(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128809
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】排出玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 17/44 20060101AFI20220829BHJP
A63H 18/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A63H17/44
A63H18/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027235
(22)【出願日】2021-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼城 雄太
(72)【発明者】
【氏名】原田 健司
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BB01
2C150CA06
2C150CA08
2C150CA27
2C150DF02
2C150DF11
2C150DF33
2C150DG02
2C150EB03
(57)【要約】
【課題】自動車玩具の排出にあたり演出効果の高い排出玩具を提供すること。
【解決手段】 螺旋状スロープと、螺旋状スロープを取り囲む囲繞体と、を備え、螺旋状スロープには、最下の前記自動車玩具を係止して自動車玩具の移動を阻止する係止部が設けられ、複数台の自動車玩具が軌道に沿って載置可能となっており、囲繞体には、自動車玩具を外部に排出する第1の排出口が設けられるとともに、回転によって第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときに前記係止部による係止を解除して自動車玩具を第1の排出口から排出させるようにした。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を構成し中心軸が鉛直に延在するように設けられた螺旋状スロープと、
外観を構成し、前記螺旋状スロープと中心軸が合致して前記螺旋状スロープを取り囲み、前記中心軸を中心に回転可能に構成された囲繞体と、
を備え、
前記螺旋状スロープの軌道は、複数台の自動車玩具が前記軌道に沿って載置可能に構成され、
前記囲繞体には、前記自動車玩具を外部に排出するための第1の排出口が設けられ、
前記囲繞体の回転中前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致しない箇所で前記軌道上に載置された最下の前記自動車玩具を係止して前記自動車玩具の移動を阻止する係止部が設けられ、
前記囲繞体の回転によって前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときに前記係止部による係止を解除して前記自動車玩具を前記第1の排出口から排出する、
ことを特徴とする排出玩具。
【請求項2】
前記係止部は前記螺旋状スロープに設けられ、前記囲繞体には、前記囲繞体の回転に伴って前記係止部による係止を解除する係止解除機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排出玩具。
【請求項3】
前記囲繞体には、前記自動車玩具を外部に排出するための第2の排出口が設けられ、前記係止解除機構は、前記囲繞体の回転によって前記第2の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときには前記係止部による係止を解除しないように構成され、前記螺旋状スロープ及び前記囲繞体が設けられた基台には、前記係止部による係止を手動により解除させる第1の操作子が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の排出玩具。
【請求項4】
外観変化を伴う第1状態と第2状態との間で動作可能な前記囲繞体とは別の可動部材と、人為的操作により前記可動部材を第1状態に保持する保持部材と、前記可動部材を第1状態から第2状態に向けて付勢する付勢部材と、前記囲繞体の回転により前記第1の排出口及び前記第2の排出口のうちで少なくとも前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致する際に前記保持部材による保持を解除する保持解除機構と、が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の排出玩具。
【請求項5】
第2の操作子の操作によって作動し前記囲繞体を一方向に回転させる駆動装置を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の排出玩具。
【請求項6】
第2の操作子の操作によって作動し前記囲繞体を一方向に回転させる駆動装置を備え、前記第1の排出口及び前記第2の排出口は前記囲繞体に同数且つ周方向に交互に設けられ、前記駆動装置は、前記第2の操作子の操作毎に前記螺旋状スロープの下端部を前記第1の排出口及び前記第2の排出口に交互に合致させることを特徴とする請求項3又は4に記載の排出玩具。
【請求項7】
