(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128357
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】マイクロミスト発生方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
B05B 7/24 20060101AFI20220825BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B05B7/24
B05D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026835
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】521078296
【氏名又は名称】レフラン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 次郎
【テーマコード(参考)】
4D075
4F033
【Fターム(参考)】
4D075AA02
4D075AA06
4D075CA45
4D075DA40
4D075DB70
4D075DC50
4D075EA06
4D075EC60
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB15X
4F033QD02
4F033QD11
4F033QE06
4F033QF01X
4F033QF07Y
4F033QF13X
4F033QF13Y
(57)【要約】
【課題】本発明は、二酸化炭素又は酸素のマイクロナノバブル水をミスト状態に霧化するマイクロミスト発生方法及びその装置を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロミスト発生装置は、気液混合器5の下流側に接続され、気液混合流体を直進方向と直角方向の2方向へ分岐させるT型チーズ6と、該T型チーズ6の直進方向に一端(始端)を、直角方向に他端(終端)をそれぞれ接続し、クローズドループを形成する可撓性チューブ管7と、該可撓性チューブ管7の途中に回転可能に接続される異型チーズコネクタ11と、該異型チーズコネクタ11の直角方向に接続する、円周部分に小孔12を設けた末端閉鎖チューブ製ノズル8と、から構成される。前記末端閉鎖チューブ製ノズル8の円周部分に設けた小孔12から空気が漏れるが、壁面の液体が勢いよく外に出ることにより霧吹き状に霧化される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブル発生装置により二酸化炭素又は酸素のマイクロナノバブル水を生成してバブル水槽に貯留するナノバブル水貯留工程と、
コンプレッサーからの高圧空気と前記バブル水槽からのマイクロナノバブル水をジェット発生装置で混合させ、気液混合ジェット流体を形成するジェット流体発生工程と、
前記気液混合ジェット流体を気液混合器に送り、コンプレッサーからの高圧空気と前記気液混合ジェット流体とを混合させて一定圧力で気液混合流体を前記気液混合器から噴出させる気液混合流体噴出工程と、
前記気液混合器に接続されたT型チーズに前記気液混合流体を送り、前記T型チーズに可撓性チューブ管の始端と終端をそれぞれ接続してクローズドループを形成するチューブ管均等圧工程と、
前記可撓性チューブ管の途中を分割し回転可能に接続した異型チーズコネクタに接続した末端閉鎖チューブ製ノズルの円周部分に設けた小孔からマイクロミストを噴射するマイクロミスト噴霧工程と、からなることを特徴とするマイクロミスト発生方法。
【請求項2】
コンプレッサーからの高圧空気とバブル水槽からのマイクロナノバブル水を混合させ、気液混合ジェット流体を形成するジェット発生装置と、該ジェット発生装置の下流に接続され、前記ジェット発生装置の気液混合ジェット流体とコンプレッサーからの高圧空気と混合させる気液混合器と、該気液混合器に接続され、前記気液混合流体を直進方向と直角方向の2方向へ分岐させるT型チーズと、該T型チーズの直進方向に一端を、直角方向に他端をそれぞれ接続し、クローズドループを形成する可撓性チューブ管と、該可撓性チューブ管の途中に回転可能に接続される異型チーズコネクタと、該異型チーズコネクタの直角方向に接続する、円周部分に小孔を設けた末端閉鎖チューブ製ノズルと、から構成されてなることを特徴とするマイクロミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素又は酸素のマイクロナノバブル水をミスト状態に霧化するマイクロミスト発生方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2流体ノズルと呼ばれる液体と気体を混合するノズルを用い、高圧ガスを2流体ノズルに導入することで、高圧ガスの急激な膨張と拡散作用によってミスト化したマイクロミストを作り出していた。
