(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128848
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】チューブ状容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 35/12 20060101AFI20220829BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B65D35/12
B65D35/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027296
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】坂本 果穂
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA05
3E065BA11
3E065BA16
3E065BB03
3E065CA11
3E065DA16
3E065DB06
3E065DC01
3E065DD05
3E065FA04
3E065FA15
(57)【要約】
【課題】注出口部の平板状の周縁部に、プリーツを備えた上で取り付けられた、紙を含む胴部が、綺麗に形成され、外観が良く、その取り付け部分のシール性が安定し易いチューブ状容器を提供する。
【解決手段】胴部の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部を有し、坪量が30g/m
2より厚く300g/m
2より薄い紙を含む胴部は、胴部の中心側に折り曲げてフランジ部の周縁部に取り付けるために胴部の周方向に形成された第1の罫線と、所定の位置に形成された1本の山折り線とその左右の2本の谷折り線を1セットとして、その2セット以上が前記周縁部の周方向に沿って均等に形成されることで構成された第2の罫線を有し、前記周縁部は、胴部の高さ方向から見た形状が略円形であり、胴部の他端は、第1の罫線と第2の罫線に沿って折り曲げられて、前記周縁部上の胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながら前記周縁部に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉塞された胴部と、前記胴部の他端に取り付けられた注出口部とを含むチューブ状容器であって、
前記注出口部は、前記胴部の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部を有し、前記フランジ部の周縁部は前記胴部の高さ方向から見た形状が略円形であり、
前記胴部は、坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い紙を含み、
前記胴部の他端は、前記フランジ部の周縁部において、前記フランジ部の前記胴部の一端側とは反対側の面に取り付けられており、第1の罫線および第2の罫線を有し、前記第1の罫線および前記第2の罫線に沿って折り曲げられて、前記フランジ部の周縁部上の前記胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながら前記フランジ部の周縁部に取り付けられており、
前記第1の罫線は、山折り線で、前記胴部の中心側に折り曲げて前記フランジ部の周縁部に取り付けるために胴部の周方向に形成されており、
前記第2の罫線は、1本の山折り線と2本の谷折り線を1セットとして、その2セット以上が、前記フランジ部の周縁部の周方向に沿って均等に形成されることで構成され、
前記1本の山折り線は、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線の一点にかけて前記第1の罫線に対して略直角に延びる線であり、
前記2本の谷折り線は、前記第1の罫線の前記一点を頂点とし、前記胴部の他端側の縁を底辺とする二等辺三角形を形成するように、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線の頂点にかけて斜め方向で、前記1本の山折り線に対して左右対称に延びる線であり、
前記フランジ部の周縁部近傍の前記胴部の外周の長さをA、前記フランジ部の周縁部近傍の前記胴部の外周の直径をB、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線まで前記第1の罫線に対して略直角に延びる線の長さをC、前記胴部の他端側の縁における前記二等辺三角形の底辺の長さをD、前記1本の山折り線と前記2本の谷折り線のセット数をEとし、(B-C×2)の長さを直径とする円の円周の長さをFとしたとき、(A-F)/E=D、の関係を満たす、ことを特徴とするチューブ状容器。
【請求項2】
前記プリーツは、前記フランジ部の周縁部上の前記胴部の他端の外面に一方向に折り畳まれたことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ状容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のチューブ状容器の製造方法であって、
注出口部をマンドレルの上部に装着する工程と、
前記マンドレルに、胴部の高さ方向の長さが前記マンドレルの高さ方向の長さよりも長い胴部を挿入する工程と、
前記胴部をCの長さ前記マンドレルより出した位置で固定する工程と、
前記胴部に第1の罫線および第2の罫線を形成する工程とを含むことを特徴とするチューブ状容器の製造方法。
【請求項4】
前記胴部の融点以下の温度で加熱プレスすることにより、前記胴部に第1の罫線および第2の罫線を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のチューブ状容器の製造方法。
【請求項5】
