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特開2022-128388光学的に均一な透明導電体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128388
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】光学的に均一な透明導電体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20220825BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20220825BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220825BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220825BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20220825BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01B5/14 B
H05K1/09 A
H01B5/14 A
H01B13/00 503B
B32B7/023
B32B7/025
B32B27/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083616
(22)【出願日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】202110199188.7
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520384910
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ(シアメン) コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cambrios Film Solutions (Xiamen) Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チェン シーチン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ウェイチア
(72)【発明者】
【氏名】チャン エンチア
(72)【発明者】
【氏名】シュー ウェイチェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ チュンチン
【テーマコード(参考)】
4E351
4F100
5G307
5G323
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA04
4E351BB01
4E351CC11
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD19
4E351DD29
4E351EE11
4E351EE16
4E351GG09
4E351GG20
4F100AA37A
4F100AB01A
4F100AK02C
4F100AK25B
4F100AK42C
4F100AK49C
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG03A
4F100GB41
4F100JG01A
4F100JG04B
4F100JL10A
4F100JN01A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
5G307FA02
5G307FB02
5G307FC03
5G323BA01
5G323BA04
5G323BA05
5G323BB06
5G323BC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学的に均一な透明導電体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明導電体は、少なくとも1つの機能領域(第1領域とも呼ぶ)110a及び少なくとも1つの非機能領域(第2の領域とも呼ぶ)120aを含む。第1の領域は、複数のナノ構造体を含む。第1の領域は、第1の電気抵抗率及び第1のヘイズを有する。第2の領域は、第2の電気抵抗率及び第2のヘイズを有する。第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との比率は5%~9900%の範囲であり、第1のヘイズと第2のヘイズとの比率は2%~500%の範囲である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に均一な透明導電体であって、
複数のナノ構造体を含み、第1の電気抵抗率及び第1のヘイズを有する第1の領域と、
第2の電気抵抗率と第2のヘイズとを有する第2の領域と、を有し、
第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との比率が5%~9900%の範囲にあり、第1のヘイズと第2のヘイズとの比率が2%~500%の範囲にある光学的に均一な透明導電体。
【請求項2】
前記第1の電気抵抗率と前記第2の電気抵抗率との比率が5%から5000%の範囲である、請求項1に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項3】
前記第1の領域が第1の光透過率を有し、前記第2の領域が第2の光透過率を有し、前記第1の光透過率と前記第2の光透過率との比率が0.1%%以上15%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項4】
前記第1の領域が第1の黄色度を有し、前記第2の領域が第2の黄色度を有し、前記第1の黄色度と前記第2の黄色度との比率が1%から700%の範囲である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項5】
前記ナノ構造体が金属ナノワイヤである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項6】
前記第2の領域は、複数のドープ構造体を含み、前記ドープ構造体は、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項7】
前記第1の領域における前記ナノ構造体の単位面積当たりの負荷容量は、前記第2の領域における前記ドープ構造体の単位面積当たりの負荷容量よりも大きい、請求項6に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項8】
前記第2の領域は、少なくとも1つのダミー構造を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項9】
前記第1の領域は、2μmから50mmの間の幅を有し、前記第2の領域は、2μmから50mmの間の幅を有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項10】
前記第1の領域は、10nmから10μmまでの間の厚さを有し、前記第2の領域は、10nmから10μmまでの間の厚さを有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項11】
前記第1の領域及び前記第2の領域を覆う少なくとも1つの保護層をさらに含み、前記保護層が絶縁材料を含む、請求項1に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項12】
前記保護層は、0.1pmから10μmの間の厚さを有する、請求項11に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項13】
前記第1の領域及び前記第2の領域を担持する基板をさらに含み、前記基板がポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項14】
前記基板は、15μmから150μmの間の厚さを有する、請求項13に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項15】
前記第1の領域が第1の水平面上に位置し、前記第2の領域が第2の水平面上に位置し、前記第1の水平面が前記第2の水平面と異なる、請求項1に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項16】