液体をマイクロミストの状態にして霧化することができるマイクロミスト発生方法及びその装置が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、ミスト発生用の加圧ガスが噴出する際の負圧によって液体を吸引し、気液混合体として混合気噴気口から噴射されたミストを導入管に導いて搬送し、噴射ノズル内の旋回空間で旋回させてから複数の噴射孔からマイクロミストとして噴射するようにしたものである。
このように、導入管を設けることで、加圧ガス下でミスト化した微粒子が液体内に加圧ガスを溶解する時間を確保し、噴射時に内部に溶解した加圧ガスの膨張効果を高めることで微粒子化を高めることができると共に、ミストを旋回させることで液体を均一に分散させることができ、少量の液体と気体とで広範囲の冷却を行うことができるものである。
【0003】
また、本出願人が開発した、ミストの中にナノバブル(超微細気泡)を内蔵させてミストを高速噴射させるジェット噴射装置が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、円筒管のノズル外筒と、該ノズル外筒に直角に一体接続されたエアー接続管とからなる2流体ノズルと、該2流体ノズルの一方のノズル外筒に高圧のナノバブル水を供給するナノバブル発生装置と、前記2流体ノズルの他方のエアー接続管に高圧空気を供給するコンプレッサーとから構成されているジェット噴射装置である。
このように構成することにより、ミストの中にナノバブルを混合できるので、ガス類を目的地まで吹き付けガスの効果を期待することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4239879号公報
【特許文献2】特許第6317505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、二酸化炭素又は酸素のマイクロナノバブル水をミスト状態に霧化するマイクロミスト発生方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマイクロミスト発生方法は、マイクロバブル発生装置により二酸化炭素又は酸素のマイクロナノバブル水を生成してバブル水槽に貯留するナノバブル水貯留工程と、
コンプレッサーからの高圧空気と前記バブル水槽からのマイクロナノバブル水をジェット発生装置で混合させ、気液混合ジェット流体を形成するジェット流体発生工程と、
前記気液混合ジェット流体を気液混合器に送り、コンプレッサーからの高圧空気と前記気液混合ジェット流体とを混合させて一定圧力で気液混合流体を前記気液混合器から噴出させる気液混合流体噴出工程と、
前記気液混合器に接続されたT型チーズに前記気液混合流体を送り、前記T型チーズに可撓性チューブ管の始端と終端をそれぞれ接続してクローズドループを形成するチューブ管均等圧工程と、
前記可撓性チューブ管の途中を分割し回転可能に接続した異型チーズコネクタに接続した末端閉鎖チューブ製ノズルの円周部分に設けた小孔からマイクロミストを噴射するマイクロミスト噴霧工程と、からなる。
【0007】
本発明のマイクロミスト発生装置は、コンプレッサーからの高圧空気とバブル水槽からのマイクロナノバブル水を混合させ、気液混合ジェット流体を形成するジェット発生装置と、該ジェット発生装置の下流に接続され、前記ジェット発生装置の気液混合ジェット流体とコンプレッサーからの高圧空気と混合させる気液混合器と、該気液混合器に接続され、前記気液混合流体を直進方向と直角方向の2方向へ分岐させるT型チーズと、該T型チーズの直進方向に始端を、直角方向に終端をそれぞれ接続し、クローズドループを形成する可撓性チューブ管と、該可撓性チューブ管の途中に回転可能に接続される異型チーズコネクタと、該異型チーズコネクタの直角方向に接続する、円周部分に小孔を設けた末端閉鎖チューブ製ノズルと、から構成されてなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロミスト発生方法は、可撓性チューブ管とノズルの組み合わせによりミスト発生設備が簡単であり、ミストは濡れないので何れの場所にも設置でき、かつ可撓性チューブ管が柔軟なのでラインを自由に設計することができる効果がある。また酸素又は二酸化炭素のガスをマイクロナノバブル化した水溶液をジェット噴霧装置により土中や空中に噴霧させ、農作物の育成と害虫の防除に有効的に利用できる。
