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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128599
(43)【公開日】2022-09-02
(54)【発明の名称】双方向顎変位口腔器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20220826BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
A61F5/56
A61M16/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025853
(22)【出願日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】17/183,069
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514051143
【氏名又は名称】アプニア・サイエンシーズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】APNEA SCIENCES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・ファロン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB15
4C098BC08
4C098BC41
4C098BC42
4C098BD14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】いびきおよび睡眠時の無呼吸の影響を低減するために使用者の口に装着される双方向顎変位口腔器具を提供する。
【解決手段】口腔器具1は、使用者の上歯群を受容する上側弓形トレイアセンブリ3と、使用者の下歯群を受容する下側弓形トレイアセンブリ5とを含む。上側弓形トレイアセンブリと下側弓形トレイアセンブリとの間には、中間弓形トレイアセンブリ4が配置される。上側弓形トレイアセンブリは、使用者の上歯群を中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に回転可能とするように中間弓形トレイアセンブリにヒンジ接続される。下側弓形トレイアセンブリは、使用者の下歯群を上側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリに対して水平方向に動かすように適合され、これにより使用者の下顎は使用者の上顎に対して前進されて、使用者の喉への気道を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝ている間に使用者が呼吸できる前記使用者の喉への開通気道を維持するように、前記使用者の下顎の位置を前記使用者の上顎に対して調節するために、前記使用者の口の中に挿入されることとなる顎変位口腔器具であって、前記口腔器具は、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上歯印象材を有する上側弓形トレイアセンブリと、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下歯印象剤を有する下側弓形トレイアセンブリと、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、前記下側弓形トレイアセンブリに取り付けられている、中間弓形トレイアセンブリと、を備え、前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリの各々が、互いに離間しているとともに互いに対向して位置する、一対の側部を有し、前記口腔器具はさらに、
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々から下方向に延在し、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部のそれぞれに枢動可能に連結される、結合器を備え、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリはともに枢動可能に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、睡眠中に前記使用者の口が開いているとき、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群から離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに前記結合器において回転可能である、顎変位口腔器具。
【請求項2】
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリの各々は、前記使用者の上歯群および前記使用者の下歯群の咬合型に一致する湾曲した前部を備える弓状の構成を有する、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項3】
結合器受容開口部をさらに備え、前記結合器受容開口部は、前記上側トレイアセンブリの前記一対の側部から下方向に延在する前記結合器が、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容されるように、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に形成され、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリはともに枢動可能に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記下側弓形トレイアセンブリから離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに前記結合器において回転可能である、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項4】
前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容される、前記上側トレイアセンブリの前記一対の側部から下方向に延在する前記結合器は、L字形を有する、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項5】
前記結合器が前記結合器受容開口部を通って横方向に摺動可能であるように、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部は、前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容される前記結合器の断面よりも長い、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項6】