前記第1の領域と前記第2の領域との垂直方向における重なり合う領域が、前記第1の領域の50%以下であり、垂直方向は、第1の水平面及び第2の水平面に対して垂直である請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光学的に均一な透明導電体。
【請求項17】
複数のナノ構造体を含む第1の領域を形成するために基板を被覆するステップであって、第1の領域は、第1の電気抵抗率及び第1のヘイズを有するステップと、
第2の領域を形成するために基板を被覆し、第2の領域は、第2の電気抵抗率及び第2のヘイズを有し、第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との比率は、5%~9900%の範囲内であり、第1のヘイズと第2のヘイズとの比率は、2%~500%の範囲内である光学的に均一な透明導電体を製造する方法。
【請求項18】
前記ナノ構造体を含む前記第1の領域を形成するために第1の溶液で基板を被覆するステップを有し、
第1の溶液は、50cp~2000cpの間の粘度を有し、第1の溶液の総重量に基づいて、第1の溶液は、0.01重量%~2.00重量%の間の固形分を有する請求項17に記載の光学的に均一な透明導電体を製造する方法。
【請求項19】
前記第2の領域を形成するために第2の溶液で前記基板を被覆するステップを有し、
第2の溶液は、50cp~2000cpの間の粘度を有し、第2の溶液の全重量に基づいて、第2の溶液は、0.01重量%から2.00重量%の間の固形分を有する請求項17又は18に記載の光学的に均一な透明導電体を製造する方法。
【請求項20】
前記ナノ構造体を含む第1の領域を形成するために基板を被覆するステップは、第1の水平面上に第1の領域を形成するステップを含み、
第2の領域を形成するために基板を被覆するステップは、第2の水平面上に第2の領域を形成するステップを含み、
第1の水平面が第2の水平面と異なる請求項17に記載の光学的に均一な透明導電体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的に均一な透明導電体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い導電性と透明性を有する透明導電膜は、ディスプレイ、タッチパネル、静電シールド、反射防止膜などの分野で広く用いられている。この分野では、透明導電性フィルムの材料としてインジウムスズ酸化物(ITO)が、電気抵抗率が低く、光透過率が高いため、よく使用される。近年、透明導電膜の材料として金属ナノワイヤも使用されることが多い。
【0003】
現在、一般的な透明導電膜の製造方法は、金属ナノワイヤを含むインクを基板に均一に塗布し、リソグラフィ及びエッチング工程により、機能領域の回路パターンと非機能領域のダミーパターンとを同時に形成する。「ナノワイヤベースの透明導電体及びそのパターン形成方法」と題する特許(中国特許出願公開102834936号明細書)及び「低視認性パターンを有する導電性フィルム及びその製造方法」と題する特許(中国特許出願公開104699303号明細書)において、機能領域内の回路パターン及び非機能領域内のダミーパターンは、1回のコーティング、1回のリソグラフィ、及びエッチングの減法プロセスによって同時に形成される。しかし、リソグラフィ工程やエッチング工程では、局所的な光学特性を細かく制御することが困難であるため、局所的な光学特性にばらつきが生じるという問題がある。一方、上記の方法では、機能領域の回路パターンと非機能領域のダミーパターンとの電気的・光学的特性の相互に制限され、ユーザの要求に応えることが困難となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、光学的に均一な透明導電体及びその製造方法に関する。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、光学的に均一な透明導電体は、第1の領域及び第2の領域を含む。第1の領域は、複数のナノ構造体を含む。第1の領域は、第1の電気抵抗率及び第1のヘイズを有する。第2の領域は、第2の電気抵抗率及び第2のヘイズを有する。第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との比率は5%から9900%の範囲であり、第1のヘイズと第2のヘイズとの比率は2%から500%の範囲である。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との間の比率は、5%から5000%の範囲である。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域は第1の光透過率を有し、第2の領域は第2の光透過率を有し、第1の光透過率と第2の光透過率との比率は0.1%から15%の範囲である。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域は、第1の黄色度を有し、第2の領域は、第2の黄色度を有し、第1の黄色度と第2の黄色度との比率は、1%から700%の範囲内である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、ナノ構造体は、金属ナノワイヤである。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において、第2の領域は、複数のドープされた構造を含み、ドープされた構造は、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域におけるナノ構造体の単位面積当たりの負荷容量は、第2の領域におけるドープされた構造の単位面積当たりの負荷容量よりも大きい。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、第2の領域は、少なくとも1つのダミー構造を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域は、2μmから50mmの間の幅を有し、第2の領域は、2μmから50mmの間の幅を有する。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域は、10nmと10μmとの間の厚さを有し、第2の領域は、10nmと10μmとの間の厚さを有する。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体は、第1の領域及び第2の領域を覆う少なくとも1つの保護層をさらに含み、保護層は絶縁材料を含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態において、保護層は、0.1μmと10μmとの間の厚さを有する。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体は、第1の領域及び第2の領域を担持する基板をさらに含み、基板は、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、又はそれらの組合せを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、基板は、15μmと150μmとの間の厚さを有する。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の領域は第1の水平面上に位置し、第2の領域は第2の水平面上に位置し、第1の水平面は第2の水平面とは異なる。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、垂直方向における第1の領域と第2の領域との重複領域は、第1の領域の50%以下であり、垂直方向は、第1の水平面及び第2の水平面に対して垂直である。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、光学的に均一な透明導電体を製造するための方法は、以下のステップを含む:基板をコーティングして、複数のナノ構造体を含む第1の領域を形成し、該第1の領域は、第1の電気抵抗率及び第1のヘイズを有し、;第2の領域が第2の電気抵抗率及び第2のヘイズを有し、第1の電気抵抗率と第2の電気抵抗率との比率が5%から9900%の範囲にあり、第1のヘイズと第2のヘイズとの比率が2%から500%の範囲にある第2の領域を形成するように基板を被覆する。