本発明のマイクロミスト発生装置は、ジェット噴射装置の技術を生かし、可撓性チューブ管の柔軟性と安価なコストで誰でも組み立てられる装置であり、大量生産向きである。 従来、金属製のノズルに高圧をかけて噴霧する装置が用いられており、一旦設備するとラインの変更が難しく、またノズルの目詰まりが起きれば交換する必要があり、手間とコストがかかっていた。さらにラインを自由な形に変更できず専門業者に依存していたが、可撓性チューブ管を使用することでラインをクローズドループに変更して自由なライン設計が可能となり、必要な場所に必要なだけミストを供給することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のマイクロミスト発生装置の概略説明図である。
【
図2】末端閉鎖チューブ製ノズルの拡大説明図である。
【
図3】末端閉鎖チューブ製ノズルのミスト噴霧の説明図である。
【
図4】他の末端閉鎖チューブ製ノズルのミスト噴霧の説明図である。
【
図5】地中の末端閉鎖チューブ製ノズルのミスト噴霧の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のマイクロミスト発生装置の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の概略説明図に示すように、本発明のマイクロミスト発生装置は、高圧空気を発生するコンプレッサー1と、二酸化炭素ナノバブル水又は酸素ナノバブル水を発生するマイクロバブル発生装置2と、該マイクロバブル発生装置2からの二酸化炭素ナノバブル水又は酸素ナノバブル水を貯留するバブル水槽3と、前記コンプレッサー1からの高圧空気と前記バブル水槽3からの二酸化炭素ナノバブル水又は酸素ナノバブル水を混合させ、気液混合ジェット流体を形成するジェット発生装置4と、該ジェット発生装置4からの気液混合ジェット流体とコンプレッサー1からの高圧空気とを混合させる気液混合器5と、該気液混合器5の下流側に接続され、前記気液混合流体を直進方向と直角方向の2方向へ分岐させるT型チーズ6と、該T型チーズ6の直進方向に一端(始端)を、直角方向に他端(終端)をそれぞれ接続し、クローズドループを形成する可撓性チューブ管7と、該可撓性チューブ管7の途中に回転可能に接続される異型チーズコネクタ11(
図2を参照)と、該異型チーズコネクタ11の直角方向に接続する、円周部分に小孔12を設けた末端閉鎖チューブ製ノズル8と、から構成されてなる。
【0011】
前記コンプレッサー1は、ジェット発生装置4に直接接続して使用するようにしているが、前記コンプレッサー1によりエアタンクに一定圧の高圧空気を貯留し、それを使用してもよい。
前記バブル水槽3は、生き物を効果的に生かす方向で酸素バブル水を使用し、殺菌等微生物から作物等を守るために二酸化炭素バブル水を使用する。各種ガス入りのナノバブル気泡はバブル水槽3内で長期保存され、すぐに消滅することはない。
【0012】
前記マイクロバブル発生装置2は、O2やCO2などの各種ガス入りのガスタンク(図示せず)と貯留水の貯水タンク(図示せず)とを接続し、該マイクロバブル発生装置2により生成されたナノバブル気泡を前記バブル水槽3に貯留する。前記マイクロバブル発生装置2のナノバブル粒子量は1mml当たり1.5×108個である。ナノバブル気泡の発生方法は、これ以外にも多種多様なものがあり、既存製品を利用すればよい。
【0013】
前記ジェット発生装置4は、一方から前記バブル水槽3の各種ガス入りのバブル水を引き込み、他方からコンプレッサー1からの圧縮空気を取り込み、各種ガス入りバブル水と圧縮空気とが気液混合状態となり、ダイヤフラムポンプにより高圧となったナノバブル水が下流側の気液混合器5に送られる。
【0014】
前記気液混合器5は、前記ジェット発生装置4から高圧となったナノバブル水、すなわち気液混合ジェット流体が気液混合器5の直管に圧送され、一方コンプレッサー1からの圧縮空気が直管に直交するように圧送され、合流点で気液混合され、気液混合流体となって下流側へ送られる。気液混合ジェット流体側バルブ9と圧縮空気側バルブ10に電磁弁等を有効に使うことで流量調整を自動化できる。
