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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128215
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
H01H36/00 Y
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026620
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】樋口 大器
(72)【発明者】
【氏名】野口 翔
【テーマコード(参考)】
5G046
【Fターム(参考)】
5G046AA11
5G046AB03
5G046AC24
5G046AD13
5G046AD21
5G046AD22
5G046AE09
(57)【要約】
【課題】押込みスイッチを配置可能としながらも静電容量型操作スイッチの電極の面積が減少するのを抑制し、感度を良好に維持することができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】
電極16Aは2分割され、分割された電極16Aは静電容量の変化に基づいて操作者による操作の有無を検出する静電容量型操作スイッチの電極16Aとして利用可能であると共に、押込みスイッチ17Aを実装可能なランド16B3を形成する。これにより、静電容量型操作スイッチの電極16Aを押込みスイッチ17Aの実装パターンとしても利用できるため、静電容量型操作スイッチの電極16Aの面積を減少させることがなく、共通の基盤を用いた場合であっても、両スイッチ仕様において感度を良好に維持することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による操作の有無を検出するスイッチ装置において、
前記操作者により操作される操作パネルと、
前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、
前記基板の表面に形成された電極と、
前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて前記操作パネルに対する前記操作の有無を判定する判定手段と、
前記電極は2分割され、
分割された前記電極は、静電容量の変化に基づいて前記操作者による操作の有無を検出する静電容量型操作スイッチの電極として利用可能であると共に、押込みスイッチを実装可能なランドが形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
分割された前記電極は第一電極と、第二電極とに分割され、
前記第一電極と、前記第二電極とは、前記基板の表面から連通手段を介して、
前記基板の裏面に設けた切替パターンにそれぞれが接続され、
前記切替パターンはジャンパーの実装位置を変更することで、
前記第一電極と、前記第二電極と、を接続、または、分割できる構成とした請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記切替パターンは、前記第一電極と接続される第一パターンと、
前記第二電極に接続される第二パターンから構成され、
前記第一パターンは、
前記電極の外側に延びる一端が、
前記ジャンパーを介して前記基板の裏面かつ電極の外側に設けたグラウンド部と接続可能な構成となっており、
さらに、前記第一パターンは、
前記第二電極の方向に延びる他端が、
前記ジャンパーを介して前記第二パターンと接続可能な構成となっている。
また、前記第二パターンは、
一端が、前記連通手段と、前記第二電極と、を介して信号線に接続され、外部に信号を出力可能な構成となっており、
さらに、前記第二パターンは、
前記第一電極の方向に延びる他端が、
前記ジャンパーを介して前記第一パターンと接続可能な構成とした請求項2記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の静電容量型操作スイッチにおいては、特許文献1記載のように、回路基板上に形成された電極を静電容量型操作スイッチの電極として用いるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-114906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、回路基板上に電極を形成するため、静電容量型操作スイッチ仕様にのみ対応する専用の回路基板となり、静電容量型操作スイッチを用いず、押込みスイッチを設けて、操作者による操作の有無を押込みスイッチによって検出する押込みスイッチ仕様を許容する場合、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、で回路基板はそれぞれ専用の別の回路基板を用いる必要があり、コストが増加する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチ装置において、前記操作者により操作される操作パネルと、前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、前記基板の表面に形成された電極と、前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて前記操作パネルに対する前記操作の有無を判定する判定手段と、前記電極は2分割され、分割された前記電極には、押込みスイッチを実装可能なランドが形成されているスイッチ装置である。