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、ナノ構造体を含む第1の領域を形成するために基板をコーティングするステップは、第1の溶液で基板をコーティングするステップを含み、第1の溶液は、50cpから2000cpの間の粘度を有し、第1の溶液の総重量に基づいて、第1の溶液は、0.01重量%から2.00重量%の間の固形成分を有する。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態において、第2の領域を形成するための基板のコーティングは、第2の溶液で基板をコーティングするステップを含み、第2の溶液は、50cpから2000cpの間の粘度を有し、第2の溶液の総重量に基づいて、第2の溶液は、0.01重量%から2.00重量%の間の固形成分を有する。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態において、ナノ構造体を含む第1の領域を形成するために基板をコーティングすることは、第1の水平面上に第1の領域を形成することを含み、第2の領域を形成するために基板をコーティングすることは、第2の水平面上に第2の領域を形成することを含み、第1の水平面は、第2の水平面とは異なる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の前述の実施形態によれば、本開示の光学的に均一な透明導電体は、その中に機能領域(例えば、第1の領域) 及び非機能領域(例えば、第2の領域)をそれぞれ形成するために複数回コーティングされるので、機能領域及び非機能領域は、それぞれ適切な電気的及び光学的特性を提供するように、異なる材料及び負荷容量を有することができる。このように、機能領域及び非機能領域の電気的及び光学的特性は、製品の要件に従って別々に調整することができ、その結果、2つの領域は、異なる電気的性能を有する一方で、全く均一な光学的性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示は、以下の添付図面を参照して実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より理解することができる。
図1A図1Aは、開示のいくつかの実施形態による、光学的に均一な透明導電体を図示する概略上面図である。
図1B図1Bは、線a-a’に沿った図1Aの光学的に均一な透明導電体を示す概略断面図である。
図2】本開示のいくつかの他の実施形態による、光学的に均一な透明導電体を図示する概略断面図である。
図3図3は、本開示のいくつかの他の実施形態による、光学的に均一な透明導電体を図示する概略断面図である。
図4図4は、開示のいくつかの他の実施形態による、光学的に均一な透明導電体を図示する概略断面図を示す。
図5図5Aから図5Iは、異なる工程で図1Bの光学的に均一な透明導電体を製造する方法を示す概略断面図である。
図6図6Aから図6Dは、異なる工程で図2の光学的に均一な透明導電体を製造する方法を示す概略断面図である。
図7図7Aから図7Iは、異なる工程で図3の光学的に均一な透明導電体を製造する方法を示す概略断面図である。
図8図8Aから図8Dは、異なる工程で図4の光学的に均一な透明導電体を製造する方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。図面及び説明においては、可能な限り同一の参照番号を使用して同一又は類似の部分を参照する。
【0028】
さらに、図面を参照した説明では、「下側」または「底面」及び「上側」または「上面」などの相対的な用語を本明細書で使用して、1つの構成要素と別の構成要素との関係を記述する。相対的な用語は、図に示されたもの以外の装置の異なる向きを含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、添付図面の装置が上下逆になっている場合、別の構成要素の「下」側にあると記載されている構成要素は、別の構成要素の「上」側に配向される。したがって、例示的な用語「下側」は、添付図面の特定の向きに応じて、「下側」及び「上側」の向きを含み得る。同様に、添付図面内の装置が上下逆にされている場合、「下に」と記載されている構成要素は、別の構成要素を「上の」として方向付けられる。したがって、例示的な用語「下に」は、上方及び下方の向きを含み得る。
【0029】
開示は、光学的に均一な透明導電体及びその製造方法を提供する。光学的に均一な透明導電体は、タッチパネルなどのディスプレイ装置に適用することができる。光学的に均一な透明導電体を製造するプロセスにおいて、機能領域と非機能領域は、それぞれ適切な電気的及び光学的特性が実現するために、機能領域と非機能領域がそれぞれ異なる材料及び負荷容量を有することができるように、複数回のコーティングによってそれぞれ形成される。したがって、機能領域及び非機能領域の電気的及び光学的特性は、2つの領域が異なる電気的性能を有しながら非常に均一な光学的性能を有することができるように、製品のニーズに応じて別々に調整される。
【0030】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、光学的に均一な透明導電体100aを図示する概略上面図である。図1Bは、線a-a’に沿った図1Aの光学的に均一な透明導電体100aを示す概略断面図である。図1A及び図1Bを参照する。光学的に均一な透明導電体100aは、少なくとも1つの機能領域(第1領域とも呼ぶ)110a及び少なくとも1つの非機能領域(第2の領域とも呼ぶ)120aを含む。機能領域110aは、電気的機能(例えば、タッチセンシング及び信号送信機能を有する)を有し、非機能領域120aは、電気的機能(例えば、タッチ感知機能や信号伝達機能を持たない)を有さないが、光学的補助機能(例えば、光学的に均一な透明導電体100aを、より均一な光学性能を有するようにし、明ブロック及び暗ブロックの発生を低減する)を有してもよい。いくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体100aがタッチパネル内に配置される場合、機能領域110a及び非機能領域120aの両方がタッチパネルの可視領域内に配置される。一部の実施形態では、機能領域110a及び非機能領域120aは、同じ水平面上に隣接して配置されてもよい。他のいくつかの実施形態において、複数の機能領域110a及び複数の非機能領域120aは、同一水平面上に千鳥状またはアレイ状に配置されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、機能領域110aは、導電層112aを含むことができ、導電層112aは、電気機能(例えば、タッチ感知及び信号伝達機能)を有する回路パターンを形成するようにパターンを形成することができる。いくつかの実施形態では、導電層112aの機能領域110aは、マトリクス114aと、マトリクス114a内に分散された複数の金属ナノワイヤ(金属ナノ構造体とも称す)116aとを含むことができる。いくつかの実施形態において、マトリクス114aは、例えば、光学的に透明な材料であって、すなわち、導電層112aに良好な光透過率を提供するために、可視領域(波長400nmから700nm)におけるその光透過率が、少なくとも80%より大きい。いくつかの実施形態において、マトリクス114aは、導電層112aに特定の化学的、機械的及び光学的特性を付与するために、ポリマー又はその混合物を含むことができる。例えば、マトリクス114aは、導電層112aと他の層(例えば、機能領域110a及び非機能領域120aを担持するように構成された基板130a)との間の接着を提供してもよい。別の例として、マトリクス114aは、良好な機械的強度を有する導電層112aを提供することもできる。いくつかの実施形態では、マトリクス114aは、金属ナノワイヤ116aが、さらなる耐摩耗性表面保護を与え、それによって、導電層112aの表面強度を改善する特定のポリマーも含むことができる。前記特定のポリマーは、例えば、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリ(ケイ素アクリル酸)、またはこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、マトリクス114aは、さらに、架橋剤、安定剤(例えば、酸化防止剤または紫外線安定剤を含むがこれらに限定されない)、重合阻害剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、したがって、導電層112aの耐紫外線性を向上させ、導電層112aの寿命を延ばすことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤ116aは、限定されるものではないが、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤ、またはそれらの組み合わせを含み得る。