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特開2022-128561窒化ガリウムウェハおよび半導体チップの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128561
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】窒化ガリウムウェハおよび半導体チップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220826BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220826BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220826BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220826BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20220826BHJP
【FI】
H01L21/304 611Z
H01L29/78 658K
H01L29/78 658Z
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
H01L21/78 Q
B23K26/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026897
(22)【出願日】2021-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 淳士
(72)【発明者】
【氏名】長屋 正武
【テーマコード(参考)】
4E168
5F057
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168CB02
4E168DA02
4E168DA03
4E168JA13
5F057AA12
5F057BA16
5F057BB06
5F057BC06
5F057BC09
5F057CA02
5F057CA31
5F057DA03
5F057DA11
5F057DA19
5F057DA22
5F057DA31
5F057FA15
5F057FA22
5F057FA28
5F057FA30
5F063AA35
5F063BA07
5F063BA31
5F063BA33
5F063BA43
5F063DD01
5F063DD25
5F063DD59
5F063DD67
5F063DD85
5F063EE22
5F063EE38
5F063EE43
5F063EE44
(57)【要約】
【課題】生産性の向上を図ることができる半導体チップの製造方法を提供する。
【解決手段】GaNウェハ1を用意することでは、GaNで構成され、第1主面100aがガリウム面とされると共に第1主面100aと反対側の第2主面100bが窒素面とされたバルクウェハ100を用意することと、GaNと別の材料で構成される基礎ウェハ111上に、GaN層112が積層された補助ウェハ110を用意することと、補助ウェハ110からGaN層を分離し、第1主面114aがガリウム面とされると共に第1主面と反対側の第2主面114bが窒素面とされた接合ウェハ114を構成することと、バルクウェハ110の窒素面と接合ウェハ114の窒素面とを接合することにより、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたGaNウェハを用意することと、を行う。
【選択図】図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が形成された半導体チップの製造方法であって、
窒化ガリウムで構成され、一面(1a)および前記一面と反対側の他面(1b)を有する窒化ガリウムウェハ(1)を用意することと、
前記窒化ガリウムウェハの前記一面上にエピタキシャル膜(3)を形成することにより、前記エピタキシャル膜側の面を一面(10a)とすると共に前記窒化ガリウムウェハ側の面を他面(10b)とし、前記一面側に複数のチップ形成領域(RA)を有する加工ウェハ(10)を構成することと、
前記複数のチップ形成領域に対し、前記半導体素子の一面側素子構成部分(11)を形成することと、
前記加工ウェハの他面側から当該加工ウェハの内部にレーザ光(L)を照射することにより、前記加工ウェハの内部に、前記加工ウェハの面方向に沿った変質層(15)を形成することと、
前記変質層を境界として前記加工ウェハを分割することにより、前記加工ウェハを、前記加工ウェハの一面側のチップ構成ウェハ(30)と、前記加工ウェハの他面側のリサイクルウェハ(40)とに分割することと、
前記チップ構成ウェハから半導体チップ(S1)を取り出すことと、
前記リサイクルウェハを再び前記窒化ガリウムウェハとして利用することと、を行い、
前記窒化ガリウムウェハを用意することでは、
窒化ガリウムで構成され、第1主面(100a)がガリウム面とされると共に前記第1主面と反対側の第2主面(100b)が窒素面とされたバルクウェハ(100)を用意することと、
窒化ガリウムと別の材料で構成される基礎ウェハ(111)上に、窒化ガリウム層(112)が積層された補助ウェハ(110)を用意することと、
前記補助ウェハから前記窒化ガリウム層を分離し、第1主面(114a)がガリウム面とされると共に前記第1主面と反対側の第2主面(114b)が窒素面とされた接合ウェハ(114)を構成することと、
