(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128628
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】荷物締結装置及び飛行体
(51)【国際特許分類】
B66C 1/34 20060101AFI20220829BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20220829BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220829BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20220829BHJP
B66C 1/36 20060101ALI20220829BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B66C1/34 M
B64C27/04
B64C39/02
B64D9/00
B66C1/36 Z
F16F15/023 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026957
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】根本 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】緒方 大揮
【テーマコード(参考)】
3F004
3J048
【Fターム(参考)】
3F004CD02
3J048AA06
3J048AD05
3J048BE03
3J048DA08
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】荷物の取り扱いの効率化を図ることができるとともに、荷物を搬送中の飛行体が不安定な状態になっても荷物の落下を防止することができる飛行体を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、荷物締結装置が提供される。この荷物締結装置は、締結部と、遅延機構とを備える。締結部は、荷物を保持する保持状態と、荷物を放す開放状態とを呈する。遅延機構は、締結部の保持状態から開放状態への移行を遅らせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物締結装置であって、
締結部と、遅延機構とを備え、
前記締結部は、荷物を保持する保持状態と、荷物を放す開放状態とを呈し、
前記遅延機構は、前記締結部の前記保持状態から前記開放状態への移行を遅らせる、
荷物締結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物締結装置において、
前記遅延機構は、前記締結部の前記保持状態から前記開放状態への移行時間が0.5~1.5秒かかるようにする、
荷物締結装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の荷物締結装置において、
締結開放機構を備え、
前記締結開放機構は、前記保持状態でかかる荷重が所定値未満になると前記締結部を前記開放状態へと移行させる、
荷物締結装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷物締結装置において、
前記締結開放機構は、弾性部材である、
荷物締結装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の荷物締結装置において、
前記遅延機構は、ダンパー機構である、
荷物締結装置。
【請求項6】
請求項5に記載の荷物締結装置において、
前記ダンパー機構は、オイルダンパーである、
荷物締結装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の荷物締結装置において、
前記荷物締結装置は、ウインチ機構である、
荷物締結装置。
【請求項8】
飛行体であって、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の荷物締結装置を備える、
飛行体。
【請求項9】
請求項8に記載の飛行体において、
前記飛行体は、無人飛行体である、
飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物締結装置及び飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウインチ作業の効率化を図ることができる、飛行体用ウインチ制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷物を締結する際に用いるフックは、運搬用荷物の取り扱いの効率化を図るために、容易にロックが解除される構成となっているものがある。このような構成のフックは、例えば、荷物を運搬中の飛行体が風にあおられて不安定になった場合に、ロックが解除され、運搬中の荷物が落下してしまう危険性を回避することができなかった。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、荷物の取り扱いの効率化を図ることができるとともに、荷物を搬送中の飛行体が不安定な状態になっても荷物の落下を防止することができる飛行体を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、荷物締結装置が提供される。この荷物締結装置は、締結部と、遅延機構とを備える。締結部は、荷物を保持する保持状態と、荷物を放す開放状態とを呈する。遅延機構は、締結部の保持状態から開放状態への移行を遅らせる。
