(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128352
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】樹脂フィルム及び包装体
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20220825BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220825BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220825BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B32B27/20 A
B32B27/32
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026826
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502366697
【氏名又は名称】大日本商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000206163
【氏名又は名称】東洋平成ポリマー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】312016595
【氏名又は名称】株式会社アースクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】管家 了
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 太郎
(72)【発明者】
【氏名】横田 学志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 明宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 博章
(72)【発明者】
【氏名】西宮 祥行
【テーマコード(参考)】
3E086
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AD01
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(57)【要約】
【課題】和紙様の外観を有する樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】表面反射光強度の、回帰直線に対する残差標準偏差σの平均値として規定される表面反射粗さが2.0以上である、樹脂フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面反射光強度の、回帰直線に対する残差標準偏差σの平均値として規定される表面反射粗さが2.0以上である、樹脂フィルム。
【請求項2】
平均膜厚が25.0μm以上であり、最大膜厚と最小膜厚との比で規定される膜厚比が2.0以上である、樹脂フィルム。
【請求項3】
白色無機粒子と樹脂材料とを含有し、前記白色無機粒子の含有割合が50質量%超である層を備える、請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
前記白色無機粒子が、炭酸カルシウムである、請求項3に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
前記樹脂フィルムの断面画像において、少なくとも一部の前記白色無機粒子の周囲に空隙が存在する、請求項3又は4に記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記樹脂材料が、ポリオレフィンを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィンが、バイオマス由来のポリオレフィンを含む、請求項6に記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含む、請求項6又は7に記載の樹脂フィルム。
【請求項9】
白色無機粒子と樹脂材料とを含有し、前記白色無機粒子の含有割合が50質量%超である前記層の少なくとも一方の面上に、
白色無機粒子の含有割合が50質量%以下である熱可塑性樹脂層をさらに備える、
請求項3~8のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する、請求項9に記載の樹脂フィルム。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂層が、コモノマー単位として炭素数6以上8以下のα-オレフィンに由来する構成単位を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含有する、請求項10に記載の樹脂フィルム。
【請求項12】
一軸又は二軸延伸されてなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
【請求項13】
包装材である、請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
【請求項14】
前記包装材が、ピロー包装材である、請求項13に記載の樹脂フィルム。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂フィルムからなる包装材と、
前記包装材により少なくとも一部が包装された被包装物と
を備える包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、百貨店及びスーパーなどにおける、商品を収容した箱体のラッピングには、紙パルプから形成された包装紙が使用されている。しかしながら、包装紙は耐水性が低いことから、包装された箱体の保管中又は輸送中に、結露等により包装紙が破れることがある。
【0003】
一方、耐水性に優れる包装材として、いわゆるストーンペーパーが知られている(例えば、特許文献1参照)。ストーンペーパーは、ポリエチレン及びポリプロピレン等の樹脂材料に、例えば、炭酸カルシウム等の無機フィラーを添加した樹脂組成物を製膜し、フィルムにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装紙として、上質紙や古紙等の、パルプを原料とした種々のものが使用されているが、用途によっては高級感が求められることがある。例えば和紙様の外観を有する樹脂フィルムであれば、高級感のある包装紙として有用である。しかしながら、従来のストーンペーパーは、紙に近い外観を有するものの、このような和紙様の外観を有しているとはいえなかった。
【0006】
本発明の一つの課題は、和紙様の外観を有する樹脂フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の樹脂フィルムは、表面反射光強度の、回帰直線に対する残差標準偏差σの平均値として規定される表面反射粗さが2.0以上である、樹脂フィルムである。
本発明の第2の樹脂フィルムは、平均膜厚が25.0μm以上であり、最大膜厚と最小膜厚との比で規定される膜厚比が2.0以上である、樹脂フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、和紙様の外観を有する樹脂フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、樹脂フィルムの表面反射光強度を示すグラフである。
【
図2】
図2は、実施例1の延伸積層体の外観写真である。
【
図3】
図3は、比較例3の積層体の外観写真である。
【
図4】
図4は、実施例1の延伸積層体の断面の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図5】
図5は、実施例1の延伸積層体の断面の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図6】
