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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129143
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】居眠り運転防止装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027722
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕己
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢人
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB12
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールに取り付けられる電極によって車両の運転者に電気的な刺激を与えることのできる居眠り運転防止装置に関して、刺激を与える機会が損なわれることを軽減する。
【解決手段】居眠り運転防止装置10は、通電による刺激を車両の運転者に対して与えるための電極として第1電極21と第2電極22とを備えている。第1電極21および第2電極22は、ステアリングホイールのリム94のうち運転者が握ることのできる部分であるグリップ部95に取り付けられている。ステアリングホイールの回転方向に直交する平面上においてリム94の表面に沿った線が延びる方向を周方向Yとする。グリップ部95の表面では、第1電極21と第2電極22とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールにおけるリムに取り付けられる電極として正極および負極を有し、前記正極および前記負極の両方に前記車両の運転者が触れている場合に前記運転者に対して通電による刺激を前記正極と前記負極との間に通電される電流によって与える居眠り運転防止装置であって、
前記ステアリングホイールにおける前記リムのうち前記運転者が握ることのできる部分であるグリップ部に、前記正極および前記負極のうち一方の電極である第1電極、および、他方の電極である第2電極が取り付けられており、
前記ステアリングホイールの回転方向に直交する平面上において前記リムの表面に沿った線が延びる方向を周方向として、
前記グリップ部の表面では、前記第1電極と前記第2電極とが前記周方向において間隔を空けて並んで配置されている
居眠り運転防止装置。
【請求項2】
前記回転方向における前記リムの全周が前記グリップ部であり、当該グリップ部に前記第1電極および前記第2電極が配置されている
請求項1に記載の居眠り運転防止装置。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極は、前記回転方向において前記リムの全周に亘って延びて環状に配置されている
請求項2に記載の居眠り運転防止装置。
【請求項4】
複数の前記第1電極と、複数の前記第2電極と、を有し、
複数の前記第1電極は、前記回転方向において間隔を空けて並んで配置されており、
複数の前記第2電極は、前記回転方向において間隔を空けて並んで配置されている
請求項2に記載の居眠り運転防止装置。
【請求項5】
前記第1電極と同電位の電極である第3電極と、前記第2電極と同電位の電極である第4電極と、を有し、
前記回転方向において隣り合う二つの前記第1電極のうち一方の前記第1電極が取り付けられている位置に対して前記ステアリングホイールの回転軸を回転中心として前記回転方向に規定の角度回転させた位置に、当該一方の前記第1電極と隣り合う他方の前記第1電極が取り付けられており、前記回転方向において隣り合う二つの前記第1電極の間に前記第4電極が配置されており、
前記回転方向において隣り合う二つの前記第2電極のうち一方の前記第2電極が取り付けられている位置に対して前記回転軸を回転中心として前記回転方向に規定の角度回転させた位置に、当該一方の前記第2電極と隣り合う他方の前記第2電極が取り付けられており、前記回転方向において隣り合う二つの前記第2電極の間に前記第3電極が配置されている
請求項4に記載の居眠り運転防止装置。
【請求項6】
前記リムのうち、前記ステアリングホイールの回転軸に近い部分をリム内周部として、該リム内周部よりも外側をリム外周部として、
