(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128368
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】耐負荷荷重安全フック
(51)【国際特許分類】
F16B 45/00 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
F16B45/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067065
(22)【出願日】2021-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】110106135
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521148832
【氏名又は名称】貝加工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107962
【弁理士】
【氏名又は名称】入交 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】楊凱傑
(72)【発明者】
【氏名】林易靖
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA02
3J038BA17
3J038BC04
3J038BC07
(57)【要約】
【課題】耐負荷荷重安全フックを提供する。
【解決手段】
本体10、ゲート20及び戻り止め部材30から構成し、該本体は、主アーム11、主アーム上端に連結されたフックアーム12によりアンカーに係止するフック環15を構成し、主アーム下端に安全ベルトへの連結ユニット13を設け、フック環の開口16のフックアームに雌バックル17、該開口の主アーム側にゲート20を回動可能に設けて該雌バックル17に係合して開口を閉鎖可能とし、戻り止め部材30により開口の閉鎖、解放操作を行ようにし、ゲート20と主アームとを強度の大きい第1軸23と強度の小さい第2軸24で連結して、衝撃に対して第2軸の破断により緩和し、主アームをフックアームと連結ユニットを挟んで間隔を設けた一対の部材として、曲げ、撓みに対する靭性を持たせる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーポイント等に係止する開口を有するフック環と、該フック環の開口の一端側に設けられた雌バックルと、前記フック環の下方に設けられた連結ユニットと、該フック環の開口に相対する側に設けられたエネルギー吸収領域と、を有する本体と、
第1端が該本体に取り付けられ、これに相対する側の第2端に該雌バックルを係合する雄バックルが設けられて上記開口を開放又は閉鎖するゲートと、
上記本体に結合され、ゲートが開口を閉鎖することを確保する第1位置と、ゲートに前記開口を開放させる第2位置との操作を行う戻り止め部材と、を含み、
更に、上記のゲートが開口を閉鎖した状態において本体が設定された荷重を受けると前記エネルギー吸収領域の本体の変形により、荷重を緩和して該ゲートの閉鎖状態を維持するようにした、
耐負荷荷重安全フック。
【請求項2】
前記本体は、主アーム及びフックアームからなり、
前記フック環は、該主アーム一端にフックアームを接続して構成され、
前記開口は、該フックアームの自由端と主アームの間に形成され、
前記雌バックルは、該フックアームの自由端に設けられ、
前記連結ユニットは、フック環を形成する主アーム下方に設けられ、
前記エネルギー吸収領域は、該連結ユニットと上記フックアームとの間に設けられ、
該エネルギー吸収領域は、主アームの変形性で構成され、
更に、エネルギー吸収領域は、上記雌バックル及び開口に相対する主アーム側に位置して構成された、
請求項1に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項3】
前記主アームは、一対の対称な形状の前板と後板からなり、前記フックアームの一端を該一対の前板と後板との上端の間に挟んで固定し、
前記連結ユニットは、中間ブロック備え、該中間ブロックを上記前板と後板の底端との間に挟んで固定することにより、
これらフックアーム、中間ブロック間の前板と後板との相対する面の間にエネルギー吸収領域となる空間を形成した、
請求項2に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項4】
前記連結ユニットは、前記中間ブロック、主ボルト及び破壊ボルトで構成され、
