(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128897
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】水位異常検知プログラム及び水位異常検知装置
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20220829BHJP
G01F 23/292 20060101ALI20220829BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20220829BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
G01F23/292 Z
G06T7/11
G08B25/00 510M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027365
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】514065025
【氏名又は名称】株式会社フューチャースタンダード
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 卓士
【テーマコード(参考)】
2D063
2F014
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
2D063AA00
2F014FA04
2F014GA01
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087BB74
5C087EE02
5C087FF01
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG19
5C087GG22
5C087GG66
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA59
5L096JA22
(57)【要約】
【課題】水位に異常があることを簡便に検知可能とする。
【解決手段】水位異常検知プログラムPRGは、対象エリアの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータに実行させる。水位異常検知プログラムPRGは、コンピュータを、対象エリアが撮像された複数の撮像画像を取得する画像取得部と、複数の撮像画像のそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域を識別するセグメンテーション実行部と、複数の撮像画像のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位として設定する検知用部位設定部と、複数の撮像画像のいずれかにおいて、水領域と検知用部位との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリアの水位に異常があることを検知する異常検知部と、として機能させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータに実行させる水位異常検知プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記対象エリアが撮像された複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域を識別するセグメンテーション実行部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位として設定する検知用部位設定部と、
複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域と前記検知用部位との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する異常検知部と、として機能させる、水位異常検知プログラム。
【請求項2】
複数の前記撮像画像のそれぞれは、互いに同じ位置から前記対象エリアが撮像された画像である、請求項1に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項3】
複数の前記撮像画像のそれぞれは、所定の時間間隔を空けて前記対象エリアが撮像された画像である、請求項1又は2に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項4】
前記検知条件は、前記水領域と前記検知用部位との重なり方に関する条件である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項5】
前記検知用部位は、線状又は帯状のマーキングである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項6】
前記検知用部位は、線状又は帯状のマーキング、及び、前記マーキングを外縁の一部とする図形領域である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項7】
前記検知用部位設定部は、複数の前記撮像画像のそれぞれに複数の前記検知用部位を設定し、
前記異常検知部は、複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域といずれかの前記検知用部位との前記位置関係が前記検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する、請求項1~6のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項8】
前記検知用部位設定部は、複数の前記撮像画像のそれぞれに複数の前記検知用部位を設定する場合に、複数の前記検知用部位のそれぞれに互いに異なるレベルを設定し、