前記第1電極および前記第2電極は、前記リム外周部に配置されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の居眠り運転防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に電気的な刺激を与えることのできる居眠り運転防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の運転者に電気的な刺激を与える居眠り運転防止装置が開示されている。居眠り運転防止装置は、低周波発生器によって発生させた微弱な低周波の電流を運転者に通電させるように構成されている。こうした装置によれば、第1の電極と第2の電極との両方に運転者が触れている場合に、通電による刺激が運転者に与えられる。特許文献1では、運転者に通電を行うための第1の電極と第2の電極とがステアリングホイールに取り付けられている。第1の電極と第2の電極とは、ステアリングホイールの回転方向におけるリムの全周に亘って当該回転方向に交互に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-3921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような配置で電極がステアリングホイールに取り付けられている場合には、運転者がステアリングホイールに触れていたとしても、運転者に通電されないことがある。たとえば、運転者の左手が触れている部分および右手が触れている部分が共に第1の電極が配置されている領域である場合には、運転者に通電することができない。同様に、運転者の左手が触れている部分および右手が触れている部分が共に第2の電極が配置されている領域である場合にも、運転者に通電することができない。このため、運転者に刺激を与える機会が損なわれるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための居眠り運転防止装置は、車両のステアリングホイールにおけるリムに取り付けられる電極として正極および負極を有し、前記正極および前記負極の両方に前記車両の運転者が触れている場合に前記運転者に対して通電による刺激を前記正極と前記負極との間に通電される電流によって与える居眠り運転防止装置であって、前記ステアリングホイールにおける前記リムのうち前記運転者が握ることのできる部分であるグリップ部に、前記正極および前記負極のうち一方の電極である第1電極、および、他方の電極である第2電極が取り付けられており、前記ステアリングホイールの回転方向に直交する平面上において前記リムの表面に沿った線が延びる方向を周方向として、前記グリップ部の表面では、前記第1電極と前記第2電極とが前記周方向において間隔を空けて並んで配置されていることをその要旨とする。
【0006】
上記構成では、第1電極と第2電極とが周方向に並んで配置されている。このように第1電極および第2電極が配置されていると、運転者がステアリングホイールを握る場合に運転者が片手で触れることのできる範囲に第1電極および第2電極が位置しやすい。このため、運転者が第1電極および第2電極の両方に触れやすくなる。これによって、運転者に対して通電による刺激を与える機会が損なわれることを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の居眠り運転防止装置を示すブロック図。
図2】第1実施形態の居眠り運転防止装置における電極が取り付けられているステアリングホイールを示す正面図。
図3】第1実施形態の居眠り運転防止装置における電極が取り付けられているステアリングホイールを示す背面図。
図4】第1実施形態の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す側面図。
図5】第2実施形態の居眠り運転防止装置における電極が取り付けられているステアリングホイールを示す正面図。
図6】第2実施形態の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す側面図。
図7】変更例の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す側面図。
図8】他の変更例の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す側面図。
図9】別の変更例の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す正面図。
図10】同変更例の居眠り運転防止装置にかかるステアリングホイールを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態の居眠り運転防止装置について、図1図4を参照して説明する。
図1は、居眠り運転防止装置10を示している。居眠り運転防止装置10は、低周波発生器11を備えている。低周波発生器11は、微弱な低周波の電流を発生させることができる。居眠り運転防止装置10は、低周波発生器11に接続されている一対の電極として第1電極21と第2電極22とを備えている。たとえば、第1電極21が正極の電極であり、第2電極22が負極の電極である。第1電極21が負極の電極であり、第2電極22が正極の電極であってもよい。第1電極21および第2電極22は、車両のステアリングホイール90に取り付けられている。
