(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012915
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】内接歯車ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20220107BHJP
F04C 14/00 20060101ALI20220107BHJP
F04C 15/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F04C2/10 341E
F04C2/10 331
F04C14/00 C
F04C15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115090
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000100827
【氏名又は名称】アイシン機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】長谷 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】藤野 佑樹
【テーマコード(参考)】
3H041
3H044
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB04
3H041CC12
3H041CC19
3H041DD18
3H041DD38
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC11
3H044CC18
3H044DD16
3H044DD28
(57)【要約】
【課題】 インナーロータの駆動トルクが過度に上昇してしまうことを確実に抑制可能な内接歯車ポンプの一例を開示する。
【解決手段】 ハウジング7には、第3吐出ポート14と外部とを連通させる連通路15が設けられている。これにより、ポート間室内の作動用等の流体は、第3吐出ポート14及び連通路15を経由して外部に排出され得る。したがって、当該内接歯車ポンプ1では、ポート間室の圧力が過度に上昇することが確実に抑制され得るので、インナーロータ5の駆動トルクが過度に上昇してしまうことを確実に抑制され得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内接歯車ポンプにおいて、
リング状のアウターロータであって、径方向内側に向けて突出した複数の突起部にて構成された内歯部を有するアウターロータと、
前記アウターロータの内側に配置されて回転駆動されるインナーロータであって、径方向外側に向けて突出した複数の突起部にて構成された外歯部を有するインナーロータと、
前記アウターロータ及び前記インナーロータを収容するハウジングとを備え、
前記ハウジングのうち前記アウターロータ及び前記インナーロータの側面と滑り接触する摺接面には、吸入ポート、第1吐出ポート及び第2吐出ポートが設けられ、
前記内歯部と前記外歯部との隙間に構成された複数の空間であって、前記インナーロータの回転方向に沿って構成された複数の空間それぞれを作動室とし、前記摺接面のうち前記第1吐出ポートと前記第2吐出ポートとの間に位置する作動室をポート間室としたとき、
前記摺接面のうち前記第1吐出ポートと前記第2吐出ポートとの間には、前記ポート間室と連通可能な第3吐出ポートであって、前記第1吐出ポート及び前記第2吐出ポートより開口面積が小さい第3吐出ポートが設けられ、
前記第3吐出ポートは、前記第1吐出ポートと連通し、かつ、当該第1吐出ポートから前記第2吐出ポート側に向けて延びる溝状の部位であり、
さらに、前記ハウジングには、前記第3吐出ポートと外部とを連通させる連通路が設けられている内接歯車ポンプ。
【請求項2】
前記第1吐出ポートは、前記摺接面から窪んだ窪み部の開口として構成され、
前記窪み部の内壁には、当該窪み部内の空間と外部とを連通させる第1排出口が設けられており、
前記連通路は、前記第3吐出ポートと前記窪み部内の空間とを連通させる請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項3】
前記第1排出口の外縁のうち前記第3吐出ポート側端部は、溝状の前記第3吐出ポートの延び方向先端より前記第2吐出ポート側に位置している請求項2に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項4】
前記外歯部の突起部と前記内歯部の突起部とが接触する部位を接触部としたとき、
前記第3吐出ポートは、少なくとも前記接触部より径方向内側に設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項5】
前記接触部より径方向外側には、第2の前記第3吐出ポートが設けられている請求項4に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項6】
