(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128591
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】椅子のチューブ状フレームに取り付けられる織物カバーのシート及び/又は背もたれを製造する方法、及びその方法によって得られた椅子
(51)【国際特許分類】
B68G 7/05 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
B68G7/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023382
(22)【出願日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】2101751
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515272822
【氏名又は名称】ラフマ モビリエ エスアエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セラー ミュリエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チューブと織物カバーとの間の力の均一な分配を提供し、脱落現象を排除する。
【解決手段】織物カバーの横方向縁部を折り曲げ、横方向シース4を形成するために、折り曲げた縁部を横方向縫い目線によって縫い合わす工程と、横方向シース4の各々の端部の少なくとも1つに、ノッチ5と呼ばれる少なくとも3つの視覚的マーカーとして、横方向シース4の各々の横方向縁部に中央ノッチ5aを設け、2つの周辺ノッチ5bをそれぞれの中央ノッチ5aの両側に設ける工程と、各中央ノッチ5aをそれぞれの周辺ノッチ5bの間に嵌合させることによって、周辺ノッチ5bが互いに向き合って延びるように、横方向シース4の自由端を折り曲げる工程と、横断縫い目線によって、横方向シース4の自由端をそれぞれのノッチ5,5a,5bの折り曲げ領域で縫い合わせる工程と、角部を引き出すことによって、織物カバーを折り返す工程とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば帆布のような織物カバー等からなる背もたれ(2)及び/又はシート(3)を製造する方法であって、
前記背もたれ(2)及び/又は前記シート(3)は、椅子のチューブ状フレーム(1)等に取り付けられ、
i)織物カバーの横方向縁部を折り曲げ、横方向シース(4)を形成するために、折り曲げた縁部を横方向縫い目線によって縫い合わす工程と、
ii)前記横方向シース(4)の各々の端部の少なくとも1つに、ノッチ(5)と呼ばれる少なくとも3つの視覚的マーカーとして、前記横方向シース(4)の各々の横方向縁部に中央ノッチ(5a)を設け、2つの周辺ノッチ(5b)をそれぞれの中央ノッチ(5a)の両側に設ける工程と、
iii)各中央ノッチ(5a)をそれぞれの周辺ノッチ(5b)の間に嵌合させることによって、前記周辺ノッチ(5b)が互いに向き合って延びるように、横方向シース(4)の自由端を折り曲げる工程と、
iv)横断縫い目線によって、前記横方向シース(4)の自由端をそれぞれのノッチ(5,5a,5b)の折り曲げ領域で縫い合わせる工程と、
v)角部を引き出すことによって、織物カバーを折り返す工程とを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
各中央ノッチ(5a)が、それぞれの前記横方向シース(4)の側縁に配置され、
前記周辺ノッチ(5b)が、それぞれの前記中央ノッチ(5a)から等距離に配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周辺ノッチ(5b)がそれぞれの前記中央ノッチ(5a)から離れる距離は、1cmである
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ノッチ(5,5a,5b)を設ける工程が、自動切断で前記横方向シース(4)の側縁に平行なマーカーを切断することにより行われる
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
チューブ状フレーム(1)と、
前記チューブ状フレーム(1)に取り付けられた、例えば帆布のような織物カバー等からなる背もたれ(2)及び/又はシート(3)とを備える椅子であって、