前記異常検知部は、複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域といずれかの前記検知用部位との前記位置関係が前記検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に当該検知用部位に設定された前記レベルの異常があることを検知する、請求項7に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、前記異常検知部により検知された異常の履歴を画像表示装置により表示させるための履歴表示データを生成し、生成された前記履歴表示データを前記画像表示装置に出力する履歴表示部として機能させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項10】
対象エリアの水位に異常があることを検知する水位異常検知装置であって、
前記対象エリアが撮像された複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域を識別するセグメンテーション実行部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位として設定する検知用部位設定部と、
複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域と前記検知用部位との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する異常検知部と、を備える、水位異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水位異常検知プログラム及び水位異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等の水位を監視して、水位に異常があることを検知する技術が知られている。例えば特許文献1には、水位を測定するための目盛が付された量水板を河川等に設置し、その量水板を撮像して水位に対応する目盛を判読することによって水位を監視する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、水位を監視しようとする河川等に予め量水板を設置しておく必要があり、しかも、設置された量水板を明瞭に撮像することができるように量水板の状態を常に管理する必要がある。このように、上述した技術を採用するに際しては、煩雑な作業が必要となる場合がある。
【0005】
そこで、本開示に係る水位異常検知プログラム及び水位異常検知装置は、水位に異常があることを簡便に検知可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)は、対象エリア(A)の水位に異常があることを検知する処理をコンピュータ(10)に実行させる水位異常検知プログラム(PRG)であって、コンピュータ(10)を、対象エリア(A)が撮像された複数の撮像画像(FP)を取得する画像取得部(11)と、複数の撮像画像(FP)のそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域(W)を識別するセグメンテーション実行部(12)と、複数の撮像画像(FP)のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位(P)として設定する検知用部位設定部(13)と、複数の撮像画像(FP)のいずれかにおいて、水領域(W)と検知用部位(P)との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリア(A)の水位に異常があることを検知する異常検知部(15)と、として機能させる。
【0007】
本開示の一態様に係る水位異常検知装置(1)は、対象エリア(A)の水位に異常があることを検知する水位異常検知装置(1)であって、対象エリア(A)が撮像された複数の撮像画像(FP)を取得する画像取得部(11)と、複数の撮像画像(FP)のそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域(W)を識別するセグメンテーション実行部(12)と、複数の撮像画像(FP)のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位(P)として設定する検知用部位設定部(13)と、複数の撮像画像(FP)のいずれかにおいて、水領域(W)と検知用部位(P)との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリア(A)の水位に異常があることを検知する異常検知部(15)と、を備える。
【0008】
これらの水位異常検知プログラム(PRG)及び水位異常検知装置(1)の少なくともいずれかによれば、対象エリア(A)が撮像された撮像画像(FP)において水領域(W)を識別し、識別された水領域(W)と検知用部位(P)との位置関係が検知条件を満たすか否かに基づいて、水位に異常があることが検知される。つまり、必ずしも量水板等がなくても水位を監視することが可能となる。よって、水位異常検知プログラム(PRG)及び水位異常検知装置(1)の少なくともいずれかによれば、水位に異常があることを簡便に検知可能となる。
【0009】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、複数の撮像画像(FP)のそれぞれは、互いに同じ位置から対象エリア(A)が撮像された画像であってもよい。これによれば、複数の撮像画像(FP)のそれぞれに対して同様の検知用部位(P)及び検知条件を適用することが可能となる。このため、処理が簡便化されるとともに、水位の経時変化を容易に追跡することが可能となる。
【0010】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、複数の撮像画像(FP)のそれぞれは、所定の時間間隔を空けて対象エリア(A)が撮像された画像であってもよい。これによれば、水位の経時変化を容易に追跡することが可能となる。
【0011】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、検知条件は、水領域(W)と検知用部位(P)との重なり方に関する条件であってもよい。これによれば、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0012】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、検知用部位(P)は、線状又は帯状のマーキング(Q)であってもよい。これによれば処理が簡便化される。