前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に前記使用者の下歯群とともに動き、それによって前記使用者の上顎の位置に対して前記使用者の下顎の位置を対応して調節するように適合されるように、前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリに取り付けられる、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項7】
前記下側弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に配置される位置調節ブロックを有し、前記中間弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に配置されるロックチャネルを有し、前記位置調節ブロックは、前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して前記水平方向に動くとき、前記ロックチャネルのそれぞれの中に受容され、前記ロックチャネルのそれぞれを通って摺動可能である、請求項6に記載の顎変位口腔器具。
【請求項8】
前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリの前記側部の各々に配置される各位置調節ブロックおよび各ロックチャネルは、歯群を有し、前記位置調節ブロックおよび前記ロックチャネルの前記歯群は互いに噛合係合で位置し、それによって、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリは互いに解除可能なロック係合で噛み合う、請求項7に記載の顎前進口腔器具。
【請求項9】
前記中間弓形トレイアセンブリは、前記中間弓形トレイアセンブリを圧縮するためにその前記一対の側部に同時に印加される圧搾力に応答性があり、これによって、前記ロックチャネルの前記歯群を前記位置調節ブロックの前記歯群とのそれらの噛合係合から動かして、前記位置調節ブロックを前記ロックチャネルを通って摺動させるとともに、前記下側弓形トレイアセンブリを前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して前記水平方向に動かすことを可能にする、請求項8に記載の顎前進口腔器具。
【請求項10】
寝ている間に使用者が呼吸できる前記使用者の喉への開通気道を維持するように、前記使用者の下顎の位置を前記使用者の上顎に対して調節するために、前記使用者の口の中に挿入されることとなる顎前進口腔器具であって、前記口腔器具は、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上歯印象材を含む上側弓形トレイアセンブリを備え、前記上側弓形トレイアセンブリは、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有し、前記口腔器具はさらに、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下歯印象材を含む下側弓形トレイアセンブリを備え、前記下側弓形トレイアセンブリは、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有し、前記口腔器具はさらに、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有する、中間弓形トレイアセンブリを備え、
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリが上下に位置するように、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部において、前記中間弓形トレイアセンブリに対して前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部においてヒンジ接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、睡眠中に前記使用者の口が開いているとき、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群から離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに回転可能である、顎前進口腔器具。
【請求項11】
前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群は、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記上側弓形トレイアセンブリがヒンジ接続される前記中間弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に移動可能である、請求項10に記載の顎変位口腔器具。
【請求項12】
前記上側弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々から下方向に延在する結合器を有し、前記中間弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に形成された結合器受容開口部を有し、前記結合器は、前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容され、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記中間弓形トレイアセンブリにヒンジ接続され、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに回転可能である、請求項10に記載の顎変位口腔器具。
【請求項13】
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々から下方向に延在する各結合器は、L字形を有する、請求項12に記載の顎変位口腔器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