該中間ブロックは、遮蔽部と露出部を有し、
該遮蔽部において前記前板と後板との底端の間に挟んで主ボルト及び破壊ボルトにより連結し、且つ破壊ボルトの強度を主ボルトよりも小さくし、
該露出部に外部に連結する吊り下げ穴が設けられてなる、
請求項3に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項5】
前記中間ブロックの遮蔽部にガイドスリットを設け、
前記前板と後板に該ガイドスリットを挿通するガイドボルトを固定し、
前記破壊ボルトが断裂すると中間ブロックは該ガイドボルトに規制されてガイドスリットの設定された位置から前記主ボルトの廻りに回動して移動し、
更に、上記遮蔽部に警告標識を設けて、上記中間ブロックの移動により該警告標識を露出させて表示するようにした、
請求項4に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項6】
前記前板及び後板の靭性は、前記フックアーム及び中間ブロックの靭性よりも大きく、且つ前記前板及び後板の剛性は、前記フックアーム及び中間ブロックよりも小さくした、
請求項3に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項7】
前記雌バックルは、前記フック環に向けて凹部を形成した嵌合溝、及び該嵌合溝に接続する奥領域で構成され、
前記主アームの前板と後板は、前記フック環の開口の下方に第1スリットを設けて、該第1スリットを中心とする円弧状の第2スリットを設け、該第2スリットの上端に上向きに第3スリットを接続して設け、
前記ゲートは、フック環の開口を閉鎖するブロック板、及び前記ブロック板の両側に屈曲して形成された側面板を設けて、
両側面板は主アームに連結する基端側を第1端、フックアーム先端部に相対する部位を第2端として、
該第1端は該主アームの第1スリット及び前記第3スリットを覆って、上記第1スリットの上部を挿通する第1軸、及び上記第3スリットを挿通する第2軸をそれぞれ両側面板を渡して固定し、
上記第2端は、前記雌バックルの奥領域に嵌合する雄バックルが両側面板を跨いで設けられ、
雄バックルを雌バックルの奥領域に嵌合して上記開口を閉鎖した状態から開口を開放するため、
上記ゲートを押し下げて、ゲートの第1軸を前記第1スリットの下部まで移動させ、第2軸を下に移動させて前記第3スリットから第2スリットに移動させ、前記雄バックルを奥領域から離脱させ、
次いで前記ゲートを前記第1軸を支点として第2スリットの円弧に沿って回動させることにより、前記雄バックルを前記雌バックルから離脱させる、
請求項3~6の何れか一項に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項8】
前記一対の前板及び後板の前記フック環の外側縁において前記第2スリットの上方に凹陥部を設け、
戻り止め部材を主アームに設けた第1孔に挿通した第3軸により回動可能に枢着する共に、主アームの第1スリットと一致する円弧状の第5スリットを設けて前記ゲートの第1軸で挿通することによりその回動範囲を規制し、
これら第2スリット、第3スリット、凹陥部及び第1孔を該エネルギー吸収領域の下半部に位置させ、雌バックルをエネルギー吸収領域の上半部に対応して位置させることにより、該戻り止め部材を該エネルギー吸収領域の下半部においてスライド動作可能として主アームの凹陥部の区画内で進退操作することにより、第1位置又は第2位置に切り替え可能とし、
更に、前記第2スリットと適合すると共に一端を開放した第6スリットを設け、該開放口の解放口の下側にロック面を延長して形成し、前記ゲートが前記開口を閉鎖してその第2軸を前記第3スリットに位置させると該ロック面が第2軸の下側面に当接してゲートが開口を閉鎖した状態にロックする前記第1位置に、また、戻り止め部材が前記第2位置に切り替えられる時、該ロック面は第2軸から離れて開放することにより該第2軸を第6スリット及び第2スリットガイドさせてゲートが環状フック内方に回動して前記開口を開放するようにした、
請求項7に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項9】
前記主アーム及びフックアームは、同一材質として一体に成形され、前記主アームに前記エネルギー吸収領域を形成するため当該エネルギー吸収領域でこれらの間に間隔を設けて配置した、
請求項3に記載の耐負荷荷重安全フック。
【請求項10】
前記戻り止め部材と前記中間ブロックとの間には、バネが取り付けられ、前記バネの作用力により、前記戻り止め部材に随時前記第1位置を保持するようにした、
