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特開2022-128254物体を浮遊させる演出システム及び演出方法
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  • 特開-物体を浮遊させる演出システム及び演出方法 図1
  • 特開-物体を浮遊させる演出システム及び演出方法 図2
  • 特開-物体を浮遊させる演出システム及び演出方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128254
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】物体を浮遊させる演出システム及び演出方法
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/40 20060101AFI20220825BHJP
   A63H 27/10 20060101ALI20220825BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A63H33/40
A63H27/10 Z
A63H33/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026685
(22)【出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】501041894
【氏名又は名称】チームラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】猪子 寿之
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC10
2C150DA18
2C150DA21
2C150DF01
2C150DG01
2C150DG21
2C150EB16
2C150ED11
2C150EF11
2C150EF16
2C150EG27
(57)【要約】
【課題】演出空間内において浮遊物の浮遊状態を制御することのできるシステムを提供する。
【解決手段】演出システム100は、複数の排気装置10を含む。複数の排気装置10は、それらの排気口12によって囲われた演出空間内に、平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させるように構成されている。複数の排気装置10が発生させた気流によって、演出空間内において浮遊物Fを浮遊させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊物を空中に浮かせるための演出システムであって、
複数の排気装置を含み、
前記複数の排気装置は、それらの排気口によって囲われた演出空間内に、平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させるように構成されており、
前記気流によって前記浮遊物を前記演出空間内において浮遊させる
演出システム。
【請求項2】
前記浮遊物は、可撓性の外膜によって気体が包含されるように構成されている
請求項1に記載の演出システム。
【請求項3】
吸気装置をさらに備え、
前記演出空間の上方に、前記排気装置によって排出された空気を吸引するように、前記吸気装置又はその吸気口が設けられている
請求項1に記載の演出システム。
【請求項4】
前記演出空間内における前記浮遊物の位置を検知するためのセンサと、
前記センサの検知情報に基づいて前記排気装置の風量又は風速を制御する制御装置を、さらに備える
請求項1に記載の演出システム。
【請求項5】
浮遊物を空中に浮かせる演出方法であって、
複数の排気装置排気装置の排気口によって囲われた演出空間内に平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させるように、前記複数の排気装置によって排気する工程と、
前記気流によって浮遊物を前記演出空間内において浮遊させる工程と、を含む
演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール等の浮遊物を浮遊させることのできる演出システムや演出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、従来からボール等の浮遊物を用いた演出システムを提案している(特許文献1及び特許文献2)。特許文献1及び特許文献2に記載の演出システムは、主に、ボールの中にLED照明器具やスピーカを搭載しておき、これらの照明やスピーカを制御して光や音を利用した演出を実施するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-097796号公報
