(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128629
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】明度が高い半硬質磁性粉体とその合成方法
(51)【国際特許分類】
C09C 1/62 20060101AFI20220829BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20220829BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20220829BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20220829BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20220829BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20220829BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20220829BHJP
C22C 38/16 20060101ALI20220829BHJP
H01F 1/03 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
C09C1/62
C09C3/06
C09D11/00
B22F9/08 A
B22F1/02 E
B22F1/00 D
C22C38/00 302Z
C22C38/16
H01F1/03 106
C22C38/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026958
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227250
【氏名又は名称】日鉄鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】北村 直登
【テーマコード(参考)】
4J037
4J039
4K017
4K018
5E040
【Fターム(参考)】
4J037AA06
4J037CA03
4J037CA09
4J037DD05
4J037EE04
4J037EE13
4J037EE18
4J037EE25
4J037FF04
4J037FF15
4J039BE01
4J039EA18
4J039EA26
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB01
4K017BB05
4K017BB06
4K017BB09
4K017CA01
4K017CA07
4K017DA02
4K017DA03
4K017DA07
4K017EB00
4K018BA16
4K018BB03
4K018BB04
4K018BC01
4K018BC28
4K018BD01
4K018BD04
4K018KA42
4K018KA45
4K018KA57
5E040AA02
5E040AA19
5E040BC01
5E040CA05
5E040CA06
5E040HB11
5E040HB14
5E040HB17
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN12
5E040NN13
5E040NN18
(57)【要約】
【課題】本発明は、MICRに用いられる磁性インクに含まれる磁性粉体等の、セキュリティー用の顔料として使用するに適した特性を有する半硬質磁性白色粉体を提供することを目的とする。
【解決手段】半硬質磁性を有するアルニコ合金からなる基体粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半硬質磁性を有するアルニコ合金からなる基体粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体。
【請求項2】
前記アルニコ合金の組成が、重量%で
Al:7~13%、
Ni:14~25%、
Co:0~38%、
Cu:0~4%、
Ti:0~8%、
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなることを特徴とする請求項1に記載の白色粉体。
【請求項3】
前記アルニコ合金からなる基体粒子が、噴霧法で形成されたアトマイズ粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載の白色粉体。
【請求項4】
前記白色粉体の半硬質磁性は、残留磁気モーメントが15emu/g以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の白色粉体。
【請求項5】
前記白色粉体の半硬質磁性は、残留磁気モーメントが15emu/g以上であることに加えて、さらに保磁力が500Oe未満であることを特徴とする請求項4に記載の白色粉体。
【請求項6】
前記白色粉体の平均粒子径が1~100μm、比表面積が0.01~20m2/gであり、明度L*が75以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の白色粉体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の白色粉末を含有する磁性インク
