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特開2022-128672可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物及び筆記具
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  • 特開-可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物及び筆記具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128672
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物及び筆記具
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/17 20140101AFI20220829BHJP
   C09D 11/50 20140101ALI20220829BHJP
   C09D 11/18 20060101ALI20220829BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20220829BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20220829BHJP
   C09B 67/08 20060101ALI20220829BHJP
   B43K 7/01 20060101ALI20220829BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
C09D11/17
C09D11/50
C09D11/18
C09C3/06
C09C3/10
C09B67/08 A
B43K7/01
B43K29/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027020
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】佐野 真仁
【テーマコード(参考)】
2C350
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
4J037AA04
4J037AA18
4J037AA25
4J037AA26
4J037CA09
4J037CC24
4J037FF09
4J039AD01
4J039AD03
4J039AD08
4J039BD02
4J039BE01
4J039BE23
4J039CA06
4J039EA29
4J039GA27
(57)【要約】
【課題】明度の高い媒体上であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能とし、筆跡に紙が触れた際、触れた紙面に筆跡の光輝性顔料が転写することを抑制可能としつつ、摩擦部材等で擦過して筆跡を熱変色させたときの光輝性顔料の除去性に優れる、可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物を提供すること。
【解決手段】電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂被覆された薄片状金属顔料と、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料と、水と、増粘剤と、樹脂とを含み、樹脂のガラス転移温度(Tg値)が0℃以下である、可逆熱変色性水性インキ組成物とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂被覆された薄片状金属顔料と、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料と、水と、増粘剤と、樹脂を含み、前記樹脂のガラス転移温度(Tg値)が0℃以下であることを特徴とする、
可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物。
【請求項2】
前記樹脂は、スチレンブタジエン樹脂及び/又はエチレン酢酸ビニル樹脂を含む、請求項1に記載の水性インキ組成物。
【請求項3】
前記樹脂の含有量が水性インキ組成物全質量に対して1~15質量%である、請求項1または2に記載の水性インキ組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水性インキ組成物を収容してなる筆記具。
【請求項5】
摩擦部材を備えてなる、請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
ボールペンである、請求項4または5に記載の筆記具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物及び筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、樹脂被覆された薄片状金属顔料(ラメ顔料)と透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料(パール顔料)とからなる光輝性顔料と、水及び増粘剤を含む可逆熱変色性水性インキ組成物が知られており、黒紙のみならず白紙等の明度の高い媒体においても優れた金属光沢性を奏する、熱変色性の筆跡が実現できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-189687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記インキ組成物による筆跡はラメ顔料の定着性が十分ではなく、筆跡に紙が触れると筆跡に触れた紙面に筆跡のラメ顔料が転写して筆跡の光輝性が弱まることがあった。また、筆跡を摩擦部材等で擦過して筆跡を変色させつつ光輝性顔料を除去しようとしても、一部のパール顔料は紙繊維間の隙間に潜り込むため除去することが容易ではなく、黒紙等の、明度が低く光輝性顔料が映える媒体においては除去できなかったパール顔料が目立ちやすかった。
本発明の一態様は、樹脂被覆された薄片状金属顔料および透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料からなる光輝性顔料と熱変色性の顔料を含有するインキであって、白紙等の明度の高い媒体上であっても優れた光輝性を奏する、熱変色性の筆跡を形成可能であり、筆跡に紙が触れた際、触れた紙面に筆跡の樹脂被覆された薄片状金属顔料が転写することを抑制可能としつつ、摩擦部材等で擦過して筆跡を熱変色させたときの光輝性顔料の除去性に優れる可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
可逆熱変色性水性インキ組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂被覆された薄片状金属顔料と、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料と、水と、増粘剤と、樹脂とを含み、前記樹脂のガラス転移温度(Tg値)が0℃以下であることを要件とする。
【0006】
インキ組成物は、樹脂がスチレンブタジエン樹脂及び/又はエチレン酢酸ビニル樹脂を含むことを要件としてもよく、さらには樹脂の含有量がインキ組成物全質量に対して1~15質量%であることを要件としても良い。
【0007】
筆記具は、インキ組成物を収容することを要件とする。筆記具は摩擦部材を備えてなることを要件としても良く、筆記具はボールペンであることを要件としても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様は、樹脂被覆された薄片状金属顔料および透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料からなる光輝性顔料と熱変色性の顔料を含有するインキであって、白色等の明度の高い媒体上であっても優れた光輝性を奏する、熱変色性の筆跡を形成可能であり、筆跡に紙が触れた際、触れた紙面に筆跡の樹脂被覆された薄片状金属顔料が転写することを抑制可能としつつ、摩擦部材等で擦過して筆跡を熱変色させたときの光輝性顔料の除去性に優れる、筆記具用水性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、インキ組成物等を例示するものであって、本発明は、以下に示すインキ組成物等に限定されない。
【0011】
可逆熱変色性水性インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、光輝性顔料と、水と、増粘剤と、ガラス転移温度が0℃以下である樹脂を含む。
【0012】
(光輝性顔料)
光輝性顔料としては、筆跡状態で光を反射して優れた光輝性を発現できる、樹脂被覆された薄片状金属顔料と透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料が適用される。光輝性顔料として前記した2種類の顔料を併用すると、筆跡の光輝性を良好として白紙等の明度の高い媒体においても優れた光輝感を奏する筆跡を形成できる。
【0013】
樹脂被覆された薄片状金属顔料(以降、第1光輝性顔料と呼ぶこともある)は、金属箔上に樹脂層を設けて形成される。樹脂層は、例えば、金属箔の両面に形成される。また、樹脂層は着色剤を含んでいてもよい。金属としては、例えば、アルミニウムが用いられ、その表面は鏡面加工されていてもよい。第1光輝性顔料の平均厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは1μm以上3μm以下である。第1光輝性顔料の平均粒径は、例えば、5μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上60μm以下である第1光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、第1光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラがより抑制された良好な筆跡を形成することが可能になる。また、筆跡を擦過したときの第1光輝性顔料の除去性がより良好になる。
【0014】
