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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128351
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】液状体吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20220825BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B65D83/00 K
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026825
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋平
(72)【発明者】
【氏名】東出 祥典
【テーマコード(参考)】
3E014
3H075
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PD11
3E014PE11
3E014PE15
3E014PE23
3E014PF10
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC33
3H075DA09
3H075DB13
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】 比較的に小さなネジ口部用の押下ポンプを用いることにより、比較的に大きなネジ口部を有する液状体容器に収容した液状体を吐出させることができる液状体吐出容器の提供。
【解決手段】 液体タンクTのネジ口部T3の雄ネジ部Tmに、雌ネジ部Dfを内周部に有する大内径周壁部D1を一端側に有し、大内径周壁部D1の内周部よりも小径の外周部に雄ネジ部Dmを有する小外径周壁部D2を他端側に有する略筒状のアダプタDの大内径周壁部D1を螺合固定する。アダプタDの雄ネジ部Dmに蓋状取付部Sの雌ネジ部Sfを螺合固定すると共に、ポンプ体Pの吸入部P1及びその吸入部P1に連結した可撓性の通液パイプP7を、蓋状取付部Sが螺合固定されたアダプタD及びそのアダプタDが螺合固定されたネジ口部T3のそれぞれ内側を挿通させ、通液パイプP7の開口端部P7aを液体タンクT内の底部に位置させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に雄ネジ部を有する略筒形状の上向き又は斜め上向きのネジ口部であって、内周部に雌ネジ部を有し軸線方向一方を開口する蓋体の前記雌ネジ部を前記雄ネジ部に締め付けることにより密封し得るものを備えた液状体容器と、
一端側に、前記ネジ口部の雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部を内周部に有する大内径周壁部を有し、他端側に、前記大内径周壁部の内周部よりも小径の外周部に雄ネジ部を有する小外径周壁部を有する、略筒状をなすアダプタと、
雌ネジ部を内周側に有し、その雌ネジ部の軸線方向一方の側から前記アダプタの小外径周壁部の雄ネジ部に螺合固定し得る蓋状取付部と、
前記蓋状取付部における雌ネジ部の内側部を経てその蓋状取付部を貫通する状態でその蓋状取付部に支持されるポンプ体を有し、
前記ポンプ体は、前記蓋状取付部に対し前記蓋状取付部の雌ネジ部の軸線方向一方の側に位置する吸入部と、前記蓋状取付部に対し前記雌ネジ部の軸線方向他方の側に位置する押下部及び吐出部を備え、前記押下部の前記蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇により、前記吸入部を通じる液状体の吸い上げと吸い上げた液状体の前記吐出部からの吐出を可能とするものであり、
前記液状体容器の雄ネジ部に前記アダプタの雌ネジ部を螺合固定し、且つ、前記アダプタの雄ネジ部に前記蓋状取付部の雌ネジ部を螺合固定すると共に、前記ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した通液路を、前記アダプタ及び前記ネジ口部のそれぞれ内側を通じて前記液状体容器内における前記ネジ口部よりも下方に位置させた状態で、前記液状体容器中の液状体を、前記押下部の前記蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇により、前記吸入部を通じ吸い上げて吐出部より吐出させ得るものである液状体吐出容器。
【請求項2】
上記液状体容器は、上記ポンプ体を作動させるための押下部の上記蓋状取付部側への押下により作用する力を支持し得るものである請求項1記載の液状体吐出容器。
【請求項3】
上記押下部の下降位置からの上昇は、押下部に対する押下力が除かれることによって、上向き付勢手段により生じるものである請求項1又は2記載の液状体吐出容器。
