IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧

特開2022-128543働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム
<>
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図1
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図2
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図3
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図4
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図5
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図6
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図7
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図8
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図9
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図10
  • 特開-働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128543
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220826BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026876
(22)【出願日】2021-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100172502
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀧 眞輔
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 毅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049AA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】企業その他の組織における働き方を分析する働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】働き方分析装置100において、組織について、分析の入力値となるパラメータ群を収集するパラメータ収集部110、収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々から、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する座標算出部120及び算出した前記座標に基づいて、組織における働き方が予め設定した働き方パターンのいずれか判定するパターン判定部130を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて組織における働き方を分析する働き方分析方法であって、
組織について、分析の入力値となるパラメータ群を収集する、パラメータ収集ステップと、
前記収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々に基づいて、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する、座標算出ステップと、
前記算出した前記座標に基づいて、前記組織における前記働き方が予め設定した働き方パターンのいずれか判定する、パターン判定ステップと、
を備えることを特徴とする、働き方分析方法。
【請求項2】
前記パターン判定ステップが、
前記座標系における所定の範囲に属する所定数以上の前記座標を座標集団として抽出する、座標集団抽出ステップを備え、
前記座標集団の数、位置、大きさのいずれか一又は二以上に基づいて、前記組織における前記働き方が前記働き方パターンのいずれか判定する
ことを特徴とする、請求項1記載の働き方分析方法。
【請求項3】
前記働き方分析方法が、さらに、
前記座標がプロットされた前記座標系及び前記判定された前記働き方パターンを出力する、分析結果出力ステップを備える
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の働き方分析方法。
【請求項4】
前記働き方分析方法が、さらに、前記判定された前記働き方パターンに基づいて、前記組織の設備及び/又は什器に関する提案情報を生成する、提案生成ステップを備える
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の働き方分析方法。
【請求項5】
前記座標系が、第一の座標軸及び第二の座標軸からなる二次元座標系であり、
第一の座標軸は、前記組織の構成員が集合乃至分散して業務を行うことを示す座標軸であり、
第二の座標軸は、一方が前記組織の業務遂行に資する度合いを示し、他方が前記組織の前記構成員の関係性に資する度合いを示す座標軸である
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の働き方分析方法。
【請求項6】
前記座標系が、前記組織の構成員が分散して業務を行う度合いを負の値として示し、前記組織の構成員が集合して業務を行う度合いを正の値として示すX軸と、
前記組織の業務遂行に資する度合いを正の値として示し、前記組織の前記構成員の関係性に資する度合いを負の値として示すY軸と、からなる二次元座標系であり、