図6は、実施例1の延伸積層体の断面の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図7】
図7は、実施例1の延伸積層体の断面の走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[樹脂フィルム]
本発明の第1の樹脂フィルムは、以下に説明する表面反射粗さが2.0以上である。第1の樹脂フィルムは、表面反射粗さが2.0以上であることから、反射光強度にムラがあり、よって外観が不均一で、和紙様の外観を示す。したがって、第1の樹脂フィルムは、紙基材の代替材料として好適に使用できる。
【0011】
本発明の第2の樹脂フィルムは、平均膜厚が25.0μm以上であり、最大膜厚と最小膜厚との比で規定される膜厚比が2.0以上である。第2の樹脂フィルムは、膜厚に大きなムラがあることから、外観が不均一で、和紙様の外観を示す。したがって、第2の樹脂フィルムも、紙基材の代替材料として好適に使用できる。
【0012】
以下、単に「樹脂フィルム」と記載する場合は、本発明の第1の樹脂フィルム及び第2の樹脂フィルムのいずれであってもよい。
【0013】
本発明において、表面反射粗さとは、測定対象のフィルムに光を照射した際の反射光の強度(明るさ)のムラを数値化したものである。表面反射粗さは、該ムラが大きい場合は大きくなる数値であり、該ムラが小さい場合は小さくなる数値である。
【0014】
(表面反射粗さの測定方法)
フィルムの表面反射粗さは、具体的には、以下のようにして測定する。
測定対象のフィルムを、テープを用いて、黒色のアクリル樹脂板に貼付する。JIS Z 8726:1990に準拠した平均演色評価数(Ra)が90以上であるLED光源(具体的には山田照明(株)製のZ-PRO80II)を使用して、5°の入射角(フィルム面の法線方向に対して5°の角度)でフィルムを照らす。5°の反射角(フィルム面の法線方向に対して-5°の角度)の位置に設置したデジタルカメラ(具体的にはニコン(株)製のデジタルカメラD5600)を用いて、このときのフィルム面の写真を撮る。LED光源の光量をサンプル面で800Luxとする。LED光源とフィルム面との距離を1m、及びデジタルカメラとフィルム面との距離を0.5mとする。以上の写真撮影は、暗室環境下で行うことが好ましい。
【0015】
上記撮影時において、写真の明るさに影響のある上記デジタルカメラの感度及び絞りは、下記明るさの数値データ(8bit、256階調)の平均値が20以上200以下の範囲に収まるように設定する。
【0016】
画像処理ソフト「ImageJ」(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、得られた画像の各ピクセルを256階調の明るさの数値で表される数値データに変換し、数値データの縦横それぞれ1000ピクセル長のデータについて、各ピクセルについて明るさの数値データからなるデータマトリクスを得る。具体的には、1ピクセルが約20~100μm、好ましくは約20~30μmとなる解像度にて写真撮影を行い、フィルムの約2~10cm四方、好ましくは約2~3cm四方の領域についての上記データマトリクスを得る。
【0017】
データマトリクスについてフィルムの縦方向(例えば長手方向、MD方向)にランダムに数箇所(例えば3箇所)、フィルムの横方向(例えば横手方向、TD方向)にランダムに数箇所(例えば3箇所)、それぞれ選出し、横軸をピクセル、縦軸を256階調の明るさの数値としてプロットして、明るさの分布を示すグラフを複数得る(
図1参照)。
【0018】
上記グラフの数値データについて、最小二乗法により線形フィットを行い、回帰直線を得る。プロットした各ピクセルについて、数値データと回帰直線との差分を求める。差分の標準偏差σ(上記回帰直線に対する残差標準偏差σ)を得る。データマトリクスについてランダムに選出された数箇所それぞれについて得られた上記グラフから、上記標準偏差σの平均値を求め、該平均値を本発明において「表面反射粗さ」と表現する。
【0019】
以上の方法では、測定対象のフィルムについて縦方向の表面反射粗さ及び横方向の表面反射粗さがそれぞれ得られる。第1の樹脂フィルムは、縦方向の表面反射粗さ及び横方向の表面反射粗さの少なくともいずれか一方が2.0以上であればよいが、いずれも2.0以上であることが好ましい。また、第1の樹脂フィルムは、少なくとも一方側の面について測定された表面反射粗さが上記値以上であればよい。
【0020】
第1の樹脂フィルムにおける表面反射粗さは、和紙により近い外観が得られるという観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上であり、好ましくは12.0以下、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
第2の樹脂フィルムも、このような表面反射粗さの要件を満たすことが好ましい。
【0021】
一実施形態において、樹脂フィルムは、白色無機粒子と樹脂材料とを含有する。
白色無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどのカルシウム塩;硫酸バリウムなどのバリウム塩;酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化ケイ素などの金属酸化物;カオリン;タルクが挙げられる。これらの中でも、和紙により近い外観を有する樹脂フィルムが得られるという観点から、カルシウム塩が好ましく、炭酸カルシウムがより好ましく、重質炭酸カルシウムがさらに好ましい。
樹脂フィルムは、白色無機粒子を1種又は2種以上含有できる。
【0022】
白色無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは0.3μm以上40μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上35μm以下、特に好ましくは0.5μm以上15μm以下である。これにより、例えば、表面反射粗さ及び膜厚比が大きい樹脂フィルムが得られる。
【0023】
白色無機粒子の最大粒子径は、好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。フィルムの製造性という観点から、白色無機粒子の最大粒子径は、樹脂フィルムの平均膜厚の、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。
【0024】
平均粒子径及び最大粒子径は、電子顕微鏡法により測定する。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて撮影された樹脂フィルムの断面画像において、下記基準で任意に選出した白色無機粒子100個の長軸径の算術平均を平均粒子径とし、該長軸径の最大値を最大粒子径とする。平均粒子径は、樹脂フィルム中に含まれる白色無機粒子のうち、膜厚ムラ及び反射光強度ムラに影響を与えると推測される、長軸径0.05μm以上の粒子について平均を取ることにより得られる値である。長軸径とは、断面画像における粒子像を2本の平行線で挟んだ場合において、その平行線の間隔が最大となる距離を指す。
【0025】
樹脂フィルム中の白色無機粒子の含有割合は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%超、さらに好ましくは51質量%以上70質量%以下、よりさらに好ましくは52質量%以上65質量%以下、特に好ましくは52質量%以上60質量%以下である。白色無機粒子の含有割合が上記下限値以上であれば、白色無機粒子を多量に含有する層の膜厚が延伸時に不均一となり、したがって膜厚ムラが良好に形成される傾向にある。
【0026】
白色無機粒子の含有割合が50質量%超の樹脂フィルムは、化石資源を多量に用いるプラスチック材と異なり、製造過程及び廃棄焼却過程で二酸化炭素の排出量が少なく、環境負荷が小さい。したがって、上記樹脂フィルムは、可燃ごみとして処理できる。白色無機粒子の含有割合が上記上限値以下であると、樹脂フィルム製造時の延伸処理において破断等の発生を抑制できる。