【0013】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、検知用部位(P)は、線状又は帯状のマーキング(Q)、及び、マーキング(Q)を外縁の一部とする図形領域(R)であってもよい。これによれば、マーキング(Q)よりも広い図形領域(R)を基準として処理が実行されるため、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0014】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、検知用部位設定部(13)は、複数の撮像画像(FP)のそれぞれに複数の検知用部位(P)を設定し、異常検知部(15)は、複数の撮像画像(FP)のいずれかにおいて、水領域(W)といずれかの検知用部位(P)との位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリア(A)の水位に異常があることを検知してもよい。これによれば、水位の状況をより詳細に判定することができるため、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0015】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)では、検知用部位設定部(13)は、複数の撮像画像(FP)のそれぞれに複数の検知用部位(P)を設定する場合に、複数の検知用部位(P)のそれぞれに互いに異なるレベル(LV)を設定し、異常検知部(15)は、複数の撮像画像(FP)のいずれかにおいて、水領域(W)といずれかの検知用部位(P)との位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリア(A)の水位に当該検知用部位(P)に設定されたレベル(LV)の異常があることを検知してもよい。これによれば、水位に異常があることが検出された場合に、その異常のレベルも併せて知得することが可能となる。このため、例えば水位の異常に関する緊急度等の判断が容易になる。
【0016】
本開示の一態様に係る水位異常検知プログラム(PRG)は、コンピュータ(10)を、異常検知部(15)により検知された異常の履歴(H)を画像表示装置(3)により表示させるための履歴表示データを生成し、生成された履歴表示データを画像表示装置(3)に出力する履歴表示部(16)として機能させてもよい。これによれば、水位の異常の履歴を容易に追跡することが可能となる。
【0017】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0018】
このように、本開示に係る水位異常検知プログラム(PRG)及び水位異常検知装置は、水位に異常があることを簡便に検知可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る水位異常検知装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、対象エリアが撮像された撮像画像を示す図である。
【
図3】
図3は、撮像画像に対してセグメンテーションの処理が実行されたセグメンテーション画像を示す図である。
【
図4】
図4は、撮像画像に対してマーキングを設定するためのマーキング設定画面を示す図である。
【
図5】
図5は、設定されたマーキングに対応した図形領域を示す図である。
【
図6】
図6は、所定の時間間隔を空けて対象エリアが撮像された複数の撮像画像を一覧表示する一覧画面を示す図である。
【
図7】
図7は、水位に異常があることが検知された撮像画像を拡大表示する異常表示画面を示す図である。
【
図8】
図8は、検知された異常の履歴を表示する履歴表示画面を示す図である。
【
図9】
図9は、水位の異常を監視する異常監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る水位異常検知装置1の機能構成を示すブロック図である。
図1に示される水位異常検知装置1は、コンピュータ10により水位異常検知プログラムPRGを実行することによって実現される装置である。水位異常検知プログラムPRGは、対象エリアAの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータ10に実行させるプログラムである(
図10参照)。まず、水位異常検知装置1について説明する。
【0022】
ここで、「対象エリア」とは、水位を監視しようとする対象である河川等を意味しており、当該河川等の周辺を含んでいてもよい。水位を監視しようとする対象は、水が存在している場所であれば河川に限定されず、例えば海、湖、ダム等であってもよい。「水位」とは、対象エリアAに存在している水の水面位置(又は、水深)を意味している。「異常」とは、水位が当該対象エリアAにおける適正範囲から逸脱している状態を意味しており、具体的には水位が適正範囲よりも高い場合又は低い場合が挙げられる。なお、異常とは、水位が当該対象エリアAにおける適正範囲から逸脱している状態のほか、逸脱に向かう傾向がある状態を意味していてもよい。
【0023】
水位異常検知装置1は、例えば撮像装置2及び画像表示装置3といった外部端末と通信可能なコンピュータ10として構成されている。水位異常検知装置1のコンピュータ10は、物理的な構成として制御演算装置、記憶装置、入出力装置を備えている。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコントローラにより構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。入出力装置は、例えば外部端末からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算部により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部端末に出力する出力装置を有している。
【0024】
水位異常検知装置1は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、所定の処理を実行する。具体的に、水位異常検知装置1は、ROMに記憶されている水位異常検知プログラムPRGをRAMに読み込み、RAMに読み込まれた水位異常検知プログラムPRGをCPUにより実行することにより、対象エリアAの水位に異常があることを検知する処理を実行してもよい。なお、水位異常検知装置1は、上述したコンピュータ10の構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0025】