前記パターン判定ステップが、前記座標系における第一象限及び第四象限に位置する第一の座標集団と、前記座標系における第二象限に位置する第二の座標集団が抽出された場合であって、前記第一の座標集団が前記第二の座標集団よりも大きい集団である場合に、前記組織の働き方を、業務遂行機能が集約されたオフィス及び在宅勤務からなる前記働き方パターンを示す次世代標準パターンと判定する
ことを特徴とする、請求項2記載の働き方分析方法。
【請求項7】
前記パターン判定ステップが、さらに、
前記座標系における第一象限に位置する第一の座標集団と、前記座標系における第二象限に位置する一又は二以上の第二の座標集団と、前記座標系における第四象限に位置する第三の座標集団が抽出された場合であって、前記第一の座標集団が、前記第二の座標集団及び前記第三の座標集団よりも小さい集団である場合に、前記組織の働き方を、サテライトオフィスを用いた前記働き方パターンを示す都市内業務パターンと判定する
ことを特徴とする、請求項6記載の働き方分析方法。
【請求項8】
前記パターン判定ステップが、さらに、
前記座標系における第一象限乃至第四象限のすべての象限に一又は二以上の前記座標集団が抽出された場合に、前記組織の働き方を、業務遂行に用いる設備を動的確保する前記働き方パターンを示す動的資源パターンと判定する
ことを特徴とする、請求項6又は7に記載の働き方分析方法。
【請求項9】
前記パターン判定ステップが、さらに、
前記座標系における第一象限に一又は二以上の前記座標集団が抽出され、前記座標系における第二象限乃至第四象限のいずれにも前記座標集団が抽出されなかった場合に、前記組織の働き方を、業務遂行に用いる設備及び資源を集中させる前記働き方パターンを示すオフィス集中パターンと判定する
ことを特徴とする、請求項6~8のいずれかに記載の働き方分析方法。
【請求項10】
前記パターン判定ステップが、さらに、
前記座標系における第一象限乃至第四象限のすべてに属する前記座標集団が抽出された場合に、前記組織の働き方を、業務と生活の境界をあいまいにする前記働き方パターンを示す職住混合パターンと判定する
ことを特徴とする、請求項6~9のいずれかに記載の働き方分析方法。
【請求項11】
前記座標系が、第一乃至第三の座標軸からなる三次元座標系であり、
第一の座標軸は、前記組織の構成員が集合乃至分散して業務を行うことを示す座標軸であり、
第二の座標軸は、前記組織の業務遂行に資する度合いを示す座標軸であって、一方が前記組織の生産性に資する度合いを示し、他方が前記組織の創造性に資する度合いを示す座標軸であり、
前記第三の座標軸は、前記組織の前記構成員の関係性に資する度合い示す座標軸であって、一方が前記構成員同士の関係性に資する度合いを示し、他方が前記構成員と前記組織の関係性に資する度合いを示す座標軸である
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の働き方分析方法。
【請求項12】
組織における働き方を分析する働き方分析装置であって、
組織について、分析の入力値となるパラメータ群を収集する、パラメータ収集部と、
前記収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々から、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する、座標算出部と、
前記算出した前記座標に基づいて、前記組織における前記働き方が予め設定した働き方パターンのいずれか判定する、パターン判定部と、
を備えることを特徴とする、働き方分析装置。
【請求項13】
コンピュータを請求項12に記載の働き方分析装置として機能させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラムに関し、具体的には、企業その他の組織における働き方を分析する働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスその他の業務を行う施設や空間において、従業員の活動を分析し、施設や空間の改善を支援する情報システムとして、例えば特許文献1のオフィス活動分析システムが知られている。
【0003】
特許文献1のオフィス活動分析システムは、ユーザ間の通信の履歴と、ユーザの行動履歴を取得・分析して、ユーザのオフィス活動の状況を示すデータを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-115003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の企業活動は、オフィスや工場等の施設内の作業にとどまらなくなってきている現状がある。例えば、自然災害や感染症拡大等が発生した場合に、従業員その他の構成員を施設内に集めて業務を行うことが難しい場合が発生し得る。
【0006】
また、従業員その他の構成員の働き方に対する考え方も変化する傾向が見られている。例えば勤務地について自宅その他の遠隔地での作業を希望したり、勤務時間についても固定的な就業時間にとらわれず構成員それぞれのライフスタイルに合わせた勤務時間の選択が希望されたり、あるいは、勤務内容や就業する企業の業務内容と構成員の志向の合致が優先されることも多く、仕事と家庭のバランスを保ちながら働くことを希望されることも増加している。
【0007】
一方で、昨今ではレンタルオフィスや貸会議室等の事業が盛んに行われており、業務に必要な施設・設備その他の資源を必要に応じて必要な時間確保することが容易になっている。また、計算機ネットワークを始めとする社会基盤の整備も進んでおり、従業員その他の構成員が自宅やレンタルオフィスで業務を行う、いわゆるテレワークやリモートワークと呼ばれる業務形態も広く知られるようになっている。
【0008】
上記のように、従業員その他の構成員の意識や社会基盤は大きく変化している一方で、従来の情報システムは、従業員その他の構成員が特定の施設に集まって業務を行うことを想定しており、昨今の企業活動における働き方を分析することができないという問題があった。