前記バルクウェハの窒素面と前記接合ウェハの窒素面とを接合することにより、前記一面および前記他面がガリウム面とされた前記窒化ガリウムウェハを用意することと、を行う半導体チップの製造方法。
【請求項2】
前記補助ウェハを用意することでは、前記基礎ウェハ上に、バッファ層(113)を介して前記窒化ガリウム層が積層された前記補助ウェハを用意する請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項3】
前記基礎ウェハは、シリコンウェハ、サファイアウェハ、炭化珪素ウェハ、または窒化アルミニウム多結晶ウェハである請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項4】
前記バルクウェハを用意することの後、
前記バルクウェハの内部にレーザ光(L)を照射することにより、前記バルクウェハの内部に、前記バルクウェハの面方向に沿った変質層(100c)を形成することと、
前記変質層を境界として前記バルクウェハを分割することにより、前記バルクウェハを、前記バルクウェハの第1主面側の面を第1分割主面(101a、102a)とすると共に前記バルクウェハの第2主面側の面を第2分割主面(101b、102b)とし、前記第1分割主面がガリウム面とされる共に前記第2分割主面が窒素面とされた複数の分割バルクウェハ(101、102)を構成することと、
前記分割バルクウェハにおける分割した面を平坦化することと、を行い、
前記補助ウェハを用意することでは、口径が前記バルクウェハの口径より大きいものを用意し、
前記接合ウェハを用意することでは、前記分割バルクウェハの口径に対応する口径の前記接合ウェハを複数用意し、
前記窒化ガリウムウェハを用意することでは、前記複数の分割バルクウェハの窒素面と前記接合ウェハの窒素面とをそれぞれ接合する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項5】
窒化ガリウムで構成される窒化ガリウムウェハであって、
一面(1a)および前記一面と反対側の他面(1b)と、
前記一面側に配置され、前記一面を構成するバルクウェハ(100)と、
前記他面側に配置されると共に前記バルクウェハと接合され、前記他面を構成する接合ウェハ(114)と、を備え、
前記一面および前記他面がガリウム面とされている窒化ガリウムウェハ。
【請求項6】
前記バルクウェハと前記接合ウェハとの界面において、不純物濃度が不連続に変化している請求項5に記載の窒化ガリウムウェハ。
【請求項7】
前記バルクウェハと前記接合ウェハとの界面において、結晶欠陥密度が不連続に変化している請求項5または6に記載の窒化ガリウムウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ガリウム(以下では、単にGaNともいう)を含んで構成されるGaNウェハおよび半導体チップの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハにエピタキシャル膜を形成して加工ウェハを形成し、当該加工ウェハに半導体素子を形成した後にチップ単位に分割することで半導体チップを製造する製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この製造方法では、加工ウェハのうちのエピタキシャル膜側の面を一面とし、加工ウェハのうちの半導体ウェハ側の面を他面とすると、まず、加工ウェハの一面側に拡散層や表面電極等の半導体素子の一面側の部分を構成する一面側素子構成部分を形成する。次に、加工ウェハの他面側を研削して所定の厚さまで薄くし、加工ウェハの他面側に、裏面電極等の半導体素子の他面側の部分を構成する他面側素子構成部分を形成する。その後、加工ウェハをチップ単位に分割する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-207908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、バンドギャップが広く、電子の飽和速度が大きい等の利点を有するGaNを含んで構成される半導体チップについて検討している。そして、このような半導体チップを上記製造方法を利用して製造する場合、以下のようになる。
【0005】
すなわち、半導体ウェハとしてGaNウェハを用意し、GaNウェハ上にGaNで構成されるエピタキシャル膜を成長させて加工ウェハを構成する。そして、加工ウェハに一面側素子構成部分を形成した後、加工ウェハの他面から研削する。その後、他面側素子部分を形成し、加工ウェハをチップ単位に分割する。
【0006】
しかしながら、この製造方法では、加工ウェハを他面から研削する。つまり、GaNウェハを研削する。このため、半導体チップを製造する毎にGaNウェハを用意する必要があり、生産性が低くなる可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、生産性の向上を図ることができるGaNウェハおよび半導体チップの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1では、半導体素子が形成された半導体チップの製造方法であって、GaNで構成され、一面(1a)および一面と反対側の他面(1b)を有するGaNウェハ(1)を用意することと、GaNウェハの一面上にエピタキシャル膜(3)を形成することにより、エピタキシャル膜側の面を一面(10a)とすると共にGaNウェハ側の面を他面(10b)とし、一面側に複数のチップ形成領域(RA)を有する加工ウェハ(10)を構成することと、複数のチップ形成領域に対し、半導体素子の一面側素子構成部分(11)を形成することと、加工ウェハの他面側から当該加工ウェハの内部にレーザ光(L)を照射することにより、加工ウェハの内部に、加工ウェハの面方向に沿った変質層(15)を形成することと、変質層を境界として加工ウェハを分割することにより、加工ウェハを、加工ウェハの一面側のチップ構成ウェハ(30)と、加工ウェハの他面側のリサイクルウェハ(40)とに分割することと、チップ構成ウェハから半導体チップ(S1)を取り出すことと、リサイクルウェハを再びGaNウェハとして利用することと、を行う。