撮像装置2は、対象エリアAを撮像して撮像画像FPを取得する装置である。撮像装置2は、例えばカメラであってもよい。撮像装置2は、例えば対象エリアAの近傍に対象エリアAに向かって(つまり、対象エリアAを撮像範囲に含む向きに)配置されている。撮像装置2は、対象エリアAを複数回にわたって撮像して、複数の撮像画像FPを取得する。これらの複数の撮像画像FPは、互いに同じアングルで対象エリアAを撮像した画像である。なお、撮像装置2は、所定の時間間隔を空けて(例えば10分ごと又は1時間ごとに)対象エリアAを撮像してもよい。換言すると、撮像装置2によって取得される各撮像画像FPは、互いに同じ位置から対象エリアAが撮像された画像であってもよく、所定の時間間隔を空けて対象エリアAが撮像された画像であってもよい。
【0026】
画像表示装置3は、例えば撮像装置2により撮像された撮像画像FPのほか、種々の画像を表示する装置である。画像表示装置3は、例えばディスプレイであってもよい。画像表示装置3は、水位を監視しようとする対象に関する情報を水位異常検知装置1から入力され、入力された情報を画像として表示する。
【0027】
水位異常検知装置1のコンピュータ10は、機能的には、画像取得部11、セグメンテーション実行部12、検知用部位設定部13、水位情報表示部14、異常検知部15、及び履歴表示部16を備えている。
【0028】
画像取得部11は、対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを取得する。画像取得部11は、撮像装置2により対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを撮像装置2から入力されることにより、複数の撮像画像FPを取得する。具体的に、画像取得部11は、互いに同じ位置から、所定の時間間隔を空けて対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを取得する。ここで、
図2は、対象エリアAが撮像された撮像画像FPを示す図である。
図2には、二股に流れる河川が対象エリアAとして撮像された撮像画像FPが示されている。画像取得部11は、
図2に一例として示されるような撮像画像FPを複数取得する。
【0029】
セグメンテーション実行部12は、画像取得部11により取得された各撮像画像FPに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域Wを識別する。セグメンテーション実行部12は、セグメンテーションの処理を実行することにより、各撮像画像FPに対応する複数のセグメンテーション画像FSを生成する。ここで、
図3は、撮像画像FPに対してセグメンテーションの処理が実行されたセグメンテーション画像FSを示す図である。
図3には、
図2の撮像画像FPにおいて河川の水が写っている領域(画素領域)が水領域Wとして示されている。
【0030】
「セグメンテーション」とは、画像セグメンテーションとも称され、画像処理技術によって画像(ここでは撮像画像FP)中の各画素がいずれのカテゴリに属するかを判別する処理である。セグメンテーション実行部12は、各撮像画像FPにセグメンテーションの処理を実行することにより、各撮像画像FP中の各画素のうち水のカテゴリに属する画素を抽出し、抽出された画素が位置する領域を水領域Wとする。なお、ここではセグメンテーションの具体的な手法としてセマンティックセグメンテーションが採用されているが、必ずしもセマンティックセグメンテーションに限定されず、例えばインスタンスセグメンテーション等の手法が採用されてもよい。これらの各種のセグメンテーションの具体的な処理内容については任意の手法が採用され得る。また、セグメンテーション画像FSとは、撮像画像FPに対してセグメンテーションの処理が実行されて撮像画像FP中の各画素のカテゴリ(又は、各画素のうちの少なくとも一部のカテゴリ)が指定された画像であり、一種の撮像画像FPとみなすこともできる。
【0031】
検知用部位設定部13は、画像取得部11により取得された各撮像画像FPにおける特定の部位を検知用部位Pとして設定する。「検知用部位」とは、対象エリアAの水位に異常があるか否かを判定する際の基準とされる撮像画像FP(或いは、当該撮像画像FPに対応するセグメンテーション画像FS)上の部位である。後述するように、撮像画像FP(或いは、当該撮像画像FPに対応するセグメンテーション画像FS)における水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があると判定される。検知用部位Pとして設定される「特定の部位」とは、例えば、水位が対象エリアAにおける適正範囲から逸脱するときの水領域Wと水領域W以外の領域との境界線に設定されてもよい。
【0032】
図4は、撮像画像FPに対してマーキングQを設定するためのマーキング設定画面DQを示す図である。
図5は、設定されたマーキングQに対応した図形領域Rを示す図である。
図4及び
図5に示されるように、ここでは、検知用部位Pは、マーキングQ及び図形領域Rである。検知用部位PとしてのマーキングQは、線状又は帯状を呈しており、ここでは3個のマーキングQが互いに平行に設定されている。つまり、検知用部位設定部13は、各撮像画像FPに複数の検知用部位Pを設定する。なお、検知用部位設定部13は、各撮像画像FPに複数の検知用部位P(複数のマーキングQ)を設定する場合に、複数の検知用部位Pが互いに平行に設定されていなくてもよく、例えば各検知用部位Pが河川の互いに異なる地点に対して設定されていてもよい。
【0033】
また、検知用部位Pとしての図形領域Rは、マーキングQを外縁の一部とする図形(ここでは、矩形)を呈している。より詳細には、ここでは、マーキングQは矩形を呈する図形領域Rの一辺に相当している。
図5に示されるように、図形領域RがマーキングQを外縁の一部とする図形である場合には、マーキングQは当該図形領域Rの外縁の上側の一部であってもよい。なお、図示の簡略化のため、
図4においては図形領域Rの記載がされておらず、また、