前記胴部は、最外層に加熱により軟化する樹脂が用いられた積層シートにより構成され、前記加熱プレスにおいて、前記胴部が雌型の金型と接触され、前記胴部におけるその接触部分が熱収縮を起こすことで第1の罫線および第2の罫線を形成する工程を含む、請求項4に記載のチューブ状容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口部と胴部を有するチューブ状容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、化粧品、食品等を充填して包装することができるチューブ状容器が知られている。このチューブ状容器の一部を構成する胴部として、紙を含むシートが筒状に形成されたものが用いられ、その胴部が注出口部に取り付けられたものがある。
例えば、特許文献1には、一端が閉塞され、樹脂材料と紙を含むフィルム材で形成された筒状の胴部と、胴部の他端に取り付けられた、胴部の長手方向に直交する平板状の閉塞部を備える注出口部とを含むチューブ状容器が記載されている。
上記のような注出口部の周縁部が平板状であるチューブ状容器は、内方側に内容物の残留を可能とする空間を有さず、容器内部における内容物の残留を抑制することができる。
また、上記のようなチューブ状容器の胴部の注出口部への取り付け方法として、チューブ状容器の胴部の他端を、閉塞部の周縁部において、閉塞部の胴部の一端側とは反対側の面に取り付け、積層シートの内周同士が互いに接するように折り返されたプリーツを形成させる方法を採ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、注出口部の平板状の周縁部に、プリーツを備えた上で取り付けられた、紙を含む胴部が、綺麗に形成されず、外観が悪く、その取り付け部分のシール性が安定し難い、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、注出口部の平板状の周縁部に、プリーツを備えた上で取り付けられた、紙を含む胴部が、綺麗に形成され、外観が良く、その取り付け部分のシール性が安定し易いチューブ状容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、一端が閉塞された胴部と、前記胴部の他端に取り付けられた注出口部とを含むチューブ状容器であって、
前記注出口部は、前記胴部の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部を有し、前記フランジ部の周縁部は前記胴部の高さ方向から見た形状が略円形であり、
前記胴部は、坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い紙を含み、
前記胴部の他端は、前記フランジ部の周縁部において、前記フランジ部の前記胴部の一端側とは反対側の面に取り付けられており、第1の罫線および第2の罫線を有し、前記第1の罫線および前記第2の罫線に沿って折り曲げられて、前記フランジ部の周縁部上の前記胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながら前記フランジ部の周縁部に取り付けられており、
前記第1の罫線は、山折り線で、前記胴部の中心側に折り曲げて前記フランジ部の周縁部に取り付けるために胴部の周方向に形成されており、
前記第2の罫線は、1本の山折り線と2本の谷折り線を1セットとして、その2セット以上が、前記フランジ部の周縁部の周方向に沿って均等に形成されることで構成され、
前記1本の山折り線は、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線の一点にかけて前記
第1の罫線に対して略直角に延びる線であり、
前記2本の谷折り線は、前記第1の罫線の前記一点を頂点とし、前記胴部の他端側の縁を底辺とする二等辺三角形を形成するように、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線の頂点にかけて斜め方向で、前記1本の山折り線に対して左右対称に延びる線であり、
前記フランジ部の周縁部近傍の前記胴部の外周の長さをA、前記フランジ部の周縁部近傍の前記胴部の外周の直径をB、前記胴部の他端側の縁から前記第1の罫線まで前記第1の罫線に対して略直角に延びる線の長さをC、前記胴部の他端側の縁における前記二等辺三角形の底辺の長さをD、前記1本の山折り線と前記2本の谷折り線のセット数をEとし、(B-C×2)の長さを直径とする円の円周の長さをFとしたとき、(A-F)/E=D、の関係を満たす、ことを特徴とするチューブ状容器である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記プリーツは、前記フランジ部の周縁部上の前記胴部の他端の外面に一方向に折り畳まれたことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ状容器である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または2に記載のチューブ状容器の製造方法であって、
注出口部をマンドレルの上部に装着する工程と、
前記マンドレルに、胴部の高さ方向の長さが前記マンドレルの高さ方向の長さよりも長い胴部を挿入する工程と、
前記胴部をCの長さ前記マンドレルより出した位置で固定する工程と、
前記胴部に第1の罫線および第2の罫線を形成する工程とを含むことを特徴とするチューブ状容器の製造方法である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記胴部の融点以下の温度で加熱プレスすることにより、前記胴部に第1の罫線および第2の罫線を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のチューブ状容器の製造方法である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記胴部は、最外層に加熱により軟化する樹脂が用いられた積層シートにより構成され、前記加熱プレスにおいて、前記胴部が雌型の金型と接触され、前記胴部におけるその接触部分が熱収縮を起こすことで第1の罫線および第2の罫線を形成する工程を含む、請求項4に記載のチューブ状容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチューブ状容器は、注出口部が、胴部の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部を有するため、内方側に内容物の残留を可能とする空間を有さず、容器内部における内容物の残留を抑制できるという効果を発揮しつつ、さらに下記の効果を発揮する。