【0009】
居眠り運転防止装置10は、制御装置12を備えている。制御装置12は、低周波発生器11を制御することができる。制御装置12は、状態検出装置30から出力される情報を取得することができる。
【0010】
状態検出装置30は、車両の運転者を監視するための装置である。状態検出装置30は、たとえば車両に搭載される。状態検出装置30の一例は、運転者を撮影するカメラである。状態検出装置30としては、運転者の心拍数を検出する測定器を採用することもできる。こうした測定器は、たとえば、運転者に装着することができる。測定器は、ステアリングホイール90に取り付けられていてもよい。
【0011】
制御装置12は、状態検出処理を実行することができる。制御装置12は、状態検出処理では、運転者の覚醒度合いを検出する。覚醒度合いは、運転者が居眠り運転をしているか否かを判定するための指標である。覚醒度合いが低い場合には、運転者が居眠り運転をしていると判定できる。覚醒度合いの検出には、状態検出装置30から取得した情報を用いることができる。制御装置12は、たとえば、瞬きの頻度、視線の向き、および頭の傾き等に基づいて運転者の覚醒度合いを検出する。心拍数を用いて運転者の覚醒度合いを検出することもできる。その他、車両がふらつくような操作を検出した場合に覚醒度合いを低くしてもよい。
【0012】
制御装置12は、通電処理を実行することができる。通電処理は、低周波発生器11によって発生させた電流を第1電極21および第2電極22に通電する処理である。通電処理では、状態検出処理によって検出される覚醒度合いに基づいて運転者が居眠り運転をしているか否かを判定する。制御装置12は、運転者が居眠り運転をしていると判定した場合には、第1電極21および第2電極22への通電を行う。これによって、第1電極21および第2電極22に触れている運転者に電気的な刺激を与え、運転者の覚醒を促すことができる。
【0013】
図2図4を用いて、第1電極21および第2電極22が取り付けられているステアリングホイール90について説明する。図2および図4には、ステアリングホイール90の回転方向を示す矢印を表示している。回転方向のうち、ステアリングホイール90を時計回りに回転させる方向を第1回転方向X1と表示している。回転方向のうち、ステアリングホイール90を反時計回りに回転させる方向を第2回転方向X2と表示している。
【0014】
図2および図3に示すように、ステアリングホイール90は、ハブ91とリム94とスポーク93とを備えている。ステアリングホイール90の背面では、ステアリングシャフトと連結されるシャフト取付部92がハブ91に設けられている。図3には、ステアリングホイール90の回転軸Cを表示している。リム94は、ハブ91の周囲に位置する部材である。リム94の一例は、円環形状である。リム94のうち少なくとも一部は、運転者が握ることのできる部分であるグリップ部95を構成している。ステアリングホイール90では、第1回転方向X1におけるリム94の全周がグリップ部95に対応している。スポーク93は、ハブ91とリム94とを連結している。なお、図中におけるシャフト取付部92および回転軸Cの位置は一例である。回転軸Cは、リム94の中心に位置していてもよいし、偏心した位置にあってもよい。
【0015】
図2および図4に示すように、居眠り運転防止装置10の第1電極21は、リム94に取り付けられている。第1電極21は、リム94のうち運転者の方を向く面である正面に配置されている。図2に示すように、第1電極21は、リム94の形状に沿って延びている。すなわち、第1電極21は、円を描くように第1回転方向X1に延びている。第1電極21は、リム94の全周に亘って環状に配置されている。
【0016】
図3および図4に示すように、居眠り運転防止装置10の第2電極22は、リム94に取り付けられている。第2電極22は、リム94の背面に配置されている。図3に示すように、第2電極22は、リム94の形状に沿って延びている。すなわち、第2電極22は、円を描くように第1回転方向X1に延びている。第2電極22は、リム94の全周に亘って環状に配置されている。
【0017】
第1電極21および第2電極22は、たとえば、リム94の表面に貼り付けられている。第1電極21および第2電極22は、リム94の表面に一部が露出するようにリム94に埋め込まれていてもよい。第1電極21および第2電極22は、互いに接触しない位置に配置されている。また、第1電極21および第2電極22を低周波発生器11に接続する配線は、たとえば、リム94に埋め込まれている。