請求項3~6の何れか一項に記載の耐負荷荷重安全フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ANSI/ASSP Z359.12‐2019規格を満たす安全フックの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッククライミング、登山、建物の建設などの高所の作業環境では、作業者は皆安全ベルトを結ぶ必要があり、安全ベルトの自由端は安全フックに連結され、この安全フックは、高所での所定のアンカーポイントに固定することにより、人の墜落時に救助を待つために空中に懸吊して安全に保持することに用いられる。
【0003】
但し、人の墜落時に安全フックは、下向きの引っ張り力及び衝撃力に耐えることに加え、アンカーポイントや高所環境の側面方向からの衝突による負荷荷重にも耐える必要があるため、ANSI/ASSPZ359.12‐2019Connecting Components for Personal Fall Arrest Systems規格が作成され、設定負荷荷重がかかったときに安全フックが壊れたり外れたりする危険な状況が発生しないようにさらに規定されており、したがって、現在、関連メーカーは、何れも安全フックがその規格を満たすことが必要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8739929号明細書
【特許文献2】特開2020-168180号公報
【特許文献3】特開2020-92961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ANSI/ASSP Z359.12‐2019規格を満たす安全フックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の耐負荷荷重安全フックは、アンカーポイント等に係止するフック環と、該フック環の一方の側に設けられた開口と、該開口の一方の端部に設けられる雌バックルと、前記フック環の下端部に設けられる連結ユニットと、前記フック環の該開口に相対する側に設けられるエネルギー吸収領域と、を有する本体と、
第1端で前記本体に取り付けられ、これに対する第2端には前記雌バックルに係合する雄バックルが設けられ、前記開口を開放又は閉鎖するゲートと、
前記本体に結合され、且つ第1位置に保持されて前記ゲートが開口を閉鎖する状態を確保し、第2位置に移動するように操作する時、その状態を解除して該ゲートに閉鎖した開口を開放させる操作を可能にする戻り止め部材と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
以上により、本発明は、前記本体、前記エネルギー吸収領域、前記フック環、及び前記開口に対する全体的な構成を通じて、ANSI/ASSP Z359.12‐2019規格を満たさせ、特に前記規格の3.1.3.5及び3.1.3.6の詳細な要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の本体組み合わせ前の正面説明図である。
【
図5】本発明の開口を強制開放する正面説明図である。
【
図7】本発明の連結ユニットが作業者の脱落を緩衝する説明図である。
【
図8】本発明は、治具シミュレーションテストで設定負荷荷重に耐えることの説明図である。
【
図9】本発明は、シミュレーション設定負荷荷重を受けた後の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図7を参照する。
本発明は、本体10にゲート20、戻り止め部材30、及びバネ40が取り付けられる。
【0010】
前記本体10は、主アーム11、フックアーム12、連結ユニット13及びエネルギー吸収領域Eを含む。
【0011】
前記主アーム11は、対称な形状で一対をなす前板111と後板112とからなり、
フックアーム12の一端を前板111と後板112との上端の間にリベットにより連結させてフックアーム12を一体的に接続し、本体10にアンカーポイント等に係止するフック環15を構成する。
フックアーム12の自由端と主アーム11の他端との間にフック環15の右側方向に(
図2参照)連通する開口16を形成するように構成し、それにより、高所にあるアンカーポイントに対して開口16を経由してフック環15に係留することができ、後述のゲート20によって開口16を閉鎖することにより、アンカーポイントから抜ける心配なく本体10に支持させることができる。