【0015】
前記T型チーズ6は、前記気液混合器5の下流側に接続され、合成樹脂、金属又はセラミック製で、前記気液混合流体を左右2方向へ分岐し、分流させる。
前記可撓性チューブ管7は、外径10mmの硬質ウレタンチューブで、長さは任意であるが、ビニールハウス内での使用を想定している。前記可撓性チューブ管7が柔軟なのでラインを自由に設計することができるし、単管チューブのクローズドループになる仕組みで、先端圧力が下がらない工夫である。
【0016】
前記異型チーズコネクタ11は、前記可撓性チューブ管7の寸法に合わせるが相対回転できるので、位置とミストの量等を調整できる。
前記末端閉鎖チューブ製ノズル8は、外径6mmの硬質ウレタンチューブとし、小孔12の径は約1mmがよい。圧縮空気はチューブの中心を走るため、液体は壁面に移動する。末端閉鎖チューブ製ノズル8の小孔12から空気が漏れるが、それに合わせて壁面の液体が勢いよく外に出ることにより霧吹き状に霧化される。
【0017】
次に、本発明のマイクロミスト発生装置の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の概略説明図に示すように、O
2やCO
2などの各種ガス入りのガスタンクと貯留水の貯水タンクとをマイクロバブル発生装置2に接続し、該マイクロバブル発生装置2により生成されたナノバブル気泡を前記バブル水槽3に貯留する。
コンプレッサー1からの高圧空気と前記バブル水槽3からのマイクロナノバブル水をジェット発生装置4で混合させ、気液混合ジェット流体を形成する。
前記気液混合ジェット流体を気液混合器5に送り、コンプレッサー1からの高圧空気と前記気液混合ジェット流体とを混合させて一定圧力で気液混合流体を前記気液混合器5から噴出させる。
前記気液混合器5に接続されたT型チーズ6に前記気液混合流体を送り、前記T型チーズ6に可撓性チューブ管7の始端13と終端14をそれぞれ接続してクローズドループを形成しているので、始端13と終端14は均等圧となる。
前記可撓性チューブ管7の途中を切断し回転可能に接続した異型チーズコネクタ11に接続した末端閉鎖チューブ製ノズル8の円周部分に設けた小孔12から空気が漏れるが、壁面の液体が勢いよく外に出ることにより霧吹き状に霧化される。
【0018】
図2の拡大説明図に示すように、末端閉鎖チューブ製ノズル8は、円筒体の先端にキャップ15を施して閉鎖しており、その円周部分に複数個の小孔12を開けている。末端閉鎖チューブ製ノズル8は可撓性チューブ管7の途中を切断し回転可能に接続した異型チーズコネクタ11に接続されており、前記異型チーズコネクタ11自身も可撓性チューブ管7の軸周りを回転できるが、末端閉鎖チューブ製ノズル8自身も異型チーズコネクタ11を軸周り回転できるように嵌合されているため、ミストの噴射方向を多方向に変更できるようになっている。
【0019】
図3の説明図に示すように、ビニールハウスや温室等の建屋の天井から吊り下げた支柱16に、ループ状に設けた可撓性チューブ管7を支持させることにより、上部空間からCO
2マイクロナノバブルミストを散布することができ、害虫の防除に有効的に利用できる。
また、
図4の説明図に示すように、末端閉鎖チューブ製ノズル8を長寸法に形成することにより、小孔12を上下に複数個形成することができ、背丈の大きい植物に対してO
2マイクロナノバブルミストを万遍無く散布することができ、農作物の育成に有効的に利用できる。
【0020】
図5の説明図に示すように、植物の根の部分にO
2マイクロナノバブルミストを散布する場合には、エアチッパー17にコンプレッサー1からの圧縮空気とジェット発生装置4からの気液混合ジェット流体、すなわちO
2ミストジェット流体を気液混合器5に接続して、さらに前記気液混合器5に先端に小孔12を設けた鉄製矢ジリ18を備えたステンレス管19を接続する。
土中には、エアチッパー17の上下振動によりステンレス管19を突き刺して、小孔12からO
2マイクロナノバブルミストを根の周りに散布する。
【符号の説明】
【0021】
1 コンプレッサー
2 マイクロバブル発生装置
3 バブル水槽
4 ジェット発生装置
5 気液混合器
6 T型チーズ
7 可撓性チューブ管
8 末端閉鎖チューブ製ノズル
9 気液混合ジェット流体側バルブ
10 圧縮空気側バルブ
11 異型チーズコネクタ
12 小孔
13 始端
14 終端
15 キャップ
16 支柱
17 エアチッパー
18 鉄製矢ジリ
19 ステンレス管