(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128170
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】積層体、フィルム、および包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220825BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220825BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20220825BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B32B27/32
B32B27/00 H
C08L23/06
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026547
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 誠之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄太
(72)【発明者】
【氏名】手島 羽香
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA29
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA29
3E086DA07
4F100AK02
4F100AK02A
4F100AK04
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK04C
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4F100AR00B
4F100AR00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100GB15
4F100JC00
4F100JC00A
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4F100JC00C
4F100JK01
4F100JK01A
4F100JK10
4F100YY00A
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB151
4J002BE031
4J002GF00
(57)【要約】
【課題】減容化した場合であっても、減容化前と同等の機械強度を有する積層体、フィルム、および包装袋を提供すること。
【解決手段】複数の層を有し、前記複数の層のうちの少なくとも一層は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層であり、下記関係式(1)および(2)を満たす、積層体。
積層体の衝撃強度(J)≧0.036×積層体の厚さ(μm)・・・(1)
積層体のループ剛性(g)≧8.4×10
-5×(積層体の厚さ(μm))
2-2.7×10
-3×積層体の厚さ(μm)+0.03・・・(2)
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を有し、
前記複数の層のうちの少なくとも一層は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層であり、
下記関係式(1)および(2)を満たす、
積層体。
積層体の衝撃強度(J)≧0.036×積層体の厚さ(μm)・・・(1)
積層体のループ剛性(g)≧8.4×10-5×(積層体の厚さ(μm))2-2.7×10-3×積層体の厚さ(μm)+0.03・・・(2)
【請求項2】
前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層は、さらに環状オレフィンコポリマー(B)を含む、
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層における前記環状オレフィンコポリマー(B)の含有量が、5質量%以上40質量%以下である、
請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ポリエチレン系樹脂(A1)が、低密度ポリエチレンである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
ラミネート層、前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層、およびシール層がこの順で積層された、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記ラミネート層および前記シール層は、いずれもポリエチレン系樹脂(A2)を含む、
請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含み、
下記関係式(3)および(4)を満たす、
フィルム。
フィルムの衝撃強度(J)≧0.036×フィルムの厚さ(μm)・・・(3)
フィルムのループ剛性(g)≧4.6×10-5×(フィルムの厚さ(μm))2+1.1×10-4×フィルムの厚さ(μm)-0.01・・・(4)
【請求項8】
さらに環状オレフィンコポリマー(B)を含む、
請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記環状オレフィンコポリマー(B)の含有量が、5質量%以上40質量%以下である、
請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記ポリエチレン系樹脂(A1)が、低密度ポリエチレンである、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のフィルムを含む層を、少なくとも一層有する、
積層体。
【請求項12】
ラミネート層、前記フィルムを含む層、およびシール層がこの順で積層された、
請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記ラミネート層および前記シール層は、いずれもポリエチレン系樹脂(A2)を含む、
