(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128747
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】炭酸飲料用容器内ガス置換方法及び炭酸飲料充填容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 31/04 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
B65B31/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027136
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】川村 康晴
(72)【発明者】
【氏名】立道 敦也
(72)【発明者】
【氏名】中川 樹里
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA04
3E053BA02
3E053DA04
3E053DA10
3E053FA06
3E053FA07
3E053GA20
3E053JA10
(57)【要約】
【課題】ガス供給系や液体窒素供給系等を用いずに、簡便な機構によりガス置換でき、コスト低減を図ることができる炭酸飲料用容器内ガス置換方法及び炭酸飲料充填容器の製造方法を提供する。
【解決手段】炭酸飲料を充填した容器の上部空間内の残存空気を二酸化炭素で置換する炭酸飲料用容器のガス置換方法であって、炭酸飲料が充填された密封前の容器に超音波を付与するなどによって振動させることにより、容器内の炭酸飲料を発泡させて上部空間内を二酸化炭素で充満させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸飲料を充填した容器の上部空間内の残存空気を二酸化炭素で置換する炭酸飲料用容器のガス置換方法であって、
炭酸飲料が充填された密封前の容器を振動させることにより、前記容器内の炭酸飲料を発泡させて前記上部空間内の二酸化炭素量を増加させることを特徴とする炭酸飲料用容器内ガス置換方法。
【請求項2】
前記上部空間内を前記二酸化炭素で充満させることを特徴とする請求項1に記載の炭酸飲料用容器内ガス置換方法。
【請求項3】
前記容器に超音波を付与することで前記容器を振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸飲料用容器内ガス置換方法。
【請求項4】
上方を開放した容器内に炭酸飲料を充填した後、前記容器を振動させることにより、前記容器内の炭酸飲料を発泡させて前記容器の上部空間内の二酸化炭素量を増加させた後、前記容器を密封することを特徴とする炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項5】
前記上部空間内を前記二酸化炭素で充満させた後、前記容器を密封することを特徴とする請求項4に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項6】
前記発泡により生じた泡を前記容器の開口部からあふれ出させた後、前記容器を密封することを特徴とする請求項5に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項7】
前記炭酸飲料を充填した後、前記容器の開口部に封止具を配置した状態として前記容器を振動させることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項8】
超音波を付与することで前記容器を振動させることを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項9】
前記容器は有底筒状の缶胴であり、前記封止具は、前記缶胴に巻き締められる缶蓋であることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【請求項10】