本発明のチューブ状容器は、胴部が、坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い紙を含み、その胴部は、第1の罫線および第2の罫線を有する。フランジ部の周縁部は、胴部の高さ方向から見た形状が略円形であり、第1の罫線は、山折り線で、胴部の中心側に折り曲げてフランジ部の周縁部に取り付けるために胴部の周方向に形成され、第2の罫線は、所定の位置に形成された1本の山折り線とその1本の山折り線に対して左右対称の2本の谷折り線を1セットとして、その2セット以上が、フランジ部の周縁部の周方向に沿って均等に形成されることで構成される。また、胴部の他端は、第1の罫線および第2の罫線に沿って折り曲げられて、フランジ部の周縁部上の胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながらフランジ部の周縁部に取り付けられている。よって、プリーツが胴部の周方向に沿って均等に形成され、胴部が綺麗に形成され、外観が良く、フランジ部との取り付け部分のシール性が安定し易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)本発明の実施形態に係るチューブ状容器の胴部と注出口部を取り付ける前の状態の、胴部の他端近傍と注出口部の正面斜視図である。(b)本発明の実施形態に係るチューブ状容器の胴部の他端をフランジ部の周縁部上で折り畳んで溶着加工を施した状態の、胴部の他端近傍と注出口部の正面斜視図である。
【
図2】(a)本発明の実施形態に係るチューブ状容器の正面図である。(b)本発明の実施形態に係るチューブ状容器の側面図である。
【
図3】
図2(b)の注出口部近傍のG-G線における拡大断面図である。
【
図4】(a)本発明の実施形態に係るチューブ状容器の平面図である。(b)
図4(a)のH-H線拡大断面図である。
【
図5】(a)
図1(a)のチューブ状容器の胴部の他端近傍の正面拡大図である。(b)
図1(a)のチューブ状容器の胴部をフランジ部の周縁部上で折り込み加工を施した状態の、胴部の他端近傍の正面拡大図である。(c)
図1(c)のチューブ状容器の胴部の他端近傍の正面拡大図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るチューブ状容器の胴部を構成する積層シートの断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るチューブ状容器の胴部に第1の罫線と第2の罫線を形成するための金型の一例の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の実施形態の例について説明する。
【0014】
図1(a)は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20と注出口部10を取り付ける前の状態の、胴部20の他端21近傍と注出口部10の正面斜視図である。
図1(b)は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20の他端21をフランジ部12の周縁部13上で折り畳んで溶着加工を施した状態の、胴部20の他端21近傍と注出口部10の正面斜視図である。
図2(a)は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の正面図である。
図2(b)は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の側面図である。
図3は、
図2(b)の注出口部10近傍のG-G線における拡大断面図である。
図4(a)は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のH-H線拡大断面図である。
【0015】
図2に示されるように、チューブ状容器100は、一端が閉塞された胴部20と、胴部20の他端21に取り付けられた注出口部10とを含み、内容物(図示せず)が収容されている。
図2では、上記胴部20の一端はチューブ状容器100の底部27である。
【0016】
胴部20は、坪量が30g/m
2より厚く300g/m
2より薄い紙を含む積層シート50により形成されている。胴部20は、例えば、略平行な一対の端縁を有する積層シート50を横断面形状が略円形の筒状に形成しつつ、積層シート50の一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させることにより背貼りシール部26(
図1、2では図示せず)が形成される。胴部20は、製袋機やピロー・スティック包装機などを用いて作製することができる。ここで、「横断面形状」とは、
図2のチューブ状容器100の中心軸Xに直交する平面(横断面)における胴部20の断面形状を意味する。
【0017】
底部27における積層シート50同士の接着方法は、特に限定されないが、例えば対向させた積層シート50の最内層同士の間にポリエチレンを含んだ接着層を設けて、これらを熱溶着する方法を用いることができる。
【0018】
図1、
図2に示されるように、注出口部10は、筒状の注出筒部11と、注出筒部11の一方端に接続され、胴部20の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部12を有す
る。フランジ部12は、注出筒部11の一端から外方に延出する部分である。フランジ部12の周縁部13は、胴部20の高さ方向から見た形状が略円形である。また、胴部20の他端21は、フランジ部12の周縁部13において、フランジ部12の胴部20の一端側とは反対側の面に取り付けられている。ここで、「高さ方向」とは、
図2のチューブ状容器100の中心軸Xの方向を意味する。
【0019】