請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
バイオプラスチックを含む、請求項1から請求項6および請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
請求項1から請求項6および請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の積層体からなる包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、フィルム、および包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料品、医薬品、化粧品、および化学品等の製品の保護または輸送等を目的として、ポリエチレン等のフィルム包装が広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記(I)~(III)の層からなり、各層を構成する各々のエチレン-α-オレフィン共重合体の密度について、(A)の密度≧(B)の密度>(C)の密度であるポリエチレン系多層フィルムが記載されている。
(I)密度0.915~0.960g/cm3のエチレン-α-オレフィン共重合体(A)からなるラミネート層、
(II)密度0.900~0.940g/cm3のエチレン-α-オレフィン共重合体(B)からなる中間層、
(III)密度0.875~0.915g/cm3のエチレン-α-オレフィン共重合体であってシングルサイト触媒を用いて製造されたもの(C)からなるシール層。
【0004】
また例えば、特許文献2には、一の外層としてヒートシール層を、また、他の外層としてラミネート層をそれぞれ有し、かつ少なくとも両外層が微粉シリカを含有したポリオレフィン樹脂からなる多層フィルムにおいて、ヒートシール層中に含有された微粉シリカの平均粒子径が、ラミネート層に含有された微粉シリカの平均粒子径よりも大であり、かつヒートシール層の表面が、滑り性や耐ブロッキング性のための十分な凹凸を有するとともに良好な透明性および表面外観を有することを特徴とする多層フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-085078号公報
【特許文献2】特開平9-300557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらフィルム包装については、近年、環境対応の関心の高まりを受け、対応の一環として減容化が必要となっている。
しかしながら、フィルム包装を減容化した場合、元の厚みに対して剛性および衝撃強度等の機械強度が低下する傾向にある。また、剛性を元の厚みと同等とするために材料構成を変更した場合は、衝撃強度がさらに低下したり、その一方で、衝撃強度を元の厚みと同等とするために材料構成を変更した場合は、剛性がさらに低下したりするという問題があった。
このように、必要となるフィルム包装の機械物性と使用される材料特性が相反することにより、同じ機械強度を保ったまま減容化することは困難となっている。
【0007】
本発明は、減容化した場合であっても、減容化前と同等の機械強度を有する積層体、フィルム、および包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の層を有し、前記複数の層のうちの少なくとも一層は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層であり、下記関係式(1)および(2)を満たす、積層体が提供される。
積層体の衝撃強度(J)≧0.036×積層体の厚さ(μm)・・・(1)
積層体のループ剛性(g)≧8.4×10-5×(積層体の厚さ(μm))2-2.7×10-3×積層体の厚さ(μm)+0.03・・・(2)
【0009】
本発明の一態様に係る積層体において、前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層は、さらに環状オレフィンコポリマー(B)を含んでもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る積層体において、前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層における前記環状オレフィンコポリマー(B)の含有量が、5質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る積層体において、前記ポリエチレン系樹脂(A1)が、低密度ポリエチレンであってもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る積層体は、ラミネート層、前記ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層、およびシール層がこの順で積層されていてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る積層体において、前記ラミネート層および前記シール層は、いずれもポリエチレン系樹脂(A2)を含んでもよい。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含み、下記関係式(3)および(4)を満たす、フィルムが提供される。
フィルムの衝撃強度(J)≧0.036×フィルムの厚さ(μm)・・・(3)
フィルムのループ剛性(g)≧4.6×10-5×(フィルムの厚さ(μm))2+1.1×10-4×フィルムの厚さ(μm)-0.01・・・(4)
【0015】
本発明の一態様に係るフィルムは、さらに環状オレフィンコポリマー(B)を含んでもよい。
【0016】
本発明の一態様に係るフィルムにおいて、前記環状オレフィンコポリマー(B)の含有量が、5質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0017】
本発明の一態様に係るフィルムにおいて、前記ポリエチレン系樹脂(A1)が、低密度ポリエチレンであってもよい。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、前記フィルムを含む層を、少なくとも一層有する、積層体が提供される。
【0019】