上記の白色無機粒子の含有割合は、JIS K7250-1:2006(ISO 3451-1:1997)プラスチック-灰分の求め方-第1部:通則やTG-DTAによる灰化後の重量測定により求めることができる。
【0027】
一実施形態において、樹脂フィルムの断面画像において、少なくとも一部の白色無機粒子の周囲に空隙が存在する。なお、白色無機粒子の周囲の一部に空隙が存在していればよく、全周にわたって空隙が存在していなくともよい。この実施形態では、樹脂フィルムを切断して得られた少なくとも1つの断面において、上記空隙が存在すればよい。
【0028】
上記断面画像は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られる。例えば、SEMによる樹脂フィルムの上視画像における白色部分を樹脂フィルムの横手方向(TD方向)に沿って切断して得られる断面には、白色無機粒子の周囲の少なくとも一部に、空隙が存在する傾向にある。一方、白色部分を樹脂フィルムの長手方向(MD方向)に沿って切断して得られる断面や、樹脂フィルムの透明部分における断面には、上記空隙が存在しない又は少ない傾向にある。このような樹脂フィルムでは、空隙の存在に異方性があり、該異方性は、和紙様の外観の形成に寄与していると考えられる。不均一な空隙は、後述する延伸処理により形成できる。
【0029】
樹脂フィルムに含まれる樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、並びにポリ塩化ビニルが挙げられ、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンがより好ましい。
【0030】
本発明において、ポリエチレンとは、エチレン由来の構成単位の含有割合が、全繰返し構成単位中、50モル%以上の重合体をいう。該重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。上記含有割合は、核磁気共鳴法(NMR法)により測定する。
【0031】
本発明において、ポリプロピレンとは、プロピレン由来の構成単位の含有割合が、全繰返し構成単位中、50モル%以上の重合体をいう。該重合体において、プロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定する。
【0032】
ポリエチレンとしては、例えば、エチレンの単独重合体、及びエチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、炭素数3以上20以下のα-オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。炭素数3以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。
【0033】
上記共重合体としては、例えば、エチレンと、炭素数3以上20以下のα-オレフィンとの共重合体、エチレンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体、並びに、エチレンと、炭素数3以上20以下のα-オレフィンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
【0034】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0035】
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3を超える。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。
中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.925g/cm3を超えて0.945g/cm3以下である。
【0036】
低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.925g/cm3以下である。低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレンである。
【0037】
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.925g/cm3以下である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、低圧重合法(例:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いた重合法)によりエチレン及び少量のα―オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
【0038】
超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。
ポリエチレンの密度は、JIS K7112(1999)に準拠して測定する。
【0039】
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、及びプロピレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、エチレン、炭素数4以上20以下のα-オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。炭素数4以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。
【0040】
上記共重合体としては、例えば、プロピレンと、エチレン及び炭素数4以上20以下のα-オレフィンから選択される少なくとも1種との共重合体、プロピレンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体、並びに、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4以上20以下のα-オレフィンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
【0041】
ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上100g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以上10g/10分以下である。MFRは、JIS K7210-1995に規定された方法において、例えばポリエチレンの場合は温度190℃、ポリプロピレンの場合は温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。ポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減できる。ポリオレフィンのMFRが100g/10分以下であれば、ポリオレフィンを含有する層の機械的強度を高められる。
【0042】
ポリオレフィンは、化石燃料由来のポリオレフィンでもよく、バイオマス由来のポリオレフィンでもよい。バイオマスは、二酸化炭素と水とから光合成された有機化合物であり、該有機化合物を利用することにより、再度二酸化炭素と水とになる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能材料である。バイオマス由来のポリオレフィンは、カーボンニュートラルな材料であるため、樹脂フィルム、及び該フィルムから得られる例えば包装材による、資源保護及び二酸化炭素削減に貢献でき、環境負荷を低減できる。
【0043】
バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のオレフィン(例えばエチレン)を含む原料モノマーの重合体であり、バイオマスポリエチレンが好ましい。原料モノマーとしてバイオマス由来のオレフィンを用いているため、得られるポリオレフィンはバイオマス由来となる。
バイオマスポリオレフィンは、1種又は2種以上用いることができる。
【0044】
バイオマスポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のオレフィンを100質量%含むものでなくてもよい。バイオマスポリオレフィンの原料モノマーは、例えば、化石燃料由来のエチレン及び/又は化石燃料由来の炭素数3以上20以下のα-オレフィンなどの他のモノマーをさらに含んでもよい。炭素数3以上20以下のα-オレフィンなどの他のモノマーの具体例は、上述したとおりである。
【0045】
例えば、原料モノマー中のバイオマス由来のオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。原料モノマーには、化石燃料由来のオレフィンが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリオレフィンと呼ぶ。
【0046】
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造できる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料としては、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート及びマニオクなどの従来公知の植物が挙げられる。
【0047】
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物又はその破砕物由来産物を接触させ、生産及び精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離及び抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、又は膜分離等により水分を除去するなどの方法が挙げられる。
樹脂フィルムは、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
【0048】
樹脂フィルム中の樹脂材料の含有割合は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%未満であり、さらに好ましくは30質量%以上49質量%以下、よりさらに好ましくは35質量%以上48質量%以下、特に好ましくは40質量%以上48質量%以下である。樹脂材料の含有割合が上記範囲にある樹脂フィルムは、樹脂材料の使用量が少ないことから、廃棄処理性に優れている。
【0049】
樹脂フィルムは、白色無機粒子以外の添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、潤滑剤、分散剤、及び帯電防止剤が挙げられる。
樹脂フィルムは、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
【0050】
樹脂フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下である。全光線透過率の下限値は、一実施形態において、1%であってもよい。樹脂フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定する。
【0051】
樹脂フィルムのヘイズ値は、好ましくは80.0%以上、より好ましくは90.0%以上、さらに好ましくは95.0%以上、よりさらに好ましくは97.0%以上である。樹脂フィルムのヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定する。
【0052】
樹脂フィルムは、耐水性に優れる。一実施形態において、樹脂フィルムは、紙よりも含水率が明確に低く、わずかながら吸水した場合でも寸法変化が小さい傾向がある。このため、樹脂フィルムは、耐水性が紙に比べて良好になる。
【0053】
第2の樹脂フィルムの平均膜厚は、25.0μm以上であり、好ましくは30.0μm以上200.0μm以下、より好ましくは40.0μm以上120.0μm以下、さらに好ましくは40.0μm以上70.0μm以下である。第1の樹脂フィルムにおいても、平均膜厚はこれらの範囲にあることが好ましいが、例えば20.0μm以上であってもよい。樹脂フィルムの平均膜厚が25.0μm以上であると、樹脂フィルムの強度を向上できる。樹脂フィルムの平均膜厚が200.0μm以下であると、樹脂フィルムの加工適性を向上できる。
【0054】
第2の樹脂フィルムの最大膜厚と最小膜厚との比で規定される膜厚比は、2.0以上であり、好ましくは2.5以上10.0以下、より好ましくは3.0以上8.0以下である。第1の樹脂フィルムにおいても、上記膜厚比はこれらの範囲にあることが好ましい。このような樹脂フィルムは、表面凹凸が大きく、したがって和紙により近い外観を示す。
本発明において、樹脂フィルムの平均膜厚、最大膜厚及び最小膜厚は、段差式膜厚計で測定し、具体的には、実施例欄に記載した方法で測定する。
【0055】
<樹脂フィルムの構成>
(白色無機粒子含有層)
一実施形態において、樹脂フィルムは、白色無機粒子と樹脂材料とを含有し、白色無機粒子の含有割合が50質量%超である層(以下「白色無機粒子含有層」ともいう)を備える。白色無機粒子及び樹脂材料の具体例及び好適例は、上述したとおりである。
【0056】
一実施形態において、白色無機粒子は、白色無機粒子含有層を構成する樹脂材料(特にポリオレフィン)中に凝集しない程度に分散されている。
【0057】
白色無機粒子含有層中の白色無機粒子の含有割合は、50質量%超であり、好ましくは51質量%以上80質量%以下、より好ましくは52質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは52質量%以上65質量%以下である。白色無機粒子の含有割合が上記下限値以上であれば、白色無機粒子含有層の膜厚が延伸時に不均一となり、したがって膜厚ムラ及び反射光強度ムラが良好に形成される傾向にある。
【0058】
一実施形態において、白色無機粒子含有層を構成する樹脂材料は、ポリエチレンを含む。この実施形態の樹脂フィルムは、繰返しの伸張性により優れる傾向にある。白色無機粒子含有層を構成する樹脂材料の総量に対するポリエチレンの含有割合は、一実施形態において、50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0059】
一実施形態において、白色無機粒子含有層を構成する樹脂材料は、ポリプロピレンを含む。この実施形態の樹脂フィルムは、耐熱性が必要とされる用途、例えば後述するヒートシールが必要とされる、ピロー包装材などの包装材用途に好適であり、また、繰返しの伸張性に優れ、引裂き性、よって開封性にも優れる傾向にある。白色無機粒子含有層を構成する樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合は、一実施形態において、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0060】
白色無機粒子含有層中の樹脂材料の含有割合は、好ましくは50質量%未満であり、より好ましくは20質量%以上49質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上48質量%以下、特に好ましくは35質量%以上48質量%以下である。
【0061】
樹脂フィルムは、白色無機粒子含有層を1層以上備えることができる。白色無機粒子含有層の層数は、好ましくは1層以上5層以下、より好ましくは1層以上3層以下である。
【0062】
白色無機粒子含有層の平均膜厚は、好ましくは5μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上119μm以下、さらに好ましくは20μm以上117μm以下である。樹脂フィルムが白色無機粒子含有層を2層以上備える場合、白色無機粒子含有層の合計膜厚の平均が上記範囲にあることが好ましい。樹脂フィルムに含まれる各層の平均膜厚は、樹脂フィルムの断面SEM画像において、任意の10か所の膜厚を平均することにより得られる。
【0063】
