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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128919
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】乾燥専用室
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027396
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】島田 将行
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AB24
3B168AB29
3B168AC14
3B168AE07
3B168AE12
3B168BA45
3B168BA55
3B168JM02
(57)【要約】
【課題】被乾燥物を均等且つ迅速に乾燥させることが可能な乾燥専用室を提供する。
【解決手段】被乾燥物Xを乾燥するために設けられた乾燥専用室であって、被乾燥物Xを保持することが可能な保持具4が内部に設けられた筐体1と、筐体1の天井部分15の一方側に固定された乾燥装置3と、乾燥装置3とは独立して天井部分15の他方側に固定された送風機2と、を備え、乾燥装置3は、筐体1内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を筐体1外に排気すると共に残りの空気を加熱した上で筐体1内に吹き出し、送風機2は、筐体1外の空気を筐体1内に循環させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を乾燥するために設けられた乾燥専用室であって、
前記被乾燥物を保持することが可能な保持具が内部に設けられた筐体と、
前記筐体の天井部分の一方側に固定された乾燥装置と、
前記乾燥装置とは独立して前記天井部分の他方側に固定された送風機と、を備え、
前記乾燥装置は、前記筐体内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を前記筐体外に排気すると共に残りの空気を加熱した上で前記筐体内に吹き出し、
前記送風機は、前記筐体外の空気を前記筐体内に循環させる乾燥専用室。
【請求項2】
前記送風機は、前記筐体の側壁との間隔が、前記乾燥装置と前記送風機との間隔よりも小さくなるように、前記側壁近傍に設置されている請求項1に記載の乾燥専用室。
【請求項3】
前記送風機の吹出方向は、重力方向に向いている請求項1又は2に記載の乾燥専用室。
【請求項4】
前記送風機から吹き出される風量は、前記乾燥装置の排気風量よりも大きい請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥専用室。
【請求項5】
前記筐体の底部には、更にヒータが設置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥専用室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の被乾燥物を乾燥するために設けられた乾燥専用室に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、花粉や黄砂、微小粒子状物質の浮遊等による外気環境の変化や、共働き,単身世帯の増加によるライフスタイルの変化もあり、季節を問わず、部屋干しニーズが高まっている。現在、広く普及している浴室内乾燥装置は入浴中に衣類を干せないことから、衣類(被乾燥物)を乾燥するために設けられた乾燥専用室の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の乾燥専用室は、衣類を吊り下げることが可能な物干し竿が内部に設けられた筐体を備えている。この乾燥専用室は、筐体上部に空調装置用の吸気口を設けると共に、筐体下部に複数の貫通孔が形成された板状部材を設け、空調設備の運転により筐体内部を負圧にして、板状部材の貫通孔から空気を取り込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-120554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の乾燥専用室は、筐体下部から上部に向かって空気を循環させることにより衣類を乾燥するものであるが、浴室内に比べて室内サイズが小さいため、密集した衣類が障害物となって空気の循環が進まず、衣類から出た湿気の滞留が生じやすい。しかも、空気を循環させるだけの構成であるため、乾燥時間が長くなり、乾きムラも生じやすい。