前記囲繞体は円筒体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の排出玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排出玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排出玩具として、バケツ内に螺旋状スロープを設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この排出玩具は、出口扉を閉じておいた状態で、螺旋状スロープの上に複数の自動車玩具を一列に駐車させておいた後に、出口扉を開いて発車レバーを押し下げることにより、自動車玩具を一斉に発車するように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】URLhttps://www.takaratomy.co.jp/products/tomica/tettei/world/13_03/index.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この排出玩具では、自動車玩具を発車させる場合に、出口扉と操作レバーとを操作して自動車玩具を排出するだけなので、演出効果に乏しい。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、自動車玩具の排出にあたり演出効果の高い排出玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
軌道を構成し中心軸が鉛直に延在するように設けられた螺旋状スロープと、
外観を構成し、前記螺旋状スロープと中心軸が合致して前記螺旋状スロープを取り囲み、前記中心軸を中心に回転可能に構成された囲繞体と、
を備え、
螺旋状スロープの軌道は、複数台の自動車玩具が前記軌道に沿って載置可能に構成され、
前記囲繞体には、前記自動車玩具を外部に排出するための第1の排出口が設けられ、
前記円筒体の回転中前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致しない箇所で前記軌道上に載置された最下の前記自動車玩具を係止して前記自動車玩具の移動を阻止する係止部が設けられ、
前記囲繞体の回転によって前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときに前記係止部による係止を解除して前記自動車玩具を前記第1の排出口から排出する、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記係止部は螺旋状スロープに設けられ、前記囲繞体には、前記囲繞体の回転に伴って前記係止部による係止を解除する係止解除機構が設けられていることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記囲繞体には、前記自動車玩具を外部に排出するための第2の排出口が設けられ、前記係止解除機構は、前記囲繞体の回転によって前記第2の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときには前記係止部による係止を解除しないように構成され、前記螺旋状スロープ及び前記囲繞体が設けられた基台には、前記係止部による係止を手動により解除させる第1の操作子が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、外観変化を伴う第1状態と第2状態との間で動作可能な前記囲繞体とは別の可動部材と、人為的操作により前記可動部材を第1状態に保持する保持部材と、前記可動部材を第1状態から第2状態に向けて付勢する付勢部材と、前記囲繞体の回転により前記第1の排出口及び前記第2の排出口のうちで少なくとも前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致する際に前記保持部材による保持を解除する保持解除機構と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第1から第4のいずれかの手段であって、第2の操作子の操作によって作動し前記囲繞体を一方向に回転させる駆動装置を備えることを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第3又は4の手段であって、第2の操作子の操作によって作動し前記囲繞体を一方向に回転させる駆動装置を備え、前記第1の排出口及び前記第2の排出口は前記囲繞体に同数且つ周方向に交互に設けられ、前記駆動装置は、前記第2の操作子の操作毎に前記螺旋状スロープの下端部を前記第1の排出口及び前記第2の排出口に交互に合致させることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1から第6のいずれかの手段であって、前記囲繞体は円筒体であることを特徴とする。
【0012】
第1の手段によれば、外観を構成する円筒体の回転により自動車玩具が排出されるので、大きな外観変化を伴うので演出効果の高い排出玩具が実現できる。また、この排出玩具によれば、複数台の自動車玩具を収容できるので片付けに便利である。
【0013】
第2の手段によれば、螺旋状スロープに設けた係止部を動作させることにより、螺旋状スロープの軌道上に自動車玩具を留めることができる。
【0014】
