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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129088
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】分包装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/32 20060101AFI20220829BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20220829BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B65B1/32
B65B1/30 B
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027649
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】521081078
【氏名又は名称】株式会社ヨシヤ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川岡 重之
【テーマコード(参考)】
3E118
4C047
【Fターム(参考)】
3E118AA07
3E118AB04
3E118BA10
3E118BB02
3E118BB14
3E118DA02
3E118DA03
3E118EA06
4C047AA17
4C047BB08
4C047BB13
4C047BB29
4C047BB35
4C047FF06
(57)【要約】
【課題】封入する薬剤そのものの量を計測する分包装置を提供する。
【解決手段】第1計測器3は、計測した薬剤の重量が、一包の袋に密封するように定められた所定量に達したときに、開閉シリンダー23を駆動させる。このとき、開閉シリンダー23の筒部231のコイルには磁場が発生し、円柱部232は、筒部231に収容されるため、開閉シリンダー23の全長は縮小する。これにより、ピン230は、筒部231に近づき、弁21は、支持軸210を中心に回動する。弁21が支持軸210を中心に回動すると、排出口22から弁21が離れる。これにより、排出口22は、下方に開口し、貯留器2に貯留された薬剤は、排出口22から下方に落下し、貯留器2から排出される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤、及び該薬剤を外部に搬出する搬出部材、を収容する収容器と、
前記搬出部材により搬出された前記薬剤を貯留する貯留器と、
前記貯留器に貯留された前記薬剤の量を計測する第1計測器と、
計測された前記薬剤の量に基いて、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる制御装置と、
前記第1計測器に計測された前記薬剤の量が所定量に達したときに、該薬剤を袋に封入する封入装置と、
を有する分包装置。
【請求項2】
前記貯留器は、計測された前記薬剤の量が前記所定量に達したときに、貯留している該薬剤を排出し、
前記封入装置は、前記貯留器から排出された前記薬剤を前記袋に封入する
請求項1に記載の分包装置。
【請求項3】
前記貯留器は、計測された前記薬剤の量が前記所定量に達したときに、底部に設けられた弁を開けて、貯留している該薬剤を落下させることにより、該薬剤を排出する
請求項2に記載の分包装置。
【請求項4】
前記第1計測器は、前記貯留器の重量から該貯留器の空重量を差し引くことにより前記薬剤の量を計測する
請求項1から3のいずれか1項に記載の分包装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1計測器に計測された前記薬剤の量の、前記所定量に対する割合に応じた速度で、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる
請求項1から4のいずれか1項に記載の分包装置。
【請求項6】
搬出の前後で前記収容器の重量をそれぞれ測定し、測定した各重量の差分により前記薬剤の量を計測する第2計測器、を有し、
前記制御装置は、前記第2計測器が計測する前記薬剤の量の、前記所定量に対する割合に応じた速度で、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる
請求項1から4のいずれか1項に記載の分包装置。
【請求項7】
