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2022-128588回路基板、モータ駆動用電子制御装置及び操舵アクチュエータ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128588
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】回路基板、モータ駆動用電子制御装置及び操舵アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220826BHJP
   H02P 25/16 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02P25/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021146
(22)【出願日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】202110203885.5
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】日本電産エレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】今里 諒
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏基
(72)【発明者】
【氏名】梅本 貴史
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB05
5H505CC04
5H505DD03
5H505HA01
5H505HA05
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505PP02
5H770AA04
5H770BA01
5H770DA03
5H770JA17Y
5H770KA05Y
5H770QA01
5H770QA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電磁両立性要求と静電解放要求を同時に満足する回路基板、モータ駆動用電子制御装置及び操舵アクチュエータ装置を提供する。
【解決手段】操舵アクチュエータ装置において、モータ駆動用電子制御装置の回路基板11は、モータ駆動回路112とモータ50とを電気的に接続するための出力線111と、接地部113と、抵抗1141及びコンデンサ1142を含み、出力線111と接地部113との間に設けられたRCスナバ回路114と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動用の電子制御装置の回路基板であって,その特徴は,以下を含むことである:
出力線であって,該出力線はモータ駆動回路をモータに電気的に接続することに用いられるもの:
接地部:及び
RCスナバ回路であって,該RCスナバ回路は抵抗及びコンデンサを含み,且つ前記出力線と前記接地部との間に設置されるもの。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板であって,その特徴は以下のとおりである:
前記出力線はモータ電流が流れる基板パターンで構成され
前記接地部は接地パターンで構成され
前記基板パターンと前記接地パターンが近接して配置され
前記基板パターンは前記抵抗に近接して配置され、前記抵抗は前記コンデンサに近接して配置され、前記コンデンサは前記接地パターンに近接して配置される。
【請求項3】
請求項2に記載の回路基板であって,その特徴は以下のとおりである:
前記基板パターンには、前記基板パターンと前記RCスナバ回路との接続点よりも前記モータ駆動回路側にスイッチング素子としての遮断用リレーが設けられている。
【請求項4】
請求項3に記載の回路基板であって,その特徴は以下のとおりである:
遮断されたリレーは、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタである。
【請求項5】
請求項1に記載の回路基板であって,その特徴は以下のとおりである:
前記出力線は三相モータの三相給電線を含み
前記三相給電線と前記接地部との間に前記RCスナバ回路がそれぞれ設けられている。
【請求項6】
請求項5に記載の回路基板であって,その特徴は以下のとおりである:
前記モータ駆動回路は複数の前記三相モータを駆動することに用いられ
前記RCスナバ回路は、複数の前記三相モータの三相給電線と前記接地部との間にそれぞれ設けられている。
【請求項7】
モータ駆動用の電子制御装置であって,その特徴は以下のとおりである:
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項8】
操舵アクチュエータ装置であって,その特徴は以下のとおりである:
請求項7に記載のモータ駆動用電子制御装置を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用電子制御装置の回路基板、モータ駆動用電子制御装置及び操舵アクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載の電子制御装置においては、EMC(Electro-Magnetic Compatibility:電磁両立性)対策とESD(Electro-Static Discharge:静電放電)対策が必要であり、自動運転車両の場合には、より厳しいEMC対策とESD対策が必要であり、そのうちEMC対策の効果は放射試験により、ESD対策の効果は静電耐性試験により、それぞれ試験評価することができる。
【0003】
EMC対策が不十分な場合には、電子制御装置から漏洩する放射ノイズが車両に搭載された他の電子制御装置を誤動作させるおそれがあるとともに、放射ノイズが車両のアンテナで受信されると、電波の周波数が干渉し、スピーカからノイズが聞こえてしまうこともある。
【0004】
一方、ESD対策が不十分な場合には、印加された静電気が電子制御装置内部の電子デバイス等を破壊し、電子制御装置の故障を引き起こす可能性がある。
【0005】
従来、EMC対策として、特許文献1には、電動パワーステアリング装置において、三相ブリッジ型のモータ駆動回路の各FET(Field Effect Transistor)にスナバ回路を並列接続してスイッチングノイズを低減する技術が開示されている。
【0006】
また、ESD対策として、特許文献2には、ソレノイド駆動装置において、駆動回路からソレノイドへ向かう出力線とグランドとの間にコンデンサを設け、このコンデンサによって静電気の放出から保護する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-274489号公報
【特許文献2】特開2019-132633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には、電磁両立性の要求と静電放電の要求とを同時に満たす技術的手段が開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電磁両立性要求と静電解放要求とを同時に満足することができる回路基板、モータ駆動用電子制御装置及び操舵アクチュエータ装置を提供することにある。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータ駆動用電子制御装置の回路基板は、モータ駆動回路とモータとを電気的に接続する出力線と、接地部と、抵抗及びコンデンサを含み、前記出力線と前記接地部との間に設けられたRCスナバ回路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、出力線と接地部との間に抵抗と容量とを含むRCスナバ回路を設けることにより、電磁両立性の要求と静電気放電の要求とを同時に満たすことができるので、ノイズ放射を低減させ、帯電防止性能を向上させた回路基板を提供することができる。
また、本発明の回路基板では、前記出力線は、モータ電流が流れる基板パターンからなり、前記接地部は、グランドパターンからなり、前記基板パターンと前記グランドパターンとが近接して配置され、前記基板パターンと前記抵抗とが近接して配置され、前記抵抗と前記コンデンサとが近接して配置され、前記コンデンサと前記グランドパターンとが近接して配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、各部と接地部との距離をできるだけ短くすることにより、ノイズ放射をさらに低減し、帯電防止能力を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の回路基板では、前記基板パターンには、前記基板パターンと前記RCスナバ回路との接続点よりも前記モータ駆動回路側にスイッチング素子としての遮断用リレーが設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、基板パターンに、基板パターンとRCスナバ回路との接続点よりもモータ駆動回路側にスイッチング素子としての遮断用リレーを設けることにより、異常電流発生時に遮断用リレーを安全機構としてモータ電流を遮断することができる。
また、本発明の回路基板では、前記遮断用リレーは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOS-FET)であることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、金属-酸化物半導体電界効果トランジスタと接地部との間にRCスナバ回路を介在させることにより、遮断用リレーが遮断された状態で出力線に静電気が印加されても、遮断用リレーの故障を防止することができる。
【0016】
また、本発明の回路基板では、前記出力線は、三相モータの三相給電線を含み、前記三相給電線と前記接地部との間に前記RCスナバ回路がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、三相モータの三相給電線と接地部との間にそれぞれRCスナバ回路を設けたので、ノイズ放射をさらに低減して帯電防止能力を向上させることができる。