【特許文献2】特開2019-072114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載の装置は、演出空間内での浮遊物の位置を制御する手段を有しておらず、空間内の自由に移動する浮遊物の追跡を行うに留まるものであった。そこで、本発明は、演出空間内における浮遊物の浮遊状態を制御するためのシステムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、浮遊物を空中に浮かせるための演出システムに関する。なお、本願明細書において、「浮遊物」とは、気流に乗って空中を浮遊する一定の剛性を持つ有形の物体である。浮遊物の例は、ボール、風船、綿、羽根であり、その形状は特に限定されない。例えば、浮遊物は球体に限らず、多面体とすることも可能である。また、自立飛行型ドローンなど、気流に乗って自律的に浮遊可能な装置も、ここにいう浮遊物に含まれる。他方で、例えば気体や、霧、泡などの無形物や他の物体との接触によって消滅する物は、ここにいう浮遊物から除かれる。本発明に係る演出システムは、複数の排気装置を含む。複数の排気装置は、それらの排気口によって囲われた演出空間内に、平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させるように構成されている。排気装置の数は2機以上であればよく、3機以上又は4機以上であることが好ましく、5機以上とすることもできる。例えば排気装置の数が2機である場合、互いの排気口から排出された空気がすれ違うように各排気口を配置することで演出空間内に渦状の気流を発生させることができる。また、例えば排気装置の数が4機である場合、演出空間の四隅に排気装置の排気口を配置し、時計周り又は反時計回りに各排気口から空気を排出することで演出空間内に渦状の気流を発生させることができる。これにより、本発明に係る演出システムは、演出空間内の気流によって浮遊物を浮遊させることができる。
【0006】
本発明に係るシステムにおいて、浮遊物は、可撓性の外膜によって気体が包含されるように構成されたものであることが好ましい。浮遊物の例は、ボールや風船である。また、浮遊物の内部には、特許文献1や特許文献2に開示されたボールのように、LED等の照明器具やスピーカを搭載しておくことも可能である。
【0007】
本発明に係るシステムは、吸気装置をさらに備える。吸気装置は、演出空間の上方において、排気装置によって排出された空気を吸引するように、吸気装置自体又はその吸気口が設けられている。このように、演出空間の上方に吸気装置を設けることで、演出空間内に竜巻状の上昇気流を発生させることができる。これにより、浮遊物の浮遊状態を維持しやすくなる。
【0008】
本発明に係るシステムは、センサと制御装置をさらに備えることが好ましい。センサは、演出空間内における浮遊物の位置を検知するためのものである。制御装置は、センサの検知情報に基づいて排気装置及び/又は吸気装置による風量又は風速を制御する。このように、センサによる検知情報を利用して排気装置や吸気装置をフィードバック制御することで、浮遊物を演出空間の所定位置(例えば演出空間の中央)に留めやすくなる。また、浮遊物が演出空間内の所定位置から離れたときに、排気装置や吸気装置をフィードバック制御することで、この浮遊物を演出空間内の所定位置に戻すことができる。なお、排気装置おと吸気装置の制御では、浮遊物の位置に対して特定の条件や閾値を設定して風量又は風速を制御することとしてもよいし、ディープラーニングや強化学習といった公知の機械学習アルゴリズムを利用することもできる。
【0009】
本発明の第2の側面は、浮遊物を空中に浮かせる演出方法である。本発明に係る演出方法は、複数の排気装置排気装置の排気口によって囲われた演出空間内に平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させるように、複数の排気装置によって排気する工程と、この気流によって浮遊物を演出空間内において浮遊させる工程を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、演出空間内における浮遊物の浮遊状態を制御するためのシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、演出システムを構成する各装置と浮遊物(ボール)の配置の例を模式的に表した斜視図である。
図2図2は、演出システムを構成する各装置の例を示したブロック図である。
図3図3は、制御装置による制御処理の例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0013】
図1は、浮遊物Fを浮遊させるための演出システム100の概要を示した斜視図である。また、図2は、演出システム100を構成する各種の装置を示したブロック図である。図1に示したように、本実施形態では、浮遊物Fとしてボールを想定している。図示した例において、浮遊物F(ボール)は1つのみとなっているが、本システムでは、複数のボールを同時に浮遊させることも可能である。また、本発明に係る演出システムは、ボール以外にも多様な浮遊物を扱うことが可能である。
【0014】
