(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129099
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】荷役システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220829BHJP
B65G 67/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B66F9/24 A
B65G67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027662
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
【テーマコード(参考)】
3F076
3F333
【Fターム(参考)】
3F076AA02
3F076CA03
3F076CA07
3F076DA30
3F076DB11
3F076FA01
3F076FA02
3F076FA05
3F076FA07
3F076GA05
3F333AA02
3F333FA01
3F333FD11
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】サイズが異なる複数の搬送車両に適宜対応して荷を積み込むことができる荷役システムを提供する。
【解決手段】荷役システムは、搬送車両に対して荷役を行う荷役機(30)と、荷役に関する制御を行う制御部とを備る。そして、荷役機は、第1サイズの搬送車両(R1)に第1プラン(PL1)で荷役を行い、第1サイズと異なる第2サイズの搬送車両(R2)に第1プランと異なる第2プラン(PL2)で荷役を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両に対して荷役を行う荷役機と、
荷役に関する制御を行う制御部と、
を備え、
前記荷役機は、第1サイズの搬送車両に第1プランで荷役を行い、前記第1サイズと異なる第2サイズの搬送車両に前記第1プランと異なる第2プランで荷役を行う、
荷役システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1サイズの搬送車両を第1停止位置に誘導し、前記第2サイズの搬送車両を前記第1停止位置と異なる第2停止位置へ誘導する、
請求項1記載の荷役システム。
【請求項3】
前記制御部は、搬送車両の荷台と運転台の各サイズに基づいて、搬送車両の停止位置を決定する、
請求項2記載の荷役システム。
【請求項4】
前記制御部は、荷役場又は荷役場の周囲で搬送車両のサイズに関連する情報を取得する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項5】
搬送車両のサイズと荷役のプランとが対応づけられている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項6】
搬送車両の特徴量と当該搬送車両のサイズに関連する情報とを対応づけたデータベースを備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項7】
前記制御部は、
物体を検出することが可能な複数の物体センサを用いて前記搬送車両のサイズを計測可能である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項8】
停止した搬送車両の位置を検出するエリアセンサを備え、
前記制御部は、前記エリアセンサの検出結果に基づいて前記荷役機が移動する経路を修正する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項9】
荷役機により実行される荷役に関する制御を行う制御部を備えた荷役システムであって、
前記制御部は、第1サイズの搬送車両に第1プランで荷役が行われるように前記荷役機を制御し、前記第1サイズと異なる第2サイズの搬送車両に前記第1プランと異なる第2プランで荷役が行われるように前記荷役機を制御する、
荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等を用いてトラックの荷台に荷役を行うことがある。特許文献1には、荷の積み込みを高効率に行う荷役プランの作成システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムにおいては、単一サイズのトラックへの運用が想定されており、様々なサイズのトラックに対応して荷積みを行うことができない。