一実施形態において、和紙様の外観が得られやすいという観点から、樹脂フィルムにおける少なくとも一方の表面層は、白色無機粒子含有層であるか、あるいは、後述する印刷層が形成された白色無機粒子含有層である。
【0064】
(熱可塑性樹脂層)
一実施形態において、樹脂フィルムは、白色無機粒子含有層の少なくとも一方の面上に、白色無機粒子を含有しないか、又は白色無機粒子含有層に比べて白色無機粒子の含有量が少ない熱可塑性樹脂層(以下、単に「熱可塑性樹脂層」ともいう)をさらに備える。上記のように、白色無機粒子含有層は、白色無機粒子が50質量%超の割合で含まれることからその膜厚が延伸時に不均一となり得るため、場合によっては延伸時にフィルムが破断することも考えられる。本発明の一実施形態においては、白色無機粒子含有層の少なくとも一方の面上に白色無機粒子を含有しない(又は白色無機粒子の含有量が少ない)熱可塑性樹脂層を設けることにより、白色無機粒子含有層に膜厚ムラを生じさせながら、フィルムの延伸性を確保し、樹脂フィルムが破断してしまうことを抑制することができる。
【0065】
熱可塑性樹脂層を備える樹脂フィルムは、例えば、熱収縮性フィルム又はストレッチフィルムとして、さらに、ピロー包装材などのヒートシール可能な包装材として、好適に使用できる。
【0066】
熱収縮性フィルムは、熱付加により収縮しえるフィルムである。熱収縮性フィルムを、1個又は2個以上の対象物を覆うように配置して加熱し、対象物の形状に合わせて熱収縮させることにより、対象物を包装又は梱包できる。また、熱可塑性樹脂層がヒートシール層として機能しえるので、ヒートシールも可能である。
【0067】
ストレッチフィルムは、自己伸縮性、すなわち拡張力を加えたときに伸張し、拡張力を解除した後にほぼ元のように復元する性質を有する。ストレッチフィルムは、縦横方向において弾性変形限界内で伸張させられ、対象物に巻き付けられる。ストレッチフィルムは、その伸び回復応力により1個又は2個以上の対象物に密着して、対象物を包装又は梱包できる。
【0068】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられ、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
【0069】
ポリエチレンとしては、例えば、エチレンの単独重合体、及びエチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、炭素数3以上20以下のα-オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。炭素数3以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。
【0070】
上記共重合体としては、例えば、エチレンと、炭素数3以上20以下のα-オレフィンとの共重合体、エチレンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体、並びに、エチレンと、炭素数3以上20以下のα-オレフィンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
【0071】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0072】
ポリエチレンの中でも、LLDPEが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)含有層であることが好ましい。LLDPEは延伸性に優れることから、樹脂フィルム製造時の延伸処理を良好に行うことができる。また、LLDPE含有層を備える樹脂フィルムは、熱収縮性フィルム又はストレッチフィルムとして好適である。
【0073】
LLDPEの中でも、コモノマー単位として炭素数6以上8以下のα-オレフィンに由来する構成単位を有するLLDPEが好ましい。熱可塑性樹脂層において側鎖が長いLLDPEを用いることにより、延伸処理時に白色無機粒子含有層では適度に部分的な破断が起こり、表面反射粗さが大きくなる一方、熱可塑性樹脂層ではこのような破断が抑制されて良好に延伸され、フィルム形状が維持される。
【0074】
ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上100g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以上10g/10分以下である。MFRは、JIS K7210-1995に規定された方法において、例えばポリエチレンの場合は温度190℃、ポリプロピレンの場合は温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
【0075】
ポリオレフィンは、化石燃料由来のポリオレフィンでもよく、バイオマス由来のポリオレフィンでもよい。バイオマス由来のポリオレフィンの具体例及び好適例は、上述したとおりである。
【0076】
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を1種又は2種以上含有できる。
熱可塑性樹脂層における熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは72質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。熱可塑性樹脂層における熱可塑性樹脂の含有割合は、一実施形態において、99質量%以下であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0077】
熱可塑性樹脂層における上述した白色無機粒子の含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは28質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。これにより、熱可塑性樹脂層は、延伸処理に耐えうる良好な伸び性を維持できる。熱可塑性樹脂層における上述した白色無機粒子の含有割合は、一実施形態において、1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
【0078】
熱可塑性樹脂層は、白色無機粒子以外の添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、潤滑剤、分散剤、及び帯電防止剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
【0079】
樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂層を1層以上備えることができる。熱可塑性樹脂層の層数は、好ましくは1層以上5層以下、より好ましくは1層以上3層以下である。
【0080】
熱可塑性樹脂層の平均膜厚は、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは3μm以上30μm以下、さらに好ましくは5μm以上25μm以下である。樹脂フィルムが熱可塑性樹脂層を2層以上備える場合、熱可塑性樹脂層の合計膜厚の平均が上記範囲にあることが好ましい。
【0081】
一実施形態において、樹脂フィルムは、第1の白色無機粒子含有層と、中間層としての第2の白色無機粒子含有層と、熱可塑性樹脂層とを厚さ方向にこの順に備える。樹脂フィルムは、第1の白色無機粒子含有層上に、以下に説明する印刷層を備えてもよい。一実施形態において、第1の白色無機粒子含有層は、包装材における外層を構成し、熱可塑性樹脂層は、包装材における内層を構成し、ヒートシール層として機能する。
【0082】
(印刷層)
樹脂フィルムは、白色無機粒子含有層上に、印刷層をさらに備えてもよい。白色無機粒子含有層は、印刷性に優れることから、白色無機粒子含有層上に印刷層を容易に形成できる。
【0083】
印刷層は、装飾のために、あるいは、商品名、内容物、原材料名、賞味期限、製造者及び販売者の表示などのために、印刷によって形成される層である。印刷層は、例えば、絵、写真、文字、数字、図形、記号及び模様などの所望の任意の絵柄を有する絵柄層を含む。印刷層は、絵柄層の絵柄を際立たせるよう印刷により形成された地色層を更に含んでいてもよい。