ここで、第1光輝性顔料の平均厚み及び平均粒径は、JIS Z 8827-1:2008に準じて、デジタルマイクロスコープによる観察画像を画像解析して計測されるそれぞれの粒子の最大厚みの算術平均値及び最大粒径の算術平均値である。画像解析には、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー(Mac-View)」を用いることができる。
【0015】
第1光輝性顔料の平均厚みに対する平均粒径の比であるアスペクト比は、例えば2以上50以下であり、好ましくは10以上30以下である。アスペクト比が上記範囲内であると、より優れた光輝性を有する筆跡が形成できる。第1光輝性顔料の真比重は、例えば、1.2以上1.3以下程度であり、分散性に優れる。樹脂被覆された薄片状金属顔料は、例えば、ポリエステル等の樹脂フィルムの片面にアルミニウム等を真空蒸着し、所望の着色コーティングした後に細かく切断することで得られる。
【0016】
第1光輝性顔料はラメ顔料とも呼ばれ、その具体例としては、エルジーneo SILVER #35、エルジーneo R-GOLD #35、エルジーneo B-GOLD #35、エルジーneo S-GOLD #35、エルジーneo SILVER#100、エルジーneo R-GOLD #100、エルジーneo B-GOLD#100、エルジーneo S-GOLD #100、エルジーneo RED #100、エルジーneo BLUE #100、エルジーneo GREEN #100、エルジーneo VIOLET #100、エルジーneo BLACK #100、エルジーneo COPPER #100、エルジーneo PINK #100、エルジーneo YELLOW #100、エルジーneo R-GOLD #150、エルジーneo B-GOLD #150、エルジーneo S-GOLD #150、エルジーneo RED #150、エルジーneo BLUE #150、エルジーneo GREEN #150、エルジーneo VIOLET #150、エルジーneo BLACK #150、エルジーneo COPPER #150、エルジーneo PINK #150、エルジーneo YELLOW #150、エルジーneo SILVER #200、エルジーneo R-GOLD #200、エルジーneo B-GOLD #200、エルジーneo S-GOLD #200、エルジーneo RED #200、エルジーneo BLUE #200、エルジーneo GREEN #200、エルジーneo VIOLET #200、エルジーneo BLACK #200、エルジーneo COPPER #200、エルジーneo PINK #200、エルジーneo YELLOW #200、エルジーneo SILVER #325、エルジーneo R-GOLD #325、エルジーneo B-GOLD #325、エルジーneo S-GOLD #325、エルジーneo RED #325、エルジーn
eo BLUE #325、エルジーneo GREEN #325、エルジーneoVIOLET #325、エルジーneo BLACK #325、エルジーneo COPPER #325、エルジーneo PINK #325、エルジーneo YELLOW #325、エルジーneo SILVER #500、エルジーneo R-GOLD #500、エルジーneo B-GOLD #500、エルジーneo S-GOLD #500(以上、尾池イメージング株式会社製)、ダイヤモンドピース LGGold No.55、ダイヤモンドピース DG Gold No.55、ダイヤモンドピース Green No.55、ダイヤモンドピース Blue No.55、ダイヤモンドピース Red No.55、ダイヤモンドピース Maroon No.55、ダイヤモンドピース Ocean Green No.55、ダイヤモンドピース Sky Blue No.55、ダイヤモンドピース Black No.55、ダイヤモンドピース Pink No.55、ダイヤモンドピース Violet No.55、ダイヤモンドピース Emerald No.55、ダイヤモンドピース Copper No.55、ダイヤモンドピース LG Gold H25、ダイヤモンドピース DG Gold H25、ダイヤモンドピース Green H25、ダイヤモンドピース Blue H25、ダイヤモンドピース Red H25、ダイヤモンドピース Maroon H25、ダイヤモンドピース Ocean Green H25、ダイヤモンドピース Sky Blue H25、ダイヤモンドピース Black H25、ダイヤモンドピース Pink H25、ダイヤモンドピース Violet H25、ダイヤモンドピース Emerald H25、ダイヤモンドピース Copper H25、ダイヤモンドピース LG Gold H55、ダイヤモンドピース DG Gold H55、ダイヤモンドピース Green H55、ダイヤモンドピース Blue
H55、ダイヤモンドピース Red H55、ダイヤモンドピース Maroon H55、ダイヤモンドピース Ocean Green H55、ダイヤモンドピース Sky Blue H55、ダイヤモンドピース Black H55、ダイヤモンドピース Pink H55、ダイヤモンドピース Violet H55、ダイヤモンドピース Emerald H55、ダイヤモンドピース Copper H55、ダイヤモンドピース LG Gold CO-40UC、ダイヤモンドピース DG Gold CO-40UC、ダイヤモンドピース Green CO-40UC、ダイヤモンドピース Blue CO-40UC、ダイヤモンドピース Red CO-40UC、ダイヤモンドピース Pink CO-40UC、ダイヤモンドピース Lavender CO-40UC(以上、ダイヤ工業株式会社製)等が挙げられる。第1光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0017】
第1光輝性顔料の含有量は、インキ組成物全質量に対して0.1~20質量%とすることが好ましく、0.05~15質量%とすることがより好ましい。特に好ましくは0.1~10質量%である。含有量を前記範囲内とすれば、インキ中における化学的な安定性や、インキ中で光輝性顔料が凝集、沈降することを抑えて、光輝感に優れ、色のムラが抑制された熱変色性の筆跡を形成しやすい。また、摩擦部材等で筆跡を擦過したときに筆跡の第1光輝性顔料を除去しやすい。
【0018】
透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料(以降、第2光輝性顔料と呼ぶこともある)は、基材や金属酸化物に様々な物質を適用できる。具体的に、透明性を有する基材としては、例えば、天然雲母、KMg3(AlSi3O10)F2等の合成雲母、偏平ガラス、シリカフレーク、薄片状酸化アルミニウム等を挙げることができる。基材を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の酸化物を挙げることができ、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物である。第2光輝性顔料は、基材の表面を被覆する金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色又はメタリック色の金属光沢を呈する。第2光輝性顔料は、酸化チタン等の金属酸化物層の上に酸化鉄、非熱変色性染顔料をさらに被覆したものであってもよい。
【0019】
第2光輝性顔料の形状としては偏平形状、鱗片形状等を挙げることができる。第2光輝性顔料は、平均厚みが、例えば、0.1μm以上5μm以下であり、平均粒子径は、例えば、0.2μm以上200μm以下、好ましくは2μm以上100μm以下である。第2光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラがより抑制された良好な筆跡を形成することが可能になる。また、筆跡を擦過した際における光輝性顔料の除去性がより良好になる。
【0020】
第2光輝性顔料は、パール顔料とも呼ばれ、その具体例としては以下が挙げられる。天然雲母の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(粒度分布10μmから60μm:シルバーパール)、103(粒度分布10μmから60μm)、120(粒度分布5μmから25μm:ラスターサテン)、123(粒度分布5μmから25μm)、201(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインゴールド)、205(粒度分布10μmから60μm:ルチルプラチナゴールド)、221(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインブルー)、225(粒度分布10μmから60μm:ルチルブルーパール)、231(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインレッド)、235(粒度分布10μmから60μm:ルチルグリーンパール)、エンゲルハード社製の商品名「ルミナカラーズ」品番:ルミナゴールド(粒度分布10μmから48μm:金色)、ルミナレッド(粒度分布10μmから48μm:メタリックレッド)、ルミナレッドブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナアクアブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナグリーン(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)、ルミナターコイズ(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
【0021】