【0006】
また、請求項2では、分割された前記電極は第一電極と、第二電極とに分割され、前記第一電極と、前記第二電極とは、前記基板の表面から例えばスルーホールを介して、前記基板の裏面に設けた切替パターンにそれぞれが接続され、前記切替パターンはジャンパーの実装位置を変更することで、前記第一電極と、前記第二電極と、を接続、または、分割できる構成としたスイッチ装置である。
【0007】
また、請求項3では、前記切替パターンは、前記第一電極と接続される第一パターンと、
前記第二電極に接続される第二パターンから構成され、前記第一パターンは、前記電極の外側に延びる一端が、前記ジャンパーを介して前記基板の裏面かつ前記電極の外側に設けたグラウンド部と接続可能な構成となっており、さらに、前記第一パターンは、前記第二電極の方向に延びる他端が、前記ジャンパーを介して前記第二パターンと接続可能な構成となっている。また、前記第二パターンは、一端が、連通手段と、前記第二電極と、を介して信号線に接続され、外部に信号を出力可能な構成となっており、さらに、前記第二パターンは、前記第一電極の方向に延びる他端が、前記ジャンパーを介して前記第一パターンと接続可能な構成としたスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、操作者(例えば指)と電極との間の静電容量の変化に基づいて、操作者による操作の有無が検出される。ここで、静電容量型操作スイッチには、操作パネルの直下に配置される電極を基板の表面にパターンとして形成するものがある。このような静電容量型操作スイッチにおいては、指と電極の重なる面積が大きいほど検出される静電容量が大きくなり、静電容量が大きいほど操作の有無を判定し易い。このため、電極の面積は大きいほど操作の有無を判定し易くなり、指の大きさ程度とするのが好ましい。
【0009】
一方で、開発コストの削減や、機種ラインナップ充実のため静電容量型操作スイッチ仕様とは別に押込みスイッチ仕様を設ける場合がある。その場合、製品としてのデザイン性を確保するため、何れの仕様であってもスイッチは同位置に配置するのが望ましい。この場合、スイッチが実装される基板を共通化することでコストを削減することができる。しかしながら、何れの仕様であってもスイッチを同位置に配置可能な基板とするためには、基板の表面にパターンとして形成された電極の一部を欠いて押込みスイッチの実装パターンを形成する必要があり、静電容量型操作スイッチで操作者による操作の有無を判定するのに必要な感度を生み出す電極面積が減少するため、ノイズ等による誤動作や隣接するスイッチとの判定が難しくなるという制約が発生してしまう。
【0010】
そこで、請求項1によれば、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチ装置において、操作者により操作される操作パネルと、操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、基板の表面に形成された電極と、電極に接続され、電極からの信号に基づいて操作パネルに対する操作の有無を判定する判定手段と、電極は2分割され、分割された電極には、押込みスイッチを実装可能なランドを形成することで、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、を同一の基板とした場合であっても、静電容量型操作スイッチで操作者による操作の有無を判定するのに必要な感度を生み出す電極面積が減少せず、ノイズ等による誤動作や隣接するスイッチとの判定が難しくなるという制約が発生しにくくなる。
【0011】
また、請求項2によれば、分割された電極は第一電極と、第二電極とに分割され、第一電極と、第二電極とは、基板の表面から例えばスルーホールを介して、基板の裏面に設けた切替パターンにそれぞれが接続され、切替パターンはジャンパーの実装位置を変更することで、第一電極と、第二電極と、を接続、または、分割できる構成としたことで、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、を安価に切替ることができる。
【0012】
また、請求項3によれば、切替パターンは、第一電極と接続される第一パターンと、第二電極に接続される第二パターンから構成され、第一パターンは、電極の外側に延びる一端がジャンパーを介して基板の裏面かつ電極の外側に設けたグラウンド部と接続可能な構成となっており、さらに、第一パターンは、第二電極の方向に延びる他端が、ジャンパーを介して第二パターンと接続可能な構成となっている。また、第二パターンは、一端が、連通手段と、第二電極と、を介して信号線に接続され、外部に信号を出力可能な構成となっており、さらに、第二パターンは、第一電極の方向に延びる他端が、ジャンパーを介して第一パターンと接続可能な構成としたことで、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、を切替た場合であっても、共通のグラウンド部と信号線を使う事ができるため、安価に切替ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の空調装置の外観構成を表す斜視図