前記吸入ポート、前記第1吐出ポート、前記第2吐出ポート及び前記第3吐出ポートは、前記インナーロータの回転の向きに沿って、前記吸入ポート、前記第1吐出ポート、前記第3吐出ポート、前記第2吐出ポートの順に並んでいる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の内接歯車ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リング状のアウターロータ、及び当該アウターロータの内で回転駆動されるインナーロータを備える内接歯車ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の内接歯車ポンプは、吸入ポート、第1吐出ポート及び第2吐出ポートが、インナーロータの回転の向きに沿って、吸入ポート、第1吐出ポート、第2吐出ポートの順に並んでいる。
【0003】
そして、インナーロータが回転駆動されると、アウターロータの内歯部とインナーロータの外歯部とが噛み合ってアウターロータが回転するとともに、内歯部と外歯部との隙間(以下、作動室という。)の体積が拡大縮小して作動油等の流体が吸入吐出される。
【0004】
さらに、特許文献1に記載の発明では、第1吐出ポートと第2吐出ポートとの間に位置する作動室(以下、ポート間室)の圧力が過度に上昇することを抑制することにより、インナーロータの駆動トルクが過度に上昇することを抑制している。
【0005】
つまり、特許文献1の発明では、第1吐出ポートのうち回転方向前進側に当該回転方向前進向きに伸びる溝が形成されている。これにより、ポート間室の作動油が当該溝を介して第1吐出ポートに排出されるため、ポート間室の圧力が過度に上昇することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の内接歯車ポンプでは、本来、第1吐出ポートからポンプ外に吐出されるべき作動油の一部が上記溝に流れてしまい、ポート間室の作動油が当該溝を介して第1吐出ポートに排出されない可能性がある。
【0008】
そして、ポート間室の作動油が排出されないと、ポート間室の圧力が過度に上昇してしまうので、インナーロータの駆動トルクが過度に上昇してしまう。
【0009】
本開示は、上記点に鑑み、インナーロータの駆動トルクが過度に上昇してしまうことを確実に抑制可能な内接歯車ポンプの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
内接歯車ポンプは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件はリング状のアウターロータ(3)であって、径方向内側に向けて突出した複数の突起部にて構成された内歯部(3A)を有するアウターロータ(3)と、アウターロータ(3)の内側に配置されて回転駆動されるインナーロータ(5)であって、径方向外側に向けて突出した複数の突起部にて構成された外歯部(5A)を有するインナーロータ(5)と、アウターロータ(3)及びインナーロータ(5)を収容するハウジング(7)とを備え、ハウジング(7)のうちアウターロータ(3)及びインナーロータ(5)の側面と滑り接触する摺接面(7B)には、吸入ポート(9)、第1吐出ポート(11)及び第2吐出ポート(12)が設けられ、摺接面(7B)のうち第1吐出ポート(11)と第2吐出ポート(12)との間には、ポート間室(Vb)と連通可能な第3吐出ポート(14)であって、第1吐出ポート(11)及び第2吐出ポート(12)より開口面積が小さい第3吐出ポート(14)が設けられており、さらに、ハウジング(7)には、第3吐出ポート14と外部とを連通させる連通路(15)が設けられていることが望ましい。
【0011】
なお、ポート間室(Vb)とは、摺接面(7B)のうち第1吐出ポート(11)と第2吐出ポート(12)との間に位置する作動室をいう。作動室とは、内歯部(3A)と外歯部(5A)との隙間に構成された複数の空間であって、インナーロータ(5)の回転方向に沿って構成された複数の空間それぞれをいう。
【0012】
これにより、ポート間室(Vb)内の作動用等の流体は、第3吐出ポート(14)及び連通路(15)を経由して外部に排出され得る。したがって、当該内接歯車ポンプでは、ポート間室(Vb)の圧力が過度に上昇することが確実に抑制され得るので、インナーロータ(5)の駆動トルクが過度に上昇してしまうことを確実に抑制され得る。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る内接歯車ポンプを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るハウジングを示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るハウジングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0016】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0018】
(第1実施形態)
本実施形態は、内燃機関又は自動変速機等の車両用機器に作動油を供給する油圧ポンプに本開示に係る内接歯車ポンプの一例が適用されたものである。
【0019】
<1.内接歯車ポンプの概要>
内接歯車ポンプ1は、
図1に示されるように、アウターロータ3、インナーロータ5及びハウジング7等を少なくとも備える。
【0020】
