(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128557
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
F16K 17/04 20060101AFI20220826BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
F16K17/04 D
F02M37/00 R
F02M37/00 311K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026893
(22)【出願日】2021-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀行
(72)【発明者】
【氏名】堀田 裕
【テーマコード(参考)】
3H059
【Fターム(参考)】
3H059AA05
3H059BB27
3H059CC01
3H059CD05
3H059CF06
3H059EE01
3H059FF05
(57)【要約】
【課題】高圧の流体が突入してもバルブが配置される圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる圧力調整弁を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、ボデー11と、ボデー11の内部に形成される1次圧室21と、1次圧室21に配置されるバルブ13と、バルブ13に当接可能に配置されるシート14と、シート14を挟んでバルブ13に対向するピストン15と、を有し、ガスGの圧力を減圧する減圧弁1において、バルブ13よりもガスGの流れ方向の上流側の位置に配置され、1次圧室21の圧力が急激に上昇することを抑制する過流防止機構19を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデーと、
前記ボデーの内部に形成される圧力室と、
前記圧力室に配置される第1バルブと、
前記第1バルブに当接可能に配置される第1シートと、
前記第1シートを挟んで前記第1バルブに対向するピストンと、
を有し、流体の圧力を調整する圧力調整弁において、
前記第1バルブよりも前記流体の流れ方向の上流側の位置に配置され、前記圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制する過流防止機構を有すること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項2】
請求項1の圧力調整弁において、
前記過流防止機構は、
第2バルブと、
前記第2バルブが当接する第2シートと、を備え、
前記第2バルブには、当該第2バルブにおける前記流体の流れ方向の上流側と下流側との間を貫通する貫通孔が設けられ、
前記第2バルブが前記第2シートに当接したときに前記貫通孔の一部が閉塞されること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項3】
請求項2の圧力調整弁において、
前記第2バルブを前記第2シートから離間させる方向に付勢する付勢部材を有すること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項4】
請求項2または3の圧力調整弁において、
前記貫通孔は、複数形成されており、
前記貫通孔として、少なくとも、第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも面積の大きい第2貫通孔と、を備え、
前記第2バルブが前記第2シートに当接したときに、前記第2貫通孔が閉塞されること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項5】
請求項4の圧力調整弁において、
前記第1貫通孔は、前記第2バルブの径方向の中央部の位置に設けられていること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項6】
請求項4または5の圧力調整弁において、
前記第2貫通孔は、前記圧力調整弁への前記流体の流入口よりも前記第2バルブの径方向の外側の位置に設けられていること、
を特徴とする圧力調整弁。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つの圧力調整弁において、
前記過流防止機構は、前記ボデーの内部に設けられていること、