【0009】
本発明は上記の問題に鑑み、企業その他の組織における働き方を分析することができる、働き方分析方法、働き方分析装置、及びプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するためになされた本発明に係る働き方分析方法は、コンピュータを用いて組織における働き方を分析する働き方分析方法であって、組織について、分析の入力値となるパラメータ群を収集する、パラメータ収集ステップと、前記収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々に基づいて、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する、座標算出ステップと、前記算出した前記座標に基づいて、前記組織における前記働き方が予め設定した働き方パターンのいずれか判定する、パターン判定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る働き方分析方法は、前記パターン判定ステップが、前記座標系における所定の範囲に属する所定数以上の前記座標を座標集団として抽出する、座標集団抽出ステップを備え、前記座標集団の数、位置、大きさのいずれか一以上に基づいて、前記組織における前記働き方が前記働き方パターンのいずれか判定するようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る働き方分析方法は、前記働き方分析方法が、さらに、前記座標がプロットされた前記座標系及び前記判定された前記働き方パターンを出力する、分析結果出力ステップを備えるようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る働き方分析方法は、前記働き方分析方法が、さらに、前記判定された前記働き方パターンに基づいて、前記組織の設備及び/又は什器に関する提案情報を生成する、提案生成ステップを備えるようにしてもよい。
【0014】
本発明に係る働き方分析方法は、前記座標系が、第一の座標軸及び第二の座標軸からなる二次元座標系であり、第一の座標軸は、前記組織の構成員が集合乃至分散して業務を行うことを示す座標軸であり、第二の座標軸は、一方が前記組織の業務遂行に資する度合いを示し、他方が前記組織の前記構成員の関係性に資する度合いを示す座標軸であるようにしてもよい。
【0015】
本発明に係る働き方分析方法は、前記座標系が、前記組織の構成員が分散して業務を行う度合いを負の値として示し、前記組織の構成員が集合して業務を行う度合いを正の値として示すX軸と、前記組織の業務遂行に資する度合いを正の値として示し、前記組織の前記構成員の関係性に資する度合いを負の値として示すY軸と、からなる二次元座標系であり、前記パターン判定ステップが、前記座標系における第一象限及び第四象限に位置する第一の座標集団と、前記座標系における第二象限に位置する第二の座標集団が抽出された場合であって、前記第一の座標集団が前記第二の座標集団よりも大きい集団である場合に、前記組織の働き方を、業務遂行機能が集約されたオフィス及び在宅勤務からなる前記働き方パターンを示す次世代標準パターンと判定するようにしてもよい。
【0016】
本発明に係る働き方分析方法は、前記パターン判定ステップが、さらに、前記座標系における第一象限に位置する第一の座標集団と、前記座標系における第二象限に位置する一又は二以上の第二の座標集団と、前記座標系における第四象限に位置する第三の座標集団が抽出された場合であって、前記第一の座標集団が、前記第二の座標集団及び前記第三の座標集団よりも小さい集団である場合に、前記組織の働き方を、サテライトオフィスを用いた前記働き方パターンを示す都市内業務パターンと判定するようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る働き方分析方法は、前記パターン判定ステップが、さらに、前記座標系における第一象限乃至第四象限のすべての象限に一又は二以上の前記座標集団が抽出された場合に、前記組織の働き方を、業務遂行に用いる設備を動的確保する前記働き方パターンを示す動的資源パターンと判定するようにしてもよい。
【0018】
本発明に係る働き方分析方法は、前記パターン判定ステップが、さらに、前記座標系における第一象限に一又は二以上の前記座標集団が抽出され、前記座標系における第二象限乃至第四象限のいずれにも前記座標集団が抽出されなかった場合に、前記組織の働き方を、業務遂行に用いる設備及び資源を集中させる前記働き方パターンを示すオフィス集中パターンと判定するようにしてもよい。
【0019】
本発明に係る働き方分析方法は、前記パターン判定ステップが、さらに、前記座標系における第一象限乃至第四象限のすべてに属する前記座標集団が抽出された場合に、前記組織の働き方を、業務と生活の境界をあいまいにする前記働き方パターンを示す職住混合パターンと判定するようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る働き方分析方法は、前記座標系が、第一乃至第三の座標軸からなる三次元座標系であり、第一の座標軸は、前記組織の構成員が集合乃至分散して業務を行うことを示す座標軸であり、第二の座標軸は、前記組織の業務遂行に資する度合いを示す座標軸であって、一方が前記組織の生産性に資する度合いを示し、他方が前記組織の創造性に資する度合いを示す座標軸であり、前記第三の座標軸は、前記組織の前記構成員の関係性に資する度合い示す座標軸であって、一方が前記構成員同士の関係性に資する度合いを示し、他方が前記構成員と前記組織の関係性に資する度合いを示す座標軸であるようにしてもよい。
【0021】