【0006】
そこで、被乾燥物を均等且つ迅速に乾燥させることが可能な乾燥専用室が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る乾燥専用室の特徴構成は、被乾燥物を乾燥するために設けられた乾燥専用室であって、前記被乾燥物を保持することが可能な保持具が内部に設けられた筐体と、前記筐体の天井部分の一方側に固定された乾燥装置と、前記乾燥装置とは独立して前記天井部分の他方側に固定された送風機と、を備え、前記乾燥装置は、前記筐体内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を前記筐体外に排気すると共に残りの空気を加熱した上で前記筐体内に吹き出し、前記送風機は、前記筐体外の空気を前記筐体内に循環させる点にある。
【0008】
本構成における乾燥専用室は、筐体の天井部分の一方側に固定された乾燥装置と、筐体の天井部分の他方側に固定された送風機とを備えている。また、乾燥装置が空気を加熱した温風を筐体内に吹き出し、送風機が筐体内に空気を循環させ、乾燥装置から排気する。
【0009】
これにより、乾燥装置の直下にある被乾燥物だけでなく、乾燥装置から離れた位置にある被乾燥物にも、温風を循環させることが可能となり、筐体内部にある被乾燥物全域に亘って温風を行き渡らせることができる。その結果、乾燥装置から離れた位置にある被乾燥物も迅速に乾燥させることができる。しかも、送風機を設けることにより、室内全体の風の循環が改善され、被乾燥物から放出された湿気が乾燥装置の吸込口付近に滞留することなく、室外に排出することができる。このように、被乾燥物を均等且つ迅速に乾燥させることが可能な乾燥専用室を提供できた。
【0010】
他の特徴構成は、前記送風機は、前記筐体の側壁との間隔が、前記乾燥装置と前記送風機との間隔よりも小さくなるように、前記側壁近傍に設置されている点にある。
【0011】
本構成のように、送風機を側壁近傍に設置すれば、室内全域に空気を循環させることが可能となり、より均等に被乾燥物を乾燥させることができる。
【0012】
他の特徴構成は、前記送風機の吹出方向は、重力方向に向いている点にある。
【0013】
本構成のように、送風機の吹出方向を重力方向とすれば、空気が被乾燥物の隙間を通って筐体下部まで到達しやすくなり、空気の循環がより良好なものとなる。
【0014】
他の特徴構成は、前記送風機から吹き出される風量は、前記乾燥装置の排気風量よりも大きい点にある。
【0015】
本構成のように、送風機の風量を乾燥装置の排気風量よりも大きくすれば、送風機から吹き出された空気を筐体下部まで確実に到達させて、空気の循環がより良好なものとなる。
【0016】
他の特徴構成は、前記筐体の底部には、更にヒータが設置されている点にある。
【0017】
本構成のように、筐体底部にヒータを設置すれば、筐体下部に循環する空気の温度を上昇させて、乾燥時間をより短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】乾燥専用室の斜視図である。
図2】乾燥専用室の概略図である。
図3】本実施形態に係る乾燥専用室の内部温度を示す図である。
図4】比較例に係る乾燥専用室の内部温度を示す図である。
図5】本実施形態に係る乾燥専用室の絶対湿度を示す図である。
図6】比較例に係る乾燥専用室の絶対湿度を示す図である。
図7】その他の実施形態に係る乾燥専用室の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る乾燥専用室の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0020】
図1は被乾燥物としての衣類Xが収容された乾燥専用室を示す概略図であり、図2は乾燥専用室の具体的な構成を示す図である。この乾燥専用室は、衣類Xを乾燥するために専用で設けられており、筐体1内に存在している衣類Xに対して乾燥運転を行う。なお、被乾燥物としては、衣類X以外であっても良く、例えば、ゴルフクラブやグローブ等のスポーツ用品であっても良い。
