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特開2022-128385地図データ処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128385
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】地図データ処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20220825BHJP
   G06F 16/903 20190101ALI20220825BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20220825BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G06F16/903
G06F16/909
G06T1/00 200E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073762
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2021026162の分割
【原出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】村上 ひろこ
(72)【発明者】
【氏名】山城 昌伸
【テーマコード(参考)】
2C032
5B050
5B175
【Fターム(参考)】
2C032HB05
5B050BA17
5B050GA08
5B175DA03
(57)【要約】
【課題】 農地台帳と農地ポリゴンとの紐付けを行う。
【解決手段】 個別に整備され不整合が含まれている農地の地番その他の情報を記録した農地台帳と、農地の代表点の座標値を記録した地図データである農地ピン、農地形状をポリゴンとして記録した地図データである農地ポリゴンデータを用意する。地番に基づいて農地台帳と農地ピンとを紐付ける。また、農地ポリゴンデータを参照して、農地ピンの座標値を包含する農地ポリゴン、または農地ピンから第1の所定距離内にある農地ポリゴンを探索し、見いだされた農地ポリゴンを農地ピンに紐付ける。かかる農地ポリゴンが見いだされない場合には、第2の所定距離まで広げて探索を行い、それでも農地ポリゴンが見いだされない場合には、農地台帳または農地ピンが誤っているものと判断し、農地ポリゴン無しとの結果を出力する。こうすることにより、農地台帳と農地ポリゴンとの紐付けを行うことができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記座標値に紐付ける地図データ処理システム。
【請求項2】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記座標値に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システム。
【請求項3】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の地番を記憶した土地データベースと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した地図データについて、両者の一部を紐付けた残余のデータのうち同一の行政区域内に存在するもの同士を所定の条件に基づいて紐付ける処理部を備える地図データ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ及びデータを利用した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住居表示および地番表示の座標系および単位を変換することで両者のマッチングを行う技術が存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-139993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、地図データを適切に処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の実施形態として、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記座標値に紐付ける地図データ処理システムとすることができる。
【0006】
また、本発明の第2の実施形態として、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記座標値に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システムとすることもできる。
【0007】
また、本発明の第3の実施形態として、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の地番を記憶した土地データベースと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した地図データについて、両者の一部を紐付けた残余のデータのうち同一の行政区域内に存在するもの同士を所定の条件に基づいて紐付ける処理部を備える地図データ処理システムとすることもできる。
【0008】
本発明の一実施形態において、上述の地図データシステムとしての態様の他、コンピュータによって地図データを処理する地図データ処理方法として構成してもよい。また、かかる処理を実現するコンピュータプログラム、および該コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】地図データ処理システムの構成を示す説明図である。
図2】データベースの構造を示す説明図である。
図3】処理例を示す説明図である。
図4】農地ピン紐付け処理のフローチャートである。
図5】農地ポリゴン紐付け処理のフローチャートである。
図6】農地ポリゴン選択処理のフローチャートである。
図7】アンマッチレコード処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例として、農地台帳に対して農地ポリゴンを紐付けるシステムを、例にとって以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.データベースの概要:
C.農地ポリゴンの紐付け:
C1.農地ピン紐付け処理:
C2.農地ポリゴン紐付け処理:
C3.アンマッチレコード処理:
D.効果および変形例:
【0011】
A.システム構成:
図1は、地図データ処理システムの構成を示す説明図である。実施例の地図データ処理システムは、コンピュータに図示する機能を実現するコンピュータプログラムをインストールすることによってソフトウェア的に構成した。これらの一部または全部をハードウェア的に構成することもできる。また、本実施例では、スタンドアロンのシステムとしての構成を示すが、図示する各機能を複数台のコンピュータまたはサーバによって提供するものとし、これらをインターネットその他のネットワークで接続したシステムとして構成することもできる。
【0012】
実施例の各データベースについて説明する。
農地台帳データ記憶部30は、農地に対して、地番その他の属性を記憶するデータであり、本発明の土地データベースに相当するものである。以下、このデータを、農地台帳と称し、そこに記録されている一つ一つの土地に対応したデータをレコードと称することもある。なお、地番その他の属性を記憶するデータとして、農地台帳の他、水田台帳および共済台帳があり、本発明においては、これを適宜農地台帳と置き換えることも可能である。
【0013】
地番以外の属性の例としては、次の通りである。地目(登記地目、現況地目などを含む)、面積(登記面積、耕地面積などを含む)、地域区分・都市計画法区分、耕作者整理番号、賃借権等権利設定の内容(権利の種類、存続期間などを含む)、農地中間管理権の状況、遊休農地情報(遊休農地か否か、利用状況調査日、所有者等の確知の状況、所有者等を確知できない旨の公示を行った日などの情報を含む)、利用意向調査情報(遊休農地の所有者等の意向、利用意向調査日、農地中間管理機構との協議の勧告日、農地中間管理権を設定すべき旨の知事裁定日などの情報を含む)、周辺地域への支障の除去等の措置(措置命令日、所有者等を確知できない場合に市町村長が措置を行う旨の公示を行った日などの情報を含む)、所管農業委員会等名、所有者情報(所有者名、居住所、生年月日を含む)、作期、作物名、品種名、新規開田年月、転換畑該当年月などの情報が挙げられる。さらに多くの属性を利用可能としてもよい。ただし、農地台帳は、上述の通り種々の属性を記憶しているものの、その座標は記憶していない。