この発明は、いびきおよび/または睡眠時の無呼吸の影響を低減するために、睡眠中に使用者の口の中で歯に装着されることとなる、双方向顎変位口腔器具に関する。顎変位口腔器具は、上側弓形トレイアセンブリと下側弓形トレイアセンブリとを含み、上側弓形トレイアセンブリおよび下側弓形トレイアセンブリの中には使用者の上歯群および下歯群が受容され、下側弓形トレイアセンブリは使用者の下歯群とともに水平方向に(すなわち、前後に)動くように適合され、上側弓形トレイアセンブリは下側弓形トレイアセンブリに対して使用者の上歯群とともに鉛直方向に(すなわち、上下に)回転するように適合される。前述のものによって、上側弓形トレイアセンブリは、万一、使用者が眠っている間に口を開けている場合であっても、使用者の上歯群と係合されたままであり得る。さらに、使用者の喉への開通気道を維持するために、使用者の下顎の位置を上顎の前方に調節することができる。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
口腔器具は、器具を通して使用者の喉へ通じる開通気道を維持して使用者の睡眠中の呼吸を改善するために、使用者の口の中に挿入され、使用者の歯に装着されることが知られている。このような口腔器具の例は、2014年9月16日に発行された米国特許第8,833,374号および2020年12月1日に発行された米国特第10,849,783号を参照することによって入手可能である。先述の特許された口腔器具は、いびきおよび/または睡眠時の無呼吸の影響を低減することを望む者に特に使用される。各器具は、使用者の上歯群および下歯群が使用中に据えられる、上側弓形トレイアセンブリと下側弓形トレイアセンブリとを含む。使用者の状態が経時的に変化するにしたがって先述の気道を使用者の喉へと開き続けるために、下側弓形トレイアセンブリは、使用者の下顎の位置を使用者の上顎に対して対応して前進させるように、上側弓形トレイアセンブリに対して水平方向に摺動可能に調節可能である。
【0003】
使用者の寝方および動き方によって、口腔器具の位置は、使用者の口の中で上歯群および下歯群に対して移動することがある。特に、仮に使用者が眠っている間に口を開けているとする場合、器具の上側弓形トレイアセンブリは使用者の上歯群から離れることがある。その場合、使用者が口を閉じたときに、器具が使用者の上歯群との位置合わせから外れることがあり、これは、使用者の下顎を上顎の前に維持することがもはやできないことによって、器具の有効性を低減させることがある。上記で参照された特許番号第10,849,783号の場合、上側弓形トレイアセンブリは下側弓形トレイアセンブリに対して支柱に沿って鉛直に(すなわち、上下に)摺動するように適合され、これにより、使用者の口が開いているか閉じているかにかかわらず、口腔器具の上側弓形トレイアセンブリを夜間を通して使用者の上歯群に係合し続けることが可能になるため、開通気道が維持される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の概要
大まかには、双方向顎変位口腔器具は、いびきおよび/または睡眠時の無呼吸の影響を低減するために、睡眠中に使用者の口の中で歯に装着されるものとして開示される。口腔器具は、上側弓形トレイアセンブリと、下側弓形トレイアセンブリと、それらの間に配置される中間弓形トレイアセンブリとを含む。弓形トレイアセンブリの各々は、使用者の歯の咬合型に一致するために、湾曲した前部と互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有する。上側弓形トレイアセンブリおよび下側弓形トレイアセンブリの各々は、歯印象材を含み、歯印象材内には睡眠中に使用者の上歯群および下歯群が受容される。
【0005】
一対の枢動結合器(たとえば、フック)が、弓状の上側弓形トレイアセンブリの対向側部から下方向に垂下し、弓状の中間弓形トレイアセンブリの対向側部に形成されるそれぞれの結合器受容開口部を通って受容される。上側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリは、上側弓形トレイアセンブリによって担持される枢動結合器が中間弓形トレイアセンブリに形成された結合器受容開口部を通って押されるとき上下に位置するように、枢動結合器によってともに枢動可能に接続される。前述のものによって、口腔器具の使用者が睡眠中に口を開けたり閉じたりしているとき、上側弓形トレイアセンブリは、その閉じた前部が中間弓形トレイアセンブリに対して概ね鉛直方向に使用者の上歯群とともに上下に動くように、枢動結合器において回転し得る。したがって、使用者の上歯群は、上側弓形トレイアセンブリの歯印象材によって係合されたままとなり、上側弓形トレイアセンブリの歯印象材から離れることを回避し得る。この場合、口腔器具は、器具の有効性を保つように使用者の上歯群と位置合わせされたままとなり得、これにより使用者の喉への開通気道を維持する。
【0006】
中間弓形トレイアセンブリの底部かつ対向側部に形成されるそれぞれのロックチャネル内における摺動可能な受容のために、下側弓形トレイアセンブリの頂部かつ対向側部には、一対の位置制御ブロックが配置される。位置調節ブロックおよびロックチャネルの各々は、歯群を有し、歯群は、その片側に沿って延びて、位置調節ブロックをロックチャネル内に保持するように互いに嵌合係合するように動かされ、これにより中間弓形トレイを下側弓形トレイアセンブリに接続する。
【0007】
使用者の下顎を上顎に対して再配置できるように、双方向顎変位口腔器具の下側弓形トレイアセンブリを、上側弓形トレイアセンブリ、および上側弓形トレイアセンブリが結合される中間弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に動かすことが望ましいとき、中間弓形トレイアセンブリの対向側部に圧搾力が一瞬印加される。圧搾力の結果、中間弓形トレイアセンブリは、そのロックチャネルの片側における歯が下側弓形トレイアセンブリの位置調節ブロックの片側における歯とのそれらの以前の嵌合係合から動かされるように、一瞬圧迫される。このとき、下側弓形トレイアセンブリに押圧力が印加されて、位置制御ブロックを中間弓形トレイアセンブリのロックチャネルを通って摺動させて、下側弓形トレイアセンブリおよび使用者の下顎の位置を上側弓形トレイアセンブリおよび使用者の上顎の前方に対応して調節する。下側弓形トレイアセンブリおよび使用者の下顎の位置が使用者の要求に合うように必要に応じて調節されると、中間弓形トレイアセンブリに印加される一瞬の圧搾力は終了する。したがって、このとき、中間弓形トレイアセンブリはその元の形状に戻るように自動的に広がり得、それによって、ロックチャネルの歯は位置調節ブロックの歯とのそれらの嵌合係合に戻るように動いて、再び中間弓形トレイアセンブリおよび下側弓形トレイアセンブリを所定位置に上下に保持する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の好ましい実施形態に係る双方向顎変位口腔器具の斜視図である。
図2図1の顎変位口腔器具の分解図である。
図3図1の顎変位口腔器具の上側弓形トレイアセンブリ、下側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリを示す、分解頂面図である。