また、本発明の回路基板では、前記モータ駆動回路は、複数の前記三相モータを駆動するためのものであり、複数の前記三相モータの三相給電線と前記接地部との間に、それぞれ前記RCスナバ回路が設けられていることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、複数の三相モータの三相給電線と接地部との間にそれぞれRCスナバ回路を設けたので、さらにノイズ放射を低減して帯電防止能力を高めることができ、これは自動運転に特に有用である。
【0019】
つまり、自動運転中に自動操舵を行う場合には、安全性の観点から、冗長な駆動回路を設ける必要があり、システム毎の三相モータに対してRCスナバ回路を設けることにより、安全性を効果的に高めることができる。
【0020】
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記いずれかの回路基板を備えたモータ駆動用電子制御装置を提供する。
【0021】
本発明によれば、低ノイズ放射性能と高帯電防止性能を有する高品質なモータ駆動用電子制御装置を提供することができる。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記のモータ駆動用電子制御装置を備えた操舵アクチュエータ装置を提供する。
【0023】
本発明によれば、低ノイズ放射性能と高帯電防止性能を有する高品質の操舵アクチュエータ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、出力線と接地部との間に抵抗と容量とを含むRCスナバ回路を設けることにより、電磁的互換性の要求と静電気放電の要求とを同時に満たすことができるので、低ノイズ放射性能と高帯電防止性能とを有する回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、図面を簡単に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る操舵アクチュエータ装置の全体構成を示す模式図である。
【0027】
図2は、図1に示す操舵アクチュエータ装置におけるモータ駆動用電子制御装置の回路基板及びこれに電気的に接続されたモータを示す概略図であり、一部の構成を省略している。
【0028】
図3は、図2に示す回路基板上の部品の配置を示す部分模式図である。
【0029】
図4は、図4Aは、RCスナバ回路を設けない比較例について静的リアクタンス性試験を行った結果を示すグラフであり、図4Bは、本発明について静的リアクタンス性試験を行った結果を示すグラフである。
【0030】
図5(a)は、RCスナバ回路を設けない比較例について電界アンテナ法に基づいて試験した低周波数帯域での結果を示すグラフ(放射ノイズを示し、X方向は水平方向)である。
【0031】
図5(b)は、本発明について電界アンテナ法に基づいて試験した低周波数帯域区間での結果を示すグラフ(放射ノイズを示し、X方向は水平方向)である。
【0032】
図6Aは、RCスナバ回路を設けない比較例について電界アンテナ法に基づいて試験した高周波帯域での結果を示すグラフ(放射ノイズを示し、X方向は水平方向)であり、図6Bは、本発明について電界アンテナ法に基づいて試験した高周波帯域での結果を示すグラフ(放射ノイズを示し、X方向は水平方向)である。
【0033】
図7は、図7Aは、RCスナバ回路を設けない比較例を電流プローブ法により試験した結果を示すグラフ(伝導ノイズを示す)であり、図7Bは、本発明を電流プローブ法により試験した結果を示すグラフ(伝導ノイズを示す)である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る操舵アクチュエータ装置について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る操舵アクチュエータ装置の全体構成を示す模式図である。
【0036】
操舵アクチュエータ装置1は、例えば、大型車両等の輸送機器において、運転者のハンドル操作を支援する。
【0037】
図1に示すように、操舵アクチュエータ装置1は、モータ駆動用電子制御装置10と、バッテリ20と、ステアリングホイール30と、回転軸40と、モータ50と、ピニオンギヤ60と、ラック軸70と、バルブ81と、シリンダ82と、車輪90とを備えている。
【0038】
また、バッテリ20は電源供給部を構成し、ステアリングホイール30はステアリング部材であり、回転軸40の一端はステアリングホイール30に連結され、回転軸40にはモータ50が同軸に設けられ、ピニオンギヤ60は回転軸40の他端に連結され、ラック軸70はピニオンギヤ60に噛合すると共に車輪90に連結され、ピニオンギヤ60とラック軸70との係合により回転軸40の回転運動が直線運動に変換されて車輪90を転舵させ、バルブ81及びシリンダ82は例えば油圧によりラック軸70を補助駆動して車輪90の転舵を補助する。
【0039】
また、モータ駆動用電子制御装置10は、例えば、モータ50に設けられた角度センサにより得られるモータ50の回転角度に基づいてモータ駆動信号を生成し、この信号をモータ50に出力することにより、自動操舵制御を行う。
【0040】
