(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128751
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】フラッシングのサイズ確認治具
(51)【国際特許分類】
G01B 3/14 20060101AFI20220829BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
G01B3/14
E04G21/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027141
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】中尾 光輝
(72)【発明者】
【氏名】長澤 富幸
(72)【発明者】
【氏名】関口 一志
【テーマコード(参考)】
2E174
2F061
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA40
2E174EA07
2F061AA16
2F061AA35
2F061CC07
2F061DD22
2F061DD27
2F061FF10
2F061GG01
2F061NN01
2F061NN07
(57)【要約】
【課題】フラッシングのサイズを正確に確認することができ、誤出荷を防止すること。
【解決手段】フラッシング(10)のサイズ確認治具(1)は、本体部(3)と、本体部に形成された凹部(5)と、を備え、凹部は、フラッシングの所定部位(11)の位置を合わせる位置合わせ部(51,52)と、フラッシングの複数のサイズに応じてそれぞれ形成され、フラッシングをあてがう深さの異なる複数の底部(53,54,55,56)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシングのサイズ確認治具であって、
本体部と、前記本体部に形成された凹部と、を備え、
前記凹部は、
前記フラッシングの所定部位の位置を合わせる位置合わせ部と、
前記フラッシングの複数のサイズに応じてそれぞれ形成され、前記フラッシングをあてがう深さの異なる複数の底部と、
を備えることを特徴とするフラッシングのサイズ確認治具。
【請求項2】
前記凹部において、前記位置合わせ部は、前記複数の底部よりも深い位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングのサイズ確認治具。
【請求項3】
最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部は、前記位置合わせ部に最も近い位置に形成されており、各底部は、前記フラッシングのサイズが小さい順に前記位置合わせ部から離間するように並んで配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシングのサイズ確認治具。
【請求項4】
最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部は、その底面が各底部の並び方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフラッシングのサイズ確認治具。
【請求項5】
最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部以外の底部は、その底面が前記底部の並び方向に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のフラッシングのサイズ確認治具。
【請求項6】
前記底部の深さは、前記フラッシングが少なくとも5枚収容できる深さに形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のフラッシングのサイズ確認治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキプレートの幅調整板として用いられるフラッシングのサイズ確認治具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料のサイズを測定する治具が知られている。例えば、ゲージ板の外周に沿って測定すべき被圧接鉄筋の直径の種類数に対応した複数の切欠き凹部が形成されている圧接部測定ゲージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