本発明の一態様に係る積層体は、ラミネート層、前記フィルムを含む層、およびシール層がこの順で積層されていてもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る積層体において、前記ラミネート層および前記シール層は、いずれもポリエチレン系樹脂(A2)を含んでもよい。
【0021】
本発明の一態様に係る積層体は、バイオプラスチックを含んでもよい。
【0022】
また、本発明の一態様によれば、前記積層体からなる包装袋が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、減容化した場合であっても、減容化前と同等の機械強度を有する積層体、フィルム、および包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフィルムの断面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層体の断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装袋の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0026】
〔第1実施形態〕
第1実施形態においては、本発明の一態様に係るフィルムおよび本発明の一態様に係る積層体について説明する。
【0027】
(フィルム)
図1は、本実施形態に係るフィルム1の断面概略図である。本実施形態に係るフィルム1は、単層フィルムとして用いてもよく、後述のように複数の層を有する積層体の少なくとも1層として用いてもよい。
【0028】
フィルム1は、下記関係式(3)および(4)を満たす。
フィルムの衝撃強度(J)≧0.036×フィルムの厚さ(μm)・・・(3)
フィルムのループ剛性(g)≧4.6×10-5×(フィルムの厚さ(μm))2+1.1×10-4×フィルムの厚さ(μm)-0.01・・・(4)
【0029】
フィルム1が上記関係式(3)および(4)を満たすことで、減容化した場合も、減容化前と同等の機械強度を保てる。
なお、本明細書におけるフィルムの衝撃強度およびフィルムのループ剛性は、実施例に記載の方法に準じて測定できる。
また、フィルムのループ剛性は、MD(Machine Direction)におけるループ剛性およびTD(Transverse Direction)におけるループ剛性の少なくともいずれかが関係式(4)を満たせばよいが、MDにおけるループ剛性が関係式(4)を満たすことが好ましく、MDにおけるループ剛性およびTDにおけるループ剛性の両方が関係式(4)を満たすことがより好ましい。後述の関係式(4A)についても同様である。
【0030】
フィルム1は、下記関係式(3A)および(4A)を満たすことが好ましい。
フィルムの衝撃強度(J)≧0.04×フィルムの厚さ(μm)・・・(3A)
フィルムのループ剛性(g)≧5.1×10-5×(フィルムの厚さ(μm))2+1.2×10-4×フィルムの厚さ(μm)-0.01・・・(4A)
【0031】
フィルム1は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む。この場合の「主成分」とは、フィルム1を構成するすべての材料の中で、ポリエチレン系樹脂(A1)が最も多く含まれていることを意味する。なお、フィルム1は、ポリエチレン系樹脂(A1)のみからなるフィルムであってもよい。
【0032】
・ポリエチレン系樹脂(A1)
ポリエチレン系樹脂(A1)は、少なくともエチレンを含む重合体であればよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン((Linear)Low Density Polyethylene:LLDPE)等の低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)等が挙げられる。
【0033】
低密度ポリエチレンとしては、例えば、エチレンと少なくとも1種のα-オレフィンとの共重合体(以下、「エチレン-α-オレフィン共重合体」ということもある)等が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンの炭素数は、4~10であることが好ましく、6~10であることがより好ましい。炭素数4~10のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、および1-デセン等が挙げられる。
低密度ポリエチレンは、エチレン-α-オレフィン共重合体を、複数種含んでもよい。この場合、複数種のエチレン-α-オレフィン共重合体は、例えば、α-オレフィン単位が異なっていてもよく、密度等の物性が異なってもいてもよい。
【0034】
ポリエチレン系樹脂(A1)は、1種単独の樹脂であってもよく、複数種を含む樹脂であってもよい。
ポリエチレン系樹脂(A1)が、1種単独の樹脂である場合、以下に示す範囲内の密度を有する低密度ポリエチレンであることが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましく、エチレン-1-ヘキセン共重合体であることがより好ましい。
【0035】
ポリエチレン系樹脂(A1)は、密度の下限が0.900g/cm3以上であることが好ましい。また、ポリエチレン系樹脂(A1)は、密度の上限が0.940g/cm3以下であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂(A1)の密度がこの範囲内であれば、衝撃強度が良好となる。
ポリエチレン系樹脂(A1)の密度の下限は、0.905g/cm3以上あることがより好ましく、0.910g/cm3以上であることがさらに好ましい。また、ポリエチレン系樹脂(A1)の密度の上限は、0.930g/cm3以下であることがより好ましく、0.925g/cm3以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書における密度は、JIS K7112に準拠して測定できる。
【0036】
ポリエチレン系樹脂(A1)は、MFR(Melt Flow Rate)の下限が0.5g/10min以上であることが好ましい。また、ポリエチレン系樹脂(A1)は、MFRの上限が10.0g/10min以下であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂(A1)のMFRがこの範囲内であれば、安定的にフィルムを成形することができる。