また、モータ駆動用電子制御装置10は、例えば、ステアリングホイール30の操舵トルクを検出するトルクセンサに基づいて運転者によりステアリングホイール30が操作されたか否かも検出し、上記操作が検出された場合には、例えば自動操舵制御として手動制御に切り換える。
【0041】
ここで、バッテリ20、ステアリングホイール30、回転軸40、モータ50、ピニオンギヤ60、ラック軸70、バルブ81、シリンダ82などは、本発明の要旨ではないので、通常の構成を採用することができ、これについての詳細な説明は省略する。
【0042】
図2は、図1に示す操舵アクチュエータ装置におけるモータ駆動用電子制御装置の回路基板及びこれに電気的に接続されたモータを示す概略図であり、一部の構成を省略した図であり、図3は、図2に示す回路基板上の部品の配置を示す部分概略図である。
【0043】
図2に示すように、モータ駆動用電子制御装置10は、モータ駆動回路112とモータ50とを電気的に接続するための出力線111と、接地部113とを含む回路基板11と、抵抗1141及びコンデンサ1142を含み、出力線111と接地部113との間に設けられたRCスナバ回路114とを備えている。
【0044】
また、図2に示すように、出力線111には、出力線111とRCスナバ回路114との接続点よりもモータ駆動回路112側に、スイッチング素子である遮断用リレー115が設けられている。
【0045】
ここで、図2に示すように、モータ50は三相モータであり、出力線111は、モータ50の三相にそれぞれ対応する第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cを含み、接地部113は、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cにそれぞれ対応する第1接地部113a、第2接地部113b及び第3接地部113cを含み、遮断用リレー115は、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cにそれぞれ対応する第1の遮断用リレー115a、第2の遮断用リレー115b及び第3の遮断用リレー115cを含む。
【0046】
また、モータ駆動回路112は、モータ50の三相にそれぞれ対応する第1モータ駆動回路112a、第2モータ駆動回路112b、第3モータ駆動回路112cを含む。
【0047】
また、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cと、第1接地部113a、第2接地部113b及び第3接地部113cとの間には、それぞれ第1RCスナバ回路114a、第2RCスナバ回路114b及び第3RCスナバ回路114cが設けられ、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cには、第1の給電線111aと第1RCスナバ回路114aとの接続点、第2の給電線111bと第2RCスナバ回路114bとの接続点、及び第3の給電線111cと第3RCスナバ回路114cとの接続点よりも第1モータ駆動回路112a、第2モータ駆動回路112b、第3モータ駆動回路112c側には、それぞれ第1の遮断用リレー115a、第2の遮断用リレー115b及び第3の遮断用リレー115cが設けられている。
【0048】
また、モータ駆動回路112は、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)により構成され、遮断用リレー115は、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成される。
【0049】
また、図3に示すように、出力線111(具体的には、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111c)は、モータ50の電流が流れる基板パターンからなり、接地部113(具体的には、第1接地部113a、第2接地部113b及び第3接地部113c)は、接地パターンからなる。
【0050】
そして、出力線111を構成する基板パターンと接地部113を構成するグランドパターンとが近接して配置され、出力線111を構成する基板パターンと抵抗1141とが近接して配置され、抵抗1141とコンデンサ1142とが近接して配置され、コンデンサ1142と接地部113を構成するグランドパターンとが近接して配置されている。
【0051】
また、図3に示すように、出力線111を構成する基板パターンは、短冊状の本体111Aと、この短冊状の本体111Aから突出した突出部111Bとを有し、接地部113を構成するグランドパターン(パターン上のスルーホールを介して基板内層に通じるグランド銅箔パターン(GNDプレーン))は、1つの角部に切欠部113Aを有する矩形状をなし、接地部113を構成するグランドパターンの切欠部113Aと出力線111を構成する基板パターンの短冊状の本体111A及び突出部111Bとで囲まれた空間内に中継パターン1143が設けられ、抵抗1141は出力線111を構成する基板パターンと中継パターン(チップ)1143との間に跨り、コンデンサ1142は接地部113を構成するグランドパターンと中継パターン1143との間に跨る。
【0052】
