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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128250
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ワーク搬送機構
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20220825BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20220825BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220825BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B24B41/06 A
B24B55/06
H01L21/304 621D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026681
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】持丸 順行
(72)【発明者】
【氏名】鶴江 渉
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕志
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034BB82
3C047FF08
3C047FF19
3C047HH11
5F057AA33
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057DA38
5F057EB04
5F057EB07
5F057FA13
5F057FA36
5F131AA02
5F131BA33
5F131CA38
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB23
5F131DB58
5F131DB72
5F131DB76
5F131EB63
(57)【要約】
【課題】研磨装置のフットプリントを狭くすることができると共に、ワークの搬送時間を短縮して生産性を向上させることができるワーク搬送機構を提供する。
【解決手段】研磨装置1においてワークWを搬送するワーク搬送機構2であって、ロボット35から受け取ったワークWをチャック機構11に送るロードトレイ20と、チャック機構11からワークWを受け取りロボット35に受け渡すアンロードトレイ30と、チャック機構11を洗浄するチャック洗浄部21と、を有し、ロードトレイ20とアンロードトレイ30は、独立して回動自在であり、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20を支持する回動自在なロードアーム23に設けられロードトレイ20と同時に回動する。このような構成により、ワーク搬送機構2の配置面積を狭くして研磨装置1の小型化を図ることができると共に、ワークWの搬送時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨装置において基板状のワークを搬送するワーク搬送機構であって、
ロボットから受け取った前記ワークをチャック機構に送るロードトレイと、
前記チャック機構から前記ワークを受け取り前記ロボットに受け渡すアンロードトレイと、
前記チャック機構を洗浄するチャック洗浄部と、を有し、
前記ロードトレイと前記アンロードトレイは、独立して回動自在であり、
前記チャック洗浄部は、前記ロードトレイを支持する回動自在なロードアームに設けられ前記ロードトレイと同時に回動することを特徴とするワーク搬送機構。
【請求項2】
前記チャック洗浄部は、前記ロードトレイが前記ワークを受け取る状態において、前記ロードトレイと前記チャック機構との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送機構。
【請求項3】
前記ロードトレイの回動軸及び前記アンロードトレイの回動軸は、前記ロードトレイが前記ワークを受け取る位置と、前記アンロードトレイが前記ワークを受け渡す位置と、の間に並設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等のワークを研磨する研磨装置のワーク搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等のCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)を行う研磨装置が知られている。