【請求項8】
アルニコ合金からなる白色粉体の製造方法であって
アルニコ合金粉末の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に形成することを特徴とする白色粉体の製造方法。
【請求項9】
前記アルニコ合金の組成が、重量%で
Al:7~13%、
Ni:14~25%、
Co:0~38%、
Cu:0~4%、
Ti:0~8%、
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなることを特徴とする請求項8に記載の白色粉体の製造方法。
【請求項10】
前記アルニコ合金粉末が噴霧法により製造されたことを特徴とする請求項8または9に記載の白色粉体の製造方法。
【請求項11】
前記噴霧法により形成されたアルニコ合金粉末の平均粒子径が1~100μmであり、比表面積が0.01~5.0m2/gであることを特徴とする請求項10に記載の白色粉体の製造方法。
【請求項12】
アルニコ合金粉末に対して熱処理を施して、残留磁気モーメントが15emu/g以上である半硬質磁性粉末とし、その後に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に形成することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の白色粉体の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理が、不活性雰囲気下、750℃から1000℃で0~30分間加熱するものであることを特徴とする請求項12に記載の白色粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルニコ合金(Fe-Al-Ni―Co)粉体等の半硬質磁性粉体であって、明度(白色度)が高いことに特徴がある白色粉体に関する発明である。特に、磁性インク、例えば、MICR(Magnetic ink character recognition)と呼ばれる磁気インク文字認識に用いられる磁性インクに含まれる磁性粉体等、セキュリティー用の顔料として利用できる白色粉体に関する。
【背景技術】
【0002】
インク文字認識(MICR:Magnetic ink character recognition)は、有価証券等の所定の媒体に対して磁性インクを用いて識別マークを印刷し、その媒体が市場に流通後に、その媒体の変造や偽造を防ぐことを目的とし、その識別マークの有する形状や磁気情報等の情報を専用の読取機を用いて読み取り、読み取った情報からその媒体の真偽を判別するシステムである。
MICRに用いられる磁性インクは磁性粉体を含んでおり、その特性として、耐久性や読み取り性に優れた識別マークを形成することができるものが求められている。本発明は、このようなセキュリティー用の磁性インクに用いられる磁性粉体に特に適した白色粉体に関する発明である。
【0003】
一般に磁性インクに用いられる磁性粉体に求められる特性としては、インク中での充分な分散性、インクに対する充分な磁性付与を挙げることができる。
MICR用磁気インクにおいては、インク中で磁性粉体の分散性が良ければ磁性インクの定着性がよく、残留磁気モーメントが高ければ磁性インクとしての感度が良好になり、印刷された識別マークの画質の向上に寄与することになる。特許文献1には、針状磁性粒子粉体と非針状磁性粒子粉体からなる磁性粉体を使用することで、磁性粒子の形状異方性(針状)により磁気特性を調整した磁性インクが記載されている。
【0004】
アルニコ系合金は、Al,Ni,CoもしくはAl,Niを主成分として残部は実質的にFeからなる合金である。一般的には鋳造法で製造されるが、硬くて脆いために切削加工が極めて困難であり、小型で複雑な形状を有する磁石などは粉末冶金法、粉末成型法を用いて製造されている。
一方、合金粉末の製造には合金溶湯を水アトマイズ、またはガスアトマイズなどの噴霧法によって製造する方法が広く実用されている。しかし、アルニコ合金の噴霧法はAlやTiの含有量が高いため、噴霧時の溶湯注湯ノズルが閉塞しやすくいので製造が困難であり、歩留が悪く製造コストが高いため量産化に限界があること、などの問題があった。特許文献2には、溶融金属にSiを添加することで注湯ノズルの閉塞を防止して、噴霧法によりアルニコ合金粉末を製造する技術が開示されている。
【0005】
また、一般的に磁性粉体は黒色であることが多く、その表面に着色層を設けても、全体として暗色となってしまい、鮮やかな色彩に着色されたカラー磁性インクを得ることはできなかった。特許文献3には、主に軟質の磁性粉からなる基体粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に形成することで、明度が高い白色粉体を得る技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-211446号公報
【特許文献2】特開平10-280011号公報
【特許文献3】特許第4113045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、MICRに用いられる磁性インクに含まれる磁性粉体等の、セキュリティー用の顔料として使用するに適した特性を有する半硬質磁性白色粉体を提供することを目的とするものである。すなわち、磁気特性として半硬質の磁性を有し、白色化処理を施して明度を高めた磁性粉体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明は次の構成を有する。