本発明に係る働き方分析装置は、組織における働き方を分析する働き方分析装置であって、組織について、分析の入力値となるパラメータ群を収集する、パラメータ収集部と、前記収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々から、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する、座標算出部と、前記算出した前記座標に基づいて、前記組織における前記働き方が予め設定した働き方パターンのいずれか判定する、パターン判定部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、収集したパラメータ群に含まれるパラメータの各々に基づいて、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出し、該算出した座標に基づいて分析対象となる組織における働き方のパターンを判定する。これにより、本発明では、企業その他の組織における働き方を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態の一例に係る働き方分析装置の構成を示す図である。
図2】同実施形態の一例に係る働き方分析の処理の流れを示すフロー図である。
図3】同実施形態の一例における、パラメータのカテゴリの例を示す概念図である。
図4】同実施形態の一例における、座標系の構成を示す図である。
図5】同実施形態の一例における、座標集団の構成例を示す図である。
図6】同実施形態の一例における、次世代標準パターンの構成を示す図である。
図7】同実施形態の一例における、都市内業務パターンの構成を示す図である。
図8】同実施形態の一例における、動的資源パターンの構成を示す図である。
図9】同実施形態の一例における、オフィス集中パターンの構成を示す図である。
図10】同実施形態の一例における、職住混合パターンの構成を示す図である。
図11】同実施形態の一例における、分析結果画面の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。図1は、本実施形態の一例における働き方分析装置100の構成を示す図である。図1で示すように、本実施形態の一例における働き方分析装置100は、パラメータ収取部110と、座標算出部120と、パターン判定部130と、分析結果出力部140と、データベース150を備えている。
【0025】
本実施形態の一例において、働き方分析装置100は、サーバ用途のコンピュータを用いて構築されている。コンピュータのHDDその他の記憶装置に当該コンピュータを働き方分析装置100として機能させるプログラムを記録しておき、当該プログラムをコンピュータのメモリにロードしてCPU(中央演算処理装置)が実行することにより、コンピュータを本実施形態の一例に係る働き方分析装置100として機能させる。なお、本実施形態の一例において、前述のパラメータ取得部110,座標算出部120、パターン判定部130、分析結果出力部140はソフトウェアにより構成されている。
【0026】
パラメータ収集部110は、分析の入力値となるパラメータ群を収集する。本実施形態の一例における働き方分析装置100は後述するようにネットワーク300を介して利用者端末200と通信接続可能に接続されており、パラメータ収集部110は、利用者端末200から利用者の操作により送信されたパラメータ群を受信して、後述するデータベース160に記録する。
【0027】
座標算出部120は、パラメータ収集部110により収集されたパラメータ群に含まれるパラメータの各々に基づいて、少なくとも二以上の座標軸からなる座標系における座標を算出する。
【0028】
パターン判定部130は、座標算出部120により算出された座標に基づいて、分析対象となる組織における働き方が、働き方分析装置100に予め設定された働き方パターンのいずれか判定する。本実施形態の一例では、パターン判定部130が座標集団抽出部130を備えており、座標集団抽出部130が前述の座標系における所定の範囲に属する所定数以上の座標から座標集団を抽出し、当該抽出された座標集団の数、位置、大きさの何れか一又は二以上に基づいて働き方パターンを判定する。
【0029】
分析結果出力部140は、パターン判定部130により判定した結果として、座標算出部120が算出した座標をプロットした前述の座標系、及び、パターン判定部130により判定された分析対象となる組織における働き方パターンを出力する。
【0030】
データベース150は、働き方分析装置100の機能に必要な情報を格納するデータベースである。本実施形態の一例では、働き方分析装置100にRDBMS(リレーショナル・データベース・マネージメント・システム)が構築されており、当該RDBMSをデータベース150として用いている。なお、データベース150の具体的な構成は任意に変更してよく、例えば、RDBMSに代えて、働き方分析装置100が備えるHDDその他の記憶装置の一部に、必要な情報を直接配置してデータベース150としてもよい。
【0031】
利用者端末200は、働き方分析装置100の機能の提供を受けるクライアント端末である。本実施形態の一例では、利用者端末200と働き方分析装置100がネットワーク300により通信可能に接続され、働き方分析装置100による働き方分析処理は、利用者端末200からネットワーク300を介して働き型分析装置100を操作することにより実行される。
【0032】
本実施形態の一例では、働き方分析装置100は、クライアント端末である利用者端末200とネットワーク300を介して通信可能に接続される。ネットワーク300は、いわゆるインターネットのような広域的な計算機ネットワークを用いてもよいし、LAN(ローカルエリアネットワーク)を用いてもよい。また、広域ネットワーク上に構築したVPN(仮想プライベートネットワーク)を用いてもよい。
【0033】