第3の手段によれば、第1の操作子の操作によって第2の排出口からも自動車玩具を排出させることができる。その分、遊びの幅を拡げることができる。
【0015】
第4の手段によれば、前記第1の排出口と前記螺旋状スロープの下端部とが合致したときに可動部材が動作するので、動作がより大きく複雑となり、より演出効果の高い排出玩具を実現できる。
【0016】
第5及び第6の手段によれば、簡単に、第1の排出口又は第2の排出口から自動車玩具を排出させることができる。
【0017】
第7の手段によれば、円筒体となっているため、それ以外の形の囲繞体に比べて、囲繞体の設置スペースが小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】円筒体が半回転した状態の排出玩具を前面側から見た場合の斜視図である。
【
図5】螺旋状スロープ及び基台を前面側から見た斜視図である。
【
図6】第1リング及び駆動ユニットを上面側から見た斜視図である。
【
図9】発光部の露出機構の斜視図であり、
図9(A)は発光部が被覆された状態を示した図、
図9(B)は発光部が露出された状態を示した図である。
【
図10】排出玩具の制御構成を示すブロック図である。
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(全体動作)
図1は前面側から見た排出玩具100の斜視図、
図2は後面側から見た排出玩具100の斜視図、
図3は円筒体12が半回転した状態の排出玩具100を前面側から見た場合の斜視図である。
排出玩具100は全体として警察署の建物の形をしている。
図1に示す状態を初期状態とすれば、この初期状態で、排出玩具100の円筒体12の内部にパトカーを模した複数台、例えば十数台の自動車玩具17を詰め込む。そして、電源投入状態で回転用ボタン(操作子)10を押す。すると、
図3に示すようにカバー50が外れ発光部11が露出して点滅し、回転用ボタン10の下方の円筒体12が平面視で反時計方向に半回転して止まる。そして、円筒体12が半回転する際に、円筒体12の両隣の車庫21の扉14が外側に開き、扉14の内側に格納されていた可動スロープ15が前に倒れ、スロープとして使用可能な状態となる。また、円筒体12が半回転した時、円筒体12の内部に詰め込まれていた全ての自動車玩具17が排出口12bから連続的に排出される。なお、円筒体12が半回転する間に、放音孔13aからは緊急出動を命ずる音声やパトカーのサイレン音が出力される。
【0021】
このようにして自動車玩具17が排出された後、再度、回転用ボタン10を押す。すると、円筒体12が平面視で反時計方向に半回転する。この場合、回転用ボタン10を押す前にカバー50、扉14及び可動スロープ15を初期状態に戻しておいたときには、回転用ボタン10を押した時にカバー50が外れ発光部11が露出して点滅し、円筒体12が半回転する際に、円筒体12の両隣の車庫21の扉14が外側に開き、扉14の内側に格納されていた可動スロープ15が前に倒れる。しかし、この場合の円筒体12の半回転時には、円筒体12の内部には自動車玩具17が無いので、自動車玩具17は自動的には排出されない。なお、円筒体12が半回転する間に、放音孔13aから音楽や効果音を出力するようにしてもよい。
そして、排出玩具100の円筒体12の内部に複数台の自動車玩具17を充填するとともに、発光部16、扉14及び可動スロープ15を初期状態に戻す。この状態で、排出ボタン(操作子)18を押せば、円筒体12の内部に詰め込まれていた自動車玩具17を排出口12aから排出させることができる。
【0022】
(円筒体12)
図4は下面側から見た円筒体12の分解斜視図である。
基台20は左右方向に長尺となっている。基台20の左右方向の中央部には、中心軸が鉛直に延在するように円筒体12が取り付けられている。円筒体12は中心軸を中心に回転可能に構成されている。この円筒体12は、円筒体12と同じ高さの平面視弧状の幾つかの小片を円周方向に結合させて構成されている。
円筒体12の下部には、円周方向所定個所に、自動車玩具17を外部に排出するための排出口12a(
図1参照)が形成されるとともに、中心軸を挟んでこの排出口12aに対向する個所に、同形で同じく自動車玩具17を外部に排出するための排出口12b(
図2参照)が形成されている。また、円筒体12の排出口12aの上方部分外面には液晶ディスプレイが描かれたシール12cが貼られ、円筒体12の排出口12bの上方部分外面には警察のエンブレム12dが刻設されている。
また、基台20の左右方向の中央部前側には、排出口12a又は排出口12bから排出された自動車玩具17を付勢するためのスロープ20aが設けられている。
【0023】
(外観)
基台20の左右には、円筒体12を間にして、車庫21が1つずつ設けられている。各車庫21はその下部と上部とに自動車玩具17が1台ずつ駐車できる駐車スペースを有する。各車庫21の下部駐車スペースの前面には排出口21aが設けられており、また下部駐車スペースには可動の駐車台21bが配設されている。駐車台21bは、左右方向に延在する軸(図示せず)を介して回動可能に取り付けられ、回動によって上面が水平となる状態と上面が前方に向けて下り勾配となるように傾斜した状態を取ることができる。この駐車台21bは、常態では上面が水平となる状態を取り自動車玩具17を駐車できる。一方、車庫21の排出ボタン21cを下方に押すことにより、駐車台21bは傾斜した状態を取って自動車玩具17を前方に排出できる。なお、各車庫21の後面は開放され、後面側から上部駐車スペースに載置された自動車玩具17を載置したり取り出したりすることができる。