【0018】
図4には、第1回転方向X1または第2回転方向X2に直交する平面上においてリム94の表面に沿った線が延びる方向である周方向Yを示す矢印を表示している。図2に示したように、第1電極21は、リム94の正面に配置されている。図3に示したように、第2電極22は、リム94の背面に配置されている。このため、グリップ部95の表面では、図4に示すように、第1電極21と第2電極22とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。
【0019】
〈第1実施形態の作用および効果〉
本実施形態の作用および効果について説明する。
図4には、リム94のグリップ部95を握る運転者の左手Hを破線で例示している。左手Hと同様にグリップ部95を握る運転者の右手については表示を省略している。
【0020】
居眠り運転防止装置10では、第1電極21がリム94の正面に配置されており第2電極22がリム94の背面に配置されている。このため、左手Hでグリップ部95を握ると、左手Hのみによって第1電極21および第2電極22の両方に触れることができる。同様に、右手でも第1電極21および第2電極22の両方に触れることができる。すなわち、第1電極21と第2電極22とが周方向Yに並んで配置されていると、運転者がステアリングホイール90のグリップ部95を握る場合に運転者が片手で触れることのできる範囲に第1電極21および第2電極22が位置しやすい。このため、運転者が第1電極21および第2電極22の両方に触れやすくなる。これによって、運転者に対して通電による刺激を与える機会が損なわれることを軽減できる。
【0021】
居眠り運転防止装置10では、第1電極21および第2電極22は、リム94の全周に亘って環状に配置されている。このため、運転者がグリップ部95を握っていれば、運転者が手を触れる位置にかかわらず、運転者が第1電極21および第2電極22に触れやすくなる。
【0022】
居眠り運転防止装置10では、運転者が片手で触れる範囲に第1電極21および第2電極22が位置しやすい。このため、運転者が一時的にステアリングホイール90から片手を離したとしても、ステアリングホイール90に触れている方の手で第1電極21および第2電極22の両方に触れやすくなる。これによって、運転者が一時的にステアリングホイール90から片手を離したとしても、運転者に対して通電による刺激を与える機会が損なわれることを軽減できる。
【0023】
ところで、運転者がたとえば右手で一方の電極に触れて左手で他方の電極に触れているような場合には、右手と左手との間が電流の経路になる。これに対して、居眠り運転防止装置10によれば、運転者は、片手によって第1電極21および第2電極22の両方に触れることができる。すなわち、電流が流れる範囲が、片手のうち手首から指先までの範囲になりやすい。このため、右手と左手との間が電流の経路になる場合と比較して、抵抗が小さくなりやすい。これによって、電流の大きさを小さくしても運転者に刺激を与えることができる。
【0024】
居眠り運転防止装置10では、片手のうち手首から指先までの範囲を電流が流れる範囲にすることができる。すなわち、運転者に対して通電を行う際に電流が運転者の胴体を通りにくくなる。これによって、通電に伴う負荷が、たとえば心臓にかかることを抑制できる。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態の居眠り運転防止装置について、図5および図6を参照して説明する。
図5および図6に示す居眠り運転防止装置110は、複数の第1電極121と、複数の第2電極122と、を備えている点が居眠り運転防止装置10と異なる。居眠り運転防止装置110は、居眠り運転防止装置10と同様に、低周波発生器11および制御装置12を備えている。居眠り運転防止装置110について、居眠り運転防止装置10と共通の構成は、説明を省略する。
【0026】
図5および図6に示すように、居眠り運転防止装置110の第1電極121は、リム94に取り付けられている。居眠り運転防止装置110は、八個の第1電極121を備えている。第1電極121は、リム94のうち運転者の方を向く面である正面に配置されている。図5に示すように、第1電極121は、第1回転方向X1に弧を描くように延びている。各第1電極121における弧の長さは、すべて等しい。八個の第1電極121は、第1回転方向X1において間隔を空けて並んで配置されている。第1回転方向X1において隣り合う二つの第1電極121は、次の位置関係にある。一方の第1電極121が取り付けられている位置に対してステアリングホイール90の回転軸Cを回転中心として第1回転方向X1に規定の角度回転させた位置に、他方の第1電極121が取り付けられている。居眠り運転防止装置110では、規定の角度は45°である。八個の第1電極121は、等間隔に配置されている。第1電極121は、円環形状が八個に分断された形状ということもできる。すなわち、リム94には、円弧状の第1電極121が第1回転方向X1に並んで配置されている。図5には、第1回転方向X1において隣り合う二つの第1電極121の間の距離を間隔Gと表示している。間隔Gは、運転者の手の平における幅よりも小さくすることが好ましい。手の平の幅とは、手の形をグリップ部95を握る状態としたときの、第1回転方向X1における手の平の長さである。