【0005】
本発明は、長さの異なる複数種類の搬送車両に適宜対応して荷役が可能な荷役システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役システムは、
搬送車両に対して荷役を行う荷役機と、
荷役に関する制御を行う制御部と、
を備え、
前記荷役機は、第1サイズの搬送車両に第1プランで荷役を行い、、前記第1サイズと異なる第2サイズの搬送車両に前記第1プランと異なる第2プランで荷役を行う。
【0007】
本発明のもう一つの態様の荷役システムは、
荷役機により実行される荷役に関する制御を行う制御部を備えた荷役システムであって、
前記制御部は、第1サイズの搬送車両に第1プランで荷役が行われるように前記荷役機を制御し、前記第1サイズと異なる第2サイズの搬送車両に前記第1プランと異なる第2プランで荷役が行われるように前記荷役機を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイズの異なる複数種類の搬送車両に適宜対応して荷役を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷役システムを示すブロック図である。
【
図2】制御装置により実行される荷役制御処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図2のステップS4で実行されるサイズ計測処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】サイズ計測処理の第1例(A)と第2例(B)とを説明する図である。
【
図5】搬送車両のサイズに応じた停止位置及び荷役プランを示す図で、(A)はその第1例を示し、(B)は第2例を示す。
【
図7】
図2のステップS9の荷役プランの修正処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】荷役プランの修正処理の一例を説明する図であり、(A)は修正前の荷役プラン、(B)は修正過程、(C)は修正後の荷役プランを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る荷役システムを示すブロック図である。
【0011】
本実施形態の荷役システム1は、荷役場で搬送車両(例えばトラック)の荷台に対して荷役(荷の搬送及び積込み、又は、荷下ろし及び搬送)を行うためのシステムであり、荷役場に向かう搬送車両の映像を取得する第1撮影カメラ11と、荷役場に向かう搬送車両のサイズを計測可能な複数の物体センサ12と、搬送車両を荷役用の停止位置に誘導する誘導器13と、搬送車両の荷台に対して荷役を行う荷役機30と、荷役のための制御処理を行う制御装置20とを備える。
【0012】
荷役機30は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡しが可能な重機であり、例えば軌条等を用いずに路上を走行できる荷役自動車(フォークリフト等)である。荷役機30は、制御装置20の制御によって自動走行及び自動荷役を行う構成であってもよいし、制御装置20の決定した荷役プランに従って運転者により運転される構成であってもよい。
【0013】
誘導器13は、一例として、停止位置を運転者に伝える音声出力装置13aと、停止指示を点灯等により運転者に伝える停止指示ランプ13bと、搬送車両の位置を検出する第2撮影カメラ13cとを備える。このような構成の場合、誘導器13は、音声出力装置13aを介して荷役場のどの位置にどの向きで搬送車両を進めればよいか指示を与え、運転者が、当該位置に指示された向きで搬送車両を徐行させ、第2撮影カメラ13cの映像に基づき搬送車両が停止位置に来たら停止指示ランプ13bの表示態様を、例えば点滅から点灯へ切り替えることで、搬送車両を停止位置に誘導し、搬送車両を停止させることができる。また、搬送車両が自動運転システムを搭載している場合、誘導器13は、自動運転システムに通信を介して停止位置の情報を送信する運転指令器を有してもよい。このような構成の場合、運転指令器が搬送車両の自動運転システムに停止位置の情報を送信することで、自動運転システムが自動運転を行って、搬送車両を上記の停止位置へ停止させることができる。第2撮影カメラ13cは、搬送車両の停止位置を検出するエリアセンサとしても機能する。
【0014】