この種の研磨装置は、半導体ウエハ等のワークをチャック機構に搬送するワーク搬送機構を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、半導体ウェーハのような被研磨体に対してCMPを行うために使われる研磨装置であって、被研磨体を被研磨体キャリアに伝達するためにピボット可能なロード/アンロードカップを使用する研磨装置が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、CMP研磨ヘッドへのウェーハ搬送を改良する装置が開示されている。同文献に開示された装置は、バッファステーションと、搬送ロボットと、ロード/アンロードアセンブリと、を備え、搬送ロボットがワークピースをバッファステーション及びロード/アンロードアセンブリに選択的に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008―512000号公報
【特許文献2】特開2001-60571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術のワーク搬送機構では、研磨装置を小型化し、半導体ウエハ等の生産性を向上させるために改善すべき点があった。
【0007】
具体的には、この種の研磨装置では、チャック機構に付着した研磨屑等を除去するためにチャック機構を洗浄するチャック洗浄機構が設けられる。このようなチャック洗浄機構が、ワークを搬送するワーク搬送機構とは別に設けられる構成では、研磨装置の小型化やワークの搬送時間短縮が難しいという問題点があった。
【0008】
即ち、ワークを搬送するワーク搬送機構とは別に、チャック機構を洗浄するチャック洗浄機構が設けられる構成では、チャック洗浄機構を配設するための領域が必要であるため、研磨装置のフットプリントが広くなる。また、チャック洗浄機構には、チャック洗浄部を送るための駆動手段を、ワーク搬送機構の駆動手段とは別に設ける必要がある。
【0009】
また、チャック洗浄機構のチャック洗浄部がチャック機構の位置に移動してチャック機構を洗浄し、洗浄が完了した後に元の位置に戻るまで、ワークを載せたロードトレイを回動させることができない。よって、チャック洗浄機構によるチャック洗浄部の移動動作の分だけ、ワークの生産に関し、時間的ロスが生じることになる。
【0010】
また例えば、ロードトレイとアンロードトレイを回動させるアームに、チャック機構を洗浄するためのチャック洗浄部が設けられる構成も考えられる。しかしながら、ロードトレイ、アンロードトレイ及びチャック洗浄部を一つのアーム上に設けて回動させる構成では、ロードトレイ、アンロードトレイ及びチャック洗浄部の回動範囲が広くなる。そのため、研磨装置には、ロードトレイ、アンロードトレイ及びチャック洗浄部が移動するための広い領域が必要になる。
【0011】
また、上記のようにロードトレイ、アンロードトレイ及びチャック洗浄部を一つのアームを回動させて送る方式では、アームの回動角度が大きくなり、ワーク及びチャック洗浄部の送りに時間を要するという問題点もある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、研磨装置のフットプリントを削減することができると共に、ワークの搬送時間を短縮して生産性を向上させることができるワーク搬送機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のワーク搬送機構は、研磨装置において基板状のワークを搬送するワーク搬送機構であって、ロボットから受け取った前記ワークをチャック機構に送るロードトレイと、前記チャック機構から前記ワークを受け取り前記ロボットに受け渡すアンロードトレイと、前記チャック機構を洗浄するチャック洗浄部と、を有し、前記ロードトレイと前記アンロードトレイは、独立して回動自在であり、前記チャック洗浄部は、前記ロードトレイを支持する回動自在なロードアームに設けられ前記ロードトレイと同時に回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のワーク搬送機構によれば、ロボットから受け取ったワークをチャック機構に送るロードトレイと、チャック機構からワークを受け取りロボットに受け渡すアンロードトレイと、チャック機構を洗浄するチャック洗浄部と、を有し、ロードトレイとアンロードトレイは、独立して回動自在である。そして、チャック洗浄部は、ロードトレイを支持する回動自在なロードアームに設けられており、ロードトレイと同時に回動する。このような構成により、ワーク搬送機構の配置面積を狭くして研磨装置の小型化を図ることができると共に、ワークの搬送時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0015】
具体的には、ロードトレイとアンロードトレイは、独立して回動自在であるので、ロードトレイが回動してワークを送る際に、アンロードトレイは回動せずに所定の位置で待機可能である。また、アンロードトレイが回動してワークを送る際には、ロードトレイは回動せずに所定の位置で待機可能である。