【請求項4】
上記大内径周壁部と小外径周壁部は、前記大内径周壁部の内周の中心軸線に直交する環状板状部を介して連結したものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の液状体吐出容器。
【請求項5】
液状体容器の略筒形状のネジ口部の外周部に有する雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部を内周部に有する大内径周壁部を一端側に有し、前記大内径周壁部の内周部よりも小径の外周部に雄ネジ部を有する小外径周壁部を他端側に有する、略筒状をなすアダプタ。
【請求項6】
上記大内径周壁部と小外径周壁部は、前記大内径周壁部の内周の中心軸線に直交する環状板状部を介して連結したものである請求項5記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体容器に収容した消毒液等の液状体を押下ポンプを押下することにより吐出させ得る液状体吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
実公昭63-376号公報には、容器体口部に嵌合可能に設けた装着部材2の上部内面からシリンダー3を垂設し、該シリンダー3内には装着部材2の頂壁を貫通させたステム10下端に付設した筒状ピストン11を嵌合し、またステム10上端にはノズル管8付き噴出ヘツド9を装着し、前記シリンダー底部には吸込み弁7を、またステム10或いは筒状ピストン11内には吐出弁13を設けた液体射出装置において、前記ノズル管8内に同軸的に設けられ、先端24がノズル孔15に挿入している通孔棒25、前記噴出ヘツド9頂部外面部に弾性体21で上方に変位して設けられ、液射出時押下げ変位される操作レバー20、該操作レバー20の押下げ変位で前記通孔棒25を後方に引戻しノズル孔15を開孔させる伝達部材23とからなる目詰まり防止機構16を備えた液体射出装置が示されている。
【0003】
このような、押下部の押下により液状体を吐出し得る押下ポンプを備えた液状体容器は、個々人の手指の消毒のために消毒液を用いる上で利便性が高い。
【0004】
しかしながら、多数の人が利用する商業施設や職場等の出入り口において消毒液を用いる場合、通常の押下ポンプを備えた液状体容器の容量では、比較的に短い時間で消毒液を用い尽くしてしまうので、消毒液補充の頻度が高くなり煩雑である。
【0005】
そのため、比較的大きな容量の液状体容器を用いることが望まれるが、個々人の手指の消毒に適合する押下ポンプは、そのような液状体容器に用いることができないのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭63-376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、比較的に小さなネジ口部用の押下ポンプを用いることにより、比較的に大きなネジ口部を有する液状体容器に収容した液状体を吐出させることができる液状体吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば次のように表すことができる。
【0009】
(1) 外周部に雄ネジ部を有する略筒形状の上向き又は斜め上向きのネジ口部であって、内周部に雌ネジ部を有し軸線方向一方を開口する蓋体の前記雌ネジ部を前記雄ネジ部に締め付けることにより密封し得るものを備えた液状体容器と、
一端側に、前記ネジ口部の雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部を内周部に有する大内径周壁部を有し、他端側に、前記大内径周壁部の内周部よりも小径の外周部に雄ネジ部を有する小外径周壁部を有する、略筒状をなすアダプタと、
雌ネジ部を内周側に有し、その雌ネジ部の軸線方向一方の側から前記アダプタの小外径周壁部の雄ネジ部に螺合固定し得る蓋状取付部と、
前記蓋状取付部における雌ネジ部の内側部を経てその蓋状取付部を貫通する状態でその蓋状取付部に支持されるポンプ体を有し、
前記ポンプ体は、前記蓋状取付部に対し前記蓋状取付部の雌ネジ部の軸線方向一方の側に位置する吸入部と、前記蓋状取付部に対し前記蓋状取付部の雌ネジ部の軸線方向他方の側に位置する押下部及び吐出部を備え、前記押下部の前記蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇により、前記吸入部を通じる液状体の吸い上げと吸い上げた液状体の前記吐出部からの吐出を可能とするものであり、
