(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128850
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】車両盗難防止システムおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20220829BHJP
B60J 1/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B60R25/01
B60J1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027298
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上村 博典
(57)【要約】
【課題】ウィンドウガラスが破損されずにドアが開錠された場合であっても、車両の盗難を防止することができる車両盗難防止技術を提供する。
【解決手段】車両の少なくともフロントウィンドウに備えられた調光フィルム1と、調光フィルムの透明/不透明の切り替えを行う調光フィルム駆動回路2と、少なくとも、車両のドアが異常に開錠されたことを検知するドア異常開錠検知センサ4と、車両のドアウィンドウが破損されたことを検知するドアウィンドウ破損検知センサ5と、エンジンが不正な方法で始動されたことを検知するエンジン異常始動検知センサ6と、を備えている異常検知センサ9と、異常検知センサからの信号を受信し、受信した信号に基づいて、調光フィルム駆動回路を制御する制御装置3と、を備えていることを特徴とする車両盗難防止システム10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常検知時に車両のフロントウィンドウの視界を遮蔽することにより、車両の運転を不可能とする車両盗難防止システムであって、
車両の少なくともフロントウィンドウに備えられた調光フィルムと、
調光フィルムの透明/不透明の切り替えを行う調光フィルム駆動回路と、
少なくとも、
車両のドアが異常に開錠されたことを検知するドア異常開錠検知センサと、
車両のドアウィンドウが破損されたことを検知するドアウィンドウ破損検知センサと、
エンジンが不正な方法で始動されたことを検知するエンジン異常始動検知センサと、を備えている異常検知センサと、
異常検知センサからの信号を受信し、受信した信号に基づいて、調光フィルム駆動回路を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする車両盗難防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の盗難防止システムとその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車の所有方法に関する利用者の考え方が変わってきており、マイカーを購入しない利用者が増えてきている。その一方で、マイカーを購入せずに利用する需要が増えている。例えば、サブスク(サブスクリプションの略;製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式)によりマイカーを購入せずに従来通りマイカーを利用する方法や、レンタカーやカーシェアにより、車を利用したい時だけ利用する人が増えている。
【0003】
レンタカーやカーシェアの形態として、従来のレンタカーは、レンタカー会社の受付で申し込みをすることで利用可能となったが、利便性の向上や低コスト化のために、無人の駐車場に、申し込みを受付けて、利用可能とする装置を設置し利用するサービスが出てきている。
【0004】
例えば、スマートフォンにアプリ(アプリケーションソフトウェア)をインストールしておくことで、インターネット経由で自動車メーカーなどの無人レンタカーステーションに保管されている車を予約して利用可能とするサービスが提供されている。
【0005】
また、無人駐車場に受付け装置を設置しておき、その受付け装置で利用申し込みを行うことにより、いつでも利用可能とするサービスの提供も行われている。
【0006】
このような無人駐車場で24時間利用可能とするサービスにおいて、自動車の盗難のリスクが高まっている。盗難防止装置を設置しておいても、力ずくで自動車を奪ってしまう盗難事件が増加している。
【0007】
