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  • 特開-医療用スパイラルチューブ形成具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128377
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】医療用スパイラルチューブ形成具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/03 20060101AFI20220825BHJP
   B26D 3/11 20060101ALI20220825BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A61B17/03
B26D3/11
B26B27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021067382
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】515243349
【氏名又は名称】株式会社水貝製作所
(72)【発明者】
【氏名】林 和樹
【テーマコード(参考)】
3C061
4C160
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA26
3C061BA03
3C061BA06
3C061EE40
4C160BB30
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】滅菌処理された医療用のスパイラルチューブを容易に得ることができ、場所を選ばず手軽に扱える形成具を提供する。
【解決手段】カッターホルダー1、カッター2、及びカッター止めボルト3から成り、持ち運び可能なサイズとする。カッターホルダー1に医療用チューブを挿入し回転することでスパイラルチューブの形成ができ、材質はいずれもステンレスを用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に医療用チューブを挿入する医療用チューブ通し穴を設けたカッターホルダーと、カッター及びカッター止めボルトからなり、前記医療用チューブを前記カッターホルダー中央部の前記医療用チューブ通し穴に螺入し、前記カッターホルダー、又は前記医療用チューブを相対的に回転させることで、スパイラルチューブを形成することができる医療用スパイラルチューブ形成具であって、
前記カッターが、前記医療用チューブ通し穴の後部に位置し、前記医療用チューブ内径より突設された刃とボルト固定部を有するものであることを特徴とする医療用スパイラルチューブ形成具。
【請求項2】
前記カッターの刃が前記医療用チューブ通し穴の中心より偏った位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載の医療用スパイラルチューブ形成具。
【請求項3】
前記カッターの刃の形状が、刃の頂角から順に直線部、円弧部を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の医療用スパイラルチューブ形成具。
【請求項4】
カッターホルダー外周にスパイラル溝を付加したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の医療用スパイラルチューブ形成具。
【請求項5】
医療用チューブ通し穴の内面にフッ素コーティングを施したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の医療用スパイラルチューブ形成具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療に用いるためのスパイラルチューブを形成する医療用スパイラルチューブ形成具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓近傍の弓部大動脈瘤の手術は、大動脈から脳へ向かう3本の分岐した血管を含めた、全ての血管を人工血管に置換する。
人工血管は、太い主管に4本の細い枝管を予め接着されたものが使用される。人工血管を実際の血管に縫合する際、この4本の細い枝管が狭い術野で視野の妨げになる。
【0003】
このため、スパイラルチューブを使用し、人工血管の主管と4本の細い枝管を束ねて縫合を行い、その後不要になるが、スパイラルチューブであれば容易に除去することができる。しかし医療用のスパイラルチューブが無いため、医療用チューブを鋏で切り、スパイラルチューブを形成して対応している。このとき鋏の先端部でのカッティングとなり綺麗に切断できず、また大きな力が必要となり、時間もかかり作業性の悪いものとなっている。
心臓近傍の弓部大動脈瘤の手術を例に挙げたが、これ以外の手術においても必要な時に束ねられ、不要な時には除去できるスパイラルチューブは医療にとって利用価値の高いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-136086号公報
【特許文献2】特開2004-58236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2のスパイラルチューブ製造装置に於いては、電線等線条体及び各種ホース類の結束用ないし、保護用、或いは電気的シールド用のもので、また大きな設備を要する構造となっている。
【0006】
さらに、医療用として使用するには人体への害をなくすため、手術前に減菌処理を施す必要が有るが、短時間での対応は困難となっている。
【0007】
このように従来のスパイラルチューブでは、医療用として用いることが困難であった。
本発明は、以上の問題点を解決するためのものである。
すなわち、手術現場で入手が容易な減菌処理された医療用スパイラルチューブが利用でき、安価で作業性に優れた医療用スパイラルチューブの形成が可能な医療用スパイラル形成具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、医療用スパイラルチューブ形成具の小型化、カッティング時のスパイラル形成の容易化、および、カッティング時の操作力軽減を付加し本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の医療用スパイラルチューブ形成具は、カッターホルダー(1)、カッター(2)、カッター止めボルト(3)からなる。
医療用チューブ(3A)をカッターホルダー(1)に螺入し、カッターホルダー(1)の外周を手で持ち、カッターホルダー(1)、又は医療用チューブ(3A)を相対的に回転させることにより医療用スパイラルチューブ(3B)の形成が可能な構造とした。
【0010】