より具体的には、本明細書における「金属ナノワイヤ116a」は、集合名詞であり、複数の金属元素、金属合金、または金属化合物(金属酸化物を含む)の金属ワイヤの集合を指す。いくつかの実施形態では、単一の金属ナノワイヤ116aの断面サイズ(すなわち、断面の直径)は、導電層112aがより低いヘイズを有するように、500nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満であることが好ましい。詳細には、単一金属ナノワイヤ116aの断面寸法が500nmより大きい場合、単一金属ナノワイヤ116aは、過度に厚くなり、導電層112aの過度に高いヘイズをもたらすため、機能領域110aの視覚的明瞭度に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、単一金属ナノワイヤ116aのアスペクト比(長さと直径の比)は、10から10万の間であってもよく、その結果、導電層112aは、より低い電気抵抗率、より高い光透過率、及びより低いヘイズを実現できる。詳細には、単一の金属ナノワイヤ116aのアスペクト比が10未満である場合、導電性ネットワークが十分に形成されず、導電層112aの電気抵抗率が過度に高くなる可能性がある。したがって、導電層112aの導電性を向上させるためには、マトリクス114a内の金属ナノワイヤ116aの配置密度(すなわち、導電層112aの単位体積当たりに含まれる金属ナノワイヤ116aの数)を高くして、導電層112aの光透過率が過度に低く、ヘイズが過度に高くなるように配置する必要がある。絹、繊維、または管などの他の用語もまた、本開示によってカバーされる前述の断面サイズおよびアスペクト比を有することができることを理解されたい。本開示で言及される特定の層の「電気抵抗率」は、層の「シート抵抗」(単位:オーム/平方(ops))を指すことに留意されたい。
【0033】
いくつかの実施形態において、導電層112aにおける単位面積当たりの金属ナノワイヤ116aの負荷容量は、0.05μg/cmから10μg/cmであり、その結果、導電層112aは、より低い電気抵抗率、より高い光透過率、及びより低いヘイズを有する。詳細には、導電層112aにおける単位面積当たりの金属ナノワイヤ116aの負荷容量が0.05μg/cm未満である場合、金属ナノワイヤ116aをマトリクス114a内で互いに接触しないようにさせて、連続的な電流経路を提供させ、その結果、導電層112aの電気抵抗率が過度に高くなり、導電層112aの電気伝導率が過度に低くなる可能性がある;機能領域110aにおける金属ナノワイヤ116aの単位面積当たりの負荷容量が10μg/cmを超えると、導電層112aの光透過率が過度に低くなり、ヘイズが過度に大きくなり、機能領域110aの光学特性に影響を与える(例えば、機能領域110aは、良好な光学的透明性及び透明性が得られない)。
【0034】
本開示の導電層112aは、適切な電気抵抗率、光透過率、及びヘイズを有し、導電層112aの電気抵抗率、光透過率、及びヘイズは、それぞれ、機能領域110aの電気抵抗率、光透過率、及びヘイズとみなすことができ、本開示ではそれぞれ、第1の電気抵抗率、第1の光透過率、及び第1のヘイズとみなすことができる。いくつかの実施形態では、導電層112aの電気抵抗率は、機能領域110aがより良好な導電性を有するように、200ops未満であるとよい。いくつかの実施形態において、導電層112aの光透過率は、機能領域110aがより良好な光透過性を有するように、80%より大きいことが好ましい。いくつかの実施形態において、導電層112aのヘイズは、機能領域110aがより良好な光学的透明度を有するように、3%未満とすることが好ましい。なお、導電層112aの光透過率とは、導電層112aを透過した可視光(400nmから700nmの波長の光)のうち、導電層112aに入射する可視光に対する光束の割合をいい、導電層112aのヘイズとは、導電層112aに入射した後に散乱した可視光のうち、導電層112aに入射する可視光に対する光束の割合をいう。
【0035】
いくつかの実施形態において、非機能領域120aはダミー層122aを含み、ダミー層122aは、光学補助機能を有するダミーパターンを形成するようにパターニングされてもよい。非機能領域120aのダミー層122aは、非機能領域120aと機能領域110aとの光学性能が一致するように構成されている。いくつかの実施形態では、ダミー層122aは、例えば、互いに接続または切断された1つ以上のダミー構造とすることができる。一部の実施形態では、ダミー層122aは、前述のマトリクス114aと実質的に同じマトリクス124aを含むことができる。いくつかの実施形態において、ダミー層122aは、マトリクス124a内に分布された複数のドープ構造体126aをさらに含み、ドープ構造体126aは、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、ダミー層122aにおける単位面積当たりのドープ構造体126aの負荷容量は、0.05μg/cmから10μg/cmであり、その結果、非機能領域120a及び機能領域110aが均一な光学性能を有することができる。具体的には、ダミー層122aにおけるドープ構造体126aの単位面積当たりの負荷容量が0.05μg/cm未満であると、ダミー層122aと導電層112aとの光学特性に大きな差が生じ、非機能領域120aと機能領域110aとの光学性能が一致しなくなるおそれがある。また、ダミー層122aの単位面積当たりの負荷容量が10μg/cmよりも大きい場合には、マトリクス124aにおいて、ドープ構造体126a同士が接触しやすくなり、連続した電流経路が形成され、ダミー層122aが導電性を有し、ダミー層122aが光透過率が低く、ヘイズが高くなりすぎて、非機能領域120aの光透過性や透明性に影響を与えるおそれがある。いくつかの実施形態において、ダミー層122a(非機能領域120a)におけるドープ構造体126aの単位面積当たりの負荷容量は、導電層112a(機能領域110a)における金属ナノワイヤ116aの単位面積当たりの負荷容量よりも小さく、その結果、ダミー層122aは、より高い電気抵抗率を有し、それによって、ダミー層122aが電気機能(例えば、タッチ感知機能や信号伝達機能を持たない)を有さないことを確実にし、かつ、ダミー層122aがより高い光透過率及びより低いヘイズを確実にし、それによって、非機能性を可能にする非機能領域120aと機能領域110aとの間で光学性能が一定になるようにする。
【0037】
本開示のダミー層122aは、適切な電気抵抗率、光透過率、及びヘイズを有し、ダミー層122aの電気抵抗率、光透過率、及びヘイズは、それぞれ、非機能領域120aの電気抵抗率、光透過率、及びヘイズとみなすことができ、本開示ではそれぞれ、第2の電気抵抗率、第2の光透過率、及び第2のヘイズととみなすことができる。いくつかの実施形態では、ダミー層122aの電気抵抗率は、非機能領域120aが好ましくい非導電性を有するように、50opsより大きいことが好ましい。いくつかの実施形態では、ダミー層122aの光透過率は、ダミー層122aがより良好な光透過性を有するように、90%より大きいことが好ましい。いくつかの実施形態では、ダミー層122aのヘイズは、2%未満とであることが好ましく、その結果、ダミー層122aは、より良好な光学的透明性を有する。なお、ダミー層122aの光透過率とは、ダミー層122aを透過した可視光(400nmから700nmの波長の光)のうち、ダミー層122aに入射する可視光に対する光束の割合であり、ダミー層122aのヘイズとは、ダミー層122aに入射した後に散乱した可視光のうち、ダミー層122aに入射する可視光に対する光束の割合である。
【0038】