[1]半硬質磁性を有するアルニコ合金からなる基体粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体。
[2]前記アルニコ合金の組成が、重量%で、Al:7~13%、Ni:14~25%、Co:0~38%、Cu:0~4%、Ti:0~8%、を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなることを特徴とする[1]に記載の白色粉体
[3]前記アルニコ合金からなる基体粒子が、噴霧法で形成されたアトマイズ粉末であることを特徴とする[1]または[2]に記載の白色粉体。
[4]前記白色粉体の半硬質磁性は、残留磁気モーメントが15emu/g以上であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の白色粉体。
[5]前記白色粉体の半硬質磁性は、残留磁気モーメントが15emu/g以上であることに加えて、さらに保磁力が500Oe未満であることを特徴とする[4]に記載の白色粉体。
[6]前記白色粉体の平均粒径が1~100μm、比表面積が0.01~20m2/gであり、明度L*が75以上であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の白色粉体。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の白色粉末を含有する磁性インク
[8]アルニコ合金からなる白色粉体の製造方法であって、アルニコ合金粉末の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に形成することを特徴とする白色粉体の製造方法。
[9]前記アルニコ合金の組成が、重量%で、Al:7~13%、Ni:14~25%、Co:0~38%、Cu:0~4%、Ti:0~8%、を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなることを特徴とする[8]に記載の白色粉体の製造方法。
[10]前記アルニコ合金粉末が噴霧法により製造されたことを特徴とする[8]または[9]に記載の白色粉体の製造方法。
[11]前記噴霧法により形成されたアルニコ合金粉末の平均粒子径が1~100μmであり、比表面積が0.01~5.0m2/gであることを特徴とする[10]に記載の白色粉体の製造方法。
[12]アルニコ合金粉末に対して熱処理を施して、残留磁気モーメントが15emu/g以上である半硬質磁性粉末とし、その後に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に形成することを特徴とする[8]~[11]のいずれかに記載の白色粉体の製造方法。
[13]前記熱処理が、不活性雰囲気下、750℃から1000℃で0~30分間加熱するものであることを特徴とする請求項12に記載の白色粉体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の白色粉体は、半硬質磁性であるために、MICRに用いられる磁性インクに含まれる磁性粉体に適した磁気特性を有する。また、白色化処理を施して明度を高められているので、その上にさらに着色層を設けた場合には、鮮やかな色彩に着色されたカラー磁性インクとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、アルニコ金属粉末に酸化チタン及び銀を被覆した粉体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(半硬質磁性)
本発明では、MICR等に用いられる磁性粉体として半硬質磁性粉体を使用することに大きな特徴がある。
一般に強磁性体材料は、その磁化特性に応じて硬質磁性材料と軟質磁性材料に分類される。ここで、磁性材料の磁気特性が硬質磁性か軟質磁性であるかは一般に保磁力の大小で区別されるが、硬質磁性体は保磁力及び残留磁気モーメントが共に大きい材料であり、軟質磁性体は保磁力及び残留磁気モーメントが共に低い材料である。
これに関し、磁性粉体をMICR等のセキュリティー用顔料の用途に使用する場合、保磁力が大きい硬質磁性であると、着磁に必要な外部からの印加エネルギーが大きく、大掛かりな着磁装置が必要になってしまう。一方、保磁力が小さい軟質磁性であると、着磁後の媒体の磁性が磁気情報読取機の読み取り限界を下回ってしまい、正確な磁気情報を読み取ることができないという弊害がある。
【0012】
そこで、本発明の発明者らは、磁性粉体として硬質磁性と軟質磁性の中間的な磁気特性を有する半硬質磁性材料に注目した。
半硬質磁性材料の場合には、保磁力が硬質と軟質の磁性材料の中間であるため、上記弊害を避けることができる。これに加えて、半硬質磁性材料は、保磁力及び残留磁気モーメントにおいて硬質磁性材料のそれより低いので、液体状である磁性インク中において凝集しにくく、磁性体粒子の分散性と分散安定性を向上させることができる。
本発明のアルニコ合金粉体は、保磁力が小さいが残留磁気モーメントが硬質と軟質の中間であるため、セキュリティー用の顔料として使用するに適した特徴を有する磁性粉体である。
【0013】
(噴霧法によるアルニコ合金粉末)