本発明に係る演出システム100は、基本的に、屋内に設けられた演出空間内において、浮遊物Fが空中の所定高さに浮いている維持したり、あるいは浮遊物Fを上下に移動させることを目的としたものである。浮遊物Fは、観客などによって触れられるとその衝撃で演出空間を移動することになるが、この演出システム100によれば、移動している浮遊物Fを演出空間の中央付近に戻す制御を行うこともできる。演出システム100は、複数の排気装置10と吸気装置20により、これらの排気装置10の排気口によって囲われた演出空間内に気流を発生させる。そして、この気流を制御することによって浮遊物Fを演出空間内で浮遊させる。本実施形態では、ある一つの演出空間を画定するにあたり、4台の排気装置10(a)~(d)が設けられているが、一つの演出空間あたりの排気装置10の数はこれに限定されず、例えば2~10台とすることもできる。また、この演出空間内には演出システム100が備える複数の排気装置10と吸気装置20による気流以外の気流が流入しないように、不図示の壁や仕切り、あるいはエアシャワー等によって空間内の気流が制限されていることが好ましい。また、演出空間は、人が立ち入ることが可能な程度の容積(横幅、奥行き、及び高さ)を有する。例えば、演出空間の横幅、奥行き、及び高さはそれぞれ少なくとも2m~5m以上とすることが好ましく、それ以上の容積を確保することも可能である。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態では、演出空間を平面四角形状(特に平面正方形状)とすることが想定されている。また、この演出空間の四隅には、それぞれ排気用の柱である複数のエアピラー11が立設されている。4本のエアピラー11(a)~(d)には、複数の排気口12(a)~(d)が設けられるとともに、排気装置10(a)~(d)がそれぞれ接続されている。これにより、複数の排気装置10から送り出された空気は、このエアピラー11の内部を通って、このエアピラー11の側面に設けられた排気口12から排出されることとなる。図1に示されるように、4つのエアピラー11のそれぞれに設けられた4つの排気口12(a)~(d)は、平面視において演出空間内に時計周り又は時計周りの渦状の気流が発生するように、各排気口12(a)~(d)による空気の排出方向が設定されている。具体的に説明すると、図1に示した例では、第1の排気口12(a)は第2の排気口11(b)に向かう方向に空気を排出し、第2の排気口12(b)は第3の排気口12(c)に向かう方向に空気を排出し、第3の排気口12(c)は第4の排気口12(d)に向かう方向に空気を排出し、第4の排気口12(d)は第1の排気口12(a)に向かう方向に空気を排出する。なお、図2に示した方向とは反対方向に、各排気口12(a)~(d)の排出方向を設定することも当然可能である。このように、各排気口12(a)~(d)の排気方向を設定することで、演出空間内に渦状の気流が発生する。なお、排気装置10及びエアピラー11の数は、本実施形態ではそれぞれ4つずつとされているが、設営環境に応じて、それらの数を増減することが可能である。
【0016】
また、図1に示した実施形態において、演出空間の中央付近の上方には、各排気口12から排出された空気を吸気する吸気装置20が設けられている。なお、本実施形態では、演出空間の上方にプロペラ状の吸気装置20(シーリングファン)を設けているが、吸気装置20の本体を別の場所に設けておき、その吸気装置20へと通じる吸気口を演出空間の上方に設けることとしてもよい。本実施形態において、吸気装置20は、演出空間の天井付近に設けられており、例えば床面から吸気装置20までの高さは2~10mとすればよい。また、吸気装置20は、排気口12も1~2m以上高い位置に設定される。これにより、各排気口12から排出された空気が吸気口2によって吸気されるとき、各排気口12によって囲われた演出空間内に竜巻状の上昇気流を発生させることができる。
【0017】
また、本実施形態において、各排気装置10(a)~(d)と吸気装置20とは、それぞれ独立して、風量や風速を制御することができる。例えば、複数の排気装置10全体による排気量を吸気装置20の吸気量と等しくしたり、あるいは排気量を吸気量よりも多くしたり少なくしたりすることもできる。また、各排気装置10の排気量は、個別に調整することが可能である。これにより、詳しくは後述するが、浮遊物Fが何らかの理由で所定位置から外れて移動したときに、排気装置10と吸気装置20とを個別制御することによって、浮遊物Fを所定位置まで戻すことができる。また、浮遊物Fを所定位置に留まらせることに限らず、排気装置10と吸気装置20とを個別制御することによって、浮遊物を上下に移動させたり、あるいは演出空間内を所定経路に沿って移動させるといった演出を行うこともできる。
【0018】
演出システム100は、演出空間内の浮遊物Fの位置を検知するための位置検知センサ30をさらに備える。本実施形態において、位置検知センサ30としては、光センサが用いられている。光センサの例は、TOF(Time Of Flight)センサである。具体的には、光センサは、発光素子から赤外線等のレーザ光をパルス投光し、このレーザ光が対象物(浮遊物F)を反射して受光素子に戻ってくるまでの時間を計測する。光センサは、演出空間の周囲の天井や壁面などの複数箇所に設置することが好ましい。このように、光センサからレーザ光を浮遊物Fに投光することで、演出空間内における浮遊物Fの位置やその輪郭に関する座標情報を得ることができる。また、図2に示されるように、位置検知センサ30により得られた検知情報は、公知のPC等で構成された制御装置40に入力される。制御装置40は、位置検知センサ30で測定した情報に基づいて、このセンサから対象物までの距離や演出空間内における対象物の座標値を算出する演算処理を実行する。