図5においては3個のマーキングQのうち最も下方の1個のマーキングQについてのみ図形領域Rの記載がされている。実際には、
図4及び
図5の全てのマーキングQに対して同様の図形領域Rが設定されていてもよい。
【0034】
図形領域Rは、必ずしもマーキングQを外縁の一部とする矩形でなくてもよい。例えば、図形領域Rは、マーキングQを外縁の一部とする矩形以外の図形(例えば三角形、五角形等)であってもよい。また、図形領域Rは、必ずしもマーキングQを外縁の一部としていなくてもよい。例えば、図形領域Rは、マーキングQの全部又は一部を包含する図形であってもよく、所定の条件を満たすようにマーキングQとは離間した位置に設定される図形であってもよい。図形領域Rの形状等は、ユーザ等の操作によって設定及び変更可能であってもよい。
【0035】
検知用部位設定部13は、各撮像画像FPに複数の(ここでは、3個の)検知用部位Pを設定する場合に、各検知用部位Pに互いに異なるレベルLVを設定してもよい。ここでは、3個の検知用部位Pのうち最も下方の検知用部位PのレベルLVがレベル1(水位の異常に関する緊急度が最も低いレベル)に設定されており、3個の検知用部位Pのうち中央の検知用部位PのレベルLVがレベル2(水位の異常に関する緊急度が中程度のレベル)に設定されており、3個の検知用部位Pのうち最も上方の検知用部位PのレベルLVがレベル3(水位の異常に関する緊急度が最も高いレベル)に設定されている。
【0036】
このように、
図4に示されるマーキング設定画面DQでは、撮像画像FP(或いは、当該撮像画像FPに対応するセグメンテーション画像FS)上において、任意の部位に1又は複数の検知用部位Pが設定されるとともに、各検知用部位PにレベルLVが設定され得る。また、検知用部位Pとしては、マーキングQのみが設定されてもよく、マーキングQに加えて図形領域Rも設定されてもよい。
【0037】
水位情報表示部14は、水位を監視しようとする対象に関する情報を画像表示装置3に出力して、当該情報を画像(画面)として表示させる。水位情報表示部14は、これらの画像(画面)を画像表示装置3により表示させるための画像表示データを生成し、生成された画像表示データを画像表示装置3に出力する。水位情報表示部14は、例えば、画像取得部11により取得された撮像画像FP、セグメンテーション実行部12により生成されたセグメンテーション画像FS、及びマーキング設定画面DQを画像表示装置3に表示させる。
【0038】
また、水位情報表示部14は、互いに同じ位置から、所定の時間間隔を空けて対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを、時系列に沿って画像表示装置3に表示させる。
図6は、所定の時間間隔を空けて対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを一覧表示する一覧画面DLを示す図である。
図7は、水位に異常があることが検知された撮像画像FPを拡大表示する異常表示画面DWを示す図である。
図6に示される一覧画面DLにおいては、各撮像画像FPが、最上段の左端から右側に向かい、右端に至った後に一段下の左端から右側に向かう、といった順で時系列に沿って表示されている。
【0039】
各撮像画像FPの下部には、タスクバーTが付随して表示されている。各タスクバーTは、名称Ta、履歴表示ボタンTb、及び設定ボタンTcを備えている。名称Taは、当該撮像画像FPを取得(撮像)した撮像装置2を特定する情報(文字列)である。履歴表示ボタンTbは、当該撮像画像FPに係る対象エリアAにおいて検知された異常の履歴Hを表示するためのボタンである。履歴表示ボタンTbが操作されると、後述する履歴表示画面DHが表示される(
図8参照)。設定ボタンTcは、当該撮像画像FPを取得(撮像)した撮像装置2の設定を変更する画面を表示するためのボタンである。設定ボタンTcが操作されると、例えばマーキング設定画面DQを表示される。
【0040】
図6に示される一覧画面DLにおいて、最上段の左端から3番目に表示されている撮像画像FP上には、警告表示ALが表示されている。警告表示ALは、当該撮像画像FPにおいて、対象エリアAの水位に異常があることが異常検知部15により検知されたことを示す表示である。一覧画面DLにおいて、警告表示ALが表示されている撮像画像FPが選択されると、一覧画面DLから異常表示画面DWに切り替わる。換言すると、水位情報表示部14が一覧画面DLを画像表示装置3に表示させている状態において、警告表示ALが表示されている撮像画像FPが選択されると、水位情報表示部14は、
図7に示される異常表示画面DWを画像表示装置3に表示させる。異常表示画面DWは、一覧画面DLの表示内容に重畳するように、選択された撮像画像FP(警告表示ALが表示されている撮像画像FP)を新たなウインドウNW(モーダルパネル)で拡大表示する画面である。異常表示画面DWにおいて、新たなウインドウNWで拡大表示された撮像画像FPには、当該撮像画像FPにおいて検知された異常の内容の説明文NWaが付記されている。
【0041】
水位情報表示部14は、異常検知部15により水領域Wと検知用部位Pとが互いに重なっていると判定された領域について、セグメンテーション画像FSにおいて強調して表示してもよい。例えば、水位情報表示部14は、当該領域を特定の色で着色して表示してもよい。
【0042】
異常検知部15は、撮像画像FPに基づいて、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。例えば、異常検知部15は、撮像画像FPにより対象エリアAの水位を監視し、水位に異常がない状態から異常がある状態に遷移した場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。
【0043】
ここでは、各撮像画像FPには検知用部位設定部13によって複数の検知用部位Pが設定されている。このような場合には、異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知してもよい。つまり、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が必ずしも全ての検知用部位Pに関して検知条件を満たしていなくても、少なくともいずれかの検知用部位Pに関して検知条件を満たしていれば、異常検知部15は、対象エリアAの水位に異常があることを検知してもよい。
