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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128742
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】光学装置および携帯型情報端末
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220829BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220829BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220829BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220829BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220829BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/02 D
G02B7/04 E
G03B17/02
H04N5/232 480
H04N5/225 300
H04N5/225 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027125
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 龍功
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD03
2H044BE09
2H100EE06
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA02
5C122EA41
5C122FB03
5C122FB23
5C122GD09
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE20
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光学装置に対するコンタミネーションの進入を防止する。
【解決手段】カメラモジュール12を所定角度で回転させる光学装置10であって、カメラモジュール12を保持するホルダ枠体16と、ホルダ枠体16が収容されるケース枠体15と、ホルダ枠体16とケース枠体15とに取り付けられ、ケース枠体15に対してホルダ枠体16を回転自在に支持する支持機構70と、ケース枠体15に設けられる電磁コイル13,14、および電磁コイル13,14に対向してホルダ枠体16に設けられる永久磁石33,34を備える駆動機構80と、ケース枠体15に取り付けられ、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部95が形成されて且つ支持機構70を覆う防塵カバー19と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを所定角度で回転させる光学装置であって、
前記光学モジュールを保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、
前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構と、
前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構と、
前記ケース部材に取り付けられ、前記光学モジュールの先端部を突出させるカバー開口部が形成されて且つ前記支持機構を覆うカバー部材と、
を有する、光学装置。
【請求項2】
前記支持機構は、前記光学モジュールの先端部を突出させるジンバル開口部が形成される支持本体部と、前記支持本体部から延びて前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられる複数のアーム部と、からなるジンバルを備え、
前記カバー開口部は、前記ジンバル開口部よりも小さい、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記ケース部材と前記カバー部材との間に取り付けられ、前記ケース部材の内側に張り出すプレート部材を有する、
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記カバー開口部が形成されるカバー本体部と、前記カバー本体部と前記ケース部材との間に位置して前記ケース部材の内側に張り出すプレート部と、を備える、
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記カバー本体部と前記プレート部とが一体に形成される板金部材である、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の光学装置を有する携帯型情報端末。
【請求項7】
前記光学装置の前記カバー部材に対向する外装部材と、
前記カバー部材と前記外装部材との間に取り付けられるシール部材と、
を有する、