注出口部10の材料は、特に限定されないが、低密度ポリエチレン等の樹脂材料を好適に用いることができる。また、胴部20と共に注出口部10にもバリア機能を付与した材料を用いることで、チューブ状容器100全体のバリア機能が向上し、内容物の品質をより保護することができる。フランジ部12を平板状に形成した注出口部10は、テーパ形状に形成された従来技術に係る注出口部10と比較して、使用する材料を低減することができる。
【0020】
フランジ部12は平板状であるため、従来技術のようにテーパ形状に形成されたフランジ部12とは異なり、内方側に内容物の残留を可能とする空間を有さない。このため、指等で胴部20をフランジ部12の端縁で折り曲げることにより、胴部20にわずかに残った内容物を、フランジ部12の内方側の平面と胴部20の内面とで挟み込むことにより注出口部10の開口の周辺へ向かって押し出すことができる。また、注出口部10の開口の周辺へ向かって押し出された内容物を、胴部20および注出口部10の内部へ残留させることなく開口から絞り出すことができる。この結果、容器内部における内容物の残留を抑制することができる。
【0021】
なお、上述のように、胴部20を折り曲げながら内容物を絞り出すことで内容物の残留を抑制することができる。このため、胴部20を容易に折り曲げることが可能となる、剛性が低い(コシが強くない)積層シート50で胴部20を形成することが好ましい。
【0022】
胴部20を構成する積層シート50の厚みを30μm以上300μm以下とすることで、チューブ状容器100の胴部20を容易に折り曲げることが可能となるため、容易に成型することができるととともに、軽い力で内容物を絞り出しやすく、内容物の残留を抑制できる。
【0023】
図3に示されるように、胴部20の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部12の周縁部13において、フランジ部12の胴部20の一端側とは反対側の面に、胴部20の他端21が取り付けられている。また、
図4(b)に示されるように、胴部20の他端21は、積層シート50の内面同士が互いに接するように折り込まれたプリーツ23を形成させながら周縁部13に取り付けられている。このプリーツ23は、フランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面に一方向(右方向または左方向)に折り畳まれて、フランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面同士がシールされている。プリーツ23を一方向に折り畳むことで、より安定した綺麗なプリーツ23を形成することが可能となる。ここで「周縁部上」とは、周縁部13の胴部20の一端側とは反対側の面を意味する。また、「胴部の他端の外面」とは、胴部20の他端21の内容物と反対側の面を意味する。
【0024】
また、
図1に示されるように、胴部20の他端21は、第1の罫線24および第2の罫線25を有し、第1の罫線24および第2の罫線25に沿って折り曲げられて、フランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面に折り畳まれたプリーツ23を形成させながら周縁部13に取り付けられている。
【0025】
図1(a)は、第1の罫線24と第2の罫線25が形成された胴部20と注出口部10を離して示されている。しかし、後述するように、チューブ状容器100の製造方法によ
っては、注出口部10が装着されたマンドレルに挿入された胴部20に第1の罫線24と第2の罫線25が形成されている。
【0026】
図1(a)に示されるように、第1の罫線24は、山折り線で、胴部20の中心側に折り曲げてフランジ部12の周縁部13に取り付けるために胴部20の周方向に形成されている。例えば、胴部20の周方向に直線状に形成されている。
【0027】
第2の罫線25は、1本の山折り線251と2本の谷折り線2521、2522を1セットとして、その2セット以上が、フランジ部12の周縁部13の周方向に沿って均等に形成されることで構成される。
【0028】
図5(a)は、
図1(a)のチューブ状容器100の胴部20の他端21近傍の正面拡大図である。つまり、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20と注出口部10を取り付ける前の状態の、胴部20の他端21近傍の正面拡大図である。
図5(b)は、
図1(a)のチューブ状容器100の胴部20をフランジ部12の周縁部13上で折り込み加工を施した状態の、胴部20の他端21近傍の平面拡大図である。
図5(c)は、
図1(c)のチューブ状容器100の胴部20の他端21近傍の平面拡大図である。つまり、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20の他端21をフランジ部12の周縁部13上で折り畳んで溶着加工を施した状態の、胴部20の他端21近傍の平面拡大図である。
【0029】
図5は、胴部20の内周面側を示す。
図5において、注出口部はあえて図示していない。
【0030】
図5(a)に示されるように、1本の山折り線251は、胴部20の他端側の縁22から第1の罫線24の一点にかけて第1の罫線24に対して略直角に延びる線である。2本の谷折り線2521、2522は、第1の罫線24の前記一点を頂点とし、胴部20の他端側の縁22を底辺とする二等辺三角形を形成するように、胴部20の他端側の縁22から第1の罫線24の頂点にかけて斜め方向で、1本の山折り線251に対して左右対称に延びる線である。
図5などにおいて、第1の罫線24の前記一点から1本の山折り線251に対して左斜め上方向に延びる線を第1の谷折り線2521、第1の罫線24の前記一点から1本の山折り線251に対して右斜め上方向に延びる線を第2の谷折り線2522とする。1本の山折り線251は、第1の谷折り線2521と第2の谷折り線2522により形成された、胴部20の他端側の縁22を底辺とする二等辺三角形を2分する線となる。
【0031】
フランジ部12の周縁部13近傍の胴部20の外周の長さをA、フランジ部12の周縁部13近傍の胴部20の外周の直径をB、胴部20の他端側の縁22から第1の罫線24まで第1の罫線24に対して略直角に延びる線の長さ(フランジ部12の周縁部上への胴部20の折り曲げ量)をCとする(
