(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128675
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24C 1/00 20060101AFI20220829BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
F24C1/00 360H
F24C1/00 D
H01L35/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027027
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】旅河 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田村 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】高野 清一
(57)【要約】
【課題】発電ユニットを簡易に着脱可能とし、熱発電モジュールによる発電効率を高めることが可能な燃焼装置を提供する。
【解決手段】発電ユニット20の集熱板21は、上面板3の上方に位置し燃焼筒10から発生する熱を集熱する集熱面21aと、背面板5の背面側に位置し熱発電モジュール24が取り付けられる取付面21bと、を有した略L字形状で構成されたので、停電時等にのみ集熱板21を器具本体1に取り付けることで熱発電モジュール24による発電を実施し、スマホ等の外部電子機器40への送電を行い、通常時は集熱板21を器具本体1から取り外すことで暖房感の喪失を防止することができるので、用途による使い分けを簡易に行うことができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側を構成する背面板と、上面側を構成し貫通穴が形成された上面板と、を有する器具本体と、
当該器具本体内にあり前記上面板の下方に位置し燃料を燃焼させる燃焼筒と、
当該燃焼筒で発生する熱を集熱する集熱板と、
当該集熱板に当接し熱を電力に変換する発電素子を有した熱発電モジュールと、
当該熱発電モジュールに当接し前記熱発電モジュールの熱を放熱する放熱部と、
当該放熱部に併設し前記放熱部を冷却する冷却ファンと、
前記熱発電モジュールで発生した電力を前記冷却ファン、及び外部電子機器と接続可能な端子に送る回路基板と、を備え、
前記集熱板は、前記上面板の上方に位置し前記燃焼筒から発生する熱を集熱する集熱面と、前記背面板の背面側に位置し前記熱発電モジュールが取り付けられる取付面と、を有した略L字形状で構成され、
前記集熱面と接続し前記集熱板を所定の設置場所に固定する固定部材が、前記集熱面に取り付けられ前記上面板と当接する当接部と、前記上面板の前記貫通穴を通過する延伸部と、で構成されたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記延伸部が前記燃焼筒の近傍まで延伸されていることを特徴とした請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油やガス等を燃焼させる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、器具本体内にあり燃料を燃焼することで輻射熱が発生する燃焼筒により周囲を暖房する燃焼装置において、燃焼筒の上方に設置された集熱板と、冷却ファンにより冷却される放熱部と、に挟まれる発電素子(ペルチェ素子)を有した熱発電モジュールを備えたものがあり、集熱板と放熱部とで生じる温度差によるゼーベック効果により熱発電モジュールで発電され、発電された電力を冷却ファンの駆動電力、及びスマホ等の外部電子機器への電力供給のための端子に送電可能としたことで、停電時に暖房とスマホ等の外部電子機器の充電を可能にしたものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、燃焼筒から発生する熱を集熱する集熱板が器具本体に内蔵されていることから、集熱板を容易に着脱できない。
熱発電モジュールによる発電は、停電等の緊急時における使用を想定していることから、停電等の発生がない通常時においては必要の度合いが低い。