自動車などの車両の盗難防止技術に関する先行技術としては、例えば、特許文献1に、ウィンドウガラスを破って車内に侵入した後、ハンドルロックおよびキーシリンダを破壊して車両を盗もうとする窃盗に対して有効な車両用盗難防止装置を提供することを課題とした盗難防止技術が開示されている。具体的には、車両のウィンドウガラスが破られたことを検知するウィンドウガラス破損検知手段と、前記ウィンドウガラス破損検知手段にてウィンドウガラスの破損が検知されるのに応答して、当該車両を走行不能な状態とする走行不能化手段と、を具備することを特徴とする車両用盗難防止装置となっている。しかしながらこの技術は、ウィンドウガラスを破損しないでドアを開けた場合には、その異常を検知することができない。そのため、エンジンコントロールユニットは正常に動作し、ハンドルロックやキーシリンダを破壊することにより車両を盗難することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、ウィンドウガラスが破損されずにドアが開錠された場合であっても、車両の盗難を防止することができる車両盗難防止技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、異常検知時に車両のフロントウィンドウの視界を遮蔽することにより、車両の運転を不可能とする車両盗難防止システムであって、
車両の少なくともフロントウィンドウに備えられた調光フィルムと、
調光フィルムの透明/不透明の切り替えを行う調光フィルム駆動回路と、
少なくとも、
車両のドアが異常に開錠されたことを検知するドア異常開錠検知センサと、
車両のドアウィンドウが破損されたことを検知するドアウィンドウ破損検知センサと、
エンジンが不正な方法で始動されたことを検知するエンジン異常始動検知センサと、を備えている異常検知センサと、
異常検知センサからの信号を受信し、受信した信号に基づいて、調光フィルム駆動回路を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする車両盗難防止システムである。
【0011】
また、第2の態様は、第1の態様に記載の車両盗難防止システムの動作方法であって、
前記車両の前記ドアが正規に開錠されたかどうかを判定し、前記車両の前記ドアが、正規に開錠された場合にはステップS2に進み、正規に開錠されなかった場合には、ステップ6に進むステップS1と、
前記車両の前記ドアウィンドウが破損されたかどうかを判定し、前記車両の前記ドアウィンドウが、破損されていない場合にはステップS3に進み、破損されている場合には、ステップ6に進むステップS2と、
前記エンジンが不正な結線や不正な電波によって始動されたかどうかを判定し、前記エンジンが、正規に始動された場合にはステップS4に進み、正規に始動されなかった場合には、ステップ6に進むステップS3と、
前記制御装置が前記調光フィルム駆動回路に対し、前記調光フィルムを透明にする信号を発信するステップS4と、
前記車両の前記フロントウィンドウが透明になり、前記車両を安全に運転可能な状態となるステップS5と、
前記制御装置が前記調光フィルム駆動回路に対し、前記調光フィルムを不透明にする信号を発信するステップS6と、
前記車両の前記フロントウィンドウが不透明になり、前記車両を安全に運転不可能な状態となるステップS7と、を備えていることを特徴とする車両盗難防止システムの動作方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両盗難防止システムによれば、少なくとも、ドア異常開錠検知センサと、ドアウィンドウ破損検知センサと、エンジン異常始動センサを備え、それらのセンサからの信号に基づいて、制御装置が調光フィルム駆動回路を制御し、少なくとも車両のフロントウィンドウに設置された調光フィルムの透明/不透明の切り替えを行う。そのため、ドアが異常に開錠されても、またドアウィンドウが破損されても、またエンジンが正規の方法で始動されなかった場合でも、異常を検知し、少なくともフロントウィンドウの視界が遮られる。そのため、エンジンを不正に始動させることができても、前方の視界が遮られていることにより、車両を運転することが不可能となり、盗難を防止することができる。
【0013】
また、本発明の車両盗難防止システムの動作方法によれば、本発明の車両盗難防止システムを適正に運用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の車両盗難防止システムの構成例を説明する説明図。
【
図2】本発明の車両盗難防止システムの動作例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<車両盗難防止システム>