図5(a)参照)。また、胴部20の他端側の縁22における二等辺三角形の底辺の長さをD、1本の山折り線251と前記2本の谷折り線2521、2522のセット数をEとする。また、(B-C×2)の長さを直径とする円の円周(フランジ部12の周縁部上に折り曲げた胴部20の他端21の縁22により形成される円の円周)の長さをFとしたとき、(A-F)/E=D、の関係を満たす。
【0032】
例えば、フランジ部12の周縁部13近傍の胴部20の外周の長さ(A)が約110mm、フランジ部12の周縁部13近傍の胴部20の外周の直径(B)が35mmで、胴部20の他端側の縁22から第1の罫線24まで第1の罫線24に対して略直角に延びる線の長さ(C)を5mmとする。この場合、(B-C×2)の長さは25mmであり、その25mmを直径とする円の円周の長さ(F)は約78.5mmとなる。(A-F)の長さ
は約31.5mmであり、1本の山折り線251とその山折り線251の左右の第1の谷折り線2521と第2の谷折り線2522のセット数(E)を10とした場合、胴部20の他端側の縁22における二等辺三角形の底辺の長さ(D)は、(A-F)/E、つまり、約31.5/10で、約3.2mmとなる。
【0033】
胴部20は、坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い紙を含み、その胴部20の他端21に、上記のとおり第1の罫線24と第2の罫線25が形成され、胴部20の他端21が、その第1の罫線24および第2の罫線25に沿って折り曲げられて、フランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面に折り畳まれたプリーツ23を形成させながらフランジ部12の周縁部13に取り付けられている。
よって、注出口部10の平板状のフランジ部12に、プリーツ23が胴部20の周方向に沿って均等に形成され、胴部20が綺麗に形成され、外観が良く、フランジ部12との取り付け部分のシール性が安定し易い。
【0034】
また、
図2や
図3に示されるように、注出口部10は、一例として略中心部に円環状のハーフカット15を有する閉塞部14を有し、ハーフカット15の内側にプルリング16を備える。閉塞部14が、ハーフカット15とプルリング16とを備えることにより、チューブ状容器100の使用者は、プルリング16を引っ張りハーフカット15に沿って閉塞部14の一部を除去することで、閉塞部14に内容物を取り出すための開口を形成することができる。なお、ハーフカット15とプルリング16とを設けずに、注出口部10に内容物を取り出すための開口をあらかじめ形成してもよい。
【0035】
チューブ状容器100は、注出口部10の注出筒部11に着脱可能なキャップ(図示せず)を備えていても良い。着脱可能なキャップとしては例えば、注出口部10に取り付けられるヒンジキャップや、螺合により着脱可能なスクリューキャップなどが挙げられる。チューブ状容器100が着脱可能なキャップを備える場合、チューブ状容器100の開栓後に再封することが容易となる。
【0036】
キャップとして、ヒンジキャップを設けると、注出筒部11と螺合し、回転させて開栓するキャップを設ける場合に比べて、開栓時に手でつかまれる胴部20に要求される捩じれに対する剛性を低減できるので、剛性が低い積層シート50を採用しやすく好ましい。
【0037】
図6は、本実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。
【0038】
胴部20は、紙を主体とする積層シート50より構成される。積層シート50の総厚は、30μ以上300μm以下であることが好ましい。
【0039】
積層シート50は、紙層51の一方面に、基材フィルム層52、バリア層53およびシーラント層54をこの順に積層し、紙層51の他方面に、紙保護層55を積層し、紙保護層55上にインキ層56及びオーバーコートニス層57を積層し、熱溶着性コート層58をパターンコートした多層シートである。以下、各層の詳細を説明する。
【0040】
(紙層)
紙層51は、チューブ状容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層51を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層51を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙または耐油紙を使用しても良い。また、紙層51はセルロース繊維を50%以上含む紙であれば良く、セルロース繊維の他に樹脂繊維を含む混抄紙であっても良い。
【0041】
紙層51に用いる紙の坪量は、30g/m2より厚く300g/m2より薄く、50g/m2以上250g/m2以下であることがより好ましい。紙層51に用いる紙の坪量が30g/m2以下である場合、胴部20に第1の罫線24と第2の罫線25を綺麗に形成させることができず、300g/m2以上である場合、胴部20をフランジ部12の周縁部13へシールする時に、段差が埋まり難く、リークが発生する。
【0042】
(基材フィルム層)
基材フィルム層52は、積層シート50に耐熱性と物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層52は、バリア層53の基材となる層でもある。基材フィルム層52を構成するフィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。ただし、基材フィルム層52を紙により構成しても良い。
【0043】
(バリア層)
バリア層53は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層53は、例えば、ナイロン、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。バリア層53は、予め基材フィルム層52上に積層されてバリアフィルムを構成していても良いし、単層膜として設けられても良い。
【0044】
(シーラント層)