合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB-100(粒度分布5μmから30μm:銀色)、SD-100(粒度分布10μmから60μm:銀色)、SE-100(粒度分布15μmから100μm:銀色)、SF-100(粒度分布44μmから150μm:銀色)、SH-100(粒度分布150μmから600μm:銀色)、YB-100(粒度分布5μmから30μm:金色)、YD-100(粒度分布10μmから60μm:金色)、YE-100(粒度分布15μmから100μm:金色)、YF-100(粒度分布44μmから150μm:金色)、RB-100(粒度分布5μmから300μm:メタリックレッド)、RD-100(粒度分布10μmから60μm:メタリックレッド)、RE-100(粒度分布15μmから100μm:メタリックレッド)、RF-100(粒度分布44μmから150μm:メタリックレッド)、RBB-100(粒度分布5μmから30μm:メタリックパープル)、RBD-100(粒度分布10μmから60μm:メタリックパープル)、RBE-100(粒度分布15μmから100μm:メタリックパープル)、RBF-100(粒度分布44μmから150μm:メタリックパープル)、VB-100(粒度分布5μmから30μm:メタリックバイオレット)、VD-100(粒度分布10μmから60μm:メタリックバイオレット)、VE-100(粒度分布15μmから100μm:メタリックバイオレット)、VF-100(粒度分布44μmから150
μm:メタリックバイオレット)、BB-100(粒度分布5μmから30μm:メタリックブルー)、BD-100(粒度分布10μmから60μm:メタリックブルー)、BE-100(粒度分布15μmから100μm:メタリックブルー)、BF-100(粒度分布44μmから150μm:メタリックブルー)、GB-100(粒度分布5μmから30μm:メタリックグリーン)、GD-100(粒度分布10μmから60μm:メタリックグリーン)、GE-100(粒度分布15μmから100μm:メタリックグリーン)、GF-100(粒度分布44μmから150μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
【0022】
偏平ガラス片の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、鱗片状のガラス片を酸化チタンで被覆した日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」MC5090RS(平均粒子径90μm:銀色)、MC5090RY(平均粒子径90μm:金色)、MC5090RR(平均粒子径90μm:赤色)、MC5090RV(平均粒子径90μm:紫色)、MC5090RB(平均粒子径90μm:青色)、MC5090RG(平均粒子径90μm:緑色)、MC1080RS(平均粒子径80μm:銀色)、MC1080RY(平均粒子径80μm:金色)、MC1080RR(平均粒子径80μm:赤色)、MC1080RB(平均粒子径80μm:青色)、MC1080RG(平均粒子径80μm:緑色)、MC1040RS(平均粒子径40μm:銀色)、MC1040RY(平均粒子径40μm:金色)、MC1040RR(平均粒子径40μm:赤色)、MC1040RB(平均粒子径40μm:青色)、MC1040RG(平均粒子径40μm:緑色)、MC1020RS(平均粒子径20μm:銀色)、MC1020RY(平均粒子径20μm:金色)、MC1020RR(平均粒子径20μm:赤色)、MC1020RB(平均粒子径20μm:青色)、MC1020RG(平均粒子径20μm:緑色)、MC1080RSS1(平均粒子径80μm:銀色)、MC1080RYS1(平均粒子径80μm:金色)等を例示できる。
【0023】
シリカフレークの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「カラーストリーム」品番:F20-00WNT AutumnMystery(粒度分布5μmから40μm)、T20-01WNT ViolaFantasy(粒度分布5μmから40μm)等を例示できる。
【0024】
薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「シラリック」品番:T50-10(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60-10WNT(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60-20WNT(粒度分布10μmから30μm:金色)、T60-24WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックグリーン)、T60-23WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックブルー)等を例示できる。第2光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0025】
第2光輝性顔料の含有量は、インキ組成物全質量に対して0.01~20質量%とすることが好ましく、0.05~15質量%とすることがより好ましい。特に好ましくは0.1~10質量%である。含有量を前記範囲内とすれば、インキ中における化学的な安定性や、インキ中で光輝性顔料が凝集、沈降することを抑えて、光輝感に優れ、色のムラが抑制された熱変色性の筆跡を形成しやすい。また、摩擦部材等で筆跡を擦過したときの第2光輝性顔料の除去を容易としやすい。
【0026】
また、第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有量は、インキ組成物全質量に対して0.02~20質量%とすることが好ましく、0.05~15質量%とすることがより好ましい。特に好ましくは0.1~10質量%である。含有量を前記範囲内とすれば、筆跡の光輝性と、筆跡を擦過したときの光輝性顔料の除去性及び筆跡熱変色の視認性のバランスが良好になる。
【0027】
インキ組成物中における第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比(第2光輝性顔料/第1光輝性顔料)は、例えば、0.05~100であり、好ましくは0.1~20、より好ましくは0.2~5である。含有比が上記範囲内であると、筆跡の光輝性と、摩擦部材等で筆跡を擦過したときの光輝性顔料の除去性及び筆跡熱変色の視認性のバランスが良好となりやすい。
【0028】
さらに、光輝性顔料としては、第1光輝性顔料および第2光輝性顔料とともに、金属コーティングガラスフレーク、金属粉顔料、およびコレステリック液晶型金属光沢顔料等を適用することができる。
【0029】
金属コーティングガラスフレークとしては、金、銀で表面が被覆されてなるガラスフレークを適用できる。金属コーティングガラスフレークの具体例としては、日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」2020PS(平均粒子径25μm:銀色)、2040PS(平均粒子径40μm:銀色)、1030GP(平均粒子径30μm:金色)等を例示できる。金属コーティングガラスフレークは、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0030】
金属粉顔料としては、アルミニウム、真鍮、ステンレス、錫、亜鉛、ブロンズ、ニッケル、銅、金、銀等が適用でき、比重が小さく、インキ中で沈降し難いことからアルミニウムが好ましく用いられる。金属粉顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0031】
コレステリック液晶型金属光沢顔料として具体的には、ワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)、Scarabeus(SLM90120)、Jade(SLM90220)、Maple(SLM90320)等を例示できる。コレステリック液晶型金属光沢顔料は平均厚みが、例えば、3μm以上15μm以下、好ましくは5μm以上10μm以下の範囲であり、平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲のものが好適に用いられる。コレステリック液晶型金属光沢顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
【0032】
インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の少なくとも1種を含有する。可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、単に「マイクロカプセル顔料」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する。
【0033】
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載されている、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1℃から7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物
を内包したマイクロカプセル顔料を用いることができる(図1参照)。
【0034】
また、特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報、特開2008-280523号公報等に記載されている、大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2からt3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる(図2参照)。
【0035】
色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2では、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記t1とt4間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3の間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0036】
前記完全消色温度t4は、摩擦部材と被筆記面との擦過によって生じる摩擦熱等により消色する温度であり、例えば、50℃以上90℃以下であり、好ましくは55℃以上85℃以下、より好ましくは60℃以上80℃以下の範囲にあり、完全発色温度t1は冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度とすることができ、例えば、0℃以下であり、好ましくは-50℃以上-5℃以下、より好ましくは-50℃以上-10℃以下の範囲にある。
【0037】