【0044】
また、ここでは、各撮像画像FPに設定された各検知用部位Pには、互いに異なるレベルLVが設定されている。このような場合には、異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に当該検知用部位Pに設定されたレベルLVの異常があることを検知してもよい。例えば、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が、レベルLVがレベル1に設定されている検知用部位Pに関して検知条件を満たしている場合に、異常検知部15は、対象エリアAの水位にレベル1の異常があることを検知してもよい。
【0045】
検知条件は、水領域Wと検知用部位Pとの重なり方に関する条件であってもよい。具体的に、検知条件は、水領域Wと検知用部位Pとの重なる領域の座標又は面積に関する条件であってもよい。例えば、検知条件は、検知用部位P(マーキングQ、図形領域R、又は、マーキングQと図形領域Rとの集合)のうちの所定の割合を占める部分が水領域Wと重なった状態(第1状態)が実現することであってもよい。この場合、所定の割合とは、100%であってもよく、100%未満(例えば95%)であってもよい。あるいは、検知条件は、検知用部位PとしてのマーキングQと、水領域Wと水領域W以外の領域との境界線と、が重なった状態(第2状態)が実現することであってもよい。あるいは、検知条件は、検知用部位PとしてのマーキングQと、水領域Wと水領域W以外の領域との境界線と、の離間距離が所定距離以下になった状態(第3状態)が実現することであってもよい。あるいは、検知条件は、検知用部位PとしてのマーキングQと、水領域Wと水領域W以外の領域との境界線と、の離間距離が所定距離以上になった状態(第4状態)が実現することであってもよい。第4状態に係る検知条件によれば、例えば対象エリアAの水位が低下しすぎているといった異常があることが検知され得る。
【0046】
また、検知条件は、所定の状態(例えば、第1状態、第2状態、第3状態、及び第4状態の少なくともいずれかの状態)が所定時間にわたって実現され続けることであってもよい。あるいは、検知条件は、所定の状態(例えば、第1状態、第2状態、第3状態、及び第4状態の少なくともいずれかの状態)が所定回数実現されることであってもよい。
【0047】
より具体的に、異常検知部15は、第1状態が実現されているかの判定を、撮像画像FP(或いは、当該撮像画像FPに対応するセグメンテーション画像FS)における座標情報に基づいて判定してもよい。例えば、異常検知部15は、三斜法を用いて画像中の各領域の面積を近似的に算出することで、第1状態が実現されているか否かを判定してもよい。また、異常検知部15は、撮像画像FP(或いは、当該撮像画像FPに対応するセグメンテーション画像FS)を直接比較することにより、第1状態が実現されているか否かを判定してもよい。
【0048】
履歴表示部16は、異常検知部15により検知された異常の履歴Hを画像表示装置3により表示させるための履歴表示データを生成し、生成された履歴表示データを画像表示装置3に出力する。
図8は、検知された異常の履歴Hを表示する履歴表示画面DHを示す図である。履歴表示画面DHには、対象エリアAの撮像画像FP、及び、当該対象エリアAにおいて異常検知部15が検知した異常の履歴Hが表示されている。異常の履歴Hは、各異常が検知された日時、及び、検知された各異常のレベルLVが含まれている。履歴表示画面DHにおいていずれかの履歴Hの表示が操作された場合、履歴表示部16は、当該履歴Hが検知されたときの撮像画像FPを画像表示装置3に表示させる。
【0049】
[異常監視処理]
水位異常検知装置1により実行される異常監視処理について説明する。
図9は、水位の異常を監視する異常監視処理を示すフローチャートである。
図9に示される異常監視処理は、例えば、対象エリアAを撮像範囲に含む撮像画像FPが撮像装置2によって取得されている状態(又は取得可能な状態)において、水位異常検知装置1のコンピュータ10により水位異常検知プログラムPRGが実行されることで開始される。
【0050】
ステップS10において、水位異常検知装置1の画像取得部11は、撮像装置2により対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを撮像装置2から入力されることにより、複数の撮像画像FPを取得する。その後、異常監視処理はステップS12に移行する。
【0051】
ステップS12において、水位異常検知装置1のセグメンテーション実行部12は、画像取得部11により取得された各撮像画像FPに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域Wを識別する。セグメンテーション実行部12は、セグメンテーションの処理を実行することにより、各撮像画像FPに対応する複数のセグメンテーション画像FSを生成する。その後、異常監視処理はステップS14に移行する。
【0052】
ステップS14において、水位異常検知装置1の検知用部位設定部13は、画像取得部11により取得された各撮像画像FPにおける特定の部位を検知用部位Pとして設定する。例えば、検知用部位設定部13は、水位情報表示部14により画像表示装置3に表示されるマーキング設定画面DQ上でのユーザ等の操作に基づいて、検知用部位Pを設定する。その後、異常監視処理はステップS16に移行する。
【0053】
ステップS16において、水位異常検知装置1の異常検知部15は、対象エリアAの水位に異常があるか否かの判定を開始する。例えば、異常検知部15は、新たな撮像画像FPを画像取得部11が取得する度に、当該撮像画像FPに基づいて対象エリアAの水位に異常があるか否かの判定を行う。具体的には、異常検知部15は、各撮像画像FPにおいて、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たしているか否かの判定を行う。その後、異常監視処理はステップS18に移行する。
【0054】
