(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128530
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】ビス及びビットの一対工具
(51)【国際特許分類】
B25B 23/10 20060101AFI20220826BHJP
B25B 13/54 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B25B23/10 A
B25B13/54 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026847
(22)【出願日】2021-02-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】521079134
【氏名又は名称】三宅 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100115370
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 彰
(72)【発明者】
【氏名】三宅 茂
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA02
3C038BB00
3C038BC01
3C038EA06
(57)【要約】
【課題】ビスを締め付ける又は緩める作業が完了するまでビットから離れないビス及びビットの一対工具を提供する。
【解決手段】ビス頭部1aの上段部の内側に大径雌ねじ部2が右ねじに形成され、ビス頭部1aの下段部の内側に大径雌ねじ部2と同軸上にある小径雌ねじ部3が左ねじに形成され、ビット4の一端部に大径雌ねじ部2に螺合する大径雄ねじ部5が右ねじに形成され、ビット4の他端部に小径雌ねじ部3に螺合する小径雄ねじ部6が左ねじに形成される。加えて、ビス頭部1aの上段部の大径雌ねじ部2の周囲にプラスビットの先端部と係合するプラスビット用溝が形成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス頭部の上段部の内側に大径雌ねじ部が右ねじに形成され、前記ビス頭部の下段部の内側に前記大径雌ねじ部と同軸上にある小径雌ねじ部が左ねじに形成され、
ビットの一端部に前記大径雌ねじ部に螺合する大径雄ねじ部が右ねじに形成され、前記ビットの他端部に前記小径雌ねじ部に螺合する小径雄ねじ部が左ねじに形成され、
前記ビスを締め付ける際は、前記ビス頭部の前記大径雌ねじ部に前記ビットの前記大径雄ねじ部を螺合させて一体として締め付ける、一方前記ビスを緩める際は、前記ビス頭部の前記小径雌ねじ部に前記ビットの前記小径雄ねじ部を螺合させて一体として緩めることを特徴とするビス及びビットの一対工具。
【請求項2】
前記ビス頭部の上段部の前記大径雌ねじ部の周囲にプラスビットの先端部と係合するプラスビット用溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載のビス及びビットの一対工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスを締め付ける又は緩める作業が完了するまでビットから離れないビス及びビットの一対工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビスを材に締め付ける又は緩める際に、ビスの頭部からビットが外れることが多い。また、小さなビスを締め付ける又は緩める際には、ビスを落下させることが多い。そのため、ビスを締め付ける又は緩める作業が完了するまでビスから手を離せないという問題があった。
【0003】
上記のような問題を解決するため、ビス保持機能(落下防止等)を有するビスに関して、例えば、以下に示すような先行技術が提案されている。
【0004】
実開平7-7872号公報(特許文献1)には、頂部中心に係止孔を縦設したビスと、前記ビスの係止孔に嵌合係止される係止体をドライバー杆の先端部中心に突設したドライバーとを組み合わせた「ビスとドライバーの組み合わせ並びにそのビスとドライバー」が提案されている。
【0005】
また、実開平5-80674号公報(特許文献2)には、ビット先端に設けたビス係止用突起でビスを確実に保持する「ビスビット」が提案されている。
【0006】
また、実開平7-227770号公報(特許文献3)には、適度な保持力でビス等を保持する「キャッチアダプタ」が提案されている。
【0007】
また、特開平7-1352号公報(特許文献4)には、チューブの弾力にて、ネジをネジ回しの先端に押さえつける「チューブ付きネジ回し」が提案されている。
【0008】
また、実開昭51-62198号公報(特許文献5)には、一定の姿勢で確実に保持できる「ドライバー用ねじホルダー」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平7-7872号公報
【特許文献2】実開平5-80674号公報
【特許文献3】実開平7-227770号公報
【特許文献4】特開平7-1352号公報