なお、本実施形態の一例では、働き方分析装置100を一台のサーバ用コンピュータを用いて構成しているが、働き方分析装置100のハードウェア構成は任意に変更してよく、例えば、パラメータ取得部110、座標算出部120、パターン判定部130、分析結果出力部140、提案生成部150の各機能を提供するコンピュータと、データベース150の機能を提供するコンピュータから構成するようにしてもよい。また、働き方分析装置100が提供する機能の一部を二台以上のコンピュータにより提供するように構成してもよく、例えば、データベース150の機能を二台以上のコンピュータにより構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態の一例では、働き方分析装置100がネットワーク300を介して利用者端末200と通信可能に接続されているが、働き方分析装置100を二台以上のコンピュータを用いて構成する場合に、当該二台以上のコンピュータのうち、直接利用者端末200と通信する必要がないコンピュータについては、ネットワーク300と接続されない構成としてもよい、例えば、働き方分析装置100を、利用者端末200と通信するフロントエンドサーバと、データベース150を含むバックエンドサーバから構成する場合には、フロントエンドサーバのみがネットワーク300と接続され、フロントエンドサーバとバックエンドサーバはLAN(ローカルエリアネットワーク)により接続されるように構成してもよい。
【0035】
以上が、本実施形態の一例における働き方分析装置100の構成である。次いで、本実施形態の一例における、働き方分析の処理の流れについて説明する。
【0036】
図2は、本実施形態の一例における働き方分析の処理の流れを示すフロー図である。本実施形態の一例における働き方分析処理では、まず、利用者が利用者端末200を操作して働き方分析装置100の働き方分析処理を実行すると、働き方分析装置100が備えるパラメータ収集部110による、分析の入力値となるパラメータ群の収集が行われる(ステップS100)。
【0037】
分析の入力値となるパラメータとしては、例えば組織の施設、設備、什器等の種類や数をパラメータとしても良いし、また、組織全体や部門等組織の一部、或いは構成員のそれぞれにアンケートやサーベイ等による質問を行い、当該質問への回答を数値化してパラメータとしてもよい。また、組織の事業計画は戦略、方針等を数値化したものをパラメータとしてもよく、これらを組み合わせてパラメータ群としてもよい。
【0038】
図3は、本実施形態の一例において、組織の施設その他の設備や、組織が保有する情報や資金、文化や人的資源その他をパラメータ化する際におけるカテゴリを示す概念図である。図3で示すように、本実施形態の一例では、経営理念・戦略カテゴリC100と、経営管理基盤カテゴリC200と、経営資源カテゴリC300の3つのカテゴリによって、分析対象の組織が備える要素をパラメータ化する。
【0039】
経営理念・戦略カテゴリC100は、ビジョン・ミッションカテゴリC110及び経営戦略カテゴリC120を含むカテゴリである。
【0040】
経営管理基盤カテゴリC200は、組織カテゴリC210、業務・プロセスカテゴリC220、制度・システムカテゴリC230、ルール・規定カテゴリC240を含むカテゴリである。
【0041】
経営資源カテゴリC300は、人的資源カテゴリC310、物的資源カテゴリC320、資金カテゴリC330、情報資源カテゴリC340を含むカテゴリである。
【0042】
本実施形態の一例では、分析対象の組織について、上記カテゴリC100~C300、及びC110~C120、C210~C240、C310~C340に分類されたカテゴリのそれぞれについて、一又は二以上のパラメータとして数値化する。数値化したパラメータ群はステップS100において、パラメータ収集部110によりデータベース160に記憶される。なお、パラメータ群の収集の具体的な方法は任意に選択してよく、例えば、パラメータの項目を示すパラメータIDと、パラメータを数値化したパラメータ値をCSV(Comma Separated Values)その他のフォーマットで記載したファイルを利用者端末200から働き方分析装置100に送信し、当該ファイルを受信した働き方分析装置100のパラメータ収集部110が当該ファイルの内容をデータベース150に格納可能な形式に変換して格納するようにしてよい。
【0043】
なお、本実施形態の一例では、カテゴリの一として経営資源カテゴリC300を用いているが、例えばこれに替えて、文化カテゴリ、社員エンゲージメントカテゴリ、職場雰囲気カテゴリ、暗黙ルールカテゴリを含むソフトウェア要素カテゴリを用いてもよく、カテゴライズは分析対象の組織や分析の内容に応じて任意に変更してよい。
【0044】
収集したパラメータ群は、次いで、座標算出部120により、各パラメータのそれぞれに基づいて座標が算出される(ステップS200)。本実施形態の一例では、後述するX軸及びY軸からなる2次元の座標系が予め設定されており、ステップS100で収集したそれぞれのパラメータから当該座標系における座標を算出する。
【0045】
図4は、本実施形態の一例における座標系の構成を示す図である。図4で示すように、本実施形態の一例における座標系L100は、X軸L110及びY軸L120が直行する2次元の座標系である。本実施形態の一例では、X軸L110及びY軸L120がそれぞれ-10~10の値で示されており、原点で直交するX軸L110及びY軸L120により第一象限L130、第二象限L140、第三象限L150、第四象限L160が構成される。
【0046】
X軸L110は、分析対象となる組織の構成員が集合乃至分散して業務を行う度合いを示す座標軸である。本実施形態の一例では、一端側を組織の構成員が集合して業務を行う度合いとし、他端側を組織の構成員が分散して業務を行う度合いとしており、集合して業務を行う度合いを正の値、分散して業務を行う度合いを負の値として示す。
【0047】
本実施形態の一例では、オフィスや工場その他の施設に構成員を集めて業務を行っていた従来の働き方から、構成員の意識の変化、ネットワーク環境やテレワーク、リモートワークに適した設備その他の社会基盤の整備状況、さらには、自然災害や感染症が発生した際のリスク対策に基づいて、組織が業務を遂行する上で、構成員が分散乃至集合して業務を行う度合いを分析の観点としている。
