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  • 特開-加湿器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128178
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/14 20060101AFI20220825BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20220825BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20220825BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20220825BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20220825BHJP
【FI】
F24F6/14
F24F6/00 E
F24F11/30
F24F11/70
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026557
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
【テーマコード(参考)】
3L055
3L260
【Fターム(参考)】
3L055BB01
3L055DA14
3L260AB14
3L260BA06
3L260CA13
3L260FB67
3L260HA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加湿量の正確な把握を可能とし、加湿制御の精度向上と共に、噴射形態の選択の自由度の高い加湿器を提供する。
【解決手段】制御ユニット100の駆動制御により燃料噴射可能に構成された車両用燃料噴射弁10と、供給された水を制御ユニット100による駆動制御により高圧化して車両用燃料噴射弁10に供給可能としてなる高圧ポンプ20とを具備し、車両用燃料噴射弁10により水を噴射することで微小の略球状の水煙の噴霧を可能としてなるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットの駆動制御により燃料噴射可能に構成された車両用燃料噴射弁と、供給された水を前記制御ユニットによる駆動制御により高圧化して前記車両用燃料噴射弁に供給可能としてなる高圧ポンプとを具備し、前記車両用燃料噴射弁により前記水を噴射することで微小の略球状の水煙の噴霧を可能としてなることを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記車両用燃料噴射弁は、噴射ノズルの噴孔が鉛直方向の上方向に臨むように設けられ、複数の前記略球状の水煙を、鉛直方向において、離散的、かつ、ほぼ直線状の列に形成可能としてなることを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項3】
加湿空間の湿度を検出する湿度センサが設けられ、前記制御ユニットは、前記湿度センサにより検出された湿度が目標湿度に達するまで前記車両用燃料噴射弁による水の噴射を継続せしめるよう構成されてなることを特徴とする請求項2記載の加湿器。
【請求項4】
前記目標湿度を設定可能とする設定ユニットが設けられ、前記制御ユニットは、前記設定ユニットの設定湿度を前記目標湿度として読み込み可能に構成されてなることを特徴とする請求項3記載の加湿器。
【請求項5】
前記湿度センサには第1の無線端末が接続され、前記制御ユニットには第2の無線通信端末が接続される一方、
前記第1の無線端末は、前記湿度センサの検出信号を無線送信する一方、
前記第2の無線端末は、前記第1の無線端末の送信信号を受信、復調し、前記湿度センサの検出信号を前記制御ユニットへ入力可能に構成されてなることを特徴とする請求項4記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に係り、特に、湿度制御の精度向上、噴霧形態の選択の自由度向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所望する空間を加湿する加湿器としては、超音波振動子により得られた超音波振動によって微細な水滴からなる水煙を発生させて空気中に放出する構成の超音波加湿器が主流となっていることは良く知られている通りである(例えば、特許文献1等参照)。
また、らせん状に配管された空気ノズルを介して旋回加湿気流を発生させ、放出することで大量の加湿が所望される空間の迅速な加湿を可能とした加湿器なども提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-007739号公報
【特許文献2】特開2000-210600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の加湿器にあっては、放出する水煙の量を短時間で計測可能とする構成や、また、的確、且つ、高分解能で高精度な湿度制御を可能とする構成のものは少なく、これらの需要に対して十分対応できる状況ではない。
さらに、加湿器から放出された水煙を視覚効果を得るために所望の形状等に形成可能とする構成のものも殆どなく、加湿器の利用形態の自由度が小さいという問題もある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、加湿量の迅速で正確、且つ、精密で詳細な把握を可能とし、加湿制御の精度向上と共に、噴射形態の選択の自由度の高い加湿器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る加湿器は、