前記液状体容器の雄ネジ部に前記アダプタの雌ネジ部を螺合固定し、且つ、前記アダプタの雄ネジ部に前記蓋状取付部の雌ネジ部を螺合固定すると共に、前記ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した通液路を、前記アダプタ及び前記ネジ口部のそれぞれ内側を通じて前記液状体容器内における前記ネジ口部よりも下方に位置させた状態で、前記液状体容器中の液状体を、前記押下部の前記蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇により、前記吸入部を通じ吸い上げて吐出部より吐出させ得るものである液状体吐出容器。
【0010】
(2) 上記液状体容器は、上記ポンプ体を作動させるための押下部の上記蓋状取付部側への押下により作用する力を支持し得るものである上記(1)記載の液状体吐出容器。
【0011】
(3) 上記押下部の下降位置からの上昇は、押下部に対する押下力が除かれることによって、上向き付勢手段により生じるものである上記(1)又は(2)記載の液状体吐出容器。
【0012】
(4) 上記大内径周壁部と小外径周壁部は、前記大内径周壁部の内周の中心軸線に直交する環状板状部を介して連結したものである上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の液状体吐出容器。
【0013】
(5) 液状体容器の略筒形状のネジ口部の外周部に有する雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部を内周部に有する大内径周壁部を一端側に有し、前記大内径周壁部の内周部よりも小径の外周部に雄ネジ部を有する小外径周壁部を他端側に有する、略筒状をなすアダプタ。
【0014】
(6) 上記大内径周壁部と小外径周壁部は、前記大内径周壁部の内周の中心軸線に直交する環状板状部を介して連結したものである上記(5)記載のアダプタ。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液状体吐出容器においては、比較的に小さなネジ口部用の押下ポンプを用いることにより、比較的に大きなネジ口部を有する液状体容器に収容した液状体を吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】液状体吐出容器の上方斜視図である。
図2】液状体吐出容器の下方斜視図である。
図3】アダプタの上方斜視図である。
図4】アダプタの下方斜視図である。
図5】液状体容器の上方斜視図である。
図6】ネジ蓋の下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1] 本発明の実施の形態の例としての液状体吐出容器について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
この例の液状体吐出容器Aは、液状体容器としての液体タンクTとアダプタDとポンプ体Pを有する。
【0019】
(1) 液体タンク
【0020】
(1-1) 液状体容器としての液体タンクTは、対象液状体であるアルコール含有消毒液を収容するためのものであり、高密度ポリエチレン樹脂製(HDPE)である。
【0021】
(1-2) 液体タンクTは、外形が縦長の略直方体形状をなす中空体であり、底部Tbにおいて水平面上に起立状態で載置し得るものである。
【0022】
液体タンクTの上部のほぼ後半部に凹溝状部T1を有し、その凹溝状部T1の前後の壁状部の上部中央部を前後方向に連結する把手状部T2を有する。
【0023】
液体タンクTは、上部前端部付近に、外周部に雄ネジ部Tmを有する略筒形状のネジ口部T3を備える。ネジ口部T3の軸線方向外方(液体タンクT内から外部へ向かう方向)は、液体タンクTの底部Tbに対し垂直上向きである。
【0024】
(1-3) ネジ口部T3は、その雄ネジ部Tmにネジ蓋C(略筒形状の外周壁部の内周部に雌ネジ部Cfを有し、その外周壁部の軸線方向一方を開口し、軸線方向他方が閉塞された蓋体)の雌ネジ部Cfが螺合することにより密封され得る。液体タンクTは、ネジ口部T3を密封することにより液密状且つ気密状となる。
【0025】
(2) アダプタ
【0026】
アダプタDは、略筒状をなすものであり、ポリプロピレン樹脂製である。
【0027】
略筒状をなすアダプタDの一端側に略円筒形状の大内径周壁部D1を有し、他端側に、大内径周壁部D1の内周部よりも外周部が小径であり大内径周壁部D1と同軸状をなす略円筒形状の小外径周壁部D2を有する。
【0028】
(通常の使用状態において)大内径周壁部D1が下端側に位置し、小外径周壁部D2は上端側に位置するものであり、大内径周壁部D1の上端部と小外径周壁部D2の下端部は、同等の上下位置に位置し、両者の中心軸線に直交する略円環状板状部D3を介して連結している。略円環状板状部D3の外周部及び内周部は、それぞれ大内径周壁部D1の上端部及び小外径周壁部D2の下端部に結合している。
【0029】
アダプタDの大内径周壁部D1の内周部には、液体タンクTのネジ口部T3の雄ネジ部Tmに螺合し得る雌ネジ部Dfを有する。その螺合は液密状且つ気密状に行い得る。