ステップS18において、水位異常検知装置1の異常検知部15は、いずれかの撮像画像FPにおいて、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たしていると判定した場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。以上により、水位異常検知装置1により実行される異常監視処理が終了する。なお、異常監視処理が終了した後、水位異常検知装置1は、水位情報表示部14及び履歴表示部16により、水位に異常があることが検知された撮像画像FPに関する情報(例えば、水位に異常があることが検知された撮像画像FP又はセグメンテーション画像FS、検知された異常の履歴H等)を画像表示装置3に表示させてもよい。
【0055】
[水位異常検知プログラム]
コンピュータ10を水位異常検知装置1として機能させるための水位異常検知プログラムPRGについて説明する。
図10は、水位異常検知プログラムPRGを示す図である。
図10に示される水位異常検知プログラムPRGは、対象エリアAの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータ10に実行させるプログラムである。
【0056】
水位異常検知プログラムPRGは、メインモジュールM0、並びに、画像取得モジュールM1、セグメンテーション実行モジュールM2、検知用部位設定モジュールM3、水位情報表示モジュールM4、異常検知モジュールM5、及び履歴表示モジュールM6を備えている。メインモジュールM0は、コンピュータ10を統括的に制御する部分である。画像取得モジュールM1、セグメンテーション実行モジュールM2、検知用部位設定モジュールM3、水位情報表示モジュールM4、異常検知モジュールM5、及び履歴表示モジュールM6のそれぞれを実行させることにより実現される機能は、水位異常検知装置1の画像取得部11、セグメンテーション実行部12、検知用部位設定部13、水位情報表示部14、異常検知部15、及び履歴表示部16のそれぞれの機能と同様である。なお、水位異常検知プログラムPRGは、上述した各モジュールのうち、メインモジュールM0以外の一部のモジュールを備えていなくてもよい。
【0057】
[作用及び効果]
以上説明したように、水位異常検知プログラムPRGは、対象エリアAの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータ10に実行させる水位異常検知プログラムPRGであって、コンピュータ10を、対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを取得する画像取得部11と、複数の撮像画像FPのそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域Wを識別するセグメンテーション実行部12と、複数の撮像画像FPのそれぞれにおける特定の部位を検知用部位Pとして設定する検知用部位設定部13と、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する異常検知部15と、として機能させる。
【0058】
水位異常検知装置1は、対象エリアAの水位に異常があることを検知する水位異常検知装置1であって、対象エリアAが撮像された複数の撮像画像FPを取得する画像取得部11と、複数の撮像画像FPのそれぞれに対して、セグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域Wを識別するセグメンテーション実行部12と、複数の撮像画像FPのそれぞれにおける特定の部位を検知用部位Pとして設定する検知用部位設定部13と、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する異常検知部15と、を備える。
【0059】
これらの水位異常検知プログラムPRG及び水位異常検知装置1の少なくともいずれかによれば、対象エリアAが撮像された撮像画像FPにおいて水領域Wを識別し、識別された水領域Wと検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たすか否かに基づいて、水位に異常があることが検知される。つまり、必ずしも量水板等がなくても水位を監視することが可能となる。よって、水位異常検知プログラムPRG及び水位異常検知装置1の少なくともいずれかによれば、水位に異常があることを簡便に検知可能となる。
【0060】
水位異常検知プログラムPRGでは、複数の撮像画像FPのそれぞれは、互いに同じ位置から対象エリアAが撮像された画像である。これによれば、複数の撮像画像FPのそれぞれに対して同様の検知用部位P及び検知条件を適用することが可能となる。このため、処理が簡便化されるとともに、水位の経時変化を容易に追跡することが可能となる。
【0061】
水位異常検知プログラムPRGでは、複数の撮像画像FPのそれぞれは、所定の時間間隔を空けて対象エリアAが撮像された画像である。これによれば、水位の経時変化を容易に追跡することが可能となる。
【0062】
水位異常検知プログラムPRGでは、検知条件は、水領域Wと検知用部位Pとの重なり方に関する条件である。これによれば、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0063】
水位異常検知プログラムPRGでは、検知用部位Pは、線状又は帯状のマーキングQである。これによれば処理が簡便化される。
【0064】
水位異常検知プログラムPRGでは、検知用部位Pは、線状又は帯状のマーキングQ、及び、マーキングQを外縁の一部とする図形領域Rである。これによれば、マーキングQよりも広い図形領域Rを基準として処理が実行されるため、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0065】
水位異常検知プログラムPRGでは、検知用部位設定部13は、複数の撮像画像FPのそれぞれに複数の検知用部位Pを設定し、異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。これによれば、水位の状況をより詳細に判定することができるため、水位に異常があることを精度良く検知可能となる。
【0066】
水位異常検知プログラムPRGでは、検知用部位設定部13は、複数の撮像画像FPのそれぞれに複数の検知用部位Pを設定する場合に、複数の検知用部位Pのそれぞれに互いに異なるレベルLVを設定し、異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に当該検知用部位Pに設定されたレベルLVの異常があることを検知する。これによれば、水位に異常があることが検出された場合に、その異常のレベルも併せて知得することが可能となる。このため、例えば水位の異常に関する緊急度等の判断が容易になる。