図4図3の顎変位口腔器具の上側弓形トレイアセンブリ、下側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリを示す、分解底面図である。
図5】上側弓形トレイアセンブリから下方向に垂下する一対の結合器によって、中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に結合される、顎変位口腔器具の上側弓形トレイアセンブリを示す図である。
図6】上下に結合された後の、顎変位口腔器具の上側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリを示す図である。
図7図6の線7-7の方向に見たときの、顎変位口腔器具の前面図である。
図8】使用者の口が閉じており、上側弓形トレイアセンブリが中間弓形トレイアセンブリの頂部上に位置するときの、装置装着時の顎変位口腔器具を示す図である。
図9】使用者の口が開いており、上側弓形トレイアセンブリが中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に回転するときの、顎変位口腔器具を示す図である。
図10図9の線10-10の方向に見たときの、中間弓形トレイアセンブリに形成される結合器受容開口部内に摺動可能に受容される、上側弓形トレイアセンブリの一対の結合器を示す図である。
図11図9の線10-10の方向に見たときの、中間弓形トレイアセンブリに形成される結合器受容開口部内に摺動可能に受容される、上側弓形トレイアセンブリの一対の結合器を示す図である。
図12】顎変位口腔器具の位置合わせ構成を図示するための頂面分解図である。
図13】顎変位口腔器具の位置合わせ構成を図示するための底面分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の説明
図面を見ると、双方向顎変位口腔器具1の詳細が提供され、双方向顎変位口腔器具1は、使用者が寝ている間に歯に口腔器具を装着しているときに、いびきおよび睡眠時の無呼吸の影響を低減するために、使用者の下顎が必要に応じて使用者の上顎に対して水平方向に変化可能な距離で選択的に再配置(すなわち、前進され)されて使用者の喉への開通気道を維持することができるように、使用者の口の中で歯にぴったり合うような大きさにされる。さらには、使用者が歯に口腔器具を装着した状態で眠っている間に口を広く開けている際に、使用者の上歯群が口腔器具から抜かれ得る可能性を最小限にするように、使用者の上顎を下顎に対して鉛直上方向に再配置することもできる。したがって、口腔器具1は、使用者がいびきおよび/または睡眠時の無呼吸の影響に対処するとともに、万一、使用者の口が睡眠中に開いている場合でも、器具の効力に悪影響を与え得る、口腔器具が使用者の上歯群から離れる危険性を最小限にすることを可能にする、調整可能な装置を所有することを望む人に使用されることが理解されるであろう。
【0010】
図面の図1図11を同時に参照すると、双方向顎変位口腔器具1は、上側弓形トレイアセンブリ3と下側弓形トレイアセンブリ5とを含むように示され、上側弓形トレイアセンブリ3および下側弓形トレイアセンブリ5は、上下に保持されて、口腔器具を通した使用者の喉への連続的な気道を形成する。上側弓形トレイアセンブリ3と下側弓形トレイアセンブリ5との間には、可撓性の中間弓形トレイアセンブリ4が存在する。以下でより詳細に開示されるように、上側、中間および下側弓形トレイアセンブリ3~5は、使用者が下側弓形トレイアセンブリ5を上側弓形トレイアセンブリ3に対して水平方向に前後に動かすことができるように、互いに結合される。同様に、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4は、下側弓形トレイアセンブリ5に対して概ね鉛直方向に上下にともに動かされ得る。
【0011】
下側弓形トレイアセンブリ5が、以下に記載されるように、使用者によって水平方向に動かされる場合、使用者の下顎は上顎に対して対応してずらされて、使用者の喉への気道の大きさを選択的に調節することを可能にする。上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4が鉛直方向に上方向に動く場合、たとえば使用者が睡眠中に口を開けているとき、使用者の上歯群も上側弓形トレイアセンブリ3とともに上方向に動き得る。本発明の重要な利点として、万一、使用者が口を広く開けた場合であっても、使用者の上歯群は上側弓形トレイアセンブリ3と係合されたままになる可能性が高いため、使用者の上顎に対する下顎の水平位置が夜間を通して維持され得る。
【0012】
双方向顎変位器具1の上側弓形トレイアセンブリ3は、上歯印象材9と上側材受容トレイ10とを含み、上歯印象材9および上側材受容トレイ10は、好ましくは、歯印象材9が材受容トレイ10の頂部にはり付けられるように、3D印刷法によって単一部品として製造される。上歯印象材9および上側材受容トレイ10の各々は、上顎によって担持される使用者の歯群の咬合型に一致するために、概ね弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0013】
双方向顎変位器具1の下側弓形トレイアセンブリ5は、下歯印象材12と下側材受容トレイ14とを含み、下歯印象材12および下側材受容トレイ14は、材受容トレイ14が下歯印象材12の頂部上に所定位置に保持されるように、ともに接合される。代替的には、下歯印象材12および下側材受容トレイ14は、3D印刷法によって単一部品として製造されてもよい。上歯印象材9および上側材受容トレイ10の場合と同様に、下歯印象材12および下側材受容トレイ14の各々は、下顎によって担持される使用者の歯群の咬合型に一致するために、概ね弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0014】
中間弓形トレイアセンブリ4は、まもなく説明されることとなるように、下側弓形トレイアセンブリ5の下側材受容トレイ14に取り付けられる可撓性の結合器取付トレイ16を含む。中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16は、また、上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10および下側弓形トレイアセンブリ5の下側材受容トレイ14の弓状構成に一致するために、概ね弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0015】