前記背もたれ(2)及び/又はシート(3)が請求項1~4のいずれか1項に記載の方法によって得られる
ことを特徴とする椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンションフレームを形成するチューブ状フレームに取り付けられる織物カバーのシート及び/又は背もたれを有する椅子に関し、より詳細には、このような椅子のためのシート及び/又は背もたれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の分野において、より詳細には、テンションフレームを形成し、織物カバーによって得られるシート及び/又は背もたれが取り付けられるチューブ状フレームを備える織物カバーを有する椅子の分野において、織物カバーが繰り返し衝撃を受けたときに損傷を受け、その衝撃が織物カバーの繊維の破裂をもたらし、最終的にはチューブ状フレームによって与えられる張力によって広がることが知られている。
【0003】
椅子カバーのための編まれた布帛の糸が外力によって切断されるのを防止するために、危険領域のフレームの脚部には、打撃又は衝撃のような外力の影響を減衰させ、それによって糸が直接切断されるのを防止するために、弾性物質(例えば伸縮自在のシース)で作られたパッドが装備されることがすでに想定されている。これは、特に、特許文献1の場合である。
【0004】
特許文献2も公知であり、これは、織物カバーのための支持体を備えたクランプフレームを受け入れる織物カバーで構成された背もたれを有する椅子を記載しており、クランプフレームは、織物カバーのための支持体として、領域に加わる打撃から保護するためのフィルムを有する。
【0005】
同様に、背もたれ及び/又はシートは、チューブ状フレームのチューブが挿入されるシース(覆い、被覆、鞘)を備えた織物カバーからなり、このシースの端部がシーム(縫合)によって閉じられていることは、よく知られている。これらの縫合の見苦しい外観に加えて、縫合は、特に人が椅子に座ったときに、縫合に加えられる著しい力の影響下で破断する傾向がある。したがって、これらの縫合は、フレームのチューブがシースから突出して椅子を使用不能にする、脱着として知られる現象につながることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開102009059699号明細書
【特許文献2】欧州特許第2984967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的の1つは、椅子のチューブ状フレームに取り付けられる織物カバーのシート及び/又は背もたれと、この方法によって得られる椅子とを、簡単で安価な設計で製造し、チューブと織物カバーとの間の力の均一な分配を提供し、脱落現象を排除する方法を提案することによって、これらの欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明によれば、例えば帆布のような織物カバー等で作られたシート及び/又は背もたれを製造する方法が提案され、前記背もたれ及び/又はシートは、椅子のチューブ状フレーム等に取り付けられ、前記方法は、少なくとも
i)織物カバーの横方向縁部を折り曲げ、横方向縫い目線によって横方向シースを縫い合わせる工程と、
ii)横方向シースの各々の端部の少なくとも1つに、ノッチ(切欠)と呼ばれる少なくとも3つの視覚的マーカーとして、前記横方向シースの各々の横方向縁部に中央ノッチを設け、2つの周辺ノッチを中央ノッチの両側にそれぞれ設ける工程と、
iii)前記周辺ノッチが互いに対面して延びるように、各中央ノッチをそれぞれの周辺ノッチの間に合わせ、前記横方向シースの自由端を折り曲げる工程と、
iv)横断縫い目線によって、ノッチの折り曲げ領域で横方向シースの自由端を縫い合わせる工程と、
v)角部を引き出すことによって、織物カバーをひっくり返す工程と、
を含む点で注目すべきである。
【0009】
横方向シースの端部を閉じるこの縫い目は、織物カバーをひっくり返した後にY字状の一般的な形状を有し、人が椅子に座ったときに織物カバー上のチューブの力の均一な分布を提供することが観察されるであろう。
【0010】
さらに、本発明による方法は、シースを視覚的に隠すことを可能にするという事実に加えて、この方法は、脱被覆現象を回避することを可能にする。
【0011】
好ましくは、各中央ノッチは、それぞれの横方向シースの横方向縁部上に配置され、周辺ノッチは、それぞれの中央ノッチから等距離に配置される。