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、CPUがデータを展開するRAM(Random Access Memory)、CPUが実行する制御プログラム及び制御データを格納した記憶装置25、並びに、CPUと周辺機器との間でデータの授受を行うインタフェースを有するコンピュータである。制御装置20では、CPUが制御プログラムを実行することで、ソフトウェアである複数の機能モジュールが構築される。複数の機能モジュールには、荷役場又は荷役場の周辺で搬送車両のサイズを取得するサイズ取得部21と、荷役場において搬送車両の荷役用の停止位置を決定し、当該停止位置に搬送車両を誘導する停止支援部22と、荷役プランを決定しかつ当該荷役プランに従って荷役機を制御する荷役制御部23と、が含まれる。搬送車両のサイズとは、搬送車両の全体のサイズを意味するものであってもよいし、キャブ(運転台)を除いた荷台のサイズを意味するものであってもよい。サイズとは、前後方向の長さ、横幅、高さを含む意味であってもよいし、前後方向の長さのみを意味するものであってもよい。荷役制御部23は、搬送車両の停止位置の誤差に合わせて、荷役機30が移動する経路(荷役プランの経路)を修正する修正部としても機能する。制御装置20、サイズ取得部21、停止支援部22及び荷役制御部23の各々が、本発明に係る制御部の一例に相当する。
【0015】
制御装置20は、予め定められた搬送車両の特徴量と当該特徴量を有する搬送車両のサイズ情報とが登録されたサイズデータベース251、搬送車両のサイズと搬送車両の停止位置との対応関係が示される停止位置データベース252、搬送車両のサイズ及び停止位置にそれぞれ対応した複数の荷役プランが格納された荷役プランデータベース253などの各データベースを含む。具体的には、これらのデータベースが記憶装置25に記憶されている。
【0016】
サイズデータベース251に登録される搬送車両の特徴量とは、映像から取得できる特徴量であり、例えばナンバープレートのナンバー、車種を識別可能な車体の部分形状などであってもよい。サイズデータベース251に登録される搬送車両に関する情報には、搬送車両のサイズ(車両全長、荷台全長など)に加えて、荷台の空間情報(荷台幅、荷台高など)が含まれていてもよい。
【0017】
停止位置データベース252に登録される停止位置は、荷役の効率、搬送車両の進入退出の効率、その他、様々の事情を考慮して予め決定される。例えば、荷役場のスペースに対して搬送車両が長い場合には搬送車両を斜めに停止させる停止位置が適用されてもよいし、搬送車両のサイズに対応する荷役プランが適用できる搬送車両の停止位置が適用されてもよい。また、荷役場の路面に不良箇所があるような場合には、荷役機が不良箇所を避けられる搬送車両の停止位置が適用されてもよい。
【0018】
荷役プランデータベース253に登録される荷役プランは、搬送車両のサイズ及び停止位置に応じて、荷の搬送効率及び荷役の効率等を考慮して予め設計される。なお、荷役プランは、予め設計されてデータベースから取得されるように構成されなくてもよく、例えば、荷役を行う際に、荷の大きさ、搬送車両のサイズ及び停止位置に基づいて、制御装置20が、荷役プランを計算及び決定してもよい。
【0019】
荷がパレットに載置されて荷台に積まれる場合、制御装置20は、パレットのサイズから当該パレットに載置された荷が荷台のどれだけの領域を占めるか把握することができる。そして、上記領域の大きさと、搬送車両の荷台のサイズとから、制御装置20は、荷台にどのようにパレットが配置されればよいか計算でき、よって、荷役機30が荷台のどこに向かって進み、荷を積み込めばよいのか計算することが可能である。これらのことから、制御装置20は、荷役機30が荷台に向かうべき経路を計算でき、当該経路を含んだ荷役プランを作成できる。荷下ろしの際には、荷が載置されるパレットに標準サイズのパレットが適用されていることが分かっていれば、制御装置20は、荷台のサイズとパレットの標準サイズとから荷台にどのような配置でパレットが位置するのか推定できる。よって、制御装置20は、この推定結果を用いて、荷下ろしのために荷役機30が荷台のどこに向かって進み、荷降ろしをすればよいのか計算することが可能である。よって、制御装置20は、荷役機30がパレットの位置へ進む経路を計算でき、当該経路を含んだ荷役プランを作成できる。あるいは、制御装置20は、搬送車両側(運転者、荷送り主等)からどのようなサイズのパレットが使用されているか、パレットがどのように配置されているかといった情報を通信を介して受け取ることで、荷下ろしのために荷役機30が荷台のどこに向かって進み、荷降ろしをすればよいのか計算することが可能である。よって、制御装置20は、荷役機30がパレットの位置へ進む経路を計算でき、当該経路を含んだ荷役プランを作成できる。パレットとは、荷が載置される台座面と、荷役機30のフォーク部が挿入可能な挿入穴とを有し、荷役機30により持ち上げ可能な荷役用の部材である。