本発明の実施形態の車両盗難防止システムについて、
図1と
図3を用いて説明する。
【0016】
本実施形態の車両盗難防止システム10は、異常検知時に車両のフロントウィンドウの視界を遮蔽することにより、車両の運転を不可能とする車両盗難防止システムである。
車両のフロントウィンドウの視界が遮蔽されるため、車両を運転して盗難することが不可能となる。そのため、力ずくで車両を盗難することを防止することができる。
【0017】
本発明の車両盗難防止システム10は、
図1に示したように、調光フィルム1と、調光フィルム駆動回路2と、制御装置3と、少なくとも、ドア異常開錠検知センサ4とドアウィンドウ破損検知センサ5とエンジン異常始動検知センサ6を備えた異常検知センサ9と、を備えている。
【0018】
調光フィルム1と調光フィルム駆動回路2とは配線7により接続され、調光フィルム駆動回路2により調光フィルム1の透明/不透明の状態の切り替えおよびそれらの状態の中間的な状態を制御することも可能な状態となっている。
【0019】
また、調光フィルム駆動回路2は制御装置3と配線8-1によって接続されている。制御装置3から送信された信号に基づき、調光フィルム駆動回路2が調光フィルム1に供給する電圧を制御する。なお、調光フィルム駆動回路2には、制御装置3と接続する配線8-1の他に調光フィルム1を駆動するための電力を供給する配線が接続されていても良いし、配線8-1がそれを兼ねていても良い。
【0020】
また、制御装置3は、少なくとも、ドア異常開錠検知センサ4とは配線8-2により、またドアウィンドウ破損検知センサ5とは配線8-3により、またエンジン異常始動検知センサ6とは配線8-4により、それぞれ接続されている。それ以外の検知センサと接続されていても良い。
制御装置3は、コンピュータ装置を好適に使用することができる。例えば、乗用車にはすでにコンピュータ装置が搭載されており、プログラムを追加搭載することにより、制御装置3としての機能を備えることができる。
【0021】
本発明の車両盗難防止システム10は、車両の少なくともフロントウィンドウに備えられた調光フィルム1を備えている。車両のうち、例えば
図3に例示した自動車20においては、自動車20の前方に備えられたフロントウィンドウ11と、後方に備えられたリアウィンドウ13と、ドアに備えられたドアウィンドウ12などが設置されている。フロントウィンドウ11とドアウィンドウ12とリアウィンドウ13のすべてに調光フィルムを備えていても良いが、少なくともフロントウィンドウ11の全面に調光フィルムを備えていることにより、自動車20の前方の視界が遮ることが可能となる。何らかの異常を検知し、調光フィルムを不透明にすることで視界を遮蔽することにより、自動車20のエンジンを始動させることができたとしても、運転して盗難することができなくなる。
【0022】
調光フィルム1は、自動車20のフロントウィンドウ11などの内側(自動車20の室内側)に貼り付けられた構成であっても良いし、合わせガラスの中に備えられた構成であっても構わない。また、調光フィルム1は、少なくとも、透明基材の表面に透明導電膜が形成された2枚の透明導電基材の透明導電膜側に内側にして、調光層を積層した積層体である。透明基材は透明樹脂フィルムや透明ガラスシートなどを使用することができる。
【0023】
調光層には、通常、PNLC(ポリマーネットワーク液晶)やPDLC(高分子分散型液晶)などの液晶材料が使用される。調光フィルム1の一対の透明導電膜間に電圧(通常は交流電圧)を印加することにより、光散乱の状態を変化させることにより、透明/不透明を切り替えることができる。また、調光層には、ノーマルタイプとリバースタイプがある。ノーマルタイプは、電圧を印加している状態で透明となり、電圧を切ると不透明となるものである。リバースタイプはその逆に、電圧を印加している状態で不透明となり、電圧を切ると透明な状態となるものである。
【0024】
また、本発明の車両盗難防止システム10は、調光フィルム1の透明/不透明の切り替えを行う調光フィルム駆動回路2を備えている。調光フィルム駆動回路2は、調光フィルム1の一対の透明導電膜間に印加する電圧を供給する装置である。透明/不透明の2段階切り替えのみを行うものであっても良いし、透明/不透明に加えて、その中間的な光散乱状態を作り出せる電圧を供給可能な駆動回路であっても良い。
【0025】
また、本発明の車両盗難防止システム10は、少なくとも、車両のドアが異常に開錠されたことを検知するドア異常開錠検知センサ4と、車両のドアウィンドウ12(