【0007】
上記の開示によれば、荷物の取り扱いの効率化を図ることができるとともに、荷物を搬送中の飛行体が不安定な状態になっても荷物の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】本体装置210に荷物300を締結させる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
1.ドローン100の構成
図1は、ドローン100の構成を示す図である。本実施形態の飛行体は、無人飛行体としてドローン100について説明する。
【0011】
ドローン100は、垂直離着陸が可能な機体である。ドローン100(飛行体の一例)は、機体120及びウインチ機構200(荷物締結装置の一例)を備える。
【0012】
機体120には、複数のアーム130が設けられる。本実施形態では、4つのアーム130が設けられる。そして、各アーム130の先端に、一対のプロペラ140が設けられる。プロペラ140は、ロータ141及びブレード142により構成される。各プロペラ140は、それぞれ独立して制御することができる。
【0013】
ウインチ機構200は、機体120に備えられ、荷物300を保持することで、ドローン100で荷物300を運搬可能とする。ウインチ機構200の詳細については、後述する。
【0014】
2.ウインチ機構200の構成
図2は、ウインチ機構200の構成を示す図である。ウインチ機構200は、本体装置210、ドラム211及び駆動装置212を備える。
【0015】
ドラム211は、ワイヤーロープ218を巻き取る胴部214、胴部214の両側に形成された一対のフランジ部215、及び回転軸216を備える。
【0016】
ドラム211の回転軸216は、軸受213によって回転可能に支持されている。駆動装置212は、ドラム211を回転駆動する。駆動装置212は、ドラム211を回転駆動させるモータ217を備える。モータ217は、一例として、図示しないバッテリーから供給される電気によって作動する電動モータである。なお、駆動装置212は、モータ217の回転力をドラム211に伝達するギアを備えてもよい。本体装置210は、ワイヤーロープ218の先端部に取り付けられ、荷物300を保持するために使用する。本体装置210の詳細については、後述する。
【0017】
3.本体装置210の構成
図3は、本体装置210の構成を示す斜視図である。
図4は、本体装置210の構成を示す側面図である。
【0018】
本体装置210は、一対のフック部220(締結部の一例)、オイルダンパー240(遅延機構の一例)及びぜんまいバネ230(締結開放機構の一例)を備える。一対のフック部220、オイルダンパー240及びぜんまいバネ230は、フレーム250に取り付けられている。フレーム250には、孔部251が長手方向に延びて形成されている。
【0019】
一対のフック部220は、それぞれ、基部224及び端部225から構成される。基部224の一端は、フレーム250に取り付けられている。基部224の他端は、関節部222を介して、端部225の一端と結合している。端部225の他端は、フック状に形成されている。一対のフック部220は、フック交差部221でそれぞれが交差する。また、フック交差部221からフレーム250側に延びる交差軸223は、フレーム250の孔部251に嵌合し、孔部251に沿って移動可能に構成される。
【0020】
ぜんまいバネ230は、その一部が巻取り部231に巻き取られた状態となっている。巻取り部231は、フレーム250においてフック部220の基部224側に配置されている。ぜんまいバネ230は、その一端が端部225に向かって延びており、接続部232を介してフック部220と接続している。ぜんまいバネ230には、巻取り部231に戻ろうとする力が作用している。
【0021】
したがって、端部225に荷物300等の荷重がかかっていない場合、フック交差部221に対して巻取り部231側に力が作用し、これにより関節部222が可動し、一対の端部225が開放した状態となる(開放状態)。このとき、交差軸223は、孔部251に沿って移動し、フック部220を支持する。
【0022】
一方、端部225に荷物300等の荷重がかかっていて、当該荷重がぜんまいバネ230の弾性力よりも大きい場合、フック交差部221に対して端部225側に力が作用し、これにより関節部222が可動し、一対の端部225が閉じた状態となる(保持状態)。このとき、交差軸223は、孔部251に沿って移動し、フック部220を支持する。このように、フック部220は、荷物300を保持する保持状態と、荷物300を放す開放状態とを呈する。
【0023】
遅延機構としてのダンパー機構であるオイルダンパー240は、フック部220の保持状態から開放状態への移行を遅らせる。オイルダンパー240には、ダンパーギア241が接続されている。そして、ダンパーギア241には、フックギア242が噛み合っている。フックギア242は、フック部220の保持状態と開放状態との状態移行に連動して回転する。
【0024】
ここで、端部225に荷物300が保持されている状態(保持状態)から、端部225から荷物300が外された場合、フック部220は、ぜんまいバネ230により、保持状態から開放状態へ移行する。すなわち、ぜんまいバネ230は、フック部220の保持状態でかかる荷重が所定値未満になると、フック部220を開放状態へと移行させる。ぜんまいバネ230の作用により、荷物300を容易にフック部220の端部225にかけることができるため、荷物300の運搬の利便性を向上させることができる。このとき、オイルダンパー240の作用により、フックギア242の回転が抑制されるため、フック部220の保持状態から開放状態への移行が遅れる。