以下に電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び反応媒体について説明する。
【0038】
(電子供与性呈色性有機化合物)
電子供与性呈色性有機化合物は、色を決定する成分であり、顕色剤である電子受容性化合物に電子を供与して発色する。
【0039】
電子供与性呈色性有機化合物として、例えば、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、及びビスキナゾリン化合物等が挙げられ、フタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
【0040】
フタリド化合物として、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物として、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0041】
このような電子供与性呈色性有機化合物として、例えば、
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イ
ソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3’,6’-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフ
ラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフ
ラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフ
ラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2’-エチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル
)ピリジン、
2,6-ビス(2’,4’-ジエチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノ
フェニル)ピリジン、
2-(4’-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕等が挙げられる。
【0042】
フルオラン類として、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物、及びキサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色又は黒色を呈する化合物等が挙げられる。
【0043】
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物は、電子供与性呈色性有機化合物から電子を受け取り、その顕色剤として機能する。
【0044】
電子受容性化合物として、例えば、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられ、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0045】
活性プロトンを有する化合物群として、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、並びにカルボン酸及びその誘導体が挙げられ、芳香族カルボン酸及びその誘導体、炭素数2以上5以下の脂肪族カルボン酸及びその誘導体、2-ヒドロキシカルボン酸誘導体、N-置換アミノ酸誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2以上5以下のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、並びに無機酸類等が好ましい。
【0046】
偽酸性化合物群としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸との混合酸無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、並びにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
【0047】
電子空孔を有する化合物群として、例えば、硼酸塩類、硼酸エステル類、及び無機塩類等が挙げられる。
【0048】
以上に挙げた電子受容性化合物の中でも、より有効に熱変色特性を発現させる観点から、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
【0049】
フェノール性水酸基を有する化合物には、例えば、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更に、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物等、並びにフェノール-アルデヒド縮合樹脂等も含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2つ以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル、アミド基、及びハロゲン基等の置換基を有してよい。
【0050】
フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩等が含む金属として、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等が挙げられる。
【0051】
フェノール性水酸基を1つ有する化合物として、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等が挙げられる。
【0052】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物として、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
4-フェニルアセチル-6-クロロレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等が挙げられる。
【0053】
ビスフェノール化合物として、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等が挙げられる。
【0054】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物として、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、及び没食子酸ドデシル等が挙げられる。
【0055】
トリスフェノール化合物として、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等が挙げられる。
【0056】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物として、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,4,4-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等が挙げられる。
【0057】
カルボン酸及びその誘導体として、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
p-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等が挙げられる。
【0058】
酸性リン酸エステル化合物として、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。
【0059】
電子受容性化合物として、上述のように、より有効に熱変色特性を発現させることができるためフェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2以上5以下の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、並びに1,2,3-トリアゾール及びその誘導体等からなる群から選択される化合物も有効に用いることができる。
【0060】
(呈色反応の生起温度を決定する反応媒体)
可逆熱変色性組成物は、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体を含む。反応媒体は、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との間の電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる。
【0061】
反応媒体として、例えば、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、及び酸アミド類等を挙げることができる。
【0062】
反応媒体は、色濃度-温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物であってよい。
そのようなカルボン酸エステル化合物として、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0063】
また、反応媒体として、例えば、炭素数が9以上の奇数である脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数である脂肪族カルボン酸とから得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族カルボン酸とから得られる炭素数17以上23以下の脂肪酸エステル化合物も有効である。
そのような脂肪族エステル化合物として、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデシル、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0064】
ケトン類として、炭素数10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
【0065】
また、ケトン類として、炭素数が12以上24以下のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0066】