【0020】
<荷役制御処理>
続いて、制御装置20の動作を説明する。
図2は、制御装置により実行される荷役制御処理を示すフローチャートである。荷役制御処理は、荷役場に向かって搬送車両が進入してきたことに基づいて開始される。荷役制御処理が開始されると、まず、制御装置20のサイズ取得部21が、第1撮影カメラ11が撮影した映像に対して画像認識処理を行って搬送車両の特徴量を抽出する(ステップS1)。特徴量は、先にも説明したように、ナンバープレートのナンバー、車体の部分形状などである。そして、サイズ取得部21は、抽出した特徴量をサイズデータベース251と照合し、対応する搬送車両のサイズの取得を試みる(ステップS2)。なお、荷の送り主、荷役場の管理者、搬送車両の運転手等の関係者が、荷役場に進入する搬送車両のサイズに関係する情報を保持している場合には、制御装置20が上記関係者から情報伝送(電子メール送信など)を受けて、搬送車両のサイズを取得してもよい。さらに、上記の情報伝送により搬送車両のサイズが取得された場合には、制御装置20は、ステップS1、S2の処理を省略してもよい。
【0021】
次にサイズ取得部21は、照合により搬送車両のサイズが取得できたか判別し(ステップS3)、取得できていなければ、サイズ取得部21は、複数の物体センサ12を用いて搬送車両のサイズを計測する(ステップS4)。ステップS2の照合又はステップS4の計測処理により、サイズ取得部21は搬送車両のサイズを取得する。詳細は後述するが、ステップS4の処理により、サイズ取得部21は、搬送車両の荷台及び車両全体のサイズを取得する。
【0022】
次に、制御装置20の停止支援部22は、サイズ取得部21により取得された搬送車両のサイズを停止位置データベース252に照合し、サイズに応じた停止位置の情報を取得する(ステップS5)。そして、停止支援部22は、第2撮影カメラ13cの映像を頼りに、音声出力装置13aと停止指示ランプ13bとから前述のような出力を行うことで、搬送車両を上記取得された停止位置に停止させる支援を行う(ステップS6)そして、停止支援部22は、第2撮影カメラ13cの映像に基づき、ステップS5で取得された停止位置と、搬送車両の実際の停止位置との差が、予め設定された許容誤差以内か判別し(ステップS7)、許容誤差を超えていれば、再び、ステップS6の支援処理を行って、搬送車両の停止位置を修正させるが、許容誤差以内であれば、処理を次に進める。
【0023】
処理が進むと、制御装置20の荷役制御部23が、荷役プランデータベース253に搬送車両のサイズを照合し、搬送車両のサイズ及び停止位置に応じた荷役プランを取得する(ステップS8)。さらに、荷役制御部23は、搬送車両の停止位置の誤差に基づき、荷役プランを修正する(ステップS9)。なお、ステップS9の修正処理は省略されてもよい。続いて、荷役制御部23は、修正した荷役プランに従って荷役機30を動かす制御(自動運転の場合は運転制御、手動運転の場合は誘導制御)を行って荷役を行う(ステップS10)。すなわち、荷役機30は、荷役プランに従って、荷を搬入口から搬送車両の荷台まで搬送し、当該荷を荷台にに積み込む。あるいは、荷役機30は、荷役プランに従って、搬送車両の荷台から荷を下ろし、荷の搬出口まで搬送する。そして、荷役プランの全工程が完了したら、制御装置20は1回の荷役制御処理を終了する。
【0024】
<サイズ計測処理>
図3は、
図2のステップS4で実行されるサイズ計測処理を示すフローチャートである。
図4は、サイズ計測処理の第1例(A)と第2例(B)とを説明する図である。サイズ計測処理には、複数の物体センサ12として2つの計測用撮影カメラ12Aa、12Abを用いた第1例の計測処理を適用できる。
【0025】
第1例の計測処理においては、計測用撮影カメラ12Aa、12Abが、搬送車両の一部の範囲の映像を取得することで、搬送車両を検出する。計測用撮影カメラ12Aa、12Abは、搬送車両が一定速度で走行する箇所に、搬送車両の一部を撮影できるように配置される。