図2】操作スイッチの内部構成を表す分解斜視図
図3】一実施形態の静電容量型操作スイッチ仕様における基板表面の電極形状及び電気部品の配置を表す平面図
図4】一実施形態の押込みスイッチ仕様における基板表面の電極形状及び電気部品の配置を表す平面図
図5】一実施形態の基板裏面の電極形状及び電気部品の配置を表す平面図
図6】従来例の基板の電極形状及び電気部品の配置を表す平面図
図7】エアコンのリモコン装置の外観を表す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1図5に基づいて説明する。
【0015】
まず、図1を用いて本発明の静電容量型操作スイッチを適用した、本実施形態の空調装置1の外観構成を示す。空調装置1は、例えば除湿機である。図1に示すように、空調装置1は、底板2と、底板2の上部に設けられた本体ケース3と、本体ケース3の前方に設けられた前ケース4と、本体ケース3の上部に設けられた運搬用の取手5とを有している。底板2、本体ケース3、及び前ケース4は、空調装置1の外郭を構成している。
【0016】
本体ケース3の側面には、吸込口6が設けられている。吸込口6には、例えば多数の横長のスリットが形成されており、空気が吸引される。また、本体ケース3の上部の片側には、吹出口7と、吹出口7の上部を開閉可能なルーバー8とが設けられている。吸込口6から吸引されて除湿された空気は、吹出口7から吐出され、ルーバー8により送風方向を調整される。
【0017】
前ケース4の上部には、操作部9が設けられている。操作部9には、例えば「運転/停止」スイッチや、ルーバー8を回動させるための「スイング」スイッチ等を含む複数の操作スイッチ10と、例えば運転ランプ等の各種の運転状態を表示する複数の表示部11が設けられている。複数の操作スイッチ10の各々は、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出する静電容量型操作スイッチ、または、押込みによる信号変化に基づいて検出する押込みスイッチとして構成されている。
【0018】
なお、空調装置1は除湿機に限るものではない。例えば加湿機、エアコン、ファンヒーター、空気清浄機等、室内の空気の温度、湿度及び清浄度の少なくとも1つを調整する装置であれば、本発明は適用可能である。
【0019】
次に、図2図5を用いて複数の操作スイッチ10の内部構成について説明する。図2に、複数の操作スイッチ10のうちの2つの操作スイッチ10Aと、操作スイッチ10Bと、を抽出してその内部構成を示す。この例では、「運転/停止」スイッチである操作スイッチ10Aと、「スイング」スイッチである操作スイッチ10Bの内部構成を示している。なお、以下において、操作スイッチ10Aと操作スイッチ10Bとを区別しない場合には、単に操作スイッチ10と記載する。
【0020】
図2に示すように、操作スイッチ10は、操作パネル12と、ケース13と、基板14とを有している。操作パネル12は、例えば可撓性を有するプラスチック(アクリルを含む)等の材料で構成されており、操作者により操作されるパネルである。操作者は、操作パネル12の表面に指24を接触または近接させることにより、操作スイッチ10を操作する。操作パネル12は、1つのパネルを複数の操作スイッチ10で共用するように構成されているが、各操作スイッチ10ごとに別々のパネルとして構成してもよい。以下では説明の便宜上、操作パネル12のうち、操作スイッチ10Aに対応する部分を操作パネル12A、操作スイッチ10Bに対応する部分を操作パネル12Bと記載する。
【0021】
操作パネル12には、スイッチの機能や用途を示すシンボルマーク15が形成されている。図2に示す例では、シンボルマーク15として、操作パネル12Aには「運転/停止」の文字、操作パネル12Bには「スイング」の文字が形成されている。なお、シンボルマーク15は文字に限らず、記号や図柄としてもよい。シンボルマーク15は、各操作パネル12A,12Bにおいて、各操作スイッチ10A,10Bの電極16A,16Bの略中央位置に対応する位置に形成されている。
【0022】
ケース13は、操作パネル12と基板14との間に配置され、各操作スイッチ10A,10Bごとに外周を囲むように設けられた略四角枠状の部材である。ケース13は、各操作スイッチ10A,10Bに一点鎖線で示す押込みスイッチ17A,17Bを配置した場合に押込みスイッチ17A,17Bの実装に必要な実装スペースを確保するスペーサとして機能する。ケース13は、各操作スイッチ10に対応した複数の四角形状の枠が一体化された部材として構成されているが、各操作スイッチ10ごとに別々の部材として構成してもよい。以下では説明の便宜上、ケース13のうち、操作スイッチ10Aに対応する部分をケース13A、操作スイッチ10Bに対応する部分をケース13Bと記載する。