アウターロータ3は、ハウジング7内に回転可能に収納されたリング状の部品である。当該アウターロータ3には、径方向内側に向けて突出した複数の突起部にて構成された内歯部3Aが設けられている。
【0021】
インナーロータ5は、アウターロータ3の内側に配置されて回転駆動される外歯歯車状の部品である。当該インナーロータ5は、径方向外側に向けて突出した複数の突起部にて構成された外歯部5Aが設けられている。
【0022】
なお、内歯部3Aの歯形及び外歯部5Aの歯形、つまり各突起部の形状は、例えば円弧状の曲線にて構成されている。外歯部5Aの歯数(突起部の個数)は、内歯部3Aの歯数(突起部の個数)より1つ少ない。
【0023】
アウターロータ3の中心は、インナーロータ5の中心に対してずれている。インナーロータ5は、2つの駆動部5Bから駆動力を得て回転駆動される。アウターロータ3は、外歯部5Aと内歯部3Aとの噛合部から駆動力を得て回転する。
【0024】
なお、軸部5Cは、インナーロータ5を支持する固定軸である。軸部5Cとインナーロータ5と間には、滑り軸受を構成するブッシング5Dが配置されている。油路5Eは、潤滑油(本実施形態では、作動油)の供給路である。
【0025】
ハウジング7には、
図2に示されるように、アウターロータ3及びインナーロータ5を収容する収容部7Aが設けられている。当該収容部7Aは、
図2の紙面垂直方向に窪んだ凹部状の部位である。
【0026】
収容部7Aの底部には、
図3~
図5に示されるように、アウターロータ3の側面及びインナーロータ5の側面と滑り接触する摺接面7Bが設けられている。なお、当該側面とは、アウターロータ3及びインナーロータ5の外壁のうち回転軸線と直交する壁面をいう。
【0027】
摺接面7Bには、吸入ポート9、第1吐出ポート11、第2吐出ポート12及び第3吐出ポート14が設けられている。各ポート9、11、12、14は、摺接面7Bにおいて、アウターロータ3及びインナーロータ5に向けて開口した開口部である。
【0028】
なお、吸入ポート9、第1吐出ポート11、第2吐出ポート12及び第3吐出ポート14は、インナーロータ5の回転の向きD(
図1参照)に沿って、吸入ポート9、第1吐出ポート11、第3吐出ポート14、第2吐出ポート12の順に並んでいる。
【0029】
<吸入ポート>
吸入ポート9は、摺接面7Bから窪んだ窪み部(図示せず。)の開口である。当該吸入ポート9は、
図2に示されるように、流入路9Aに連通している。外部の作動油は、流入路9Aを経由して吸入ポート9に流れ込む。
【0030】
<第1吐出ポート>
第1吐出ポート11は、
図4及び
図5に示されるように、摺接面7Bから窪んだ凹状の窪み部11Aの開口として構成されている。当該窪み部11Aの内壁には、当該窪み部11A内の空間と外部とを連通させる第1排出口11Bが設けられている。
【0031】
なお、第1排出口11Bは、
図4及び
図5の二点鎖線の斜線部分である。そして、当該第1排出口11Bは、第1流出路11Cを介して外部に連通している。つまり、第1排出口11Bは、第1流出路11Cの流入側開口である。
【0032】
<第2吐出ポート(
図2参照)>
第2吐出ポート12は、第1吐出ポート11と同様に、摺接面7Bから窪んだ凹状の窪み部12Aの開口として構成されている。当該窪み部12Aの内壁には、当該窪み部12A内の空間と外部とを連通させる第2排出口12Bが設けられている。そして、第2排出口12Bは、第2流出路12Cを介して外部に連通している。
【0033】
<第3吐出ポート>
第3吐出ポート14は、
図2に示されるように、摺接面7Bのうち第1吐出ポート11と第2吐出ポート12との間に設けられた開口であって、第1吐出ポート11及び第2吐出ポート12より開口面積が小さい開口である。
【0034】
<2.第3吐出ポートの詳細>
<用語の定義等>
作動室とは、
図1において、内歯部3Aと外歯部5Aとの隙間に構成された複数の空間それぞれであって、インナーロータ5の回転方向Dに沿って構成された複数の空間それぞれをいう。ポート間室Vbとは、複数の作動室のうち第1吐出ポート11と第2吐出ポート12との間に位置する作動室をいう。
【0035】
そして、インナーロータ5の回転と共にアウターロータ3が矢印Dの向きに回転すると、各作動室は、矢印Dの向きに移動しながら体積が変化する。すなわち、吸入ポート9上を移動する複数の作動室は体積が拡大変化する。これにより、作動油が吸入ポート9から各作動室に吸引される。
【0036】
第1吐出ポート11及び第2吐出ポート12上を移動する複数の作動室は体積が縮小変化する。これにより、各作動室に吸引された作動油は、いずれかの吐出ポートから外部に吐出される。
【0037】
なお、本実施形態では、第1吐出ポート11は、第2吐出ポート12より圧力の高い部位に連通している。このため、第1吐出ポート11の圧力は、第2吐出ポート12の圧力より高圧となっている。つまり、第1吐出ポート11は高圧吐出ポートとして機能し、第2吐出ポート12は低圧吐出ポートとして機能する。
【0038】
<第3吐出ポート>
第3吐出ポート14は、
図1に示されるように、ポート間室Vbと連通可能な開口である。当該第3吐出ポート14は、
図2に示されるように、第1吐出ポート11から第2吐出ポート側に向けて延びる溝状の部位である。このため、第3吐出ポート14は、常に第1吐出ポート11と連通している。