請求項6に記載の携帯型情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置およびこれを有する携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやウェアラブルカメラ等の機器には、カメラモジュール等の光学モジュールを備えた光学装置が設けられている。また、スマートフォン等に設けられる光学装置には、ジンバルやアクチュエータ等からなる手振れ補正機構が組み込まれている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第111416925号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第111510598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学装置に組み込まれる手振れ補正機構は、ジンバル等によって光学モジュールを回転させる構造を有している。このため、手振れ補正機構を適切に機能させるためには、光学装置に対するコンタミネーション(塵や埃等の異物)の進入を防止することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、光学装置に対するコンタミネーションの進入を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の光学装置は、光学モジュールを所定角度で回転させる光学装置であって、前記光学モジュールを保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構と、前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構と、前記ケース部材に取り付けられ、前記光学モジュールの先端部を突出させるカバー開口部が形成されて且つ前記支持機構を覆うカバー部材と、を有する。
【0007】
一実施形態の携帯型情報端末は、前記光学装置を有する。
【発明の効果】
【0008】
光学装置は、光学モジュールの先端部を突出させるカバー開口部が形成されて且つ支持機構を覆うカバー部材を有する。これにより、光学装置に対するコンタミネーションの進入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態である光学装置を示す斜視図である。
図2】光学装置を示す分解斜視図である。
図3】(A)はホルダ枠体およびカメラモジュールによって構成されるホルダ組立体を示す斜視図であり、(B)はホルダ組立体を示す分解斜視図である。
図4】(A)はケース枠体および電磁コイルによって構成されるケース組立体を示す斜視図であり、(B)はケース組立体を示す分解斜視図である。
図5】ストッパプレートおよび防塵カバーを取り外した状態で光学装置の一部を示す平面図である。
図6】ホルダ組立体およびこれに取り付けられるジンバルを示す斜視図である。
図7】永久磁石および電磁コイルの位置関係を示す図である。
図8】(A)および(B)は、図1のX1-X1線に沿って光学装置を示す断面図である。
図9】防塵カバーを切り欠いた状態で光学装置の一部を示す平面図である。
図10】本発明の一実施の形態である携帯型情報端末を示す斜視図である。
図11図10のX2-X2線に沿って携帯型情報端末の一部を示す断面図である。
図12図11に示した光学装置の取付構造を示す分解斜視図である。
図13】本発明の他の実施形態である光学装置を示す分解斜視図である。
図14】(A)は光学装置に設けられた複合カバーを表側から示す斜視図であり、(B)は光学装置に設けられた複合カバーを裏側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0011】
[光学装置の全体構成]
図1は本発明の一実施の形態である光学装置10を示す斜視図である。図1に示すように、光学装置10は、レンズ11や撮像素子等からなるカメラモジュール12を有している。この光学装置10には後述する手振れ補正機構60が設けられており、矢印αで示すように、カメラモジュール12を、あらゆる方向に向けて傾動つまり所定角度で回転させることができる。また、図示する光学装置10は、スマートフォン、タブレット型PC或いはノート型PC等の携帯型情報端末に搭載される装置である。
【0012】
なお、図1において、Z軸方向はカメラモジュール12の光軸方向を示し、X軸方向はヨーイングの回転軸方向を示し、Y軸方向はピッチングの回転軸方向を示している。また、各軸X,Y,Zが交差する点C1は、後述するホルダ枠体16の回転中心を意味している。作図の都合上、図1において、各軸X,Y,Zはホルダ枠体16の回転中心から離れた位置に示されている。
【0013】
図2は光学装置10を示す分解斜視図である。図2に示すように、光学装置10は、電磁コイル13,14を備えたケース枠体(ケース部材)15と、ケース枠体15に収容されるホルダ枠体(ホルダ部材)16と、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール(光学モジュール)12と、を有している。また、ケース枠体15とホルダ枠体16とはジンバル17を介して連結されており、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。さらに、ケース枠体15の一端面15aにはストッパプレート(プレート部材)18および防塵カバー(カバー部材)19が取り付けられており、ケース枠体15の他端面15bにはボトムカバー20が取り付けられている。