図4(A)に示すように、第1例の計測処理が採用された場合、サイズ取得部21は、まず、2つの計測用撮影カメラ12Aa、12Abの映像からパターン認識処理を行って搬送車両R1の特有パターン部C1の移動から搬送車両R1の速度vを推定する(ステップS21)。より具体的には、サイズ取得部21は、ステップS21において、計測用撮影カメラ12Aa、12Abの映像から特有パターン部C1の移動を撮影フレーム中にベクトルで表わすオプティカルフロー推定を行い、当該推定で得られたベクトルA1から搬送車両R1の速度vを推定してもよい。
【0026】
さらに、サイズ取得部21は、計測用撮影カメラ12Aa、12Abの一方の撮影フレームの所定画素位置における搬送車両R1の通過開始タイミングから通過終了タイミングまでの期間Tを計時し(ステップS22)、期間TとステップS21の推定速度vとから搬送車両R1のサイズを計算し、計算結果を搬送車両R1のサイズの測定結果とする(ステップS23)。
【0027】
また、サイズ取得部21は、計測用撮影カメラ12Aa、12Abの一方の撮影フレームの所定画素位置における搬送車両R1の荷台N1の先端D1の通過開始タイミングから荷台N1の後端D2の通過終了タイミングまでの期間T1を計時する(ステップS22)。そして、サイズ取得部21は、期間T1とステップS21の推定速度vとから搬送車両R1の荷台N1のサイズを計算し、計算結果を搬送車両R1のサイズ(荷台N1のサイズ)の計測結果とする(ステップS23)。なお、運転台のサイズが一定である場合には、サイズ取得部21は、搬送車両R1の全長を計測し、運転台のサイズを減算することで荷台N1のサイズを求めてもよい。あるいは、サイズ取得部21は、荷台N1のサイズを計測し、運転台のサイズを加算することで搬送車両R1の全長を求めてもよい。
【0028】
第1例のサイズ計測処理によれば、計測用撮影カメラ12Aa、12Abは、搬送車両の一部を撮影できればよく、搬送車両の全体を少ない歪みで撮影できるような広い撮影スペースが無くても、搬送車両のサイズを高い精度で測定することができる。
【0029】
サイズ計測処理としては、
図4(B)に示す第2の計測処理が適用されてもよい。第2の計測処理では、複数の物体センサ12として2つの測距計(例えばLiDAR:light detection and ranging)12Ba、12Bbが用いられ、測距計12Ba、12Bbが、搬送車両R1の一部の範囲が通過する部分を測距することによって、搬送車両R1を検出する。測距計12Ba、12Bbは、搬送車両R1が一定速度で走行する箇所に、搬送車両R1の一部が測距ラインq1、q2に重なるように配置される。加えて、測距計12Ba、12Bbは、搬送車両R1の走行方向に沿って所定の間隔Lqを離れるように配置される。測距ラインq1、q2とは、距離の計測対象を示すラインを意味し、測距計12Ba、12Bbは、当該測距計12Ba、12Bbから測距ラインq1、q2上に重なる物体までの距離を計測する。第2例の計測処理が採用された場合、サイズ取得部21は、2つの測距計12Ba、12Bbの計測値の時系列データを取得する。そして、サイズ取得部21は、2つの測距計12Ba、12Bbの測距ラインq1、q2に搬送車両R1が順に重なっていくことで順に得られる計測値の変化タイミングt1、t2の差から搬送車両R1の速度vを計算する。2つの測距計12Ba、12Bbの測距ラインq1、q2の間隔(走行方向の間隔)Lqは予め設定したサイズに設定され、上記2つのタイミングt1、t2の差は、搬送車両が上記間隔Lqを進んだ時間に相当する。したがって、上記間隔Lqのサイズを上記2つのタイミングの差(t2-t1)で除算することで、搬送車両R1の速度vを求めることができる。
【0030】
さらに、サイズ取得部21は、1つの測距計12Baの計測値が短い値に変化したタイミング(搬送車両R1の先端が測距ラインq1に重なるタイミングに相当)から、上記計測値が長い値に戻るタイミング(搬送車両R1の後端が測距ラインq1を通過するタイミングに相当)までの期間Tを計測し、当該期間Tと搬送車両R1の速度vとを乗算することで、搬送車両R1のサイズを計算し、計算結果を搬送車両R1のサイズの測定結果とする。
【0031】