【0039】
なお、本実施形態に係る第3吐出ポート14は、2つの第3吐出ポート14A、14Bにより構成されている。第1の第3吐出ポート14Aは、接触部P(
図1参照)より径方向内側に設けられている。第2の第3吐出ポート14Bは、接触部Pより径方向外側に設けられている。
【0040】
接触部Pとは、
図1に示されるように、ポート間室Vbを構成する外歯部5Aの突起部と内歯部3Aの突起部とが接触する部位をいう。以下、特に断り書きある場合を除き、第3吐出ポート14とは、2つの第3吐出ポート14A、14Bを意図する。
【0041】
そして、ハウジング7には、
図3に示されるように、第3吐出ポート14と外部とを連通させる連通路15が設けられている。つまり、
図4及び
図5に示されるように、連通路15(一点鎖線の斜線部)は、第3吐出ポート14と窪み部11A内の空間とを連通させる。
【0042】
具体的には、連通路15は、窪み部11A内のうち第1排出口11B側の空間、及び窪み部11A内のうち第1排出口11Bより第1吐出ポート11側の空間と第3吐出ポート14とを連通させる。したがって、連通路15は、第1排出口11B、つまり第1流出路11Cを介して外部に連通する。
【0043】
なお、本実施形態に係る連通路15は、
図3に示されるように、第1の連通路15A、及び第2の連通路15Bを有して構成されている。第1の連通路15Aは、第1の第3吐出ポート14Aと連通する。第2の連通路15Bは、第2の第3吐出ポート14Bと連通する。
【0044】
第1の連通路15Aの通路断面は、第1の第3吐出ポート14Aの合同又は相似形状である。第2の連通路15Bの通路断面は、第2の第3吐出ポート14Bの合同又は相似形状である。
【0045】
図4及び
図5に示されるように、第1排出口11Bの外縁のうち第3吐出ポート14側端部11Dは、溝状の第3吐出ポート14の延び方向先端より第2吐出ポート12側に位置している(
図2参照)。
【0046】
3.本実施形態に係る内接歯車ポンプの特徴
本実施形態に係る内接歯車ポンプ1には、第3吐出ポート14と外部とを連通させる連通路15が設けられている。これにより、ポート間室Vb内の作動用等の流体は、第3吐出ポート14及び連通路15を経由して外部に排出され得る。
【0047】
したがって、当該内接歯車ポンプ1では、ポート間室Vbの圧力が過度に上昇することが確実に抑制され得るので、インナーロータ5の駆動トルクが過度に上昇してしまうことを確実に抑制され得る。
【0048】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、吸入ポート9、第1吐出ポート11及び第2吐出ポート12は、インナーロータ5の回転の向きDに沿って、吸入ポート9、第1吐出ポート11、第2吐出ポート12の順に並んでいた。
【0049】
これに対して、本実施形態では、
図6に示されるように、吸入ポート9、第1吐出ポート11及び第2吐出ポート12は、インナーロータ5の回転の向きDに沿って、吸入ポート9、第2吐出ポート12、第1吐出ポート11の順に並んでいる。
【0050】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0051】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ポート間室Vbとなる作動室(空間)は1つであった(
図2参照)。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、ポート間室Vbとなる作動室が2つ以上であってもよい。
【0052】
上述の実施形態では、第1吐出ポート11の吐出圧が第2吐出ポート12の吐出圧より大きい内接歯車ポンプであった。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、第1吐出ポート11の吐出圧と第2吐出ポート12の吐出圧とが同じである内接歯車ポンプ、又は第1吐出ポート11の吐出圧が第2吐出ポート12の吐出圧より小さい内接歯車ポンプであってもよい。
【0053】
上述の実施形態に係る内接歯車ポンプは、内燃機関又は自動変速機等の車両用機器に作動油を供給する油圧ポンプであった。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、内燃機関の冷却水を循環させるウォータポンプやその他のポンプ等にも適用可能である。
【0054】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1… 内接歯車ポンプ 3… アウターロータ 3A… 内歯部
5… インナーロータ 5A… 外歯部 5B… 駆動部
5C… 軸部 5D… ブッシング 5E… 油路
7… ハウジング 7A… 収容部 7B… 摺接面
9… 吸入ポート 9A… 流入路 11… 第1吐出ポート
11A… 窪み部 11B… 第1排出口 11C… 第1流出路
12… 第2吐出ポート 12A… 窪み部 12B… 第2排出口
12C… 第2流出路 14… 第3吐出ポート 14A… 第1の第3吐出ポート
14B… 第2の第3吐出ポート 15… 連通路 15A… 第1の連通路
15B… 第2の連通路 Vb… ポート間室