【0021】
図1及び図2に示すように、乾燥専用室は、所定の容積(横1500mm×高さ2100mm×奥行700mm)を有する直方体状の筐体1と、乾燥装置3と、送風機2と、制御部Cとを備える。本実施形態では、乾燥専用室外の近傍にある壁面には、乾燥専用室の運転設定を利用者から受け付ける操作リモコン(不図示)が設けられている。この操作リモコンで受け付けた情報は、制御部Cにおいて各種の制御指令として受け付けられる。
【0022】
筐体1は、利用者が開閉する扉11aが設けられた前壁11と、前壁11に対向する後壁12と、前壁11及び後壁12を連結する一対の側壁13A,13Bと、床に載置される底壁14(底部に相当)と、底壁14に対向する天壁15(天井部分に相当)とを有する。筐体1の内部には、衣類Xを保持することが可能な複数(本実施形態では2つ)の保持具4が設けられている。この保持具4は、例えば衣類Xを支持するハンガーを吊り下げる物干し竿などである。
【0023】
乾燥装置3は、筐体1の天壁15の一方側(第一側壁13A側)に固定されており、天壁15の裏側空間に収容されている。乾燥装置3は、本体ケーシング31内に各種機器を備える。本体ケーシング31の下部と、天壁15との境界には、筐体1内から本体ケーシング31内に吸い込まれる空気が通る吸込口32と、本体ケーシング31内から筐体1内に吹き出される空気が通る吹出口33とが設けられている。
【0024】
本体ケーシング31は、例えば直方体形状の箱状に形成されている。この本体ケーシング31内に、吸込口32から吸い込んだ空気を吹出口33から吹き出すように通風作用する循環ファン34、吸込口32から吸い込んだ空気を本体ケーシング31外に排出するように通風作用する排気ファン35、循環ファン34により通風される空気を熱源機6から熱媒循環路61を通して循環供給される熱媒にて加熱する熱交換器36等が設けられている。
【0025】
本体ケーシング31の内部には、吸込口32を通して筐体1内の空気を吸い込んで吹出口33を通して吹き出すための循環通風路7が、導風板31aにより区画形成されている。そして、この循環通風路7の途中に、循環ファン34が、吸込口32から筐体1内の空気を吸い込むと共に、その吸込口32から吸い込んだ空気を吹出口33に向けて吐出する状態で設けられている。
【0026】
循環通風路7の途中には、熱交換器36も設けられている。この熱交換器36は、循環通風路7内における循環ファン34よりも通風方向上流側に設けられて、熱源機6から循環供給される熱媒との熱交換により、循環通風路7内を通風する空気を加熱する。具体的には、熱源機6から熱媒循環路61の往路61aを通して熱交換器36に対して熱媒が供給され、熱交換器36において熱媒が有する熱が循環通風路7内を通風する空気に渡された後、相対的に低温になった熱媒が熱媒循環路61の復路61bを通って熱源機6に帰還する。
【0027】
このように、熱交換器36が作動しているとき、循環ファン34の通風作用により、吸込口32を通して吸い込まれた筐体1内の空気は熱交換器36にて加熱され、その後、吹出口33を通して加熱空気(温風)が筐体1内に吹き出される。吸込口32を通して吸い込まれた筐体1内の空気の湿度を、湿度センサSaを用いて測定することもできる。また、特定の視野角内に存在する物体の温度を測定可能な温度センサSbを用いて、筐体1内の広い範囲での温度分布を測定できる。なお、図示は省略しているが、熱媒循環路61の途中には、熱媒の流動を開始及び停止させる弁などが設けられており、制御部Cがこの弁の開閉を切り換えることで、熱交換器36の作動(空気を加熱する状態)及び停止(空気を加熱しない状態)が切り換えられる。
【0028】
吹出口33には、電動モータ(図示せず)により揺動駆動される可動ルーバー33aが設けられ、この可動ルーバー33aにより、吹出口33から筐体1内への空気の吹出方向を変更可能に構成されている。
【0029】
排気ファン35は、下面にファン吸込口35aを有するファンケース35bの内部に設けられている。排気ファン35は、ファンケース35b内に垂直方向の軸心回りに回転自在に支持された羽根体等を備えて構成されている。なお、図示を省略するが、ファンケース35bが形成された領域と導風板31aとの間は、循環通風路7内における熱交換器36よりも通風方向上流側の部分に連通するように構成されている。そして、循環ファン34が作動されている状態で、排気ファン35が作動されると、循環ファン34の通風作用により筐体1内から吸い込まれた空気の一部が、熱交換器36により加熱される前に排気ファン35の通風作用により分流され、分流された空気が排気口35cから排気導風ボックス及び排気ダクト35dを通して屋外に排出される。