図3参照)が破損されたことを検知するドアウィンドウ破損検知センサ5と、エンジンが不正な方法で始動されたことを検知するエンジン異常始動検知センサ6と、を備えている異常検知センサ9を備えている。
【0026】
ドア異常開錠検知センサ4の機構は、正常に開錠されなかったことを検知可能な機構であれば、特に限定する必要は無い。例えば、電磁波などにより開錠信号を送信し、正しい開錠信号を受信することによって開錠した場合や、従来から使用されてきた物理的な鍵を鍵穴に挿入して回転させることによって開錠した場合であれば異常として検知しないが、それ以外の場合は異常として検知する機構であればよい。例えば、電磁波を使用する施錠装置の場合、開錠する特有の信号を受信すると開錠するのであるが、それ以外の信号を受信した場合は異常であるとして検知する受信装置としておけばよい。また、機械式の施錠装置の場合は、例えば、正しい鍵を鍵穴に挿入した場合のみに正しい開錠操作であると判定する機構を追加すれば、正しい鍵を使用しないで開錠したことを検知することができる。
【0027】
ドアウィンドウ破損検知センサ5の機構は、ドアウィンドウが破損されたことを検知可能な機構であれば、特に限定する必要は無い。例えば、ドアウィンドウの音を検知するマイクロフォンをドアウィンドウの表面に接着させておくか、ドアウィンドウに形成した小さな穴に埋め込んでおき、車両を駐車して施錠した場合に、マイクロフォンとそれに接続されたマイクロフォンからの信号判定装置の電源が入るようにしておく。ドアウィンドウが破損された場合、マイクロフォンがその音をキャッチし、破損したことを検知する機構としておくことができる。信号判定装置は、物がドアウィンドウに当たった場合と、物がドアウィンドウに当たってドアウィンドウが破損した場合と、区別可能な機能を付与しておけばよい。また、マイクロフォンの代わりに振動センサを設置しておき、マイクロフォンと同様に、振動センサが検出した振動が、単に物がドアウィンドウに当たっただけの場合と、物がドアウィンドウに当たってドアウィンドウが破損した場合の振動のデータを区別可能な判定装置を振動センサに接続しておけばよい。
【0028】
エンジン異常始動検知センサ6の機構は、エンジンが正常に始動されなかったことを検知可能な機構であれば、特に限定する必要は無い。例えば、車両の利用者が電子的なキーを所持しており、その電子的なキーから発信される独特な信号を持つ電磁波信号を受信している状態で、車両のエンジン始動スイッチを入れた場合を正しいと判定し、それ以外を
正常に始動されなかったと判定する機構であればよい。電子的なキーを所持していない状態で、エンジン始動スイッチを入れた場合、不正に配線を接続することによりエンジンが始動した場合、などが該当する。また、電子的なキーを使用しない車両の場合、キーが差し込まれていない状態で、不正に配線を接続することによりエンジンが始動した場合に、エンジンが正常に始動されなかったと判定することができる機構であればよい。
【0029】
少なくとも、ドア異常開錠検知センサ4とドアウィンドウ破損検知センサ5とエンジン異常始動検知センサ6を備えた異常検知センサ9から送信された信号を制御装置3が受信する。制御装置3は受信した信号に基づいて判断した結果に従って、調光フィルム駆動回路2を制御し、調光フィルム1の透明/不透明がコントロールされる。制御装置3は、異常検知センサ9を構成する複数のセンサのうち、いずれか1つのセンサから異常を知らせる信号が発信された場合、異常と判断し、調光フィルム1を不透明にする。
【0030】
なお、配線8-1、8-2、8-3、8-4は、信号線等の有線を用いてもよいし、無線通信による信号の送受信を行っても構わない。無線通信を行う場合は、制御装置3と調光フィルム駆動回路2の間に、また制御装置3と異常検知センサ9の各構成要素(ドア異常開錠検知センサ4、ドアウィンドウ破損検知センサ5、エンジン異常始動検知センサ6、など)の間に、それぞれ通信装置を備えておけばよい。
【0031】
<車両盗難防止システムの動作方法>
次に、本発明の実施形態の車両盗難防止システムの動作方法について
図2を用いて説明する。
【0032】
本発明の車両盗難防止システムの動作方法は、下記のステップからなる。
S0:車両のフロントウィンドウは不透明状態にある。
無人駐車場に駐車された状態であり、その状態では、少なくとも、車両のフロントガラスは不透明な状態で駐車している。
【0033】
S1:車両のドアが正規に開錠されたかどうかを判定し、車両のドアが、正規に開錠された場合にはS2に進み、正規に開錠されなかった場合には、S6に進む。