各車庫21の排出口21aの上方部分には扉(可動部材)14が設けられている。扉14は鉛直方向に延在する外側の軸を中心に回動することにより開閉可能となっていて、図示しないトーションばねにより開放位置に向けて付勢されている。閉じられた各扉14の奥には、起立状態の可動スロープ(可動部材)15が車庫21の前壁との間で挟持状態に保持されている。起立する各可動スロープ15の下端左右には
図7に示すように支持棒15aが1本ずつ付設され、支持棒15aの基端が車庫21に軸支されている。起立した可動スロープ15は、扉14が開いた際に自重によって倒れるような角度で扉14と車庫21の前壁との間で挟持されている。或いは、可動スロープ15はトーションばね等によって倒れる方向に付勢されていてもよい。この可動スロープ15は倒れた際に、基台20の左右に設けられた短いスロープ20bと合わさり長いスロープを構成する。
【0024】
円筒体12の上には天井部24が設けられている。天井部24は、左右の車庫21に連結されている。また、左右の車庫21の屋上には、天井部24の後方を迂回するように延在する通路25が着脱可能に設けられている。通路25の右端には自動車玩具17を通路25まで押し上げるためのスロープ26が着脱可能に連結されている。
また、天井部24の屋上には、回転用ボタン10と、電源用ボタン16a,音声用ボタン16bと、放音孔13aと、透光部材からなる発光部11(
図3)とが設けられている。
【0025】
(螺旋状スロープ30)
図5は螺旋状スロープ30及び基台20を前面側から見た斜視図である。
円筒体12の内側には、軌道を構成する螺旋状スロープ30が設置されている。螺旋状スロープ30の中心軸は鉛直方向に延在し円筒体12の中心軸と合致している。螺旋状スロープ30は、車庫21の屋上の高さから基台20の上面の高さ位置まで延在している。そして、螺旋状スロープ30の上端は通路25に繋がり、通路25から自動車玩具17を導入させることができ、また、螺旋状スロープ30の下端はスロープ20aに繋がり、自動車玩具17をスロープ20aに排出することができる。螺旋状スロープ30の幅は自動車玩具17が1台通れる程度の幅となっている。
また、螺旋状スロープ30の長さは、複数台の自動車玩具17を同時に載置可能な長さに設定されている。この螺旋状スロープ30の下端近くにはストッパ(係止部材)31が設けられ、このストッパ31によって最下の自動車玩具17が係止され、これにより、螺旋状スロープ30の上に連続して自動車玩具17を複数台一列に留め置くことができる。
螺旋状スロープ30の下端部は水平な平坦部33からなる軌道となっている。この平坦部33は螺旋状スロープ30の一部を構成するが、螺旋状スロープ30のスロープ部分と一体的に構成されていても、基台20と一体的に構成されていてもよい。この平坦部33は円筒体12が半回転したときには排出口12a又は排出口12bに対峙する。この平坦部33は水平面、或いは、スロープ20aに向けて下り勾配を有している。また、平坦部33には、平坦部33に自動車玩具17の向きを前記可動前方に向ける壁32が形成されている。また、排出口12a又は排出口12bが後側に位置するとき、螺旋状スロープ30の外壁30aによって塞がれている。
【0026】
(円筒体12の回転駆動機構)
図6は第1リング40及び駆動ユニット41を上面側から見た斜視図である。
円筒体12の上端部には第1リング40が内側に嵌合状態で取り付けられている。第1リング40の上面内周側には、当該第1リング40と同心的な環状起立壁40aが設けられ、環状起立壁40aの外周には円周方向全域に亘って歯車40bが形成されている。一方、天井部24には駆動ユニット41が設けられている。駆動ユニット41は駆動装置を構成し、モータ41aと、モータ動力を第1リング40に伝達する歯車機構とが1つのケースに組み付けられたものである。そして、ケースから下方に突出する軸には出力歯車41bが付設されている。出力歯車41bは上記歯車40bに噛合している。この結果、モータ41aが作動されると、出力歯車41bを介して第1リング40ひいては円筒体12が回転する。
【0027】
(扉14の開閉機構)
図7は扉14の開閉機構を示した斜視図である。
扉(可動部材)14は、閉塞状態と開放状態との間で動作可能となっている。
扉14の開閉機構は左右に1つずつ設けられている。左右の開閉機構は、左右対称となっているため、一方を説明し、他方の説明は省略する。
扉14の自由端部には被係止片14aが設けられている。一方、天井部24には、上下方向に延在する軸44aを中心に回動する係止レバー44が設けられている。係止レバー44には係止片44bが形成されている。また、係止レバー44にはコイルばね44cの一端が掛けられ、係止レバー44が扉14に近付く方向に付勢されている。係止片44bは扉14を閉めるとき被係止片14aに摺接され、係止レバー44はコイルばね44cの付勢力に抗して回動される。そして、被係止片14aが係止片44bを超えた所で、コイルばね44cの付勢力によって係止片44bが被係止片14aを係止して扉14が閉塞状態に保持される。