【0019】
なお、図示は省略するが、位置検知センサ30は、浮遊物F(ボール)の内部に搭載された発信器と、演出空間付近の天井や壁面に設けられた受信器とにより構成することも可能である。この場合、浮遊物F内部の発信機から発せられた無線信号を複数の受信器で受信するとともに、これらの複数の受信器で受信した無線信号の受信強度を制御装置40で解析することにより、演出空間内における浮遊物Fの位置情報を取得することができる。
【0020】
位置検知センサ30の検出情報は、浮遊物Fの浮遊状態の制御に利用される。図4に示されるように、位置検知センサ30の検出情報は、メインバスを介して制御装置40に伝達される。制御装置40は、制御用のプログラムを内蔵したPC(演算処理装置)であり、各排気装置10と吸気装置20の個別制御を行う。具体的には、制御装置40は、各排気装置10については排気する空気の風量又は風速の制御を行い、吸気装置20については吸気する空気の風量又は風速の制御を行う。
【0021】
制御装置40による制御方法の一例としては、位置検知センサ30によって検出された浮遊物Fの座標値に連動して、各排気装置10と吸気装置20が動作する条件を予め制御装置40にプログラミングしておくことが挙げられる。図3は、制御装置40による制御フローの一例を示している。図3のステップS1に示すように、制御装置40は、基本的には、浮遊物Fが演出空間の中央付近を浮遊し続けるように、排気装置10及び/又は吸気装置20を制御している(浮遊制御モード)。他方で、ステップS2,S3のように、位置検知センサ30からの情報によって浮遊物Fが演出空間の中央付近から一定距離以上離れたことを検知した場合、制御装置40は、排気装置10及び/又は吸気装置20を制御することによって、浮遊物Fをこの中央付近に復帰させる制御を行う(復帰制御モード)。例えば、浮遊物Fの座標値が床面に近づいてきたときには、排気装置10及び/又は吸気装置20の風量を多くして、浮遊物Fを上方に持ち上げる。他方で、浮遊物Fの座標値が吸気装置20や天井に近づいてきたときには、排気装置10及び/又は吸気装置20の風量を少なくして、浮遊物Fが吸気装置20に引き込まれないようにすればよい。また、浮遊物Fが演出空間の前後左右に偏った位置に移動した場合、例えば移動後の浮遊物F付近の近くに設けられた排気装置10からの風量を多くし、浮遊物Fが空間の中央に戻るような気流を発生させる。また、ステップS4のように、位置検知センサ30からの情報によって浮遊物Fが演出空間の中央付近に戻ったことを検知した場合、制御装置40、上述した復帰制御モード(ステップS3)から浮遊制御モード(ステップS1)へと移行する。
【0022】
また、上記した制御装置40による制御処理は、人工ニューラルネットワーク(ディープラーニング等)や強化学習などの機械学習を利用して実現することもできる。例えば、各排気装置10(a)~(d)と吸気装置20の動作とその動作による浮遊物Fの状態変化のデータセットを教師データとしてディープラーニングを行い、その結果として得られた学習済みモデルを制御装置40の制御処理に用いることとしてもよい。これにより、当該学習済みモデルを参照すれば、浮遊物Fの挙動に応じて、その浮遊状態が最適化されるように各排気装置10(a)~(d)と吸気装置20を効率的に動作させることができる。例えば、強化学習を実施する場合には、浮遊物Fが演出空間内の適切な位置にあり且つその浮遊状態が安定している環境に報酬を与えたり、あるいは浮遊物Fが床面や天井に付着している環境に対して罰を与えて、報酬が最大化あるいは罰が最小化するように各種装置20,30の制御を行うようにすればよい。このように、機械学習を利用することで、演出空間内の環境(例えば気流)によって変化する浮遊物Fの挙動を効率的に最適化することができる。
【0023】
本実施形態では、浮遊物Fの例としてボールが用いられている。このボールは、ボール2、内部に空気や窒素、ヘリウムなどの気体を含む中空状の球体である。ボールの外膜は、透明又は半透明の柔軟な可撓性材料で形成されている好ましい。ボールを形成する材料の例は、シリコーンや合成ゴムである。ボールは、例えば、直径0.1m~5m又は直径0.5~3mであることが好ましく、特に直径1m~2.5mであることが特に好ましい。ボールは比較的軽量な素材で形成され、演出空間内において観客の頭上をある程度の滞空時間を維持しながら自由に浮遊できるようなものが推奨される。また、ボールは、演出空間の大きさに合わせて、一又は複数個用意することができる。また、ボール内部には、特許文献1や特許文献2に開示されたボールのように、LED等の照明器具やスピーカを搭載しておくことも可能である。
【0024】