前記搬出部材は、軸と、該軸の周りに螺旋状に設けられた羽根と、を有し、前記制御装置により該軸が回転することに伴って、前記収容器の底部に設けられた搬出口から該羽根が前記薬剤を搬出するスクリューであり、
前記羽根の間隔は、前記搬出口に近い側が、該搬出口から遠い側よりも短い
請求項1から6のいずれか1項に記載の分包装置。
【請求項8】
前記制御装置は、磁力によって前記搬出部材に前記薬剤を搬出させる
請求項1から7のいずれか1項に記載の分包装置。
【請求項9】
前記封入装置は、
フィルムを搬送する搬送装置と、
搬送された前記フィルムどうしを融着して開口部を有する前記袋を形成するとともに、該袋に前記開口部から前記薬剤が入った後で該開口部を融着して該袋を密封する密封装置と、を有する
請求項1から8のいずれか1項に記載の分包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
散薬を分包する際、それらの散薬を薬剤師が自ら平板上に載せてヘラ等で均して、分割機に落下させる場合がある。この場合、人手で散薬を平板上に均すため、一包ごとの散薬の量は大凡の量でしかなく、ばらつきが生じる。また、この場合、散薬は、人手により誘導された後、落下するため、飛散して分割機の周囲を汚染するほか、分包された中身にもコンタミネーション(異物混入)の虞がある。
【0003】
また、振動フィーダを利用して、散薬を分割機に落下させる場合がある。例えば、特許文献1には、本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器を本体側装置に載置し、一部又は全部が薬剤容器の有する薬剤収容部内又は薬剤収容部と連通する部位にある薬剤移動部材を動作して薬剤収容部内に収容された薬剤を薬剤排出部側に移動させ、薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出重量を検出値の減少値に基いて測定する薬剤フィーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6610947号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の薬剤フィーダは、散薬が混合物である場合、振動フィーダの周波数によっては、その散薬の成分がそれぞれの比重に応じて分離することがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の薬剤フィーダは、重量測定手段が薬剤の投入前後に載置台と薬剤容器の重量を検出している。そして、この薬剤フィーダは、振動フィーダに投入した薬剤の重量を、上述した投入前後の重量の減少値をもって特定する。しかし、この減少値は、投入された薬剤そのものの重量ではない。
【0007】
本願の発明の目的の一つは、封入する薬剤そのものの量を計測する分包装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る分包装置は、薬剤、及び該薬剤を外部に搬出する搬出部材、を収容する収容器と、前記搬出部材により搬出された前記薬剤を貯留する貯留器と、前記貯留器に貯留された前記薬剤の量を計測する第1計測器と、計測された前記薬剤の量に基いて、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる制御装置と、前記第1計測器に計測された前記薬剤の量が所定量に達したときに、該薬剤を袋に封入する封入装置と、を有する分包装置である。
【0009】
本発明の請求項2に係る分包装置は、請求項1に記載の態様において、前記貯留器は、計測された前記薬剤の量が前記所定量に達したときに、貯留している該薬剤を排出し、前記封入装置は、前記貯留器から排出された前記薬剤を前記袋に封入する分包装置である。
【0010】
本発明の請求項3に係る分包装置は、請求項2に記載の態様において、前記貯留器は、計測された前記薬剤の量が前記所定量に達したときに、底部に設けられた弁を開けて、貯留している該薬剤を落下させることにより、該薬剤を排出する分包装置である。
【0011】
本発明の請求項4に係る分包装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記第1計測器は、前記貯留器の重量から該貯留器の空重量を差し引くことにより前記薬剤の量を計測する分包装置である。
【0012】
本発明の請求項5に係る分包装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、前記制御装置は、前記第1計測器に計測された前記薬剤の量の、前記所定量に対する割合に応じた速度で、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる分包装置である。