前記容器は有底筒状に形成され、口部の外周部にねじ部を有するボトル缶であり、前記封止具は前記ボトル缶のねじ部に螺着されるキャップであることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の炭酸飲料充填容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶等の容器に炭酸飲料を充填する際に容器開口部における空隙部の酸素を二酸化炭素に置換するガス置換方法及び炭酸飲料充填容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料を缶等の容器に充填する際に、容器の開口部における空隙部に酸素が入り込むと、腐食や風味の劣化などの原因となるため、空気が残存しないように、キャップや蓋で密封する前に、残存空気を窒素や二酸化炭素に置換することが行われる。
例えば、特許文献1に記載のガス置換方法は、飲料を充填した缶に蓋を巻き締める前であって、缶を搬送している途中で蓋を被せる直前に蓋と缶開口部との間に水平方向から置換ガスを吹き込んで置換している。置換ガスとしては、窒素、二酸化炭素が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような置換方法の場合、充填設備の中に置換ガスのためのガス供給系を設けておく必要がある。また、ガス置換方法として、置換ガスを吹き込む以外に、液体窒素を滴下する方法もあるが、ガス供給系と同様の液体窒素供給系が必要になるとともに、飲料がビール等の炭酸飲料の場合、液体窒素が飲料に溶け込むおそれがあるため、使用できない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ガス供給系や液体窒素供給系等を用いずに、簡便な機構によりガス置換でき、コスト低減を図ることができる炭酸飲料用容器内ガス置換方法及び炭酸飲料充填容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炭酸飲料用容器内ガス置換方法は、炭酸飲料を充填した容器の上部空間内の残存空気を二酸化炭素で置換する炭酸飲料用容器のガス置換方法であって、炭酸飲料が充填された密封前の容器を振動させることにより、前記容器内の炭酸飲料を発泡させて前記上部空間内の二酸化炭素量を増加させる。
【0007】
炭酸飲料に溶け込んでいる二酸化炭素を振動によって発泡させるという簡便な方法であり、従来技術のようなガス供給系や液体窒素供給系が必要なく、設備も簡略化して、コスト低減を図ることができる。
この場合、容器の上部空間内に二酸化炭素が充満するまで炭酸飲料を発泡させるとなおよい。
【0008】
この炭酸飲料用容器内ガス置換方法において、前記容器に超音波を付与することで前記容器を振動させるとよい。
【0009】
また、本発明の炭酸飲料充填容器の製造方法は、上方を開放した容器内に炭酸飲料を充填した後、前記容器を振動させることにより、前記容器内の炭酸飲料を発泡させることで、二酸化炭素を発生させて前記容器の上部空間の二酸化炭素量を増加させた後、前記容器を密封する。
【0010】
この炭酸飲料充填容器の製造方法において、前記上部空間内を前記二酸化炭素で充満させた後、前記容器を密封するとよい。
また、前記発泡で生じた泡を前記容器の開口部からあふれ出させた後、前記容器を密封するとよい。泡があふれ出ることにより、確実に残存空気を追い出すことができる。
【0011】
この炭酸飲料充填容器の製造方法において、前記炭酸飲料を充填した後、前記容器の開口部に封止具を配置した状態として前記容器を振動させるとよい。封止具を配置せずに泡立たせた場合には、封止具を配置するまでの間に空気が侵入するおそれがあるが、封止具を配置した状態で泡立たせることにより、確実に空気を二酸化炭素リッチのガスに置換することができる。
【0012】
この炭酸飲料充填容器の製造方法において、超音波を付与することで前記容器を振動させるとよい。
【0013】
この炭酸飲料充填容器の製造方法において、前記容器は有底筒状の缶胴であり、前記封止具は、前記缶胴に巻き締められる缶蓋である。又は、前記容器は有底筒状に形成され、口部の外周部にねじ部を有するボトル缶であり、前記封止具は前記ボトル缶のねじ部に螺着されるキャップである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス供給系や液体窒素供給系等を用いずに、簡便な機構によりガス置換でき、設備が簡略になって、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の製造方法で製造された炭酸飲料充填容器の缶軸Cを中心に半分を縦断面とした正面図である。
【
図2】第1実施形態で用いられる製造装置のレイアウトを示す模式図である。
【
図3】