ポリエチレン系樹脂(A1)のMFRの下限は、1.0g/10min以上であることがより好ましく、2.0g/10min以上であることがさらに好ましい。また、ポリエチレン系樹脂(A1)のMFRの上限は、8.0g/10min以下であることがより好ましく、6.0g/10min以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書におけるMFRは、ASTM D1238-89に準拠して、測定温度190℃、荷重2.16kgで測定できる。
【0037】
フィルム1を単層として用いる場合、単層のフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の下限は、60質量%以上であることが好ましい。また、単層のフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の上限は、95質量%以下であることが好ましい。単層のフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量がこの範囲内であれば、要求される衝撃強度を維持することができる。
単層のフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の下限は、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、単層のフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の上限は、92質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。
【0038】
フィルム1は、ポリエチレン系樹脂(A1)の他に、さらに環状オレフィンコポリマーを含むことが好ましい。フィルム1がさらに環状オレフィンコポリマーを含むことで、剛性が良好となる。
【0039】
・環状オレフィンコポリマー(B)
環状オレフィンコポリマー(B)は、環状オレフィンと直鎖状オレフィン等との共重合体である。
環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、およびジシクロペンタジエン等が挙げられる。
直鎖状オレフィンとしては、例えば、炭素数2~10のα-オレフィン等が挙げられる。炭素数2~10のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、および1-デセン等が挙げられる。
【0040】
環状オレフィンコポリマーとしては、例えば、ノルボルネンとエチレンとの共重合体、およびジシクロペンタジエンとエチレンとの共重合体等が挙げられる。
剛性および衝撃強度をより向上させる観点から、環状オレフィンコポリマー(B)は、エチレンとノルボルネンとの共重合体であることが好ましい。当該共重合体であれば、剛直なノルボルネン部分により剛性を上げつつ、エチレン部分がベースのポリエチレン系樹脂(A1)との相溶を担うことから、衝撃強度も維持できる。
【0041】
環状オレフィンコポリマー(B)は、密度の下限が0.980g/cm3以上であることが好ましい。また、環状オレフィンコポリマー(B)は、密度の上限が1.040g/cm3以下であることが好ましい。環状オレフィンコポリマー(B)の密度がこの範囲内であれば、剛性を向上することができる。
環状オレフィンコポリマー(B)の密度の下限は、0.990g/cm3以上であることがより好ましく、1.000g/cm3以上であることがさらに好ましい。また、環状オレフィンコポリマー(B)の密度の上限は、1.030g/cm3以下であることがより好ましく、1.020g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0042】
環状オレフィンコポリマー(B)は、ガラス転移温度の下限が65℃以上であることが好ましい。また、環状オレフィンコポリマー(B)は、ガラス転移温度の上限が180℃以下であることが好ましい。環状オレフィンコポリマー(B)のガラス転移温度がこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂(A1)と同じ温度で成形することができる。
環状オレフィンコポリマー(B)のガラス転移温度の下限は、70℃以上であることがより好ましく、75℃以上であることがさらに好ましい。また、環状オレフィンコポリマー(B)のガラス転移温度の上限は、170℃以下であることがより好ましく、160℃以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書におけるガラス転移速度は、示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220)等を用いて、例えば以下の手順で測定できる。
約5.0mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持する。(ただし、250℃以上320℃以下の温度領域で分解する試料の場合は、常法の通り、適宜保持する温度を低く調整してもよい。)さらに降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温する。この2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
【0043】
フィルム1を単層として用いる場合、単層のフィルム1における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の下限は、5質量%以上であることが好ましい。また、単層のフィルム1における環状オレフィンコポリマーの含有量の上限は、40質量%以下であることが好ましい。単層のフィルム1における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量がこの範囲内であれば、要求される剛性を維持することができる。
単層のフィルム1における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の下限は、8質量%以上であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。