そして、GaNウェハを用意することでは、GaNで構成され、第1主面(100a)がガリウム面とされると共に第1主面と反対側の第2主面(100b)が窒素面とされたバルクウェハ(100)を用意することと、GaNと別の材料で構成される基礎ウェハ(111)上に、GaN層(112)が積層された補助ウェハ(110)を用意することと、補助ウェハからGaN層を分離し、第1主面(114a)がガリウム面とされると共に第1主面と反対側の第2主面(114b)が窒素面とされた接合ウェハ(114)を構成することと、バルクウェハの窒素面と接合ウェハの窒素面とを接合することにより、一面および他面がガリウム面とされたGaNウェハを用意することと、を行う。
【0009】
これによれば、リサイクルウェハを再びGaNウェハとして利用する。このため、半導体チップを製造する度にGaNウェハを新たに用意する必要がなく、GaNウェハを有効利用できる。したがって、半導体チップの生産性の向上を図ることができる。また、GaNウェハとして、一面および他面がガリウム面とされたものを用意する。このため、レーザ光を照射して変質層を形成する前の各工程を実行した際、加工ウェハの他面に微細な凹凸が形成されることを抑制できる。したがって、レーザ光を加工ウェハの他面側から照射した際、レーザ光が加工ウェハの他面で乱反射することが抑制される。これにより、加工ウェハの内部に好適に変質層を形成することができ、さらに生産性の向上を図ることができる。
【0010】
また、請求項5では、GaNで構成されるGaNウェハであって、一面(1a)および一面と反対側の他面(1b)と、一面側に配置され、一面を構成するバルクウェハ(100)と、他面側に配置されると共にバルクウェハと接合され、他面を構成する接合ウェハ(114)と、を備え、一面および他面がガリウム面とされている。
【0011】
これによれば、このGaNウェハを用いて加工ウェハを構成すると共に加工ウェハから半導体チップを製造する際、GaNウェハを再利用することで半導体チップの生産性の向上を図ることができる。また、加工ウェハから半導体チップを製造する際、加工ウェハの他面に微細な凹凸が形成されることが抑制されるため、レーザ光を加工ウェハの他面側から照射する工程を行った際、レーザ光が加工ウェハの他面で乱反射することが抑制される。このため、半導体チップの生産性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】第1実施形態における半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1B図1Aに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1C図1Bに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1D図1Cに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1E図1Dに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1F図1Eに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1G図1Fに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1H図1Gに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1I図1Hに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1J図1Iに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図1K図1Jに続く半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図2A図1Aに示すGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図2B図2Aに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図2C図2Bに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図2D図2Cに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図3A】第2実施形態におけるGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図3B図3Aに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図3C図