デッキプレートの幅調整板として用いられるフラッシングの場合、複数種類のフラッシングに対して目視や定規でサイズを確認し、要求されるサイズのフラッシングをピックアップして出荷している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、目視や定規でフラッシングのサイズを確認する場合、各人の確認の仕方によってサイズの誤認が生じ、要求されていないサイズのフラッシングを出荷してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシングのサイズを正確に確認することができ、誤出荷を防止することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る態様は、フラッシングのサイズ確認治具であって、本体部と、前記本体部に形成された凹部と、を備え、前記凹部は、前記フラッシングの所定部位の位置を合わせる位置合わせ部と、前記フラッシングの複数のサイズに応じてそれぞれ形成され、前記フラッシングをあてがう深さの異なる複数の底部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記凹部において、前記位置合わせ部は、前記複数の底部よりも深い位置に形成されていることが好ましい。
【0008】
また、最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部は、前記位置合わせ部に最も近い位置に形成されており、各底部は、前記フラッシングのサイズが小さい順に前記位置合わせ部から離間するように並んで配置されていることが好ましい。
【0009】
また、最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部は、その底面が各底部の並び方向に沿うように形成されていることが好ましい。
【0010】
また、最もサイズの小さなフラッシングをあてがう底部以外の底部は、その底面が前記底部の並び方向に対して傾斜するように形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記底部の深さは、前記フラッシングが少なくとも5枚収容できる深さに形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る態様によれば、フラッシングのサイズを正確に確認することができ、誤出荷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】フラッシングのサイズ確認治具の正面図である。
【
図3】フラッシングのサイズ確認の一例を示す図である。
【
図4】フラッシングのサイズ確認の一例を示す図である。
【
図5】フラッシングのサイズに対応する凹部がない場合の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとりうる。
【0015】
<フラッシングのサイズ確認治具の構成>
最初に、サイズの確認を行う対象であるフラッシングについて説明する。
図1に示すように、フラッシング10は、床(天井)スラブ構築時の型枠として用いられるデッキプレートの幅調整板である。具体的には、フラッシング10は、梁間に架け渡されるデッキプレートの長手方向側縁部と梁との間にできた隙間を埋める部材であり、デッキプレートよりも幅が小さく、幅方向に直交する方向(
図1における奥行き方向)に一定の長さを有する部材である。
【0016】
図1に示すように、フラッシング10は、例えば、鋼板の一部が一方の面側に向けて凸状に膨らむように形成された板材である。フラッシング10は、幅方向における一端部寄りに形成された凸部11と、凸部11の一方の麓から一端部側に延びる平面部12と、凸部11の他方の麓から他端部側に延びる平面部13と、を備えている。凸部11は、正面視略台形状に形成されている。フラッシング10において、平面部12と平面部13は、同一平面上に形成されている。
フラッシング10は、平面部13の幅が異なる複数種類のものが製造され、デッキプレートの長手方向側縁部と梁との間にできた隙間の大きさに応じて適したサイズのフラッシング10が用いられる。
【0017】
図2に示すように、フラッシング10のサイズ確認治具1(以下、治具1という。)は、比較的肉厚に形成された略板状のものである。治具1は、工場で製造された複数種類のフラッシング10を出荷する際に、要求されていない誤ったサイズのフラッシング10をピックアップしないように、フラッシング10のサイズを迅速かつ正確に確認するためのものである。以下では、四種類のフラッシング10のサイズを確認する治具1を例に挙げて説明する。
【0018】
図2に示すように、治具1は、本体部3と、凹部5と、把持部7と、を備えている。
本体部3は、治具1本体を形成するものであり、肉厚の板材から形成されている。本体部3は、少なくとも最大のフラッシング10の幅よりも大きな幅を有するように、一方向に長尺に形成されている。
凹部5は、本体部3の長手方向に沿った縁部に切り欠かれて形成されている。凹部5は、深さの異なる複数の底部51~56を有しており、各底部51~56が連続して形成されている。
【0019】
底部51は、凹部5で最も深く形成されており、