また、単層のフィルム1における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の上限は、10質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0044】
フィルム1は、必要に応じて、通常、ポリオレフィンに添加される各種添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、顔料、および流滴剤等が挙げられる。
フィルム1は、ポリエチレン系樹脂(A1)および環状オレフィンコポリマー(B)のみからなることも好ましい。
【0045】
また、フィルム1は、植物由来の樹脂を含有してもよい。この場合において、ポリエチレン系樹脂(A1)の少なくとも一部が、バイオプラスチックであってもよい。バイオプラスチックとしては、例えば、植物由来の樹脂およびバイオポリプロピレン等が挙げられる。植物由来の樹脂としては、例えばバイオポリエチレンが挙げられる。バイオポリエチレンは、低密度ポリエチレンであることが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。
フィルム1がバイオプラスチックを含有することによって、環境負荷を低減できる。
【0046】
フィルム1の厚さは、特に限定されない。フィルム1の厚さは、用途に応じて適宜設定される。フィルム1の厚さの下限は、例えば、20μm以上である。また、フィルム1の厚さの上限は、例えば、150μm以下であり、80μm以下であることが好ましい。
【0047】
フィルム1の製造方法は、特に限定されない。
フィルム1の製造方法としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(A1)および環状オレフィンコポリマー(B)と、所望によりこれら以外の樹脂または樹脂組成物、および添加剤等とを含む組成物(フィルム用樹脂組成物)を調製し、この組成物をインフレーション成形する方法またはこの組成物を押出成形する方法、並びに当該組成物を適当な溶媒に溶解または分散させてコーティング液を調製し、このコーティング液を支持体(例えば、後述する中間層)の上にコーティングする方法が挙げられる。
【0048】
(積層体)
本発明に係る積層体は、複数の層を有する。当該複数の層のうちの少なくとも一層は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層である。積層体を構成する複数の層のうち、当該ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層以外の層の材質は、特に限定されない。
【0049】
図2には、本実施形態に係る積層体50の断面概略図が示されている。
積層体50は、ラミネート層10、中間層20、およびシール層30がこの順で積層された3層の積層体である。
積層体50は、下記関係式(1)および(2)を満たす。
積層体の衝撃強度(J)≧0.036×積層体の厚さ(μm)・・・(1)
積層体のループ剛性(g)≧8.4×10
-5×(積層体の厚さ(μm))
2-2.7×10
-3×積層体の厚さ(μm)+0.03・・・(2)
【0050】
積層体50が上記関係式(1)および(2)を満たすことで、減容化した場合も、減容化前と同等の機械強度を保てる。
なお、本明細書における積層体の衝撃強度およびループ剛性は、実施例に記載の方法に準じて測定できる。
また、積層体のループ剛性は、MDにおけるループ剛性およびTDにおけるループ剛性の少なくともいずれかが上記関係式(2)を満たせばよいが、MDにおけるループ剛性が上記関係式(2)を満たすことが好ましく、MDにおけるループ剛性およびTDにおけるループ剛性の両方が上記関係式(2)を満たすことがより好ましい。後述の関係式(2A)についても同様である。
【0051】
積層体50は、下記関係式(1A)および(2A)を満たすことが好ましい。
積層体の衝撃強度(J)≧0.04×積層体の厚さ(μm)・・・(1A)
積層体のループ剛性(g)≧9.3×10-5×(積層体の厚さ(μm))2-3.0×10-3×積層体の厚さ(μm)+0.04・・・(2A)
【0052】
・中間層
積層体50において、中間層20がポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層である。中間層20に含まれるポリエチレン系樹脂(A1)の具体例等は、本実施形態に係るフィルム1におけるポリエチレン系樹脂(A1)と同じである。
【0053】
中間層20におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の下限は、60質量%以上であることが好ましい。また、中間層20におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の上限は、95質量%以下であることが好ましい。
中間層20におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の下限は、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。また、中間層20におけるポリエチレン系樹脂(A1)の含有量の上限は、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい
【0054】
中間層20は、さらに環状オレフィンコポリマー(B)を含むことが好ましい。中間層20に含まれる環状オレフィンコポリマー(B)の具体例等は、本実施形態に係るフィルム1における環状オレフィンコポリマー(B)と同じである。
【0055】
中間層20における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の下限は、5質量%以上であることが好ましい。また、中間層20における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の上限は、40質量%以下であることが好ましい。
中間層20における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の下限は、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、中間層20における環状オレフィンコポリマー(B)の含有量の上限は、20質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0056】