【0014】
[ホルダ組立体]
図3(A)はホルダ枠体16およびカメラモジュール12によって構成されるホルダ組立体30を示す斜視図であり、図3(B)はホルダ組立体30を示す分解斜視図である。図3(B)に示すように、矩形枠形状に形成されるホルダ枠体16は、互いに対向する一対のホルダ壁31a,31bと、互いに対向する一対のホルダ壁31c,31dと、を有している。また、ホルダ壁31aには磁石取付溝32aが形成されており、ホルダ壁31cには磁石取付溝32bが形成されている。さらに、磁石取付溝32aにはヨーク33aを備えた永久磁石33が取り付けられており、磁石取付溝32bにはヨーク34aを備えた永久磁石34が取り付けられている。なお、永久磁石33,34は、後述する電磁コイル13,14等と共に、手振れ補正機構60の一部である駆動機構80を構成する。
【0015】
また、ホルダ壁31a,31cを互いに連結する角部35には軸受取付溝35aが形成されており、ホルダ壁31b,31dを互いに連結する角部36には軸受取付溝36aが形成されている。さらに、軸受取付溝35aにはホルダ軸受37が取り付けられており、軸受取付溝36aにはホルダ軸受38が取り付けられている。また、ホルダ軸受37,38は、板金製の軸受本体部37a,38aと、この軸受本体部37a,38aに溶接等で固定されるボール37b,38bと、を有している。このように、矩形枠形状のホルダ枠体16には、ホルダ軸受37,38が対角線上に配置されている。なお、ホルダ軸受37,38は、前述したジンバル17や後述するケース軸受52,53等と共に、手振れ補正機構60の一部である支持機構70を構成する。
【0016】
図3(A)および(B)に示すように、ホルダ枠体16の内側にはカメラモジュール12のハウジング40が嵌合しており、ホルダ枠体16によってカメラモジュール12が保持されている。カメラモジュール12は、レンズ11や図示しないオートフォーカス機構等が収容されるハウジング40と、ハウジング40の下部に設けられる電子回路基板41と、電子回路基板41に接続されるフレキシブルケーブル42と、を有している。また、フレキシブルケーブル42は、複数回に渡って折り曲げられた形状を有している。これにより、カメラモジュール12が回転してフレキシブルケーブル42に負荷が作用した場合であっても、フレキシブルケーブル42を容易に変形させてカメラモジュール12の回転運動に追従させることができる。なお、カメラモジュール12の電子回路基板41には、図示しないCCD等の撮像素子が搭載される。
【0017】
[ケース組立体]
図4(A)はケース枠体15および電磁コイル13,14によって構成されるケース組立体43を示す斜視図であり、図4(B)はケース組立体43を示す分解斜視図である。図4(B)に示すように、矩形枠形状に形成されるケース枠体15は、互いに対向する一対のケース壁44a,44bと、互いに対向する一対のケース壁44c,44dと、ケース壁44bから外側に延びるケーブル収容部45と、を有している。ケース壁44aにはコイル収容穴46aが形成されており、ケース壁44cにはコイル収容穴46bが形成されている。また、コイル収容穴46aには電磁コイル(コイル)13が収容されており、コイル収容穴46bには電磁コイル(コイル)14が収容されている。また、電磁コイル13,14は略L字状に折り曲げられた配線基板47に設けられており、配線基板47にはホルダ枠体16の回転位置を検出する磁気センサ48,49が取り付けられている。なお、電磁コイル13,14は、前述した永久磁石33,34等と共に、手振れ補正機構60の一部である駆動機構80を構成する。また、図示する例では、コイルとして電線を巻いた空芯コイルを用いているが、これに限られることはない。例えば、他の実施の形態として、導線がプリントされたプリント基板からなる基板コイルなど、他の種類のコイルを用いても良い。
【0018】
また、ケース壁44a,44dを互いに連結する角部50には軸受取付溝50aが形成されており、ケース壁44b,44cを互いに連結する角部51には軸受取付溝51aが形成されている。さらに、軸受取付溝36aにはケース軸受52が取り付けられており、軸受取付溝51aにはケース軸受53が取り付けられている。また、ケース軸受52,53は、板金製の軸受本体部52a,53aと、この軸受本体部52a,53aに溶接等で固定されるボール52b,53bと、を有している。このように、矩形枠形状のケース枠体15には、ケース軸受52,53が対角線上に配置されている。なお、ケース軸受52,53は、前述したジンバル17やホルダ軸受37,38等と共に、手振れ補正機構60の一部である支持機構70を構成する。
【0019】
[手振れ補正機構(支持機構および駆動機構)]
<支持機構>