3Bに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図3D図3Cに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図3E図3Dに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図4A】第3実施形態におけるGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図4B図4Aに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図4C図4Bに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図4D図4Cに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
図4E図4Dに続くGaNウェハの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下では、GaNを用いて構成された半導体チップS1の製造方法について説明する。
【0016】
まず、図1Aに示されるように、一面1aおよび他面1bを有し、バルクウェハ状とされているGaNウェハ1を用意する。例えば、GaNウェハ1は、シリコン、酸素、ゲルマニウム等がドーパントされ、不純物濃度が5×1017~5×1019cm-3とされたものが用いられる。但し、本実施形態のGaNウェハ1は、後述するが、厚さ方向における所定箇所において、不純物濃度が不連続に変化している。GaNウェハ1の厚みについては任意であるが、例えば400μm程度のものを用意している。なお、本実施形態のGaNウェハ1は、一面1aがガリウム面とされると共に他面1bがガリウム面とされている。また、このGaNウェハ1は、下記半導体チップS1の製造工程を行った後では、後述する図1Kのリサイクルウェハ40を再利用することで用意される。
【0017】
ここで、本実施形態のGaNウェハ1を用意する工程について、具体的に説明する。
【0018】
本実施形態では、図2Aに示されるように、GaNで構成され、第1主面100aがガリウム面とされると共に第2主面100bが窒素面とされているバルクウェハ100を用意する。そして、特に図示しないが、必要に応じ、第2主面100bを研磨等する。
【0019】
また、図2Aとは別工程において、図2Bに示されるように、基礎ウェハ111上にGaN層112が配置された補助ウェハ110を用意する。本実施形態では、基礎ウェハ111は、シリコンウェハ、サファイアウェハ、炭化珪素ウェハ、または窒化アルミニウム多結晶ウェハ等で構成されている。そして、GaN層112は、基礎ウェハ111上に、バッファ層113を介してエピタキシャル成長されることで構成されている。本実施形態のバッファ層113は、Si(111)層等で構成される第1下地層113a上に、AlGaN等の第2下地層113bが積層されることで構成されている。なお、バッファ層113は、GaN層112の結晶性を良好にして膜厚を大きくするためのものである。
【0020】
次に、図2Cに示されるように、補助ウェハ110からGaN層112を分離し、GaN層112で構成され、第1主面114aがガリウム面とされると共に第2主面114bが窒素面とされている接合ウェハ114を構成する。なお、この接合ウェハ114は、例えば、基礎ウェハ111等を研削、研磨等してGaN層112を分離することで構成される。また、接合ウェハ114は、例えば、レーザスライス等でGaN層112を基礎ウェハ111から分離することで構成される。
【0021】
その後、図2Dに示されるように、バルクウェハ100の第2主面100bと接合ウェハ114の第2主面114bとを直接接合等で接合する。つまり、バルクウェハ100の窒素面と接合ウェハ114の窒素面とを直接接合等で接合する。これにより、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたGaNウェハ1が構成される。
【0022】
なお、直接接合は、例えば、次のように行われる。すなわち、まず、バルクウェハ100の第2主面100bおよび接合ウェハ114の第2主面114bにNプラズマ、Oプラズマ、またはArイオンビーム等を照射し、各主面100b、114bを活性化させる。そして、適宜形成されたアライメントマークを用いて赤外顕微鏡等によるアライメントを行い、室温~550℃において、バルクウェハ100の第2主面100bと接合ウェハ114の第2主面114bとを貼り合わせる。これにより、バルクウェハ100と接合ウェハ114とが直接接合されてGaNウェハ1が構成される。
【0023】
そして、このようなGaNウェハ1は、バルクウェハ100および接合ウェハ114の2つの異なるウェハを接合して構成される。このため、このGaNウェハ1は、バルクウェハ100と接合ウェハ114との界面において、不純物濃度が不連続に変化したウェハとなる。また、このGaNウェハ1は、バルクウェハ100と接合ウェハ114との界面において、結晶欠陥密度が不連続に変化したウェハとなる。なお、不連続に変化するとは、言い換えると、急峻に値が変化することである。
【0024】