を特徴とする圧力調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力調整弁に関し、例えば、高圧のガスの圧力を減圧して所望の圧力に調整する弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボデーの内部の供給流路に配置される弁体と、当該弁体に当接可能に配置される弁座と、当該弁座を挟んで弁体と対向するピストンと、を有する弁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される弁装置において、高圧の流体が突入して供給流路の圧力が急激に上昇した場合には、弁体に高圧が作用して、弁体におけるピストンとの当接部に大きな荷重が作用する。そうすると、弁体におけるピストンとの当接部が変形するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、高圧の流体が突入してもバルブが配置される圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる圧力調整弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、ボデーと、前記ボデーの内部に形成される圧力室と、前記圧力室に配置される第1バルブと、前記第1バルブに当接可能に配置される第1シートと、前記第1シートを挟んで前記第1バルブに対向するピストンと、を有し、流体の圧力を調整する圧力調整弁において、前記第1バルブよりも前記流体の流れ方向の上流側の位置に配置され、前記圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制する過流防止機構を有すること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、第1バルブよりも上流側の位置に過流防止機構が配置されている。そのため、圧力調整弁に第1バルブよりも上流側から高圧の流体が突入しても、過流防止機構により、圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる。したがって、第1バルブに高圧が作用して第1バルブにおけるピストンとの当接部に大きな荷重が作用することを抑制できる。ゆえに、第1バルブにおけるピストンとの当接部が変形することを防止できる。
【0008】
上記の態様においては、前記過流防止機構は、第2バルブと、前記第2バルブが当接する第2シートと、を備え、前記第2バルブには、当該第2バルブにおける前記流体の流れ方向の上流側と下流側との間を貫通する貫通孔が設けられ、前記第2バルブが前記第2シートに当接したときに前記貫通孔の一部が閉塞されること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、圧力調整弁に対して第1バルブよりも上流側から高圧の流体が突入したときでも、貫通孔の一部を閉塞させることにより、貫通孔を通って圧力室に流れる流体の量を少なくできるので、より確実に、圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる。
【0010】
上記の態様においては、前記第2バルブを前記第2シートから離間させる方向に付勢する付勢部材を有すること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、第2バルブが第2シートに当接した後に圧力室の圧力と第2バルブよりも上流側の圧力とが平衡状態に近づいたときに、付勢部材の付勢力により第2バルブが第2シートから離れて元の位置に自動的に復帰することができる。そのため、閉塞していた一部の貫通孔が開放されて、通常に流体の圧力を調整することができる。
【0012】
上記の態様においては、前記貫通孔は、複数形成されており、前記貫通孔として、少なくとも、第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも面積の大きい第2貫通孔と、を備え、前記第2バルブが前記第2シートに当接したときに、前記第2貫通孔が閉塞されること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、圧力調整弁に高圧の流体が突入したときに、第2バルブが第2シートに当接して第2貫通孔が閉塞されても、流体を第2貫通孔よりも面積の小さい第1貫通孔を通して圧力室へ絞りながら流すことができるので、流体をその圧力を低下させながら圧力室へ流すことができる。
【0014】
上記の態様においては、前記第1貫通孔は、前記第2バルブの径方向の中央部の位置に設けられていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、第2バルブの径方向の中央部の位置に設けられている第1貫通孔を通して流体を圧力室に流すことができるので、圧力室に流れる流体の流れに偏りが発生し難くなり、圧力室に配置される第1バルブが傾くことを抑制できる。
【0016】
上記の態様においては、前記第2貫通孔は、前記圧力調整弁への前記流体の流入口よりも前記第2バルブの径方向の外側の位置に設けられていること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、圧力調整弁に高圧の流体が突入したときに、第2バルブが第2シートに当接して第2貫通孔が閉塞される前であっても、流体の圧力が第2貫通孔を通って圧力室に直接的に作用し難いので、圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる。