【0013】
本発明の請求項6に係る分包装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、搬出の前後で前記収容器の重量をそれぞれ測定し、測定した各重量の差分により前記薬剤の量を計測する第2計測器、を有し、前記制御装置は、前記第2計測器が計測する前記薬剤の量の、前記所定量に対する割合に応じた速度で、前記搬出部材に該薬剤を搬出させる分包装置である。
【0014】
本発明の請求項7に係る分包装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載の態様において、前記搬出部材は、軸と、該軸の周りに螺旋状に設けられた羽根と、を有し、前記制御装置により該軸が回転することに伴って、前記収容器の底部に設けられた搬出口から該羽根が前記薬剤を搬出するスクリューであり、前記羽根の間隔は、前記搬出口に近い側が、該搬出口から遠い側よりも短い分包装置である。
【0015】
本発明の請求項8に係る分包装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載の態様において、前記制御装置は、磁力によって前記搬出部材に前記薬剤を搬出させる分包装置である。
【0016】
本発明の請求項9に係る分包装置は、請求項1から8のいずれか1項に記載の態様において、前記封入装置は、フィルムを搬送する搬送装置と、搬送された前記フィルムどうしを融着して開口部を有する前記袋を形成するとともに、該袋に前記開口部から前記薬剤が入った後で該開口部を融着して該袋を密封する密封装置と、を有する分包装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封入する薬剤そのものの量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】分包装置9の全体構成の例を示す概略図。
図2】収容器1の構成の例を示す図。
図3】搬出部材11の構成の例を示す図。
図4】薬剤を貯留した状態の貯留器2の構成の例を示す図。
図5】薬剤を排出した状態の貯留器2の構成の例を示す図。
図6】封入装置5の構成の例を示す図。
図7】フィルムFの、進行方向に交差する断面を示す図。
図8】フィルムFから袋が形成される様子を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<分包装置の全体構成>
図1は、分包装置9の全体構成の例を示す概略図である。分包装置9は、収容器1、貯留器2、第1計測器3、制御装置4、及び封入装置5を有する。また、図1に示す分包装置9は、第2計測器6を有する。
【0020】
収容器1は、薬剤を収容する容器であり、かつ、その薬剤が収容される空間の底部に搬出部材11を収容する。この搬出部材11は、収容器1に収容された薬剤を外部に搬出する部材である。すなわち、この収容器1は、薬剤、及び薬剤を外部に搬出する搬出部材、を収容する収容器の例である。搬出された薬剤は、貯留器2に供給される。
【0021】
貯留器2は、搬出部材11により収容器1から搬出された薬剤を一時的に貯留する容器である。すなわち、この貯留器2は、搬出部材により搬出された薬剤を貯留する貯留器の例である。
【0022】
第1計測器3は、貯留器2に貯留された薬剤の量を計測する計測器であり、例えば、ひずみゲージ式、ばね式、圧電素子式、磁歪式、静電容量式、ジャイロ式等、各種方式のロードセルである。この第1計測器3は、貯留器に貯留された薬剤の量を計測する第1計測器の例である。
【0023】
制御装置4は、計測された薬剤の量に基いて、搬出部材11に薬剤を搬出させる装置である。
【0024】
封入装置5は、第1計測器3に計測された薬剤の量が所定量に達したときに、その薬剤を袋に封入する装置である。
【0025】
また、図1に示す第2計測器6は、収容された薬剤、及び搬出部材11ごと、収容器1を支持して、その重量を測定する計測器であり、例えば、ロードセルである。この第2計測器6は、搬出部材11による薬剤の搬出の前後で収容器1の重量をそれぞれ測定し、それら測定した各重量の差分により、搬出した薬剤の量を計測する。
【0026】
図1に示す制御装置4は、例えば、第2計測器6により薬剤の搬出の前後でそれぞれ測定された重量の差分(以下、減少量ともいう)が、目標である所定量の80%以上になると、薬剤の搬出の速度を低下させる制御をする。つまり、この制御装置4は、第2計測器が計測する薬剤の量の、所定量に対する割合に応じた速度で、搬出部材に薬剤を搬出させる制御装置の例である。これにより、制御装置4は、搬出部材11に搬出させる薬剤の量を、上述した所定量に近づけることができる。