図1に示すフラッシング10の凸部11と相補的な形状に形成されている。すなわち、底部51は、フラッシング10の凸部11が僅かな隙間をあけて嵌り込むような形状に形成されている。具体的には、底部51は、正面視略台形状に形成されており、底面に向かうにつれて開口が縮小するように壁面が傾斜して形成されている。底部51は、凹部5内でフラッシング10の位置を合わせる位置合わせ部として機能する部分である。
【0020】
底部52は、底部51の一方の縁に連続して形成されており、底部51の次に深く形成されている。底部52は、フラッシング10の平面部12があてがわれる部分であり、凹部5内でフラッシング10の位置を合わせる位置合わせ部として機能する部分である。底部52の底面は、本体部3の長手方向の縁部に沿って形成されており、その面方向が凹部5の深さ方向に対して直交する方向に延びている。
【0021】
底部53は、底部51の他方の縁に連続して形成されており、底部52と同様、底部51の次に深く形成されている。すなわち、底部53は、底部52とほぼ同じ深さに形成されている。底部53は、サイズ確認対象となる最小のフラッシング10の平面部13があてがわれる部分である。底部53の底面は、本体部3の長手方向の縁部に沿って形成されており、その面方向が凹部5の深さ方向に対して直交する方向に延びている。すなわち、底部53の底面は、底部52の底面とほぼ同一平面上に形成されている。
【0022】
底部54は、底部53に連続して形成されており、底部51、底部52,53に次いで深く形成されている。底部54は、サイズ確認対象となる二番目に小さなフラッシング10の平面部13があてがわれる部分である。底部54の底面は、その深さが底部53から離間するにつれて徐々に浅くなるように形成されている。すなわち、底部54の底面は、各底部51~56の並び方向(本体部3の長手方向)に対して傾斜するように形成されている。
【0023】
底部55は、底部54に連続して形成されており、底部51、底部52,53、底部54に次いで深く形成されている。底部55は、サイズ確認対象となる三番目に小さなフラッシング10の平面部13があてがわれる部分である。底部55の底面は、その深さが底部54から離間するにつれて徐々に浅くなるように形成されている。すなわち、底部55の底面は、各底部51~56の並び方向(本体部3の長手方向)に対して傾斜するように形成されている。
【0024】
底部56は、底部55に連続して形成されており、底部51、底部52,53、底部54、底部55に次いで深く(底部51~56のなかで最も浅く)形成されている。底部56は、サイズ確認対象となる四番目に小さなフラッシング10(最大のフラッシング10)の平面部13があてがわれる部分である。底部56の底面は、その深さが底部55から離間するにつれて徐々に浅くなるように形成されている。すなわち、底部56の底面は、各底部51~56の並び方向(本体部3の長手方向)に対して傾斜するように形成されている。
【0025】
ここで、凹部5における各底部51~56の深さについて説明する。
底部51の底面から底部52,53の底面までの深さ(底部51の壁部の高さ)は、フラッシング10を少なくとも5枚積み重ねたときの凸部11の高さ以上に形成されている。
底部53の底面から底部54の底面までの深さ(底部53の壁部の高さ)は、最小のフラッシング10を少なくとも5枚積み重ねたときの平面部13の高さ以上に形成されている。
底部54の底面から底部55の底面までの深さ(底部54の壁部の高さ)は、二番目に小さなフラッシング10を少なくとも5枚積み重ねたときの平面部13の高さ以上に形成されている。
底部55の底面から底部56の底面までの深さ(底部55の壁部の高さ)は、三番目に小さなフラッシング10を少なくとも5枚積み重ねたときの平面部13の高さ以上に形成されている。
底部56の底面から凹部5の開口縁までの深さ(底部56の壁部の高さ)は、四番目に小さなフラッシング10(最大のフラッシング10)を少なくとも5枚積み重ねたときの平面部13の高さ以上に形成されている。
底部52の底面から凹部5の開口縁までの深さ(底部52の壁部の高さ)は、底部53の底面から底部54の底面までの深さと、底部54の底面から底部55の底面までの深さと、底部55の底面から底部56の底面までの深さと、底部56の底面から凹部5の開口縁までの深さとを合計した深さとなる。
【0026】
このように、底部51,53,54,55,56の順に徐々に深さが浅くなるように形成されており、正面視階段状に形成されている。
これは、
図5に示すように、最大のフラッシング10に合わせた凹部5Aを一つだけ形成した治具1Aの場合、全てのサイズのフラッシング10を凹部5Aにあてがうことができるが、フラッシング10のサイズを判別することができなくなってしまう。
そのため、治具1は、フラッシング10のサイズに応じて凹部5の深さ方向に複数の底部53~56を形成し、どのサイズのフラッシング10であっても一つの底部だけに当接するようにすることで、フラッシング10のサイズを確実に判別することができるようにしている。
【0027】