本開示の機能領域110aおよび非機能領域120aは、段階的(ステップ)なコーティング工程によって形成されるので、機能領域110aおよび非機能領域120aは、それぞれ、異なる材料および負荷容量を有することができ、機能領域110aおよび非機能領域120aは、それぞれ、適切な電気的および光学的特性を提供するように、それぞれ適切な電気抵抗率、光透過率、およびヘイズを有することができる。したがって、機能領域110aと非機能領域120aとは、電気的性能(例えば、導電率)は異なるが、光学的性能(例えば、光学的透明性及び透明性)は同じである。具体的には、本発明の光学的に均一な透明導電体100は、機能領域110aの電気抵抗率と非機能領域120aの電気抵抗率との比率が5%以上9900%以下、機能領域110aのヘイズと非機能領域120aのヘイズとの比率が2%以上500%以下、機能領域110aの光透過率と非機能領域120aの光透過率との比率が0.1%%以上15%以下である。いくつかのさらなる実施形態では、機能領域110aの電気抵抗率と非機能領域120aの電気抵抗率との比率は、5%から5000%の範囲内であってもよい。本開示において言及される「AとBとの間の比率」は、|A-B|/A又は|B-A|/Aとして定義され、ここで、A≦Bであることを理解されたい。例えば、非機能領域120aの電気抵抗率(すなわち、第2の電気抵抗率)は、機能領域110aの電気抵抗率(すなわち、第1の電気抵抗率)よりも大きいので、上記の機能領域110aの電気抵抗率と非機能領域120aの電気抵抗率との間の比率は、|第1の電気抵抗率-2番目の電気抵抗率|/第1の電気抵抗率という式によって表される。
【0039】
一方、機能領域110a及び非機能領域120aに用いられる材料の物性(例えば、色特性)に基づいて、機能領域110a及び非機能領域120aは、黄色度の尺度を有していてもよい。なお、本開示でいう「Aの黄色度」とは、L*a*b*色空間におけるAのb*値で表される「Aが示す黄色度」のことであり、b*値が大きいほど、「黄色」がAによって表されることがより明確になります。つまり、Aの色が黄色に近くなります。本開示の導電層112a及びダミー層122aは、適宜な黄色度を有していてもよく、導電層112a及びダミー層122aの黄色度は、それぞれ機能領域110a及び非機能領域120の黄色度とみなすことができ、本開示ではそれぞれ第1の黄色度及び第2の黄色度と呼ぶことができる。いくつかの実施形態において、第1の黄色度と第2の黄色度との間の比率は、1%から700%の範囲内であってもよい。したがって、機能領域110a及び非機能領域120aの黄色度は、光学的に均一な透明導電体100が全く均一な色性能を有するように、別々に調整することができる。
【0040】
以上より、機能領域110aと非機能領域120aとでは、それぞれ材料や負荷容量が異なるため、電気抵抗率の違い、ヘイズの違い、光透過率の違い、黄色度の違いはそれぞれかなりの幅を持って、製品の要求に応じて柔軟に調整・対応することができる。したがって、種々の仕様の製品要件を満たすことができる。例えば、ある仕様の製品に要求される電気抵抗率の比率、ヘイズの比率、光透過率の比率、黄色度の比率がそれぞれ500%、300%、2%、25%である場合、機能領域110aと非機能領域120aとで材料や負荷容量を異ならせることで、電気抵抗率、ヘイズ、光透過率、黄色度に対する製品要求を満たすことができる。したがって、光学的に均一な透明導電体100は、全く均一な光学性能を有することができる、一方、機能領域110a及び非機能領域120aは、異なる電気性能を有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、導電層112aの幅及び厚さは、機能領域110aがより良好な導電性を有するように設定することができる。いくつかの実施形態において、導電層112aの幅W1は、2μmから50mmの間であり、導電層112aの厚さT1は、10nmから10μmの間である。具体的には、導電層112aの幅W1が50mmよりも大きく、及び/または厚さT1が10μmよりも大きい場合、導電層112aの光透過率が過度に低くなり、導電層112aのヘイズが過度に高くなり、機能領域110aの光透過率及び透明度が低くなるおそれがある。導電層112aの幅W1が2μm未満及び/または厚さT1が10nm未満であると、導電層112aの電気抵抗率が過度に高くなり、導電性が低下するおそれがある。機能領域110aの高さが低くなり、製造プロセス(例えば、パターン化の困難)の不便さの原因にもなる。
【0042】
いくつかの実施形態において、ダミー層122aの幅及び厚さは、非機能領域120aがより良好な光透過性及び透明性を有するように設定することができる。いくつかの実施形態では、ダミー層122aの幅W2は、2μm及び50mmであってもよく、ダミー層122aの厚さT2は、10nm及び10μmであってもよい。具体的には、ダミー層122aの幅W2が50mmを超えると、導電層112aの幅W1が圧縮されて機能領域110aの電気的機能に影響を与え、ダミー層122aの厚さT2が10μmを超えると、ダミー層122aの光透過率が過度に低く、ヘイズが過度に高くなり、非機能領域120aの光透過性や透明性に影響を与えるおそれがある。ダミー層122aの厚さT2が2μm未満及び/又は厚さT2が10nm未満であると、製造プロセス(例えば、パターン化の困難)の不便さの原因にもなる。
【0043】
いくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体100aは、機能領域110a及び非機能領域120aを担持するように構成された基板130aをさらに含むことができる。すなわち、基板130aは、機能領域110aにおいて導電層112aを担持し、非機能領域120aにおいてダミー層122aを担持するように構成されている。基板130aは、例えば、光学的に透明な材料であり得る、すなわち、可視領域におけるその光透過率は、光学的に一貫した透明導電体100aに良好な光透過率を提供するように、少なくとも90%より大きくてもよい。具体的には、基板130aは、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、基板130aは、15μmから150μmまでの間の厚T3を有することができる。具体的には、基板130aの厚さT3が15μm未満であると、搬送強度が不足するおそれがある。基板の厚さT3が150μmよりも厚いと、基板130aの光透過率が極端に低く、ヘイズが極端に大きくなり、光学的に均一な透明導電体100aの全体の厚さが極端に大きくなり、光学的に均一な透明導電体100aの外観に影響を与え、材料の無駄が発生する。
【0044】
いくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体100aは、非機能領域120a及び機能領域110aを担持するように構成された基板130aの表面131a上に配置された保護層140aを更に含むことができる。保護層140aは、機能領域110a及び非機能領域120aを覆い、導電層112aとダミー層122aとの間に延在し、導電層112aとダミー層122aとが絶縁されている。いくつかの実施形態では、保護層140aは、例えば、電気絶縁の効果を効果的に達成するための絶縁材料であってもよい。いくつかの実施形態において、保護層140aは、例えば、光学的に透明な材料であってもよい。すなわち、可視領域における保護層140aの光透過率は90%以上であり、光学的に均一な透明導電体100aに対して良好な光透過率が得られる。いくつかの実施形態において、保護層140aは、0.1μmから10μmの間の厚さT4を有してもよい。具体的には、保護層140aの厚さT4が0.1μm未満であると、導電層112aとダミー層122aとが効果的に分離されず、光学的に均一な透明導電体100aの電気機能に影響を与える可能性がある。保護層140aの厚さT4が10μmよりも厚いと、保護層140aの光透過率が過度に低く、ヘイズが過度に高くなり、また、光学的に均一な透明導電体100aの厚さが過度に厚くなり、光学的に均一な透明導電体100aの外観に影響を与え、材料の浪費を招くおそれがある。
【0045】
本開示の機能領域110a及び非機能領域120aを形成するために使用される層(例えば、導電層112a及びダミー層122aが形成される層)のヘイズ、光透過率、及び黄色度を、各実施形態を通じて異なる電気抵抗率(例えば、表面(またはシート)抵抗率)で具体的に示す表1を参照されたい。表1の各実施形態の層に含まれるナノ構造体は金属ナノワイヤであり、各実施形態の層は、ポリエチレンテレフタレートを含む基板130a上に形成され、アクリル樹脂を含む保護層140aによって覆われ、基板130aの厚さT3は50μmであり、保護層140aの厚さT4は1μmであることを理解されたい。
【表1】
【0046】