【0023】
基板14は、操作パネル12の操作側(操作者により操作される側。表面側)とは反対側(内部側)に配置された、プリント基板である。基板14は、絶縁板の両面に回路パターンが形成された両面基板である。基板14の操作パネル12側の表面14aには、各操作スイッチ10A,10Bごとに、電極16が設けられている。電極16は押込みスイッチ17が実装可能な構成となっており、以下では説明の便宜上、操作スイッチ10Aに対応する電極を電極16A、操作スイッチ10Bに対応する電極を電極16Bと記載する。同様に、操作スイッチ10Aに対応する押込みスイッチを押込みスイッチ17A、操作スイッチ10Bに対応する押込みスイッチを押込みスイッチ17Bと記載する。
【0024】
押込みスイッチ17Aは、基板14の操作パネル12側の表面14aに面実装可能な、いわゆるタクトスイッチで、押込みスイッチ17Aは、少なくとも一部が押込み可能で、押込み有無に応じて内部の接点が開閉する。該接点から延びる端部が押込みスイッチ17Aの外部に露出する端子が設けられている。該端子は電極16のランド16A3に接続され、前記接点の開閉に応じた信号は電極16を介して外部に出力される構成となっている。
【0025】
また、基板14の表面14aには、電極16A,16Bからの信号に基づいて操作パネル12A,12Bに対する操作の有無をそれぞれ判定するICチップ18(判定手段)が設けられている。また、電極16A,16Bの各々とICチップ18とをそれぞれ接続する信号線19と、電極16A,16B及び信号線19は、基板14の表面14aに回路パターンとして形成されている。
【0026】
なお、ICチップ18は基板14に実装することに限るものではなく、例えばICチップ18が基板14とは別の基板に実装される。基板14の表面14aに実装された電極16A,16Bの各々と基板14とは別の基板に実装されたICチップ18とがそれぞれ電気的に接続されていれば良いものである。また、図示しないが、基板14の表面14aには電極16A,16Bの各々の周囲に、電極16間の電気的干渉を防ぐグラウンドパターンが、回路パターンとして形成されている。
【0027】
図3図4図5に、電極16Aの構成を示す。なお、電極16Bの構成も図3図4図5に示す構成と同様である。
【0028】
図3に示すように、基板14の表面14aに実装された電極16Aは略正方形状に形成されており、ケース13A内に収容されている。電極16Aの大きさは操作者の指24の大きさと同程度に設定されており、操作者の指24が操作パネル12Aに接触または近接すると、電極16Aにより検出される静電容量が変化する。ICチップ18は、電極16Aからの信号に基づいて当該静電容量の変化を検出し、しきい値と比較することで操作者による操作の有無を判定する。なお、電極16Aの形状は正方形状に限るものではなく、例えば長方形状としてもよい。
【0029】
電極16Aには、押込みスイッチ17Aを実装可能な複数のランド16A3がもうけられている。ランド16A3は電極16Aの表面にある絶縁被膜の一部を略長方形に切り欠くことによって電極16Aの銅箔を露出した接続部となっている。ランド16A3は半田によって電気部品を電気的に接続可能となっている。さらに、電極16Aには、基板14の表面14aを露出させる略長方形状の開口部21が形成されている。開口部21は電極16Aを電極16A1と、電極16A2と、の2つに分断し、電極16A1と、電極16A2と、にそれぞれ少なくとも1つのランド16A3が配置される構成となっている。なお、開口部21の大きさは、電極16A1と、電極16A2との間で絶縁距離を確保できるように設定されている。
【0030】
また、信号線19は、電極16A2の外側に配線され、電極16Aの外部に延びた部分に対して略垂直に屈曲してICチップ18に向けて延設され、ICチップ18に接続される。
【0031】
図5に示すように、電極16A1と、電極16A2と、は基板14の表面14aから例えばスルーホールなどの連通手段22を介して、基板14の裏面14bに設けた切替パターン23にそれぞれが接続される。切替パターン23はジャンパー25の実装位置を変更することで、電極16A1と、電極16A2と、を接続、または、分割できる構成としたことで、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、を安価に切替ることができるように構成されている。
【0032】
また、切替パターン23は、電極16A1と接続される切替パターン231と、電極16A2に接続される切替パターン232から構成されている。また、切替パターン231は、電極16Aの外側に延びる一端がジャンパー25を介して、基板14の裏面14bかつ電極16Aの外側に設けたグラウンド部20と接続可能な構成となっている。さらに、切替パターン231は、電極16A2の方向に延びる他端がジャンパー25を介して切替パターン232と接続可能な構成となっている。また、切替パターン232は、一端が連通手段22と、電極16A2と、を介して信号線19と接続され、外部に信号を出力可能な構成となっている。さらに、切替パターン232は、電極16A1の方向に延びる他端がジャンパー25を介して切替パターン231と接続可能な構成とした。そのことで、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、を切替た場合であっても、共通のグラウンド部20と信号線19を使う事ができる。このため、安価に各仕様の切替を行うことができる。