以降、図示は省略するが、本演出システム100の任意の構成について説明する。演出システム100は、演出空間を含む部屋内にスピーカをさらに備えていてもよい。例えば、スピーカは、部屋の壁面や天井付近に設置される。また、スピーカは、制御装置装置40に接続されている。制御装置40は、スピーカから放音するBGMや効果音などの音響効果の制御を行う。また、制御装置40は、メインバスを介して位置検知センサ30から浮遊物Fの位置情報等を受け取り、この位置情報に基づいてスピーカから出力する音響を制御してもよい。例えば、演出空間内における浮遊物Fの位置に応じて、BGMや効果音を変化させることも可能である。
【0025】
演出システム100は、浮遊物Fに映像光を投影するプロジェクタをさらに備えていてもよい。例えば、プロジェクタは、演出空間の中心を挟んで対称となる位置に2台設置される。このため、演出空間内の中心付近を浮遊する浮遊物Fに対して、2台のプロジェクタにより左右両側から映像光を投影することができる。これにより、浮遊物Fのほぼ全体に対して映像光の投影が可能となる。なお、プロジェクタの台数は、例えば演出空間の大きさや浮遊物Fの大きさを考慮して適宜増減させることができる。また、プロジェクタは、演出空間を含む部屋の天井付近に設置しておけばよい。プロジェクタは、制御装置40に接続されており、この制御装置40の制御に従って浮遊物Fに対して映像光を投影する。
【0026】
制御装置40は、各プロジェクタを制御して、浮遊物Fに対していわゆるプロジェクションマッピングを行うこともできる。制御装置40は、浮遊物Fに投影するCG映像等を記憶しており、この映像を各プロジェクタから投影する。また、制御装置40は、メインバスを介して位置検知センサ40からの浮遊物Fの輪郭の座標情報を取得する。浮遊物Fの座標情報に基づいて、制御装置40は、リアルタイムに各プロジェクタから投影する映像を変化させたり、映像光の投影方向を制御したりする。例えば、制御装置40は、浮遊物Fの大きさや形状、あるいは浮遊位置に応じて、当該浮遊物Fに投影する映像の内容や光の色を変化させてもよい。これにより、演出空間に浮遊する浮遊物Fの表面を投影面として、効果的なプロジェクションマッピングを行うことができる。
【0027】
演出システム100は、演出空間あるいは浮遊物Fを照明するためのライトをさらに備えていてもよい。例えば、シーリングライトは、演出空間を含む部屋の天井付近に設けられる。また、例えば、ムービングライトは、演出空間の中央の上方に設けられており、浮遊物Fに対して照明光を照射する。また、例えば、フロアライトは、演出空間を含む部屋の床面に設けられる。これらのライトは、制御装置40に接続されている。制御装置40は、各ライトの照明光の光量(明るさ)や、光の色、明滅を制御する。特に、制御装置40は、ムービングライトの光の照射方向を制御できる。具体的には、制御装置40は、位置検知センサ30から浮遊物Fの座標情報を受け取り、この座標情報に基づいてムービングライトの照射方向を制御するとよい。例えば、浮遊物Fに対して光が照射されるようにムービングライトの照射方向を制御することができる。
【0028】
図1では、模式的に1つの演出空間とそこに気流を発生させる演出システム100を示している。ただし、同じ室内に複数の演出システム100を並べて配置するもできる。このようにして、一つの室内に複数の演出空間を形成することとしてもよい。
【0029】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ボールなどの浮遊物Fを空中に浮遊させる演出システムや演出方法に関する。従って、本発明は、エンターテインメント業や広告業において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0031】
10…排気装置 20…吸気装置
30…位置検知センサ 40…制御装置
100…演出システム F…浮遊物
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊物を空中に浮かせるための演出システムであって、
制御装置と複数の排気装置を含み、
前記制御装置は、前記複数の排気装置の排気口によって囲われた演出空間内に、平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させ、前記気流によって前記浮遊物を前記演出空間内において浮遊させるように、前記複数の排気装置を制御する
演出システム。
【請求項2】
前記浮遊物は、可撓性の外膜によって気体が包含されるように構成されている
請求項1に記載の演出システム。
【請求項3】
吸気装置をさらに備え、
前記演出空間の上方に、前記排気装置によって排出された空気を吸引するように、前記吸気装置又はその吸気口が設けられている
請求項1に記載の演出システム。
【請求項4】
前記演出空間内における前記浮遊物の位置を検知するためのセンサをさらに備え
前記制御装置は、前記センサの検知情報に基づいて前記排気装置の風量又は風速を制御する
請求項1に記載の演出システム。
【請求項5】
浮遊物を空中に浮かせる演出方法であって、
制御装置が、複数の排気装置の排気口によって囲われた演出空間内に平面視において時計周り又は反時計回りの気流を発生させ前記気流によって浮遊物を前記演出空間内において浮遊させるように、前記複数の排気装置を制御する工程を含む
演出方法。