【0016】
よって、ロードトレイ及びアンロードトレイの旋回範囲が、研磨テーブルから離れたロボット側に及ばないようにできる。これにより、ロードトレイ及びアンロードトレイが一つのアームに支持され同一の回転軸を中心として同時に回動する構成に比べ、ロードトレイ及びアンロードトレイの回動領域を狭くすることができる。
【0017】
また、チャック洗浄部は、ロードトレイを支持するロードアームに設けられているので、チャック洗浄部を送るための搬送機構を別に設ける必要がない。よって、ワーク搬送機構のフットプリントを小さくして研磨装置を小型化することができる。
【0018】
また、チャック洗浄部は、ロードトレイと同時に回動するようロードトレイと共通のロードアームに設けられているので、チャック洗浄部の退避と、ロードトレイの進入と、を同時に行うことができる。よって、移動の無駄を省くことができ、搬送時間を短縮することができる。
【0019】
また、本発明のワーク搬送機構によれば、前記チャック洗浄部は、前記ロードトレイが前記ワークを受け取る状態において、前記ロードトレイと前記チャック機構との間に配置されても良い。これにより、ロードトレイ及びチャック洗浄部の移動距離、即ちロードアームの回動角度、を小さくして、搬送時間を短縮することができる。
【0020】
また、本発明のワーク搬送機構によれば、前記ロードトレイの回動軸及び前記アンロードトレイの回動軸は、前記ロードトレイが前記ワークを受け取る位置と、前記アンロードトレイが前記ワークを受け渡す位置と、の間に並設されても良い。これにより、ワーク搬送機構の配置領域を狭くして研磨装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構の概略構成を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構のワーク受け取り時の状態を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構のチャック洗浄時の状態を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構のロード時の状態を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構の研磨加工時の状態を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構のアンロード時の状態を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るワーク搬送機構のワーク受け渡し時の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る研磨装置のワーク搬送機構を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る研磨装置1のワーク搬送機構2の概略構成を示す平面図である。
【0023】
図1を参照して、研磨装置1は、略基板状のワークWの表面を研磨する装置である。具体的には、ワークWは、例えば、半導体基板であり、研磨装置1は、例えば、化学的機械研磨(CMP)加工を行う装置である。即ち、研磨装置1は、ワークWを形成する半導体等の表面や、半導体等の表面に形成された各種被覆等を、高精度に平坦状に仕上げるために用いられる。
【0024】
研磨装置1は、ワークWを研磨する研磨布を保持する研磨テーブル10と、ワークWを保持するチャック機構11と、ワークWをチャック機構11に搬送するワーク搬送機構2と、を有する。
【0025】
研磨テーブル10は、ワークWを研磨する研磨布を吸着保持して回転させる装置である。具体的には、研磨テーブル10は、略円形状の形態を成し、上部にある保持面に研磨布を保持した状態で、図示しない駆動手段によって駆動されて回転する。なお、研磨布は、例えば、図示しない減圧装置等を利用して研磨テーブル10の保持面に真空吸着されても良い。
【0026】
研磨テーブル10の研磨布を保持する保持面には、図示しない上載台が設けられても良い。上載台としては、例えば、ポーラス酸化アルミナ、ポーラスセラミックス、焼結金属、その他合成樹脂のポーラス素材からなる板材が使用される。
【0027】
研磨布は、ワークWを研磨するための布部材である。研磨布としては、例えば、発泡ポリウレタンシート、合成繊維等から成る不織布、その他のフェルトが利用されても良い。
【0028】
チャック機構11は、研磨対象のワークWを吸着保持して回転させる機構である。チャック機構11は、ワークWを保持する略円形状の保持面を有する。チャック機構11には、上下方向、即ち保持面に対して垂直な方向、に延在する回転軸が設けられている。ワークWを保持するチャック機構11の保持面は、略中央に設けられた回転軸を中心として回転自在に構成されており、図示しない駆動手段によって駆動されて回転する。即ち、ワークWは、チャック機構11の回転軸を中心として回転する。