【0030】
アダプタDの小外径周壁部D2の外周部には、雄ネジ部Dmを有する。
【0031】
(3) 蓋状取付部
【0032】
蓋状取付部Sは、(通常の使用状態における)上端部に環状縮径部S1を有する略円筒形状(下方側に開口部を有し、上部は環状縮径部である凹状)をなし、ポリプロピレン樹脂製である。蓋状取付部Sは、略円筒形状をなす部分の内周側に雌ネジ部Sfを有し、その雌ネジ部Sfの軸線方向一方の側(通常の使用状態における下方側)から、アダプタDの小外径周壁部D2の雄ネジ部Dmに螺合固定し得る。
【0033】
(4) ポンプ体
【0034】
(4-1) ポンプ体Pは、蓋状取付部Sにおける雌ネジ部Sfの内側部を経てその蓋状取付部Sを環状縮径部S1において貫通する状態でその蓋状取付部Sに支持されている。
【0035】
ポンプ体Pは、蓋状取付部Sに対しその雌ネジ部Sfの軸線方向一方の側(通常の使用状態における下方)に吸入部P1を有し、前記蓋状取付部Sに対し前記雌ネジ部Sfの軸線方向他方の側(通常の使用状態における上方)に、押下部P2及び吐出部P3を有するものであり、主要部はポリプロピレン樹脂製である。
【0036】
押下部P2は、(通常の使用状態において)蓋状取付部Sの上方に突出する非可撓性管状部P4の上端部に位置して上面が水平状の略円盤状をなし、非可撓性管状部P4と共に通液路を構成する径方向突出ノズル部P5の下降傾斜する先端部が吐出部P3である。
【0037】
(4-2) 吸入部P1と吐出部P3の間の通液路の途中に液溜部P6を有し、液溜部P6と吸入部P1の間に吸入側逆止弁(図示を略す)を有し、液溜部P6と吐出部P3の間に吐出側逆止弁(図示を略す)を有し、押下部P2の押下により下降し押下力を除くことにより上昇し得る可動部が、圧縮コイルばね(図示を略す)により、(通常の使用状態において)上向きに付勢されている。吸入部P1には、合成樹脂製の可撓性の通液パイプP7が連結されている。
【0038】
(5) 液体タンクTのネジ口部T3の雄ネジ部TmにアダプタDの大内径周壁部D1の雌ネジ部Dfを螺合固定し、そのアダプタDの雄ネジ部Dmに蓋状取付部Sの雌ネジ部Sfを螺合固定すると共に、ポンプ体Pの吸入部P1及びその吸入部P1に連結した可撓性の通液パイプP7を、蓋状取付部Sが螺合固定されたアダプタD及びそのアダプタDが螺合固定されたネジ口部T3のそれぞれ内側に挿通させることにより、通液パイプP7の開口端部P7aを液体タンクT内の底部に位置させることができる。
【0039】
押下部P2を押下することにより、前記圧縮コイルばねの付勢力に抗して可動部が下降し、吸入側逆止弁が閉じて液溜部P6から吸入部P1に向かう流れが阻止され、吐出側逆止弁が開いた状態で液溜部P6内の液状体(液溜部P6と吐出部P3の間に存在し得る液状体も含み得る)が吐出部P3を通じて吐出される。液体タンクTは、ポンプ体Pを作動させるための押下部P2の押下により作用する力を支持し得る剛性等を備える。押下部P2の押下を解除することにより、圧縮コイルばねの付勢力により押下部P2を含む可動部が押し上げられて原位置へ上昇すると共に吐出側逆止弁が閉じて吐出部P3から液溜部P6に向かう流れが阻止され、吸入側逆止弁が開いた状態で液体タンクT内の液状体が通液パイプP7の開口端部P7a及び通液パイプP7並びに吸入部P1を通じて液溜部P6等に吸い上げられる。
【0040】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0041】
本発明の液状体吐出容器は、液状体容器とアダプタとポンプ体を有してなるものである。
【0042】
(1) 液状体容器
【0043】
(1-1) 液状体容器は、対象液状体を収容するためのものであり、対象液状体としては、例えば、消毒剤、洗浄剤、その他の用途の液体やジェル状体等の液状体であって、アルコール又はその他の揮発性液状体成分を含有するものを含む。
【0044】
(1-2) 液状体容器は、例えば、ボトル状又はタンク状であって、対象液状体を収容した状態において底部において水平面上に起立状態で載置し得るものとすることができるが、これに限るものではない。また、液状体容器は、例えば把手部を有するものとすることもできる。
【0045】
(1-3) 液状体容器は、外周部に雄ネジ部を有する略筒形状のネジ口部を備える。前記略筒形状のネジ口部の軸線方向外方は、上向き又は斜め上向きである。
【0046】
ネジ口部は、上部に位置することが好ましい。また、ネジ口部は、液状体容器の通常の使用状態(水平面上に載置した状態等)において液状体を収容し得る部分の最上部付近に位置することが好ましい。液状体容器は、ネジ口部を2以上有するものとすることもできる。
【0047】
液状体容器は、ネジ口部を密封することにより液密状(好ましくは液密状且つ気密状)とすることができるものであることが好ましい。
【0048】