【0084】
印刷層は、一実施形態において、着色剤と、バインダー樹脂とを含有する。印刷層を形成するためのインク組成物は、一実施形態において、着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含有する。印刷層は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷及びスクリーン印刷などの公知の印刷方法により、インク組成物を白色無機粒子含有層上に印刷することにより形成できる。
【0085】
着色剤としては、例えば、従来公知の顔料及び染料を用いることができる。バインダー樹脂としては、例えば、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド及びポリウレタンなどの、従来公知のバインダー樹脂を用いることができる。
【0086】
印刷層は、白色無機粒子含有層の全面に設けてもよく、又は一部に設けてもよい。
印刷層の平均膜厚は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下である。
【0087】
(アンカーコート層)
樹脂フィルムは、白色無機粒子含有層と印刷層との間に、アンカーコート層をさらに備えてもよい。アンカーコート層は、白色無機粒子含有層と印刷層との密着性を高めるための層である。
【0088】
アンカーコート層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンイミンが挙げられる。上記材料と溶剤とを含有する塗料組成物を白色無機粒子含有層上に塗布することにより、アンカーコート層を形成できる。
【0089】
(保護層)
樹脂フィルムは、和紙様の外観が保持される範囲において、印刷層を保護する保護層を、印刷層上にさらに備えてもよい。保護層は、外部から衝撃又は摩擦等が加わった際に印刷層を保護するために設けることができる。
【0090】
保護層は、和紙様の外観を保持するために、又は印刷層の視認性を保持するために、無色透明であることが好ましい。保護層を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インクが挙げられる。保護層は、印刷層と同一の範囲、又は印刷層を包含するように印刷層よりも広い範囲に設けられていることが好ましい。
保護層の平均膜厚は、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。
【0091】
<樹脂フィルムの製造方法>
樹脂フィルムは、例えば、インフレーション押出成形法又はTダイ押出成形法により製造できる。一実施形態において、上記白色無機粒子含有層を形成するための、白色無機粒子及び樹脂材料を含有する樹脂組成物と、上記熱可塑性樹脂層を形成するための、白色無機粒子を含有しないか、白色無機粒子の含有量が少ない熱可塑性樹脂組成物とを、インフレーション成形機又はTダイ押出成形機を用いて、共押出により製膜し、得られた積層体を延伸することにより、樹脂フィルムを製造できる。
成形機の温度設定は、一実施形態において、使用する樹脂の融点よりも10℃以上高い温度が用いられる。ただし、生産速度を上げたい場合にはより高い温度を設定するが、最終的には生産安定性を含めた多様な要素のバランスをとるように温度を設定してもよい。成形機の温度設定は、一実施形態において、具体的には120℃以上280℃以下の範囲が用いられる。
【0092】
一実施形態において、白色無機粒子及び樹脂材料を含有する樹脂組成物は、白色無機粒子を高濃度で含有するマスターバッチを用いて製造する。マスターバッチは、二軸スクリューと、複数のフィード口と、ロスインウェイト方式のフィーダーと、溶融樹脂をストランドとして押し出すダイスと、ペレタイザとを組み合わせた押出機により製造できる。
【0093】
延伸処理により、樹脂フィルムの外観を向上できる。具体的には、延伸処理により、膜厚ムラ、表面反射ムラ及び空隙ムラを生じさせることができ、これにより、白色無機粒子及び樹脂材料を含有する樹脂組成物から形成された層の表面が不均一となり、和紙様の外観を有する樹脂フィルムが得られる。一実施形態において、白色無機粒子及び樹脂材料を含有する樹脂組成物から形成された層は延伸処理により適度に部分的に破断が生じて薄くなり大きな膜厚ムラを生じる一方、上記熱可塑性樹脂組成物から形成された層は伸び性に優れることからフィルム形態が維持される。
【0094】
インフレーション成形機において、積層体の延伸も合わせて行うことができる。これにより、樹脂フィルムの一実施形態である延伸フィルムを製造できることから、生産効率をより向上できる。
【0095】
延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、不均一な外観が得られやすいという観点から、一軸延伸フィルムが好ましく、フィルムの長手方向(MD)に延伸処理された一軸延伸フィルムがより好ましい。
【0096】
延伸フィルムの長手方向(MD)及び/又は横手方向(TD)の延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上10倍以下、より好ましくは1.2倍以上5倍以下、さらに好ましくは1.2倍以上2.5倍以下である。
【0097】
延伸倍率が1.1倍以上であると、例えば、外観により優れた樹脂フィルムが得られ、また、樹脂フィルムへの印刷適性を向上できる。延伸倍率が10倍以下であると、積層体を良好に延伸できる。
【0098】
<樹脂フィルムの用途>
本発明の樹脂フィルムは、和紙様の外観を有することから、包装材又は梱包材として、好ましくは商品の包装材として、より好ましくは贈り物(ギフト)用包装材、すなわち贈り物(商品)をラッピングするための包装材として、好適に使用できる。
【0099】
本発明の樹脂フィルムは、ヒートシール型の包装材として有用である。例えば、本発明の樹脂フィルムを、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型等のヒートシール態様によりヒートシールして、種々の実施形態の包装袋を製造できる。その他、例えば、包装材としては、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)も可能である。
【0100】
例えば、白色無機粒子含有層と熱可塑性樹脂層とを備える樹脂フィルムの場合、白色無機粒子含有層が外側、熱可塑性樹脂層が内側に位置するように樹脂フィルムを二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、また、複数の樹脂フィルムを熱可塑性樹脂層が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装材を製造できる。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0101】
一実施形態において、本発明の樹脂フィルムは、和紙様の外観を有し、しかも、引裂き性、よって開封性に優れることから、ピロー包装材として有用である。
【0102】
本発明の樹脂フィルムは、印刷産業で使用される従来の印刷用紙基材(例えば合成紙、再生紙)に対する代替材料である、印刷用基材として、好適に使用できる。印刷用基材としては、例えば、名刺、冊子、パンフレット、リーフレット、ポスター、ステッカー、シール、ラベル、チケット、タグ、荷札、カード及び折箱が挙げられる。
【0103】
本発明の樹脂フィルムは、その他、食料品及び飲料品を収容するための容器や、植木鉢などの他の容器を形成するための材料;食料品ラップ;袋(例えば、手提げ袋、ごみ袋)、飲料用のストローなどを形成するための材料;使い捨てのカトラリーを形成するための材料として、有用である。容器は、例えば、樹脂フィルムを用いた真空成型により製造できる。
【0104】
本発明の樹脂フィルムは、上述したように、熱収縮性フィルム又はストレッチフィルムとして、具体的にはタイトパック包装材として、有用である。これらのフィルムを用いることにより、例えば、商品等を包装又は梱包でき、また、これらのフィルムは、食料品容器又は飲料用ボトル用のラベルとして有用である。