【0014】
農地ピンデータ記憶部32は、農地ピンデータを記憶する。農地ピンデータとは、農地の概ね重心付近を代表点として、その緯度経度を地番と対応づけたデータであり、本発明の第1の地図データに相当するものである。ここで重心とは、農地の概ね中心のことをいい、例えば矩形であれば、対向する頂点間を結ぶ交点をいう。本実施例では、各市町村または農業委員会によって整備された農地ピンデータを用いている。
【0015】
農地ポリゴンデータ記憶部33は、農地ポリゴンデータを記憶する。農地ポリゴンデータとは、農林水産省によって作成されたデータであって、航空写真等をもとに作成された農地の形状を表す農地ポリゴンのデータであり、その構成点の座標値が格納されている。農地ポリゴンデータは、本発明の第2の地図データに相当する。
【0016】
上述の通り、農地台帳、農地ピンデータおよび農地ポリゴンデータは、それぞれ別個に作成されたデータである。従って、農地台帳と農地ピンデータの地番は必ずしも全てが整合しているとは限らない。また、各データベースにおいて扱われる一つ一つの農地も整合しているとは限らない。例えば、農地台帳において一つの農地として認識されている土地は、農地ピンデータおよび農地ポリゴンデータにおいては、2つ以上の農地として認識されていることもある。また、それぞれのデータベースは、作成時期やその後のメンテナンスの状況が異なっているため、一のデータベースで農地として認識されている土地であっても、例えば現在は宅地その他の地目に転用されている、耕作放棄地になっているなどの理由により、他のデータベースには農地として存在しないこともある。このように不整合があるデータベース間で、相互に紐付けを行うこと、特に、緯度経度などの座標データを有しない農地台帳に対して、農地の形状を表す農地ポリゴンの紐付けを行うことが、本実施例のシステムが実施する処理の目的の一つである。また、いずれかのデータベースに対し、不整合がある部分について、誤りを指摘することも目的の一つとなる。
【0017】
紐付け結果記憶部31は、農地台帳に、農地ポリゴンを紐付けた結果を記憶する。紐付けの結果は、農地台帳に直接、追加する形で記憶しても良いが、本実施例では、このように別のデータベースとして保存するものとした。紐付け結果記憶部31は、例えば、農地台帳のレコードを表す情報と、紐付けられた農地ポリゴンを特定する情報とを関連づけて記憶する形式をとることができる。
【0018】
ここで本実施例における紐付けの意義を説明する。
紐付けとは、農地台帳、農地ピン、農地ポリゴンのように個別のデータベース間で情報を関連づけることを言う。ただし、本実施例では、各データベース間に不整合があるため、精度が確保された確定的な関連づけを行うことができるとは限らない。そこで、以下の説明では、精度が十分に確保された確定的な紐付けを、マッチングと称することもある。これに対して、精度が十分とは言えない範囲での紐付けについては、「参考情報」という表現を用いるものとする。紐付けは、マッチングと参考情報を総称するものである。
【0019】
実施例においては、他のデータ、例えば、住居地図データを記憶してもよい。住居地図データは、測量に基づいて作成され、地図データを構成する各地物(例えば、道路や建物等)の正確な緯度経度を保持したデータである。地番における大字、字などの行政区域も、ポリゴンとして記憶されている。
【0020】
次に、地図データ処理システムに備えられている各機能について説明する。
主制御部10は、全体の機能を制御し、紐付け処理その他の地図データの処理を実行する。
表記統一部20は、農地台帳データおよび農地ピンデータにおける住所、地番の表記のゆれを統一する。表記のゆれとしては、例えば、漢数字と数字、全角と半角、「大字」や「字」などの文字列の有無、「丁目」や「番地」などの文字列の有無などがあげられる。表記のゆれは、例えば、標準的な表記方法を記憶したデータベースを用意し、これに表記を統一するようにしてもよい。また、別の方法として、各データベースのうち、部分的には表記が一致しているものの全体としては表記が異なるものを抽出し、異なっている箇所が表記のゆれに該当すると判断される場合には、一方の表記を他方の表記に合わせるようにしてもよい。
【0021】
農地ピン紐付け処理部21は、農地台帳のレコードに、農地ピンを紐付ける。本実施例では、農地台帳と農地ピンの所在地の表記、即ち地番に基づいて両者の紐付けを行うものとした。両者の紐付けは、種々の態様で行うことができる。例えば、地番が完全に一致する(例えば、農地台帳の所在地と農地ピンの所在地とがいずれも「3-1」であり、親地番(3)と子地番(1)が完全に一致する)もののみを紐付けるものとしてもよい。また、完全に一致しない場合であっても、地番の一部が一致する(例えば、農地台帳の所在地が「3-1」であり農地ピンの所在地が「3-2」であり、親地番(3)が一致するものの子地番が異なる)ものを紐付けることを許容してもよい。さらに、地番が一致しないまでも、大字、字などの行政区域が一致するもの同士を、参考情報として紐付けてもよい。
【0022】
ポリゴン紐付け処理部22は、農地ピンに対して農地ポリゴンを紐付ける。本実施例では、農地ピンと農地ポリゴンの位置関係に基づいて両者の紐付けを行うものとした。紐付けは、種々の条件で行うことができる。例えば、農地ポリゴンの中に農地ピンが包含される場合に、両者を紐付けるものとしてよい。また、農地ピンから第1の所定距離内に農地ポリゴンが存在する場合に、両者を紐付けるものとしてもよい。農地ピンを包含しない農地ポリゴンであっても紐付けることが許容されるのは、農地ピンと農地ポリゴンが別個のデータベースとして整備されており、位置、農地の形状その他の不整合があるからである。この処理により、農地ピンに対して、農地ポリゴンを効率良く、高い精度で自動的に紐付けすることができる。
【0023】
上記態様において、第1の所定距離は、例えば、約10m程度に設定することができるが、これに限らず、こうした不整合および農地の広さを踏まえて、紐付けを行うことが許容される範囲で任意に決めればよい。第1の所定距離は、紐付けを実行する地域に応じて変化させてもよい。例えば、比較的広い農地が多い地域においては第1の所定距離を大きくし、比較的狭い農地が多い地域においては第1の所定距離を小さくしてもよい。また、田は一定以上の広さが確保されていることが多いのに対し、畑は非常に小さいものが存在することもあるため、こうした傾向を踏まえ田畑などの耕地種別に応じて第1の所定距離を変化させてもよい。
【0024】
ポリゴン紐付け処理部22は、また、農地ピンに対応する農地ポリゴンが存在しないことを確定する処理も実行する。例えば、農地ピンから第2の所定距離内に農地ポリゴンが存在しない場合は、農地ピンに対応する農地ポリゴンは存在しないものと判断する態様とすることができる。農地ピンから十分に離れた領域まで探索しても農地ポリゴンが見つからない場合には、農地ピンと農地ポリゴンとが別個のデータベースであることを考慮したとしても紐付け得る農地ポリゴンが存在しないと解釈して差し支えないと言えるだけでなく、無理に探索をすれば、かえって誤った紐付けを行うおそれすらある。従って、第2の所定距離内に農地ポリゴンが存在しない場合には、探索範囲を広げる、狭める、ずらすなどして再探索を行うまでなく農地ポリゴンが存在しないことを確定させるのである。こうすることにより、誤った紐付けを回避しながら、「農地ポリゴンが存在しない」という意味で、農地ピンと農地ポリゴンとの対応関係を特定することができる。
一般に、農地台帳および農地ピンは、農地ポリゴンに比較して、メンテナンスが不十分である傾向にある。従って、上述の態様により、農地ピンに対応する農地ポリゴンが存在しないと判断された場合には、農地ピンまたはそれに紐付いた農地台帳に誤りがあるものと判断してもよい。
上記態様における第2の所定距離は、例えば、約100m程度に設定することができるが、これに限らず、こうした不整合および農地の広さを踏まえて、紐付けを行うことが許容される範囲で任意に決めればよい。第2の所定距離は、紐付けを実行する地域に応じて変化させてもよい。例えば、比較的広い農地が多い地域においては第2の所定距離を大きくし、比較的狭い農地が多い地域においては第2の所定距離を小さくしてもよい。また、田は一定以上の広さが確保されていることが多いのに対し、畑は非常に小さいものが存在することもあるため、こうした傾向を踏まえ田畑などの耕地種別に応じて第2の所定距離を変化させてもよい。
【0025】