続いて、手振れ補正機構60の一部を構成する支持機構70について説明する。図3に示すように、矩形枠形状のホルダ枠体16には、ホルダ軸受37,38が対角線上に配置されている。また、図4に示すように、矩形枠形状のケース枠体15には、ケース軸受52,53が対角線上に配置されている。さらに、図2に示すように、ケース枠体15とホルダ枠体16とを連結するジンバル17は、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部(ジンバル開口部)72を備えた環状本体部(支持本体部)71と、環状本体部71からホルダ軸受37,38やケース軸受52,53に向けて延びる複数のアーム部73~76と、を有している。また、ジンバル17の各アーム部73~76には、各軸受37,38,52,53のボール37b,38b,52b,53bに係合する凹部73a~76aが形成されている。
【0020】
図2に示すように、ジンバル17のアーム部73,74はホルダ枠体16のホルダ軸受37,38に取り付けられ、アーム部73,74の凹部73a,74aはホルダ軸受37,38のボール37b,38bに回転自在に係合する。また、ジンバル17のアーム部75,76はケース枠体15のケース軸受52,53に取り付けられ、アーム部75,76の凹部75a,76aはケース軸受52,53のボール52b,53bに回転自在に係合する。このように、ケース枠体15およびホルダ枠体16にはジンバル17が取り付けられており、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。
【0021】
ここで、図5はストッパプレート18および防塵カバー19を取り外した状態で光学装置10の一部を示す平面図である。また、図6はホルダ組立体30およびこれに取り付けられるジンバル17を示す斜視図である。図5および図6に示すように、カメラモジュール12を保持するホルダ枠体16は、スマートフォン等に固定されるケース枠体15に対し、回転軸A1を中心軸として回転自在に支持されるとともに、回転軸A2を中心軸として回転自在に支持される。すなわち、ケース枠体15とホルダ枠体16とを自由度2のジンバル17を介して連結することにより、ホルダ枠体16およびこれに保持されるカメラモジュール12を、ケース枠体15に対してあらゆる方向に向けて回転させることができる(矢印α)。つまり、回転軸A1,A2の交点を回転中心C1として、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。
【0022】
なお、回転軸A1は、ホルダ軸受37,38のボール37b,38bとジンバル17のアーム部73,74の凹部73a,74aとの接触点を結ぶ回転軸であり、回転軸A2は、ケース軸受52,53のボール52b,53bとジンバル17のアーム部75,76の凹部75a,76aとの接触点を結ぶ回転軸である。また、回転軸A1,A2の交点である回転中心C1には、カメラモジュール12の光軸Oaが交差している。つまり、回転軸A1,A2および光軸Oaの交点を回転中心C1として、ホルダ枠体16はケース枠体15に対して回転自在となっている。
【0023】
<駆動機構>
続いて、手振れ補正機構60の一部を構成する駆動機構80について説明する。まず、図6に示すように、永久磁石33,34には、永久磁石33,34の短手方向の一方側と他方側とにおいて、互いに異なる磁極が表面に現れるように着磁されている。例えば、永久磁石33,34の上部表面がN極に着磁されている場合には、永久磁石33,34の下部表面がS極に着磁されている。なお、図6に示す破線は、永久磁石33,34の着磁領域の境界を示す仮想線である。
【0024】
図7は永久磁石33,34および電磁コイル13,14の位置関係を示す図である。図7に示すように、ケース枠体15の電磁コイル13には、ホルダ枠体16の永久磁石33が対向しており、ケース枠体15の電磁コイル14には、ホルダ枠体16の永久磁石34が対向している。このように、駆動機構80を構成する電磁コイル13,14と永久磁石33,34とは互いに対向するため、電磁コイル13,14の通電状態を制御することにより、ホルダ枠体16の回転位置を制御することができる。
【0025】
つまり、電磁コイル13の通電方向を切り替えることにより、永久磁石33に作用する推力の方向(F1a,F1b)を切り替えることができ、電磁コイル14の通電方向を切り替えることにより、永久磁石34に作用する推力の方向(F2a,F2b)を切り替えることができる。さらに、電磁コイル13の通電電流を制御することにより、永久磁石33に作用する推力F1a(またはF1b)の大きさを制御することができ、電磁コイル14の通電電流を制御することにより、永久磁石34に作用する推力F2a(またはF2b)の大きさを制御することができる。
【0026】
このように、ホルダ枠体16の永久磁石33,34に作用する推力の向きや大きさを制御することにより、ホルダ枠体16を回転軸A1,A2を中心に回転させることができる。このため、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール12を、あらゆる方向に向けて傾動つまり所定角度で回転させることができる。つまり、換言すれば、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール12を、ヨーイングの回転軸であるX軸を中心に回転させることができ、ピッチングの回転軸であるY軸を中心に回転させることができる。なお、電磁コイル13,14の通電制御は、例えば、ジャイロセンサの検出信号に基づき実行することが可能である。つまり、電磁コイル13,14の通電制御を実行する図示しないコントローラは、回転制御の一例として、ジャイロセンサによって光学装置10つまりケース枠体15の姿勢変化を検出し、この姿勢変化を打ち消すようにケース枠体15に対してホルダ枠体16を回転させることが可能である。