図2の製造装置における巻き締め部分の模式図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の製造方法で製造された炭酸飲料充填容器の缶軸Cを中心に半分を縦断面とした正面図である。
【
図5】第2実施形態で用いられる製造装置のレイアウトを示す模式図である。
【
図6】
図5の製造装置におけるキャッピング部分の模式図である。
【
図7】実施例で測定したヘッドスペースの残存空気量及び飲料中のガスボリュームについて、超音波振動時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る炭酸飲料用容器内ガス置換方法及び炭酸飲料充填容器の製造方法の実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
(第1実施形態)
第1実施形態の製造方法によって製造される炭酸飲料充填容器1は、有底筒状の缶胴2と缶蓋(本発明の封止具)3とからなる、いわゆる2ピース缶に炭酸飲料を充填したものである。この場合、缶胴2内の炭酸飲料4は、満杯状態ではなく、その液面と缶蓋3の底面との間に所定量の空間(ヘッドスペースと称す)5が設けられている。炭酸飲料4としては、ビール、炭酸入り焼酎(いわゆる酎ハイ)、ハイボール、コーラ系飲料、炭酸入りソフトドリンク、炭酸水等が挙げられる。
缶胴2は、円筒状の胴部2aの開口端にフランジ部2bが一体に形成されており、そのフランジ部2bに被せた缶蓋3の外周部のカール部3aがフランジ部2bと一緒に巻き締められることにより、内部が密閉される。
【0018】
この炭酸飲料4を缶胴2内に充填して炭酸飲料充填容器1を製造する装置10は、図に示すように、缶胴2を1個ずつ搬送する水平な搬入路11と、その搬入路11の終端に接続され、缶胴2に缶蓋3を巻き締める巻き締め装置12と、巻き締め後の容器1を次のステーションに搬送する搬出路13と、を備えている。
【0019】
搬入路11は、例えば、一対のガイドレール21の間に配置した缶胴2を爪22で押しながら搬送する構成であり、搬入路11の手前に缶胴2内に炭酸飲料4を充填する充填装置14が設けられる。
【0020】
巻き締め装置12は、缶蓋供給用ターレット31と、巻き締め用ターレット32とを有している。缶蓋供給用ターレット31は、その外周部に缶蓋3を保持するための凹部33が周方向に間隔をおいて複数形成されており、一方、巻き締め用ターレット32も、その外周部に缶胴2を保持するための凹部(ポケット)34が周方向に間隔をおいて複数形成されている。
【0021】
そして、搬入路11の終端に、両ターレット31,32が搬入方向と直交する方向に並べられている。これら両ターレット31,32は、それぞれ矢印で示すように相互に逆方向に回転させられるとともに、これらターレット31,32を回転させたときに相互の凹部33,34が対向するように配置されており、その凹部33,34の対向位置を搬入路11の先端方向に配置し、搬入路11から送られてくる缶胴2を凹部33,34の間に保持できるようになっている。
【0022】
缶蓋供給用ターレット31は、図の二点鎖線で示す位置に積み重ね状態に保持した缶蓋3を下から一枚ずつ受け取って矢印で示す方向に移送する。一方、巻き締め用ターレット32は、搬入路11から搬入される缶胴2を凹部34に受け取りながら、両ターレット31,32の凹部33,34が対向する位置で缶胴2に缶蓋3を被せた後、矢印で示すように缶胴2と缶蓋3とを一体で移送し、その間に缶蓋3を缶胴2に巻き締める。
符号35は巻き締め用ターレット32に接続状態の搬出用ターレットであり、巻き締め後の容器1を凹部36内に受け取って次のステーションに搬送する。
【0023】
また、巻き締め用ターレット32の各凹部34には、缶胴2を受けるリフタープレート41がそれぞれ設けられている。そして、搬入路11から搬入された缶胴2は、リフタープレート41上に載置されるとともに、缶蓋3が被せられ、巻き締め用ターレット32により一体に移送される。
このリフタープレート41に超音波発振器42が接続され、リフタープレート41に超音波を印加できるようになっている。具体的には、リフタープレート41の裏面に超音波発振器42の振動子43が当接している。したがって、リフタープレート41に載置した缶胴2の底部2cをリフタープレート41を介して超音波により振動させることができる。
【0024】