農地ポリゴン選択処理部23は、ポリゴン紐付け処理部22の処理において、複数の農地ポリゴンが探索された場合に、その中から紐付けるべき農地ポリゴンを選択する処理を実行する。本実施例では、選択の条件として、1)農地ピンからの距離が近いもの、2)農地台帳に記録された面積と、農地ポリゴンの面積が近いもの等の条件を用いるものとした。面積としては、単一の農地ポリゴンの面積だけでなく、隣接する複数の農地ポリゴンの面積の和を用いるものとしてもよい。また、3)行政区域の異なる農地ポリゴンは選択しないものとしてもよい。さらに、4)農地台帳に記録された作付と、田畑などの耕地種別が異なる農地ポリゴンは選択しないものとしてもよい。
これらの条件は、いずれか一つを用いても良いし、複数の条件を併用してもよい。複数の条件を併用する場合、所定の優先順位(例えば、1)農地ピンからの距離が近いものを優先する、2)農地台帳に記録された面積を優先する等)で適用してもよい。また、別の態様として、複数の条件を総合的に評価するものとしてもよい。
【0026】
アンマッチレコード処理部24は、農地台帳と農地ポリゴンとを紐付けた後、農地台帳において紐付けられずに残ったレコードに対して、残った農地ポリゴンを紐付ける処理を行う。本実施例では、残されたレコードおよび農地ポリゴンを、それぞれ行政区域ごとにグループ化し、同一の行政区域内にあるもの同士を紐付ける。紐付け対象とする行政区域は、丁目、大字、字など任意に決めることができるが、誤った紐付けを回避するため、字などの小さい行政区域とすることが好ましい。
紐付けは、種々の条件に基づいて行うことができる。農地台帳のレコードに対応づけられた座標が存在する場合には、そこからの距離が近い農地ポリゴンを紐付けるようにしてもよい。また、農地台帳に記録された面積と、農地ポリゴンの面積が近いもの等の条件を用いるものとしてもよい。面積としては、単一の農地ポリゴンの面積だけでなく、隣接する複数の農地ポリゴンの面積の和を用いるものとしてもよい。さらに、紐付けが済んだ農地ポリゴンとの位置関係に基づいて紐付けを行ってもよい。例えば、対象のレコードの地番について、その前後の地番に紐付けされた農地ポリゴンが存在する場合、それらの近隣にある農地ポリゴンを対象のレコードに紐付けるようにしてもよい。
これらの条件は、いずれか一つを用いても良いし、複数の条件を併用してもよい。複数の条件を併用する場合、所定の優先順位で適用してもよい。また、別の態様として、複数の条件を総合的に評価するものとしてもよい。
【0027】
入出力部25は、上述した各機能を実現するために必要な種々の情報の入出力を行う。即ちオペレータから必要事項を入力したり、結果を出力したりする。入出力には、ネットワークを経由して行う他のコンピュータ、サーバとの間での入出力も含まれる。
【0028】
B.データベースの概要:
図2は、データベースの構造を示す説明図である。図の下側に示した地図を参照しながら、農地台帳データ記憶部30、農地ピンデータ記憶部32、農地ポリゴンデータ記憶部33に記憶されたそれぞれのデータ構造について説明する。
【0029】
農地ピンは、それぞれの農地の概ね重心付近に設定されたデータである。図中の地図における点が、農地ピンを表している。ただし、図中の地図では、この農地ピンに対応する農地の形状は図示していない。農地ピンデータ記憶部32の内容として示されている通り、「農地ピン」のデータとしては、その識別子である農地ピンID、地番および緯度経度の座標値が記憶されている。農地ピンとして、さらに他の情報を記憶させてもよい。
農地ポリゴンは、農地の形状を表すポリゴンデータである。図中の地図にハッチングで示した多角形が農地ポリゴンを表している。農地ポリゴンデータ記憶部33の内容として示されている通り、「農地ポリゴン」としては、その識別子であるポリゴンID、田・畑等の耕地種別、および農地ポリゴンを構成する構成点の数、およびそれぞれの構成点の座標値が格納されている。
農地台帳は、農地台帳データ記憶部30の内容として図示される通り、農地ごとに地番、および面積、作付などの情報を記憶している。農地台帳は、これらのデータを記憶したデータベースであり、地形等の情報を記憶していない点で、いわゆる地図データとは異なるデータベースである。図中では、一覧表の形式を例示したが、データベースは、XML形式など種々の形式をとることができる。
【0030】
農地台帳と農地ピンとは、それぞれ地番の情報を記憶しているため、これに基づき両者を紐付けることは可能である。ただし、農地台帳と農地ピンとは別個に整備されたデータベースであるため、地番が全て整合しているとは限らない。
また、農地台帳と農地ポリゴンとの間には、両者を直接紐付ける情報は存在しない。ただし、農地ポリゴンは、構成点の座標データを有しているため、面積を算出することが可能であり、農地台帳の面積の情報と対比することは可能である。また、農地ポリゴンには、耕地種別のデータがあるため、農地台帳の作付のデータと対比することは可能である。
このように農地台帳と農地ポリゴンとの間には、直接に紐付けする情報が存在しないが、本実施例では、種々の処理を介して両者の紐付けを実行する。
【0031】
C.農地ポリゴンの紐付け:
農地台帳と農地ポリゴンとの紐付けは、以下の手順で行う。
(1)農地台帳と農地ピンとの紐付け;
(2)農地ピンと農地ポリゴンとの紐付け;
(3)残余の農地台帳と農地ポリゴンとの紐付け;
の3段階である。図2で説明した通り、農地台帳と農地ポリゴンとを直接、紐付ける情報が存在しないため、農地ピンを介して両者を紐付けるのである。実施例では、(1)農地台帳と農地ピンとの紐付けを最初に前処理として行うものとしているが、農地ピンと農地ポリゴンとの紐付けを結果に対して、後処理として行うようにしてもよい。
【0032】
図3は、処理例を示す説明図である。農地ピンに対して農地ポリゴンを紐付ける処理を例示した。
農地ピンPiaに対して農地ポリゴンを紐付ける場合、まず、この農地ピンPiaを包含する農地ポリゴンを探索する。
このような位置関係にある農地ポリゴンが見つからない場合、次に、図3(a)に示すように、農地ピンPiaを中心として半径r1の円を描き、この領域内に一部でも重なる農地ポリゴンを探索する。半径r1は、本実施例では10mとしているが、任意に決めることができる。図中において、ハッチングを付した農地ポリゴンPa1~Pa5が、上記条件を満たすものに該当する。このように条件を満たす複数の農地ポリゴンが見いだされた場合には、その中から、距離、面積などの条件を考慮して、いずれか一つを選択する。選択するための処理については、後で詳述する。
【0033】
図3(a)の処理によって農地ポリゴンが見つからなかった場合は、次に、図3(b)に示すように、農地ピンPibを中心として、半径r2(>r1)の円を描き、この領域内に一部でも重なる農地ポリゴンを探索する。半径r2は、本実施例では100mとしているが、任意に決めることができる。図中において、ハッチングを付した農地ポリゴンPb1が、上記条件を満たすものに該当する。この場合、農地ポリゴンPb1は、農地ピンPibが設定された農地に該当するとまでは言えないものの、参考になる農地ポリゴンであるという意味で、参考情報としての紐付けを行う。参考情報として農地ポリゴンが紐付けられた場合には、例えば、オペレータが当該農地ポリゴンおよび農地ピンPibの周囲を地図で参照し、紐付けてよいかを判断するものとしてもよい。
【0034】
農地ピンPicを中心として、半径r2(>r1)の円を探索領域として描いた場合、図3(c)に示すように、この探索領域内に農地ポリゴンが存在しないこともある。図3(c)では、農地ポリゴンPc1は、半径r2の領域に近い場所に存在するものの、一部も重なっていない。他にもこの探索領域内に農地ポリゴンは重なっていない。かかる場合には、探索領域を広げたり、狭めたり、その位置をずらしたりして農地ポリゴンを探索することはせず、農地ピンPicに紐付けるべき農地ポリゴンは存在しないものと判断する。こうすることによって、誤った農地ポリゴンが紐付けられることを回避することができる。また、一般に、農地台帳または農地ピンは、農地ポリゴンよりも比較的古い場合やメンテナンスされていない場合が多い傾向にあるため、農地ポリゴンが存在しないことを明確化することにより、農地台帳または農地ピンのデータが誤っているものとして対処することが可能となる。
【0035】
図3(a)~図3(c)において、農地ピンを中心とする円形領域に、農地ポリゴンが「存在する」か否かは、農地ポリゴンの一部または全部がこの円形領域に重なるか否かで判断した。これに対して、農地ポリゴンの全部が重なる場合にのみ「存在する」と判断し、一部が重なるものは「存在する」に該当しないという判断をしてもよい。
また、円形領域は一例に過ぎず、楕円形、多角形、その他任意の形状とすることができる。
【0036】