【0018】
上記の態様においては、前記過流防止機構は、前記ボデーの内部に設けられていること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、圧力調整弁を小型化できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の圧力調整弁によれば、高圧の流体が突入してもバルブ(詳しくは、第1バルブ)が配置される圧力室の圧力が急激に上昇することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】過流防止弁をその中心軸方向から見た図である。
【
図3】減圧弁に高圧のガスが突入したときの図である。
【
図4】変形例の過流防止弁をその中心軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の圧力調整弁の実施形態の1つである減圧弁1について説明する。
【0023】
<減圧弁の全体の概要説明>
本実施形態の減圧弁1は、ガスGの圧力を減圧して所望の圧力に調整する圧力調整弁である。なお、ガスGは、本開示の「流体」の一例であり、例えば、気体燃料であり、より具体的には、車両用燃料電池(FC)(不図示)に供給される水素ガスや、内燃機関(不図示)に供給される圧縮天然ガス(CNG)などである。すなわち、減圧弁1は、車両用燃料電池に供給される水素ガスの圧力を調整する弁として、あるいは、内燃機関に供給される圧縮天然ガスの圧力を調整する弁として利用される。
【0024】
図1に示すように、減圧弁1は、ボデー11と、カバー12と、バルブ13と、シート14と、ピストン15と、スプリング16と、スプリング17と、Oリング18と、過流防止機構19などを有する。
【0025】
ボデー11の内部には、1次圧室21と上流側圧力室22と1次圧入口23が形成されている。
【0026】
1次圧室21には、バルブ13が配置されている。なお、1次圧室21は、本開示の「圧力室」の一例である。
【0027】
上流側圧力室22は、1次圧室21よりも上流側(詳しくは、ガスGの流れ方向の上流側)の位置に設けられ、1次圧室21と連通している。そして、この上流側圧力室22に、過流防止機構19が設けられている。
【0028】
1次圧入口23は、上流側圧力室22よりも上流側の位置に設けられ、上流側圧力室22と連通している。そして、この1次圧入口23から減圧弁1にガスGが流れ、その後、ガスGは、上流側圧力室22を通って1次圧室21に流れる。なお、1次圧入口23は、本開示の「流体の流入口」の一例である。
【0029】
カバー12の内部には、2次圧室24が形成されている。2次圧室24は、1次圧室21よりも内圧が低く設定される。また、カバー12は、2次圧室24内からガスGを減圧弁1の外部へ流出させるための2次圧出口25を備えている。
【0030】
バルブ13は、軸状(略円柱状)に形成されており、1次圧室21内とシート14の内周面の内側に亘って配置されている。このようなバルブ13は、ピストン15に押されてシート14から離れることにより、1次圧室21と2次圧室24との間を連通させる。このとき、減圧弁1は、開弁状態となる(
図1参照)。また、バルブ13はシート14に当接することにより、1次圧室21と2次圧室24との間を遮断する。このとき、減圧弁1は、閉弁状態となる。なお、バルブ13は、本開示の「第1バルブ」の一例である。
【0031】
シート14は、バルブ13に当接可能な状態で、1次圧室21と2次圧室24の間に配置されている。シート14は、円環状に形成されている。なお、シート14は、本開示の「第1シート」の一例である。
【0032】
ピストン15は、略円柱状(中空の円柱状)に形成されており、カバー12の内部に配置されている。そして、ピストン15は、シート14を挟んでバルブ13に対向するようにして、バルブ13に当接しており、バルブ13とともに移動する。すなわち、ピストン15は、カバー12に対して相対的に移動可能である。
【0033】
スプリング16は、バルブ13をピストン15に向かう方向に付勢している。また、本実施形態では、スプリング16は、後述する過流防止弁31をバルブ13(詳しくは、後述するシート部32)から離間させる方向に付勢している。また、スプリング17は、ピストン15をバルブ13に向かう方向に付勢している。なお、スプリング16は、本開示の「付勢部材」の一例である。
【0034】
このような構成の減圧弁1は、以下のように作用する。まず、