図面に示されるように、口腔器具1の弓状の上側、中間および下側弓形トレイアセンブリ3~5、ならびに、それらの上側材受容トレイ10、下側材受容トレイ14および結合器取付トレイ16の各々は、湾曲した閉鎖前端と、開放後端において互いに離間される一対の対向側部とを有する。弓状の上側弓形トレイアセンブリ3の上歯印象材9の頂部にわたって、上側咬合チャネル18(図2に最もよく示される)が広がる。上側咬合チャネル18は、その中に使用者の上顎によって担持される使用者の上歯群を受容するような大きさにされる。弓状の下側弓形トレイアセンブリ5の下歯印象材12の底部にわたって、下側咬合チャネル20(図4に最もよく示される)が広がる。下側咬合チャネル20は、その中に使用者の下顎によって担持される使用者の下歯群を受容するような大きさにされる。
【0016】
双方向顎変位器具1の重要な構成として、一対の枢動結合器24が、上側弓形トレイアセンブリ3の開放後端において弓状の上側材受容トレイ10の対向側部に同延的に接続され、上側材受容トレイ10の対向側部から下方向に垂下する。好ましい実施形態において、各枢動結合器24は、L字形のフックを有する。しかしながら、枢動結合器24は、たとえば、柱の形状など、他の好適な形状を有してもよい。各枢動結合器24の底部からは、止め具26が外側に向いている。図3に最もよく示されるように、中間弓形トレイアセンブリ4の開放後端における弓状の結合器取付トレイ16の対向側部には、一対の結合器受容開口部またはスロット28が形成される。
【0017】
図5に最もよく示されるように、上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10から下方向に垂下する枢動結合器24は、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16に形成された結合器受容開口部28のそれぞれと軸方向に位置合わせされる。上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4は、枢動結合器24が結合器受容開口部28を通って押されるときに上下にともに結合され、上側弓形トレイアセンブリ3は、枢動結合器24の上方にかつ枢動結合器24に沿って中間弓形トレイアセンブリ4に対して上下に重なることができる。枢動結合器24の底部から外側に向く止め具26は、枢動結合器24が結合器受容開口部28から引き抜されるのを防止して、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4が互いに分離することを阻止する。
【0018】
図10および11に最もよく示されるように、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16に形成される結合器受容開口部28は、開口部28を通って受容される枢動結合器24の断面よりも長い。したがって、図9に最もよく示されるように、一対の枢動結合器24は、それらの結合器受容開口部28内において前後に揺れる(すなわち、枢動する)ように適合される。枢動結合器28は、結合器28が垂下する上側トレイアセンブリ3が下側弓形トレイアセンブリ5および使用者の下歯群から上方向にかつ離れて動くように、中間弓形トレイアセンブリ4に対して概ね鉛直方向に上下に回転することを可能にする、ヒンジとして機能することが理解されるであろう。
【0019】
さらには、結合器受容開口部28が結合器24の断面よりも長いことから、結合器24の各側には、開口部28内において、間隙(図10においてG1およびG2で示される)が確立される。間隙は、枢動結合器24が開口部28を通って横方向に往復して摺動することを可能にして(図11に最もよく示される)、使用者が口腔器具1を装着しており、眠っている間に口を開けているときに、結合器24に伝えられる使用者の上顎の内側および横方向の両方の動きを相殺して、使用者の上歯群が上側弓形トレイアセンブリ3から抜け落ち得る危険性をさらに低減する。
【0020】
これに関連して、図7および図8は、眠っている使用者によって装着されている間に見られ得る、装置装着時における双方向顎変位口腔器具1を示し、上歯群は上側弓形トレイアセンブリ3の上歯印象材9に配置され、下歯群は下側弓形トレイアセンブリ5の下歯印象材12に配置されている。この場合、使用者の口は閉じており、上側弓形トレイアセンブリ3は頂部に位置し、図8における参照番号30によって示される比較的短い距離だけ中間弓形トレイアセンブリ4から離れている。
【0021】
図9は、眠っている間に口を開けているときに使用者の歯を覆う双方向顎変位口腔器具1を示す。弓状の上側弓形トレイアセンブリ3の開放後端は、中間弓形トレイアセンブリ4の弓状の結合器取付トレイ16の開放後端に対して、その間に延在する枢動結合器24によってヒンジ接続されるため、使用者の口がどれだけ広く開いているかによって、上側弓形トレイアセンブリ3の閉鎖前端は約30~45度の角度で使用者の上歯群とともに上方向に回転する。したがって、このとき、上側弓形トレイアセンブリ3は、中間弓形トレイアセンブリ4から離れて動いて、図9における参照符号32によって示されるより長い距離だけ、その間における分離を増加させる。前述のものによって、および上記に説明されたように、使用者の上歯群は、上側弓形トレイアセンブリ3の上歯印象材9の(図3の)上側咬合チャネル18から離れる可能性は低くなり、そうでなければ、使用者の口が夜間を通して繰り返し開いたり閉じたりするにつれて、口腔器具1が使用者の上歯群から離され、使用者の上顎に対する下顎の位置に影響することがある。
【0022】
図3および図4を参照して、中間弓形トレイアセンブリ4および下側弓形トレイアセンブリ5ならびに使用者の下顎および下歯印象材12の下側咬合チャネル20に配置される使用者の下歯群が、上側弓形トレイアセンブリ3ならびに使用者の上顎および上歯印象材9の上側咬合チャネル18に配置される使用者の上歯群に対して互いに前後に動かされることができるように、双方向顎変位口腔器具1の中間弓形トレイアセンブリ4を下側弓形トレイアセンブリ5に結合する手段の詳細が提供される。前述のものによって、使用者の下顎の位置は、使用者の上顎の位置に対して水平方向に沿って選択的に調節されて、下顎の水平方向の前進および使用者の喉に通じる気道(図7に34で示される)の大きさを対応して調節することができる。
【0023】
図4に最もよく示されるように、中間弓形トレイアセンブリ4の弓状の結合器取付トレイ16の底部および各側部には、凹状のロックチャネル36が形成(たとえば、成形)される。ロックチャネル36は、互いに平行に延びる。各ロックチャネル36の片側に沿って、歯列38が形成(たとえば、成形)される。図3に最もよく示されるように、一対の位置調節ブロック40が、下側弓形トレイアセンブリ5の弓状の下側材受容トレイ14の頂部の対向側部に配置され、下側材受容トレイ14の頂部から上方向に直立する。各位置制御ブロック40の片側に沿って、歯列42が形成(たとえば、成形)される。
【0024】