【特許文献5】実開昭51-62198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の特許文献1~5に記載されている技術では、ビスとビットが噛み合わなかった場合、ビスを締め付ける作業中にビスが外れたり又は斜めにねじ込まれたりする問題が考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて本願発明者が鋭意開発したものであり、ビスを締め付ける又は緩める作業が完了するまでビットから離れないビス及びビットの一対工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ビス頭部の上段部の内側に大径雌ねじ部が右ねじに形成され、前記ビス頭部の下段部の内側に前記大径雌ねじ部と同軸上にある小径雌ねじ部が左ねじに形成され、ビットの一端部に前記大径雌ねじ部に螺合する大径雄ねじ部が右ねじに形成され、前記ビットの他端部に前記小径雌ねじ部に螺合する小径雄ねじ部が左ねじに形成され、前記ビスを締め付ける際は、前記ビス頭部の前記大径雌ねじ部に前記ビットの前記大径雄ねじ部を螺合させて一体として締め付ける、一方前記ビスを緩める際は、前記ビス頭部の前記小径雌ねじ部に前記ビットの前記小径雄ねじ部を螺合させて一体として緩めることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記ビス頭部の上段部の前記大径雌ねじ部の周囲にプラスビットの先端部と係合するプラスビット用溝が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかるビス及びビットの一対工具によれば、ビスとビットを螺合させて固定することができるため、ビスを締め付ける又は緩める際にビスとビットが一体となり、ビスを持たないで作業ができる、これにより、高所での作業、上向きでの作業又は狭いところでの片手での作業などにおいて、ビスを締め付ける又は緩める作業効率が向上する。また、作業中ビスの落下を確実に防止することができることから、材をビットの先端で傷つける又はビットによる指先のケガなどが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかるビスの一例を示す正面部分断面図
【
図7】
図1のビスを締め付ける際の使用状態を示す斜視図
【
図9】
図1のビスを緩める際の使用状態を示す斜視図
【
図10】本発明にかかるビスの他例を示す正面部分断面図
【
図12】
図10のビスを締め付ける又は緩める際の正面部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態について図面を参酌しながら説明する。なお、本発明にかかるビス及びビットの各構成については、以下の実施例に限定されるものではなく、使用状況によって適宜変更することができる。
【0017】
図1は本発明にかかるビスの一例を示す正面部分断面図、
図2は平面図である。
図1又は
図2に示すように、ビス頭部1aの上段部の内側には大径雌ねじ部2が右ねじに形成されている。また、ビス頭部1aの下段部の内側には大径雌ねじ部2と同軸上にある小径雌ねじ部3が左ねじに形成されている。尚、大径雌ねじ部2と小径雌ねじ部3の直径及び深さは、ビス頭部1aの直径及び厚さに応じて適宜変更することができる。
【0018】
図3は本発明にかかるビットの一例を示す正面図、
図4は底面図、
図5は平面図である。
図3乃至
図5に示すように、電動ドライバーに取り付けるビット4の一端部には大径雌ねじ部2に螺合する大径雄ねじ部5が右ねじに形成されている。また、ビット4の他端部には小径雌ねじ部3に螺合する小径雄ねじ部6が左ねじに形成されている。
【0019】
図6はビスを締め付ける際の正面部分断面図、
図8はビスを緩める際の正面部分断面図である。
図6に示すように、ビス1を締め付ける際は、ビス頭部1aの大径雌ねじ部2にビット4の大径雄ねじ部5を螺合させ右回りに回転させて締め付ける。これにより、ビス1を締め付ける際にビス1とビット4が一体となり、ビス1を持たないで締め付け作業ができる(
図7参照)。一方、
図8に示すように、ビス1を緩める際は、ビス頭部1aの小径雌ねじ部3にビット4の小径雄ねじ部6を螺合させ左回りに回転させて緩める。これにより、ビス1を緩める際にビス1とビット4が一体となり、ビス1を持たないで緩める作業ができる(
図9参照)。
以上のように、ビス1を締め付ける又は緩める作業が完了するまでビット4から離れないビス及びビットの一対の構造を採用することにより、ビス1を締め付ける又は緩める作業効率が向上するとともに、作業中ビス1の落下を確実に防止することができる。
【0020】
次に、
図10は本発明にかかるビスの他例を示す正面部分断面図、
図11は平面図である。
図10又は
図11に示すように、ビスの他例は上述した例と同様にビス頭部1aの上段部の内側には大径雌ねじ部2が右ねじに形成され、ビス頭部1aの下段部の内側には大径雌ねじ部2と同軸上にある小径雌ねじ部3が左ねじに形成されている。加えてビス頭部1aの上段部の大径雌ねじ部2の周囲にプラスビット8(
図12参照)の先端部と係合する側面視テーパー状のプラスビット用溝7(4カ所)が形成されている。このように、プラスビット用溝7を付加することにより、
図12に示すように、プラスビット8を使用してビス1を締め付ける又は緩める作業を行うことも可能になる。
【符号の説明】
【0021】
1 ビス
1a ビス頭部
2 大径雌ねじ部
3 小径雌ねじ部
4 ビット
5 大径雄ねじ部
6 小径雄ねじ部
7 プラスビット用溝
8 プラスビット