【0067】
水位異常検知プログラムPRGは、コンピュータ10を、異常検知部15により検知された異常の履歴Hを画像表示装置3により表示させるための履歴表示データを生成し、生成された履歴表示データを画像表示装置3に出力する履歴表示部16として機能させる。これによれば、水位の異常の履歴を容易に追跡することが可能となる。
【0068】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0069】
例えば、上述した実施形態において、異常検知部15は、複数の撮像画像FPのいずれかにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知する。しかし、異常検知部15は、複数の撮像画像FPの全てにおいて、水領域Wといずれかの検知用部位Pとの位置関係が検知条件を満たす場合に、対象エリアAの水位に異常があることを検知してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 水位異常検知装置
3 画像表示装置
10 コンピュータ
11 画像取得部
12 セグメンテーション実行部
13 検知用部位設定部
15 異常検知部
16 履歴表示部
A 対象エリア
FP 撮像画像
H 履歴
LV レベル
P 検知用部位
PRG 水位異常検知プログラム
Q マーキング
R 図形領域
W 水領域
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの水位に異常があることを検知する処理をコンピュータに実行させる水位異常検知プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記対象エリアが撮像された複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれに対して、セマンティックセグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域を識別するセグメンテーション実行部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位として設定する検知用部位設定部と、
複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域と前記検知用部位との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する異常検知部と、として機能させる、水位異常検知プログラム。
【請求項2】
複数の前記撮像画像のそれぞれは、互いに同じ位置から前記対象エリアが撮像された画像である、請求項1に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項3】
複数の前記撮像画像のそれぞれは、所定の時間間隔を空けて前記対象エリアが撮像された画像である、請求項1又は2に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項4】
前記検知条件は、前記水領域と前記検知用部位との重なり方に関する条件である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項5】
前記検知用部位は、線状又は帯状のマーキングである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項6】
前記検知用部位は、線状又は帯状のマーキング、及び、前記マーキングを外縁の一部とする図形領域である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項7】
前記検知用部位設定部は、複数の前記撮像画像のそれぞれに複数の前記検知用部位を設定し、
前記異常検知部は、複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域といずれかの前記検知用部位との前記位置関係が前記検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する、請求項1~6のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項8】
前記検知用部位設定部は、複数の前記撮像画像のそれぞれに複数の前記検知用部位を設定する場合に、複数の前記検知用部位のそれぞれに互いに異なるレベルを設定し、
前記異常検知部は、複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域といずれかの前記検知用部位との前記位置関係が前記検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に当該検知用部位に設定された前記レベルの異常があることを検知する、請求項7に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、前記異常検知部により検知された異常の履歴を画像表示装置により表示させるための履歴表示データを生成し、生成された前記履歴表示データを前記画像表示装置に出力する履歴表示部として機能させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の水位異常検知プログラム。
【請求項10】
対象エリアの水位に異常があることを検知する水位異常検知装置であって、
前記対象エリアが撮像された複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれに対して、セマンティックセグメンテーションの処理を実行して水が表示されている水領域を識別するセグメンテーション実行部と、
複数の前記撮像画像のそれぞれにおける特定の部位を検知用部位として設定する検知用部位設定部と、
複数の前記撮像画像のいずれかにおいて、前記水領域と前記検知用部位との位置関係が予め設定された検知条件を満たす場合に、前記対象エリアの前記水位に異常があることを検知する異常検知部と、を備える、水位異常検知装置。