シーラント層54の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層54には、軟化温度が基材フィルム層52の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層54の軟化温度が、基材フィルム層52の軟化温度より20℃以上低くない場合、シール時に基材フィルム層52が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。シーラント層54の軟化温度は、基材フィルム層52の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。
【0045】
シーラント層54に用いる熱可塑性樹脂は、注出口部10の材料を構成する熱可塑性樹脂に対して接着性を有するものであれば良いが、注出口部10に用いる熱可塑性樹脂と同じ材質であることが好ましい。シーラント層54に用いる熱可塑性樹脂と注出口部10に用いる熱可塑性樹脂層とを同じにすることにより、胴部20と注出口部10とのシール強度を向上させることができる。
【0046】
(紙保護層)
紙保護層55は、積層シート50を構成する紙層51への内容物や汚れの付着から保護するための層である。紙保護層55の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層55を積層することができる。紙保護層55の厚みは、0.2~50μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましい。紙保護層55の厚みが0.2μm未満である場合、紙保護層55にピンホールが発生する可能性があり、紙層51の保護が不十分となる場合がある。また、紙保護層55の厚みが50μmを超える場合、樹脂使用量や製造コストの面で好ましくない。
【0047】
(インキ層、オーバーコートニス層)
インキ層56は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、オーバーコートニス層57は、耐摩性等を付与するための層である。インキ層56とオーバーコートニス層57の積層順序は
図6と逆であっても良い。また、オーバーコートニス層57が紙保護層55を兼ねていても良い。
【0048】
(熱溶着性コート層)
熱溶着性コート層58は、積層シート50の外面に熱溶着性を付与するための層である。本実施形態では、積層シート50の外面にパターンコート(部分コート)した熱溶着性コート層58により、背貼りシール部26の外面を胴部20の外面にシールしていると共に、胴部20の他端21に形成されるプリーツ23を折り畳んでフランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面同士をシールしている。
【0049】
熱溶着性コート層58を積層シート50の表面の一部に設ける場合、シール対象箇所、すなわち、背貼りシール部26の外面と胴部20の外面とが接触する部分と、胴部20の他端21に形成されるプリーツ23を折り畳んでフランジ部12の周縁部上の胴部20の他端21の外面同士が接触する部分とに熱溶着性コート層58が設けられていれば良い。ただし、シール対象箇所において接触する面の一方にのみ熱溶着性コート層58を設けても良い。
【0050】
熱溶着性コート層58は、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルアセテート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を含むコート剤を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。コート剤には、熱可塑性樹脂の他に、ブロッキング防止のための無機物等を配合しても良い。
【0051】
熱溶着性コート層58を形成するためのコート剤の塗布量は、0.2~40g/m2であり、3.0~30g/m2であることが好ましい。コート剤の塗布量が0.2g/m2未満の場合、積層シート50の外面同士の接着強度が不足し、背貼りシール部26やプリーツ23の胴部20の他端21外面への溶着部分の積層シート50が跳ね上がる現象が発生する。一方、コート剤の塗布量が40g/m2を超える場合、摩擦係数が大きくなり、製袋機等の加工装置に対する機械適性が低下したり、積層シート50同士のブロッキングが発生しやすくなったりする。
【0052】
熱溶着性コート層58は、積層シート50の全面に設けても構わないが、積層シート50の表面の摩擦係数が大きくなるため、胴部20を加工する工程及びその後の工程での機械適性が低下する場合がある。したがって、熱溶着性コート層58は、コート剤をパターンコートすることにより、積層シート50の表面の一部に設けることが、機械適性の面でより好ましい。
【0053】
なお、
図6に示した積層シート50の層構成において、基材フィルム層52、バリア層53、紙保護層55、インキ層56及びオーバーコートニス層57の1層以上を省略しても良い。
【0054】
チューブ状容器100の製造方法は、チューブ状容器100の胴部20を形成する工程と胴部20を注出口部10に取り付ける工程とが含まれる。
【0055】
次に、チューブ状容器100の胴部20を形成する方法について説明する。
【0056】
例えば、胴部20は、積層シート50が搬送装置により搬送されながら順次加工される。横断面形状が略円形の板状の治具に積層シート50を巻き付け、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分同士を重ね合わせる。次に、断面が逆T字形のガイドを用いて、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分同士を立ち上げ、それぞれの内面同士をガイドを挟んで合掌状に対向させる。次に、平板状のガイドを用いて、積層シート50の内面同士を合掌状に突き合わせた部分を約90度折り曲げて、3枚の積層シート50を重ね合わせた状態とする。この状態で、シールバーを用いてシールすることにより、積層シート50の内面同士を溶着させて背貼りシール部26を形成すると同時に、熱溶着性コート層58により背貼りシール部26が胴部20の外面に溶着した胴部20を形成することができる。