以上の処理例で示した処理は、以下で示すフローチャートによって実現される。
なお、本実施例では、図3に示した処理による紐付けを行った後、紐付けの対象から漏れた農地台帳のレコードおよび農地ポリゴン、即ちアンマッチレコードに対して、さらに紐付けを試みる処理も実行する。以下では、このためのアンマッチレコード処理についても併せて説明する。
【0037】
C1.農地ピン紐付け処理:
図4は、農地ピン紐付け処理のフローチャートである。地図データ処理システムは、処理を開始すると、まず農地台帳データおよび農地ピンデータを読み込む(ステップS10)。
そして、これらの表記を統一する(ステップS11)。図中に表記のゆれの例を示した。それぞれ下線を付した部分が表記のゆれに相当する。表記のゆれの第1の態様は、「-」や「-」に示されるように、全角と半角の相違である。第2の態様は、「4丁目」や「四丁目」に示されるように漢数字と数字の相違である。第3の態様は、「三ヶ森」と「三ケ森」のように、ヶの小書きと全角の相違である。第4の態様は、「大字」「字」などの文字列の有無である。第5の態様は、「ノ」と「之」の相違である。第6の態様は、「27」と「27番地」などの「番地」の文字列の有無である。処理対象となる表記のゆれは任意に決めることができ、上述の態様の一部を対象外としてもよいし、上述の態様の他にも、種々のゆれを対象としてもよい。
本実施例では、上述のそれぞれの態様に対して、標準的な表記を定めておき、農地台帳データおよび農地ピンデータのそれぞれの表記を標準的な表記に統一するようにした。
かかる処理の他、農地台帳データおよび農地ピンデータのうち、表記のゆれが生じているものを抽出し、いずれかの表記に修正する形で処理を行うものとしてもよい。
表記の統一を行うことにより、地番による紐付けの精度を向上させることができる。もっとも、表記の統一は、必須の処理ではないため、これを省略しても差し支えない。
【0038】
次に、地図データ処理システムは、農地台帳データの単一地番化処理を実行する(ステップS12)。農地台帳データには、一つのレコード内に一つの地番が記録されているが、水田台帳および共済台帳には一つのレコード内に複数の地番が記録されていることがあるため、複数の地番が記録されているレコードを地番ごとに分割し、一つのレコ-ド内に一つの地番を対応させるのである。
図中に単一地番化処理の例を示した。左側に処理前のデータ、右側に処理後のデータを例示している。例えば、「○○町**3-1、3-2」というレコードは、一つのレコード内に「3-1」という地番と「3-2」という地番の2つが記録されていることを意味している。従って、単一地番化処理では、このレコードを2つに増やし、一方に「3-1」他方に「3-2」という地番を記録するのである。こうすることで、一つのレコードには一つの地番が対応づけられることになる。
また、次の例では、処理前のデータでは、「3-1~3-3」のように記載されている。これは、「3-1」「3-2」「3-3」という3つの地番が記録されていることを意味している。従って、レコードを3つに増やし、これら3つの地番を一つずつ対応づけるのである。処理前のレコードにおいて、「3-1~3」のように記載されている場合も同様に3つの地番が記録されていることを意味しているため、同様の処理を実行する。
単一地番化処理では、農地台帳において複数の地番の表記方法を表す表記パターンを用意しておき、各レコードの記載をこの表記パターンに当てはめることによって、実質的にいくつの地番が記録されているのかを判定する。そして、必要な数だけレコードをコピーし、各レコードに、一つずつ異なる地番を割り当てればよい。人工知能の利用など、他の方法を用いても構わない。
なお、単一地番化処理では、一つのレコードを分割せずに、一つのレコード内を一つの地番にしてもよい。例えば、「○○町**3-1、3-2」というレコードでは、レコードを分割せず、「3-1」という地番と「3-2」という地番のいずれか一方を任意に選択し、選択した地番が当該レコードの地番であるとみなして、もう一方を削除する。また、「3-1~3-3」というレコードでは、「3-1」「3-2」「3-3」という3つの地番のうちから一つの地番を任意に選択し、選択した地番が当該レコードの地番であるとみなして、他二つを削除する。これらの選択は、オペレータが指示してもよいし、レコード内の先頭の地番を代表の地番とするなど、種々の方法で行うことができる。
単一地番化処理を行うことにより、レコードには一つの地番のみが対応することになるため、農地ポリゴンとの紐付け処理の精度を向上させることができる。もっとも、単一地番化処理は、必須の処理ではないため、これを省略しても差し支えない。
【0039】
地図データ処理システムは、農地台帳レコ-ドから未処理のレコードを選択し(ステップS13)、処理対象とする。選択は、オペレータが指示してもよいし、農地台帳のレコード順など種々の方法で行うことができる。
そして、地図データ処理システムは、選択したレコードと地番の表記が一致している農地ピンを検索する(ステップS14)。
検索結果がある場合には、地図データ処理システムは、検索された農地ピンを農地台帳データに紐付け、結果フラグを設定する(ステップS17)。結果フラグは、地番が一致する検索結果が存在したこと、即ち農地台帳と農地ピンとがマッチングできたことを表すフラグである。結果フラグの形式および内容については、任意に決めることができる。
検索結果がない場合、地図データ処理システムは、近隣の地番の農地ピンの座標を参考情報として農地台帳に記録し、結果フラグを設定する(ステップS16)。この場合の結果フラグは、地番が一致する農地ピンは見つからなかったことを表すフラグである。このようにマッチングできたもの、参考情報に留まるものというように、結果に応じて結果フラグを使いわけることにより、農地台帳レコードに対する処理が、いかなる結果で終結したかを容易に把握・分類することが可能となる。
近隣の地番としては、例えば、「3-1」のように親地番(3)と子地番(1)の組み合わせからなる地番の場合には、親地番まで一致しているもののうち農地ピンの座標が紐付けられたものを検索してもよい。親地番が一致するものが複数検索された場合には、子地番が近いものを選択すればよい。
また、親地番が一致するレコードが検索できない場合には、親地番が前後の地番(例えば「3-1」に対して「2-1」「4-1」など)のうち農地ピンの座標が紐付けられたものを検索してもよい。
さらに、これらの検索でいずれのレコードも検索できない場合には、字名、大字名など、行政区域名まで一致しているもののうち農地ピンの座標が紐付けられたものを検索してもよい。
【0040】
地図データ処理システムは、以上の処理を農地台帳の全データに対して繰り返し実行し(ステップS18)、農地ピン紐付け処理を終了する。
【0041】
C2.農地ポリゴン紐付け処理:
図5は、農地ポリゴン紐付け処理のフローチャートである。実施例では、農地ピン紐付け処理(図4)が終了した後に実行するものとした。
【0042】
処理を開始すると、地図データ処理システムは、農地ピンが割り当てられた農地台帳レコードを選択する(ステップS20)。先に説明した通り、農地ピン紐付け処理(図4)では、農地台帳のレコードについて、地番が一致する農地ピンがマッチングできたものと(ステップS17)、地番が一致するものが見つからず近隣の地番等を参考情報として記録したもの(ステップS16)とがある。本実施例では、参考情報として座標が記録されたものについては、農地ポリゴンの紐付けを行わないものとしているのである。こうすることで、農地台帳のレコードに対して、誤った農地ポリゴンが割り当てられる可能性を回避することができる。
【0043】
農地ピンが割り当てられた農地台帳レコードを選択すると、地図データ処理システムは、その農地ピンを包含する農地ポリゴンを探索する(ステップS21)。農地ポリゴンは、構成点の座標を記録しているため、これらの構成点を結ぶ閉図形内に、農地ピンの座標が存在するか否かを判定すればよい。この処理は、周知の幾何学処理を適用することにより行うことができる。
農地ピンを包含する農地ポリゴンが見つかったときは(ステップS22)、地図データ処理システムは、その農地台帳レコードに対して、探索された農地ポリゴンを紐付け、結果フラグを設定して(ステップS26)、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。結果フラグは、農地ポリゴンがマッチングされたことを表すものとなる。
【0044】
農地ピンを包含する農地ポリゴンが見つからなかったときは(ステップS22)、地図データ処理システムは、図3で説明したように、農地ピンを中心とする領域に基づく判定を行うための基準半径r1、r2を設定する(ステップS23)。