なお、缶胴2に缶蓋3を巻き締める巻き締めユニット44は、リフタープレート41の真上に缶蓋3の内側を保持するチャック45と、缶蓋3のカール部3aを半径方向外側から押圧して、缶胴2のフランジ部2bとともに巻き込む複数のシーミングロール46,47とを備えており、缶胴2に缶蓋3を被せた状態でリフタープレート41が上昇し、缶蓋3をチャック45によって保持した状態でシーミングロール46,47を半径方向外方から接近させて缶蓋3を缶胴2に巻き締める構成である。
【0025】
このように構成した炭酸飲料充填容器1の製造装置10を用いて缶胴2に炭酸飲料4を充填して炭酸飲料充填容器1を製造するには、充填装置14によって炭酸飲料4が充填された缶胴2が搬入路11から送られてくると、巻き締め用ターレット32の凹部34内でリフタープレート41上に載置されるとともに、その缶胴2に缶蓋供給用ターレット31から缶蓋3が被せられる。
【0026】
このリフタープレート41には超音波発振器42の振動子43が設けられており、炭酸飲料4を充填した缶胴2が載置されると、超音波発振器42からの高周波信号を受けて振動子43が超音波を発生してリフタープレート41に伝達し、リフタープレート41上の缶胴2を振動させる。これにより、缶胴2内の炭酸飲料4が発泡して二酸化炭素が発生し、その二酸化炭素が液面から缶胴2の上部空間(ヘッドスペース)5内にあふれることにより、ヘッドスペース5内に溜まっていた空気(残存空気)が缶胴2と缶蓋3との隙間から外部に放出される。
【0027】
この場合、缶蓋3は缶胴2の開口端に形成されるフランジ部2bに被せられているが、炭酸飲料4の泡の圧力により、フランジ部2bとカール部3aとの間にわずかな隙間が形成され、その隙間から残存空気が放出される。また、巻き締め装置によっては、缶蓋3がチャック45に保持されるまでの間は、缶胴2のフランジ部2bに缶蓋3が載置されずに、フランジ部2bの上方に若干の間隙をおいて配置される形態のものもあり、その場合は、発泡により缶胴2と缶蓋3との間から空気が放出される。
また、超音波振動の停止時期は、炭酸飲料4から生じた泡が缶胴2と缶蓋3との間から外部にあふれ出る直前で発泡が停止されるようにするとよいが、泡の一部が缶胴2と缶蓋3との間からわずかにあふれる程度で発泡が停止されることとしてもよい。
【0028】
そして、この発泡後に缶蓋3が缶胴2のフランジ部2bに巻き締められ、炭酸飲料充填容器1が完成する。この炭酸飲料充填容器1は、ヘッドスペース5内の残存空気が二酸化炭素により追い出された後に密封されているので、酸素が残存せず、腐食の発生や、風味の劣化などの問題が生じることが抑制される。そして、その残存空気を追い出すための方法も、巻き締め前に炭酸飲料4を発泡させるという簡便な方法であり、従来技術のようなガス供給系や液体窒素供給系を設ける必要がなく、コスト増を抑制することができる。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態の炭酸飲料充填容器51は、
図4に示すように、いわゆるボトル缶であり、有底筒状の缶胴52とキャップ(本発明の封止具)53とからなる。缶胴52は、円筒部54aとその上に連続するテーパ部54bとからなる胴部54が、テーパ部54bにより上方に向かうにしたがって漸次縮径しており、その上端にねじ部55aを有する口部55が連続している。この炭酸飲料充填容器51も口部55付近がヘッドスペース5となっている。
なお、キャップ53のスカート部56には、その天面付近に開封時に内圧を開放するためのベントホール57が周方向に間隔をおいて複数形成されている。
【0030】
この炭酸飲料充填容器51を製造する装置は、図に示すように、図示略の搬入路から缶胴52を1個ずつ導入ターレット61を介して受け取るキャッピングターレット62と、キャッピングターレット62の缶胴受け入れ部よりも上流位置でキャップを供給するキャップ供給ターレット63と、キャッピング後の炭酸飲料充填容器51を排出して次のステーションに搬送する搬出ターレット64と、を備えている。
【0031】
各ターレット61~64には缶胴52又はキャップ53を保持するための凹部65,66が外周部に周方向に沿って複数設けられている。図示例では、キャッピングターレット62は2個設けられており、キャッピングターレット62の凹部66に一つおきにキャップ53を供給するようになっている。
また、キャッピングユニット71がキャッピングターレット62の各凹部65に1個ずつ設けられており、キャッピングターレット62の回転に伴い旋回して、凹部65と同軸上に常に配置される。
【0032】