中間層20は、各種添加剤を含有してもよい。
【0057】
・ラミネート層およびシール層
ラミネート層10およびシール層30は、樹脂製であることが好ましい。ラミネート層10およびシール層30が樹脂製である場合の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂、およびポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0058】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(A2)、ポリプロピレン系樹脂、およびエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、およびブロックポリプロピレン(BPP)等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂(A2)としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)および(LLDPE)等が挙げられる。
【0059】
ナイロン樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、およびナイロン6,12等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0060】
ラミネート層10は、ポリエチレン系樹脂(A2)を含むことが好ましい。
この場合、ラミネート層10におけるポリエチレン系樹脂(A2)の含有量は、ラミネート層10における樹脂成分の合計を100質量%として、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0061】
シール層30は、ポリエチレン系樹脂(A2)を含むことが好ましい。
この場合、シール層30におけるポリエチレン系樹脂(A2)の含有量は、シール層における樹脂成分の合計を100質量%として、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがさらにより好ましい。
【0062】
ラミネート層10およびシール層30は、各種添加剤を含有してもよい。
【0063】
積層体50は、バイオプラスチックを含有してもよい。この場合において、中間層20がバイオプラスチックを含有してもよい。また、ラミネート層10がバイオプラスチックを含有してもよく、シール層30がバイオプラスチックを含有してもよい。あるいは、中間層20、ラミネート層10、およびシール層30のいずれか2層以上が、バイオプラスチックを含有してもよい。
バイオプラスチックとしては、例えば、植物由来の樹脂およびバイオポリプロピレン等が挙げられる。植物由来の樹脂としては、例えば、バイオポリエチレンが挙げられる。
【0064】
積層体50は、MDおよびTDの少なくとも一方におけるループ剛性の上限が、8.0g以下であることが好ましく、4.0g以下であることがより好ましく、2.0g以下であることがさらに好ましい。また、積層体50は、MDおよびTDにおけるループ剛性の上限が、いずれも8.0g以下であることも好ましく、4.0g以下であることがより好ましく、2.0g以下であることがさらに好ましい。
ループ剛性がこの範囲内であれば、積層体50は柔軟性により優れる。
【0065】
積層体50は、衝撃強度の下限が、1.0J以上であることが好ましく、1.5J以上であることがより好ましく、2.0J以上であることがさらに好ましい。
衝撃強度がこの範囲内であれば、積層体50は衝撃強度より優れる。
【0066】
積層体50は、突刺強度の下限が、1.5N以上であることが好ましく、2.0N以上であることがより好ましく、2.5N以上であることがさらに好ましい。
突刺強度がこの範囲内であれば、積層体50は衝撃強度により優れる。
なお、突刺強度は、実施例に記載の方法に準じて測定できる。
【0067】
積層体50において、中間層20が、本実施形態に係るフィルム1であることも好ましい。
【0068】
また、積層体50に、本実施形態に係るフィルム1が複数含まれてもよい。本実施形態に係るフィルム1が積層体50に複数含まれる場合、各フィルム1中のポリエチレン系樹脂(A1)等の構成成分は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0069】
積層体50の全体の厚さは、特に限定されない。積層体50の全体の厚さは、用途に応じて適宜設定される。積層体50の全体の厚さ(総厚さ)の下限は、例えば、20μm以上である。また、積層体50の全体の厚さ(総厚さ)の上限は、例えば、150μm以下であり、80μm以下であることが好ましい。
【0070】
積層体50の製造方法は、特に限定されない。
積層体50の製造方法としては、例えば、ラミネート層10の材料と、中間層20の材料と、シール層30の材料とを、インフレーション成形する方法または共押出しする方法、予め製造した中間層20の一方の面にラミネート層10を押し出して積層し、中間層20の他方の面にシール層30の材料を押し出して積層する方法、ラミネート層10に対応するフィルムと、中間層20に対応するフィルムと、シール層30に対応するフィルムとを貼り合わせて積層する方法、および予め製造した中間層20の一方の面にラミネート層10の材料を含むコーティング液をコーティングし、中間層20の他方の面にシール層30の材料を含むコーティング液をコーティングする方法等が挙げられる。
【0071】
(包装袋)
次に、本発明の一態様に係る積層体を有する包装袋について説明する。
図3には、本実施形態に係る包装袋100の概略図が示されている。
包装袋100は、互いに対向する第1面111および第2面112を有する袋体である袋本体110を含む。
袋本体110は、本実施形態に係る積層体50を用いて形成されている。本実施形態では、2つの積層体50がサイドシール部121,122、およびボトムシール部130において、ヒートシール等により互いに接合されることによって、第1面111および第2面112を有する袋本体110が形成される。
【0072】
包装袋100は、例えば、開口部140にジッパーテープを形成して、ジッパーテープ付き包装袋としてもよい。