【0033】
ここで、図3図4を用いて静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様と、の具体的な切替方法について説明する。図3に示すように、押込みスイッチ17Aは電極16Aに実装されず、切替パターン231と、切替パターン232とは、ジャンパー25を介して接続される。また、切替パターン231と、グラウンド部20とは接続されない構成とすることで、静電容量型操作スイッチ仕様となる。一方、図4に示すように、押込みスイッチ17Aは、ランド16A3を介して電極16Aに接続される。また、切替パターン231と、切替パターン232とは接続されず、切替パターン231と、グラウンド部20とはジャンパー25を介して接続された構成とすることで、押込みスイッチ仕様となる。
【0034】
以上で説明した、本実施形態の空調装置1の操作スイッチ10は、開発コストの削減や、機種ラインナップ充実のため静電容量型操作スイッチ仕様とは別に押込みスイッチ仕様を設ける場合がある。その場合であっても、ジャンパー25の切替を行うことによって仕様の切替が可能なものである。
【0035】
一方、本実施形態では特に、電極16Aを開口部21で電極16A1と、電極16A2とに分割し、ジャンパー25の切替によって、電極16A1と、電極16A2とを接続、または、分割できる構成となっている。そのことによって、押込みスイッチ17A用のパターンによる電極16Aの面積の減少を抑制する効果を高めることができ、静電容量型操作スイッチ仕様時の感度を良好に維持することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の静電容量型操作スイッチ仕様時の空調装置1の操作スイッチ10によれば、操作者の指24と電極16Aとの間の静電容量の変化に基づいて、操作者による操作の有無が検出される。ここで、本実施形態の操作スイッチ10では、操作パネル12の直下に配置される電極16Aを基板14の表面14aにパターンとして形成する。このような操作スイッチ10においては、指24と電極16Aの重なる面積が大きいほど検出される静電容量が大きくなり、静電容量が大きいほど操作の有無を判定し易い。このため、電極16Aの面積は大きいほど操作の有無を判定し易くなり、指24の大きさ程度とするのが好ましい。
【0037】
一方で、図6に示す従来例として、電極16Aが、開口部21によって分割されない構成を示す。図6では、操作スイッチ10は、開発コストの削減や、機種ラインナップ充実のため静電容量型操作スイッチ仕様とは別に押込みスイッチ仕様を設ける場合がある。その場合、製品としてのデザイン性を確保するため、何れの仕様であってもスイッチは同位置に配置するのが望ましい。この場合、スイッチが実装される基板14を共通化することでコストを削減することができる。
【0038】
しかしながら、何れの仕様であってもスイッチを同位置に配置可能な基板14とするためには、基板14の表面14aにパターンとして形成された電極16Aは、略中央位置に、電極16Aを分割しないように略正方形の開口部21が設けられる。開口部21は内側に、一点鎖線で示す押込みスイッチ17Aを実装するためのパターンを形成する必要がある。そのことによって、静電容量型操作スイッチで操作者による操作の有無を判定するのに必要な感度を生み出す電極16Aの面積が減少するため、ノイズ等による誤動作や隣接するスイッチとの判定が難しくなるという制約が発生してしまう。
【0039】
そこで、本実施形態によれば、電極16Aを開口部21で電極16A1と、電極16A2とに分割し、ジャンパー25の切替によって、電極16A1と、電極16A2とを接続、または、分割できる構成とした。そのことで、押込みスイッチ17A用のパターンによる電極16Aの面積の減少を抑制する効果を高めることができる。さらに、静電容量型操作スイッチ仕様時の感度を良好に維持した上で、静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様とを同一の基板14とすることができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、前述のように構成された静電容量型の操作スイッチ10を、例えば室内の空気の湿度を調整する除湿機である空調装置1に適用する。これにより、操作スイッチ10の静電容量型操作スイッチ仕様と、押込みスイッチ仕様とを同一の基板14とした空調装置1を実現できる。