【0027】
また、ホルダ枠体16の回転角(以下、チルト角と記載する。)の機械的上限は、ケース枠体15のストッパ15sによって定められている。ここで、図8(A)および(B)は図1のX1-X1線に沿って光学装置10を示す断面図である。図8(A)には、ホルダ枠体16が矢印D1方向に回転した状態が示されており、図8(B)には、ホルダ枠体16が矢印D2方向に回転した状態が示されている。図8(A)に示すように、ホルダ枠体16が矢印D1方向に大きく回転した場合には、ホルダ壁31cの下端がケース枠体15のストッパ15sに接触し、ホルダ枠体16の更なる回転が制限される。また、図8(B)に示すように、ホルダ枠体16が矢印D2方向に大きく回転した場合には、ホルダ壁31dの下端がケース枠体15のストッパ15sに接触し、ホルダ枠体16の更なる回転が制限される。なお、電磁コイル13,14の通電制御によるホルダ枠体16の回転範囲は、ホルダ枠体16がストッパ15sに接触しない範囲に設定されている。
【0028】
[防塵カバーおよびストッパプレート]
続いて、ケース枠体15に取り付けられるストッパプレート18および防塵カバー19について説明する。まず、図2に示したように、ケース枠体15の一端面15aには、ストッパプレート18および防塵カバー19が取り付けられている。つまり、ケース枠体15の一端面15aには、ストッパプレート(プレート部材)18を介して防塵カバー(カバー部材)19が取り付けられている。ストッパプレート18は、ジンバル17の環状本体部71を突出させる開口部90が形成されたプレート本体91を有している。このプレート本体91は、ケース枠体15に組み付けられるクリップ92を備えた枠状の取付板93と、取付板93から内側つまり中央に向けて張り出すストッパ片94と、を有している。また、防塵カバー19は、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部(カバー開口部)95が形成されたカバー本体96と、カバー本体96から外側に拡がってストッパプレート18に接するフランジ97と、を有している。なお、図示する防塵カバー19は溶接や接着等を用いてストッパプレート18に取り付けられているが、これに限られることはなく、締結具やクリップ等を用いて防塵カバー19をストッパプレート18やケース枠体15に取り付けても良い。また、クリップ92は、スナップフィットと言われることもある。
【0029】
ここで、図9は防塵カバー19を切り欠いた状態で光学装置10の一部を示す平面図である。図9に示すように、防塵カバー19に設けられる開口部95は、ジンバル17に設けられる開口部72よりも小さく形成されている。つまり、防塵カバー19に形成される開口部95の開口面積は、ジンバル17に形成される開口部72の開口面積よりも小さくなっている。このような防塵カバー19をケース枠体15に対して取り付けることにより、防塵カバー19によって支持機構70つまりジンバル17を覆うことができる。このように、支持機構70を防塵カバー19によって覆うことにより、支持機構70に対するコンタミネーション(塵や埃等の異物)の進入を防止することができる。これにより、支持機構70を正常に機能させることができるため、手振れ補正機構60を備えた光学装置10の信頼性を高めることができる。また、揺れ動くジンバル17の一部または全部を防塵カバー19によって覆い隠すことができるため、光学装置10の見栄えを向上させることができる。しかも、防塵カバー19に設けられる開口部95は、回転するカメラモジュール12の先端部12aの移動範囲Mよりも大きく形成されている。これにより、カメラモジュール12が防塵カバー19に接触することがなく、カメラモジュール12を適切に回転させることができる。
【0030】
また、図9に示すように、ストッパプレート18の内側の縁に設けられるストッパ片94は、ケース枠体15の内壁面15cよりも内側に張り出している。つまり、ケース枠体15と防塵カバー19との間に設けられるストッパプレート18においては、ストッパ片94がケース枠体15の内側に張り出している。換言すれば、ストッパプレート18のストッパ片94は、ホルダ枠体16の端面16aに対向する位置まで張り出している。このようなストッパプレート18を設けることにより、万が一、光学装置10に対して落下等の強い衝撃が入力された場合であっても、ホルダ枠体16の移動をストッパ片94によって止めることができ、光学装置10におけるホルダ組立体30の脱落を防止することができる。
【0031】
また、ストッパプレート18によってホルダ組立体30の脱落が防止されるため、ホルダ組立体30が脱落してケース枠体15と防塵カバー19との間に挟まることを防止することができる。なお、前述の説明では、ホルダ枠体16をケース枠体15のストッパ15sに接触させることにより、カメラモジュール12を保持するホルダ枠体16のチルト角を制限しているが、これに限られることはない。例えば、ホルダ枠体16をストッパプレート18に接触させることにより、ホルダ枠体16のチルト角を制限しても良い。
【0032】
[携帯型情報端末]