エーテル類として、炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0067】
アルコール類として、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0068】
酸アミド類として、例えば、ヘキサン酸アミド、ヘプタン酸アミド、オクタン酸アミド、ノナン酸アミド、デカン酸アミド、ウンデカン酸アミド、ラウリル酸アミド、トリデカン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ドコサン酸アミド等が挙げられる。
【0069】
また、反応媒体は、下記一般式(1)で示される化合物であってよい。
【化1】
(ここで、R1は水素原子又はメチル基であり、q1は0~2の整数であり、X1のいずれか一方は-(CH2)kOCOR’又は-(CH2)kCOOR’であり、他方は水素原子であり、kは0~2の整数であり、R’は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基であり、Y1はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはメトキシ基、又はハロゲンであり、p1はそれぞれ独立に0~3の整数である。)
【0070】
一般式(1)で示される化合物は、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、更に、R1が水素原子であり、且つmが0の場合がより好ましい。
【0071】
一般式(1)で示される化合物は、より好ましくは下記一般式(1a)で示される化合物である。
【化1a】
(ここで、R1aは、炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数10以上24以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数12以上22以下のアルキル基である。)
【0072】
一般式(1a)で示される化合物として、例えば、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル等が挙げられる。
【0073】
また、反応媒体は、下記一般式(2)で示される化合物であってよい。
【化2】
(ここで、R2は炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基であり、p2はそれぞれ独立に0~3の整数であり、X2はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲンである。)
【0074】
一般式(2)で示される化合物として、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等が挙げられる。
【0075】
また、反応媒体は、下記一般式(3)で示される化合物であってよい。
【化3】
(ここで、X3はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲン原子のいずれかであり、p3はそれぞれ独立に0~3の整数であり、q3は1以上20以下の整数である。)
【0076】
一般式(3)で示される化合物として、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、コハク酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、コハク酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル等が挙げられる。
【0077】
また、反応媒体は、下記一般式(4)で示される化合物であってよい。
【化4】
(ここで、R4はそれぞれ独立に炭素数1以上21以下のアルキル基又はアルケニル基であり、p4はそれぞれ独立に1以上3以下の整数である。)
【0078】
一般式(4)で示される化合物として、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとパルミチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸カルボン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸プロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等が挙げられる。
【0079】
また、反応媒体は、下記一般式(5)で示される化合物であってよい。
【化5】
(ここで、X5はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかであり、p5はそれぞれ独立に0以上3以下の整数であり、q5は1以上20以下の整数である。)
【0080】
一般式(5)で示される化合物として、例えば、コハク酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等が挙げられる。
【0081】
また、反応媒体は、下記一般式(6)で示される化合物であってよい。
【化6】
(ここで、R6は炭素数4以上22以下のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4以上22以下のアルケニル基のいずれかであり、X6は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、q6は0又は1である。)
【0082】
一般式(6)で示される化合物として、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0083】
また、反応媒体は、下記一般式(7)で示される化合物であってよい。
【化7】
(ここで、R7は炭素数3以上18以下のアルキル基、又は炭素数3以上18以下の脂肪族アシル基のいずれかであり、X7は水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、Y7は水素原子、メチル基のいずれかであり、Z7は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。)
【0084】
一般式(7)で示される化合物として、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等が挙げられる。
【0085】
また、反応媒体は、下記一般式(8)で示される化合物であってよい。
【化8】
(ここで、R8は炭素数4以上22以下のアルキル基、炭素数4以上22以下のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかであり、X8は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、p8は0又は1であり、q8は0以上5以下であり、r8は0以上4以下である。)
【0086】
一般式(8)で示される化合物として、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等が挙げられる。
【0087】
また、反応媒体は、下記一般式(9)で示される化合物であってよい。
【化9】
(ここで、R9は炭素数3以上17以下のアルキル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素数5以上8以下のシクロアルキルアルキル基であり、X9は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子であり、p9は1以上3以下の整数である。)
【0088】
一般式(9)で示される化合物として、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等が挙げられる。
【0089】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及び反応媒体の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態及びこれらの成分の種類にもよるが、所望の変色特性を得る観点から、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して、電子受容性化合物は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下であり、反応媒体は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは800質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。
【0090】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させる方法は特に限定されず、例えば界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、及びスプレードライング法等が挙げられ、用途に応じて適宜選択してよい。
【0091】
マイクロカプセルの材質として、有機樹脂、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、及びイソシアネート樹脂等が挙げられる。
【0092】
マイクロカプセルの表面に目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けることにより、耐久性を付与することができ、また、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0093】
マイクロカプセル(すなわち、可逆熱変色性組成物が内包されていないマイクロカプセル壁部分)と可逆熱変色性組成物との質量比率は、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは7質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を7質量部以下とすることにより、マイクロカプセル壁が肉薄になり過ぎずに適正な壁厚とすることが容易となるため、マイクロカプセル顔料の耐熱性及び耐圧性等を高めることが容易となる。また、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を1質量部以上とすることにより、マイクロカプセル顔料が発色した際の色濃度及び鮮明性を高めることが容易となる。