また、出力線111を構成する基板パターンと、中継パターン1143と、接地部113を構成するグランドパターンとの間の距離は、例えば5mm以下、好ましくは3mm以下である。
【0053】
本実施形態の操舵アクチュエータ装置1によれば、出力線111と接地部113との間に、抵抗1141とコンデンサ1142とを含むRCスナバ回路114を設けることにより、図4から図7に示すように、ノイズ放射を効果的に低減して帯電防止能力を向上させることができるとともに、電磁両立性要求と静電放電要求とを同時に満たすことができるため、低ノイズ放射性能と高帯電防止性能とを有する回路基板11を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態の操舵アクチュエータ装置1によれば、出力線111を構成する基板パターンと接地部113を構成する接地パターンとが近接して配置され、出力線111を構成する基板パターンと抵抗1141とが近接して配置され、抵抗1141とコンデンサ1142とが近接して配置され、コンデンサ1142と接地部113を構成する接地パターンとが近接して配置されているので、ノイズ放射をさらに低減して帯電防止能力を高めることができる。
【0055】
以上、図面を参照しながら本発明を例示的に説明したが,本発明の具体的な実現は上記実施形態に限定されないことは明らかである。
【0056】
例えば、上記実施形態では、第1の給電線111a、第2の給電線111b及び第3の給電線111cと、第1接地部113a、第2接地部113b及び第3接地部113cとの間に、それぞれ第1RCスナバ回路114a、第2RCスナバ回路114b及び第3RCスナバ回路114cを設けたが、これに限らず、第1RCスナバ回路114a、第2RCスナバ回路114b及び第3RCスナバ回路114cのうちの1つ又は2つのみを設けてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1の給電線111a、第2の給電線111bおよび第3の給電線111cには、第1の給電線111aと第1RCスナバ回路114aとの接続点、第2の給電線111bと第2RCスナバ回路114bとの接続点および第3の給電線111cと第3RCスナバ回路114cとの接続点よりも第1モータ駆動回路112a、第2モータ駆動回路112b、第3モータ駆動回路112c側にそれぞれ第1の遮断用リレー115a、第2の遮断用リレー115bおよび第3の遮断用リレー115cが設けられているが、これに限定されず、第1の遮断用リレー115a、第2の遮断用リレー115bおよび第3の遮断用リレー115cのうちの1つまたは2つのみが設けられていてもよく、場合によっては、第1の遮断用リレー115a、第2の遮断用リレー115bおよび第3の遮断用リレー115cが省略されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、出力線111を構成する基板パターン、接地部113を構成するグランドパターン、抵抗1141およびコンデンサ1142は、図3に示した配置に限定されず、出力線111を構成する基板パターン、接地部113を構成するグランドパターンも、図3に示した形状に限定されない。
【0059】
また、上記実施形態において、モータ駆動回路112は、複数(例えば2つ)のモータ50(複数系統のモータ50)を駆動するために用いられてもよく、複数のモータ50の三相の給電線と接地部113との間にそれぞれRCスナバ回路114が設けられてもよい。
【0060】
複数のモータを備える場合には、1つのモータを備える三相モータ駆動回路と比較して、モータ駆動回路(インバータ回路)のスイッチングノイズが複数倍となるため、各モータに対してRCスナバ回路114を設けることにより、より効果的にノイズ放射を抑制することができる。
【0061】
また、上記実施の形態において、背景技術で述べた特許文献1におけるスナバ回路と併用してもよい。
【0062】
本発明はその範囲内において、実施形態の各部を自由に組み合わせることができ、あるいは実施形態の各部を適宜変形して省略することができることは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 操舵アクチュエータ装置
10 モータ駆動用電子制御装置
11 回路基板
111 出力線
111a 第1の給電線
111b 第2の給電線
111c 第3の給電線
111A 長尺本体
111B 突出部
112 モータ駆動回路
112a 第1モータ駆動回路
112b 第2モータ駆動回路
112c 第3モータ駆動回路
113 接地部
113a 第1接地部
113b 第2接地部
113c 第3接地部
113A 切欠部
114 RCスナバ回路
114a 第1RCスナバ回路
114b 第2RCスナバ回路
114c 第3RCスナバ回路
1141 抵抗
1142 キャパシタ
1143 中継パターン
115 遮断用リレー
115a 第1の遮断用リレー
115b 第2の遮断用リレー
115c 第3の遮断用リレー
20 電池
30 ステアリングホイール
40 回転軸
50 モータ
60 ピニオンギヤ
70 ラック軸
81 弁
82 シリンダ
90 車輪
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B