カッターホルダー(1)について説明する。医療用チューブ通し穴(1C)を中央部に設けるが、内径は使用する医療用チューブ(3A)がスムーズに通る程度の大きさが適当である。
スムーズに通るため医療用チューブ通し穴(1C)にフッ素コーティングを施し医療用チューブ(3A)との摩擦を軽減させ操作性の向上を図ることも有効である。
そしてカッターの刃(2A)は医療用チューブ通し穴(1C)の後部に突設させて設置する。
なお、医療用チューブ通し穴(1C)の後部とは、医療用チューブ(3A)を螺入する側より奥に位置する場所を指す。
【0011】
カッター(2)は刃(2A)とボルト固定部(2B)からなり、カッター止めボルト(3)によって固定される。これはカッターの刃(2A)の切れが悪くなった時に容易にカッター(2)を取り換える、或いはカッターの刃(2A)を研ぐことができるようにした。
さらにカッターの刃(2A)を医療用チューブ通し穴(1C)の中心より偏った位置、すなわち、医療用チューブ(3A)の回転方向より中心を前方へ設ける。
さらに医療用チューブ(3A)の材質や形状、厚みに応じて最適な形状を選択すればよいが、カッターの刃(2A)の形状を刃の頂角から順に直線部(2C)、円弧部(2D)を有するような形状にすることで、医療用スパイラルチューブ(3A)の形成時における切断抵抗が少なくでき、よりスムーズにスパイラルチューブを得られることがわかった。
【0012】
また、これらのカッターホルダー(1)と、カッター(2)、カッター止めボルト(3)の材質であるが、医療用スパイラルチューブ(3B)が使用される場所が主に手術室であり、手術室内で、臨機応変にスパイラルチューブを形成する場合を考えると、医療用スパイラルチューブ形成具全体が滅菌処理できることが好ましい。
このためには金属や、耐熱性の高い樹脂等が材質としては利用可能であるがステンレス製が最も好ましい材質である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の医療用スパイラルチューブ形成具は、カッターホルダー(1)、カッター(2)、カッター止めボルト(3)からなり、軽量で持ち運びが簡単なものとし、場所を選ばず使用できるようにした。
また材質は、いずれもステンレス製とすることで減菌処理の容易化を図り、手術室内で必要な医療用スパイラルチューブ(3B)をその場で形成できるようにした。
【0014】
カッターホルダー(1)は、中央に医療用チューブ通し穴(1C)が設けられ、この穴の内面にフッ素コーティングを施し、医療用チューブ(3A)との摩擦を軽減させ操作性の向上を図った。
また、チューブ出口側(後部)にカッター(2)を固定するカッター位置決め溝(1A)及び、カッター止め雌ネジ部(1B)を設けている。さらに手で保持し易くするため外周部に、スパイラル溝(1D)を付加し操作の容易化を図った。
カッターの刃(2A)は、医療用チューブ(3A)を安定的にスパイラル状の切断ができるように、刃の頂角から順に直線部(2C)、円弧部(2D)を有するような形状にすることは有効な手段である。
また、カッター(2)を固定するためのボルト固定部(2B)を設けカッター(2)の交換が容易な構造とした。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示す医療用スパイラルチューブ形成具を示す図で、図1(A)は平面図、図1(B)は側面図、図1(C)は図1(A)のZ-Z断面を示す。
図2図2は、本発明の医療用スパイラルチューブ形成具構成部品の機能説明をする図で、図2(A)は、カッターホルダー1の平面図、図2(B)は、カッター(2)の平面図、図2(C)は、図2(B)のY-Y断面図、図2(D)は、図2(B)の矢視X図を示す。
図3図3は、本発明の医療用スパイラルチューブ形成具を用いスパイラルチューブ(3B)が形成される図を示す。
図4図4は、弓部大動脈瘤手術で使用される人工血管(4A)に関する図で、図4(A)は、患部を除去し、人工血管(4A)を装着した模式図、図4(B)は人工血管全体図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について必要に応じ図面および図を参照しながら詳細説明をする。但し、これらの実施形態は何れも例示であり、本発明についての限定的解釈を与えるものではない。
なお、図面中、同一又は対応する部分については同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医療用スパイラルチューブ形成具を示す図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は側面図、図1(C)は図1(A)のZ-Z断面図である。
【0018】
また、図2図1の、構成部品の機能を示すものである。図に示すように、第1実施形態に係る医療用スパイラルチューブ形成具は、カッターホルダー(1)、カッター(2)、カッター止めボルト(3)からなり、カッターホルダー(1)には、カッター(2)の位置決め溝(1A)、カッター止め雌ネジ部(1B)、カッターホルダー(1)の回転操作をし易くするためのスパイラル溝(1D)及び、中央部に医療用チューブ通し穴(1C)を設けている。なお、この医療用チューブ通し穴(1C)の内面には、医療用チューブ(3A)との摩擦による抵抗を軽減するため、フッ素コーティングを施している。
カッター(2)は、医療用チューブ(3A)を切断する刃(2A)及び、カッター(2)を固定するためのボルト固定部(2B)を備えている。
【0019】
詳しくは、医療用スパイラルチューブ形成具は、医療用チューブ(3A)をカッターホルダー(1)中央部の医療用チューブ通し穴(1C)に螺入し、カッターホルダー(1)の外周に設けたスパイラル溝(1D)に指をかけ、カッターホルダー(1)及び、医療用チューブ(3A)を相対的に回転させることで、カッター(2)に直線部(2C)、及び円弧部(2D)を有する刃(2A)により安定した医療用スパイラルチューブ(3B)の形成ができる。
【0020】
従来のスパイラルチューブ形成具は、電線、チューブの結束用で固定設備での製作となっており、持ち運び自在のものはない。
【0021】
本発明のスパイラルチューブ形成具は、減菌処理に有利なステンレス製とし、軽量で持ち運び自在、且つ医療用チューブ(3A)を流用するため人体に害のない医療用スパイラルチューブ(3B)の成形が容易にでき問題を解決することができた。
【符号の説明】
【0022】
1・・・カッターホルダー
2・・・カッター
3・・・カッター止めボルト
1A・・・カッター位置決め溝
1B・・・カッター止め雌ネジ部
1C・・・医療用チューブ通し穴
1D・・・スパイラル溝
2A・・・刃
2B・・・ボルト固定部
2C・・・直線部
2D・・・円弧部
3A・・・医療用チューブ
3B・・・医療用スパイラルチューブ
4A・・・人工血管
4B・・・大動脈
4C・・・人工血管主管
4D・・・人工血管枝管
図1
図2
図3
図4