【0029】
また、研磨装置1は、チャック機構11の保持面を上下方向に送る図示しない送り手段を有する。また、研磨装置1は、チャック機構11に保持されたワークWを研磨布の研磨面に向かって押圧する図示しない押圧手段を有する。
【0030】
研磨装置1では、ワークWに研磨布を接触させて相対移動させることによりワークWの研磨が行われる。詳しくは、研磨工程において、ワークWの被研磨面、即ち下表面は、チャック機構11の保持面の回転軸を中心として回転しながら、研磨テーブル10の保持面の回転軸を中心として回転している研磨布の研磨面、即ち上表面、に当接する。そして、ワークWの被研磨面は、研磨布の研磨面に押圧される。これにより、ワークWの被研磨面が研磨される。
【0031】
研磨装置1には、研磨工程において研磨布に研磨液を供給する図示しない研磨液供給装置が設けられている。研磨工程においては、研磨液供給装置から供給される研磨液は、研磨布を介して研磨面に供給される。研磨液としては、例えば、純水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等の溶液中に、砥粒として酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム(セリア)、酸化マンガン等が混濁されたものが使用されても良い。
【0032】
また、研磨装置1は、研磨布の研磨面をドレッシングする図示しないドレッシング装置を有する。ドレッシング装置は、研磨布の目詰まり除去や目立てを行うための図示しないドレッサを有する。ドレッサは、例えば、ダイヤモンド砥粒がニッケル(Ni)電着されたダイヤモンドドレッサである。
【0033】
また、ドレッサは、例えば、合成樹脂から形成されても良い。ドレッサを構成する合成樹脂材料は、高強度で耐熱性に優れた工業用プラスチック(エンジニアリングプラスチック)、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が好ましい。具体的には、ドレッサは、ナイロンブラシまたはPEEKブラシ等であっても良い。
【0034】
研磨装置1には、加工対象のワークWを装置内に供給するためのロードカセット26と、研磨加工が行われたワークWを装置から取り出すためのアンロードカセット34と、が設けられている。
【0035】
ロードカセット26及びアンロードカセット34は、複数のワークWを収容可能なカセットである。また、ロードカセット26及びアンロードカセット34は、研磨装置1から取り外し可能に構成されている。
【0036】
ワーク搬送機構2は、加工対象のワークWをチャック機構11に搬送する機構である。具体的には、ワーク搬送機構2は、ロードカセット26内に収容されている加工対象のワークWをチャック機構11に搬送し、研磨加工が完了したワークWをチャック機構11からアンロードカセット34に搬送する。
【0037】
ワーク搬送機構2は、ロードカセット26及びアンロードカセット34に対してワークWの搬送を行うロボット35と、ロボット35から受け取ったワークWをチャック機構11に送るロードトレイ20と、チャック機構11からワークWを受け取り、ロボット35に受け渡すアンロードトレイ30と、を有する。また、ワーク搬送機構2は、チャック機構11を洗浄するチャック洗浄部21を有する。
【0038】
ロボット35は、図示しない制御装置によって制御され、図示しない駆動手段によって駆動されて、ワークWを自動搬送する搬送用ロボットである。
ロボット35は、ロードカセット26に収容されているワークWを取り出してロードトレイ20に送る。また、ロボット35は、研磨加工が完了したワークWをアンロードトレイ30から受け取り、アンロードカセット34に収容する。
【0039】
ロードトレイ20は、ワークWをチャック機構11に送るためのトレイである。詳しくは、ロードトレイ20は、ロボット35から搬送された加工対象のワークWを受け取り、そのワークWをチャック機構11に送って受け渡す。
【0040】
ロードトレイ20は、回動自在なロードアーム23に支持されており、ロードアーム23の回動により、ロボット35からワークWを受け取る基準位置25からチャック機構11にワークWを受け渡す位置まで往復移動可能である。
ロードアーム23は、ロードトレイ20を支持する回動自在な中空ブロック状の部材であり、例えば、アルミニウム等の金属材料から形成されている。
【0041】
ロードアーム23は、上下方向に延在する略円柱状または略円筒状の図示しない回動軸部材によって支持されている。即ち、ロードアーム23は、回動軸部材の中心軸である回動軸24を中心として回動自在である。
【0042】