さらに、サイズ取得部21は、1つの測距計12Baの計測値が、荷台N1の天板までの距離に相当する値に変化したタイミング(荷台の先端D1が測距ラインq1を通過するタイミングに相当)から、上記計測値が長い値に戻るタイミング(荷台の後端D2が測距ラインq1を通過するタイミングに相当)までの期間T1を計測する。そして、サイズ取得部21は、当該期間T1と搬送車両R1の速度vとを乗算することで、搬送車両R1の荷台N1のサイズを計算し、計算結果を搬送車両R1のサイズ(荷台N1のサイズ)の計測結果とする。なお、運転台のサイズが一定である場合には、サイズ取得部21は、搬送車両R1の全長を計測し、運転台のサイズを減算することで荷台N1のサイズを求めてもよい。あるいは、サイズ取得部21は、荷台N1のサイズを計測し、運転台のサイズを加算することで搬送車両R1の全長を求めてもよい。
【0032】
第2例のサイズの計測処理によっても、搬送車両の通過箇所に測距用の小さなスペースを確保することで、高い精度で搬送車両のサイズを計測することができる。
【0033】
<搬送車両の停止位置及び荷役プラン>
図5は、搬送車両のサイズに応じた停止位置及び荷役プランを示す図で、(A)はその第1例を示し、(B)は第2例を示す。
図6は、荷役プランの全体像を示す図である。
図5及び
図6の例では、搬送車両として荷台の左右から荷積み又は荷下ろしが可能なウインド搬送車両を想定している。
【0034】
図2のステップS5で取得される停止位置PS1、PS2は、
図5(A)、(B)に示すように、搬送車両R1、R2のサイズL1、L2に応じて異なる。停止位置PS1、PS2は、停止した搬送車両R1、R2の先頭位置、並びに、搬送車両R1、R2の向き(荷台の前後方向に延びる中心軸の向き)を含む概念であり、停止位置PS1、PS2が異なるとは、停止した搬送車両R1、R2の先頭位置、並びに、搬送車両R1、R2の向きの一方又は両方が異なることを意味する。なお、搬送車両のサイズが異なれば、必ず停止位置が異なる必要はなく、搬送車両のサイズが異なっても同一の停止位置が適用される搬送車両のサイズが含まれていてもよい。例えば、全長10mの搬送車両と、全長7mの搬送車両とでは停止位置が異なる一方、全長7mの搬送車両と全長7.2mの搬送車両は停止位置が同一などである。なお、搬送車両R1、R2の停止位置は、荷台N1、N2の先端と、荷台N1、N2の向きとによって表わされてもよい。
【0035】
図2のステップS8で決定される荷役プランPL1、PL2は、
図5(A)、(B)に示すように、搬送車両R1、R2のサイズL1、L2及び停止位置PS1、PS2に応じて異なる。
図5(A)の荷役プランPL1は、順に経路a1~a12に沿って荷役機30が移動し、順に荷fを搬送車両R1の荷台N1に積み込んでいく計画を示す。
図5(B)の荷役プランPL2は、順に経路a21~a34に沿って荷役機30が移動し、順に荷fを搬送車両R2の荷台N2に積み込んでいく計画を示す。以下では、
図5(A)、(B)の荷役プランPL1、PL2が、荷fを積み込むプランとして説明するが、荷役プランPL1、PL2は、経路a1~a12、a21~a34に沿って荷役機30が移動し、順に荷fを荷台N2から降ろしていく計画と見なしてもよい。この場合、下記の説明において、荷を積み込むという内容を、荷を下ろすという内容に読み替えればよい。
【0036】
図5(A)、(B)の例では、中庸なサイズL1の搬送車両R1の停止位置PS1は、荷役場G0の中央寄りに設定される一方、大きなサイズL2を有する搬送車両R2の停止位置PS2は、荷役場G0の前方寄りに設定されている。そして、
図5(A)のように、荷役場G0の前方にスペースが生じる搬送車両R1に対しては、搬送車両R1の前方のスペースを経路a7~a12に利用した荷役プランPL1が採用されている。一方、
図5(B)のように、荷役場G0の搬送車両前方に大きなスペースを確保できない搬送車両R2に対しては、搬送車両R2の後方のスペースを経路a28~a34に利用した荷役プランPL2が採用されている。
【0037】
なお、
図5(A)及び
図5(B)は一例に過ぎず、搬送車両のサイズに応じた停止位置と荷役プランとは、荷役場G0のスペースの利用効率、荷役機30による荷の運搬効率、荷役の効率、搬送車両の進入退出効率など、様々な要因を考慮して設計されればよい。例えば、
図5(A)、(B)の例では、搬送車両R1、R2の最後輪の前後に凹凸があり、その間に最後輪を位置させることで荷台N1、N2の水平度が高くなるという理由から停止位置PS1、PS2が設定されている。また、荷役場G0の路面状態が搬送車両R1の前方側よりも後方側が悪く、後方側を荷役機30が通るときに速度を低下させる必要があるため、荷役プランPL1では搬送車両R1の前方を通って右側へ移動する経路が設定されている。一方、荷役プランPL2では搬送車両R2の前方に荷役機30が通るスペースが足りないため、搬送車両R2の後方を通って右側へ移動する経路が設定されている。