そして、各キャッピングユニット71はキャップ供給ターレット63からキャップ53を受け取り、キャッピングターレット62が缶胴52を凹部65内に受け入れると、キャッピングターレット62とともに旋回しながら、その途中で缶胴52の口部55にキャップ53を被せて口部55のねじ部55aを倣うようにキャップ53にねじ加工して口部55を密封する。
【0033】
キャッピングユニット71は、缶胴52を載置する載置プレート72と、缶胴52の口部55に被せたキャップ53を缶軸C方向に押圧するプレッシャーブロック73と、キャップ53の外周面を押圧しながらねじ加工する複数のキャッピングロール74,75とを有している。そして、載置プレート72にキャッピングされる前に缶胴52内の炭酸飲料4を発泡させて、ヘッドスペース5内の残存空気を排出するための超音波発振器42の振動子43が設けられている。
キャッピング後の炭酸飲料充填容器51は搬出ターレット64に受け渡され、次のステーションに向けて搬送される。
【0034】
この第2実施形態の製造装置においても、キャッピングターレット63で缶胴52を移送している途中で載置プレート72の振動子43により載置プレート72上の缶胴52の底部54cを振動させ、内部の炭酸飲料4を泡立たせる。このとき、缶胴52の口部55にはキャップ53が被せられているが、キャップ53のスカート部56と缶胴52の口部55との隙間及びキャップ53に形成されているベントホール57から、ヘッドスペース5内の残存空気を放出することができる。
この場合も、ベントホール57等から泡が外部にあふれ出る直前で発泡を停止するように制御するとよい。
【0035】
上記実施形態では、缶胴に振動を付与する手段として超音波を用いたが、缶胴が載置されるプレートに機械的な振動モータを埋め込んで、その振動を伝達させるようにしてもよい。
また、缶胴が載置されるプレートを介して缶胴を振動させるのではなく、缶胴に直接、超音波発振器の振動子や振動モータの振動子を接触することで振動を缶胴に伝達してもよい。その場合、第1実施形態では、
図2に二点鎖線で示したように、巻き締め用ターレット32の外側で巻き締め位置よりも上流位置に缶胴2に接触可能なレール81を配置し、そのレール81に振動子43を設けて、移送途中の缶胴2に振動を伝達するようにするとよい。第2実施形態でも同様に、図に二点鎖線で示したように、キャッピングターレット62の外側でキャッピング位置よりも上流位置に缶胴52に接触可能なレール82を配置し、そのレールに振動子を設けるようにすればよい。
また、空中超音波用の素子を用いて、非接触で缶胴に振動を与えても良い。その場合、空中超音波素子を組み込んだホーン放射タイプの装置等を用いて充填から巻締及びキャッピングの間で超音波による振動を缶胴に与えればよい。
また、炭酸飲料を発泡させて生じた二酸化炭素によりヘッドスペース5を充満させるのが好ましいが、必ずしも充満状態としなくても、ヘッドスペース5内の二酸化炭素量が増加していればよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を適宜変更可能である。
【実施例0036】
内容積が445mlのボトル缶jに、ガスボリューム(体積(ml)当たりのガス量(ml))が2.8の炭酸水400mlを充填し、口部にキャップを被せた状態でボトル缶の底部に35Hzの超音波振動を付与した後、キャッピングして密封した。その際の超音波振動の時間を1秒から5秒まで1秒単位で変化させて、ヘッドスペース内の残存空気量と炭酸水のガスボリュームとを測定した。また、従来の標準品(比較例)として、超音波振動を付与しないでキャッピングしたものも測定した。
ヘッドスペース(HS)残存空気量及びガスボリューム(GV)は、京都電子工業株式会社製ガスボリューム・エアコンテント測定装置GVA-700を用いて測定した。
その結果は以下の通りであった。それぞれ5缶ずつ測定し平均値を記載した。
【0037】
【0038】
この表の結果をグラフに示すと
図7の通りとなる(ヘッドスペースをHS、ガスボリュームをGVで表示している)。これらの表及びグラフの結果から明らかなように、炭酸水を充填して超音波振動を付与した後にキャッピングしたものは、超音波振動を付与しないでキャッピングした比較例に比べて、ヘッドスペース内の残存空気量が半分以下に低減した。また、超音波振動を付与することで残存空気量を半減でき、その後、振動時間を多くしても、それ以上残存空気量が大きく減少することはなかった。
一方、炭酸水のガスボリュームについては、比較例に比べてわずかに低下するが、その減少の程度は小さく、味への影響は少ないと考えられる。