【0027】
<収容器の構成>
図2は、収容器1の構成の例を示す図である。図2に示す収容器1は、受入口10、搬出部材11、及び搬出口12を有する。受入口10は、収容器1の上部に設けられた開口部であり、図2に示す矢印D1に沿って投入される薬剤を受け入れる。受入口10から受け入れられた薬剤は、収容器1の内部に収容される。
【0028】
搬出部材11は、収容器1の底部に配置され、周囲の薬剤を移動させて搬出口12から搬出する。図2に示す領域Roは、搬出部材11が設置された領域のうち、搬出口12に近い側の領域である。
【0029】
図2に示す搬出部材11は、制御装置4が備える電磁石等によって発生させた磁力により、制御装置4と接触することなく駆動する。
【0030】
搬出口12は、搬出部材11の作用により薬剤を外部へ搬出するための下方に向いた開口部である。薬剤は落下により図2に示す矢印D2に沿って、この搬出口12から収容器1の外部へ搬出される。
【0031】
図2に示す第2計測器6は、収容器1の重量を測定する。なお、図2に示す場合、制御装置4と収容器1とは、非接触であるため、第2計測器6は、制御装置4による荷重を受けない。
【0032】
<搬出部材の構成>
図3は、搬出部材11の構成の例を示す図である。図3に示す搬出部材11は、いわゆるスクリューであり、軸110と、羽根111とを有する。
【0033】
軸110は、収容器1の底部において、略水平、又は搬出口12に近づくほど下降するように傾いて設置され、例えば、両端を軸受で支持されている。
【0034】
軸110の端部のうち、少なくとも一方には、制御装置4の発生する磁力を受ける磁性体等が取り付けられている。
【0035】
羽根111は、軸110の周りに螺旋状に設けられた部材である。羽根111は、軸110が回転することにより周囲の薬剤を、搬出口12に向けて押して、図3に示す矢印D3に沿って移動させる。
【0036】
制御装置4は、電磁石等により発生させた磁場を回転させることによって、磁性体等を有する軸110を回転させ、搬出部材11を駆動させる。これにより、搬出部材11の羽根111は、収容器1の底部に収容されている周囲の薬剤を搬出口12から搬出する。すなわち、この制御装置4は、磁力によって搬出部材に薬剤を搬出させる制御装置の例である。
【0037】
すなわち、この搬出部材11は、軸と、この軸の周りに螺旋状に設けられた羽根と、を有し、制御装置によりこの軸が回転することに伴って、収容器の底部に設けられた搬出口から羽根が薬剤を搬出するスクリューである搬出部材の例である。
【0038】
なお、軸110の周囲を一周した羽根111どうしの、矢印D3に沿った間隔Ptは、図3に示す搬出部材11において、搬出口12に近い側である領域Roにある羽根111の方が、それ以外、すなわち、搬出口12から遠い側に比べて短い。つまり、この搬出部材11において、羽根の間隔は、搬出口に近い側が、搬出口から遠い側よりも短い。
【0039】
この構成を採用する場合、搬出部材11は、搬出口12に近いほど間隔Ptが短いので、軸110が一回転する間に搬出される薬剤の量が、間隔Ptがこれよりも長い場合に比べて少量になる。このため、搬出口12から搬出させる薬剤の量が調整し易くなる、という効果を奏する。
【0040】
また、搬出口12から遠い側において、間隔Ptは、搬出口12に近い側に比べて長いので、間隔Ptを搬出口12と共通にした場合に比べて、薬剤を移動又は撹拌する速度が向上し、薬剤が圧密されて固まる事象が起こり難くなる、という効果を奏する。
【0041】
<貯留器の構成>
図4は、薬剤を貯留した状態の貯留器2の構成の例を示す図である。図5は、薬剤を排出した状態の貯留器2の構成の例を示す図である。
【0042】
図4に示す通り、貯留器2は、受入口20、弁21、排出口22、及び開閉シリンダー23を有する。受入口20は、貯留器2の上部に設けられた開口部である。この受入口20は、収容器1の搬出口12の直下に配置される。そのため、搬出口12から搬出された薬剤は、図4に示す矢印D4に沿って落下し、貯留器2に貯留される。
【0043】
弁21は、開閉ダンパやシャッター等と呼ばれるものであり、貯留器2に貯留されている薬剤の量に応じて開閉シリンダー23により可動する。排出口22は、貯留器2の底部に設けられた開口部である。図4に示す状態の弁21は、排出口22を塞いでいるため、薬剤は排出口22から下方に落下することがなく、貯留器2の内部に貯留される。
【0044】