そして、ロードアーム23の回動軸部材は、図示しないモータ等の駆動手段に接続されている。よって、ロードアーム23は、駆動手段に駆動されて回動する。即ち、ロードアーム23に支持されているロードトレイ20は、回動軸24を中心として回動する。
【0043】
ロードアーム23には、チャック機構11の保持面を洗浄するチャック洗浄部21が設けられている。チャック洗浄部21は、研磨工程でチャック機構11に付着した研磨屑等を、次に加工すべきワークWを保持する前に、除去する部材である。チャック洗浄部21は、例えば、合成樹脂から形成されたブラシ状の部材であり、ナイロンブラシ等である。チャック洗浄部21は、その略中心部の回転軸22を中心として回転自在である。
【0044】
ロードアーム23は中空状に形成されており、ロードアーム23の内部には、チャック洗浄部21を回転させる図示しないモータ等の駆動手段が設けられている。また、ロードアーム23の内部には、前記駆動手段を制御して回転させるため制御配線や電源配線、その他計測用の配線等が設けられている。
【0045】
なお、チャック洗浄部21には、チャック機構11を洗浄するために、チャック機構11の保持面に高圧水を噴き付ける高圧水噴射手段が設けられても良い。チャック機構11に噴き付けられる高圧水としては、例えば、純水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液が使用される。また、高圧水の配管や制御用の配線等は、ロードアーム23の内部に設けられても良い。
【0046】
前述の通り、チャック洗浄部21は、ロードアーム23に設けられている。具体的には、ロードアーム23は、図1において、左側の端部近傍にロードトレイ20が設けられ、左上の端部近傍にチャック洗浄部21が設けられ、右側の端部近傍に回動軸24が設けられている。
【0047】
換言すれば、ロードアーム23は、上面視略Y字の形態を成し、Y字形状の一方の上端部近傍にロードトレイ20が設けられ、他方の上端部近傍にチャック洗浄部21が設けられ、下端部近傍に回動軸24が設けられている。よって、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20と共に、回動軸24を中心として回動する。
【0048】
詳しくは、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20がワークWを受け取る状態において、ロードトレイ20とチャック機構11との間となる位置に配置されている。即ち、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20がワークWを受け取る基準位置25と、チャック機構11と、の間に配置されている。このような構成により、ロードトレイ20及びチャック洗浄部21の移動距離、即ちロードアーム23の回動角度、を小さくして、搬送時間を短縮することができる。
【0049】
アンロードトレイ30は、ワークWをチャック機構11からロボット35に受け渡すためのトレイである。詳しくは、アンロードトレイ30は、チャック機構11から研磨加工後のワークWを受け取り、そのワークWを基準位置33まで送ってロボット35に受け渡す。
【0050】
アンロードトレイ30は、回動自在なアンロードアーム31に支持されており、アンロードアーム31の回動により、チャック機構11の下方のワークWを受け取る位置から、ロボット35にワークWを受け渡す基準位置33まで往復移動可能である。
アンロードアーム31は、アンロードトレイ30を支持する回動自在な中空ブロック状の部材であり、例えば、アルミニウム等の金属材料から形成されている。
【0051】
アンロードアーム31は、上下方向に延在する略円柱状または略円筒状の図示しない回動軸部材によって支持されている。即ち、アンロードアーム31は、回動軸部材の中心軸である回動軸32を中心として回動自在である。
【0052】
そして、アンロードアーム31の回動軸部材は、図示しないモータ等の駆動手段に接続されている。よって、アンロードアーム31は、駆動手段に駆動されて回動する。即ち、アンロードアーム31に支持されているアンロードトレイ30は、回動軸32を中心として回動する。
【0053】
ロードトレイ20とアンロードトレイ30は、独立して回動自在である。即ち、ロードトレイ20は、ロードアーム23に支持され回動軸24を中心として回動し、アンロードトレイ30は、アンロードアーム31に支持され回動軸32を中心として回動する。
【0054】
ロードトレイ20の回動軸24及びアンロードトレイ30の回動軸32は、ロードトレイ20がロボット35からワークWを受け取る位置である基準位置25と、アンロードトレイ30がロボット35にワークWを受け渡す位置である基準位置33と、の間に並設されている。
【0055】