【0030】
循環ファン34が停止されている状態で、排気ファン35が作動されると、排気ファン35の通風作用により筐体1内の空気が吸込口32を通して吸い込まれ、筐体1内の空気が排気ダクト35dを通して屋外に排出される。
【0031】
送風機2は、乾燥装置3とは独立して筐体1の天壁15の他方側(第二側壁13B側)に固定されており、少なくとも吹出口21が筐体1内と連通している。送風機2は、回転により直線状の風を生み出すファン(不図示)と、ファンを回転駆動させるモータ(不図示)とを含んでいる。送風機2は、天壁15の裏側空間から空気を取り込んで、筐体1内に直線状の空気を吹き出す。つまり、送風機2は、筐体1外の空気を筐体1内に循環させるサーキュレータである。乾燥装置3に加えて送風機2を設けることにより、乾燥装置3の直下にある衣類Xだけでなく、乾燥装置3から離れた位置にある衣類Xにも、温風を循環させることが可能となり、筐体1内部にある衣類X全域に亘って温風を行き渡らせることができる。その結果、乾燥装置3から離れた位置にある衣類Xも迅速に乾燥させることができる。
【0032】
本実施形態における送風機2は、筐体1の第二側壁13Bとの間隔が、乾燥装置3と送風機2との間隔よりも小さくなるように、第二側壁13B近傍に設置されている。また、送風機2の吹出口21から吹き出される空気の吹出方向は、重力方向に向いている。このような配置から、送風機2から吹き出された空気の循環流路8は、第二側壁13B側から下方向に進んだ後、底壁14に沿って横方向に進み、第一側壁13Aに沿って上方に噴き上げるように、乾燥装置3の吸込口32に向かう。この構成から、筐体1内の空気が攪拌され、筐体1内の温度勾配が小さくなる。しかも、室内全体の風の循環が改善され、衣類Xから放出された湿気が乾燥装置3の吸込口32付近に滞留することなく、室外に排出できる。このように、送風機2を第二側壁13B近傍に設置しているので、室内全域に空気を循環させることが可能となり、均等に衣類Xを乾燥させることができる。また、送風機2の吹出方向を重力方向としているので、空気が衣類Xの隙間を通って筐体1下部まで到達しやすくなり、空気の循環が良好なものとなる。
【0033】
利用者が操作リモコンを操作して乾燥運転を行うとき、制御部Cは、循環ファン34を作動させ、排気ファン35を作動させ、熱交換器36(熱源機6)を加熱作動させ、可動ルーバー33aを所定の風向又は揺動するスイング状態に作動させる。また、制御部Cは、乾燥装置3に加えて、送風機2も作動させる。その結果、吸込口32から筐体1内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を屋外に排気すると共に残りの空気を加熱した上で吹出口33から加熱空気を筐体1内に吹き出すような乾燥運転が行われる。このとき、乾燥装置3に加えて送風機2を設けることにより、送風機2から重力方向に沿って直線状の空気を吹き出すことで、乾燥装置3の直下にある衣類Xだけでなく、乾燥装置3から離れた位置にある衣類Xにも、温風を循環させることが可能となる。そして、筐体1内に存在している衣類Xに対する乾燥が行われる。
【0034】
本実施形態における送風機2の吹出口21から吹き出される風量(循環風量)は、乾燥装置3の排気ファン35における排気風量よりも大きく構成されている。例えば、排気ファン35の排気風量が6.5m/minに対して、送風機2の循環風量が最大13.9m/min、最小8.3m/minとなっている。これにより、送風機2から吹き出された空気を筐体1下部まで確実に到達させて、空気の循環がより良好なものとなる。
【0035】
なお、利用者が操作リモコンを操作して換気運転を行うとき、制御部Cは、循環ファン34を作動させ、排気ファン35を作動させる。このとき、制御部Cは、熱交換器36を加熱停止させ、可動ルーバー33aを吹出口33を閉じるように作動させ、送風機2の運転も停止させる。その結果、吸込口32から筐体1内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の全部を屋外に排気するような換気運転が行われる。このとき、筐体1内には、隣接する他の空間から新たに空気が流入する。つまり、筐体1内の空気は排気ファン35を介して排気されつつ、筐体1内の空気は、新たに流入する空気で置換される。