弁21は、支持軸210、及び長穴211を有する。支持軸210は、弁21の本体を所定範囲の角度にわたって回動可能に支持する軸である。長穴211は、開閉シリンダー23と係り合うために弁21の本体に設けられた穴である。
【0045】
開閉シリンダー23は、第1計測器3の計測結果に応じて伸縮する棒状の部材である。図4に示す開閉シリンダー23は、例えばソレノイドであり、筒部231、円柱部232、及びピン230を有する。
【0046】
筒部231は、例えば、図示しないコイルを有し、このコイルにより磁界を発生させる。円柱部232は、筒部231のコイルが発生した磁界によりこのコイルの内部に引き寄せられるプランジャである。
【0047】
ピン230は、円柱部232の端部のうち、筒部231の反対側の端部に取り付けられている。このピン230は、上述した弁21の長穴211に通された留め金等であり、自身の移動に応じて、長穴211の内側を移動しながら弁21の本体に力を伝達する。
【0048】
第1計測器3は、内部に貯留されている薬剤を含めて、貯留器2の全体の重量を計測する計測器である。
【0049】
貯留器2の空重量とは、内部に何も入っていない状態の貯留器2の重量である。第1計測器3は、予め定められた貯留器2のこの空重量を、計測した薬剤を含む貯留器2の重量から差し引くことにより、貯留器2の内部に貯留されている薬剤の重量を計測する。すなわち、この第1計測器3は、貯留器の重量からこの貯留器の空重量を差し引くことによりこの貯留器に貯留された薬剤の量を計測する第1計測器の例である。
【0050】
第1計測器3は、計測した薬剤の重量が、一包の袋に密封するように定められた所定量に達したときに、開閉シリンダー23を駆動させる。このとき、開閉シリンダー23の筒部231のコイルには磁場が発生し、円柱部232は、筒部231に収容されるため、開閉シリンダー23の全長は縮小する。これにより、ピン230は、筒部231に近づき、弁21は、支持軸210を中心に回動する。
【0051】
弁21が支持軸210を中心に図5に示す矢印Doに沿って回動すると、排出口22から弁21が離れる。これにより、排出口22は、下方に開口し、貯留器2に貯留された薬剤は、排出口22から図5に示す矢印D5に沿って下方に落下し、貯留器2から排出される。すなわち、この貯留器2は、第1計測器に計測された薬剤の量が所定量に達したときに、貯留しているこの薬剤を排出する貯留器の例である。
【0052】
また、この貯留器2は、計測された薬剤の量が所定量に達したときに、底部に設けられた弁を開けて、貯留している薬剤を落下させることにより、この薬剤を排出する貯留器の例である。
【0053】
<封入装置の構成>
図6は、封入装置5の構成の例を示す図である。図6に示す封入装置5は、シュート50、モーター51、前方プーリー52、同期ベルト53、後方プーリー54、横シーラー55、及び縦シーラー56を有する。
【0054】
シュート50は、薬剤が落下する途中で拡散しないように袋へ誘導する筒状の部材である。シュート50の上部には、開口部である受入口500が設けられている。この受入口500は、貯留器2の排出口22の直下に配置される。シュート50の下部には、開口部である投入口501が設けられている。そのため、排出口22から搬出された薬剤は、図6に示す矢印D6に沿って落下し、受入口500、及び投入口501を通過して、フィルムFに到達する。
【0055】
モーター51は、軸を回転させる駆動装置であり、この軸には前方プーリー52が取り付けられている。前方プーリー52は、モーター51の軸により回転する2以上の滑車であり、フィルムFを挟み込んで搬送する。
【0056】
同期ベルト53は、前方プーリー52と、後方プーリー54とを繋ぐベルトであり、前方プーリー52の回転に同期するように、後方プーリー54を回転させる。後方プーリー54は、同期ベルト53から伝達された回転力により回転する2以上の滑車であり、フィルムFを挟み込んで搬送する。
【0057】
フィルムFは、前方プーリー52、及び後方プーリー54により挟持され、後方プーリー54から前方プーリー52へ向けて搬送される。
【0058】
すなわち、上述したモーター51、前方プーリー52、同期ベルト53、及び後方プーリー54は、フィルムを搬送する搬送装置の例である。
【0059】
横シーラー55は、フィルムFが搬送される進行方向に沿って、その長手方向が配置されたシーラーであり、例えば、インパルスシーラーである。縦シーラー56は、フィルムFが搬送される進行方向に交差する方向に沿って、その長手方向が配置されたシーラーであり、例えば、インパルスシーラーである。
【0060】