【0025】
図1に示すように、ドローン100によって荷物300が搬送されているとき、ドローン100が風にあおられて機体120のバランスが崩れ、ドローン100が一瞬の間、自由落下することがある。このとき、本体装置210の端部225に荷重がかからなくなるため、フック部220は、ぜんまいバネ230により、保持状態から開放状態に移行する。
【0026】
ここで、フック部220の保持状態から開放状態への移行時間は、具体的には例えば、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0秒であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。好ましくは、オイルダンパー240は、フック部220の保持状態から開放状態への移行時間が0.5~1.5秒かかるようにする。
【0027】
オイルダンパー240の作用により、例えば、ドローン100が0.05秒間、自由落下しても、フック部220は保持状態のままであるため、荷物300がフック部220から外れて落下することがない。この場合において、ドローン100が自由落下して0.05秒が経過した後は、本体装置210の端部225に荷物300の荷重が再度かかるため、フック部220は開放状態には移行せずに保持状態のままである。
【0028】
この構成によれば、本体装置210のフック部220が容易に保持状態と開放状態とを呈するため、荷物300の取り扱いの効率化を図ることができる。また、荷物300を搬送中のドローン100が不安定な状態になっても荷物300の落下を防止することができる。
【0029】
4.本体装置210の状態移行
図5は、本体装置210に荷物300を締結させる状態を示す図である。
図6は、フック部220の保持状態を示す図である。
図7は、フック部220の開放状態を示す図である。
【0030】
フック部220は、端部225に荷重がかかっていない場合は、ぜんまいバネ230により、開放状態を呈する。この開放状態のときに、荷物300の荷物ロープ310を端部225にかけて、端部225に荷物300の荷重がかかると、フック交差部221に対して端部225側に力が作用し、これにより関節部222が可動し、端部225が閉じて、保持状態となる(
図6)。なお、
図6では、荷物300の図示を省略している。
【0031】
そして、荷物300の搬送が終わって荷物300が着地すると、端部225に荷重がかからなくなるため、ぜんまいバネ230によりフック交差部221に対して基部224側に力が作用し、これにより関節部222が可動し、端部225が開いて、開放状態となる(
図7)。これにより、荷物300の荷物ロープ310を端部225から外すことができる。このように、フック部220は、保持状態と開放状態とを呈する。
【0032】
5.その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0033】
飛行体の一例として、無人飛行体を挙げたが、これに限定されず、有人飛行体であってもよい。
【0034】
荷物締結装置の一例として、ウインチ機構200を挙げたが、これに限定されず、例えば、ホイスト機構であってもよい。
【0035】
遅延機構の一例として、オイルダンパー240を挙げたが、これに限定されず、遅延機構は、ダンパー機構であればよい。例えば、ダンパー機構は、ゴムダンパーであってもよいし、鋼材ダンパーであってもよい。
【0036】
締結開放機構の一例として、ぜんまいバネ230を挙げたが、これに限定されず、締結開放機構は、弾性部材であればよい。例えば、弾性部材は、つるまきバネであってもよい。
【0037】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記荷物締結装置において、前記遅延機構は、前記締結部の前記保持状態から前記開放状態への移行時間が0.5~1.5秒かかるようにする、荷物締結装置。
前記荷物締結装置において、締結開放機構を備え、前記締結開放機構は、前記保持状態でかかる荷重が所定値未満になると前記締結部を前記開放状態へと移行させる、荷物締結装置。
前記荷物締結装置において、前記締結開放機構は、弾性部材である、荷物締結装置。
前記荷物締結装置において、前記遅延機構は、ダンパー機構である、荷物締結装置。
前記荷物締結装置において、前記ダンパー機構は、オイルダンパーである、荷物締結装置。
前記荷物締結装置において、前記荷物締結装置は、ウインチ機構である、荷物締結装置。
飛行体であって、前記荷物締結装置を備える、飛行体。
前記飛行体において、前記飛行体は、無人飛行体である、飛行体。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0038】
100 :ドローン
120 :機体
130 :アーム
140 :プロペラ
141 :ロータ
142 :ブレード
200 :ウインチ機構
210 :本体装置
211 :ドラム
212 :駆動装置
213 :軸受
214 :胴部
215 :フランジ部
216 :回転軸
217 :モータ
218 :ワイヤーロープ
220 :フック部
221 :フック交差部
222 :関節部
223 :交差軸
224 :基部
225 :端部
230 :ぜんまいバネ
231 :巻取り部
232 :接続部
240 :オイルダンパー
241 :ダンパーギア
242 :フックギア
250 :フレーム
251 :孔部
300 :荷物
310 :荷物ロープ