【0105】
[包装体]
本発明の包装体は、
本発明の樹脂フィルムからなる包装材と、
上記包装材により少なくとも一部が包装された被包装物と
を備える。
【0106】
被包装物としては、例えば、立方体状及び直方体状などの外形を有する箱体、円筒形状及び多角形筒形状などの外形を有する筒状体、生鮮食料品及び惣菜などの食料品、植物、農産物、書籍、並びに衣類が挙げられる。上記箱体及び筒状体には、例えば、食料品、飲料品、農産物、化粧品、医薬品、書籍、衣類、玩具及び電子機器等の、商品又は製品が収容されている。
【0107】
本発明の包装体において、上記樹脂フィルムにより、被包装物の全面が包装されていてもよく、被包装物の一部が包装されていてもよい。
【0108】
前者の例としては、例えば、キャラメル包み、斜め包み、スクエア包みが挙げられる。また、上述したように、上記ヒートシール態様によりヒートシールされた種々の実施形態の包装態様(包装袋)であってもよく、具体的にはピロー包装が挙げられる。
【0109】
後者の例としては、例えば、帯掛け包装が挙げられる。帯掛け包装は、被包装物の幅よりも狭い幅の樹脂フィルムを用い、被包装物の両側部が露出するように部分的に被包装物を包装することを意味する。
【0110】
本発明は、例えば以下の[1]~[15]に関する。
[1]表面反射光強度の、回帰直線に対する残差標準偏差σの平均値として規定される表面反射粗さが2.0以上である、樹脂フィルム。
[2]平均膜厚が25.0μm以上であり、最大膜厚と最小膜厚との比で規定される膜厚比が2.0以上である、樹脂フィルム。
[3]白色無機粒子と樹脂材料とを含有し、白色無機粒子の含有割合が50質量%超である層を備える、上記[1]又は[2]に記載の樹脂フィルム。
[4]白色無機粒子が、炭酸カルシウムである、上記[3]に記載の樹脂フィルム。
[5]樹脂フィルムの断面画像において、少なくとも一部の白色無機粒子の周囲に空隙が存在する、上記[3]又は[4]に記載の樹脂フィルム。
[6]樹脂材料が、ポリオレフィンを含む、上記[3]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[7]ポリオレフィンが、バイオマス由来のポリオレフィンを含む、上記[6]に記載の樹脂フィルム。
[8]ポリオレフィンが、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含む、上記[6]又は[7]に記載の樹脂フィルム。
[9]白色無機粒子と樹脂材料とを含有し、白色無機粒子の含有割合が50質量%超である上記層の少なくとも一方の面上に、白色無機粒子の含有割合が50質量%以下である熱可塑性樹脂層をさらに備える、上記[3]~[8]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[10]熱可塑性樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する、上記[9]に記載の樹脂フィルム。
[11]熱可塑性樹脂層が、コモノマー単位として炭素数6以上8以下のα-オレフィンに由来する構成単位を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含有する、上記[10]に記載の樹脂フィルム。
[12]一軸又は二軸延伸されてなる、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[13]包装材である、上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[14]包装材が、ピロー包装材である、上記[13]に記載の樹脂フィルム。
[15]上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムからなる包装材と、包装材により少なくとも一部が包装された被包装物とを備える包装体。
【実施例0111】
本発明の樹脂フィルムについて実施例を元にさらに具体的に説明するが、本発明の樹脂フィルムは実施例によって限定されるものではない。
【0112】
[実施例1]
65質量部の「ママカルソ(登録商標)」(日東粉化工業(株)製、重質炭酸カルシウム)と、35質量部の「SLH118」(Braskem社製、バイオマスポリエチレン)とを二軸押出機で混練し、マスターバッチを得た。
【0113】
97質量部の上記マスターバッチと、3質量部の「L-MODU(登録商標)S901」(出光興産(株)製、ホモポリプロピレン)とをドライブレンドして、樹脂組成物(1)を得た。
【0114】
72質量部の「エボリュー(登録商標)SP0510」((株)プライムポリマー製、LLDPE)と、28質量部の上記マスターバッチとをドライブレンドして、樹脂組成物(2)を得た。
【0115】
続いて、外層用として樹脂組成物(1)を、中間層用として樹脂組成物(1)を、内層用として樹脂組成物(2)をそれぞれインフレーション押出成形機に投入し、押出比率(厚さ比率)を外層:中間層:内層=2:6:2となるように3層共押出して積層体を形成し、インラインで機械方向(MD方向)に延伸をかけた後に巻き取った。延伸倍率は1.7倍とした。
【0116】
その結果、(表側)外層として炭酸カルシウム及びバイオマスポリエチレンを含む層/中間層として炭酸カルシウム及びバイオマスポリエチレンを含む層/内層としてLLDPEの比率が多い層(裏側)を備える、平均膜厚52.4μmの延伸積層体を得た。延伸積層体において、炭酸カルシウムの含有割合は、50質量%以上であった。「/」は、層と層との境界を表している。
【0117】
[実施例2~5]
延伸後の積層体の膜厚が40~70μm程度となるように、押出量を変更して延伸前の積層体の膜厚を変更し、表1に記載したとおりに延伸倍率を変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層体を得た。
【0118】
[実施例6]
98質量部の炭酸カルシウムマスターバッチ(品名UH-25、アースクリエイト社製、炭酸カルシウム70質量%/ホモポリプロピレン30質量%)と、2質量部の「L-MODU(登録商標)S901」(出光興産(株)製、ホモポリプロピレン)とをドライブレンドして、樹脂組成物(3)を得た。
【0119】
8質量部のLLDPE(メタロセン触媒による合成品)と、90質量部の炭酸カルシウムマスターバッチ(品名UH-25、アースクリエイト社製、炭酸カルシウム70質量%/ホモポリプロピレン30質量%)と、2質量部の「L-MODU(登録商標)S901」(出光興産(株)製、ホモポリプロピレン)とをドライブレンドして、樹脂組成物(4)を得た。
【0120】
68質量部のLLDPE(メタロセン触媒による合成品)と、32質量部の炭酸カルシウムマスターバッチ(炭酸カルシウム80質量%含有)とをドライブレンドして、樹脂組成物(5)を得た。
【0121】
続いて、外層用として樹脂組成物(3)を、中間層用として樹脂組成物(4)を、内層用として樹脂組成物(5)をそれぞれインフレーション押出成形機に投入し、押出比率(厚さ比率)を外層:中間層:内層=18:92:50となるように3層共押出して積層体を形成し、インラインで機械方向(MD方向)に延伸をかけた後に巻き取った。延伸倍率は2.3倍とした。
その結果、平均膜厚48.8μmの延伸積層体を得た。
【0122】
[実施例7]
押出量を変更して延伸前の積層体の膜厚を変更し、また押出比率(厚さ比率)を外層:中間層:内層=8:44:24とし、延伸倍率を1.5倍としたこと以外は実施例6と同様にして、平均膜厚32.5μmの延伸積層体を得た。
【0123】
実施例で用いた製品を以下に記載する。
ママカルソ(登録商標):重質炭酸カルシウム、平均粒子径2.2μm、
日東粉化工業(株)製
SLH118:バイオマスポリエチレン、コモノマー単位として1-ブテン単位及び1-ヘキセン単位を有するLLDPE、MFR=1.0g/10分、Braskem社製
UH-25:炭酸カルシウムマスターバッチ、炭酸カルシウム70質量%/ホモポリプロピレン30質量%、アースクリエイト社製