上記フックアーム12の自由端に雌バックル17が設けられ、この雌バックル17は、前記開口16の上方に位置して、フック環15に向けた開口を有する嵌合溝171を有し、嵌合溝171は、開口16に向けて突出する凸ブロック172を形成すると共に該嵌合溝171の上方に奥まって凹んだ奥領域173を形成する。
また、前記前板111と後板112は、開口16の下方に両板を貫通する第1スリット181が設けられ、更に、第1スリット181の上方に第2スリット182を貫通し、この第2スリット182は、第1スリット181を中心とする円弧状に形成され、第2スリット182の右端(
図2)は、上向きに第3スリット183に接続する。
前板111と後板112の左側(
図2)には、第2スリット182の上方に
図2中左側に凹陥部184が設けられ、第1スリット181と第2スリット182の左端との間に更に第1孔185が貫通設置される。
【0012】
前記連結ユニット13は、主アーム11のフック環15及び第1スリット181の下方に位置して取り付けられ、且つ、中間ブロック131、主ボルト132及び破壊ボルト133から構成され、
該中間ブロック131は、遮蔽部131Aと露出部131Bを有し、遮蔽部131Aを前板111と後板112とのそれぞれの底端の間に配置して主ボルト132と破壊ボルト133を貫通させて互いに連結して一体に固定する。
該主ボルト132と破壊ボルト133は互いに平行に配置し、破壊ボルト133の強度を主ボルト132よりも小さいものとする。
露出部分131Bには、作業者の安全ベルトを接続させるための吊り下げ穴1310が貫通形成され、作業者の墜落を受けて発生する衝撃力は、吊り下げ穴1310から中間ブロック131によって主アーム11に加わり、衝撃力を本体10に伝達する過程で、
図7に示すように、強度の低い前記破壊ボルト133が先に断裂してその破壊により該衝撃力を予め緩和して、前板111と後板112の受ける衝撃力を低減する。
また、衝撃力による作用が消滅するまで前板111及び後板112を予め設計された構造に従って徐々に変形させることにより、本体10が断裂する危険を冒すことなく、落下した作業者を効果的に中空に保持することができる。
前記中間ブロック131は、破壊ボルト133の断裂後、中空に懸架された作業者の主ボルト132を支点とする不適切な揺動を低減するため、中間ブロック131の遮蔽部131Aにガイドスリット1311を設けると共に前板111と後板112に該ガイドスリット1311を貫通するガイドボルト134を設けて、破壊ボルト133が断裂していない時には該ガイドボルト134は、ガイドスリット1311の原位置に保持され、破壊ボルト133が断裂するとガイドスリット1311に沿ってガイドボルト134を移動させて所定の位置に位置決め停止させることにより、前記中間ブロック131を主ボルト132及びガイドボルト134によって落下した作業者を保持する。
好ましくは、前記破壊ボルト133は、主ボルト311とガイドボルト134との間に位置せしめる。
尚、本発明の中間ブロック131は、遮蔽部131Aに警告標識(図示せず)を設けることによって、
図7に示すように、本体10が受ける衝撃力が比較的小さく、破壊ボルト133のみを断裂させて本体10が変形しない場合であっても、この移動により該警告標識を外部に露出させて、以後作業者がそのまま繰り返し使用することなく工場に送ってメンテナンスをすることが必要であることを警告することができる。
【0013】
前記エネルギー吸収領域Eは、主アーム11のフック環15の左側(
図2)の雌のバックル17及び開口16に相対する位置にあって、フックアーム12及び連結ユニット13の間の前板111の背面と後板112の前面との間の空間で作用する領域であって、その上端はフックアーム12の一端が前板111と後板12との間に挟持された領域であり、また下端は中間ブロック131の遮蔽部131Aが前板111と後板112との間に挟持された領域である。
したがって、エネルギー吸収領域Eは、これら前板111と後板12とに挟まれたこれらの内側領域であって、その右端側はフック環15に、及び前記雌バックル17及び開口16に相対して位置し、また、左右横方向に亘る領域の幅を調整することによって、本体10が設定負荷荷重を受けるエネルギー吸収領域Eは、十分な余裕を有して前板111及び後板112をこれらの荷重に応じて変形し、雌バックル17及びゲート20に対する衝撃を緩衝することができる。
前述の第1スリット181、第2スリット182、第3スリット183、凹陥部184及び第1孔185は、該エネルギー吸収領域Eの下半部に位置する。