【0027】
居眠り運転防止装置110の第2電極122は、リム94に取り付けられている。居眠り運転防止装置110は、八個の第2電極122を備えている。第2電極122は、リム94の背面に配置されている。第2電極122は、第1電極121と同様に、第1回転方向X1に弧を描くように延びている。各第2電極122における弧の長さは、第1電極121における弧の長さに等しい。八個の第2電極122は、第1回転方向X1において間隔を空けて並んで配置されている。第1回転方向X1において隣り合う二つの第2電極122は、次の位置関係にある。一方の第2電極122が取り付けられている位置に対してステアリングホイール90の回転軸Cを回転中心として第1回転方向X1に規定の角度回転させた位置に、他方の第2電極122が取り付けられている。八個の第2電極122は、等間隔に配置されている。すなわち、リム94には、円弧状の第2電極122が第1回転方向X1に並んで配置されている。第2電極122は、円環形状が八個に分断された形状ということもできる。第1回転方向X1において隣り合う二つの第2電極122の間の距離は、間隔Gと等しい。
【0028】
図6に示すように、居眠り運転防止装置110では、リム94の表面に配置されている第1電極121と、リム94の裏面に配置されている第2電極122とが、リム94の表裏で対称の位置関係にある。グリップ部95の表面では、八個の第1電極121のそれぞれについて、第1電極121と第2電極122とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。
【0029】
〈第2実施形態の作用および効果〉
本実施形態の作用および効果について説明する。
居眠り運転防止装置110では、第1実施形態における居眠り運転防止装置10と同様に、運転者がステアリングホイール90のグリップ部95を握る場合に運転者が片手で触れることのできる範囲に第1電極121および第2電極122が位置しやすい。このため、運転者が第1電極121および第2電極122の両方に触れやすくなる。これによって、居眠り運転防止装置110によれば、第1実施形態における居眠り運転防止装置10と共通の効果を奏することができる。
【0030】
なお、居眠り運転防止装置110では、複数の第1電極121が間隔を空けて並んで配置されている。複数の第2電極122についても間隔を空けて並んで配置されている。居眠り運転防止装置110の一例では、隣り合う二つの第1電極121の間の距離である間隔Gは、手の平における幅よりも小さくされている。この場合には、間隔Gを含む領域を運転者が握るとしても、運転者は、第1電極121および第2電極122の両方に片手で触れることができる。すなわち、運転者がグリップ部95を握っていれば、運転者が手を触れる位置にかかわらず、運転者が第1電極121および第2電極122に触れやすくなる。
【0031】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・居眠り運転防止装置は、一対の電極である第1電極および第2電極に加えて、さらに電極を備えていてもよい。図7を用いて一例を説明する。
【0032】
図7に示す居眠り運転防止装置210は、リム94の正面に配置されている円弧状の第1電極221を備えている。第1回転方向X1において隣り合う二つの第1電極221は、次の位置関係にある。一方の第1電極221が取り付けられている位置に対して回転軸Cを回転中心として第1回転方向X1に回転させた位置に、他方の第1電極221が取り付けられている。
【0033】
居眠り運転防止装置210は、リム94の背面に配置されている円弧状の第2電極222を備えている。第1回転方向X1において隣り合う二つの第2電極222は、次の位置関係にある。一方の第2電極222が取り付けられている位置に対して回転軸Cを回転中心として第1回転方向X1に回転させた位置に、他方の第2電極222が取り付けられている。
【0034】
さらに、居眠り運転防止装置210は、第1電極221と同電位の電極である第3電極223を備えている。第3電極223は、円弧状の電極である。第3電極223の形状の一例は、第2電極222の形状に等しい。第3電極223における弧の長さの一例は、第2電極222における弧の長さに等しい。第3電極223は、第1回転方向X1において隣り合う二つの第2電極222の間に配置されている。たとえば、第3電極223は、隣り合う二つの第2電極222の中間に位置している。第2電極222と第3電極223との間隔は、手の平における幅よりも小さくされている。