双方向顎変位口腔器具1の組立の間、下側弓形トレイアセンブリ3の下側材受容トレイ14は、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16の底部に対して設置される。前述のものを達成するために、下側材受容トレイ14から上方向に直立する一対の位置調節ブロック40は、結合器取付トレイ16の底部に形成される一対のロックチャネル36のそれぞれに摺動可能に受容されるように入り込み、それによって中間弓形トレイアセンブリ4および下側弓形トレイアセンブリ5の対向するトレイ14および16はともに結合され、所定位置に上下に保持される。これに関して、一対の直立する位置調節ブロック40の片側に沿って延びる歯列42は、一対の凹状のロックチャネル36の片側に沿って延びる歯列38と解除可能なロック係合に入れられ、歯列38に対して噛み合う。しかしながら、対向する歯列38および42の代わりに、任意の好適な連結歯止め手段が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0025】
前述のものによって、ロックチャネル36の歯38との位置調節ブロック40の歯42のロック噛合係合を解除する能力が使用者に提供される。すなわち、使用者の下顎に係合する下側弓形トレイアセンブリ5の位置は、枢動結合器24によって互いに結合されるとともに使用者の上顎に係合する上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4に対して、水平方向に沿って選択的に変更され得る。
【0026】
中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16の対向側部には、一対の位置制御パッド44が配置され、成形される。下側弓形トレイアセンブリ5の下側材受容トレイ14の各側部には、位置制御パッド44の下方に位置するように、位置表示スケール46が成形されるまたは印刷される。可撓性の中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16は、図1における双方向の矢印50によって示される一瞬の圧縮圧搾力に対して応答性があり、圧縮圧搾力は、位置制御パッド44において互いに向かって同時に印加されて、結合器取付トレイ16の形状を一時的に圧縮し変化させ、それによってトレイ16の対向側部はともに圧搾される。同時に、結合器取付トレイ16の底部におけるロックチャネル36の歯38は、下側材受容トレイ14の頂部において位置調節ブロック40に形成される歯42とのそれらの先のロック係合から一時的に外れるように動かされる。中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16には、その湾曲前端の中ほどに、そこに印加される圧搾力に対応して対向側部が互いに向かってさらに圧縮することを促進するために、鍵穴ノッチ52が形成される。
【0027】
使用者は、このとき、下側弓形トレイアセンブリ5の位置を変えるために押圧(または引張)力を印加することができ、これにより使用者の下顎を水平方向に前進させる。中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16は、結合器受容開口部28を通って受容される、トレイ10から垂下する一対の枢動結合器24によって、上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10に結合されるため、下側弓形トレイアセンブリ5は、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4の両方に対してずらされる。下側弓形トレイアセンブリ3の位置を上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10に対して水平方向に変えることによって、使用者の下顎の位置は上顎に対して前方または後方に対応して動かされて、使用者の喉への(図7の)気道34の大きさを所望のとおりに経時的に変化させる。
【0028】
下側弓形トレイアセンブリ5の位置が上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10の位置に対して調節された後、一瞬の圧縮圧搾力50は終えられる。したがって、中間弓形トレイアセンブリ4の先に圧縮された結合器取付トレイ16は、自動的に広がってその初期の弓状の形状に戻り得る。同時に、中間弓形トレイアセンブリ4と下側弓形トレイアセンブリ5とが再び所定位置に保持されて上下に接続され得るように、ロックチャネル36の歯38は、位置調節ブロック40の対向する歯42とのそれらの噛合連結係合に戻るように動き得る。位置表示スケール46の上方における位置制御パッド44の位置は、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4に対する下側弓形トレイアセンブリ5の位置の視覚的な表示を使用者に提供するため、使用者は、下側弓形トレイアセンブリ5の定期的に制御可能でかつ精密な水平位置調節を行って上顎に対する下顎の位置を対応して変えることができる。
【0029】
本明細書において、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16の対向側部における位置制御パッド44に圧縮圧搾力が印加されると、下側弓形トレイアセンブリ5が上側弓形トレイアセンブリ3に対して水平方向に動かされることが説明された。しかしながら、代替例において、結合器取付トレイ16がまず圧縮された後、上側弓形トレイアセンブリ3が握られて、下側弓形トレイアセンブリ5に対して同じ水平方向に動かされてもよいことがはっきりと理解されるべきである。この場合、使用者の上顎は、使用者の下顎に対して前後に位置決めされ得る。
【0030】
ここで図面の図12および図13を参照すると、双方向顎変位口腔器具1が位置合わせ構成とともに示され、位置合わせ構成は、口腔器具の組立の間に、上側弓形トレイアセンブリ3の弓状の上側材受容トレイ10が、中間弓形トレイアセンブリ4の弓状の結合器取付トレイ16および下側弓形トレイアセンブリ5の弓状の下側材受容トレイ14に対して正確に位置決めされることを可能にする。より具体的には、下側材受容トレイ14の底部に、その前部および対向側部において、位置合わせポケット54,55および56(図13に最もよく示される)が形成(たとえば、成形)される。下歯印象材12の頂部には、その前部および対向側部において、位置合わせペグ58,59および60が(たとえば、3D印刷法によって)同延的に接続される。
【0031】
