位から、当該警報の原因の調査用情報を収集すること(ステップS4)と、を含む。このような情報収集方法によっても、これまで説明したように、調査用情報を効率よく収集することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 プラント
2 フィールド機器
3 制御ステーション
4 エンジニアリング端末
5 操作監視端末
51 受信部
52 記憶部
53 選定部
54 登録部
55 収集部
56 学習部
52a プログラム
53a 監視対象警報テーブル
54a 警報管理テーブル
55a 異常対応手順テーブル
55b 学習済みモデル
56a 訓練データ