次に、図1Bに示されるように、GaNウェハ1の一面1a上に、10~100μm程度のGaNで構成されるエピタキシャル膜3を形成することにより、複数のチップ形成領域RAを有する加工ウェハ10を用意する。本実施形態では、エピタキシャル膜3は、n型エピタキシャル層3aと、n型エピタキシャル層3bとがGaNウェハ1側から順に成膜されて構成される。例えば、n型エピタキシャル層3aは、シリコン、酸素、ゲルマニウム等がドーパントされ、不純物濃度が5×1017~5×1019cm-3程度とされる。n型エピタキシャル層3bは、シリコン等がドーパントされ、不純物濃度が1×1017~4×1017cm-3程度とされる。
【0025】
なお、n型エピタキシャル層3bは、後述する拡散層12等の一面側素子構成部分11が形成される部分であり、例えば、厚さが8~10μm程度とされる。n型エピタキシャル層3aは、後述する半導体チップS1の厚さを確保するための部分であり、例えば、厚さが40~100μm程度とされる。また、n型エピタキシャル層3aとn型エピタキシャル層3bとの厚みの大小については任意であるが、ここでは半導体チップS1の厚みを確保できるようにn型エピタキシャル層3aをn型エピタキシャル層3bよりも厚くしてある。
【0026】
以下では、加工ウェハ10のうちのエピタキシャル膜3側の面を加工ウェハ10の一面10aとし、加工ウェハ10のうちのGaNウェハ1側の面を加工ウェハ10の他面10bとする。また、上記のように、本実施形態では、GaNウェハ1の一面1aおよび他面10bがガリウム面とされているため、加工ウェハ10は、一面10aおよび他面10bがガリウム面となる。そして、各チップ形成領域RAは、加工ウェハ10の一面10a側に構成される。
【0027】
ここで、この工程では、エピタキシャル膜3を成長させる場合等のプロセス温度が1000℃程度になる。このため、各エピタキシャル膜3を成膜する際、加工ウェハ10から窒素がガス化して抜け易くなる。具体的には、窒素は、化学的に活性化し易い窒素面から抜け易くなる。しかしながら、本実施形態の加工ウェハ10は、一面10aおよび他面10bがガリウム面とされている。このため、本実施形態の加工ウェハ10は、窒素が加工ウェハ10から抜け難くなっており、一面10aおよび他面10bに微小な凹凸が形成されることが抑制される。
【0028】
次に、図1Cに示されるように、一般的な半導体製造プロセスのうちの一面10a側に対するプロセスである表面側プロセスを行う。具体的には、表面側プロセスとして、イオン注入、蒸着、ウェットプロセス等を適宜行い、各チップ形成領域RAに、拡散層12やゲート電極13、図示しない表面電極や配線パターンやパッシベーション膜等の半導体素子における一面側素子構成部分11を形成する工程を行う。なお、ここでの半導体素子は、種々の構成のものが採用され、例えば、縦型MOSトランジスタ等のパワーデバイスや、発光ダイオード等の光半導体素子、半導体レーザ等が採用される。その後、必要に応じ、加工ウェハ10の一面10a側に、レジスト等で構成される表面保護膜を形成する。
【0029】
ここで、この工程では、ウェットプロセスによる薬液と加工ウェハ10とが反応する可能性がある。具合的には、化学的に活性し易い窒素面が薬液と反応する可能性がある。しかしながら、本実施形態の加工ウェハ10は、一面10aおよび他面10bがガリウム面とされている。このため、本実施形態の加工ウェハ10は、一面10aおよび他面10bが薬液と反応し難く、一面10aおよび他面10bに微小な凹凸が形成されることが抑制される。
【0030】
続いて、図1Dに示されるように、加工ウェハ10の一面10a側に保持部材20を配置する。保持部材20は、例えば、支持台21と粘着剤22とを有するダイシングテープ等が用いられる。支持台21は、製造工程中に反り難い材料で構成され、例えば、ガラス、シリコン基板、セラミックス等で構成される。粘着剤22は、粘着力を変化させることができる材料で構成され、例えば、温度や光によって粘着力が変化するものが用いられる。この場合、粘着剤22は、例えば、紫外線硬化樹脂、ワックス、両面テープ等で構成される。但し、粘着剤22は、後述する図1Gの他面側素子構成部分60を形成する際にも粘着力を維持する材料で構成される。
【0031】
次に、図1Eに示されるように、加工ウェハ10の他面10bからレーザ光Lを照射し、加工ウェハ10の一面10aから所定深さDとなる位置に、加工ウェハ10の面方向に沿った変質層15を形成する。
【0032】
具体的には、図示しない、レーザ光Lを発振するレーザ光源、レーザ光の光軸、すなわち光路の向きを変えるように配置されたダイクロイックミラー、レーザ光を集光するための集光レンズ、および変位可能なステージ等を有するレーザ装置を用意する。そして、変質層15を形成する際には、レーザ光Lの集光点が加工ウェハ10の面方向に沿って相対的に走査されるように、ステージ等の位置を調整する。これにより、加工ウェハ10には、面方向に沿った変質層15が形成される。より詳しくは、レーザ光Lを照射することにより、窒素がガスとして蒸発すると共にガリウムが析出された変質層15が形成される。
【0033】
この場合、上記のように、本実施形態の加工ウェハ10は、レーザ光Lを照射する前の各工程を実行しても、他面10bに微細な凹凸が形成され難くなっている。このため、レーザ光Lを加工ウェハ10の他面10b側から照射した際、レーザ光Lが加工ウェハ10の他面10bで乱反射することが抑制される。したがって、加工ウェハ10の内部に好適に変質層15を形成することができる。
【0034】
なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、変質層15を形成する際のレーザ光Lは、赤外線から可視光線の波長領域を有するものであって、対象となるウェハの透過率(すなわち、GaNの透過率)を考慮して設定されたものが用いられる。そして、本実施形態では、このようなレーザ光Lの加工点出力やパルス幅等を適宜調整して変質層15を形成する。