表1の実施例5と実施例6を例にとると、実施例5と実施例6との電気抵抗率の比率は約5%(|100-95|/95=5%)、実施例5と実施例6とのヘイズ率の比率は約1.1%(|0.86-0.87|/0.86=1.1%)、実施例5と実施例6との光透過率の比率は約0.1%(|93.0-92.9|/92.9=0.1%)、実施例5と実施例6との黄色度の比率は約1%(|1.05-1.06|/1.05=1%)である。別の例として表1の実施例1および11を取り上げると、実施例1と実施例11との間の電気抵抗率の比率は約9900%(|1000-10|/10=9900%)であり、実施例1と実施例11の間のヘイズの比率は、約398%(|3.24-0.65|/0.65=398%)、実施例1と実施例11の光透過率の比率は6.5%(|93.5-87.8|/87.8=6.5%)であり、実施例1と実施例との間の黄色度の比率は、約541.5%(|4.17-0.65|/0.65=541.5%)である。表1の実施例の層を形成するために適切な材料及びそれらの負荷容量を選択することによって、電気抵抗率の比率の比率、ヘイズの比率の比率、光透過率の比率の比率、及び黄色度の比率の比率は、それぞれかなりの範囲を有することができ、したがって、本開示の機能領域110a及び非機能領域120aを形成するための製品要件(例えば、電気的または光学的要件)に従って適切な層を選択することができる。したがって、光学的に均一な透明導電体100aは、非常に均一な光学性能を有することができ、一方、機能領域110a及び非機能領域120aは、異なる電気性能を有する。
【0047】
図2は、本開示のいくつかの他の実施形態による、光学的に均一な透明導電体100bを図示する概略断面図である。図2の光学的に均一な透明導電体100b及び図1の光学的に均一な透明導電体100aは、ほぼ同じ接続関係、同じ材料、及び要素の同じ利点を有することに留意されたい。以下、相違点のみ詳細に説明する。図2の光学的に均一な透明導電体100bと図1の光学的に均一な透明導電体100aとの間の少なくとも1つの相違は、機能領域110bと非機能領域120bの両方が基板130bの第1の表面131b及び第2の表面133bに配置され、第1の表面131bが第2の表面133bとは反対側に向いている。
【0048】
いくつかの実施形態によっては、第1の表面131bに配置された機能領域110b及び非機能領域120bが、第2の表面133bに配置された機能領域110b及び非機能領域120bと対称となるようにして、製造プロセスの利便性を向上させることができる。すなわち、機能領域110bの基板130b及び第1の表面131bに配置された非機能領域120b上の垂直投影は、機能領域110bの基板130b及び第2の表面133bに配置された非機能領域120b上の垂直投影と完全に重なる。いくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体100bは、第1の表面131b及び第2の表面133b上に配置され、機能領域110b及び非機能領域120bを覆う保護層140bを含むこともできる。いくつかの実施形態では、第1の表面131b及び第2の表面133b上に配置された保護層140bは、同じ厚さT4を有することができ、それによって、製造プロセスの利便性が向上する。
【0049】
図3は、本開示のいくつかの他の実施形態による、光学的に均一な透明導電体100cを図示する概略断面図である。図3の光学的に均一な透明導電体100c及び図1の光学的に均一な透明導電体100aは、ほぼ同じ接続関係、同じ材料、及び要素の同じ利点を有し、本明細書では繰り返し説明しないことに留意されたい。以下、相違点のみ詳細に説明する。図3の光学的に均一な透明導電体100cと図1の光学的に均一な透明導電体100aとの間の少なくとも1つの相違は、機能領域110cと非機能領域120cが異なる水平面上に配置されることである。すなわち、機能領域110cと非機能領域120cとは、基板130c上に二重層構造で積層されている。
【0050】
いくつかの実施形態において、機能領域110cは、基板130cの第1の表面131c(第1の水平面とも称す)上に配置されてもよく、一方、非機能領域120cは、機能領域110cを覆う保護層140cの第2の表面133c(第2の水平面とも称す)上に配置されてもよい。すなわち、非機能領域120cは、機能領域110cの上方に配置されている。いくつかの実施形態において、機能領域110cに位置する導電層112a及び非機能領域120cに位置するダミー層122aは、基板130cの延在面に垂直な方向(例えば、第1の表面131c又は基板130cの上面)に相互に互い違いにされてもよく、その結果、光学的に整合性のある透明導電体100cは、光学的に整合性のある透明導電体100aと同じ視覚効果を呈する。他の実施形態では、機能領域110cに位置する導電層112aと非機能領域120cに位置するダミー層122aとは、第1の水平面及び第2の水平面に垂直な方向に部分的に重なっていてもよく、その重なり面積は、導電層112aの表面積の50%以下である。詳細には、重なり合う領域が50%を超える場合、光学的に一貫した透明導電体100cは、均一で一貫した視覚効果(例えば、一貫した光学的透明性および光学的透明度)を提示できない可能性がある。いくつかの実施形態では、機能領域110cと非機能領域120cの位置は、機能領域110cが非機能領域120cの上に配置されるように、実際の要件に従って交換することもできる。この場合、光学的に均一な透明導電体100cは、機能領域110cに位置する導電層112cを覆って保護する別の保護層(示されていない)をさらに含んでもよい。
【0051】
図4は、本開示のいくつかの他の実施形態に従う、光学的に均一な透明導電体100dを図示する概略断面図である。図4の光学的に均一な透明導電体100d及び図3の光学的に均一な透明導電体100cは、ほぼ同じ接続関係、同じ材料、及び要素の同じ利点を有することに留意されたい。以下、相違点のみ詳細に説明する。図4の光学的に均一な透明導電体100dと図3の光学的に均一な透明導電体100cとの間の少なくとも1つの相違は、機能領域110d及び非機能領域120dの両方が、基板130dの第1の表面131dの側及び第2の表面133dの側に配置され、第1の表面131dが第2の表面133dから離れて面していることである。
【0052】
いくつかの実施形態によっては、第1の表面131d側に配置された機能領域110d及び非機能領域120dは、製造工程の便利性を向上させるために、第2の表面133d側に配置された機能領域110d及び非機能領域120dと対称であってもよい。すなわち、機能領域110dの基板130d及び第1の表面131d側に配置された非機能領域120d上の垂直投影は、機能領域110dの基板130d及び第2の表面133d側に配置された非機能領域120d上の垂直投影と完全に重なる。いくつかの実施形態において、光学的に均一な透明導電体100dは、第1の表面131d及び第2の表面133d上に配置され、機能領域110dを覆う保護層140dを含むこともできる。いくつかの実施形態では、第1の表面131d及び第2の表面133d上に配置された保護層140dは、同じ厚さT4を有することができ、それによって製造プロセスの利便性が向上する。いくつかの実施形態では、機能領域110dと同一表面側に位置する非機能領域120dの位置を、実際の要件に従って交換し、機能領域110dが非機能領域120dよりも基板130dから遠くなるようにすることができる。機能領域110dが非機能領域120dよりも基板130dから離れている場合、光学的に均一な透明導電体100dは、機能領域110dに位置する導電層112dを覆って保護する別の保護層(示されていない)をさらに含んでもよい。
【0053】
上述の要素の接続関係、材料、及び利点は繰り返さないことに留意されたい。以下、光学的に均一な透明導電体100a~100dの製造方法について説明する。
<光学的に均一な透明導電体100aの製造方法>
【0054】
図5A図5Iは、異なる工程で図1Bの光学的に均一な透明導電体100aを製造する方法を示す概略断面図である。
【0055】
まず、図5Aを参照して、ステップS10において、基板130aを設け、基板130aの第1の表面131aにフレキソ印刷により導電回路150aを形成する。いくつかの実施形態において、導電回路150aは、基板130aの非可視領域に形成される。
【0056】