即ち、ロードアーム23の回動軸24とアンロードアーム31の回動軸32は、研磨装置1の中央付近であってチャック機構11からの距離が略同じとなる位置に並設されている。そして、ロードトレイ20がロボット35からワークWを受け取る基準位置25は、図1において、回動軸24の左側、即ち研磨装置1の左側部分にある。他方、アンロードトレイ30がロボット35にワークWを受け渡す基準位置33は、回動軸32の右側、即ち研磨装置1の右側部分にある。このように、ロードトレイ20とアンロードトレイ30は、略左右対称に配設されている。
【0056】
ロードトレイ20及びアンロードトレイ30がこのように配設されることにより、ワーク搬送機構2の配置領域を狭くして研磨装置1を小型化することができる。なお、ロードトレイ20とアンロードトレイ30の配設は、上記とは左右逆の形態であっても良い。
【0057】
次に、図1ないし図7を参照して、研磨装置1のワーク搬送機構2でワークWを搬送する動作について説明する。
図1に示すように、先ず、研磨対象のワークWが収容されたロードカセット26が研磨装置1に取り付けられる。前述の通り、ロードカセット26には、複数枚のワークWが収容されても良い。研磨装置1にロードカセット26を取り付ける作業は、作業者によって行われても良いし、他の図示しない搬送装置等によって自動的に行われても良い。
【0058】
図2は、ワーク搬送機構2のワークW受け取り時の状態を示す平面図である。
図1及び図2を参照して、ロードカセット26に収容されているワークWは、ロボット35によって取り出され、ロードトレイ20に受け渡される。即ち、ワークWは、ロボット35によって、ロードトレイ20の上部に載置される。この時、ロードトレイ20は、回動軸24の左側の、ワークWを受け取る基準位置25にある。
【0059】
図3は、ワーク搬送機構2のチャック洗浄時の状態を示す平面図である。
図3に示すように、ロードトレイ20にワークWが保持された状態で、ロードアーム23が回動軸24を中心として回動し、チャック洗浄部21がチャック機構11に送られる。なお、この時、アンロードトレイ30は、回動軸32の右側の、ワークWを受け渡す基準位置33にある。
【0060】
詳しくは、先ず、チャック機構11は、保持面の下方にチャック洗浄部21が進入できるよう、図示しない送り手段によって上方または下方に送られても良い。そして、チャック洗浄部21は、ロードアーム23の回動によって、チャック機構11の保持面の下方に送られる。
【0061】
チャック洗浄部21がチャック機構11の下方に送られた後、チャック機構11は、ワークWを保持する保持面がチャック洗浄部21に当接するよう下方に送られる。そして、チャック機構11及びチャック洗浄部21は、それぞれ図示しない駆動手段によって駆動されて回転する。
【0062】
これにより、チャック機構11の保持面とチャック洗浄部21との相対移動による摺動によって、チャック機構11が洗浄され、チャック機構11に付着していた研磨屑等が除去される。
【0063】
チャック機構11の洗浄が終了した後、チャック機構11は、上方に送られる。具体的には、チャック機構11は、その保持面がチャック洗浄部21から離れ、保持面の下方にロードトレイ20が進入可能な高さまで送られる。
【0064】
図4は、ワーク搬送機構2のロード時の状態を示す平面図である。
図4に示すように、チャック機構11の洗浄が終了してチャック機構11が上昇した後、ロードアーム23が回動する。これにより、ロードトレイ20は、チャック機構11の下方に送られる。この時、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20と共に回動し、チャック機構11の下方から外れる。
【0065】
そして、チャック機構11が下方に送られ、ロードトレイ20の上方にあるワークWがチャック機構11の保持面に保持される。その後、ワークWを保持するチャック機構11は、ロードトレイ20及びチャック洗浄部21が移動可能となるよう上昇する。
【0066】
図5は、ワーク搬送機構2の研磨加工時の状態を示す平面図である。
図5に示すように、チャック機構11にワークWを受け渡した後、ロードアーム23は、回動軸24を中心として、ワークWを搬送した時とは逆の方向に回動し、ロードトレイ20及びチャック洗浄部21は、ワークW搬送時とは逆方向に移動する。詳しくは、ロードトレイ20及びチャック洗浄部21は、左回転方向に送られ、ロードトレイ20は、基準位置25に戻される。
【0067】
次いで、チャック機構11は下方に送られ、ワークWの被研磨面である下表面は、研磨テーブル10に保持されている研磨布の研磨面である上表面に当接する。そして、ワークWの研磨工程が実行される。
【0068】
具体的には、図示しない押圧手段によってチャック機構11を介してワークWが押圧されると共に、図示しない駆動手段に駆動されて、チャック機構11及び研磨テーブル10がそれぞれ回転する。ワークWと研磨布との相対移動により、ワークWの被研磨面が研磨される。
【0069】