【0057】
次に、胴部20を注出口部10に取り付ける方法について説明する。
【0058】
胴部20を注出口部10に取り付ける方法として、注出口部10をマンドレルの上部に装着する工程と、マンドレルに、胴部20の高さ方向の長さが前記マンドレルの高さ方向の長さよりも長い胴部20を挿入する工程と、胴部20をCの長さ前記マンドレルより出した位置で固定する工程と、胴部20に第1の罫線24および第2の罫線25を形成する工程とを含めることができる。
【0059】
例えば、注出口部10をマンドレルの上部に装着した後、そのマンドレルに、胴部20の高さ方向の長さがマンドレルの高さ方向の長さよりも長い胴部20を挿入し、胴部20をCの長さマンドレルより出した位置で固定する。その後、胴部20に、雌型の金型にて第1の罫線24および第2の罫線25を形成する。
【0060】
胴部20への第1の罫線24および第2の罫線25の形成については、胴部20の融点以下の温度で加熱プレスすることにより、胴部20に第1の罫線24および第2の罫線25を形成することができる。この方法は、胴部20に、デッドホールド性の低い材料や、剛性の高い材料を利用するときにも有効である。
【0061】
また、胴部20を構成する積層シート50の最外層に、加熱により軟化する樹脂が用いられる場合、前記加熱プレスにおいて、雄型の金型を使用せずに、胴部20が雌型の金型と接触され、胴部20におけるその接触部分が熱収縮を起こすことで、第1の罫線24および第2の罫線25を形成することもできる。こうすることで、プリーツ23が周縁部13の周方向に沿って均等に形成されて、胴部が綺麗に形成され、フランジ部12との取付け部分のシール性の安定し易いチューブ状容器100を生産することが可能となる。
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20に第1の罫線24と第2の罫線25を形成するための金型の一例の正面斜視図である。
【0063】
例えば、胴部20の他端21の形状を雄型として、その雄型と対応する、
図7に示されるような雌型の横断面形状が星形の錐台形状の金型70を用いて、胴部20の他端21に第1の罫線24および第2の罫線25を形成することができる。
【0064】
また、第1の罫線24と第2の罫線25の形成については、上記のように胴部20と周縁部13との溶着直前以外に、積層シート50のロール原反の状態、またはスリーブの状態などに形成してもよい。積層シート50のロール原反の状態で第1の罫線24と第2の罫線25の形成する場合、雄型と雌型の金型を用いて罫線を形成してもよい。
【0065】
上記の通り第1の罫線24と第2の罫線25を形成後、第1の罫線24に沿って胴部20の他端21を胴部20の中心側に折り曲げると共に、
図5(b)に示されるように、第2の罫線25の山折り線251と谷折り線2521、2522に沿って、フランジ部12の周縁部13において積層シート50の内面同士が互いに接するように折り込まれたプリーツ23を形成し、
図5(c)に示されるように、例えば第2の谷折り線2522に沿って周縁部13上の胴部20の他端21の外面に一方向に折り畳む。次に、胴部20の他端21の上方から胴部20の他端21の全体をリング状の加熱圧着手段により加熱および加圧して、プリーツ23を周縁部13上に溶着する。なお、加熱圧着手段による溶着の具体的な方法としては、熱板プレス、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等の方法を用いることができる。また、胴部20の他端21とフランジ部12の周縁部13とを、互いに接する外面同士が熱溶着性を有する材料を用いてシールすることができる。例えば胴部20を構成する積層シート50の最内層にポリエチレンを含んだシーラント層54を設けるとともに、ポリエチレンを含んだ材料で注出口部10を形成して、これらを熱溶着する方法を用いることができる。
【0066】
合掌状に突き合わせて溶着させることにより形成された背貼りシール部26により胴部20を形成した場合、その背貼りシール部26は剛性が高く、プリーツ23を形成し難く、シール性も劣るため、
図4(a)、(b)に示されるように、その背貼りシール部26については、プリーツ23を形成させないことが望ましい。合掌状に突き合わせて溶着させることにより形成された背貼りシール部26の左右部分は、肉厚差も大きくなるため、わざとプリーツ23を形成させて、肉厚の極端な差を回避することも可能である。
【実施例0067】
本願発明者は、実施例1~3および比較例1、2のチューブ状容器を用いて、チューブ状容器の外観、および、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性の安定し易さを確認する試験を実施した。実施例1~3および比較例1のチューブ状容器について次に説明する。
【0068】
(実施例1)
実施例1のチューブ状容器は、
図1などで示される上記の実施形態のチューブ状容器100と同じ構造のチューブ状容器である。
【0069】
注出口部はポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されたものを使用し、胴部を構成する積層シートの層構成は、胴部の外周面を有する最外層側から、ポリエチレン(PE)(15μm)/紙(70g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)である。
【0070】
上記の紙は、その坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄いものを使用した。
【0071】
フランジ部の周縁部近傍の胴部の外周の長さ(A)は約110mmであり、フランジ部の周縁部近傍の胴部の外周の直径(B)は35mmであり、胴部の他端側の縁から第1の罫線まで第1の罫線に対して略直角に延びる線の長さ(C)を5mmである。よって、(B-C×2)の長さは25mmであり、その25mmを直径とする円の円周の長さ(F)は約78.5mmである。(A-F)の長さは約31.5mmであり、1本の山折り線とその左右の第1の谷折り線と第2の谷折り線のセット数(E)を10とし、胴部の他端側の縁における二等辺三角形の底辺の長さ(D)は、(A-F)/E、つまり、約31.5/10で、約3.2mmである。