フィルムFは、加熱されると融解し、さらに互いが密着するように加圧されると、融着(溶着、熱接着ともいう)する樹脂層が設けられている。フィルムFは、例えば、グラシン紙やセロファンにポリエチレン膜がコーテイングされたもの等である。
【0061】
図7は、フィルムFの、進行方向に交差する断面を示す図である。図7(a)には、図6における矢視V7a-V7aに沿って、フィルムFの断面を見た様子が示されている。
【0062】
図7(a)に示す通り、フィルムFは、進行方向からみて左右の両方の側辺Foがシュート50に向くように、中心線Fcで折り曲げられている。この折り曲げられた内側に、フィルムFの樹脂層が設けられている。
【0063】
図7(a)に示すフィルムFの位置は、図6に示す後方プーリー54よりも進行方向の手前(つまり、上流)であり、横シーラー55、及び縦シーラー56を通過していない。そのため、図7(a)に示すフィルムFは、2つの側辺Foが互いに離れており、上方に開口部を形成している。
【0064】
図8は、フィルムFから袋が形成される様子を説明するための図である。図8には、図6の矢視V8から横シーラー55、及び縦シーラー56を見た様子が示されている。
【0065】
図8に示す通り、フィルムFは、前方プーリー52、及び、同期ベルト53によって前方プーリー52と同期するよう駆動する後方プーリー54により、矢印D8に沿って搬送される。後方プーリー54の下流には、シュート50が配置され、薬剤がフィルムFに向けて落下する。
【0066】
シュート50の下流には、縦シーラー56が配置されている。図8に示す縦シーラー56は、給電部560を有する。また、縦シーラー56は、フィルムFの進行方向に交差するように伸びる2箇所の部位に沿ってそれぞれ配置されたリボン状のヒーターを有する。
【0067】
給電部560が、所定時間にわたり、所定の電流をこのヒーターに流すと、縦シーラー56に挟まれたフィルムFの樹脂層は融解する。これにより、縦シーラー56は、フィルムFのうち、上述した2箇所の部位で、フィルムFの樹脂層を融着するため、フィルムFに落下した薬剤は、この部位で支持される。なお、この2箇所の部位の間には、これらに沿っていわゆるミシン目等の切り取り線が設けられてもよい。
【0068】
縦シーラー56の下流には、横シーラー55が配置されている。図8に示す横シーラー55は、給電部550を有する。また、横シーラー55は、フィルムFの進行方向に沿って、中心線Fcよりも側辺Foに近い側の部位に配置されたリボン状のヒーターを有する。
【0069】
給電部550が、所定時間にわたり、所定の電流をこのヒーターに流すと、横シーラー55に挟まれたフィルムFの樹脂層は融解する。これにより、横シーラー55は、フィルムFのうち、上述した部位で、フィルムFの樹脂層を融着するため、フィルムFは薬剤を内側に密封する袋を形成する。
【0070】
すなわち、上述した横シーラー55、及び縦シーラー56は、搬送されたフィルムどうしを融着して開口部を有する袋を形成するとともに、この袋に開口部から薬剤が入った後でこの開口部を融着してこの袋を密封する密封装置の例である。
【0071】
また、この封入装置5は、第1計測器3に計測された薬剤の量が所定量に達したときに、貯留器2が貯留している薬剤を排出し、その全量を袋に封入する。つまり、この封入装置5は、貯留器から排出された薬剤を袋に封入する封入装置の例である。
【0072】
横シーラー55の下流には、前方プーリー52が配置されている。前方プーリー52は、横シーラー55、及び縦シーラー56によって形成された、薬剤を密封する袋をさらに下流へと搬送する。
【0073】
図7(b)には、図6における矢視V7b-V7bに沿って、フィルムFの断面を見た様子が示されている。図7(b)に示すフィルムFの位置は、図6に示す前方プーリー52よりも進行方向の先(つまり、下流)であり、横シーラー55、及び縦シーラー56を通過している。そのため、図7(b)に示すフィルムFは、横シーラー55による加熱及び加圧を受け、接着部Ffが互いに融着している。これにより、2つの側辺Foは互いに密着し、折り曲げられたフィルムFの内部には、薬剤を密封する空間が生じる。すなわち、図7(b)に示すフィルムFは、薬剤を密封する袋を形成している。
【0074】
なお、ここでいう「密封」とは、計量法第13条における密封の意味である。すなわち、この密封は、商品を容器に入れ、又は包装して、その容器若しくは包装又はこれらに付した封紙を破棄しなければ、当該物象の状態の量を増加し、又は減少することができないようにすることをいう。
【0075】