前板111及び後板112が荷重の負荷に伴って徐々に変形することを可能にするために、本発明の前板111及び後板112は、靭性が良好な材質を採用し、フックアーム12及び中間ブロック311は、剛性の高い金属材質を採用する。
実用上、本発明は、前板111及び後板112の靭性がフックアーム12及び中間ブロック131の靭性よりも大きいものを選択し、前板111と後板112の剛性をフックアーム12及び中間ブロック13の剛性よりも小さいものとして、前記本体10が設定負荷荷重を受ける時、断裂を生じないようにする。
前記主アーム11とフックアーム12は、同じ材料を採用して一体に成形して後に切断または成形によって製造してもよく、主アーム11にエネルギー吸収領域Eを形成することに適用され、前記エネルギー吸収領域Eは、主アーム11の左右横方向にわたって空隙を呈して配置される内壁を有する。
これは、本発明の技術上適宜採用可能な均等な手段である。
【0014】
前記ゲート20は、主アームに連結する基端部となる第1端、フックアーム先端部に相対する第2端を有し、
開口16を閉鎖するブロック板21の両側端から屈曲して形成されて断面コ字形を形成する両側面板22を有し、
ゲート20のこれら2つの側面板22は、第1端側が第1スリット181及び第3スリット183を覆い、第1スリット181の上部を第1軸23が貫通して2つの側面板を跨いで連結し、第3スリット183を第2軸24が貫通して2つの側面板を跨いで連結することにより、ゲート20の第1端は、これら2点の位置決め方式で主アーム11に取り付けられる。
ゲート20の第2端は、2つの側面板22の間をロッド状の雄バックル25が跨いで連結され、該雄バックル25が雌バックル17の嵌合溝171に嵌入してその奥領域173に達して、ゲート20により開口16を閉鎖させる
開口16を開放したい場合、後述の戻り止め部材30を押圧することによって、ゲート2を押し下げて、第1軸23を第1スリット181に沿って下部に移動させ、第2軸24を下方に移動して第3スリット183から第2スリット182に移動させることにより、雄バックル25を下向きに嵌合溝171の奥領域173から離脱させ、続いて、ゲート20を第1スリット181を挿通する第1軸23を支点としてフック環15内方に向かって反時計回りに回動させ、第2軸24を第2スリット182の円弧に沿って移動させることにより、雄バックル25を雌バックル17の嵌合溝171から離脱させる。
これら操作によってゲート20は、開口16から後退して主アーム11の右側縁に当接し、開口16は、完全に開放状態になる。
【0015】
前記戻り止め部材30は、第3軸31を介して主アーム11の第1孔185に回動可能に結合されると共に、第1スリット181と一致する第5スリット32を設けて、前記第1軸23を第1スリット181と該第5スリットと共に挿通させ、
それにより、第1軸23及び第3軸31は戻り止め部材30を主アーム11に対して枢動可能に連結し、主アーム11のエネルギー吸収領域Eの下半部で操作可能とされ、主アーム11の凹陥部184の区画内で露出する戻り止め部材30を押圧して進退操作することにより、第1位置または第2位置に切り替えることができる(
図3,4参照)。
戻り止め部材30には、第2スリット182の弧度に相当する円弧状の第6スリット33が設けられ、この第6スリット33の右端(
図1参照)に解放された開口が形成され、該開口の上方向には押し引き面34が設けられ、開口の下側にはロック面35が延長して形成される。
ゲート20がフック環15の開口16を閉鎖し、第2軸24を第2スリット182から第3スリット183に移動させて位置決めする時、
該戻り止め部材30のロック面35は、第2軸24の下面に当接してゲート20が開口16を閉鎖した状態に保持する。
この時、戻り止め部材30は、第1位置に保持され、この時、戻り止め部材30は、凹陥部184から突出した伸展状態であるが、戻り止め部材30が押圧されて凹陥部184で後退状態になると第2位置に切り替わる。
上記の開口16を閉鎖した状態を解除するためにロック面35が第2軸24を解放するよう戻り止め部材30を押圧操作してゲート20を下方に移動させ、同時に戻り止め部材30の第6スリット33が主アーム11の第2スリット182と重合した構成により、第1軸23を主アーム11の第1スリット181及び戻り止め部材30の第5スリット32の下方に移動し、第2軸24を下方に移動して第3スリットから第2スリット182及び第6スリット33の開口に進入させ、雄バックル25を嵌合溝171の奥領域173から離脱せしめて、