基準半径r1、r2はr1<r2の条件下で任意に決めることができる値である。本実施例では、基準半径r1は10m、基準半径r2は100mを基本値として設定した。基準半径r1、r2は、地域に応じて変化させてもよい。例えば、田が多い地域では大きめの値、畑が多い地域では小さめの値とすることができる。田畑の数は、農地台帳の「作付」情報に基づいて判断することができる。
【0045】
次に、地図データ処理システムは、農地ピンから半径r1の領域に存在する農地ポリゴンを探索する(ステップS24)。「存在する」とは、農地ポリゴンの一部が、半径r1の領域に重なっていることを意味する。この領域に、農地ポリゴンが完全に包含されることを条件としても良い。この処理は、図3(a)で説明した処理に相当する。
この探索によって、農地ポリゴンが1つだけ見つかったときは(ステップS25)、地図データ処理システムは、その農地台帳レコードに対して、探索された農地ポリゴンを紐付け、結果フラグを設定して(ステップS26)、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。本実施例では、この場合も、マッチングできたものとして扱うが、参考情報としての紐付けにとどめてもよい。
【0046】
農地ポリゴンが2つ以上見つかったときは(ステップS25)、農地ポリゴン選択処理(ステップS27)によって、その中からいずれか一つを選択し、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。この場合は、参考情報としての紐付けとなる。
【0047】
農地ポリゴンが一つも見つからなかったときは(ステップS25)、農地ピンの近傍に農地ポリゴンが存在しなかったことを意味する。かかる事態が生じる原因としては、(1)本来、設定されるべき農地ポリゴンが設定されていない場合、または(2)農地台帳レコードまたは農地ピン自体が誤っている場合が考えられる。そこで、地図データ処理システムは、農地台帳レコードまたは農地ピン自体が誤っているか否かを判定するための処理を実行する。
かかる判定のため、地図データ処理システムは、農地ピンから半径r2の領域に存在する農地ポリゴンを探索するのである(ステップS28)。
この探索によって、農地ポリゴンが1つだけ見つかったときは(ステップS29)、地図データ処理システムは、その農地台帳レコードに対して、探索された農地ポリゴンを参考情報として記録し、結果フラグを設定して(ステップS30)、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。この場合の結果フラグは、参考情報として農地ポリゴンが記録されたことを表すものとなる。
農地ポリゴンが2つ以上見つかったときは(ステップS29)、農地ポリゴン選択処理(ステップS31)によって、その中からいずれか一つを選択し、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。
農地ポリゴンが見つからなかったときは(ステップS29)、十分に距離を広げても農地ポリゴンが1つも存在しないことを意味しているため、農地台帳レコードまたは農地ピン自体が誤っている可能性が高いと判断される。そこで、地図データ処理システムは、探索の領域をさらに広げたり、狭めたり、またはずらしたりすることなく、農地ポリゴン無しとして、結果フラグを設定して(ステップS32)、農地ポリゴン紐付け処理を終了する。こうすることにより、農地台帳または農地ピンのうち、誤っている可能性の高いレコードを容易に抽出することが可能となる。
【0048】
図6は、農地ポリゴン選択処理のフローチャートである。農地ポリゴン紐付け処理(図5)のステップS27、S31に相当する処理であり、2つ以上の農地ポリゴンが探索されたときに、その中から1つを選択するための処理である。
【0049】
処理を開始すると、地図データ処理システムは、農地ピンおよび探索された農地ポリゴンのデータを読み込む(ステップS40)。
そして、農地ピンから各農地ポリゴンの重心までの距離を算出し(ステップS41)、また、各農地ポリゴンの面積を算出する(ステップS42)。
【0050】
そして、地図データ処理システムは、農地ポリゴンと、行政区域ポリゴンとの重なりに基づいて、各農地ポリゴンが存在する行政区域を特定する(ステップS43)。図中に処理の例を示した。図示するように農地ポリゴン1、2が存在し、字名などに対応した行政区域ポリゴンとして区域A、区域Bが存在するとする。農地ポリゴン1は、区域Aのポリゴンに包含されるため、その所在地は、行政区域Aであると判断される。農地ポリゴン2は、区域Bのポリゴンに包含されるため、その所在地は行政区域Bであると判断される。行政区域ポリゴンが、農地ポリゴンデータに含まれていない場合には、他のデータベースを参照して取得すればよい。
また、農地ポリゴンに、それぞれ所在地の情報が予め記録されている場合には、かかる処理を用いるまでなく、所在地情報に基づいて行政区域を特定すればよい。
【0051】
また、地図データ処理システムは、農地ポリゴンの辺間の最小距離に基づいて、各農地ポリゴンの隣接関係を判定する(ステップS44)。図中に処理例を示した。農地ポリゴン1~3が存在する場合を考える。農地ポリゴン1と農地ポリゴン3の辺間の最小距離はd1と算出される。各農地ポリゴンを構成する辺同士の全ての組み合わせについて距離を算出し、その最小値を求めればよい。同様に、農地ポリゴン2と農地ポリゴン3の辺間の最小距離はd2と算出される。そして、この辺間の最小距離が、所定値以下の場合には、農地ポリゴン同士が隣接した地であると判断する。判断基準となる所定値は、任意に決めることができる。例えば、農地間の道路や用水などの距離を考慮して、それらが存在しないと言える範囲で設定することができる。
【0052】
こうして農地ポリゴンについて種々のパラメータの算出が完了すると、地図データ処理システムは、それらを用いて農地ポリゴンを選択する(ステップS45)。本実施例では、次の4つの条件を併用するとした。
条件1)は、農地ピンから農地ポリゴンへの距離が近いというものである。この条件を他の条件よりも優先して用いる場合には、最短距離のものを選択することになる。
条件2)は、農地ポリゴンの面積が、農地台帳に記録された面積に近いというものである。農地ポリゴンは、農地の周辺に存在する畦等を避けて設定されることが多く、農地台帳の面積よりも小さくなる傾向にあるため、本実施例では、農地ポリゴンの面積<農地台帳の面積となる範囲であることを条件とした。この条件は省略してもよい。また、複数の農地ポリゴンが農地台帳の1つのレコードに対応している可能性もあるため、隣接する農地ポリゴンは面積の和で評価してもよい。こうすることにより、農地が分筆されて複数の農地ポリゴンが設定されている場合など、1つのレコードに複数の農地ポリゴンが対応する場合にも適切な処理を実現することが可能となる。複数の農地ポリゴンの面積の和は、単一の農地ポリゴンの面積と農地台帳に記録された面積との差違が所定範囲を超える場合、例えば、50%以上などの場合にのみ考慮するようにしてもよい。
条件3)は、行政区域の異なる農地ポリゴンは選択しないというものである。農地台帳または農地ピンと農地ポリゴンとの間に不整合が存在するとしても、字名などの行政区域単位では整合していると考えられるからである。かかる条件を適用することにより、誤った紐付けを回避することができる。
条件4)は、農地台帳に記録された作付と耕地種別が適合しない農地ポリゴンは選択しないというものである。こうすることにより、農地台帳で、水稲などの作付情報が記録されているレコードに対して、「畑」など、耕地種別が適合しない農地ポリゴンを紐付けるという事態を回避することができる。もっとも、作付および耕地種別は絶対的に不変の情報ということはできず、時間の経過とともに、田が畑に転用されたり、いわゆる二毛作のように時期に応じて、田または畑として活用する場合もあり得るため、条件4)は優先度を低くしても差し支えない。
【0053】
上記条件1)~条件4)は種々の態様で用いることができる。例えば、条件1)~条件4)の順に優先順位をつけてもよい。この場合、まず、距離が最短の農地ポリゴンまたは距離が所定値以下となる農地ポリゴンを選択し、それでも1つに絞り込めない場合に、条件2)の面積を考慮する、というように条件1)~条件4)を順次適用することになる。条件1)~条件4)の優先順位は、任意に決めることができる。実施例では、ステップS41~S44で必要なパラメータを一通り計算したが、条件に優先順位を設ける場合には、条件1)の判定が必要となった時点で距離を算出し、条件2)の判定が必要となった時点で面積を算出する、というように、順次、パラメータを算出するようにしてもよい。