【0041】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、図示は省略するが、電極16Aを円形状(真円または楕円のどちらでもよい)に形成してもよい。この場合も、電極16Aの大きさは操作者の指24の大きさと同程度に設定される。上記以外の構成は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。本変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、図示は省略するが、前述の実施形態では基板14を両面基板としたが、絶縁板の表面14aにのみ回路パターンが形成された片面基板としてもよく、その場合、切替パターン23は基板14の表面14aの電極16Aの外側に形成されている。また、切替パターン23は、電極16A1と接続される切替パターン231と、電極16A2に接続される切替パターン232から構成される。さらに、切替パターン231は、電極16Aの外側に延びる一端がジャンパー25を介して基板14の表面14aに設けたグラウンド部20と接続可能な構成となっている。さらには、切替パターン231は、電極16A2の方向に延びる他端が、ジャンパー25を介して切替パターン232と接続可能な構成となっている。また、切替パターン232は、一端が、電極16A2を介して信号線19と接続され、外部に信号を出力可能な構成となっている。さらに、切替パターン232は、電極16A1の方向に延びる他端が、ジャンパー25を介して切替パターン231と接続可能な構成となるように形成されている。上記以外の構成は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。本変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、前述の実施形態では、空調装置1の本体に本発明の静電容量型操作スイッチを設けた場合について説明したが、空調装置1を操作する操作装置(いわゆるリモコン装置。据付型、携帯型のどちらでもよい)に本発明の静電容量型操作スイッチを設けてもよい。さらには、前述の実施形態のように運搬可能な空調装置以外にも、例えば給湯機、換気扇、エアコン等の住宅に据え付けられる住宅設備機器や、当該住宅設備機器を操作するための住宅設備機器用操作装置(いわゆるリモコン装置。据付型、携帯型のどちらでもよい)に本発明の静電容量型操作スイッチを設けてもよい。
【0045】
図7に、住宅設備機器用操作装置の一例として、室外機(図示省略)と室内端末機(図示省略)とを有するエアコン(例えばヒートポンプ式温調システム)のリモコン装置RMの外観を示す。リモコン装置RMは、例えば壁に設置される据付型のリモコン装置である。リモコン装置RMには、表示部29と、室外機と室内端末機の運転開始・停止を指示するための「運転/停止」ボタンである操作スイッチ30と、室内端末機に対しタイマーによる運転を指示するための「タイマー」ボタンである操作スイッチ31と、室内端末機の運転態様の切替を指示する「運転切替」ボタンである操作スイッチ32と、画面表示を1つ前の画面に戻すための「戻る」ボタンである操作スイッチ33と、「メニュー/決定」ボタンである操作スイッチ34と、上下左右方向への十字キーである操作スイッチ35とが設けられている。
【0046】
複数の操作スイッチ30,31,32,33,34,35の全部または一部が、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出する静電容量型操作スイッチとして構成されている。静電容量型操作スイッチの構成は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。本変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
なお、以上の説明における「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではない。すなわち、「垂直」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」という意味である。
【0048】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0049】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0050】
10 操作スイッチ(静電容量型操作スイッチ)
10A 操作スイッチ(静電容量型操作スイッチ)
10B 操作スイッチ(静電容量型操作スイッチ)
12 操作パネル
12A 操作パネル
12B 操作パネル
14 基板
14a 表面
14b 裏面
16 電極
16A 電極
16A1 電極(第一電極)
16A2 電極(第二電極)
16A3 ランド
16B 電極
16B1 電極(第一電極)
16B2 電極(第二電極)
16B3 ランド
17 押込みスイッチ
17A 押込みスイッチ
17B 押込みスイッチ
19 信号線
20 グラウンド部
22 連通手段
23 切替パターン
231 切替パターン(第一パターン)
232 切替パターン(第二パターン)
24 指
25 ジャンパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7