また、係止レバー44の下側には突片44dが付設されている。突片44dは、第1リング40の上面外周側に立設された起立壁40cの内周面に当接している。この内周面はカム面を構成し、円周方向2箇所に山部40dが形成されている。そして、突片44dが山部に40dが摺接したときに係止レバー44がコイルばね44cの付勢力に抗する方向に回動され、山部40bの頂点が突片44dに摺接した時点で係止片44bによる被係止片14aの係止が解除される。この係止解除は、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bに合致する際に行われる。すなわち、その係止解除は、例えば、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bに合致する直前、又は、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bに合致すると同時に行われる。或いは、この係止解除は、円筒体12が半回転する間に、行われてもよい。この場合、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bに合致する所で、円筒体12の回転を停止させるときは、円筒体12の回転停止後に、山部40bの頂点と突片44dとがなおも摺接している可能性がある。そのときには、扉14及び可動スロープ15を初期状態に戻しても、係止片44bによる被係止片14aの係止が行えない。そこで、係止解除後に山部40bの頂点と突片44dとの摺接が瞬時に解除されるように山部40bや突片44dの形を工夫しておくか、或いは、排出口12a,12bの幅を広くしておき、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bにある程度拾い範囲で合致するようにしておき、係止解除後に少し回転した位置で円筒体12を停止させても、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bに合致させておくことができる。
そして、係止片44bによる被係止片14aの係止が解除され、扉14の閉塞状態の保持が解除されたとき、扉14は、扉14に掛けられた図示しないトーションばねにより開放される。そして、扉14の開放に伴って可動スロープ15が倒れる。
なお、山部40bは第1リング40に1つだけ設けられていてもよい。また、2つの山部44dは第1リング40の中心を挟んだ対向位置になくてもよい。
【0028】
(自動車玩具17の排出機構)
図8は排出機構を示す斜視図である。
円筒体12の内部に蓄えた自動車玩具17の排出はストッパ(係止部)31を動作させることによってなされる。ストッパ31の動作は、実施形態の場合、手動と電動との双方によって行われる。
先ず、ストッパ31の動作は、手動では、ボタン18の押圧操作によって行う。
ボタン18はスロープ20aの横に設けられている。ボタン18は水平軸18aを中心に上下に動作するように構成されている。このボタン18には押圧片18bが形成されている。一方、ストッパ31は、ボタン18の近くの水平軸31aを中心に上下方向に回動可能に構成され、コイルばね31bによって螺旋状スロープ30の軌道面から上方に突出する方向に付勢されている。このストッパ31の基端部には、上記押圧片18bに下から当接する被押圧片31cが形成されている。その結果、ボタン18を押すと、押圧片18bが被押圧片31cを下方へ押すことにより、ストッパ31がコイルばね31bの付勢力に抗して下がり、自動車玩具17の係止が解除されて、自動車玩具17の排出が行われる。
また、ストッパ31の動作は、電動では、円筒体12の回転によって行う。
すなわち、
図4に示すように、円筒体12の下端部には第2リング45が嵌合状態で取り付けられている。第2リング45の下面には1回転で1度だけボタン18の上面と摺接してボタン18を下方に押圧するカムの山部45aが設けられている。そして、円筒体12の回転によってカムの山部45aがストッパ31と接するときにストッパ31がコイルばね31bの付勢力に抗して下がり、自動車玩具17の係止が解除されて、自動車玩具17の排出が行われる。この場合、螺旋状スロープ30に載置されている全ての自動車玩具17が排出されることが好ましい。この場合、全ての自動車玩具17が排出される時間が必要となるので、排出口12の幅や一度機の排出台数にもよるが、螺旋状スロープ30の下端部と排出口12bが合致したときに円筒体12の回転が止まることが必要となる。
【0029】
(発光部11の露出機構)
図9(A)は、発光部11が被覆された状態を示した、発光部11の露出機構の斜視図、
図9(B)は、発光部11が露出された状態を示した、発光部11の露出機構の斜視図である。
回転用ボタン10を押したときに、発光部11はカバー50が外れて露出し、カバー50を被せたときに被覆される。
すなわち、回転用ボタン10は軸10aを中心に上下に回動可能となっている。この回転用ボタン10の基端部近くには爪10bが立設され、回転用ボタン10はコイルばね10cによって上方に向けて付勢されている。一方、発光部11を被覆するカバー50は屈曲された形を有し、軸10aに平行な軸50aを中心に上下に回動可能となっている。そして、カバー50は下降位置にあるとき、回転用ボタン10の爪10bに被係止部50bが係止されて当該位置を保持する(