図10は本発明の一実施の形態である携帯型情報端末100を示す斜視図である。図10に示すように、スマートフォンである携帯型情報端末100には、前述した光学装置10が設けられている。これまで説明したように、光学装置10には手振れ補正機構60が組み込まれており、携帯型情報端末100を用いて動画や静止画を撮像する際には、カメラモジュール12を回転させて鮮明な動画や静止画を得ることができる。なお、携帯型情報端末100としては、図示するスマートフォンに限られることはなく、タブレット型PCやノート型PC等であっても良い。
【0033】
図11図10のX2-X2線に沿って携帯型情報端末100の一部を示す断面図である。また、図12図11に示した光学装置10の取付構造を示す分解斜視図である。なお、図11において、カメラモジュール12の内部構造については省略して図示している。図11および図12に示すように、携帯型情報端末100には、ガラスや合成樹脂等からなる外装部材101が設けられている。また、携帯型情報端末100に設けられる光学装置10は、外装部材101の内面102に対してカメラモジュール12のレンズ11が対向する位置に取り付けられている。また、外装部材101と光学装置10との間には、略四角形の枠状に形成されたポリウレタン等からなるシール部材103が設けられている。つまり、携帯型情報端末100には光学装置10の防塵カバー19に対向する外装部材101が設けられており、防塵カバー19と外装部材101との間にはシール部材103が設けられている。
【0034】
このように、防塵カバー19と外装部材101との間にシール部材103を設けることにより、防塵カバー19と外装部材101との間を密閉することができるため、防塵カバー19の密閉機能を高めることができる。つまり、防塵カバー19にはカメラモジュール12を突出させる開口部95が形成されているが、この開口部95の周囲をシール部材103によって囲むことができるため、携帯型情報端末100の内部において光学装置10内に向かうコンタミネーションを遮断することができる。これにより、光学装置10に対するコンタミネーションの進入を防止することができ、手振れ補正機構60を備えた光学装置10の信頼性を高めることができる。なお、シール部材103の素材としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ウレタンフォーム等のポリウレタンに限られることはなく、他の素材を用いてシール部材103を形成しても良い。シール部材103の素材としては、柔軟なクッション性を有する素材が好ましい。また、シール部材103の形状としては、図示する矩形枠状に限られることはなく、例えば、円環状に形成されたシール部材を用いても良い。
【0035】
[防塵カバーの他実施形態]
前述の図2に示した例では、防塵カバー19とストッパプレート18とを別個に設けているが、これに限られることはなく、防塵カバー19とストッパプレート18とを一体に形成しても良い。ここで、図13は本発明の他の実施形態である光学装置110を示す分解斜視図である。また、図14(A)は光学装置110に設けられた複合カバー111を表側から示す斜視図であり、図14(B)は光学装置110に設けられた複合カバー111を裏側から示す斜視図である。
【0036】
図13に示すように、光学装置110は、ケース枠体15の一端面15aに取り付けられ、支持機構70を覆う複合カバー(カバー部材)111を有している。図14(A)および(B)に示すように、複合カバー111は、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部(カバー開口部)112が形成された防塵カバー部(カバー本体部)113と、環状本体部71を突出させる開口部114が形成されたストッパプレート部(プレート部)115と、を有している。図示する複合カバー111はプレス加工によって防塵カバー部113とストッパプレート部115とが一体に形成される板金部材であり、防塵カバー部113とストッパプレート部115とは折り返し部116を介して互いに連結されている。
【0037】
複合カバー111のストッパプレート部115は、開口部114が形成されたプレート本体117を有している。このプレート本体117は、ケース枠体15に組み付けられるクリップ118を備えた枠状の取付板119と、取付板119から内側つまり中央に向けて張り出すストッパ片120と、を有している。また、複合カバー111の防塵カバー部113は、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部112が形成されたカバー本体121と、カバー本体121から外側に拡がってストッパプレート部115に接するフランジ122と、を有している。なお、クリップ118は、スナップフィットと言われることもある。
【0038】