【0048】
構成員の意識は、従来の業務遂行を重視する考え方から、ワークライフバランスや、業務に対する充実感や満足感を含めて、構成員の人生において総合的な幸福を重視する考え方が指示されるようになっている。このような構成員の意識の変化に対応し、構成員のそれぞれが充実して各自の業務を遂行できることが、昨今の組織には求められるようになっている。一方で、組織からは、複雑化、高度化する市場の要求に応えるその他の理由により、力強い強固なチームワークを形成し、構成員が集合することによる業務遂行能力を確保することも求められる。
【0049】
また、昨今ではスマートフォンやウエアラブル端末等のデバイスが普及し、通信ネットワークの高速化や大容量化、さらには通信ネットワーク上でのセキュリティが向上することにより、オフィスや工場その他の施設外においても、セキュアな高速ネットワーク通信により業務を行うことができるようになっている。さらには、レンタルオフィスや貸会議室等、テレワークやリモートワークに適した施設も増えている現状がある。このように、社会基盤の整備が進んでいることから、前述の構成員の意識の変化に合わせた働き方を行える環境を整備することで、構成員の業務効率を向上させることが期待されている。
【0050】
さらには、オフィスや工場その他の施設の構成員を集めて業務を行う従来の働き方は、自然災害や感染症の拡大等が発生した場合に、構成員の安全や構成員の通勤経路を確保することができなくなることが近年増加している。分散して業務を行う環境を組織が確保していることにより、このような事態が発生した場合に業務遂行能力への負の影響を低減させることができ、組織を分析する上で、本実施形態の一例では構成員の分散乃至集合の度合いを測ることを、組織の働き方を分析する上での観点としている。
【0051】
Y軸L120は、分析対象となる組織において、業務遂行乃至構成員の関係性のいずれに資するかを度合いで示す座標軸である。本実施形態の一例では、一端側を業務遂行に資する度合いとし、他端側を構成員の関係性に資する度合いとして、業務遂行に資する度合いを正の値、構成員の関係性に資する度合いを負の値で示す。
【0052】
本実施形態の一例では、従来のオフィスや工場その他の施設が発揮していた機能を、組織の業務遂行という顕在的な機能と、組織の構成員の関係性を構築乃至維持する機能の二の機能からなるものとし、当該二機能の何れに資する要素を有しているかを分析の観点としている。
【0053】
業務遂行機能は、従来のオフィスや工場その他の施設において、施設や設備、什器等が顕在的に有する機能である。例えば業務を行う机や椅子、会議室や応接室、或いは工作機械やコンピュータ等は、元来、業務を遂行する目的で導入されるものである。
【0054】
一方で、会議室や休憩室、オープンスペースの作業空間等は、上記業務遂行能力以外に、組織の構成員の関係性を構築乃至維持する機能を発揮するものである。構成員が同一の空間にいることで、当該空間を媒体すなわちメディアとして会話その他の手段により情報共有を行い、高い業務遂行能力を有するチームとしての関係性が構築乃至維持される。本実施形態の一例では、従来のオフィスや工場その他の施設が発揮していた機能として、構成員の関係性を構築乃至維持するメディア機能に資する要素を有しているかを分析の観点の一としている。
【0055】
本実施形態の一例では、前述のように、X軸L110として構成員の分散乃至集合の度合いを分析の観点の一とし、構成員が分散して働き得ることを想定して、組織の働き方を分析する。構成員が分散して働き得る以上は、オフィスや工場その他の施設に構成員を集めて業務を行う従来の働き方よりも、上記構成員の関係性は構築乃至維持が難しくなり得るという観点から、Y軸L120として、一端側が構成員の関係性に資する度合い、すなわち、メディア機能に資する度合いを示す座標軸を設けることで、例えば構成員が分散して業務を行う場合に、当該分散する構成員の関係性を構築乃至維持できる要素を備えているかを分析するものである。
【0056】
本実施形態の一例におけるステップS200では、ステップS100で収集したパラメータのそれぞれに基づいて、座標系L100における座標を算出する。
【0057】
座標を算出する方法は任意に選択してよいが、例えば、各パラメータの項目毎に、X軸及びY軸それぞれについての重み値を設定して、当該重み値を用いて座標を算出してよい。例えば、一のパラメータの値が4であり、当該パラメータについてX軸の重みが-2.6、Y軸の重みが1.1の場合、当該パラメータから座標(-9.2,4.4)を算出するようにしてよい。
【0058】
また、上記の例では一のパラメータ値から一の座標を算出しているが、例えば二以上のパラメータ値から一の座標を算出するようにしてもよい。例えば、二のパラメータ値から座標の値や係数、重み、算出式等を割り当てるマトリクスを予め作成して、当該マトリクス及び二のパラメータ値に基づいて座標を算出してよいし、或いは、一のパラメータの値をX軸L110上の値に正規化し、他のパラメータの値をY軸L120上の値に正規化して、座標系L100上の座標として算出してもよい。
【0059】
なお、本実施形態の一例では、座標系L100をX軸L110とY軸L120からなる二次元の座標系としているが、座標系L100を構成する座標軸の数を3以上としてもよい。例えば、本実施形態の一例ではY軸L120を、業務遂行乃至構成員の関係性に資する度合いを示す座標軸としているが、例えば、業務遂行及び構成員の関係性のそれぞれを一の座標軸として、X軸L110と合わせて3座標軸からなる3次元の座標系としてもよい。この場合、例えば、業務遂行に資する度合いは、これを生産性乃至創造性に資する度合いを示す一の座標軸としてもよい。この場合、生産性はいかに効率的に業務を実行するかを表す指標であり、創造性はいかに価値あるアイデアを創出するかを表す指標であり、本実施形態の一例における業務遂行に資する度合いを生産性乃至創造性に資する度合いとして、一の座標軸で示すようにしてもよい。また、構成員の関係性に資する度合いは、これを対人乃至対組織の関係性に資する度合いを示す一の座標軸としてもよい。対人の関係性は構成員と構成員の関係性であり、いかに力強いチームを構築乃至維持するかを表す指標である。耐組織は構成員と組織の関係性であり、いかに構成員のエンゲージメントを強固なものとするかを表す指標である。本実施形態の一例における構成員の関係性に資する度合いを対人乃至対組織の関係性に資する度合いとして、一の座標軸で示すようにしてもよい。