【0072】
プリーツは、フランジ部の周縁部上の胴部の他端の外面に一方向に折り畳まれ、胴部の他端の外面にシールされている。また、合掌状に突き合わせて溶着させることにより形成された背貼りシール部により胴部が形成されており、
図4(a)、(b)に示されるように、背貼りシール部にプリーツを形成させておらず、背貼りシール部の左右部分には、わざとプリーツを形成させた。
【0073】
胴部を注出口部に取り付ける方法は、次に説明する通りである。
注出口部をマンドレルの上部に装着した後、そのマンドレルに、胴部の高さ方向の長さがマンドレルの高さ方向の長さよりも長い胴部を挿入し、胴部20をCの長さマンドレルより出した位置で固定した。その後、胴部に、雌型の金型を用いて、胴部の融点以下の温度で加熱プレスし、第1の罫線および第2の罫線を形成した。
【0074】
また、前記加熱プレスにおいて、胴部が雌型の金型と接触され、胴部におけるその接触部分が熱収縮を起こすことで、第1の罫線および第2の罫線を形成した。
【0075】
胴部の他端の形状を雄型として、その雄型と対応する、
図7に示されるような雌型の横断面形状が星形の錐台形状の金型70を用いて、胴部の他端に第1の罫線および第2の罫線を形成した。
【0076】
(実施例2)
実施例2のチューブ状容器は、実施例1のチューブ状容器と、胴部を構成する積層シートの層構成のみが異なり、それ以外は同じである。
【0077】
実施例2のチューブ状容器の胴部を構成する積層シートの層構成は、胴部の外周面を有する最外層側から、紙(70g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)である。
【0078】
(実施例3)
実施例3のチューブ状容器は、実施例1のチューブ状容器と、胴部を構成する積層シートの層構成のみが異なり、それ以外は同じである。
【0079】
実施例3のチューブ状容器の胴部を構成する積層シートの層構成は、胴部の外周面を有する最外層側から、紙(120g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)である。
【0080】
(比較例1)
比較例1のチューブ状容器は、実施例1のチューブ状容器と、胴部に含まれる紙の坪量のみが異なり、それ以外は同じである。比較例1のチューブ状容器の胴部に含まれる紙は、その坪量が30g/m2以下のものを使用した。
【0081】
(比較例2)
比較例2のチューブ状容器は、実施例1のチューブ状容器と、胴部に含まれる紙の坪量のみが異なり、それ以外は同じである。比較例2のチューブ状容器の胴部に含まれる紙は、その坪量が300g/m2以上のものを使用した。
【0082】
(試験方法)
実施例1~3、および比較例1、2のチューブ状容器について、チューブ状容器の外観、および、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性の安定し易さを確認した。
【0083】
(試験結果・考察)
実施例1~3は、いずれも、周縁部の周方向に沿って均等にプリーツが形成され、胴部が綺麗に形成されて、チューブ状容器の外観が良好であるとともに、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性が安定し易かった。また、胴部を構成する積層シートの最外層に、加熱により軟化する樹脂であるポリエチレンが用いられている実施例1は、実施例1および2よりさらに、胴部が綺麗に形成されて、チューブ状容器の外観が良好であるとともに、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性が安定し易かった。
一方、比較例1は、第1の罫線および第2の罫線が綺麗に形成されず、比較例2は、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール時に、段差が埋まり難く、リークが発生した。よって、比較例1、2ともに、プリーツ形成部分の外観が悪く、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性が安定し難かった。
【0084】
以上の試験結果より、第1の罫線と第2の罫線を有し、胴部の他端は、第1の罫線および第2の罫線に沿って折り曲げられて、フランジ部の周縁部上の胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながらフランジ部の周縁部に取り付けられたチューブ状容器で、胴部に含まれる紙の坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い場合、チューブ状容器の外観が良好であるとともに、胴部の他端とフランジ部の周縁部とのシール性が安定し易いことが分かる。
【0085】
以上の通り、本発明のチューブ状容器は、注出口部が、胴部の高さ方向に直交する平板状であるフランジ部を有するため、内方側に内容物の残留を可能とする空間を有さず、容器内部における内容物の残留を抑制できるという効果を発揮しつつ、さらに下記の効果を発揮する。
本発明のチューブ状容器は、胴部が、坪量が30g/m2より厚く300g/m2より薄い紙を含み、その胴部は、第1の罫線および第2の罫線を有する。フランジ部の周縁部は、胴部の高さ方向から見た形状が略円形であり、第1の罫線は、山折り線で、胴部の中心側に折り曲げてフランジ部の周縁部に取り付けるために胴部の周方向に形成され、第2の罫線は、所定の位置に形成された1本の山折り線とその1本の山折り線に対して左右対称の2本の谷折り線を1セットとして、その2セット以上が、フランジ部の周縁部の周方向に沿って均等に形成されることで構成される。また、胴部の他端は、第1の罫線および第2の罫線に沿って折り曲げられて、フランジ部の周縁部上の胴部の他端の外面に折り畳まれたプリーツを形成させながらフランジ部の周縁部に取り付けられている。よって、プリーツが胴部の周方向に沿って均等に形成され、胴部が綺麗に形成され、外観が良く、フランジ部との取り付け部分のシール性が安定し易い。