ネジ口部は、内周部に雌ネジ部を有し軸線方向一方を開口する蓋体を、前記雌ネジ部においてネジ口部の雄ネジ部に締め付けることにより、そのネジ口部を密封し得る。このような蓋体は、例えば、略筒形状の外周壁部を備え、その外周壁部の軸線方向一方を開口し、軸線方向他方が閉塞されたもの、或いは、軸線方向一方に開口する凹部を構成し、その凹部の内周部に雌ネジ部を有するものとすることができる。
【0049】
(1-4) 液状体容器は、例えば、容器全体が対象液状体を収容する上で適した材料(例えば、液状体容器及び対象液状体の一方が他方に対し又は相互に害を生じないもの)からなるものや、容器内面等の少なくとも対象液状体に接する部分が対象液状体に適した材料からなるものとすることができ、例えば高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等の合成樹脂製、金属製、セラミクス製とすることができ、所要箇所が対象液状体に適した所要材料により被覆されたものとすることもできる。
【0050】
(2) アダプタ
【0051】
アダプタは、略筒状をなすものであり、その一端側に大内径周壁部を有し、他端側に、大内径周壁部の内周部よりも外周部が小径である略筒形状の小外径周壁部を有する。アダプタはポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製とすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0052】
大内径周壁部及び小外径周壁部は、それぞれ、例えば略円筒形状であるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0053】
また、大内径周壁部と小外径周壁部は、同軸状(中心軸線が同一)をなすことが好ましいが、これに限るものではない。
【0054】
大内径周壁部と小外径周壁部は、例えば、大内径周壁部の内周の中心軸線に直交する環状板状部(好ましくは略円環状板状部)を介して連結したものとすることや、大内径周壁部から小外径周壁部に向かって漸次外径が縮小する漸減外径部又は中間径の外径部を有するものとすることができるが、これらに限るものではない。
【0055】
アダプタの大内径周壁部の内周部には、液状体容器のネジ口部の雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部を有する。螺合は液密状に(好ましくは液密状且つ気密状に)行い得るものとすることができる。
【0056】
(3) 蓋状取付部
【0057】
蓋状取付部は、雌ネジ部を内周側に有し、その雌ネジ部の軸線方向一方の側からアダプタの小外径周壁部の雄ネジ部に螺合固定し得る。
【0058】
蓋状取付部における、雌ネジ部を内周側に有する部分は、例えば筒状(略円筒状等)をなすものとすることができる。
【0059】
(4) ポンプ体
【0060】
(4-1) ポンプ体は、蓋状取付部における雌ネジ部の内側部を経てその蓋状取付部を貫通する状態でその蓋状取付部に支持されたものであり、蓋状取付部に対しその雌ネジ部の軸線方向一方の側(蓋状取付部の雌ネジ部の当該軸線方向一方の側からアダプタの小外径周壁部の雄ネジ部に螺合固定し得る)に位置する吸入部と、前記蓋状取付部に対し前記雌ネジ部の軸線方向他方の側(前記軸線方向一方の側と逆の側)に位置する押下部及び吐出部を備える。
【0061】
蓋状取付部は、例えば、液状体容器のネジ口部に螺合固定されたアダプタに螺合固定されて使用する場合の通常の使用状態において下方側に開口部を有する凹部を有し、その凹部の開口部側に臨む内周部に雌ネジ部(アダプタの小外径周壁部の雄ネジ部に螺合固定し得る)を有し、前記凹部の上部をポンプ体の一部が貫通するもの(或いは、下方側に開口部を有し、上部は環状縮径部である凹状)とすることができる。ポンプ体における押下部及び吐出部は、蓋状取付部を貫通した部分の上側に位置するものとすることができる。
【0062】
押下部は、人の手で押下力を加えて押下させ易いものであることが好ましく、例えば、通常の使用状態においてポンプ体における上端部に位置し、押下に適する面積の水平状又は水平に近い形状の上面(例えば円形)を有するものとすることができる。
【0063】
吐出部は、押下部を押下した人が手に受け易い位置に液状体を吐出し得る位置に設けることが好ましく、押下部から水平方向に適宜距離を離隔し、例えば押下部と同等又はやや低い高さに位置するものとすることができる。
【0064】
ポンプ体は、例えば前記雌ネジ部の軸線方向他方の側においてポンプ体の一部を蓋状取付部に結合させることにより、蓋状取付部に支持されるものとすることができる。
【0065】
ポンプ体のうち蓋状取付部を貫通する部分と蓋状取付部との間は、液密状(好ましくは液密状及び気密状)であるものとすることができる。
【0066】