通常時における暖房の実施時、集熱板が器具本体内の燃焼筒上部に常時設置されていると、集熱板に熱が奪われることで暖房感の喪失を招くことになり、ユーザーの使用感が低下することから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、背面側を構成する背面板と、上面側を構成し貫通穴が形成された上面板と、を有する器具本体と、
当該器具本体内にあり前記上面板の下方に位置し燃料を燃焼させる燃焼筒と、
当該燃焼筒で発生する熱を集熱する集熱板と、
当該集熱板に当接し熱を電力に変換する発電素子を有した熱発電モジュールと、
当該熱発電モジュールに当接し前記熱発電モジュールの熱を放熱する放熱部と、
当該放熱部に併設し前記放熱部を冷却する冷却ファンと、
前記熱発電モジュールで発生した電力を前記冷却ファン、及び外部電子機器と接続可能な端子に送る回路基板と、を備え、
前記集熱板は、前記上面板の上方に位置し前記燃焼筒から発生する熱を集熱する集熱面と、前記背面板の背面側に位置し前記熱発電モジュールが取り付けられる取付面と、を有した略L字形状で構成され、
前記集熱面と接続し前記集熱板を所定の設置場所に固定する固定部材が、前記集熱面に取り付けられ前記上面板と当接する当接部と、前記上面板の前記貫通穴を通過する延伸部と、で構成されたことを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記固定部材は、前記延伸部が前記燃焼筒の近傍まで延伸されていることを特徴とした。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、集熱板は、上面板の上方に位置し燃焼筒から発生する熱を集熱する集熱面と、背面板の背面側に位置し熱発電モジュールが取り付けられる取付面と、を有した略L字形状で構成されたので、停電時等にのみ集熱板を器具本体に取り付けて熱発電モジュールによる発電を実施してスマホ等の外部電子機器への送電を行い、通常時は集熱板を器具本体から取り外すことで暖房感の喪失を防止することができ、また、固定部材により集熱板と上面板との間に隙間が形成されることで、燃焼筒で発生した対流熱が上面板と集熱板との間を通過し、効率よく集熱板を加熱して高温にすることができるため、効率よく熱発電モジュールで発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施形態の概略構成を説明する正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次にこの発明を適用した燃焼装置の一種である石油ストーブについて説明する。
【0010】
図1、2を参照する。1は器具本体であり、器具本体1は、前面を構成する前面板2と、上面を構成する上面板3と、左右側面を構成する側面板4と、背面を構成する背面板5と、底面を構成する底面板6と、で外装が構成された直方体形状の筐体である。
【0011】
図1、2を参照する。10は燃料としての灯油を内部で燃焼して高温状態になる円筒状の燃焼筒であり、前面板2の上方で器具本体1の内部空間内に設置されている。11は燃焼筒10の前方以外の周囲を囲うように設置された反射板であり、器具本体1の前方へ燃焼筒10で発生した輻射熱を反射し器具本体1の前方へ放射する。
【0012】
図1、2を参照する。12は内部に所定量の灯油を溜めた給油タンクであり、図示しない器具本体1内部の固定タンク上に設置されることで灯油を供給する。13は燃焼筒10内にある図示しない燃焼芯を上下させるハンドル、14は点火プラグを動作させ燃焼芯へ点火する点火スイッチである。
【0013】
ハンドル13を回して燃焼芯を上昇させた状態で点火スイッチ14を押圧することで灯油を含んだ燃焼芯が燃焼し、燃焼筒10が高温に赤熱して器具本体1の前方へ輻射熱を放射すると共に、燃焼筒10の上方へ対流熱が上昇することで、器具本体1の周囲の暖房を可能とする。
【0014】
図2、3を参照する。上面板3には複数の貫通穴3aが形成されており、燃焼筒10内での燃焼により発生し上昇する対流熱が貫通穴3aを通過して、器具本体1の上方を暖めることができる。
また、上面板3の給油タンク12が設置された面にはタンク扉3bが形成されており、給油時等で給油タンク12を器具本体1内から取り出す時、タンク扉3bを開放して給油タンク12を取り出すことができる。
【0015】