次に、図5Bを参照して、ステップS12において、基板130aの第1の表面131a上にフレキソ印刷により導電層112aを形成し、電気的機能(例えば、タッチ感知及び信号伝達機能)を有する機能領域110aを形成する。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤを含む溶液(第1の溶液とも称す)を、基板130aの第1の表面131a上に塗布し、乾燥して、導電層112aを形成する。いくつかの実施形態において、第1の溶液は、乾燥後に形成された導電層112aが導電回路150aに接続されて相互の電気的接続を実現するように、導電回路150aと接触するようにコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、乾燥後に形成された導電層112aが導電回路150aと部分的に重なるように、第1の溶液の一部を導電回路150a上に塗布することができる。すなわち、乾燥後に形成された導電層112aのいくつかの部分は、基板130aと直接接触し、一方、乾燥後に形成された導電層112aの他の部分は、導電回路150aと直接接触する。いくつかの実施形態では、乾燥は、50℃~150℃の温度で行うことができる。詳細には、乾燥が50℃未満の温度で行われる場合、過度に低い温度のために第1の溶液が完全に硬化されず、機能領域110a及び後続の製造ステップの電気的機能に影響を与える可能性がある。150℃以上で乾燥すると、基板130aが撓んで変形し、製品の歩留まりやその後の製造工程に影響を与えることがある。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1の溶液の総重量に基づいて、第1の溶液は、0.01重量%~2.00重量%の固体含有量を有してもよく、すなわち、第1の溶液中の金属ナノワイヤの含有量は、0.01重量%~2.00重量%であってもよい。このように、第1の溶液は、塗布を容易にするために適切な粘度を有することができ、第1の溶液を乾燥して形成された導電層112aは、より高い導電性、光透過性、及び透明性を有する。具体的には、第1の溶液の固形分が0.01重量%未満であると、第1の溶液の流動性が高くなりすぎて塗布後の広がりが早くなり、塗布範囲を効果的に制御できず、導電層112aの導電率が低くなりすぎるおそれがある。第1の溶液の固形分が2.00重量%を超えると、第1の溶液が過度に粘性を帯びて塗布しにくくなり、導電層112aの光透過性及び透明性が過度に低くなるおそれがある。いくつかの実施形態において、第1の溶液の粘度は、コーティングを容易にするために、50cp~2000cpであってもよい。詳細には、第1の溶液の粘度が50cp未満である場合、第1の溶液の流動性が過度に高くなり、コーティング後すぐに容易に広がり、コーティング範囲を効果的に制御できない可能性がある。 最初の溶液の粘度が2000cpを超えると、最初の溶液の粘度が高くなり、コーティングが困難になる場合がある。
【0058】
その後、図5Cを参照して、ステップS14において、基板130aの第1の表面131aにフレキソ印刷によりダミー層122aを形成し、電気的機能を有しない(例えば、タッチ感知機能や信号伝達機能がない)非機能領域120aを形成する。いくつかの実施形態において、ドープ構造体を含む溶液(第2の溶液と称す)を基板130aの第1の表面131a上に塗布し、乾燥して、ダミー層122aを形成することができる。いくつかの実施形態では、乾燥後に形成されたダミー層122aが導電層112aから分離されるように、第2の溶液は、導電層112aと接触することなく、導電層112aの間のギャップに塗布されてもよい。いくつかの実施形態において、乾燥は、50℃~150℃の温度で行うことができる。詳細には、乾燥が50℃未満の温度で行われる場合、第2の溶液は、過度に低い温度のために完全に硬化されず、したがって、機能領域110a及び後続の製造ステップの光学補助機能に影響を与える可能性がある。150℃以上で乾燥すると、基板130aが撓んで変形し、製品の歩留まりやその後の製造工程に影響を与えることがある。
【0059】
いくつかの実施形態において、第2の溶液の総重量に基づいて、第2の溶液は、0.01重量%と2.00重量%との間の固形分を有してもよく、すなわち、第2の溶液中のドープ構造体の含有量は、0.01重量%と2.00重量%との間であってもよい。このようにして、第2の溶液は、コーティングを容易にするために適切な粘度を有することができ、第2の溶液を乾燥することによって形成されたダミー層122aは、導電性を有さないが、高い光学的透明性および透明度を有する。具体的には、第2溶液の固形分が0.01重量%未満であると、第2溶液の流動性が過度に高くなり、塗布後の広がりが早くなり、塗布範囲を効果的に制御できなくなるおそれがある。また、第2の溶液の固形分が2.00重量%を超えると、第2の溶液が過度に粘性を帯びて塗布しにくくなり、ダミー層122aの光透過性及び透明性が過度に低くなるおそれがある。また、第2の溶液の固形分が第1の溶液の固形分よりも少ないため、乾燥後に形成される導電層112aとダミー層122aとでは、電気抵抗率及び導電率が全く異なる(例えば、導電層112aは高い導電率を有してもよく、一方、ダミー層122aは導電率を有していなくてもよい。)ことがある。いくつかの実施形態において、第2の溶液の粘度は、50cpと2000cpとの間であってよく、したがってコーティングを容易にする。具体的には、第2溶液の粘度が50cp未満であると、第2溶液の流動性が高くなりすぎて塗布後の広がりが早くなり、塗布範囲を効果的に制御できなくなるおそれがある。第2液の粘度が2000cpを超えると、第2液の粘度が高くなりすぎて塗布しにくくなることがある。
【0060】
以上の工程では、機能領域110aと非機能領域120aとを複数回塗布して形成するので、材料や負荷容量を異ならせることができ、電気的・光学的特性の相互制約を回避することができる。言い換えれば、前述のステップは、機能領域110aおよび非機能領域120aに、異なる電気的性能を有しながら、非常に一貫した光学的性能を提供させることができる。
【0061】
その後、図5Dを参照して、ステップS16において、基板130aの第1の表面131aにフレキソ印刷により保護層140aを形成し、機能領域110aの導電回路150a、機能領域110aの導電層112a及び非機能領域120aのダミー層122aを覆って保護する。いくつかの実施形態において、保護層140aは、導電回路150a、導電層112a及びダミー層122aの間にさらに延在し、それによって、導電回路150a、導電層112a及びダミー層122aが互いに電気的に絶縁されることを確保する。この工程の後、本開示の光学的に均一な透明導電体100aを形成することができる。
【0062】
次に、図5Eから5Hでは、ステップS10からS16が繰り返されて、本開示の別の光学的に均一な透明導電体100aを形成する。いくつかの実施形態では、図5Eで形成された導電回路150a、図5Fで形成された導電層112a、および図5Gで形成されたダミー層122aは、図5Aで形成された導電回路150aとは異なるパターン、図5Bで形成された導電層112a、および図5Cで形成されたダミー層122aを有し得る。
【0063】
次に、図5Iを参照すると、ステップS18において、図5Aの光学的に均一な透明導電体100aは、図5Hの光学的に均一な透明導電体100aの上に配置される。いくつかの実施形態では、2つの光学的に均一な透明導電体100aは、接着剤層160aを介して互いに結合することができる。いくつかの実施形態において、接着剤層160aは、例えば、高い光透過率を有する光学的に透明な接着剤であってもよい。この工程の後、二つの光学的に均一な透明導電体100aを含む二重層の片面透明導電体を形成することができる。
<光学的に均一な透明導電体100bの製造方法>
【0064】
図6A~6Dは、異なる工程で図2の光学的に均一な透明導電体100bを製造する方法を示す概略断面図である。
【0065】
図6A図6Dにおいて、基板130bの第1の表面131bと第2の表面133bとを互いに対向させてステップS10~S16を繰り返す。詳細には、図6Aにおいて、導電回路150bは、基板130bの第1の表面131b及び第2の表面133b上に順次または同時に形成される;図6Bにおいて、導電層112bは、基板130bの第1の表面131b及び第2の表面133b上に順次または同時に形成される;図6Cにおいて、ダミー層122aは、基板130bの第1の表面131b及び第2の表面133b上に順次または同時に形成される;図6Dでは、保護層140bは、基板130bの第1の表面131b及び第2の表面133b上に順次または同時に形成される。いくつかの実施形態では、対向面に形成された導電回路150b、導電層112b、及びダミー層122bは、それぞれ異なるパターンを有してもよい。前述のステップが完了すると、光学的に均一な透明導電体100bは、単層両面透明導電体である本開示を形成することができる。
<光学的に均一な透明導電体100cの製造方法>
【0066】
図7A図7Iは、異なる工程で図3の光学的に均一な透明導電体100cを製造する方法を示す概略断面図である。
【0067】