【0038】
なお、荷役プランPL1には、
図6の経路c11に示すように、待機所G2から荷役場G0までの荷役機30の移動の計画と、
図6の経路c12に示すように、荷の搬入又は搬出のための荷役機30の移動の計画とが含まれる。経路c12は、倉庫G1の棚Hと荷役場G0とを往復する経路である。
【0039】
複数の荷役プランにおいて、待機所G2からの荷役機30の移動の計画と、荷の搬入又は搬出のための荷役機30の移動の計画とは、ほぼ同様であり、以下では、経路c11、c12を含めて当該移動部分の計画について省略して説明する。なお、待機所G2からの荷役機30の移動の計画(経路c11を含む)と、荷の搬入又は搬出のための荷役機30の移動の計画(経路c12を含む)とは、複数の荷役プランにおいてそれぞれ異なるように設定されてもよい。
【0040】
<荷役プランの修正処理>
図7は、
図2のステップS9の荷役プランの修正処理の詳細を示すフローチャートである。
図8は、荷役プランの修正処理の一例を説明する図であり、(A)は修正前の荷役プラン、(B)は修正過程、(C)は修正後の荷役プランを示す。
【0041】
荷役制御部23は、
図2のステップS9で荷役プランを修正する場合、まず、第2撮影カメラ13cの映像から画像認識処理を行って搬送車両R1の停止位置PS0、PS1(
図8(A))の誤差量を計算する(ステップS31)。画像認識処理において、荷役制御部23は、例えば上記の映像に、搬送車両R1の三次元モデルと、荷役場スペースの三次元モデルとを当てはめることで、荷役場のスペースと停止した搬送車両R1が示される三次元モデルを作成する。そして、荷役制御部23は、当該三次元モデルにおける搬送車両R1の停止位置を、荷役場のスペースに張られた二次元座標で表わすことで、実際の搬送車両の停止位置PS0を求める。そして、当該停止位置PS0と、
図2のステップS5で停止支援部22が取得した搬送車両R1の停止位置PS1との差を計算することで、荷役制御部23は停止位置の誤差量(1つの並進ベクトルと1つの回転ベクトルとで表わされる誤差量)を求めることができる。なお、第2撮影カメラ13cの代わりに、荷役場の搬送車両R1が停止する範囲の距離画像を撮影する二次元デプスセンサを用いて、荷役制御部23は、実際の搬送車両R1の停止位置PS0を求めてもよい。
【0042】
続いて、荷役制御部23は、
図2のステップS8で決定した荷役プランPL1(
図8(A))のうち、荷役機30が搬送車両の荷台に進退する経路部分c1と、その他の経路部分c2とを判別する。待機所G2から荷役機30が移動してくる経路c11及び荷の搬入又は搬出のための経路c12はその他の経路部分c2と含める。なお、荷台に進退する経路部分c1と、その他の経路部分c2とは、荷役プランPL1の属性として予め与えられていてもよいし、搬送車両R1からの距離又は経路方向に応じて、荷役制御部23が、その都度、判別するようにしてもよい。
【0043】
次に、荷役制御部23は、
図8(B)に示すように、搬送車両の荷台に進退する経路部分c1に対して、ステップS31で求めた誤差量(1つの並進ベクトルと1つの回転ベクトル)を適用して、修正された経路部分c1bを作成する(ステップS32)。誤差量の適用により、荷役機30が搬送車両の荷台に向かい、荷を積み込み、搬送車両の荷台から離れる経路a1~a12が、停止位置PS0に停止した実際の搬送車両R1の荷台N1に合わせられる。一方、誤差量が適用された経路部分c1bと、誤差量が適用されていない経路部分c2との間には、接続が解けた部分X1と、交差して余分な経路を含む部分X2とが生じる。
【0044】
次に、荷役制御部23は、
図8(C)に示すように、誤差量が適用された経路部分c1と、誤差量が適用されていない経路部分c2とが交差している部分X2で、交差した部分X2からはみ出した余計な経路を除去する。さらに、荷役制御部23は、経路の接続が解けた部分X1について、経路を延長して接続させることで、荷の搬入箇所に進退する経路部分c1bと、その他の経路部分c2とを全て結合させる(ステップS33)。そして、ステップS33で得られた荷役プランを、修正された荷役プランPL1aとする。このような荷役プランの修正処理により、搬送車両の停止位置の誤差に合わせて荷役プランを修正できる。
【0045】