【0094】
マイクロカプセルの平均粒子径は、例えば、0.01~50μm、好ましくは0.1~30μm、より好ましくは0.5~20μmの範囲が実用性を満たす。
【0095】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。
【0096】
また、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。また、マイクロカプセル顔料について、例えば、標準試料又はコールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-300」を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定してよい。
【0097】
マイクロカプセル顔料は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。インキ組成物中のマイクロカプセル顔料の含有率はインキ組成物全質量に対して3~20質量%であることが好ましく、より好ましくは5~15質量%である。マイクロカプセル顔料の含有率が上記範囲であると、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になる。
【0098】
インキ組成物中のマイクロカプセル顔料、光輝性顔料の総含有率は、インキ組成物全質量に対して例えば2~45質量%であり、好ましくは3~40質量%、より好ましくは5~30質量%である。マイクロカプセル顔料、光輝性顔料の総含有率が上記範囲であると、より良好な発色性と光輝性とが達成され、また、より良好な消色性と除去性とが達成できる。
【0099】
インキ組成物中の光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比は、例えば、0.5~200であり、好ましくは1~150、より好ましくは1~100、更に好ましくは1.5~50である。光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比が上記範囲であると、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になる。
【0100】
インキ組成物は、増粘剤の少なくとも1種を含む。増粘剤を含むことで、光輝性顔料の沈降、凝集等を抑制することができる。増粘剤は剪断減粘性付与剤として機能するものであってもよい。増粘剤としては、多糖類、特にヘテロ多糖体が挙げられる。具体的には、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万から800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ダイユータンガム等を挙げることができる。前記多糖類としてはキサンタンガムが好適である。増粘剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0101】
インキ組成物中の増粘剤の含有率は、インキ組成物全質量に対して好ましくは0.17~0.55質量%が好ましく、より好ましくは0.2~0.5質量%である。増粘剤の含有率が0.17質量%以上であると、十分なインキ粘度が得られやすく、マイクロカプセル顔料及び光輝性顔料の凝集、沈降を十分に抑制することが容易となる。一方、増粘剤の含有率が0.55質量%以下であると、インキ粘度が高くなりすぎず、良好な筆跡を形成しやすい。
【0102】
インキ組成物には、ガラス転移温度(Tg値)が0℃以下である樹脂が適用される。このような樹脂を適用すると、筆跡に紙が触れた際、触れた紙面に筆跡の第1光輝性顔料が転写することを抑え、摩擦部材等で擦過して筆跡を熱変色させたときの光輝性顔料の除去性が良好となる。前記した樹脂は紙繊維間に第2光輝性顔料が潜り込んで擦過による筆跡からの除去が困難になることを抑制するとともに、筆跡に紙が触れた程度では第1光輝性顔料が紙に転写せず、筆跡を擦過したときには第1光輝性顔料と第2光輝性顔料が容易に紙面から脱離する程度に光輝性顔料の紙面繊維に対する定着性を適度に高めていると推測される。
【0103】
樹脂のTg値が0℃を超える場合、理由は定かではないが、筆跡に紙が触れたときに触れた紙面に筆跡の第1光輝性顔料が転写することを抑えつつ、摩擦部材等で筆跡を擦過したときに筆跡の第2光輝性顔料を除去することが難しくなる。
樹脂のTg値は-100℃以上が好ましく、-80℃以上がより好ましく、-65℃以上がさらに好ましい。
【0104】
インキ組成物に適用できる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩ビ-酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン-アクリロニトリル樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂等から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。中でも、スチレンブタジエン樹脂およびエチレン酢酸ビニル樹脂は、筆跡に紙が触れた際、触れた紙面に筆跡の第1光輝性顔料が転写することを抑え、摩擦部材で筆跡を擦過したときに筆跡を熱変色させつつ、第1光輝性顔料とともに第2光輝性顔料を除去する効果が高いことから好ましい。好ましくは、樹脂はスチレンブタジエン樹脂及び/又はエチレン酢酸ビニル樹脂を含むことであり、より好ましくは、スチレンブタジエン樹脂及び/又はエチレン酢酸ビニル樹脂からなるものである。
また、樹脂は、水溶性であっても良く、水不溶性または難水溶性であっても良い。
水不溶性または水難溶性の樹脂をインキ組成物に適用する場合は、エマルション等の、樹脂を分散質とした分散体を適用することがインキ組成物における樹脂の分散安定性を良好とする上で好ましい。水不溶性または難水溶性の樹脂は筆跡の耐水性を高めることもできる。
樹脂のTg値は、株式会社ユービーエム社製、動的粘弾性測定装置Rheogel-E4000を使用し、周波数10Hzにて樹脂からなる膜を引っ張り測定したときの損失弾性率のピークをガラス転移温度Tgとして求める。
【0105】
樹脂の含有量は、インキ組成物全質量に対して1~15質量%とすることが好ましく、1~10質量%とすることがより好ましい。特に好ましくは2~10質量%である。樹脂の含有量を前記範囲内とすることで、筆跡に紙が触れたときに紙面に第1光輝性顔料が転写することを抑制しつつ、第2光輝性顔料が紙繊維間に潜り込むことを抑えて摩擦部材等で筆跡を擦過したときに光輝性顔料を除去することが容易となる。
インキ組成物に適用できる樹脂の具体例としては、例えば、スチレンブタジエン樹脂として、旭化成社製:SBラテックスシリーズ(DL-612、A-2730等)、日本ゼオン社製:NipolLXシリーズ(LX432M、LX421等)等のスチレンブタジエン樹脂のTg値が0℃以下のグレードを挙げることができ、また、エチレン酢酸ビニル樹脂としては、住友化学社製;スミカフレックスシリーズ(401HQ、408HQE等)等のエチレン酢酸ビニル樹脂のTg値が0℃以下のグレードを挙げることができる。
インキ組成物に適用できる樹脂はこれらに限られるものではない。
【0106】
インキ組成物は、8糖以上の澱粉糖化物及びその還元物(以下、糖類という)の少なくとも一方を30質量%以上含む糖混合物を含んでいても良い。これにより、耐乾燥性を更に向上させることができると共に、ボールペンチップからの垂れ下がりを防止する性能を付与することができる。
【0107】
糖混合物としては、好ましくは8糖以上の糖類を50質量%以上含むものであり、より好ましくは8糖以上の糖類を70質量%以上含むものである。耐乾燥性を付与するためには、ある程度の乾燥皮膜の形成が必要であるが、単糖又は二糖では乾燥皮膜の形成が充分でないので耐乾燥性に対する効果が小さく、吸水性が高いためにボールペンに適用した場合、チップを下向き(倒立)で放置することによる垂れ下がりが発生しやすい。また、3糖から7糖程度では、単糖又は二糖に比べて吸水性は低くなるが、十分な耐乾燥性を得るには至らない。更に、十分な耐乾燥性を得るために多量の添加を試みると、吸水性が高くなり垂れ下がりの原因になったり、添加した糖が溶解しきれずにインキ組成物中の固形分が増加し、耐乾燥性が低下したりすることがある。糖類は分子量が大きくなるに従い吸湿性が低くなり、乾燥皮膜を形成し易くなる特徴を有することから、8糖以上の糖類を用いることで高湿度下での垂れ下がりを防止できると共に、耐乾燥性も向上する。更に、耐熱性、耐酸性、耐微生物性等の性能も向上し、インキ中で安定した状態を維持できる。
【0108】
8糖以上の糖類としては、澱粉の酵素分解等によって得られる澱粉糖化物や、該澱粉糖化物の末端基を還元した還元澱粉糖化物を用いることができる。また、澱粉を分解していくと、様々な重合度の糖類が生成するため、8糖以上の糖類のみを完全に単離することは技術的に困難であり、製造コストもかかってしまう。そこで、7糖以下の糖類が存在する糖混合物において、前記8糖以上の糖類を30質量%以上含むものを使用することができ、それにより、インキ中で前記性能を十分に得ることができ、耐乾燥性及び垂れ下がり防止性能を付与できる。糖混合物としては、澱粉を分解(例えば、酵素分解)して得られる生成物等が挙げられる。
【0109】
インキ組成物中の糖混合物の含有率は、0.5~10質量%とすることが好ましい。0.5質量%以上であれば、耐乾燥性の向上が効果的に得られ、10質量%以下であれば、配合によりインキ組成物の粘度が上昇して泣き出しやボテの原因になったり、追従性を妨げたりするといった問題を容易に回避することができ、更には良好な耐乾燥性に悪影響を与えることもない。糖混合物の含有率は、より好ましくは1~8質量%である。
【0110】
インキ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の成分を含んでいてもよい。例えば、必要により、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を含むことができる。
【0111】