図1に示すように、減圧弁1が開弁状態であるときに、高圧のガスGが、不図示のガス供給源から1次圧入口23を通って、上流側圧力室22を介して、1次圧室21に流れる。そして、ガスGは、バルブ13とシート14の間を通って2次圧室24に流れ、2次圧出口25から減圧弁1の外部に流れる。このとき、2次圧室24内のガスGの圧力が上昇するので、2次圧室24内のガスGの圧力によってピストン15はスプリング17の付勢力に抗して上昇する。そして、バルブ13がシート14に当接する。これにより、減圧弁1は閉弁状態になる。
【0035】
そして、減圧弁1の外部でガスGが消費されて2次圧出口25から減圧弁1の外部へガスGが流れると、2次圧室24の圧力が低下する。これにより、ピストン15がスプリング17の付勢力によって下降してバルブ13が押し下げられるので、バルブ13がシート14から離れて、
図1に示すように減圧弁1が開弁状態になる。そして、再び、高圧のガスGが、不図示のガス供給源から1次圧室21を介して2次圧室24に流れ、2次圧出口25から減圧弁1の外部に流れる。このとき、再び、2次圧室24の圧力が上昇してピストン15が上昇する。そして、バルブ13がシート14に当接する。これにより、減圧弁1は閉弁状態になる。そして、減圧弁1は、このような動作を繰り返すことにより、高圧のガスGの圧力を減圧して所望の圧力に調整することができる。
【0036】
そして、このような減圧弁1を例えば燃料電池システムに使用することにより、上流にある不図示の水素タンクからの高圧の水素ガスを減圧弁1で調圧して、下流に配置した不図示のインジェクタ(燃料噴射装置)に導き、インジェクタの開閉時間を調整することで、燃料電池に供給する水素ガスの量を制御することができる。
【0037】
<過流防止機構の説明>
次に、過流防止機構19について説明する。
【0038】
図5に示すような従来の減圧弁101において、メンテナンス等で圧力を開放した状態で、ガスGを貯留するタンク(不図示)から1次圧入口123を通って高圧のガスGが突入すると、1次圧室121の圧力が急激に上昇して、バルブ113に高圧が作用し、バルブ113におけるピストン115との当接部113aに急激に大きな荷重が作用する。ここで、当接部113aは、小さな径に形成されているので、大きな荷重が作用すると変形(潰れる、曲がる)するおそれがある。
【0039】
そこで、本実施形態では、減圧弁1の構造を工夫して、減圧弁1に対して高圧のガスGが突入しても、バルブ13が配置される1次圧室21にて圧力が急激に上昇することを抑制できるようにしている。
【0040】
具体的には、減圧弁1は、
図1に示すように、ボデー11の内部において、バルブ13よりも上流側(
図1の下側)の位置に配置される過流防止機構19を有する。この過流防止機構19は、1次圧室21にてガスGの圧力が急激に上昇することを抑制する。
【0041】
より具体的には、過流防止機構19は、過流防止弁31と、シート部32を備えている。
【0042】
過流防止弁31は、上流側圧力室22の内部に配置されている。そして、
図1と
図2に示すように、過流防止弁31は、有底円筒状に形成されており、その底部に、ブリードベント33(小型貫通孔)と大型貫通孔34が設けられている。このブリードベント33と大型貫通孔34は、過流防止弁31における上流側(
図1の下側)と下流側(詳しくはガスGの流れ方向の下流側、
図1の上側)との間を貫通する貫通孔である。なお、過流防止弁31は、本開示の「第2バルブ」の一例である。
【0043】
ブリードベント33は、過流防止弁31の径方向(
図1の左右方向)の中央部の位置に設けられている。このブリードベント33は、その面積(すなわち、開口面積)が大型貫通孔34の面積(すなわち、開口面積)よりも小さく形成されている。なお、ブリードベント33は、本開示の「貫通孔」や「第1貫通孔」の一例である。
【0044】
大型貫通孔34は、過流防止弁31の径方向について、ブリードベント33よりも外側の位置に設けられている。この大型貫通孔34は、その面積がブリードベント33の面積よりも大きく形成されている。また、大型貫通孔34は、
図2に示すように、過流防止弁31の中心軸を中心とする周方向に等間隔を空けて複数設けられており、1次圧入口23よりも過流防止弁31の径方向の外側の位置に設けられている。なお、大型貫通孔34は、本開示の「貫通孔」や「第2貫通孔」の一例である。
【0045】
なお、変形例として、大型貫通孔34は、
図4に示すように、過流防止弁31の周方向に沿って細長く(例えば、円弧状に)形成されていてもよい。
【0046】
シート部32は、上流側圧力室22を形成するボデー11の内壁面に形成されており、過流防止弁31が当接することにより大型貫通孔34を閉塞させる。なお、シート部32は、本開示の「第2シート」の一例である。
【0047】
このように、貫通孔として、ブリードベント33と、ブリードベント33よりも面積の大きい大型貫通孔34と、を備え、過流防止弁31がシート部32に当接したときに大型貫通孔34が閉塞されるようになっている。
【0048】
また、本実施形態では、スプリング16が、過流防止弁31をシート部32から離間させる方向に付勢している。
【0049】