(4-2) ポンプ体は、押下部の前記蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇(好ましくは押下力が作用する前の原位置への上昇)により、前記吸入部を通じる液状体の吸い上げと吸い上げた液状体の前記吐出部からの吐出を可能とするものである。吸入部と吐出部の間は、通液路(必要に応じ逆止弁や液溜部を備えるものとすることができる)が通じており、押下部の押下により、吸入部を通じて液状体を吸い上げて吐出部から液状体を吐出させ得る。
【0067】
押下部の下降位置からの上昇は、押下部に対する押下力が除かれることによって、圧縮コイルばね等の上向き付勢手段により生じるものとすることができる。
【0068】
ポンプ体において押下部の押下により下降し得る可動部(ポンプ体の他の部分に対し下降す部分)とポンプ体の他の部分(又は蓋状取付部)との間は、封止材(弁状のものとすることもできる)により液密封止(又は液密及び気密封止)されたものとすることができる。
【0069】
吸入部と吐出部の間の通液路は、例えば、横断面円形状、横断面円環状、横断面多角形状若しくはその他の横断面の何れか又はこれらの組み合わせからなるものとすることができるが、これらに限るものではない。
【0070】
(4-3) ポンプ体の液状体吸い上げ及び吐出のための機構としては、従来公知の機構等を適宜採用し得る。このような機構としては、例えば、吸入部と吐出部の間の通液路の途中に液溜部を有し、液溜部と吸入部の間に、液溜部から吸入部に向かう流れを阻止する吸入側逆止弁を有し、液溜部と吐出部の間に、吐出部から液溜部に向かう流れを阻止する吐出側逆止弁を有し、押下部の押下により下降し押下力を除くことにより上昇し得る可動部が、圧縮コイルばね(又はその他の付勢手段)により上向きに付勢されたものを挙げることができる。
【0071】
この例の場合、押下部を押下することにより、可動部が下降し、吸入側逆止弁が閉じ、吐出側逆止弁が開いた状態で液溜部内の液状体が吐出部を通じて吐出される。押下部の押下を解除することにより、上向きの付勢力により押下部を含む可動部が押し上げられて原位置へ上昇すると共に吐出側逆止弁が閉じ、吸入側逆止弁が開いた状態で液状体を吸入部を通じて液溜部等に吸い上げ得る。
【0072】
(5) 液状体吐出容器の(ネジ口部の)雄ネジ部にアダプタの(大内径周壁部の)雌ネジ部を螺合固定し、且つ、そのアダプタの雄ネジ部に蓋状取付部の雌ネジ部を螺合固定すると共に、ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した可撓性の通液パイプ等を、蓋状取付部が螺合固定されたアダプタ及びそのアダプタが螺合固定されたネジ口部のそれぞれ内側を通じて、液状体容器内における前記ネジ口部よりも下方に位置させた状態とすることができる。
【0073】
その状態において、液状体容器中の液状体を、ポンプ体の押下部の蓋状取付部側への押下による下降と下降位置からの上昇により、吸入部を通じて吸い上げて吐出部より吐出させることができる。液状体容器は、ポンプ体を作動させるための押下部の蓋状取付部側への押下により作用する力を支持し得るもの(そのために必要な剛性等を備えたもの)とすることができる。
【0074】
液状体吐出容器のネジ口部とアダプタの螺合固定と、アダプタと蓋状取付部の螺合固定は、順序を問わない。アダプタとネジ口部を螺合固定した後、ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した通液路をアダプタ及びそのアダプタが螺合固定されたネジ口部に挿通させつつアダプタと蓋状取付部を螺合固定することもでき、ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した通液路をアダプタの内側に挿通させつつアダプタと蓋状取付部を予め螺合固定し、更に、ポンプ体の吸入部又はその吸入部に連結した通液路をネジ口部の内側に挿通させつつアダプタとネジ口部を螺合固定することもできる。
【0075】
ポンプ体の吸入部に連結した通液路としては、例えば、合成樹脂製又はその他の材料からなる可撓性の通液パイプを挙げることができるがこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0076】
A 液状体吐出容器
C ネジ蓋
Cf 雌ネジ部
D アダプタ
D1 大内径周壁部
D2 小外径周壁部
D3 略円環状板状部
Df 雌ネジ部
Dm 雄ネジ部
P ポンプ体
P1 吸入部
P2 押下部
P3 吐出部
P4 非可撓性管状部
P5 径方向突出ノズル部
P6 液溜部
P7 通液パイプ
P7a 開口端部
S 蓋状取付部
S1 環状縮径部
Sf 雌ネジ部
T 液体タンク
T1 凹溝状部
T2 把手状部
T3 ネジ口部
Tb 底部
Tm 雄ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6