以上の動作により、分包装置9は、搬出部材11により収容器1から搬送された薬剤を一時的に貯留器2で貯留し、貯留された薬剤の重量が所定量に達したときに、弁21を開けて、その薬剤を袋に封入する。そのため、この分包装置9は、封入の前後で計測された収容器の重量の差分により、薬剤の重量を特定する必要がない。
【0076】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組合せてもよい。
【0077】
<1>
上述した実施形態において、貯留器2は、第1計測器3によって自身が貯留している薬剤の量を計量され、その量が所定量に達したときに、その薬剤を外部に排出していたが、貯留している薬剤は、貯留器2において袋に封入され、その袋ごと取り出されてもよい。この場合、封入装置5は、貯留器2と一体であってもよい。この場合、第1計測器3は、貯留器2の重量から、貯留器の空重量、及び袋の空重量の合計を差し引くことにより、貯留器2に設置された袋に貯留された薬剤の量を計測すればよい。
【0078】
すなわち、封入装置5は、貯留器に貯留され、第1計測器に計測された薬剤の量が所定量に達したときに、この薬剤を袋に封入する封入装置であればよい。
【0079】
<2>
上述した実施形態において、貯留器2は、底部に弁21を有していたが、弁21を有しなくてもよい。例えば、貯留器2は、第1計測器3によって計測された、貯留中の薬剤の量が所定量に達したとき、受入口20が下方になるように回転させられてもよい。この場合、貯留器2に貯留中の薬剤は、受入口20から排出される。
【0080】
<3>
上述した実施形態において、制御装置4は、第2計測器6により薬剤の搬出の前後でそれぞれ測定された重量の減少量が、所定量の80%以上になると、薬剤の搬出の速度を低下させる制御をしていたが、他の制御をしてもよい。例えば、制御装置4は、第1計測器3により計測される、貯留器2に貯留中の薬剤の重量が、所定量に対して決められた割合以上になると、薬剤の搬出の速度を低下させる制御をしてもよい。また、制御装置4は、第1計測器3により計測される薬剤の重量の、所定量に対する割合を独立変数とする関数を用いて、薬剤の搬出の速度を制御してもよい。
【0081】
すなわち、この変形例における制御装置4は、第1計測器に計測された薬剤の量の、所定量に対する割合に応じた速度で、搬出部材にこの薬剤を搬出させる制御装置の例である。
【0082】
<4>
上述した実施形態において、制御装置4は、搬出部材11に接触せずに、磁力によって搬出部材11に薬剤を搬出させていたが、搬出部材11に接触して動力を伝える動力伝達機構を有していてもよい。要するに、制御装置4は、計測された薬剤の量に基いて、搬出部材に薬剤を搬出させる制御装置であれば、磁力を用いなくてもよい。
【0083】
例えば、搬出部材11の軸110の端部は、収容器1の筐体から制御装置4まで伸びていてもよい。この場合、制御装置4は、この軸110の端部を回転可能に支持し、動力をこの端部から伝えて搬出部材11を回転させればよい。なお、この場合、第2計測器6は、収容器1、及び制御装置4の重量を測定すればよい。
【0084】
<5>
上述した実施形態において、搬出部材11は、軸110と、羽根111とを有する、いわゆるスクリューフィーダーであったが、薬剤を搬出する機構は、これに限られない。搬出部材11は、例えば、軸を有しないスクリューであってもよく、バケットコンベアや、ベルトコンベアであってもよい。
【0085】
また、搬出部材11がスクリューである場合に、羽根111の形状は上述したものに限られない。例えば、羽根111は、領域Roとその他の領域とで間隔Ptが均一であってもよい。また、羽根111は、例えば、領域Roにおいて、軸110から伸びる複数本の支持棒によって支えられるリボン状のスクリューであってもよい。この場合、領域Roにおける羽根111は、軸110との間に空隙を有するため、この空隙を通って薬剤が逆行することがあり、搬出する薬剤の量が抑えられる。
【符号の説明】
【0086】
1…収容器、10…受入口、11…搬出部材、110…軸、111…羽根、12…搬出口、2…貯留器、20…受入口、21…弁、210…支持軸、211…長穴、22…排出口、23…開閉シリンダー、230…ピン、231…筒部、232…円柱部、3…第1計測器、4…制御装置、5…封入装置、50…シュート、500…受入口、501…投入口、51…モーター、52…前方プーリー、53…同期ベルト、54…後方プーリー、55…横シーラー、550…給電部、56…縦シーラー、560…給電部、6…第2計測器、9…分包装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8