図1、2、3を参照する。20は器具本体1に外付けし着脱自在な発電ユニットであり、発電ユニット20は、上面板3の上方に位置し燃焼筒10から上昇する対流熱を集熱するアルミで構成された集熱板21と、集熱板21下方の前端左右に2つ接続し集熱板21を所定の設置場所に固定する固定部材22と、熱を電気に変換する発電素子(ペルチェ素子)を有した熱発電モジュール24と、当該熱発電モジュール24の背面側に隣接し複数のフィンで構成された放熱部としてのヒートシンク26と、当該ヒートシンク26の背面側に隣接するよう併設しヒートシンク26に向かって空気を送風する冷却ファン28を内蔵したファンケース27と、で構成されている。
【0016】
集熱板21は、上面板3の上方に位置し対流熱を集熱する集熱面21aと、背面板5の背面側に位置し熱発電モジュール24等が取り付けられた取付面21bと、で構成されており、集熱面21aと取付面21bとが側面視で略L字形状となるように接続されている。
【0017】
取付面21bが背面板5の背面側に位置することで対流熱の影響を受け難いことから、ヒートシンク26側が加熱されることがないため、熱発電モジュール24での温度差を大きくして発電の効率を上げることができる。
【0018】
固定部材22は、集熱板21の集熱面21aに図示しないビスで取り付けられ上面板3と当接する当接部22aと、当接部22aから上面板3に形成された貫通穴3aを介して燃焼筒10の近傍まで下方に延伸された延伸部22bと、で構成されている。
【0019】
当接部22aがあることで集熱面21aと上面板3との間に隙間が形成され、燃焼筒10により発生する対流熱が集熱面21a全体に行き渡る。延伸部22bがあることで燃焼筒10により発生する輻射熱、及び対流熱を回収して集熱板21へ伝えることができる。また、延伸部22bがあることで、集熱板21を所定の設置場所に固定することができる。
【0020】
集熱板21の取付面21bと熱発電モジュール24との間には前銅板23が挟まれており、この前銅板23により集熱板21で集熱した熱を熱発電モジュール24の全体に拡散し、熱発電モジュール24の全体を均等に加熱することができる。
また、熱発電モジュール24とヒートシンク26との間には後銅板25が挟まれており、この後銅板25により熱発電モジュール24の熱を全体に拡散し、熱発電モジュール24の全体をヒートシンク26により均等に冷却することができる。
【0021】
よって、前銅板23、及び後銅板25により熱発電モジュール24の前後における温度差を大きくすることができるため、熱発電モジュール24で効率よく発電することができる。
【0022】
図1、3、4を参照する。30は内部にマイコンで構成された回路基板31を備えた回路基板ユニット30である。この回路基板ユニット30には、熱発電モジュール24で発電した電力を送電するリード線32と、当該リード線32で送電された電力を図示しない昇降圧回路により昇圧、あるいは降圧して所定の電圧値、及び電流値にし、冷却ファン28へ送電するリード線33と、が背面側に接続されている。
【0023】
また、回路基板ユニット30の前面側には、USB、あるいはコンセントプラグを差込可能な出力コネクタとしての端子34が形成されており、熱発電モジュール24で発生し送電された電力を図示しない昇降圧回路により所定の電圧値、及び電流値にして端子34へ送電する。
【0024】
これにより、熱発電モジュール24で発電した電力を冷却ファン28の駆動電力として使用し、冷却ファン28を駆動させることでヒートシンク26を冷却することができ、また、スマホ等の外部電子機器40に給電する充電器等のコネクタを端子34に差し込み、停電時に燃焼筒10による燃焼を実施することで、外部電子機器40への送電が可能となる。
【0025】
次に、発電ユニット20の着脱について詳述する。
図1、2、3を参照する。発電ユニット20を器具本体1に取り付けるときは、固定部材22の延伸部22bを上面板3の前方側に形成された所定の貫通穴3aに挿入し、集熱板21を器具本体1の上面板3に載置する。載置された集熱板21は、集熱面21aの後端、及び取付面21bの前面が器具本体1の上面板3、及び背面板5にそれぞれ当接し、所定場所への設置固定が完了する。
【0026】
また、発電ユニット20を器具本体1から取り外すときは、集熱板21を持ち上げて固定部材22の延伸部22bを上面板3の貫通穴3aから抜き出すことで完了する。