条件1)~条件4)は優先順位を設ける他、これらを併用してもよい。例えば、条件1)については、距離が近いほど評価が高くなるよう指標化し、条件2)については面積が近いほど評価が高くなるよう指標化し、条件3)、条件4)はこれらを満たすものを高く指標化した上で、これらの総和などに基づいて総合評価する方法をとることができる。
農地ポリゴンの選択は、この他、種々の方法を適用可能である。
【0054】
こうしていずれかの農地ポリゴンが選択されると、地図データ処理システムは、農地台帳レコードに対して、選択された農地ポリゴンを参考情報として記録し、結果フラグを設定する(ステップS46)。この場合の結果フラグは、参考情報として農地ポリゴンが記録されたことを表すものとなる。
【0055】
C3.アンマッチレコード処理:
図7は、アンマッチレコード処理のフローチャートである。農地台帳と農地ポリゴンとの紐付けが終わった後、紐付けできずに残った農地台帳と農地ポリゴンとの紐付けのための処理について説明する。
処理を開始すると、地図データ処理システムは、マッチングできていない農地台帳レコードおよび農地ポリゴンを読み込む(ステップS50)。
そして、農地台帳レコードおよび農地ポリゴンを行政区域ごとにグループ化する(ステップS51)。農地台帳レコードには、地番情報が含まれているから、これに基づいて行政区域を判定すればよい。農地ポリゴンに、所在地情報が含まれていない場合には、図6のステップS43で示したように、行政区域のポリゴンとの重なりに基づいて行政区域を特定すればよい。字名、大字名、丁目などいかなる行政区域でグループ化するかは任意に決めることができるが、できる限り小さい行政区域、例えば丁目とすることが好ましい。
【0056】
次に、地図データ処理システムは、処理対象となる農地台帳レコードについて、農地台帳レコードと農地ポリゴンとの距離を算出する(ステップS53)。農地台帳レコードに農地ピンが紐付いている場合には、その座標を用いて距離を算出することができる。農地ピンが紐付いていない農地台帳レコードについては、距離を算出することができないため、ステップS53の処理はスキップして良い。
次に、地図データ処理システムは、農地ポリゴンの面積を算出する(ステップS54)。
【0057】
また、地図データ処理システムは、前後の地番のレコードの農地ポリゴンとの距離も算出する(ステップS55)。図中に算出例を示した。処理対象として選択されたレコード(図中の「対象レコード」)には、まだ農地ポリゴンが紐付けられていないが、その前地番、後地番のレコードには農地ポリゴンが紐付けられているものとする。「前地番」とは、地番順に並べたときに、対象レコードよりも地番の番号が小さいものを言う。前地番は、必ずしも対象レコードに連続するものである必要はない。例えば、対象レコードの地番が「3-3」である場合に、「3-2」「3-1」などが前地番に相当する。後地番とは、逆に対象レコードよりも地番の番号が大きいものを言う。
以下、説明の便宜上、前地番に紐付けられた農地ポリゴンを前ポリゴンと称し、後地番に紐付けられた農地ポリゴンを後ポリゴンと称するものとする。
【0058】
前ポリゴン、後ポリゴンが図示する位置に存在する場合、対象レコードに紐付けられるべき対象ポリゴンは、これらのポリゴンの間に存在する可能性が高い。これを評価するため、本実施例では、各農地ポリゴンから、前ポリゴンへの距離D1、後ポリゴンへの距離D2の総和が小さいものが、両者の間に存在する農地ポリゴンであると判断するものとした。前ポリゴン、後ポリゴンとの位置関係については、上述の方法に限らず、例えば、前ポリゴン、後ポリゴンとを結ぶ線分が対象ポリゴンと重なっている場合に、両者の間に存在すると判断するなど、種々の方法によって判断することが可能である。
【0059】
こうして農地ポリゴンについて種々のパラメータの算出が完了すると、地図データ処理システムは、それらを用いて農地ポリゴンを選択する(ステップS56)。本実施例では、次の3つの条件を併用するとした。
条件1)は、対象レコードから農地ポリゴンへの距離が近いというものである。この条件を他の条件よりも優先して用いる場合には、最短距離のものを選択することになる。
条件2)は、「農地ポリゴンの面積<農地台帳の面積となる範囲」で農地ポリゴンの面積が農地台帳の面積に近いという条件である。「農地ポリゴンの面積<農地台帳の面積となる範囲」という条件は省略してもよい。また、隣接する農地ポリゴンは面積の和で評価してもよい。
条件3)は、前ポリゴン、後ポリゴンへの距離が近いことである。即ち、前ポリゴン、後ポリゴンの間に存在する農地ポリゴンという条件である。
【0060】
上記条件1)~条件3)は種々の態様で用いることができる。例えば、条件1)~条件3)の順に優先順位をつけてもよいし、総合評価してもよい。この点は、農地ポリゴン選択処理(図6)のステップS45と同様である。
【0061】
こうしていずれかの農地ポリゴンが選択されると、地図データ処理システムは、農地台帳レコードに対して、選択された農地ポリゴンを参考情報として記録し、結果フラグを設定する。この場合の結果フラグは、参考情報として農地ポリゴンが記録されたことを表すものとなる。
【0062】
D.効果および変形例:
以上、本発明の実施例について説明した。実施例の地図データ処理システムによれば、農地台帳に対して農地ポリゴンを効率的に紐付けることができる。また、誤りがある可能性の高い農地台帳データを示唆することもできる。さらに、紐付け処理を行った後の残余の農地台帳データおよび農地ポリゴンに対しても、座標以外の情報を用いることにより紐付けを試みることができる。
【0063】
実施例で説明した種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり、組み合わせたりしてもよい。また、本発明は、実施例に限定されるものではなく、以下に示す通り、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形例を構築することができる。例えば、実施例では、農地を対象としたが、本発明は、農地以外の土地を対象としてもよい。
【0064】
D1.第1の実施形態の変形例:
第1の実施形態とは、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付けるポリゴン紐付け処理部を備え、
前記ポリゴン紐付け処理部は、前記第1の地図データの座標値から第1の所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記座標値に紐付ける地図データ処理システムである。
【0065】
上記態様において、第1の地図データとしては、農地ピンを用いることができる。また、住居地図その他の地図データベースに基づいて土地の代表点の座標を設定したデータを用いてもよい。土地は、農地に限らず、宅地その他種々の地目を対象とすることができる。
第2の地図データとしては、農地ポリゴンを用いることができる。住居地図等を用いてもよい。
第1の地図データと第2の地図データとは、土地の位置、形状において不整合があっても良い。
本来、第1の地図データと第2の地図データとの整合性が保たれていれば、第1の地図データの座標値を包含するポリゴンが第2の地図データに存在するはずであり、かかるポリゴンを第2の地図データから検索すれば、両者の紐付けは完了するはずである。しかしながら、実際には、第1の地図データ、第2の地図データには、種々の理由により不整合が存在することがあり、かかる場合に、上述の包含関係のみを用いては、両者を十分に紐付けることができない。
しかし、上記態様によれば、座標値から第1の所定距離以内に存在するポリゴンも紐付けることにより、不整合がある場合であっても、第1の地図データに対して、第2の地図データを効率的に紐付けることができる。
上記態様では、第1の所定距離を大きくすれば、多数のポリゴンが紐付くこととなり、誤った紐付けを誘発するおそれがある。一方、第1の所定距離を小さくすれば、紐付けられるポリゴンがほとんど検索されず、紐付け漏れが生じるおそれがある。第1の所定距離は、これらを考慮して任意に決めればよい。
【0066】
上記態様において、第1の所定距離は、地域によって変化させてもよい。
第1の所定距離として適した値は、対象とする土地の平均的な大きさや密度などに依存する。従って、地域に応じて、第1の所定距離を変化させることにより、紐付けの効率および精度を高めることが可能となる。
【0067】
上記態様において、第1の所定距離内に複数のポリゴンが見いだされたときは、種々の条件に基づいていずれかのポリゴンを選択してもよい。