【0036】
図3には、本実施形態における乾燥装置3及び送風機2(循環風量を最大に設定)を備えた乾燥専用室を60分間運転したときの室内温度を、複数の高さ(H=2050mm,1150mm,50mm)ごとの横500mm間隔4箇所で測定した結果が示されている。図4には、比較例における乾燥装置3のみを備えた乾燥専用室を60分間運転したときの室内温度を、複数の高さ(H=2050mm,1150mm,50mm)ごとの横500mm間隔4箇所で測定した結果が示されている。図3に示すように、本実施形態における乾燥専用室は、筐体1内に空気の循環が生まれることで、筐体1上部に滞留していた熱が送風機2により筐体1下部まで循環して循環流路8が形成されることにより、側壁13及び底壁14付近の温度が、図4に示す比較例に比べて上昇していることが分かる。
【0037】
図5には、本実施形態における乾燥装置3及び送風機2(循環風量を最大に設定)を備えた乾燥専用室を運転したときの、乾燥装置3の吸込口32付近の空気の絶対湿度(重量ベース)における時間変化を破線で示している。図6には、比較例における乾燥装置3を備えた乾燥専用室の底壁14のうち、第二側壁13B寄りにヒータを設置したときの、乾燥装置3の吸込口32付近の空気の絶対湿度(重量ベース)における時間変化を破線で示している。また、図5図6には、乾燥装置3のみを備えた乾燥専用室をベース試験として実線で示している。
【0038】
図6に示す比較例のように、ヒータを設置すれば室内全体の温度を上昇させ衣類Xからの水分放出が促進されるが、室内全体の風の循環は改善されず、乾燥装置3の吸込口32付近で湿気が滞留しているため、ベース試験に比べて絶対湿度の低下が遅くなっている。一方、図5に示すように、本実施形態における乾燥専用室は送風機2を備えているため、室内全体の風の循環が改善され、衣類Xから放出された湿気が乾燥装置3の吸込口32付近に滞留することなく、室外に排出できている。このように、本実施形態では、乾燥装置3の吹き出しから吸い込みまで一連の風の流れが生まれることにより、室内全体の風の循環に加えて、温熱環境の改善を行うことができた。
【0039】
その結果、本実施形態における乾燥装置3及び送風機2を備えた乾燥専用室は、乾燥装置3のみを備えたベース試験よりも、衣類Xの乾燥時間を約38%短縮することができ、ランニングコストも20%程度節約することができた。なお、ベース試験にヒータを追加した場合は、ベース試験よりも、衣類Xの乾燥時間を約20%短縮することができたものの、ランニングコストが50%程度上昇した。
【0040】
以上より、乾燥装置3に加えて、筐体1上部から風を吹き降ろす送風機2を設けることにより、室内全体の風の循環を改善すれば、室内の温度分布と風の流れを一様にできる。その結果、乾燥時間を短縮し、均等な衣類乾燥を行うことができる。また、送風機2により吹き降ろされた熱は比重が軽く上昇するため、風を吹き上げるよりも効果的に衣類乾燥を行うことができる。
【0041】
[その他の実施形態]
(1)図7に示すように、乾燥装置3及び送風機2を備えた乾燥専用室は、底壁14にヒータ9を更に設置しても良い。このヒータ9は、底壁14のうち、第二側壁13B寄りに配置することが好ましい。上述したように、ヒータ9による乾燥時間の短縮効果が相乗的に得られるため、更に、衣類Xを均等且つ迅速に乾燥させることができる。
(2)筐体1の天壁15や底壁14に、空気の循環を促進させるために、仕切り板を設けても良い。例えば、送風機2の吹出口21を取り囲む仕切り板を設けても良いし、底壁14に空気の流れを上方に導くスロープを設けても良い。
【0042】
なお、上述した実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、衣類等の被乾燥物を乾燥するために設けられた乾燥専用室に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 :筐体
2 :送風機
3 :乾燥装置
4 :保持具
9 :ヒータ
13 :側壁
14 :底壁(底部)
15 :天壁(天井部分)
X :衣類(被乾燥物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7