更に、必要により、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)、チオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜リン酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、あるいはそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤が挙げられる。
【0112】
また、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤又は防黴剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、天然又は合成ポリフェノール類、N-ビニルピロリドンオリゴマー、コウジ酸、ヒドロキシルアミン類、オキシム誘導体、α-グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、グルタチオン、n-ブチルアルデヒドとアニリンの反応物等の酸素吸収剤、消泡剤、分散剤等を含んでいてもよい。
【0113】
インキ組成物は、水を含むが、水に加えて水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。水溶性有機溶剤を含む場合は、インキ粘度の上昇によるインキ追従性不良や、筆跡の乾燥不良、筆跡の滲み等種々の不具合を発生することがない範囲で含むことが好ましく、あるいは、水溶性有機溶剤を含まなくてもよい。水溶性有機溶剤としては、グリコール系水溶性有機溶剤が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、フルフリルアルコール等を挙げることができる。
【0114】
インキ組成物は、せん断速度0.1sec-1で測定される粘度が、7000~25000mPa・sであり、せん断速度1000sec-1で測定される粘度が、17~30mPa・sであることが好ましい。インキ組成物のより好ましい粘度は、せん断速度0.1sec-1において7500~20000mPa・sであり、せん断速度1000sec-1においては20~30mPa・sである。インキ組成物の粘度が前記範囲であると、静置状態のインキ組成物における光輝性顔料の沈降、凝集等が十分に抑制されるとともに、筆記時のボールペンチップからのインキ吐出性が良好となり、光輝性に優れる熱変色性の筆跡を形成しやすい。インキ組成物の粘度は、マイクロカプセル顔料、光輝性顔料の含有量、増粘剤の含有量等のインキ組成を適宜選択することで、所望の範囲に調整することができる。
粘度の測定は、インキ組成物が20℃において、ティーエイインスツルメント社製のレオメーター「DHR-2」を用いて行うことができる。
【0115】
また、水性インキ組成物は、20℃で測定した下記(1)式で示される剪断減粘指数nが、0.20~0.35であることが好ましく、0.25~0.35であることがより好ましい。
T=KJn (1)
ここで、Tはずり応力[N/m]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[sec-1]である。
これにより、静置状態のインキ組成物における光輝性顔料の沈降、凝集等が十分に抑制されつつ、筆記時にボールペンチップのインキがボールとボール掴持部との隙間に溜ることなく吐出されるため、光輝感と発色性に優れる、明瞭な筆跡を形成することが容易となる。
【0116】
剪断減粘指数nの測定は、例えば、ティーエイインスツルメント社製のレオメーター「DHR-2」を用いて行うことができ、0.1sec-1、及び1000sec-1のずり速度と、それらのずり速度でそれぞれ得られるずり応力(剪断応力)とを上記(1)式に適用してnを求める。
【0117】
インキ組成物は、水、水溶性有機溶剤を含む水性媒体中に、光輝性顔料及びマイクロカプセル顔料、樹脂、必要により各種添加剤等を投入、攪拌し、更に、これとは別に調製した溶媒中に増粘剤を分散した分散液又は増粘剤を直接投入し、攪拌することにより調製される。
【0118】
インキ組成物は、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキとして利用できる。
【0119】
インキ組成物は、インキ組成物を収容する軸筒と、前記軸筒内に収容されたインキ組成物を導出するペン体とを備える筆記具に適用することができる。インキ組成物は、例えば、繊維集束体からなるインキ吸蔵体に内蔵させて、又はインキ収容管に直接収容して軸筒内に収容することができる。また、ペン体は、例えば、マーキングペン体、筆ペン体、ボールペン体とすることができる。上記構成のインキ組成物を用いて構成される筆記具では、良好な光輝性を有し、熱変色可能な筆跡を形成することが可能であり、また、インキ組成物における光輝性顔料の凝集体形成が抑制されるため、筆記先端からのインキ吐出性が良好で、筆跡形成性に優れる。
【0120】
筆記具は、マーキングペンであってよい。マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではない。マーキングペンとしては、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるマーキングペン体を直接又は中継部材を介して軸筒に装着してインキ吸蔵体とマーキングペン体とが連結されてなり、インキ吸蔵体にインキ組成物を含浸させた構造、マーキングペン体の押圧により開放する弁体を介してマーキングペン体とインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させた構造等を例示できる。
【0121】
マーキングペン体は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来から汎用される気孔率が概ね30%から70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、または軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40%から90%の範囲に調整して構成される。また、弁体は、従来から汎用されるポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0122】
筆記具は、ボールペンであってよい。ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではない。ボールペンとしては、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、さらにインキ収容管に収容されるインキ組成物の端面には逆流防止用の液栓が密接している構造を例示できる。上記構成のインキ組成物を用いて構成されるボールペンでは、筆記先端からのインキ吐出性が良好で、筆跡形成性に優れる。
【0123】
ボールペンチップとしては、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたボールペンチップ、ボールペンチップに抱持されるボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等からなり、径が例えば、0.3mm以上2.0mm以下、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.3mm以上1.0mm以下程度のものが適用できる。
【0124】
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられる。インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材(チップホルダー)を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
【0125】
ボールペンは、インキ収容管をボールペンレフィルの形態として、ボールペンレフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にボールペン体を装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填したものでもよい。
【0126】
インキ収容管をボールペンレフィルの形態とする場合、ボールペンレフィルはインキ組成物を収容するインキ収容管と、インキ収容管に直接又は接続部材を介して装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペン体とを備えて構成される。
【0127】
また、インキ組成物を出没式ボールペンに適用する場合、出没式ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、ノック部の押圧により、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。回転式は、軸筒後部に回転部を有し、回転部を回すことにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、スライドを操作することにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
【0128】
インキ収容管に収容されるインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を併用することもできる。不揮発性液体及び難揮発性液体の少なくとも一方は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0129】
マーキングペン、ボールペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン体を装着させたり、相異なる色のインキ組成物を導出させるペン体を装着させたりした両頭式筆記具であってもよい。
【0130】
可逆熱変色性水性インキ組成物を収容した筆記具を用いて被筆記面に筆記して得られる筆跡は、加熱具又は冷却具により変色させることができる。加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。すなわち、筆記具は、摩擦部材を更に備えるものであってもよい。
【0131】
摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させつつ光輝性顔料を除去することのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体、粘弾性体が好適である。なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前述の摩擦部材が好適に用いられる。摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、αオレフィン系共重合体等が用いられる。
【0132】
摩擦部材は筆記具とは別体の任意形状の部材(摩擦体)とし、これと筆記具とを組み合わせて筆記具セットとして構成することもできるが、筆記具に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)又は軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けたりすることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではない。例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)又はノック部に摩擦部材を設けたりすることができる。
【0133】
冷却具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填
した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【実施例0134】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
本発明におけるマイクロカプセル顔料の平均粒子径は体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いるが、その粒子径測定にあたっては、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック社製)、コールター法(電気的検知帯法)粒子径測定装置、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)などが使用できる。
なお、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いる場合は、標準試料やコールター法(電気的検知帯法)などの他の測定装置によりキャリブレーションを行った測定装置にて測定を行う。
前記測定機によって、得られる数値に差が生じる場合は、前記画像解析式粒度分布測定ソフトウェアを用いて得られた数値を優先する。
本実施例においては、コールター法(電気的検知帯法)によりキャリブレーションを行った前記レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)用いて体積基準による平均粒子径(メジアン径)および粒子径を測定した。
【0135】
マイクロカプセル顔料1の調製
電子供与性呈色性有機化合物としてスピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル1.0部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン3.0部、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン5.0部、反応媒体としてとしてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物から成る色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物aをマイクロカプセルに内包してマイクロカプセル顔料1を調製した。
マイクロカプセル顔料1の平均粒径は2.0μm、完全消色温度(t4)は53℃であり、完全発色温度(t1)は-20℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色した。
【0136】
マイクロカプセル顔料2の調製
電子供与性呈色性有機化合物と成分として3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン1.0部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン3.0部、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン5.0部、反応媒体としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物bをマイクロカプセルに内包してマイクロカプセル顔料2を調製した。
マイクロカプセル顔料2の平均粒径は1.8μm、完全消色温度(t4)は55℃であり、完全発色温度(t1)は-20℃であり、温度変化により青色から無色に変色した。
【0137】
インキ組成物の調製
以下の表1に示す組成を有する水性インキ組成物No.1からNo.7を調製した。表中の組成の数値は質量%を表し、「-」は未添加であることを示す。なお、No.1からNo.4は実施例に該当し、No.5からNo.7は比較例に該当する。
【0138】
【表1】
【0139】
以下に表中の各成分の詳細を説明する。
(A)第1光輝性顔料1:エルジーneo SILVER#325;尾池イメージング株式会社製;蒸着金属としてアルミニウムを含む;平均粒径44μm,平均厚み2μm
(B)第1光輝性顔料2:エルジーneo SILVER#500;尾池イメージング株式会社製;蒸着金属としてアルミニウムを含む;平均粒径:28μm,平均厚み:2μm
(C)第2光輝性顔料1:イリオジン103;メルク社製;粒度分布10μmから60μm
(D)第2光輝性顔料2:イリオジン123;メルク社製;粒度分布5μmから25μm
(E)樹脂1:スチレンブタジエン樹脂;旭化成社製;SBラテックスDL612(分散体、樹脂Tg値:-1℃、有効成分48質量%)
(F)樹脂2:スチレンブタジエン樹脂;旭化成社製;SBラテックスA2730(分散体、樹脂Tg値:-21℃、有効成分50質量%)
(G)樹脂3:スチレンブタジエン樹脂;日本ゼオン社製;NipolLX432M(分散体、樹脂Tg値:-55℃、有効成分41質量%)
(H)樹脂4:エチレン酢酸ビニル樹脂;住友化学社製;スミカフレックス408HQE(分散体、樹脂Tg値:-30℃、有効成分50質量%)
(I)樹脂5:スチレンブタジエン樹脂;日本ゼオン社製;Nipol2507H(分散体、樹脂Tg値:58℃、有効成分66質量%)
(J)樹脂6:エチレン酢酸ビニル樹脂;住友化学社製;スミカフレックス850HQ(分散体、樹脂Tg値:30℃、有効成分50質量%)
(K)増粘剤:キサンタンガム;商品名「ケルザン」;三晶株式会社製
(L)水溶性有機溶剤:グリセリン
(M)糖類:デキストリン;商品名「サンデック30」;三和澱粉工業株式会社製
(N)界面活性剤:リン酸エステル系活性剤;商品名「プライサーフAL」;第一工業製薬工業株式会社製
(O)pH調整剤:トリエタノールアミン
(P)防腐剤:(1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン;商品名「プロキセルXL-2」;ロンザジャパン社製
【0140】
ボールペンレフィルの作製
得られた各インキ組成物を外径0.7mmの超硬合金ボールを回転自在に抱持するボールペンチップを先端に具備したポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管内に充填し、後端に粘調液体からなるインキ逆流防止体を充填した。次いで、尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィルをそれぞれ得た。
【0141】
ボールペンの作製
得られたボールペンレフィルを、ボールペン(商品名:ケセラメ、株式会社パイロットコーポレーション製)外装に装着した。前記ボールペンは後端にポリエステル系樹脂からなる摩擦部材を備えてなる。得られたボールペンを用いて以下の試験を行なった。結果を下表に示す。
【0142】
(筆跡光輝性の評価)
得られたボールペンにより、直線筆記を行った。その際の筆跡における光輝性を目視観察し、以下の評価基準で評価した。なお、筆記試験用の媒体として、白紙(JIS P3210に準拠した筆記用紙A)及び黒紙(株式会社長門屋商店製、商品名:カラーペーパーB5中厚口黒、厚さ0.09mm、密度80g/m2)を用いた。
尚、評価基準は、AおよびBを合格とし、Cを不合格とした。
評価基準
A:筆跡全体に金属光沢調の強い輝きが確認される。
B:穏やかな金属光沢調の輝きが確認される。
C:金属光沢調の輝きが弱く、実用上問題がある。
【0143】
(筆跡発色性、筆跡熱変色性の評価)
上記評価で得られた筆跡の発色性を目視観察したところ、No1~7のインキで形成した筆跡はいずれも発色が明瞭に視認された。また、前記白紙に形成した筆跡を摩擦部材により筆跡を擦過したところ、筆跡の熱変色性が明瞭に視認された。
【0144】
(樹脂被覆された薄片状金属顔料転写性の評価)
前記ボールペンにて筆記試験用の白紙の媒体を塗りつぶし、一辺5mmの正方形状の筆跡を形成した。筆記から15分後、筆跡上に前記筆記試験用の媒体と同種の黒紙を重ねて黒紙を500gの分銅で3回擦過した後、黒紙を目視で観察した。尚、評価基準は、Aを合格とし、Bを不合格とした。
評価基準
A:樹脂被覆された薄片状金属顔料は確認されない。もしくは、樹脂被覆された薄片状金属顔料がわずかに付着している。
B:樹脂被覆された薄片状金属顔料が顕著に付着している。
【0145】
(光輝性顔料の除去性の評価)
前記ボールペンにて前記筆記試験用の媒体(黒紙)に「PILOT」を筆記し、15分間放置した。次いで、筆跡を摩擦部材を用いて500gの荷重で筆跡全体が熱変色するまで擦過し、筆跡を目視で観察した。尚、評価基準は、Aを合格とし、BおよびCを不合格とした。
A:光輝感が確認されない。
B:パール顔料による穏やかな光輝感が確認できる。
C:パール顔料による強い光輝感が確認できる。
【0146】
(筆跡耐水性の評価)
前記ボールペンにて前記筆記試験用の媒体(白紙)に「永」を筆記し、筆記から30分後に筆跡を水中に1時間浸漬した後筆跡を目視で観察したところ、No.1~4のインキ組成物で形成された筆跡は変化が確認されなかった。一方、No.6のインキ組成物で形成された筆跡は、発色性と光輝性の低下が確認された。また、No.5および7のインキ組成物で形成された筆跡は発色性と光輝性の低下が顕著で、筆跡の視認が困難であった。
【表2】
図1
図2