第1の条件としては、例えば、座標値からポリゴンの重心までの距離が近いものを選択するものとしてもよい。
第2の条件としては、例えば、土地の面積に近い面積を有するポリゴンを選択するものとしてもよい。農地を対象とするときは、ポリゴンの面積<土地の面積となる範囲で選択をするようにしてもよい。農地のポリゴンは、周囲に存在する畦などを回避して設定されることが多く、面積が小さめになる傾向が多いため、ポリゴンの面積<土地の面積という条件を加味することにより、紐付け精度を向上することができる。
【0068】
また、土地の面積と、複数のポリゴンの面積の和とを比較して選択するようにしてもよい。
この場合には、一つの座標値に対して、複数のポリゴンを紐付けることを許容することとなる。座標に対応する土地が、複数の土地に分筆される場合もあり得るため、このように複数のポリゴンの紐付けを許容することにより、紐付けの精度向上を図ることができる。
【0069】
上記態様において、農地を対象とする場合には、第1の所定距離内に複数のポリゴンが見いだされたときは、土地の作付に適合する耕地種別のポリゴンを選択するものとしてもよい。
例えば、土地の作付に関する情報として、「水稲」という作付が記憶されているときは、耕地種別が「田」となっているポリゴンを紐付けることができる。
【0070】
土地の座標と、ポリゴンとの紐付けは、N:1、1:N、またはN:N(Nは自然数)となることを許容してもよい。
第1の地図データ、第2の地図データに不整合がある場合、両者で土地の形状等の認識がずれていることがある。また、地図データの制作後のメンテナンスによって、土地の形状の変化、分筆の有無などが適切に反映されていない場合には、両者でやはりずれが生じることがある。上記態様のように、座標とポリゴンとの紐付けとして1対1以外も許容すれば、こうした変化が存在する場合でも、多様な紐付けが可能となり、紐付けの精度向上を図ることができ、紐付け漏れを低減することができる。
【0071】
以上で説明した各態様において、
土地の座標値に対応づけられた地番情報に基づいて、当該座標値を、土地の地番その他の属性を記憶した土地台帳に紐付ける紐付け処理部を備えるものとしてもよい。
こうすることにより、土地台帳と第2の地図データのポリゴンとを直接に対応づけることができない場合であっても、土地の座標値を含む第1の地図データを介して両者を紐付けることができる。この結果、土地台帳に記録されたそれぞれの土地を、地図上で容易に特定することが可能となり、土地台帳の利便性を向上させることができる。
座標値と土地台帳とを紐付ける処理は、座標値とポリゴンとを紐付ける処理の前処理として実行してもよい。こうすれば、土地台帳に紐付けることができなかった座標値に対してポリゴンを紐付ける処理を省略することができ、効率化を図ることができる。逆に、座標値とポリゴンとを紐付けた後に、後処理として実行してもよい。
【0072】
以上の各態様においては、処理対象となった土地台帳または座標値に対して、紐付けの処理内容または精度を表すフラグを付してもよい。
こうすることにより、得られた紐付け結果を、処理内容または精度に応じて容易に分類することが可能となる。
【0073】
D2.第2の実施形態の変形例:
第2の実施形態とは、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の座標値を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付けるポリゴン紐付け処理部を備え、
前記ポリゴン紐付け処理部は、前記第1の地図データの座標値から第2の所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記座標値に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システムである。
【0074】
第1の地図データと第2の地図データについて、第1の実施形態で示した方法では、紐付けができない場合、第1の所定距離を大きくしていけば、ポリゴンを見いだすことができ、一応の紐付けを行うことも可能である。しかし、この方法では、紐付けたポリゴンは、十分な精度が確保されているとは言い難いこともある。
一方、第1の地図データと第2の地図データとを紐付けるとき、必ずしも第1の地図データが正しいとは限らない。
そこで、第2の実施態様では、第2の所定距離以内にポリゴンが存在しないときには、もはやそれ以上、検索のための領域の拡大、縮小、移動などの変更は行わず、ポリゴンは存在しないものとして処理を終了するのである。
こうすることにより、いつまでもポリゴンの探索が繰り返されるという無駄を回避することができる。また、ポリゴンが存在しないと判断することは、第1の地図データが誤りであると判断することも意味しており、第1の地図データ自体の精度向上を図ることが可能となる。
第2の実施形態における第2の所定距離は、このように、ポリゴンが存在しないと断定できるほどに広範囲となるよう決めればよい。例えば、第1の所定距離の10倍というように決めることもできる。
【0075】
また、第2の実施形態においては、前記ポリゴン紐付け処理部は、前記第1の地図データの座標値から第1の所定距離より大きく、第2の所定距離より小さい領域内に前記ポリゴンが存在するとき、当該ポリゴンを前記座標値に参考情報として紐付けてもよい。
上記領域内にポリゴンが存在するということは、第1の地図データが誤っていると断定することもできず、また、紐付けるポリゴンを確定することもできない状態であると判断される。かかる場合に、上述の態様のように、参考情報としてポリゴンを紐付けておくことにより、オペレータが目視でその地域を確認する作業などを支援することができる。参考情報としてのポリゴンの選択においては、第1の実施形態で例示した種々の条件を利用することができる。
【0076】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、土地の座標値に対応づけられた地番情報に基づいて、当該座標値を、土地の地番その他の属性を記憶した土地台帳に紐付ける紐付け処理部を備えるものとしてもよい。
また、処理対象となった土地台帳または座標値に対して、紐付けの処理内容または精度を表すフラグを付してもよい。
【0077】
D3.第3の実施形態の変形例:
第3の実施形態とは、
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の地番その他の属性を記憶した土地データベースと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データについて、両者の一部を紐付けた残余のデータのうち同一の行政区域内に存在するもの同士を所定の条件に基づいて紐付けるアンマッチレコード処理部を備える地図データ処理システムである。
【0078】
第3の実施形態によれば、両者の一部を紐付けた残余のデータ、即ちアンマッチレコードについて、土地の座標以外の情報を代替キーとして用いた紐付けを試みることができる。ただし、アンマッチレコードの紐付けを試みる場合、誤った紐付けが行われるリスクが高い状況であると考えられる。
そこで、第3の実施形態では、同一の行政区域内に存在するもの同士を紐付けるものとした。こうすることにより、誤った紐付けが行われる可能性を低減することができる。また誤った紐付けが行われたとしても、同一の行政区域内という比較的限られた範囲内であるため、処理後に比較的軽い負担で個別に確認することができる利点もある。
ここで、行政区域は、字、大字、丁目など任意に決めることができるが、できる限り小さい行政区域、例えば丁目を採用することが好ましい。
【0079】
第3の実施形態において、代替キーとしては種々の情報を用いることができる。例えば、
1)土地データベースに参考情報としての座標が付与されている場合には、当該座標とポリゴンとの距離に基づいて紐付けを行ってもよい。
2)また、土地の面積と、ポリゴンの面積に基づいて紐付けを行ってもよい。この場合、第1の実施形態の場合と同様、ポリゴンの面積<土地の面積なる条件を付加してもよい。また、複数のポリゴンの面積の和で評価してもよい。
3)さらに、紐付けを行う対象の土地の近隣の地番の土地に対して紐付けられたポリゴンに、隣接または近接するポリゴンを紐付けるものとしてもよい。一般に、地番が近い土地は、隣接または近接している傾向にあるため、上記態様によれば、かかる位置関係を活かしてポリゴンの紐付けを行うことが可能となる。
この他にも種々の情報を用いることができる。また、これらの情報は、優先順位を設けて利用してもよいし、併用してもよい。
【0080】
D4.その他:
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、地図データの適切な処理、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上または適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0081】
10 主制御部
20 表記統一部
21 農地ピン紐付け処理部
22 ポリゴン紐付け処理部
23 農地ポリゴン選択処理部
24 アンマッチレコード処理部
25 入出力部
30 農地台帳データ記憶部
31 紐付け結果記憶部
32 農地ピンデータ記憶部
33 農地ポリゴンデータ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記土地情報に紐付ける地図データ処理システム。
【請求項2】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記土地情報に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システム。
【請求項3】
コンピュータに、土地の座標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、
前記機能は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記土地情報に紐付けることを含むプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、土地の座標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、
前記機能は、前記第1の地図データの座標値から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記土地情報に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力することを含むプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の第1の実施形態として、地図データを処理する地図データ処理システムであって、土地の標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、理部は、1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在するリゴンを土地情報に紐付ける地図データ処理システムとすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また、本発明の第2の実施形態として、地図データを処理する地図データ処理システムであって、土地の標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、理部は、1の地図データの座標値から所定距離以内にリゴンが存在しないとき、土地情報に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システムとすることもできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の第3の実施形態として、コンピュータに、土地の座標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、機能は、第1の地図データの座標値から所定距離以内に一部又は全部が存在するポリゴンを土地情報に紐付けることを含むプログラムとすることもできる。
また、本発明の第4の実施形態として、コンピュータに、土地の座標値を含む土地情報を記憶した第1の地図データと、土地の形状を表すポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、機能は、第1の地図データの座標値から所定距離以内にポリゴンが存在しないとき、土地情報に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力することを含むプログラムとすることもできる。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の緯度経度の座標値と前記土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの土地の代表点を内包しないが、前記代表点から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記代表点に紐付け
前記所定距離は、前記土地が存在する地域に応じて変更可能である地図データ処理システム。
【請求項2】
地図データを処理する地図データ処理システムであって、
土地の代表点の緯度経度の座標値と前記土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、
前記処理部は、前記第1の地図データの土地の代表点から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記代表点に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システム。
【請求項3】
コンピュータに、土地の代表点の緯度経度の座標値と前記土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、
前記機能は、前記第1の地図データの土地の代表点を内包しないが、前記代表点から所定距離以内に一部又は全部が存在する前記ポリゴンを前記代表点に紐付けることを含み
前記所定距離は、前記土地が存在する地域に応じて変更可能であるプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、土地の代表点の緯度経度の座標値と前記土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、
前記機能は、前記第1の地図データの土地の代表点から所定距離以内に前記ポリゴンが存在しないとき、前記代表点に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力することを含むプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の第1の実施形態として、地図データを処理する地図データ処理システムであって、土地の代表点の緯度経度の座標値土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、処理部は、第1の地図データの土地の代表点を内包しないが、代表点から所定距離以内に一部又は全部が存在するポリゴンを代表点に紐付け、所定距離は、土地が存在する地域に応じて変更可能である地図データ処理システムとすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また、本発明の第2の実施形態として、地図データを処理する地図データ処理システムであって、土地の代表点の緯度経度の座標値土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける処理部を備え、処理部は、第1の地図データの土地の代表点から所定距離以内にポリゴンが存在しないとき、代表点に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力する地図データ処理システムとすることもできる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の第3の実施形態として、コンピュータに、土地の代表点の緯度経度の座標値土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、機能は、第1の地図データの土地の代表点を内包しないが、代表点から所定距離以内に一部又は全部が存在するポリゴンを代表点に紐付けることを含み、所定距離は、土地が存在する地域に応じて変更可能であるプログラムとすることもできる。
また、本発明の第4の実施形態として、コンピュータに、土地の代表点の緯度経度の座標値土地の地番とを関連付けて記憶した第1の地図データと、土地の形状を表す緯度経度の座標値を有するポリゴンのデータを記憶した第2の地図データとを紐付ける機能を実現させるためのプログラムであって、機能は、第1の地図データの土地の代表点から所定距離以内にポリゴンが存在しないとき、代表点に紐付けるべきポリゴンが存在しないことを表す結果を出力することを含むプログラムとすることもできる。