制御ユニットの駆動制御により燃料噴射可能に構成された車両用燃料噴射弁と、供給された水を前記制御ユニットによる駆動制御により高圧化して前記車両用燃料噴射弁に供給可能としてなる高圧ポンプとを具備し、前記車両用燃料噴射弁により前記水を噴射することで微小の略球状の水煙の噴霧を可能としてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用燃料噴射弁を用いて水の噴霧を行うことで、燃料噴射制御と同様の高精度で噴射量を把握することができ、しかも、高精度湿度センサにより検出された湿度が目標湿度に達した場合には、噴霧を停止する構成とすることで、噴射量の高精度の把握と相まって、的確、且つ、精密で詳細な湿度制御が確保できるという効果を奏するものである。
さらに、連続的に噴霧を行う超音波加湿器のような従来の加湿器と異なり、噴霧のタイミングを任意に変更でき、水煙の発生状態を調整できるので、視覚的効果のある噴霧が可能となり加湿器の利用形態の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態における加湿器の第1の構成例を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態におけ加湿器を構成する制御装置により実行される加湿動作制御処理の手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態における加湿器の第2の構成例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における加湿器の第1の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における加湿器Sは、車両用燃料噴射弁10と、高圧ポンプ(図1においては「HP」と表記)20と、給水タンク(図1においては「WP」と表記)30と、制御ユニット(図1においては「CNT」と表記)100と、設定ユニット(図1においては「SET」と表記)110と、湿度センサ1とを主たる構成要素として構成されてなるものである。
【0010】
かかる加湿器Sにおいて、車両用燃料噴射弁10、高圧ポンプ20、給水タンク30、及び、制御ユニット100から構成される部分は、自動車両の燃料噴射制御装置を構成するものであり、その構成自体は、従来から良く知られているものと基本的に同一である。なお、得られる効果が同一であれば、その構成は可変が可能である。
【0011】
しかして、給水タンク30と高圧ポンプ20の間は、第1の給水パイプ2により、高圧ポンプ20と車両用燃料噴射弁10との間は、第2の給水パイプ3により、それぞれ接続されている。
そして、給水タンク30には、加湿に用いられる水が蓄積されると共に、図示されない送水ポンプが設けられており、制御ユニット100による駆動制御に応じて高圧ポンプ20へ水を送出可能となっている。
高圧ポンプ20は、制御ユニット100の駆動制御に応じて給水タンク30から給水された水を高圧化して車両用燃料噴射弁10へ送出する。
【0012】
車両用燃料噴射弁10は、高圧ポンプ20から高圧で供給された水を、後述するように制御ユニット100の制御に応じて噴射端に設けられた噴射ノズル10Aを介して空中へ噴射するが、その噴射は、自動車両におけるエンジンへ対する燃料噴射と基本的に同様である。
設定ユニット110は、加湿対象の空間における所望湿度を設定し、その設定値を制御ユニット100へ出力するよう構成されたものである。このような設定ユニット110は、本発明特有のものではなく、従来から知られている構成のものが適用可能である。
【0013】
例えば、所望湿度の設定は、アナログ式で連続的に可変可能としても、また、離散的に設定可能としても、いずれでも良い。またさらに、制御ユニット100へ対する設定値の出力形態は、例えば、ディジタル値が好適であるが、アナログ値として、制御ユニット100内で制御処理に必要とされるディジタル値に変換する構成としても良い。
【0014】
制御ユニット100は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を備えると共に、入出力インターフェイス回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されてなるものである。
本発明の実施の形態における制御ユニット100は、自動車両の燃料噴射制御を実行可能に構成された従来のものと基本的に同様のものであるが、さらに、後述するように、所望する湿度を達成できるように水煙の噴霧制御を実行可能に構成されたものである。
【0015】
また、湿度センサ1は、加湿対象の空間の適宜な場所に設けられるか、又は、加湿対象の空間に臨むように加湿器の適宜な部位に設けられるものとなっている。湿度センサ11の検出値の精度、分解能は、本加湿器Sで制御可能な湿度の精度、分解能の範囲にあれば良く、勿論、一般的な性能の湿度センサを用いても良い。
なお、本発明の実施の形態における加湿器Sは、商用電源を基に図示されない電源回路により加湿器S内部で必要な直流電圧を生成し、必要な回路へ供給可能に構成されている。
【0016】
図2には、制御ユニット100により実行される本発明の実施の形態における加湿制御処理の手順を示すフローチャートが示されており、以下、同図を参照しつつ、その内容について説明する。
制御ユニット100により処理が開始されると、最初に、設定ユニット110において設定された所望の湿度(設定湿度)の制御ユニット100への読み込みが行われる(図2のステップS110参照)。制御ユニット100に読み込まれた設定湿度は、制御ユニット100内の図示されない記憶領域に最新の設定湿度として記憶、保存される。
【0017】
次いで、制御ユニット100による駆動制御により給水タンク30の水(ポンプ水)が送水ポンプ(図示せず)から高圧ポンプ20へ送出、供給される(図2のステップS120参照)。
