(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128359
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】徐放ユニット、及び徐放補綴
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20220825BHJP
A61K 6/15 20200101ALI20220825BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20220825BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K6/15
A61L27/54
A61P1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026837
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】518008297
【氏名又は名称】皆葉 仁
(74)【復代理人】
【識別番号】100194869
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【氏名又は名称】中川 邦雄
(71)【出願人】
【識別番号】518189529
【氏名又は名称】合同会社ABANIM
(72)【発明者】
【氏名】皆葉 仁
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C089
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076AA95
4C076BB22
4C076BB23
4C076BB32
4C076CC10
4C076FF31
4C081AB06
4C081BB06
4C081CE01
4C081CE02
4C081EA02
4C089AA02
4C089CA04
(57)【要約】
【課題】口腔内において、有効成分などの所望成分を長期間にわたって徐放させることができる、徐放ユニット、及びそれを備えた徐放補綴を提供する。
【解決手段】補綴に埋め込まれ所望成分を収納し開口を有する容器と、前記容器の開口を覆い前記所望成分の放出を許容する蓋材とからなることを特徴とする徐放ユニットの構成、前記徐放ユニットと、前記徐放ユニットを収納する補綴とからなることを特徴とする徐放補綴の構成、さらに、前記容器が、補綴より突出し唾液分泌促進ツボを押圧する位置に配置されることを特徴とする徐放補綴の構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補綴に埋め込まれ、所望成分を収納し、開口を有する容器であることを特徴とする、徐放ユニット。
【請求項2】
補綴に埋め込まれ、所望成分を収納し、開口を有する容器と、
前記容器の開口を覆い、前記所望成分の放出を許容する蓋材と、
からなることを特徴とする、徐放ユニット。
【請求項3】
前記蓋材が、網又は膜であることを特徴とする請求項2に記載の徐放ユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の徐放ユニットと、
前記徐放ユニットを収納する補綴と、
からなることを特徴とする、徐放補綴。
【請求項5】
前記容器が、前記補綴に着脱可能に収納されることを特徴とする請求項4に記載の徐放補綴。
【請求項6】
前記容器が、補綴より突出し、唾液分泌促進ツボを押圧する位置に配置されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の徐放補綴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内において、有効成分などの所望成分を長期間にわたって徐放させることができる、徐放ユニット、及びそれを備えた徐放補綴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内で、有効成分などの所望成分を唾液中に溶出させる場合、錠剤、タブレット、シートを口腔内に残置、貼付させていた(特許文献1,2)。
【0003】
例えば、特許文献1の請求項1には「口腔境界潤滑を改善するための口腔ケア組成物であって、浸透圧平衡塩水溶液、多相エマルジョン、ゲル、液体、クリーム、軟膏、スプレー、ペースト、粘稠溶液、徐放デバイス、あるいはロゼンジ又はガムに配合された有効量及び有効濃度の単離又は精製されたPRG4を含有してなり、前記有効量及び有効濃度の単離又は精製されたPRG4が口腔境界潤滑を改善するのに十分なものである、口腔ケア組成物。」が、また請求項36に「粘着パッチ」が開示されている。
【0004】
また、特許文献2の請求項1には「唾液内での液化速度を遅くした主として固体であるポリオール分子の組成物であって、水と接触すると膨張する親水性ゴムの分子と混合された結晶ポリオール分子を含んで成ることを特徴とする組成物。」が、請求項13に「口内でのトローチの液化時間は平均で25分以上であることを特徴とする請求項11または12記載の組成物。」が、請求項14に「付着トローチであって、2寸法が少なくとも5ミリであり、口内に保持されると同時的に複数の箇所に分散されることなく1体物として残り、長時間にわたりポリオール分子を放出するもの」が公開されている。