以上のように、本実施形態の荷役システム1によれば、異なるサイズの搬送車両に異なる荷役プランを適用して、荷役機30が荷役を行う。したがって、荷役場に様々なサイズの搬送車両が来る場合であっても、各搬送車両のサイズに適宜対応して荷役を行うことができる。また、本実施形態の荷役システム1によれば、サイズ取得部21が、荷役場に向かう搬送車両のサイズを取得する。したがって、荷役場に来る搬送車両のサイズが既知でない場合にも、各搬送車両のサイズに適宜対応して、荷役を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態の荷役システム1によれば、誘導器13及び停止支援部22が、異なるサイズの搬送車両が異なる停止位置に停止するように停止位置を決定し、搬送車両を当該停止位置に誘導する。したがって、荷役場に来る搬送車両が様々なサイズであっても、異なるサイズの搬送車両に適宜対応して、搬送車両のサイズに応じた停止位置に搬送車両を停止させ、当該停止位置に誘導された搬送車両に荷を積み込むことができる。
【0047】
さらに、本実施形態の荷役システム1によれば、搬送車両の特徴量と当該特徴量を有する搬送車両のサイズとが示されたサイズデータベース251と、搬送車両の特徴量を取得するための第1撮影カメラ11とを有し、サイズ取得部21は第1撮影カメラ11の映像から搬送車両の特徴量を取得し、当該特徴量をサイズデータベース251に照合して搬送車両のサイズを取得する。したがって、サイズが不明な搬送車両が荷役場に来る場合でも、少ない処理負荷で正確な搬送車両のサイズを取得することができる。
【0048】
さらに、本実施形態の荷役システム1によれば、サイズ取得部21は、物体を検出することが可能な複数の物体センサ12(計測用撮影カメラ12Aa、12Ab、又は、測距計12Ba、12Bb)を用いて、搬送車両のサイズを計測できる。したがって、サイズデータベース251に登録されていない搬送車両、あるいは、特徴量が正常に取得できなかった搬送車両に対しても、搬送車両のサイズを取得することができる。さらに、複数の物体センサ12を用いているので、各物体センサ12は搬送車両の一部の範囲を検出できれば、サイズ取得部21は、搬送車両のサイズを測定できる。したがって、荷役場に向かう路上に搬送車両全体を検出するための広いスペース、あるいは、搬送車両全体を検出できるように配置されたセンサ(撮影カメラ等)がなくても、搬送車両のサイズを高い精度で測定することができる。すなわち、搬送車両のサイズを測定するためのスペースを抑制し、物体センサ12の配置箇所を確保しやすいという利点が得られる。
【0049】
さらに、本実施形態の荷役システム1によれば、荷役場の搬送車両の停止位置を検出する第2撮影カメラ13cと、実際の搬送車両の停止位置に基づいて荷役プランの経路を修正する荷役制御部23とを有する。したがって、搬送車両の停止位置に誤差が生じても、誤差を吸収して荷役を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態の荷役システム1は、荷役機30を含む構成としたが、本発明に係る荷役システム1は、荷役機30を含まず、別途用意された荷役機30と組み合わされて動作する構成としてもよい。また、搬送車両の一例としてトラックを示したが、トラック以外の搬送車両が適用されてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、サイズ取得部21(本発明に係る制御部に相当)が搬送車両のサイズ自体を取得する構成を説明したが、本発明に係る制御部は、搬送車両のサイズ自体ではなくサイズに関係する情報を取得すればよい。例えば、サイズに対応して荷役プランが決まるのであれば、上記の「サイズに関係する情報」として荷役プランの情報を取得してもよい。また、搬送車両のサイズに関係する情報を取得する方法、搬送車両の停止位置を決定する方法、搬送車両を停止位置に誘導する方法、搬送車両の実際の停止位置を検出する方法など、上記の実施形態で具体的に示した細部手法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 荷役システム
11 第1撮影カメラ
12 複数の物体センサ
12Aa、12Ab 計測用撮影カメラ
12Ba、12Bb 測距計
13 誘導器
20 制御装置
21 サイズ取得部(制御部)
22 停止支援部(制御部)
23 荷役制御部(制御部)
25 記憶装置
251 サイズデータベース
252 停止位置データベース
253 荷役プランデータベース
30 荷役機
R1、R2 搬送車両
N1、N2 荷台
L1、L2 搬送車両のサイズ
PS1、PS2 停止位置
PL1、PL2 荷役プラン
a1~a12、a21~a34 経路
f 荷
G0 荷役場