【0027】
このように、簡易な方法による発電ユニット20の着脱をユーザーが実施可能としたことから、通常時は発電ユニット20を取り外した状態で使用することで、燃焼筒10による輻射熱、及び対流熱が集熱板21に奪われないことから、暖房感の喪失を招くことがない。
また、災害発生等による停電時、発電ユニット20を器具本体1に取り付けて使用することで、器具本体1により暖を取ると共にスマホ等の外部電子機器40に送電することができる。
【0028】
次に、発電ユニット20の設置形態による発電効率について詳述する。
図1、2、3を参照する。集熱板21の集熱面21aと上面板3との間に固定部材22の当接部22aが位置することで、集熱板21と上面板3との間に所定距離の隙間が形成される。
【0029】
仮に、集熱板21の集熱面21aと上面板3との間に隙間が形成されなければ、燃焼筒10から上昇する対流熱が上面板3の貫通穴3aを通過することができないため、集熱面21aの一部しか加熱することができず、集熱面21aを高温に上昇させ難いことから、熱発電モジュール24による発電の効率が低くなる。
【0030】
対して、固定部材22の当接部22aにより集熱板21の集熱面21aと上面板3との間に隙間が形成されることで、燃焼筒10から上昇する対流熱が上面板3の貫通穴3aを通過し、集熱面21aの広範囲を加熱することが可能となるため、熱発電モジュール24による発電の効率を高めることができる。
【0031】
図2を参照する。固定部材22の延伸部22bは燃焼筒10の近傍まで延伸されるよう形成されている。
【0032】
仮に、固定部材22の延伸部22bが燃焼筒10の近傍まで延伸されていなければ、燃焼筒10から発生する輻射熱、及び対流熱を十分に集熱することができず、集熱板21を高温に上昇させ難いことから、熱発電モジュール24による発電の効率が低くなる。
【0033】
対して、固定部材22の延伸部22bが燃焼筒10の近傍まで延伸されていることで、燃焼筒10から発生する輻射熱、及び対流熱を十分に集熱することが可能となるため、熱発電モジュール24による発電の効率を高めることができる。
【0034】
次に、本発明の効果を説明する。
【0035】
発電ユニット20の集熱板21は、上面板3の上方に位置し燃焼筒10から発生する熱を集熱する集熱面21aと、背面板5の背面側に位置し熱発電モジュール24が取り付けられる取付面21bと、を有した略L字形状で構成されたので、停電時等にのみ集熱板21を器具本体1に取り付けることで熱発電モジュール24による発電を実施し、スマホ等の外部電子機器40への送電を行い、通常時は集熱板21を器具本体1から取り外すことで暖房感の喪失を防止することができるので、用途による使い分けを簡易に行うことができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0036】
また、固定部材22の当接部22aにより集熱板21と上面板3との間に隙間が形成されることで、燃焼筒10で発生した対流熱が上面板3と集熱板21との間を通過し、効率よく集熱板21を加熱して高温にすることができるため、熱発電モジュール24での発電効率を高めることができる。
【0037】
また、固定部材22は、延伸部22bが燃焼筒10の近傍まで延伸されているので、燃焼筒10で発生した輻射熱、及び対流熱を延伸部22bにより集熱し集熱板21へ伝熱することで、集熱板21を高温にすることができるため、熱発電モジュール24での発電効率を高めることができる。
【0038】
なお、本実施形態では燃焼筒10により灯油を燃焼させる石油ストーブに発電ユニット20を設置した内容で説明したが、ガス等の他の燃料を燃焼させる燃焼装置に発電ユニット20を設置する内容であってもよく、燃焼装置における燃焼部付近に固定部材22を接続した集熱板21を設置し、熱発電モジュール24で発電するものであれば本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0039】
1 器具本体
3 上面板
3a 貫通穴
5 背面板
10 燃焼筒
21 集熱板
21a 集熱面
21b 取付面
22 固定部材
22a 当接部
22b 延伸部
24 熱発電モジュール
26 ヒートシンク(放熱部)
28 冷却ファン
31 回路基板
34 端子
40 外部電子機器