把持部7は、本体部3における凹部5とは反対側の縁部に設けられている。把持部7は、例えば、円柱状の棒材から形成されており、作業者が把持しやすい形状に形成されている。把持部7は、その軸線が本体部3における長手方向に沿うように本体部3に設けられている。なお、把持部7は、本体部3とは別個の部材で本体部3に取り付けられていてもよいし、本体部3と一体に形成されていてもよい。
【0028】
<治具によるフラッシングのサイズ確認方法>
次に、治具1によるフラッシング10のサイズ確認方法について説明する。
図3、
図4に示すように、工場で生産されたフラッシング10は、例えば、5枚重ねたものを1セットとして、このセットを凸部11が上側となる向きと、凸部11が下側となる向きの交互になるように積み重ねていく。
【0029】
図3は、治具1を用いて、最小サイズのフラッシング10のサイズ確認を行っている状態を示す図である。
作業者は、治具1の把持部7を把持した状態で、フラッシング10の上方から凹部5の底部51内にフラッシング10の凸部11を当接させ、底部52にフラッシング10の平面部12を当接させる。すると、フラッシング10の平面部13は、底部53に収まる大きさなので、平面部13は、他の底部54~56に当接することなく、底部53の底面に当接する。これにより、作業者は最小サイズのフラッシング10であることを容易に確認することができる。
【0030】
図4は、治具1を用いて、最大サイズのフラッシング10のサイズ確認を行っている状態を示す図である。
作業者は、治具1の把持部7を把持した状態で、フラッシング10の上方から凹部5の底部51内にフラッシング10の凸部11を当接させ、底部52にフラッシング10の平面部12を当接させる。すると、フラッシング10の平面部13は、底部56にのみ収まる大きさなので、平面部13は、他の底部53~55に当接することなく、底部56の底面に当接する。これにより、作業者は最大サイズのフラッシング10であることを容易に確認することができる。
【0031】
以上のように、治具1は、位置合わせ部となる底部51,52と、サイズの異なるフラッシング10の平面部13に対応した底部53~56をそれぞれ別個に有しているので、作業者は、治具1の底部51,52にフラッシング10の位置合わせをして凹部5内にフラッシング10をあてがうだけで、フラッシング10の平面部13は底部53~56のいずれか一つの底面にのみ当接することになり、作業者はフラッシング10のサイズを簡単に確認することができる。
【0032】
また、最小のフラッシング10をあてがう底部53は、底部51に最も近い位置に形成されており、各底部53~56は、フラッシング10のサイズが小さい順に底部51から離間するように並んで配置されており、各底部53~56の深さを異なるように形成しているので、サイズが小さいフラッシング10から順に凹部5の深い位置にある底部にあてがわれていくことになる。これにより、フラッシング10が複数の底部53~56に同時にあてがわれることはないので、フラッシング10のサイズ確認を簡単に行うことができる。
【0033】
また、複数のサイズを確認できるようにするため、底部53~56をそれぞれ異なる深さにすることにより、底部51に隣接していない底部54~56、すなわち、最小のフラッシング10をあてがう底部53以外の底部54~56は、底部51の横ではなく、底部51の斜め下方に向けて形成されることになる。ここで、底部54~56の底面は、底部53~56の並び方向に対して傾斜するように形成されているので、底部54~56にあてがわれるフラッシング10の平面部13を底部54~56に確実に収めることができる。
【0034】
また、底部53~56の深さは、フラッシング10が少なくとも5枚収容できる深さに形成されているので、フラッシング10のセット毎に一つの底部53~56にあてがうことができ、フラッシング10のサイズ確認を簡単に行うことができる。
【0035】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更することができる。
【0036】
例えば、フラッシングの形状は、
図1の形状に限定されるものではなく、フラッシングとしての機能を発揮する範囲内で自由に変更可能である。
また、治具の本体部、凹部の形状は、
図2の形状に限定されるものではなく、フラッシングの形状に合わせて自由に変更可能である。
また、治具1は、四種類のフラッシング10のサイズを確認するものに限らず、複数のサイズのフラッシングを確認できるものであれば、凹部の形状は自由に変更可能である。すなわち、凹部内における底部の数を変更することで、確認できるフラッシングのサイズの種類を決めることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 治具(フラッシングのサイズ確認治具)
3 本体部
5 凹部
51,52 底部(位置合わせ部)
53,54,55,56 底部
7 把持部
10 フラッシング
11 凸部
12 平面部
13 平面部