また、包装袋100は、第1面111を形成する積層体50および第2面112を形成する積層体50の一方にスパウトを取り付けた後、これらの積層体50同士の周囲をヒートシール等により接合してもよい。
【0073】
包装袋100により包装される被包装物としては、例えば、食料品、調味料、食品原料、飲料、医薬品、血液、化粧料、洗剤、栄養剤、化学品、接着剤、粘着剤、塗料、農薬、および肥料等が挙げられる。
【0074】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係るフィルム1は、前記関係式(3)および(4)を満たす。また、本実施形態に係る積層体50における中間層20は、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層であり、本実施形態に係る積層体50は、前記関係式(1)および(2)を満たす。これにより、本実施形態に係るフィルム1および積層体50は、従来よりも厚さを薄くした場合等であっても、従来と同等の機械強度を有する。特に、本実施形態に係る積層体50においては、機械強度を保ちながら、中間層20だけでなく、ラミネート層10およびシール層30の各層の厚さを薄くできる。そのため、このようなフィルムおよび積層体からなる包装袋等を減容化できる。
【0075】
〔変形例〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、上記第1実施形態において、中間層20がポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含む層である積層体50を例示したが、ラミネート層10に相当する第1の最外層もしくはシール層30に相当する第2の最外層、またはその両方が、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含み、前記関係式(1)および(2)を満たす積層体であってもよい。
【0076】
また例えば、上記第1実施形態において、ラミネート層10、中間層20、およびシール層30の3層構造の積層体50を例示したが、2層または4層以上の多層構造の積層体であってもよい。2層または4層以上の多層構造の積層体において、少なくとも1層が、ポリエチレン系樹脂(A1)を主成分として含み、前記関係式(1)および(2)を満たせばよい。
【0077】
また例えば、上記第1実施形態において、積層体50を用いて形成された包装袋100を例示したが、包装袋は単層のフィルム1を用いて形成されてもよい。
【実施例0078】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0079】
<フィルム状の積層体の成形>
ラミネート層、中間層、およびシール層を有する3層の積層体を、多層共押出しTダイキャスト成形によって、フィルム状に成形した。
なお、基準、各実施例、および比較例における各層の原料は、以下の通りとした。また、各層の厚さおよび積層体の総厚さは、表1および2に記載の通り(積層体の総厚さは、小数点以下を四捨五入)とした。
【0080】
[基準A]
(1)ラミネート層
・原料A-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP3530/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.2g/10min、密度:0.931g/cm3、融点:123℃)
(2)中間層
・原料B-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP2040/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/10min、密度:0.918g/cm3、融点:116℃)
(3)シール層
・原料C-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP2040/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/10min、密度:0.918g/cm3、融点:116℃)
【0081】
[実施例1]
中間層の構成成分を下記の通りに変更し、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表1に記載の通りに変更した以外は、基準Aと同様にした。
(1)中間層
・原料B-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP1540/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/10min、密度:0.913g/cm3、融点:113℃)
・原料B-2:環状オレフィンコポリマー(商品名:TOPAS(登録商標) 8007F-600/ポリプラスチックス株式会社製、密度:1.010g/cm3、ガラス転移温度:78℃)
【0082】
[実施例2]
中間層における原料B-1および原料B-2の配合量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にした。
【0083】
[比較例1]
中間層の構成成分を下記の通りに変更し、かつ、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表1の通りに変更した以外は、基準Aと同様にした。
(1)中間層
・原料A-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP3530/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.2g/min、密度:0.931g/cm3、融点:123℃)
【0084】
[比較例2]
中間層の構成成分を下記の通りに変更した以外は、比較例1と同様にした。
(1)中間層
・原料A-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP1540/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/min、密度:0.913g/cm3、融点:113℃)
【0085】
【0086】
[基準B、実施例3~4、比較例3~4]
基準Bは、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表2の通りに変更した以外は、基準Aと同様にした。