【0035】
また、変質層15を形成する際の所定深さDは、半導体チップS1のハンドリングのし易さや耐圧等に応じて設定され、10~200μm程度とされる。この場合、変質層15は、エピタキシャル膜3の厚さに応じて形成される場所が変更され、エピタキシャル膜3の内部、エピタキシャル膜3とGaNウェハ1との境界、またはGaNウェハ1の内部のいずれかに形成される。なお、図1E中では、エピタキシャル膜3とGaNウェハ1との境界に変質層15を形成する例を示している。
【0036】
但し、後述するように、加工ウェハ10におけるGaNウェハ1の少なくとも一部は、リサイクルウェハ40として再利用される。このため、変質層15は、エピタキシャル膜3の内部、またはエピタキシャル膜3とGaNウェハ1との境界に形成されることが好ましい。また、変質層15がGaNウェハ1の内部に形成される場合には、変質層15は、GaNウェハ1の一面1a側に形成されることが好ましい。そして、変質層15がエピタキシャル膜3の内部に形成される場合には、変質層15は、半導体素子を構成するn型エピタキシャル層3bではなく、n型エピタキシャル層3aの内部に形成されることが好ましい。
【0037】
以下では、加工ウェハ10のうちの変質層15より一面10a側の部分をチップ構成ウェハ30とし、加工ウェハ10のうちの変質層15より他面10b側の部分をリサイクルウェハ40として説明する。
【0038】
続いて、図1Fに示されるように、加工ウェハ10の他面10b側に補助部材50を配置する。補助部材50は、図1Fでは簡略化して示しているが、例えば、基材と、粘着力を変化させることのできる粘着剤とで構成される。この場合、補助部材50における基材は、例えば、ガラス、シリコン基板、セラミックス等で構成され、補助部材50における粘着剤は、例えば、紫外線硬化樹脂、ワックス、両面テープ等で構成される。そして、支持台21および補助部材50を把持して加工ウェハ10の厚さ方向に引張力等を印加し、変質層15を境界(すなわち分岐の起点)としてチップ構成ウェハ30とリサイクルウェハ40とに分割する。
【0039】
なお、以下では、チップ構成ウェハ30のうちの一面側素子構成部分11が形成されている側の面を一面30aとし、チップ構成ウェハ30のうちの分割された面側を他面30bとし、リサイクルウェハ40のうちの分割された面側を一面40aとして説明する。また、図1F以降の各図では、チップ構成ウェハ30の他面30bおよびリサイクルウェハ40の一面40aに残存する変質層15等を適宜省略して示している。
【0040】
その後、図1Gに示されるように、残りの半導体製造プロセスとして、チップ構成ウェハ30の他面30bに、裏面電極を構成する金属膜61等の半導体素子における他面側素子構成部分60を形成するという裏面側プロセスを行う。
【0041】
なお、この他面側素子構成部分60を形成する工程の前に、必要に応じて、CMP(chemical mechanical polishingの略)法等でチップ構成ウェハ30の他面30bを平坦化する工程を行うようにしてもよい。図1Gは、チップ構成ウェハ30の他面30bを平坦化した場合の図を示している。また、他面側素子構成部分60を形成する工程を行った後、必要に応じて、金属膜61とチップ構成ウェハ30の他面30bとをオーミック接触とするためのレーザアニールなどの加熱処理を行うようにしてもよい。
【0042】
続いて、図1Hに示されるように、チップ構成ウェハ30のうちの他面30b側、つまり金属膜61側に保持部材51を配置する。保持部材51は、例えば、基材52と粘着剤53とを有するダイシングテープ等が用いられる。なお、粘着剤53は、粘着力を変化させることができる材料で構成され、例えば、温度や光によって粘着力が変化するものが用いられる。
【0043】
その後、図1Iに示されるように、チップ構成ウェハ30のうちの一面30a側に貼り付けてある支持台21を剥離する。ここでは、支持台21をチップ構成ウェハ30に貼り付けている粘着剤22の接着力を低下させる処理、例えば、粘着剤22をUV樹脂接着材で構成している場合にはUV照射を行う。
【0044】
続いて、図1Jに示されるように、ダイシングソー、またはレーザダイシングなどにより、チップ構成ウェハ30をチップ単位に個片化することで、各半導体チップS1を構成する。この際、チップ構成ウェハ30をチップ単位に分割しつつも、保持部材51については切断されること無く繋がったままの状態となるように、ダイシング深さを調整することが好ましい。
【0045】
半導体チップS1に関するこの後の工程については図示しないが、保持部材51をエキスパンドし、ダイシングカットした部分にて各半導体チップS1の間隔を広げる。その後、加熱処理や光を照射する等して粘着剤53の粘着力を弱まらせ、半導体チップS1をピックアップする。これにより、半導体チップS1が製造される。
【0046】