本発明のアルニコ合金粉末は噴霧法によって製造するので、粒子径がある程度そろった球形の形状の粉体を形成できる。
このため、磁性インク中における分散性をさらに向上させることができる。また、これに加えて流動性も向上するので、プリンタによる印刷特性も向上する。さらに、球形であるので、本発明の後工程である白色化工程において、均一で薄いTiO2膜や金属銀膜を形成できるので、磁気特性の観点からも好都合である。
【0014】
(アルニコ合金粉末の大きさ)
アルニコ合金粉末は、レーザー回折・散乱法による測定で体積平均粒子径D50が、好ましくは1~100μmであり、さらに好ましくは5~20μmである。
また、アルニコ合金粉末は、後の工程で白色化を行うことを考慮すれば、0.01~5.0m2/gの比表面積を有することが望ましい。比表面積が5.0m2/gよりも大きいと、磁性粒子表面を隠蔽するための金属銀の使用量を多くする必要があるが、金属銀が多い場合、磁性粉末の磁化特性が低下してしまうので好ましくない。また、比表面積が0.01m2/gよりも小さいと磁性粒子の大きさが大きくなり、セキュリティー材料の印刷に不適切となるので好ましくない。
磁性粉体を好ましい比表面積に調整するために、噴霧法によりアルニコ合金粉末を製造した後に分級を行うことが好ましい。
【0015】
(アルニコ合金粉末の組成)
一般に、アルニコ合金では、Niが減少すると残留磁束密度が増加して保磁力が減少し、Alを増加すると保磁力が減少するといわれている。本発明では、アルニコ合金粉末の合金組成は、次の範囲のものを採用している。これにより、保磁力を磁性インク用途に好適な値にすることが可能となる。
本発明で使用するアルニコ合金の組成は、重量%で、Al:7~13%、Ni:14~25%、Co:0~38%、Cu:0~4%、Ti:0~8%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなるものである。
【0016】
(アルニコ合金粉末の磁性体化処理)
形成されたアルニコ粉末は、時効熱処理を実施して所望の磁性材料に磁化させておく。熱処理は、不活性雰囲気下で750℃から1000℃で0~30分間加熱する。
このような時効熱処理を行うことにより、残留磁気モーメントを所望の値に増大させることができる。
【0017】
(白色化方法)
アルニコ合金粉末の白色化は、粉末の表面に酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順で形成することにより行う。
酸化チタン膜としては主に4価の酸化チタンTiO2が用いられるが、2価、3価の酸化チタンでもよい。膜形成方法としては、チタンアルコキシドの加水分解やチタン塩水溶液から水系成膜を形成しこれを酸化することによって行ってもよい。
次に金属銀膜の形成方法としては、特に限定されず、無電解メッキ法等の公知の方法を採用すればよい。
このような白色化法によれば、磁性体粉末と銀膜との間に酸化チタン膜が介在するので、磁性粉体の明度を著しく向上させることができる。また、従来の金属銀被覆白色粉体よりも金属銀膜の膜厚を薄くすることができるので、白色粉体の磁気特性を向上させることができる。
【0018】
製造された白色粉体の磁気特性については、残留磁気モーメントMrが15emu/g以上、保磁力Hcが500Oe未満であることが好ましい。また、形状に関しては、平均粒子径(体積平均D50)が1~100μm、比表面積が0.01~20m2/gであり、明度L*は75以上であることが好ましい。
【実施例0019】
(アルニコ合金粉末)
噴霧法で作成されたエプソンアトミックス社製の鉄アルミニウムニッケルコバルト合金(Al:12.9wt%、Ni:20.9wt%、Co:4.9wt%、Cu:3.0wt%、Mr:2.1emu/g 、Hc:0.02Oe、明度L*:52)を気流分級機で分級し、D10:4.3μm、D50:9.6μm、D95:24.7μmの分布を持つ金属粉を得た。比表面積は0.08m2/gであった。
(磁性体化処理)
前記分級で得られた金属粉を窒素雰囲気下で15℃/minの昇温速度で熱処理、粉体の中心温度が850℃に到達後風冷し、Mr:20.4emu/g、Hc:354Oeの磁性粉体を得た。
(白色化)
脱イオン水19.8gに4塩化チタン溶液(16.0~17.0% asTi)2.2mL、アンモニア水5.84g、過酸化水素水10.0gを混合して黄色透明のペルオキソチタン酸溶液を作成した。脱イオン水535.81gに無水ホウ酸9.92g、塩化カリウム11.72g、水酸化ナトリウム2.55gを溶解し、上記磁性粉体167.5gを懸濁した。懸濁液を撹拌しながらペルオキソチタン酸溶液を滴下混合し、その後に懸濁物を乾燥を行うことで、酸化チタン被覆粉末を得た。
脱イオン水26.56gにブドウ糖1.2g、酒石酸0.12g、エタノール2.12gを溶解して還元液を調製した。脱イオン水90gに水酸化ナトリウム1.25g、硝酸銀1.75g、アンモニア水3gを混合して銀アンミン錯体溶液を調製し、これに酸化チタン被覆粉末10.0gを懸濁した。懸濁液に超音波照射を行いながら還元液を混合し、懸濁物を乾燥して銀膜被覆粉体を得た。
(白色粉体)
得られた白色粉体は、明度L*が80.0、Mr:21.6emu/g、Hc:362Oe、D50:13.5μm、比表面積は0.1 m2/gであった。
この発明に従って製造されたアルニコ合金粉末からなる白色粉体は、半硬質の磁気特性を有し、かつ、明度が著しく向上しているので、産業上は非常に有益なセキュリティー用の顔料として用途が期待される。