【0012】
さらに、周辺ノッチをそれぞれの中央ノッチから離す距離は1cmであり、これらのノッチは織物カバー上で直接切断される。
【0013】
本発明の別の目的は、チューブ状フレームと、このチューブ状フレームに取り付けられる、例えば帆布のような織物カバー等で構成されたシート及び/又は背もたれとを備える椅子に関し、背もたれ及び/又はシートは、本発明による方法に従って得られる。
【0014】
他の利点及び特徴は、添付の図面を参照して、椅子のチューブ状フレームに取り付けられる織物カバーのシート及び/又は背もたれを製造するための方法、及び本発明による方法に従って得られる椅子の、非限定的な例として提供される、1つの実施形態に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従って、織物カバーで得られるシート及び/又は背もたれが取り付けられる、チューブ状フレームからなる椅子の斜視図である。
【
図2】本発明による背もたれ及び/又はシートの横方向シースにノッチを設ける工程の斜視図である。
【
図3】横方向シースの端部を縫い合わせる工程の前に、本発明による背もたれ及び/又はシートの横方向シースを折り畳む斜視図である。
【
図4】本発明による背もたれ及び/又はシートの織物カバーを裏返す工程の斜視図である。
【
図5】椅子のチューブ状フレームに取り付けられた後の、本発明による背もたれ及び/又はシートの横方向シースの端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の本発明の説明では、同じ参照番号は同じ要素を示す。それぞれの図面は、必ずしも同じスケールで描かれているわけではない。
【0017】
図1を参照すると、本発明による椅子は、チューブ状フレーム1と、例えば帆布のような織物カバーで得られ、前記チューブ状フレーム1に取り付けられた背もたれ2及びシート3とからなる。
【0018】
この特定の実施形態では、背もたれ2及びシート3は、単一部品として得られるが、背もたれ2及びシート3は、本発明の範囲から逸脱することなく、2つの別個の部品として得ることができることは明らかである。
【0019】
背もたれ2及び/又はシート3を製造するための方法は、第1の工程において、
図2を参照すると、織物カバーの長方形又は正方形の部分から、織物カバーの横方向縁部を折り曲げ、この折り曲げられた縁部を縫い合わせて、横方向縫い目線によって横方向シース4を形成することからなり、横方向縫い目線は、当業者に周知の縫い合わせ機によって作られる。
【0020】
第2の工程では、ノッチ5と呼ばれる少なくとも3つの視覚マーカーが、前記横方向シース4の端部の少なくとも1つに取り付けられ、中央ノッチ5aが、それぞれの横方向シース4の横方向縁部に取り付けられ、2つの周辺ノッチ5bが、それぞれの中央ノッチ5aの両側に取り付けられる。各中央ノッチ5aは、それぞれの横方向シース4の横方向縁部上に位置決めされ、それぞれの周辺ノッチ5bは、前記中央ノッチ5から等距離に位置決めされる。さらに、周辺ノッチ5bをそれぞれの中央ノッチ5aから離れる距離は1cmである。加えて、ノッチ5,5a,5bを取り付ける工程は、横方向シース4の横方向縁部に平行な切断マーカーの自動切断によって行われる。
【0021】
本発明に係る方法は、
図3に示すように、次いで、それぞれの周辺ノッチ5bの間にそれぞれの中央ノッチ5aを嵌め合わせ、かつこれらの周辺ノッチ5bが互いに対向して延びるように、横方向シース4の自由端を折り畳むことからなる。
【0022】
図3を参照すると、横方向シース4の端部を折り畳んだまま、横断縫い目線によってノッチ5の折り畳み領域で横方向シース4の自由端の地縫いが行われ、次いで、
図4を参照して、
図5に示されるようなY状の一般的な形状を有するシース(外観に現れない)を提供するために、角部を引き出すことによって、織物被覆の折り返しが行われる。
【0023】
横方向シース4の端部を閉じるこの縫い目は、織物カバーをひっくり返した後にY字状の全体形状を有し、特に人が椅子に座ったときに、織物カバーに対するチューブ状フレーム1のチューブの力に加わる均一な分布を提供することが観察されるであろう。さらに、本発明による方法は、シースを視覚的に除去することを可能にするという事実に加えて、この方法は、脱着現象を回避することを可能にし、縫い目線にはアクセスできない。
【0024】
最後に、上述した実施例は、本発明の適用分野に関して決して限定するものではない特定の例示に過ぎないことは、全く自明である。