また、図1Kに示されるように、図1Fで構成されたリサイクルウェハ40には、一面40aに対して研磨装置70等を用いたCMP法を行うことにより、当該一面40aを平坦化する。そして、平坦化したリサイクルウェハ40をGaNウェハ1とし、再び上記図1A以降の工程を行う。これにより、GaNウェハ1は、半導体チップS1を構成するのに複数回利用されることができる。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、リサイクルウェハ40を再びGaNウェハ1として利用する。このため、半導体チップS1を製造する度にGaNウェハ1を新たに用意する必要がなく、GaNウェハ1を有効利用できる。したがって、半導体チップS1の生産性の向上を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、GaNウェハ1として、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたものを用意している。このため、レーザ光Lを照射して変質層15を形成する前の各工程を実行した際、加工ウェハ10の他面10bに微細な凹凸が形成されることを抑制できる。したがって、レーザ光Lを加工ウェハ10の他面10b側から照射した際、レーザ光Lが加工ウェハ10の他面10bで乱反射することが抑制される。これにより、加工ウェハ10の内部に好適に変質層15を形成することができ、さらに生産性の向上を図ることができる。
【0049】
(1)本実施形態では、基礎ウェハ111上にバッファ層113を介してGaN層112を配置している。このため、GaN層112の厚さを厚くし易くなり、GaN層112で構成される接合ウェハ114の厚さを厚くし易くなる。したがって、GaNウェハ1の厚さを厚くし易くなり、GaNウェハ1を有効利用できる回数の増加を図ることができる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、GaNウェハ1を用意する工程を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、図3Aに示されるように、補助ウェハ110として、基礎ウェハ111上にGaN層112が直接配置されたものを用意する。つまり、補助ウェハ110として、バッファ層113を備えないものを用意する。なお、本実施形態では、基礎ウェハ111上にGaN層112を直接配置するため、基礎ウェハ111とGaN層112との熱膨張係数の差によって補助ウェハ110が反り易くなっている。このため、本実施形態のGaN層112は、上記第1実施形態のGaN層112と比較すると、厚さが薄くなっている。
【0052】
次に、図3Bに示されるように、保持基板120を用意し、GaN層112と保持基板120とを接合する。なお、この保持基板120は、薄いGaN層112を保持するためのものであり、例えば、ガラス基板等で構成され、GaN層112と直接接合等で接合される。
【0053】
続いて、図3Cに示されるように、GaN層112を保持基板120に保持した状態で、補助ウェハ110からGaN層112を分離する。これにより、第1主面114aがガリウム面とされると共に第2主面114bが窒素面とされている接合ウェハ114が保持基板120に保持された状態で用意される。なお、この接合ウェハ114は、例えば、基礎ウェハ111等を研削、研磨等してGaN層112を分離することで構成される。また、接合ウェハ114は、例えば、レーザスライス等でGaN層112を基礎ウェハ111から分離することで構成される。
【0054】
次に、図3Dに示されるように、バルクウェハ100の第2主面100bと接合ウェハ114の第2主面114bとを直接接合等で接合する。
【0055】
そして、図3Eに示されるように、研削、研磨、レーザスライス、ウェットエッチング等によって保持基板120を除去することにより、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたGaNウェハ1が用意される。
【0056】
その後は、各GaNウェハ1に対して図1B以降の工程を行うことにより、半導体チップS1が製造される。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、GaNウェハ1は、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、GaNウェハ1を用意する工程を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、図4Aに示されるように、バルクウェハ100を用意した後、第2主面100b側からレーザ光Lを照射して内部に変質層100Cを形成する。なお、このレーザ光Lを照射して変質層100Cを形成する工程は、上記図1Eの変質層15を形成する工程と同様の条件によって行われる。
【0060】
次に、図4Bに示されるように、変質層100cを境界(すなわち分岐の起点)とし、バルクウェハ100を第1分割バルクウェハ101と第2分割バルクウェハ102とに分離する。なお、この工程では、特に図示しないが、バルクウェハ100の第1主面100aおよび第2主面100bに補助部材等を適宜配置する。そして、上記図1Fと同様に、厚さ方向に引張力等を印加することにより、バルクウェハ100を第1分割バルクウェハ101と第2分割バルクウェハ102とに分割する。
【0061】
以下では、第1分割バルクウェハ101において、バルクウェハ100の第1主面100aであった面を第1分割バルクウェハ101の第1分割主面101aとし、分割された面を第1分割バルクウェハ101の第2分割主面102bとする。このため、第1分割バルクウェハ101は、第1分割主面101aがガリウム面となり、第2分割主面101bが窒素面となる。
【0062】
また、第2分割バルクウェハ102において、分割された面を第2分割バルクウェハ102の第1分割主面102aとし、バルクウェハ100の第2主面100bであった面を第2分割バルクウェハ102の第2分割主面102bとする。このため、第2分割バルクウェハ102は、第1分割主面102aがガリウム面となり、第2分割主面102bが窒素面となる。