位置合わせペグ58~60は、下歯印象材12の頂部におけるペグ58~60が下側材受容トレイ14の底部におけるポケット54~56のそれぞれの中に圧入されるように、位置合わせポケット54~56と軸方向に位置合わせされる。下側材受容トレイ14の頂部における位置調節ブロック40は、結合器取付トレイ16の底部におけるぎざぎざしたロックチャネル36によって摺動可能に受容される。上側材受容トレイ10の枢動結合器24は、結合器取付トレイ16の結合器受容開口部28を通って押される。したがって、弓状の上側、中間および下側弓形トレイアセンブリ3~5は、上下に位置合わせされて梱包され、口腔器具1の使用者に発送され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝ている間に使用者が呼吸できる前記使用者の喉への開通気道を維持するように、前記使用者の下顎の位置を前記使用者の上顎に対して調節するために、前記使用者の口の中に挿入されることとなる顎変位口腔器具であって、前記口腔器具は、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上歯印象材を有する上側弓形トレイアセンブリと、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下歯印象剤を有する下側弓形トレイアセンブリと、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、前記下側弓形トレイアセンブリに取り付けられている、中間弓形トレイアセンブリと、を備え、前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリの各々が、互いに離間しているとともに互いに対向して位置する、一対の側部を有し、前記口腔器具はさらに、
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々から下方向に延在し、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部のそれぞれに枢動可能に連結される、結合器を備え、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリはともに枢動可能に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、睡眠中に前記使用者の口が開いているとき、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群から離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに前記結合器において回転可能である、顎変位口腔器具。
【請求項2】
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリの各々は、前記使用者の上歯群および前記使用者の下歯群の咬合型に一致する湾曲した前部を備える弓状の構成を有する、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項3】
結合器受容開口部をさらに備え、前記結合器受容開口部は、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部から下方向に延在する前記結合器が、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容されるように、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に形成され、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリはともに枢動可能に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記下側弓形トレイアセンブリから離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに前記結合器において回転可能である、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項4】
前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容される、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部から下方向に延在する前記結合器は、L字形を有する、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項5】
前記結合器が前記結合器受容開口部を通って横方向に摺動可能であるように、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に形成された前記結合器受容開口部は、前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容される前記結合器の断面よりも長い、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項6】
前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に前記使用者の下歯群とともに動き、それによって前記使用者の上顎の位置に対して前記使用者の下顎の位置を対応して調節するように適合されるように、前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリに取り付けられる、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項7】
前記下側弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に配置される位置調節ブロックを有し、前記中間弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に配置されるロックチャネルを有し、前記位置調節ブロックは、前記下側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して前記水平方向に動くとき、前記ロックチャネルのそれぞれの中に受容され、前記ロックチャネルのそれぞれを通って摺動可能である、請求項6に記載の顎変位口腔器具。
【請求項8】
前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリの前記側部の各々に配置される各位置調節ブロックおよび各ロックチャネルは、歯群を有し、前記位置調節ブロックおよび前記ロックチャネルの前記歯群は互いに噛合係合で位置し、それによって、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリは互いに解除可能なロック係合で噛み合う、請求項7に記載の顎変位口腔器具。
【請求項9】
前記中間弓形トレイアセンブリは、前記中間弓形トレイアセンブリを圧縮するためにその前記一対の側部に同時に印加される圧搾力に応答性があり、これによって、前記ロックチャネルの前記歯群を前記位置調節ブロックの前記歯群とのそれらの噛合係合から動かして、前記位置調節ブロックを前記ロックチャネルを通って摺動させるとともに、前記下側弓形トレイアセンブリを前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に接続される前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して前記水平方向に動かすことを可能にする、請求項8に記載の顎変位口腔器具。