まず、図7Aを参照して、ステップS20において、基板130cを設け、基板130cの第1の表面131cにフレキソ印刷により導電回路150cを形成する。いくつかの実施形態において、導電回路150cは、基板130cの非可視領域に形成される。
【0068】
次に、図7Bを参照して、ステップS22において、基板130cの第1の表面131c(第1の水平面とも称す)上に、フレキソ印刷により導電層112cを形成し、電気機能(例えば、タッチ感知及び信号伝達機能)を有する機能領域110cを形成する。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤを含む溶液(第1の溶液とも称す)は、基板130cの第1の表面131c上にコーティングされ、乾燥されて、導電層112cを形成することができる。いくつかの実施形態において、第1の溶液は、乾燥後に形成された導電層112cが導電回路150cに接続されて相互の電気的接続を実現するように、導電回路150cと接触するようにコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溶液の一部を導電回路150c上に塗布して、導電層112cが乾燥後に形成された導電回路150cの一部が重なる。すなわち、乾燥後に形成された導電層112cの一部は基板130cに直接接触しており、乾燥後に形成された導電層112cの他の一部は導電回路150cに直接接触している。いくつかの実施形態では、乾燥は、50℃~150℃の温度で行うことができる。詳細には、乾燥が50℃未満の温度で行われる場合、第1の溶液は、過度に低い温度のために完全に硬化されず、したがって、機能領域110c及び後続の製造ステップの電気的機能に影響を及ぼす可能性がある。150℃以上で乾燥を行うと、基板130cが高温になりすぎて撓んだり変形したりして、製品歩留まりやその後の製造工程に影響を与えることがある。なお、第1の溶液の種々の特性(例えば、固形分または粘度)については、既に詳細に説明したので、ここでは繰り返さない。
【0069】
その後、図7Cを参照して、ステップS24において、基板130cの第1の表面131cにフレキソ印刷により保護層140cを形成し、機能領域110cの導電回路150c及び導電層112cを覆って保護する。いくつかの実施形態において、保護層140cは、導電回路150cと導電層112cとの間にさらに延びる。
【0070】
次に、図7Dを参照して、ステップS26において、保護層140cの基板130cとは反対側の表面141cにフレキソ印刷によりダミー層122cを形成し、電気的機能を有しない(例えば、タッチセンシング及び信号伝達機能を有しない)非機能領域120cを形成する。いくつかの実施形態において、ドープ構造体を含む溶液(第2の溶液とも称す)を保護層140cの表面141c上に塗布し、乾燥させて、ダミー層122cを形成することができる。いくつかの実施形態において、第2の溶液は、特定の位置でコーティングされて、第2の溶液によって形成されるパターンが、パターンの下の導電層112cと重なることを防止してもよい。すなわち、第2の溶液と導電層112cとの塗布位置を、基板130cの延在面に垂直な方向にずらして配置することができる。これにより、乾燥後に形成されたダミー層122cと導電層112cとを基板130cの延在面に垂直な方向にずらして配置することができ、光学的に均一な透明導電体100cと光学的に均一な透明導電体100aとで同じ視覚効果を得ることができる。いくつかの実施形態では、第2の溶液によって形成されるパターンが、基板130cの延在面に垂直な方向において、第2の溶液の下に位置する導電層112cと部分的に重なるように、第2の溶液を特定の位置でコーティングすることができ、その重なり面積は、導電層112cの表面積の50%以下である。これにより、ダミー層122cと乾燥後に形成された導電層112cとが基板130cの延在面に垂直な方向で光学的に干渉し、光学的に均一な透明導電体100cの光学的整合性が損なわれる事態を回避することができる。いくつかの実施形態において、乾燥は、50℃~150℃の温度で実施することができる。詳細には、乾燥が50℃未満の温度で行われる場合、第2の溶液は、過度に低い温度のために完全に硬化せず、したがって機能領域110cおよびその後の製造工程の光学的補助機能に影響を与える可能性がある。乾燥が150℃を超えて行われる場合、基板130cが撓んで変形する可能性があり、したがって、製品の収率およびその後の製造工程に影響を与える可能性がある。第2の溶液の種々の特性(例えば、固形分または粘度)は、前述したように詳細に説明されているので、以下では繰り返さないことを理解されたい。この工程の後、本開示の光学的に均一な透明導電体100cを形成することができる。
【0071】
次いで、図7E~7Hを参照して、ステップS20~S26を繰り返して、本開示の別の光学的に均一な透明導電体100cを形成する。いくつかの実施形態において、図7Eで形成された導電回路150c、図7Fで形成された導電層112c及び図7Hで形成されたダミー層122cは、それぞれ、図7Aで形成された導電回路150c、図7Bで形成された導電層112c及び図7Dで形成されたダミー層122cとは異なるパターンを有することができる。
【0072】
次いで、図7Iを参照すると、ステップS28において、図7Aの光学的に均一な透明導電体100cは、図7Hの光学的に均一な透明導電体100cの上に配置される。いくつかの実施形態において、2つの光学的に均一な透明導電体100cは、接着剤層160cを介して互いに接着され得る。いくつかの実施形態では、接着剤層160cは、隣接するダミー層122cの間にさらに延びてもよい。いくつかの実施形態において、接着剤層160cは、例えば、高い光透過率を有する光学的に透明な接着剤であってもよい。このステップの後、2層の片面二つの光学的に均一な透明導電体100cを含む透明導電体を形成することができる。
<光学的に均一な透明導電体100dの製造方法>
【0073】
図8A図8Dは、異なる工程で図4の光学的に均一な透明導電体100dを製造する方法を示す概略断面図である。
【0074】
図8A図8Cを参照して、ステップS20~S26では、基板130dにおいて互いに対向する第1面131dの側と第2面133dの側とで、ステップS20~S26を繰り返す。詳細には、図8Aにおいて、導電回路150dは、基板130dの第1の表面131d及び第2の表面133d上に順次または同時に形成される;図8Bにおいて、導電層112dは、基板130dの第1の表面131d及び第2の表面133d上に順次または同時に形成される;図8Cにおいて、保護層140dは、基板130dの第1の表面131d及び第2の表面133d上に順次または同時に形成される。次いで、ダミー層122dは、保護層140dの、基板130dから離れて対向する表面141d上に順次または同時に形成される;この工程の後、単層両面透明導電体である本開示の光学的に均一な透明導電体100dを形成することができる。また、基板130dの第1面131d側および第2面133d側に形成された導電回路150d、導電層112d、ダミー層122dは、それぞれ異なるパターンを有していてもよい。
【0075】
次いで、図8Dを参照すると、いくつかの実施形態では、保護層170dは、フレキソ印刷によって基板130dからさらに離れた保護層140dの表面141d上にコーティングすることによって選択的に形成することができる。いくつかの実施形態では、保護層170dは、保護層140dと実質的に同じであり得、その結果、2つの保護層の間に界面が存在し得ない。
【0076】
本開示の前述の実施形態によれば、本開示の光学的に均一な透明導電体は、それぞれ機能領域および非機能領域を形成するために複数回コーティングされるので、機能領域および非機能領域は、それぞれ、それぞれ適切な電気的および光学的特性を提供するために、異なる材料および負荷容量。このように、機能領域と非機能領域の電気的および光学的特性は、製品の要件に応じて別々に調整でき、2つの領域は異なる電気的性能を持ちながら非常に一貫した光学的性能を持つことができます。
【0077】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0078】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正および変形を加えることができることは当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本開示は、それらが以下の特許請求の範囲内にあるという条件で、本開示の修正および変形をカバーすることが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8