【0035】
居眠り運転防止装置210は、第2電極222と同電位の電極である第4電極224を備えている。第4電極224は、円弧状の電極である。第4電極224の形状の一例は、第1電極221の形状に等しい。第4電極224における弧の長さの一例は、第1電極221における弧の長さに等しい。第4電極224は、第1回転方向X1において隣り合う二つの第1電極221の間に配置されている。たとえば、第4電極224は、隣り合う二つの第1電極221の中間に位置している。第1電極221と第4電極224との間隔は、手の平における幅よりも小さくされている。
【0036】
居眠り運転防止装置210では、第1電極221と第2電極222とが周方向Yに並んで配置されている。居眠り運転防止装置210では、第3電極223と第4電極224とが周方向Yに並んで配置されている。居眠り運転防止装置210によれば、上記各実施形態と同様に、運転者が正極および負極の両方の電極に触れやすくなる。これによって、運転者に対して通電による刺激を与える機会が損なわれることを軽減できる。
【0037】
・上記第2実施形態では、第1電極121と第2電極122とがリム94の表裏で対称の位置関係にある例を示した。複数の第1電極および複数の第2電極の配置はこれに限定されるものではない。第1電極と第2電極とは、リム94の表裏で位置がずれていてもよい。たとえば、図7に示す居眠り運転防止装置210のように、第1電極221に対して対称の位置から回転軸Cを回転中心として第1回転方向X1に所定角度回転させた位置に第2電極222が配置されていてもよい。
【0038】
・上記第1実施形態および第2実施形態では、リム94の正面および背面に電極を配置する例を示した。電極の位置は、リム94の正面および背面に限定されるものではない。図8を用いて一例を説明する。
【0039】
図8に示す居眠り運転防止装置310は、リム94の全周に亘って環状に配置されている第1電極321を備えている。居眠り運転防止装置310は、リム94の全周に亘って環状に配置されている第2電極322を備えている。第1電極321および第2電極322は、リム94における外周側の面であるリム外周部94Bに配置されている。
【0040】
リム外周部94Bについて説明する。リム94のうち、ステアリングホイール90の回転軸Cに近い部分をリム内周部94Aとする。リム外周部94Bは、リム94のうちリム内周部94Aよりも外側の部分である。図8に示す例では、リム94のうち、回転軸Cに近い1/2の領域をリム内周部94Aとしている。すなわち、リム内周部94Aよりも外側の1/2の領域がリム外周部94Bである。リム内周部94Aの範囲は、適宜変更することができる。たとえば、回転軸Cに近い1/3の領域をリム内周部94Aとしてもよいし、2/3の領域をリム内周部94Aとしてもよい。
【0041】
このように配置されている居眠り運転防止装置310における第1電極321および第2電極322も、各実施形態における第1電極および第2電極と同様に周方向Yに並んでいる。居眠り運転防止装置310によれば、第1電極321および第2電極322がリム外周部94Bに配置されていることによって、第1電極321および第2電極322の両方が運転者の手の平に触れやすくなる。
【0042】
・上記第2実施形態における第1電極121および第2電極122のような円弧状の複数の電極を、リム外周部94Bに並べて配置してもよい。
図9および図10に示す居眠り運転防止装置410のように、リム内周部に配置されている環状の第3電極423と、リム外周部に配置されている環状の第4電極424とを備えていてもよい。
【0043】
図9および図10に示すように、居眠り運転防止装置410は、リム94の正面に配置されている第1電極421を備えている。居眠り運転防止装置410は、リム94の背面に配置されている第2電極422を備えている。第1電極421、第2電極422、第3電極423および第4電極424は、リム94の全周に亘って環状に配置されている。第3電極423は、第1電極421と同電位の電極である。第4電極424は、第2電極422と同電位の電極である。
【0044】