【請求項10】
寝ている間に使用者が呼吸できる前記使用者の喉への開通気道を維持するように、前記使用者の下顎の位置を前記使用者の上顎に対して調節するために、前記使用者の口の中に挿入されることとなる顎前進口腔器具であって、前記口腔器具は、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上歯印象材を含む上側弓形トレイアセンブリを備え、前記上側弓形トレイアセンブリは、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有し、前記口腔器具はさらに、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下歯印象材を含む下側弓形トレイアセンブリを備え、前記下側弓形トレイアセンブリは、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有し、前記口腔器具はさらに、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、湾曲した前部と互いに離間されるとともに互いに対向して位置する一対の側部とを備える弓状の構成を有する、中間弓形トレイアセンブリを備え、
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリが上下に位置するように、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部において、前記中間弓形トレイアセンブリに対して前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部においてヒンジ接続され、前記上側弓形トレイアセンブリは、睡眠中に前記使用者の口が開いているとき、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群から離れて枢動するように、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに回転可能である、顎変位口腔器具。
【請求項11】
前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群は、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記上側弓形トレイアセンブリがヒンジ接続される前記中間弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に移動可能である、請求項10に記載の顎変位口腔器具。
【請求項12】
前記上側弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々から下方向に延在する結合器を有し、前記中間弓形トレイアセンブリは、その前記一対の側部の各々に形成された結合器受容開口部を有し、前記結合器は、前記結合器受容開口部のそれぞれを通って受容され、それによって、前記上側弓形トレイアセンブリは、前記中間弓形トレイアセンブリにヒンジ接続され、前記中間弓形トレイアセンブリに対して上方向に前記使用者の上歯群とともに回転可能である、請求項10に記載の顎変位口腔器具。
【請求項13】
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々から下方向に延在する各結合器は、L字形を有する、請求項12に記載の顎変位口腔器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図10および11に最もよく示されるように、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16に形成される結合器受容開口部28は、開口部28を通って受容される枢動結合器24の断面よりも長い。したがって、図9に最もよく示されるように、一対の枢動結合器24は、それらの結合器受容開口部28内において前後に揺れる(すなわち、枢動する)ように適合される。枢動結合器24は、結合器24が垂下する上側トレイアセンブリ3が下側弓形トレイアセンブリ5および使用者の下歯群から上方向にかつ離れて動くように、中間弓形トレイアセンブリ4に対して概ね鉛直方向に上下に回転することを可能にする、ヒンジとして機能することが理解されるであろう。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
双方向顎変位口腔器具1の組立の間、下側弓形トレイアセンブリの下側材受容トレイ14は、中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16の底部に対して設置される。前述のものを達成するために、下側材受容トレイ14から上方向に直立する一対の位置調節ブロック40は、結合器取付トレイ16の底部に形成される一対のロックチャネル36のそれぞれに摺動可能に受容されるように入り込み、それによって中間弓形トレイアセンブリ4および下側弓形トレイアセンブリ5の対向するトレイ14および16はともに結合され、所定位置に上下に保持される。これに関して、一対の直立する位置調節ブロック40の片側に沿って延びる歯列42は、一対の凹状のロックチャネル36の片側に沿って延びる歯列38と解除可能なロック係合に入れられ、歯列38に対して噛み合う。しかしながら、対向する歯列38および42の代わりに、任意の好適な連結歯止め手段が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
使用者は、このとき、下側弓形トレイアセンブリ5の位置を変えるために押圧(または引張)力を印加することができ、これにより使用者の下顎を水平方向に前進させる。中間弓形トレイアセンブリ4の結合器取付トレイ16は、結合器受容開口部28を通って受容される、トレイ10から垂下する一対の枢動結合器24によって、上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10に結合されるため、下側弓形トレイアセンブリ5は、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4の両方に対してずらされる。下側弓形トレイアセンブリの位置を上側弓形トレイアセンブリ3の上側材受容トレイ10に対して水平方向に変えることによって、使用者の下顎の位置は上顎に対して前方または後方に対応して動かされて、使用者の喉への(図7の)気道34の大きさを所望のとおりに経時的に変化させる。
【外国語明細書】