【0005】
しかし、そのような施術では、1回の施術で、長時間、例えば一日、数日~一週間、一ヶ月などの長期徐放を想定していないうえ、載置使用では違和感を伴い、長期使用することは困難であった。また、トローチのような使用方法では、使用者が溶解速度を変更させることができてしまい、成分の溶解速度を一定に保つことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-105790号公報
【特許文献2】特表2009-538301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、口腔内において、有効成分などの所望成分を長期間にわたって徐放させることができる、徐放ユニット、及びそれを備えた徐放補綴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、
(1)
補綴に埋め込まれ、所望成分を収納し、開口を有する容器であることを特徴とする、徐放ユニット。
(2)
補綴に埋め込まれ、所望成分を収納し、開口を有する容器と、
前記容器の開口を覆い、前記所望成分の放出を許容する蓋材と、
からなることを特徴とする、徐放ユニット。
(3)
前記蓋材が、網又は膜であることを特徴とする(2)に記載の徐放ユニット。
(4)
(1)~(3)の何れか1に記載の徐放ユニットと、
前記徐放ユニットを収納する補綴と、
からなることを特徴とする、徐放補綴。
(5)
前記容器が、前記補綴に着脱可能に収納されることを特徴とする(4)に記載の徐放補綴。
(6)
前記容器が、補綴より突出し、唾液分泌促進ツボを押圧する位置に配置されることを特徴とする(4)又は(5)に記載の徐放補綴。
の構成とした。
【0009】
ここで、「徐放」とは、溶質を溶媒に徐々に放出することである。ここでは、口腔内において徐放することから、溶質は、体に対する有効成分、歯に対する効能を有する成分などで、例えば、口腔ケア薬品(プラーク除去、漂白、殺菌)、内服薬、栄養成分、口腔内フローラ、腸内フローラを改善する微生物群などであり、溶媒は唾液である。
【0010】
「補綴」とは、入れ歯、ブリッジ、インプラント、歯への詰め物など、歯科治療等で、歯の欠陥、欠損を補うものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、上記構成であるので、口腔内において、有効成分などの所望成分を長期間にわたって徐放させることができる、徐放ユニット、及びそれを備えた徐放補綴を提供することができる。
【0012】
より詳しくは、本発明では、所望成分を、徐々に放出し、ターゲットに吸収、作用させることが可能で、さらに複数回に分けて内服する必要がないため内服に伴う煩雑作業がなく、また飲み忘れによる有効成分の未摂取、不足の心配もない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明である徐放ユニットを備える徐放補綴の第一実施形態(インプラントタイプ)の断面模式図である。
【
図2】本発明である徐放ユニットを備える徐放補綴の第2実施形態(入れ歯(上顎側)タイプ)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明について写真を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0015】
図1に示すように、本発明である徐放補綴6は、徐放ユニット1と補綴6とからなる。ここでの補綴6は、義歯6aに連接する軸6bを歯茎7内部の骨に固定したインプラントである。
【0016】
本発明である徐放ユニット1は、
図1に示すように、補綴6に埋め込まれ、有効成分などの所望成分4を収納し、開口を有する容器2と、容器2の開口を覆い、所望成分4の放出を許容する蓋材3とからなる。
【0017】
容器2は、補綴6の義歯6aに穿設した穴6cに嵌る。容器2と穴6cとは、螺合などで着脱可能とするとよい。容器2が着脱式であれば、所望成分4の補充、交換、容器2そのものの交換がしやすくなる。また、穴6cを容器2としてもよい。その場合には、穴6cを蓋材3で封をする。
【0018】
容器2の開口は、蓋材3の耐久、劣化を考慮して、噛み合わせ部分を避け、舌8側、或いは頬9側の補綴6の義歯6aの側面に位置させることが好ましい。
【0019】
蓋材3は、所望成分4を、所望の速度で放出する網、膜などが例示できる。蓋材によって、所望成分4の溶出速度を調節する。
徐放ユニット1は、実施例1と同じであり、義歯12a部分でなく、歯茎、上顎に当接する部分の穴12bに収納、保持されている。また、徐放ユニット1は、複数箇所設置してもよい。
また、徐放ユニット1の設置箇所は、容器2を、補綴12の表面より突出させ、唾液分泌促進ツボを押圧する位置に配置することで、唾液の少ない体質でも、所望成分4の溶出を妨げないようにすることができる。