次いで、制御ユニット100による駆動制御により高圧ポンプ20において高圧化された水(高圧水)が車両用燃料噴射弁10へ供給されれる(図2のステップS130参照)。
【0018】
次いで、制御ユニット100により計測湿度の読み込みが行われる(図2のステップS140参照)。すなわち、湿度センサ1の検出値が制御ユニット100に読み込まれ、加湿空間における最新の湿度として制御ユニット100内の適宜な記憶領域に記憶、保持されることとなる。
次いで、加湿状態が目標湿度に達した状態にあるか否かが判定される(図2のステップS150参照)。すなわち、先のステップS110で読み込まれた設定湿度が目標湿度とされ、ステップS140で読み込まれた計測湿度がこの目標湿度に達しているか否かが判定される。
【0019】
ステップS150において、計測湿度は目標湿度に達したと判定された場合(YESの場合)、所定時間の間、噴射停止とされて(図2のステップS160参照)、しかる後、先のステップS140から再度処理が繰り返されることとなる。
一方、ステップS150において、計測湿度は目標湿度に達していないと判定された場合(NOの場合)、制御ユニット100から車両用燃料噴射弁10へ噴射信号としての駆動パルスが出力され、その結果、車両用燃料噴射弁10から水が噴射されることとなる(図2のステップS170参照)。
なお、ステップS170の実行後は、先のステップS140から再度処理が繰り返され、目標湿度に到達するまで水の噴射が繰り返されることとなる。
【0020】
ここで、駆動パルスの印加による車両用燃料噴射弁10の噴射動作は、エンジンへの燃料噴射の場合と基本的に同様である。すなわち、微量で、かつ、正確な燃料噴射量の把握が必要とされる燃料噴射制御にあって、通常、車両用用燃料噴射弁から噴射される燃料量は、少なくとも車両用燃料噴射弁10の噴射ノズル10Aの具体的な仕様(例えば、噴孔の数、噴孔の形状等)と、噴射の際に車両用用燃料噴射弁に印加される駆動パルスのパルス幅によって、ほぼ一義的に定まるものとなっている。
【0021】
したがって、車両用燃料噴射弁10の具体的な仕様に応じて、一回の噴射の際の駆動パルスの幅を適宜設定することで,一回の噴射における水の噴射量を定めることができる。
そのため、加湿器S動作中の水の噴射量を把握したい場合、例えば、噴射回数を計数しつつ、適宜な噴射回数毎に、計数された噴射回数と1回の噴射の際の噴射量との積を算出し、その算出結果を適宜な表示素子(例えば、液晶表示素子)に表示する等の良く知られた技術を適用することで、定期的に水の噴射量を把握することが可能となる。
【0022】
車両用燃料噴射弁10から噴射された水は、空中で微少の略小球状の水煙20となり、徐々に上昇してゆく。したがって、車両用燃料噴射弁10が鉛直方向に沿って、かつ、噴射ノズル10Aの噴孔(図示せず)が上方向に臨んでいる場合には、図1に模式的に示されたように、噴射の度毎に生じた微少の略小球状の水煙20は、噴射間隔に応じた間隔でほぼ直線状に上昇してゆくこととなる。換言すれば、車両用燃料噴射弁10から噴射された水煙20は、鉛直方向で上方向へ上昇してゆくことで、全体的には各々がドット状で且つほぼ直線状に並ぶ水煙の列が形成されることとなる。
なお、図1においては、図示を省略してあるが、当然の事ながら、各水煙20は噴射後、ある程度の時間経過後は順に消滅することとなるものである。
【0023】
上述の実施の形態は、噴射が予め定められた時間間隔で行われることを前提として説明したが、噴射の間隔は、このような形態に限定される必要はない。例えば、予め定められた時間間隔で所定回数の噴射を行った後、一定時間噴射を停止し、しかる後に、再度予め定められた時間間隔で所定回数の噴射を行うことを繰り返すような噴射パターンとしても良い。
【0024】
次に、本発明の実施の形態における加湿器の他の構成例について、図3を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この第2の構成例は、湿度センサ11の検出信号を無線通信を用いて加湿器S本体と授受できるようにし、湿度センサ11の取り付けの自由度向上を図ったものである。
【0025】
以下、具体的に説明すれば、まず、湿度センサ11には、第1の無線端末(図3においては「WT1」と表記)50が接続されて、加湿空間の所望の場所に設けることが可能となっている。
また、制御ユニット100には、第2の無線端末(図3においては「WT2」と表記)60が接続されている。
第1の無線端末50は、湿度センサ11の検出信号を定期的に無線送信するよう構成されてなるものである。
また、第2の無線端末60は、第1の無線端末50から送信された無線信号を受信し、湿度センサ11の元の検出信号を復調可能に構成されてなるものである。
このよう構成を有する無線端末は、従来から種々実用に供されているものがあり、本発明の実施の形態においてもそのような従来構成のものであれば良く、本発明特有の構成を採るものではない。
【0026】
また、上述の第1及び第2の無線端末50,60の構成は、必要最小限のものであるが、勿論、この構成に限定される必要はなく、さらなる動作、機能を付加した構成としても良い。
すなわち、例えば、第2の無線端末60は、所定時間間隔で第1の無線端末50に対して湿度センサ11の検出信号の送信を要求する送信要求信号を送信し、第1の無線端末50は、第2の無線端末60からの送信要求信号を受信した場合に、湿度センサ11の検出信号を無線送信するような構成としても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
加湿量の正確な把握と加湿制御の精度向上と共に、噴射形態の選択の自由度が所望される加湿器に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1…湿度センサ
10…車両用燃料噴射弁
20…高圧ポンプ
30…給水タンク
100…制御ユニット
110…設定ユニット
図1
図2
図3