ゲート20を第1軸23を支点としてフック環15内で反時計回りに回動させ、これにより第2軸24を第2スリット182及び第6スリット33に沿って移動させ、雄バックル25を雌バックル17から離脱させて開口16を開放し、高所作業で所定のアンカーポイントに係止することができる。
【0016】
前記バネ40は、戻り止め部材30と中間ブロック131との間に取り付けられて、戻り止め部材30に所定の作用力を付与して、戻り止め部材30を第1位置に維持し、ゲート20が開口16を閉鎖した状態を維持してアンカーポイントがフック環15から離脱しないようにする。
人が墜落して本発明の耐負荷荷重安全フックがアンカーポイント又は高所環境で側面方向の衝突により設定値以上の負荷荷重を受けると、前記本体10の底端から上向きに曲げる力に対応して、主アーム10のエネルギー吸収領域Eを変形させ、これによってエネルギー吸収領域Eは、ゲート20、雄バックル25及び雌バックル17を同期して衝撃を緩衝することができ、雄バックル25の雌バックル17からの離脱を防止し、ゲート20が開口16の閉鎖状態を維持せしめて、アンカーポイントからの脱落を防止し、ANSI/ASSPZ359.12-2019規格を満たす。
【0017】
図8~
図10を参照して、本発明が前述の規格の3.1.3.5及び3.1.3.6の詳細な要件を満たすことができることを更に説明する。
すなわち、実験治具50の柱51をアンカーポイントに代替して本体10及びゲート20に耐負荷荷重テストを行い、前記治具50は、柱51の一端に径方向に突出する抵抗ベース52が設けられ、それから、ゲート20及び戻り止め部材30を操作し、フック環15の開口内に柱51を入れて閉鎖させ、続いて、外部から負荷作動源53を連結ユニット13に接続し、作業者が墜落する際に受ける衝撃応力をシミュレーションする。
従って、負荷作動源53を作動すると、本体10の上端及び下端の間では、治具50の抵抗ベース52の側面方向の衝撃及び押圧力を受けて設定負荷荷重に耐えて、本体10の下端に対して本体10の上端を曲げるように作用し、この時、本発明のエネルギー吸収領域Eは、効果的に主アーム11の変形に応じて、後板112は荷重を負荷する抵抗ベース52の部位に当接して、エネルギー吸収領域Eに向かって折れ曲がって変形して圧縮領域D1を生成し、前板111の対応する部位は、エネルギー吸収領域Eが曲げられて変形して引っ張り領域D2を生成し、
ゲート20、雄バックル25及び雌バックル17は、前記エネルギー吸収領域Eの右方の範囲に離れて位置するため(
図2,4参照)、前述の圧縮領域D1及び引き伸ばし領域D2は、本体10が断裂しないように保持することができ、且つ雄バックルが雌バックルを解放できないように効果的に制御できるので、ゲート20は、フック環15を閉鎖した状態に維持でき、これにより、フック環15は、柱51(アンカーポイント)から離脱することがない。
【0018】
本発明は、主にエネルギー吸収領域Eの変形により設定負荷荷重の大部分を吸収し、本体10が断裂せず、ゲート20が開口16を開放することがなく、これらの条件のもとで、前板111及び後板112の厚さ及び材質、及び前記両者の間隔等のパラメータは、適宜に選択変更することができる。
【0019】
以上のとおり、本発明の全体的な構造上の特徴は、従来技術にない新規性のあるものであって、且つ進歩性を備えるものであり、公知の技術的文献にも開示されてはいない。
また、これらの開示された内容は本発明の好ましい実施形態の例に過ぎず、本発明の本発明の技術的思想の範囲を限定するものではなく、即ち、これらに基づいて行う技術的要件の付加、変更は、いずれも本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0020】
10 本体
11 主アーム
111 前板
112 後板
12 フックアーム
13 連結ユニット
131 中間ブロック
131A 遮蔽部
131B 露出部
1310 吊り下げ穴
1311 ガイドスリット
132 主ボルト
133 破壊ボルト
134 ガイドボルト
E エネルギー吸収領域
15 フック環
16 開口
17 雌バックル
171 嵌合溝
172 凸ブロック
173 奥領域
181 第1スリット
182 第2スリット
183 第3スリット
184 凹陥部
185 第1孔
20 ゲート
21 ブロック板
22 側面板
23 第1軸
24 第2軸
25 雄バックル
30 戻り止め部材
31 第3軸
32 第5スリット
33 第6スリット
34 押し引き面
35 押し引き面
40 ロック面
50 治具
51 柱
52 抵抗ベース
53 負荷作動源
D1 圧縮領域
D2 引き伸ばし領域