実施例3は、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表2の通りに変更した以外は、実施例1と同様にした。
実施例4は、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表2の通りに変更した以外は、実施例2と同様にした。
比較例3は、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表2の通りに変更した以外は、比較例1と同様にした。
比較例4は、各層の厚さおよび積層体の総厚さを表2の通りに変更した以外は、比較例2と同様にした。
【0087】
【0088】
<単層のフィルムの成形>
単層押出しTダイキャスト成形によって、フィルム状に成形した。
なお、基準、各実施例、および比較例における各フィルムの原料は、以下の通りとした。フィルムの厚さは、表3および4に記載の通りとした。
【0089】
[基準C]
・原料D-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP2040/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/10min、密度:0.918g/cm3、融点:116℃)
【0090】
[実施例5]
構成成分を下記の通りに変更し、フィルムの厚さを表3に記載の通りに変更した以外は、基準Cと同様にした。
・原料D-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP1540/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/10min、密度:0.913g/cm3、融点:113℃)
・原料D-2:環状オレフィンコポリマー(商品名:TOPAS(登録商標) 8007F-600/ポリプラスチックス株式会社製、密度:1.010g/cm3、ガラス転移温度:78℃)
【0091】
[実施例6]
原料D-1および原料D-2の配合量を表3の通りに変更した以外は、実施例5と同様にした。
【0092】
[比較例5]
構成成分を下記の通りに変更した以外は、基準Cと同様にした。
・原料D-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP3530/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.2g/min、密度:0.931g/cm3、融点:123℃)
【0093】
[比較例6]
構成成分を下記の通りに変更した以外は、比較例5と同様にした。
・原料D-1:直鎖状低密度ポリエチレン(コモノマー:エチレン-1-ヘキセン共重合体)(商品名:エボリュー(登録商標) SP1540/株式会社プライムポリマー製、MFR:3.8g/min、密度:0.913g/cm3、融点:113℃)
【0094】
【0095】
[基準D、実施例7~8、比較例7~8]
基準Dは、フィルムの厚さを表4の通りに変更した以外は、基準Cと同様にした。
実施例7は、フィルムの厚さを表4の通りに変更した以外は、実施例5と同様にした。
実施例8は、フィルムの厚さを表4の通りに変更した以外は、実施例6と同様にした。
比較例7は、フィルムの厚さを表4の通りに変更した以外は、比較例5と同様にした。
比較例8は、フィルムの厚さを表4の通りに変更した以外は、比較例6と同様にした。
【0096】
【0097】
<各種評価>
基準、各実施例、および各比較例で作製した積層体並びに単層のフィルムを用いて、以下の機械物性について評価を行った。結果を表5、表6、表7、および表8に示す。
【0098】
(ループ剛性)
上記積層体および単層のフィルムを、各々1.5cm×18cmの大きさに切断して、長方形のテスト用サンプルを作製した。このテスト用サンプルをループ状にし、ループスティフネス試験法 (フィルム剛性試験法)に基づいて、ループスティフネステスター(東洋精機製 A222401101)を用いてループの頂点を圧子で一定距離押し付けたときの応力を測定することにより、ループ剛性を測定した。基準A、実施例1および2、並びに比較例1および2の結果を表5に、基準B、実施例3および4、並びに比較例3および4の結果を表6に、基準C、実施例5および6、並びに比較例5および6の結果を表7に、基準D、実施例7および8、並びに比較例7および8の結果を表8に示す。
【0099】
(衝撃強度)
上記積層体および単層のフィルムを、各々10cm×10cmの大きさに切断して、正方形のテスト用サンプルを作製した。東洋精機株式会社製のフィルム・インパクト・テスターを使用し、固定されたリング状のテスト用サンプルに半円球状の振り子(直径1.0インチ)を打ち付けて、テスト用サンプルの打ち抜きに要した衝撃強度(J)を測定した(30kg・cmスケール)。
【0100】
(突刺強度)
上記積層体および単層のフィルムを、各々直径16mmの円形に打ち抜き、テスト用サンプルを作製した。このテスト用サンプルに対して、直径1mmの針を200mm/minの突刺速度で突刺して、針がテスト用サンプルを貫通するのに要した強度(N)を、突刺強度として測定した。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
なお、表5~8中、関係式の項目における「○」は当該関係式を満たすことを、「×」は当該関係式を満たさないことを表す。
【0106】
表5~8より明らかなように、実施例1および2の積層体は、基準Aより厚さを薄くしても、基準と同等の機械強度を有することが確認され、実施例3および4の積層体は、基準Bより厚さを薄くしても、基準と同等の機械強度を有することが確認され、実施例5および6の単層のフィルムは、基準Cより厚さを薄くしても、基準と同等の機械強度を有することが確認され、実施例7および8の単層のフィルムは、基準Dより厚さを薄くしても、基準と同等の機械強度を有することが確認された。
【0107】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属すると了解される。
1…フィルム、10…ラミネート層、20…中間層、30…シール層、50…積層体、100…包装袋、110…袋本体、111…第1面、112…第2面、121,122…サイドシール部、130…ボトムシール部、140…開口部。