前述した防塵カバー19と同様に、複合カバー111の防塵カバー部113に設けられる開口部112は、ジンバル17に設けられる開口部72よりも小さく形成されている。つまり、防塵カバー部113に形成される開口部112の開口面積は、ジンバル17に形成される開口部72の開口面積よりも小さくなっている。このような複合カバー111をケース枠体15に取り付けることにより、複合カバー111によって支持機構70つまりジンバル17を覆うことができる。このように、支持機構70を複合カバー111によって覆うことにより、支持機構70に対するコンタミネーションの進入を防止することができる。これにより、支持機構70を正常に機能させることができるため、手振れ補正機構60を備えた光学装置110の信頼性を高めることができる。また、揺れ動くジンバル17の一部または全部を複合カバー111によって覆い隠すことができるため、光学装置110の見栄えを向上させることができる。しかも、前述した防塵カバー19と同様に、複合カバー111に設けられる開口部112は、回転するカメラモジュール12の先端部12aの移動範囲Mよりも大きく形成されている。これにより、カメラモジュール12が複合カバー111に接触することがなく、カメラモジュール12を適切に回転させることができる。
【0039】
また、前述したストッパプレート18と同様に、複合カバー111を構成するストッパプレート部115の内側の縁に設けられるストッパ片120は、ケース枠体15の内壁面15cよりも内側に張り出している。つまり、ケース枠体15と防塵カバー部113との間に位置するストッパプレート部115においては、ストッパ片120がケース枠体15の内側に張り出している。換言すれば、ストッパプレート部115のストッパ片120は、ホルダ枠体16の端面16aに対向する位置まで張り出している。このようなストッパプレート部115を備えた複合カバー111を設けることにより、万が一、光学装置110に対して落下等の強い衝撃が入力された場合であっても、ホルダ枠体16の移動をストッパ片120によって止めることができ、光学装置110におけるホルダ組立体30の脱落を防止することができる。
【0040】
また、ストッパプレート部115によってホルダ組立体30の脱落が防止されるため、ホルダ組立体30が脱落してケース枠体15と防塵カバー19との間に挟まることを防止することができる。なお、前述の説明では、ホルダ枠体16をケース枠体15のストッパ15sに接触させることにより、カメラモジュール12を保持するホルダ枠体16のチルト角を制限しているが、これに限られることはない。例えば、ホルダ枠体16をストッパプレート部115に接触させることにより、ホルダ枠体16のチルト角を制限しても良い。
【0041】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、カメラモジュール12は、ヨーイング方向又はピッチング方向の何れかの方向にのみ回転自在に支持されていても良い。また、カメラモジュール12は、ヨーイング方向、ピッチング方向および第3の方向(例えば、ローリング方向)に回転自在に支持されていても良い。また、光学モジュールとしてカメラモジュール12を例示しているが、これに限られることはない。また、スマートフォン等の携帯型情報端末100に光学装置10,110を組み込むことが可能であるが、これに限られることはなく、ウェアラブルカメラ等に光学装置10,110を組み込んでも良い。また、図2に示した例では、光学装置10にストッパプレート18を設けているが、これに限られることはなく、光学装置10からストッパプレート18を削減しても良い。
【符号の説明】
【0042】
10…光学装置、11…レンズ、12…カメラモジュール(光学モジュール)、13,14…電磁コイル(コイル)、15…ケース枠体(ケース部材)、15a…一端面、15b…他端面、15c…内壁面、15s…ストッパ、16…ホルダ枠体(ホルダ部材)、16a…端面、17…ジンバル、18…ストッパプレート(プレート部材)、19…防塵カバー(カバー部材)、20…ボトムカバー、30…ホルダ組立体、31a~31d…ホルダ壁、32a,32b…磁石取付溝、33,34…永久磁石、33a,34a…ヨーク、35,36…角部、35a,36a…軸受取付溝、37,38…ホルダ軸受、37a,38a…軸受本体部、37b,38b…ボール、40…ハウジング、41…電子回路基板、42…フレキシブルケーブル、43…ケース組立体、44a~44d…ケース壁、45…ケーブル収容部、46a,46b…コイル収容穴、47…配線基板、48,49…磁気センサ、50,51…角部、50a,51a…軸受取付溝、52,53…ケース軸受、52a,53a…軸受本体部、52b,53b…ボール、60…手振れ補正機構、70…支持機構、71…環状本体部(支持本体部)、72…開口部(ジンバル開口部)、73~76…アーム部、73a~76a…凹部、80…駆動機構、90…開口部、91…プレート本体、92…クリップ、93…取付板、94…ストッパ片、95…開口部(カバー開口部)、96…カバー本体、97…フランジ、100…携帯型情報端末、101…外装部材、102…内面、103…シール部材、110…光学装置、111…複合カバー(カバー部材,板金部材)、112…開口部(カバー開口部)、113…防塵カバー部(カバー本体部)、114…開口部、115…ストッパプレート部(プレート部)、116…折り返し部、117…プレート本体、118…クリップ、119…取付板、120…ストッパ片、121…カバー本体、122…フランジ、A1,A2…回転軸、Oa…光軸、C1…回転中心、M…移動範囲
図1
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図10
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