利用者が無人駐車場に来場し、所定の車両のドアの錠を開ける状態である。正規の利用者が正規のキーを使用してドアの錠を開ける場合は、車両盗難防止システム10のドア異常開錠検知センサ4が、正規にドアが開錠されたと判定するので、次のステップ(S2)に進む。一方、正規の利用者ではない者が、例えばピッキングなどによって不正にドアの錠を開けた場合は、ドア異常開錠検知センサ4が、正規に開錠されなかったと判定し、S6に進む。
【0034】
S2:車両のドアウィンドウが破損されたかどうかを判定し、車両のドアウィンドウが、破損されていない場合にはステップS3に進み、破損されている場合には、S6に進む。
ドアウィンドウ破損検知センサ5が、車両のドアウィンドウが破損されたかどうかを判定する。S1でドアが正常に開錠された、と判定されても、S2でドアガラスが破損された状態であれば、異常であると判定される。
【0035】
S3:エンジンが不正な結線や不正な電波によって始動されたかどうかを判定し、エンジンが、正規に始動された場合にはステップS4に進み、正規に始動されなかった場合には、ステップ6に進む。
エンジン異常始動検知センサ6が、エンジンが正常に始動したかどうかを検知する。
以上により、S1、S2、S3のすべてにおいて正常である場合のみ、S4に進むことができる。それ以外は、全てS6に進む。
【0036】
S4:制御装置3が調光フィルム駆動回路2に対し、調光フィルムを透明にする信号を発信する。車両の使用が正規の利用者による正規な始動に基づくことがS1~S3の各ステップにおいて判定されていることから、制御装置3は、調光フィルム駆動回路2を介して調光フィルム1を駆動させる。例えば、調光フィルム1がノーマルモードであれば、制御装置3は、調光フィルム1に電圧を印加しオン状態、つまり透明状態に駆動制御する。
【0037】
S5:車両のフロントウィンドウが透明になり、車両を安全に運転可能な状態となる。S4によってS5に遷移し、正規な利用者は安全な運転が確保される。
【0038】
S6:制御装置が調光フィルム駆動回路に対し、調光フィルムを不透明にする信号を発信する。一方、S1~S3の何れかの判定ステップにおいて、NOと判定された場合、いずれも不正な利用者による車両の利用と判断し、制御装置3は、調光フィルム駆動回路2を介して調光フィルム1を駆動制御する。例えば、調光フィルム1がノーマルモードであれば、制御装置3は、調光フィルム1に電圧を印加することなくオフ状態、つまり不透明状態に維持する。なお、S6では、不透明にする信号を発信としているが、ノーマルモードであれば状態変化を起こす必要が無いため、信号を発信しないという構成であってもよい。
【0039】
S7:車両のフロントウィンドウが不透明になり、車両を運転不能な状態となる。これにより不正利用を未然に防止することができる。
【0040】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明に係る車両盗難防止システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような構成にすることも可能である。
【0041】
上記実施形態では、不正利用の場合、調光フィルムを不透明状態にすると説明したが、例えば、連続してオンオフさせることにより、点滅状態にさせることも可能である。これにより、不正利用しようとしている状態が視覚的に第三者に近くされやすく通報等の被害防止の具体的策に連動させることも可能である。
【0042】
また、上記説明では、無人の車両は既に不透明状態になっていることを前提になされている。ここで、正規の利用者が車両を下り、正規の方法にてドアロックしたことを条件として不透明状態に至るサブルーチンを導入してもよい。
【0043】
上記実施形態では、3種のセンサを用いて検出を行っているが、このうち少なくとも1種のセンサを用いて最小限の構成で本発明を実施することも可能である。逆に、より一層のセキュリティ強化という観点から、乗車後所定のパスコード入力や生態認証等を追加で実施することにより、調光制御する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・調光フィルム
2・・・調光フィルム駆動回路
3・・・制御装置
4・・・ドア異常開錠確認センサ
5・・・ドアウィンドウ破損検出センサ
6・・・エンジン異常始動検出センサ
7・・・配線
8-1、8-2、8-3、8-4・・・配線
9・・・異常検知センサ
10・・・車両盗難防止システム