L-MODU(登録商標)S901:MFR=50g/10分、メタロセン触媒により合成された低立体規則性ホモポリプロピレン、出光興産(株)製
エボリュー(登録商標)SP0510:MFR=1.2g/10分、メタロセン触媒により合成された、コモノマー単位として1-ヘキセン単位を有するLLDPE、(株)プライムポリマー製
【0124】
[比較例1]
障子紙として、障子紙(株式会社大創産業製)を用いた。
[比較例2]
コピー用紙として、Biznetコピー用紙A4((株)ノエス製)を用いた。
[比較例3]
ストーンペーパーとして以下の手順で樹脂フィルムを作製した。アースクリエイト社製UH-25(炭酸カルシウムを70質量%含むPPマスターバッチ)と株式会社プライムポリマー社製ハイゼックス5000SR(HDPE)とを質量比9:1でブレンドして、樹脂組成物(6)を得た。さらに株式会社プライムポリマー社製E-100GPL(PP)と株式会社プライムポリマー社製ハイゼックス5000SR(HDPE)とフレーク状ベーマイトを40質量%含むPPマスターバッチと酸化チタンフィラーを50質量%含むPPマスターバッチとを質量比1:4:2:3でドライブレンドして、樹脂組成物(7)を得た。2種3層のTダイ押出機にて、中間層として樹脂組成物(6)を使用し、外層及び内層として樹脂組成物(7)を使用して、層比(厚さ比)が外層:中間層:内層=1:8:1となる様に押出しして、ストーンペーパーを得た。平均膜厚は102.7μmであった。
[比較例4]
実施例1における延伸前の積層体を用いた。ただし、実施例1の延伸後の積層体と、平均膜厚が同程度となるように、押出量を変更して積層体を形成した。
[実施例8]
90質量部の「エボリュー(登録商標)SP0510」((株)プライムポリマー製、LLDPE)と、10質量部の実施例1と同じ上記マスターバッチとをドライブレンドして、樹脂組成物(8)を得た。続いて、外層用として樹脂組成物(1)を、中間層用として樹脂組成物(1)を、内層用として樹脂組成物(8)をそれぞれインフレーション押出成形機に投入し、押出比率(厚さ比率)を外層:中間層:内層=33:34:33となるように3層共押出して積層体を形成し、インラインで機械方向(MD方向)に延伸をかけた後に巻き取った。延伸倍率は1.5倍とした。ここで押出量を低く抑えることにより平均膜厚23.2μmの樹脂フィルムを得た。
【0125】
[表面反射粗さ]
実施例1~8で得られた延伸積層体、比較例1~2の紙、比較例3のストーンペーパー、及び比較例4の積層体を、以下「サンプル」と記載する。サンプルについて、上記(表面反射粗さの測定方法)欄に記載した方法に基づき、表面反射粗さを求めた。一例として、実施例1で得られた延伸積層体について、横軸をピクセル、縦軸を256階調の明るさの数値としてプロットしたグラフを
図1に示す。
【0126】
サンプルのX方向(TD方向)、及び該X方向に対して垂直なY方向(MD方向)それぞれについて、表面反射粗さを得た。σが2.0以上であるサンプル及び膜厚比が2.0以上であるサンプルは、目視観察で、和紙様の外観を有していた。
図2に、実施例1のサンプルの外観写真を示し、
図3に、比較例3のサンプルの外観写真を示す。図の上下方向がMD方向に対応している。
【0127】
[耐水性]
サンプルを100mm×100mmサイズに切り出し、その重量を測定後に25℃の水道水に1時間浸漬させた。この後、該サンプルを水から引き揚げて表面の水滴を除いたのちに重量を再び測定して、重量の増加比率から耐水性を以下の基準で評価した。
・有:重量の増加率は10%未満であった。
・無:重量の増加率が10%以上であった。
【0128】
[断面分析、及び空隙の評価]
得られたサンプルを、紫外線(UV)硬化性樹脂で包埋処理後にUV照射して、包埋状態にあるサンプルを作製した。この包埋状態にあるサンプルを、ミクロトームを用いて切断した。得られた切断面を、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。一例として、実施例1で得られた延伸積層体の表面SEM画像の白色部分のTD方向に平行な切断面のSEM画像を
図4(空隙は、例えば楕円で囲んだ部分)に、白色部分のMD方向に平行な切断面のSEM画像を
図5に、表面SEM画像の透明に近い部分におけるTD方向に平行な切断面のSEM画像を
図6に、透明に近い部分におけるMD方向に平行な切断面のSEM画像を
図7に、それぞれ示す。
【0129】
[最大強度]
エー・アンド・ディー(株)製「MCT-2150」にて並行締め付け型ジョウJM-JFM-500Nをセットして、チャック間隔40mmとして、上記サンプルを試験片長60mm、試験片幅15mmで長辺をMD方向にて切り出したものをセットして、300mm/minの速度で引っ張った。上記サンプルの応力が増加しないが伸びが継続する降伏もしくは破断後に、変位と応力とのグラフ(SSカーブ)から、応力が増加しなくなる点を降伏点として、この時点での応力を最大強度(N/15mm)とした。
【0130】
[繰返し10%伸ひずみ]
エー・アンド・ディー(株)製「MCT-2150」にて並行締め付け型ジョウJM-JFM-500Nをセットして、チャック間隔40mmとして、上記サンプルを試験片長60mm、試験片幅15mmで長辺をMD方向にて切り出したものをセットして、100mm/minの速度で4mm引っ張ったのちに元の位置に戻し、再度4mm引っ張った。2回引っ張ったのちに元の位置に戻して、目視で判別可能なたるみ、変形が残るかを確認した。
【0131】
・無:目視で判別できる変形、たるみは生じない。
・有:目視で判別可能な変形やたるみが試験後も残存する。試験前の形状に戻らない。
・切れ:サンプルが試験後に破断した。
【0132】
[胴巻き包装加工性]
上記サンプルを用いて、日本包装機械(株)製の自動帯掛け包装機「タイトパッカーNTP-45」にて包装試験を実施した。包装対象である箱の全体を包装せず、以下のようにして箱の帯掛け包装を行った。まず、帯を箱の周囲で1周させる要領で、1枚のサンプルを箱の周囲で1周巻き、帯掛けの状態とした。次いで、帯掛けの状態のサンプルに張力をかけた状態で1枚のサンプル両端を熱溶着したのちに張力を開放して、サンプルが箱を1周した帯掛け包装として完成させた。
【0133】
胴巻き包装加工性を、以下の基準で評価した。
〇:包装機にて帯掛けの状態でサンプルに破損なく巻かれた良品が得られた。
△:包装機にて帯掛けの状態でサンプルに大きな破損は無かったが、
熱溶着部分に僅かに裂け目が見られた。
×:包装機にて試験したが、
包装後にサンプルの破れが発生して良品が得られなかった。
××:サンプルが熱溶着しないため原理的に試験ができない。
【0134】
[ヘイズ]
実施例及び比較例において得られたサンプルのヘイズ値を、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製HM-150N)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
【0135】
[膜厚測定]
実施例及び比較例において得られたサンプルの膜厚を、ニコン社製デジマイクロMF-501とカウンタMFC-101Aとの組合せにおいて、サンプル接触部にオフセンタ測定子PB-Dを装着して、定盤上で測定した。各測定位置は、約3mmずつTD方向にずらしながら10点測定する列を1列として、MD方向に約5mmずつずらしながら5列分測定を繰り返して、合計50点の実測値を得た。50点の膜厚の平均値を平均膜厚とし、最大膜厚と最小膜厚との比を膜厚比として計算した。
【0136】
【0137】
[ピロー包装試験]
実施例6で得られた延伸積層体を用いて、コンパクト高速横ピロー自動包装機にてテストを実施して、50mm×5mmφの棒状樹脂成型物を入れた状態で破れ及び変形のないピロー包装袋が得られた。
【0138】
ここで得られたピロー包装は、MD方向、TD方向に関わらずに切れ目がない状態でも軽く力を入れると開封が可能で、簡易に内容物を取り出すことができる包装として有効であった。例えばMD方向の開封では、裂き始めでは軽い力で袋を裂くことができ、その後においてはより軽い力で袋を裂くことができた。