【0063】
その後、特に図示しないが、CMP法等により、残存する変質層100cを除去しつつ、分割した面を平坦化する。具体的には、第1分割バルクウェハ101の第2分割主面101bを平坦化し、第2分割バルクウェハ102の第1分割主面102aを平坦化する。
【0064】
また、図4Cに示されるように、上記図2Bと同様の補助ウェハ110を用意する。但し、本実施形態の補助ウェハ110は、上記第1実施形態と比較すると、口径がバルクウェハ100より大きくされた大口径基板とされている。具体的には、補助ウェハ110は、バルクウェハ100と同等の大きさのウェハを面方向に複数枚得られる口径とされている。
【0065】
次に、図4Dに示されるように、補助ウェハ110からGaN層112を分離し、第1主面114aがガリウム面とされると共に第2主面114bが窒素面とされている接合ウェハ114を構成する。この場合、本実施形態では、補助ウェハ110から、第1分割バルクウェハ101および第2分割バルクウェハ102の口径に対応する2つの接合ウェハ114を構成する。なお、この接合ウェハ114は、例えば、基礎ウェハ111等を研削、研磨等してGaN層112を分離すると共に所定の口径となるように加工することで構成される。また、接合ウェハ114は、例えば、レーザスライス等でGaN層112を基礎ウェハ111から分離すると共に所定の口径となるように加工することで構成される。
【0066】
その後、図4Eに示されるように、第1分割バルクウェハ101の第2分割主面101bと接合ウェハ114の第2主面114bを直接接合等で接合することにより、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたGaNウェハ1を構成する。同様に、第2分割バルクウェハ102の第2分割主面102bと接合ウェハ114の第2主面114bを直接接合等で接合することにより、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされたGaNウェハ1を構成する。つまり、本実施形態では、複数のGaNウェハ1を同時に形成する。
【0067】
その後は、各GaNウェハ1に対して図1B以降の工程を行うことにより、半導体チップS1が製造される。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、GaNウェハ1は、一面1aおよび他面1bがガリウム面とされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態では、1つのバルクウェハ100と1つの補助ウェハ110から複数のGaNウェハ1を構成することができる。このため、さらに生産性の向上を図ることができる。
【0070】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0071】
例えば、上記各実施形態において、エピタキシャル膜3は、n型エピタキシャル層3bのみで構成されていてもよい。
【0072】
また、上記各実施形態において、図1Gの工程では、チップ構成ウェハ30の他面30bを研磨せずに金属膜61を形成するようにしてもよい。例えば、半導体素子として光半導体素子等を形成する場合には、半導体チップS1の他面側に凹凸構造を形成することにより、他面側から効果的に光を取り出すことが可能となる。そして、加工ウェハ10をチップ構成ウェハ30とリサイクルウェハ40とに分割した直後においては、チップ構成ウェハ30の他面30bは、変質層15が残存した状態となっており、微小な凹凸が形成された状態となっている。このため、光半導体素子を形成する場合には、チップ構成ウェハ30の他面30bを研磨せず、変質層15の凹凸を利用するようにしてもよい。
【0073】
さらに、上記各実施形態において、図1Bのエピタキシャル膜3を形成する工程では、GaNウェハ1の他面1b側にもエピタキシャル膜が形成されるようにしてもよい。これによれば、例えば、変質層15をGaNウェハ1内に形成する場合においても、リサイクルウェハ40として所定以上の厚さを残し易くなり、再利用できる回数の増加を図ることができる。
【0074】
また、上記第3実施形態において、バルクウェハ100を3つ以上のバルクウェハに分割すると共に、補助ウェハ110から3つ以上の接合ウェハ114を構成するようにし、3つ以上のGaNウェハ1を同時に形成するようにしてもよい。
【0075】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態に上記第3実施形態を組み合わせ、補助ウェハ110は、基礎ウェハ111上にGaN層112が直接配置されて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1a 一面
1b 他面
1 GaNウェハ
3 エピタキシャル膜
10 加工ウェハ
10a 一面
10b 他面
11 一面側素子構成部分
15 変質層
30 チップ構成ウェハ
40 リサイクルウェハ
100 バルクウェハ
100a 第1主面
100b 第2主面
110 補助ウェハ
111 基礎ウェハ
112 GaN層
114 接合ウェハ
114a 第1主面
114b 第2主面
L レーザ光
S1 半導体チップ
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E