図10に示すように、居眠り運転防止装置410においても、第1電極421と第2電極422とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。また、第3電極423と第4電極424とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。さらに、第1電極421と第4電極424とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。また、第2電極422と第3電極423とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されている。居眠り運転防止装置410によれば、上記各実施形態と同様に、運転者が正極および負極の両方の電極に触れやすくなる。これによって、運転者に対して通電による刺激を与える機会が損なわれることを軽減できる。
【0045】
図9および図10に示す居眠り運転防止装置410において、第1電極421および第2電極422を省略することもできる。すなわち、正極および負極のうち一方の電極がリム内周部に配置されており、正極および負極のうち他方の電極がリム外周部に配置されていてもよい。
【0046】
・ステアリングホイール90の正面に第1電極を配置して、ステアリングホイール90のリム外周部に第2電極を配置してもよい。ステアリングホイール90の正面に第1電極を配置して、ステアリングホイール90のリム内周部に第2電極を配置してもよい。また、ステアリングホイール90のリム外周部に第1電極を配置して、ステアリングホイール90の背面に第2電極を配置してもよい。ステアリングホイール90のリム内周部に第1電極を配置して、ステアリングホイール90の背面に第2電極を配置してもよい。
【0047】
・上記第1実施形態では、ステアリングホイール90の正面に配置されている環状の第1電極21と、ステアリングホイール90の背面に配置されている環状の第2電極22とを組み合わせている。また、上記第2実施形態では、ステアリングホイール90の正面に配置されている円弧状の複数の第1電極121と、ステアリングホイール90の背面に配置されている円弧状の複数の第2電極122とを組み合わせている。一対の電極としてはこれに限らず、環状の第1電極と円弧状の第2電極とを組み合わせてもよい。たとえば、ステアリングホイール90の正面に環状の第1電極を配置して、ステアリングホイール90の背面に円弧状の第2電極を複数配置することもできる。
【0048】
図9および図10に示す居眠り運転防止装置410では、第1電極421および第2電極422からなる一対の電極と、第3電極423および第4電極424からなる一対の電極と、を備えている。すなわち、一対の電極が二組設けられている。居眠り運転防止装置は、一対の電極を三組以上備えていてもよい。
【0049】
・ステアリングホイール90の径方向における電極の幅は、ステアリングホイール90の全周に亘って一定でもよいし、部分的に太くなっていてもよい。あるいは、電極の幅は部分的に細くなっていてもよい。
【0050】
・上記第2実施形態では、八個の第1電極121と八個の第2電極122とを備えている例を示した。複数の第1電極の数は、八個よりも少なくてもよいし九個以上でもよい。同様に複数の第2電極の数は、八個よりも少なくてもよいし九個以上でもよい。
【0051】
・上記第2実施形態では、複数の円弧状の電極について、形状および大きさが等しいものを例示した。複数の電極に関しては、たとえば、それぞれの弧の長さが異なっていてもよい。第1回転方向X1において隣り合う二つの電極間における間隔についても、必ずしも一定でなくてもよい。
【0052】
・上記第1実施形態では、第1回転方向X1におけるリム94の全周がグリップ部95に対応している例を示した。リム94のうち少なくとも一部がグリップ部95を構成していればよい。運転者が握ることのできるグリップ部95において、第1電極と第2電極とが周方向Yにおいて間隔を空けて並んで配置されていれば、上記各実施形態と同様に、運転者が正極および負極の両方の電極に触れやすくなる。
【0053】
・各実施形態において例示したリム94の形状は一例である。ステアリングホイールにおけるリムの形状としては、真円を採用してもよいし、楕円を採用することもできる。リムは、一部が角張った形状でもよい。また、リムは、必ずしも環である必要はない。たとえば、リムは、環の一部を欠くC字形状でもよい。
【0054】
・各実施形態において例示した環状の電極および円弧状の電極の曲率は一例である。各電極は、リムの形状に合わせてリムの表面に配置されていればよい。
・リム94に取り付けられている電極への低周波発生器11からの送電を、無線給電装置によって行う構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…居眠り運転防止装置
11…低周波発生器
21…第1電極
22…第2電極
90…ステアリングホイール
94…リム
94A…リム内周部
94B…リム外周部
95…グリップ部
110…居眠り運転防止装置
121…第1電極
122…第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10