そして、減圧弁1は、このような構成の過流防止機構19を有することにより、以下のように、作用する。
【0050】
メンテなどで減圧弁1が開放されているときに、1次圧入口23から減圧弁1に対して高圧のガスGが突入すると、
図3に示すように、過流防止弁31が作動してシート部32に当接する。このとき、大型貫通孔34がシート部32により閉塞される一方で、ブリードベント33は閉塞されない。これにより、ガスGは、面積の小さいブリードベント33を通って1次圧室21に流れるので、単位時間あたりに1次圧室21に流れ込むガスGの量が抑えられて、1次圧室21にて圧力が急激に上昇することを抑制できる。そのため、バルブ13におけるピストン15との当接部13aに大きな荷重が作用しない。
【0051】
その後、上流側圧力室22の圧力と1次圧室21の圧力とが平衡状態に近づいたときに、スプリング16の付勢力により過流防止弁31がシート部32から離れて、
図1に示すように元の位置に自動的に復帰する。そして、その後、ガスGは、面積の大きい大型貫通孔34を通って1次圧室21に流れる。
【0052】
<本実施形態の作用効果>
以上のように、本実施形態の減圧弁1は、バルブ13よりも上流側の位置に配置される過流防止機構19を有する。
【0053】
このようにして、本実施形態では、バルブ13よりも上流側の位置に過流防止機構19が配置されている。そのため、減圧弁1に対してバルブ13よりも上流側から高圧のガスGが突入しても、過流防止機構19により、1次圧室21の圧力が急激に上昇することを抑制できる。したがって、バルブ13に高圧が作用することが抑制されるので、バルブ13におけるピストン15との当接部13aに大きな荷重が作用することを抑制できる。ゆえに、バルブ13におけるピストン15との当接部13aが変形することを防止できる。
【0054】
また、過流防止機構19は、ブリードベント33と大型貫通孔34が設けられる過流防止弁31と、シート部32と、を備えている。そして、過流防止弁31がシート部32に当接したときに大型貫通孔34が閉塞される。
【0055】
これにより、減圧弁1に対してバルブ13よりも上流側から高圧のガスGが突入したときでも、大型貫通孔34を閉塞させることにより、ブリードベント33を通って1次圧室21に流れるガスGの量を少なくできるので、1次圧室21の圧力が急激に上昇することを抑制できる。すなわち、減圧弁1に対してバルブ13よりも上流側から高圧のガスGが突入したときに、過流防止弁31がシート部32に当接して大型貫通孔34が閉塞されても、大型貫通孔34よりも面積の小さいブリードベント33を通ってガスGを1次圧室21へ絞りながら流すことができるので、ガスGをその圧力を低下させながら1次圧室21へ流すことができる。
【0056】
また、減圧弁1は、過流防止弁31をシート部32から離間させる方向に付勢するスプリング16を有する。
【0057】
これにより、過流防止弁31がシート部32に当接した後に1次圧室21の圧力と過流防止弁31よりも上流側の圧力とが平衡状態に近づいたときに、スプリング16の付勢力により過流防止弁31がシート部32から離れて元の位置に自動的に復帰することができる。そのため、閉塞していた大型貫通孔34が開放されて、安定してガスGの圧力を減圧することができる。
【0058】
また、ブリードベント33は、過流防止弁31の径方向の中央部の位置に設けられている。
【0059】
これにより、過流防止弁31の径方向の中央部の位置に設けられているブリードベント33を通してガスGを1次圧室21に流すことができるので、1次圧室21に流れるガスGの流れに偏りが発生し難くなり、1次圧室21に配置されるバルブ13がその中心軸に対して径方向に傾くことを抑制できる。
【0060】
また、大型貫通孔34は、1次圧入口23よりも過流防止弁31の径方向の外側の位置に設けられている。
【0061】
これにより、減圧弁1に対して高圧のガスGが突入したときに、過流防止弁31がシート部32に当接して大型貫通孔34が閉塞される前であっても、ガスGの圧力が大型貫通孔34を通って1次圧室21に直接的に作用し難いので、1次圧室21の圧力が急激に上昇することを抑制できる。
【0062】
また、過流防止機構19はボデー11の内部に設けられているので、過流防止機構19がボデー11の外部に設けられている場合よりも、減圧弁1を小型化できる。
【0063】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0064】
例えば、過流防止弁31は、ブリードベント33と大型貫通孔34の他に、さらに貫通孔を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 減圧弁
11 ボデー
13 バルブ
13a 当接部
15 ピストン
16 スプリング
19 過流防止機構
21 1次圧室
22 上流側圧力室
23 1次圧入口
31 過流防止弁
32 シート部
33 ブリードベント
34 大型貫通孔
G ガス