図9(A))。この状態で、発光部11はカバー50で被覆される。この状態で、回転用ボタン10を押すと、爪10bが被係止片50bから外れて、トーションばね(図示せず)の付勢力によって跳ね上がり発光部11が露出する(
図9(B))。
【0030】
(制御構成)
図10は排出玩具100の制御構成を示すブロック図である。
排出玩具100は制御装置60を備えている。そして、制御装置60には駆動ユニット41、音声出力部13、光出力部61、スイッチ62a,62b,62c及び回転検出部63が接続されている。
駆動ユニット41は円筒体12を回転させるためのものである。音声出力部13は、放音孔13aの下方に設けられたスピーカを含んで構成されている。光出力部61は、発光部11の内側に設けられたLEDを含んで構成されている。スイッチ62aは回転用ボタン10に、スイッチ62bは電源用ボタン16aに、スイッチ62cは音声用ボタン16bに対応して設けられている。また、回転検出部63は、例えば、円筒体12に形成したカム面によってON、OFFされるリーフスイッチを含んで構成されている。なお、回転検出部63は、円筒体12の回転角度を直接又は間接的に検出するものであってもよい。
制御装置60は中央処理装置、記憶装置を含んで構成され、記憶装置には所定の動作プログラム及び各種データが記憶されている。そして、中央処理装置は、記憶装置に記憶された動作プログラムを実行し、当該動作プログラム及びデータに従って各部を制御する。
【0031】
電源が投入されている状態で回転用ボタン10が押されスイッチ62bがONされると、制御装置60は、その信号を受けて、駆動ユニット41のモータ41aを作動させて円筒体12を平面視で反時計方向に回転させる。この際、排出玩具100の前面側の排出口が12aから12bに切り替わるときには、制御装置60は、緊急出動を命ずる音声やパトカーのサイレン音を音声出力部13から出力させる。また、制御装置60は、光出力部61のLEDを制御して発光部11を所定間隔で点滅させる。そうして、制御装置60は、回転検出部63からの信号を受けたとき、すなわち円筒体12が半回転したときにモータ41aの作動を停止させる。なお、音声用ボタン16bが押された際、前面側に位置する排出口12a、12bに応じて異なる音声が出力される。そのとき、制御装置60は、光出力部61のLEDを制御して発光部11を点灯させ、カバー50の左右の窓からその光が視認できる。
【0032】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、2つの排出口12a,12bの一方を自動排出のための排出口としたが、2つの排出口12a,12bの双方を自動排出のための排出口としてもよい。この場合には、自動車玩具17を充填するために、螺旋状スロープ30の下端部が排出口12a,12bが合致する個所で円筒体12の回転を止める場合には、それ以外の個所でも円筒体12を停止できるようにしておくことが好ましい。なお、自動排出のための排出口は2つに限定されない。
【0034】
また、上記実施形態では、自動車玩具17としてパトカーに模したものを例に説明したが、自動車玩具は消防自動車、タクシー、運搬車その他の自動車玩具に適用できる。
【0035】
また、上記実施形態では、電動で円筒体12を回転させたが手動で回転させて自動車玩具17を排出させてもよい。
【0036】
上記実施形態では、排出口12a,12bが螺旋状スロープ30の平坦部33に合致したときに扉14及び可動スロープ15を動作させることとしたが、自動排出する排出口12aが螺旋状スロープ30の平坦部33に合致する場合だけ扉14及び可動スロープ15を動作させてもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態では、ストッパ(係止部材)31を設けて最下の自動車玩具17を係止するように構成したが、円筒体12の内壁(係止部)に突き当たることで最下の自動車玩具17を係止しておき、排出口12bが来たときにその自動車玩具17の係止を解除して、自動車玩具17を排出するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、オルタネイト動作をするスイッチ62aを用いて回転用ボタン10を押す毎に円筒体12を半回転させるようにしたが、モーメンタリ動作をするスイッチを用いて回転用ボタン10を押している間、円筒体12を回転させるようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、螺旋状スロープ30を取り巻くものとして円筒体12を用いたが、螺旋状スロープ30を取り巻くことができ、且つ、回転により螺旋状スロープ30の下端部と合致して自動車玩具17を排出できる排出口を有する囲繞体であれば形は問わない。
【符号の説明】
【0040】
10 ボタン(操作子)
11 発光部
12 円筒体
12a,12b 排出口
14 扉(可動部材)
15 可動スロープ(可動部材)
17 自動車玩具
18 ボタン(操作子)
20 基台
24 天井部
25 通路
26 スロープ
30 螺旋状スロープ
31 ストッパ(係止部材)
31a 水平軸
31c 被押圧片
32 壁
40a 環状起立壁
40b 歯車
40c 起立壁
40d 山部
41 駆動ユニット
41a モータ
41b 出力歯車
50b 被係止片
60 制御装置
61 光出力部
63 回転検出部
100 排出玩具