【0060】
ステップS100で収集したパラメータに基づいて、前述のステップS200における座標算出が完了すると、次いで、パターン判定部による、当該算出した座標に基づくパターン判定が行われる(ステップS300)。
【0061】
本実施形態の一例におけるパターン判定ステップS300は、パターン判定部130が備える座標算出部131による座標集団抽出ステップ(ステップS310)が含まれている。座標集団抽出ステップS310は、ステップS200においてパラメータから算出した座標群から、所定の範囲の範囲に属する所定数以上の座標を抽出する。
【0062】
図5は、本実施形態の一例における、座標系L100の座標から抽出した座標集団の構成例を示す図である。座標集団抽出ステップS310では、所定の範囲に所定数以上の座標が属する場合に、座標集団として抽出する。図5に示す例では、座標系L100の第一象限において座標集団L201、L202、第1及び第四象限において座標集団L203、第二象限において座標集団L204、第四象限において座標集団L205を抽出している。
【0063】
座標集団を抽出する条件、すなわち、上記所定の範囲及び所定数は任意に設定してよく、例えば、座標系L100におけるX軸L110及びY軸L120のそれぞれ2の範囲に、20以上の座標が属する場合に座標集団として抽出するようにしてよい。また、ステップS310において二以上の座標集団が抽出され、且つ、座標集団の一部が重なる場合に、これを統合して一の座標集団として抽出してもよいし、互いに重なり合う二以上の座標集団として抽出してもよい。
【0064】
本実施形態の一例では、ステップS310において、抽出された座標集団それぞれについて、座標集団の中心座標と、X軸L110範囲と、Y軸L120範囲と、属する座標の数がデータベース160に記録される。
【0065】
ステップS310による座標集団の抽出が完了すると、当該抽出した座標集団の数、位置、大きさのいずれか一以上に基づいて、パターン判定部130によるパターン判定が行われる。
【0066】
本実施形態の一例では、働き方分析装置100に予め5つの働き方パターンが設定されており、ステップS300では、ステップS310で抽出した座標集団の数、位置、大きさのいずれか一以上に基づいて、組織の働き方が上記5つの働き方パターンのいずれかを判定する。
【0067】
図6図10は、本実施形態の一例において、働き方分析装置100に予め設定された働き方パターンの構成示す図であり、図6は次世代標準パターンP1、図7は都市内業務パターンP2、図8は動的資源パターンP3、図9はオフィス集中パターンP4、図10は職住混合パターンを示す図P5の構成を示す図である。
【0068】
次世代標準パターンP1は、業務遂行機能が集約されたオフィスと、住宅勤務を組み合わせた働き方を示す働き方パターンである。図6で示すように、本実施形態の一例における次世代標準パターンP1は、座標系L100における第一象限L130及び第四象限L160の双方に属する位置の第一の座標集団P11と、第二象限L140に位置する第二の座標集団P12を備えており、第一の座標集団P11は、第二の座標集団P12により大きな集団である。ステップS310において、第一の座標集団P11及び第二の座標集団P12に相当する座標集団が抽出された場合には、ステップS300により次世代標準パターンP1と判定される。
【0069】
次世代標準パターンP1は、従来型の機能集約的な集合オフィス等施設における業務を基本として、構成員の適切なワークライフバランスの実現や、構成員による育児や介護といったライフイベントに合わせた働き方を選択できるように、柔軟な在宅勤務環境を整備した働き方パターンであると共に、自然災害や感染症の拡大等が発生しても業務を遂行できる働き方パターンである。次世代標準パターンP1は、例えば構成員が子育てをしながらでも働けるような業務環境を提供し、オフィス等施設と共にシステムや社会基盤、制度の整備に合わせて構成員の働き方の多様化に適合する働き方パターンである。
【0070】
都市内業務パターンP2は、サテライトオフィスを用いる働き方を示す働き方パターンである。図7で示すように、都市内業務パターンP2は、座標系L100における第一象限L130に位置する第一の座標集団P21と、第二象限L140に位置する一又は二以上の第二の座標集団P22と、第四象限L160に位置する第三の座標集団P23を備えており、第一の座標集団P21は、第二の座標集団P22及び第三の座標集団P23よりも小さい集団である。ステップS310において、第一の座標集団P21~第三の座標集団P23に相当する座標集団が抽出された場合には、ステップS300により都市内業務パターンP2と判定される。
【0071】
都市内業務パターンP2は、組織自身が所有する設備として構成員同士の交流機能に特化したオフィス施設と業務遂行に特化したオフィス施設を備える一方で、自宅やカフェ、分散配置したサテライトオフィスや一時的な会議室等をシェアオフィスとして用いる等により、組織としての機能を分配して費用対効果を向上させる働き方パターンである。都市内業務パターンP2は、例えば都市全体を、業務を遂行する空間として活用し、構成員それぞれに柔軟で自在な働き方を提供する働き方パターンである。
【0072】
動的資源パターンP3は、業務遂行に用いる設備を動的に確保する働き方を示す働き方パーンである。図8で示すように、動的資源パターンP3は、座標系L100における第一象限L130~第四象限L160の全ての象限に一又は二以上の座標集団P31を備えている。ステップS310において、座標集団P31に相当する座標集団が第一象限L130~第四象限L160の全ての象限において抽出された場合には、ステップS300により動的資源パターンP3と判定される。