研磨工程が完了したら、チャック機構11は、ワークWを保持した状態で上方に送られる。即ち、チャック機構11は、ワークWの下方にアンロードトレイ30が進入可能となる高さまで上昇する。
【0070】
図6は、ワーク搬送機構2のアンロード時の状態を示す平面図である。
図6に示すように、研磨工程が終了してチャック機構11が上昇した後、アンロードアーム31は、図示しない駆動手段によって駆動され、回動軸32を中心として回動する。具体的には、アンロードトレイ30は、チャック機構11のワークWの下方に移動する。そして、チャック機構11は、下方に送られ、アンロードトレイ30にワークWを受け渡す。
ワークWをアンロードトレイ30に受け渡した後、チャック機構11は、アンロードトレイ30が移動できるよう、上方に送られる。
【0071】
図7は、ワーク搬送機構2のワークW受け渡し時の状態を示す平面図である。
図7に示すように、チャック機構11からワークWを受け取ったアンロードトレイ30は、回動軸32を中心として先程とは逆の方向、即ち右回転方向、に回動するアンロードアーム31に支持され、ロボット35にワークWを受け渡す基準位置33に送られる。
【0072】
図1及び図7を参照して、ロボット35は、基準位置33に送られたアンロードトレイ30からワークWを受け取り、そのワークWをアンロードカセット34に収容する。そして、アンロードカセット34に収容されるべき全てのワークWの研磨加工が終了してアンロードカセット34の収容が完了したら、アンロードカセット34が研磨装置1から取り外される。
【0073】
なお、図5に示すワーク搬送機構2の研磨加工時の状態や、図6に示すアンロード時の状態において、次に研磨加工すべきワークWをロボット35がロードトレイ20に搬送する工程が進められても良い。
【0074】
また、図7に示すワークWをロボット35に受け渡す状態から、ロボット35がワークWをアンロードカセット34に搬送する状態において、図2から図3に示すチャック洗浄時の状態に向けてロードアーム23の回動が進められても良い。
上記の方法により、ワークWを効率良く搬送して、搬送時間を更に短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0075】
以上説明の如く、ワーク搬送機構2のロードトレイ20とアンロードトレイ30は、独立して回動自在である。そして、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20を支持する回動自在なロードアーム23に設けられており、ロードトレイ20と同時に回動する。
【0076】
このような構成により、ワーク搬送機構2の配置面積を狭くして研磨装置1の小型化を図ることができる。また、ワークWの搬送時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0077】
具体的には、ロードトレイ20とアンロードトレイ30は、独立して回動自在であるので、ロードトレイ20が回動してワークWを送る際に、アンロードトレイ30は回動せずに所定の基準位置33で待機可能である。また、アンロードトレイ30が回動してワークWを送る際には、ロードトレイ20は回動せずに所定の基準位置25で待機可能である。
【0078】
よって、ロードトレイ20及びアンロードトレイ30の旋回範囲が、研磨テーブル10から離れたロボット35側に及ばないようにできる。これにより、ロードトレイ20及びアンロードトレイ30が一つのアームに支持され同一の回動軸を中心として同時に回動する構成に比べ、ロードトレイ20及びアンロードトレイ30の回動領域を狭くすることができる。
【0079】
また、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20を支持するロードアーム23に設けられているので、チャック洗浄部21を送るための搬送機構を別に設ける必要がない。よって、ワーク搬送機構2のフットプリントを小さくして研磨装置1を小型化することができる。
【0080】
また、チャック洗浄部21は、ロードトレイ20と同時に回動するようロードトレイ20と共通のロードアーム23に設けられているので、チャック洗浄部21の退避と、ロードトレイ20の進入と、を同時に行うことができる。よって、移動の無駄を省くことができ、搬送時間を短縮することができる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 研磨装置
2 ワーク搬送機構
10 研磨テーブル
11 チャック機構
20 ロードトレイ
21 チャック洗浄部
22 回転軸
23 ロードアーム
24 回動軸
25 基準位置
26 ロードカセット
30 アンロードトレイ
31 アンロードアーム
32 回動軸
33 基準位置
34 アンロードカセット
35 ロボット
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7