【0073】
動的資源パターンP3は、例えば急激に成長するスタートアップ企業やプロジェクト進行により人員・業務の変化の度合いが大きい企業等の組織において、組織自身が施設・設備その他を固定的に備えることは当該組織の業務に合致せず、組織における業務遂行に必要な資源を短時間且つ一時的に調達する働き方パターンであり、業務プロジェクトの予定及び/又は進捗に応じて、適切な場所に適切な資源を調達する働き方パターンである。
【0074】
オフィス集中パターンP4は、業務遂行に用いる設備及び資源を集中させる働き方を示す働き方パターンである。図9で示すように、オフィス集中パターンP4は、座標系L100の第一象限L130に一又は二以上の座標集団P41を備えると共に、第二象限L140~第四象限L160には座標集団が存在しない。ステップS310において、座標集団P41に相当する座標集団が第一象限L130において抽出され、かつ、第二象限L140~第四象限L160においては座標集団が抽出されない場合に、ステップS300によりオフィス集中パターンP4と判定される。なお、第二象限L140~第四象限L160においては、所定の規模を超える座標集団が存在しないことを条件としてもよく、この場合に、所定の規模は、例えば任意のX軸L110及び/又はY軸L120範囲をもって所定の規模としてもよいし、任意の、座標集団に属する座標の数をもって所定の規模としてもよい。
【0075】
オフィス集中パターンP4は、組織における機能集約的な側面を重視し、業務の遂行に必要な設備・資源その他を集合させる働き方パターンである。研究を目的とする組織や、市場における動向や需要に対応する速度を重視する組織において、業務遂行に必要な資源を一極集中させ、密度の高い環境で業務を遂行する働き方パターンである。
【0076】
職住混合パターンP5は、業務と生活の境界をあいまいにする働き方を示す働き方パターンである。図10で示すように、職住混合パターンP5は、座標系L100の第一象限L130~第四象限L160の全てに属する座標集団P51を備えている。ステップS310により、座標集団P51に相当する座標集団が抽出された場合には、ステップS300により職住混合パターンP5と判定される。
【0077】
職住混合パターンP5は、組織の構成員について、業務の遂行と、各構成員の生活の境界をあいまいにすることにより、いわゆるワークライフミックスによる構成員の満足度を向上させる働き方パターンである。例えばアウトドア関連のブランド事業を行う組織において、アウトドアを趣味とする構成員がアウトドアのアクティビティを実践しながら業務を遂行したり、或いは、サービス業を行う組織において構成員が当該組織の業務と農業を兼業できるようにしたりすることで、職住を融合しながら業務遂行の効率と構成員の人生における充実を両立することを目指す働き方パターンである。
【0078】
ステップS300によるパターン判定が完了すると、次いで、働き方分析装置100の分析結果140により、利用者端末200の表示装置に分析結果が表示される(ステップS400)。
【0079】
図11は、本実施形態の一例における、分析結果画面の構成を模式的に示す図である。図11で示すように、分析結果画面W100は、座標領域W110と、働き方パターン領域W120から構成されている。
【0080】
座標領域W110は、座標系L100に、ステップS200で算出した座標W112をプロットすると共に、ステップS300で判定した働き方パターンにおける座標集団を重畳して表示する領域である。図11はステップS300において都市内業務パターンP2と判定された場合の分析結果画面の例を示す図であり、座標領域W110に都市内業務パターンP2の第一の座標集団P21~第三の座標集団P23が表示されている。
【0081】
働き方パターン領域W120は、判定した働き方パターンについて表示する領域であり、タイトルW121と、説明文W122と、イメージ図W123と、具体例W124を備えている。
【0082】
本実施形態の一例における、働き方分析の処理の流れの説明は以上である。なお、本実施形態の一例では、ステップS300の結果をステップS400で表示して、働き方分析処理は終了するが、例えば、ステップS300の後工程として、或いは、ステップS300と並行して、分析結果に基づいて、分析対象となる組織の設備及び/又は什器に関する提案情報を生成するようにしてもよい。例えば、組織の働き方が都市内業務パターンP2と判定された場合に、当該パターンP2における第一~第三の座標集団P1~P3のそれぞれについて、分析時点における組織に不足する又は追加が望ましい設備及び/又は什器を一覧表示したり、又は、第三の座標集団P3を構成する組織の設備及び/什器について、都市内業務パターンP2として望ましいレイアウトその他について表示するようにしてもよい。
【0083】
本実施形態の一例に説明は以上であるが、本発明の実施形態は上記に限られない。例えば、本実施形態の一例における座標系L100は、構成員が集合乃至分散して業務を行う度合いを示すX軸L110と、組織の業務遂行乃至構成員の関係性に資する度合いを示すY軸L120からなる二次元の座標系であるが、分析する組織や、分析の観点によって、座標軸が示す対象は任意に選択してよいし、また、座標系を三次元以上の座標系としてよい。
【0084】
その他の具体的な構成も本実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 働き方分析装置
110 パラメータ収集部
120 座標算出部
130 パターン判定部
131 座標集団抽出部
140 分析結果出力部
150 データベース
200 利用者端末
300 ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11