(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129195
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】減衰バルブ及び緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 9/34 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
F16F9/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027801
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】志村 清之介
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA50
3J069AA64
3J069DD47
3J069EE11
(57)【要約】
【課題】
本発明は、弁体に作用するばね荷重の分布をコントロールして、減衰力特性を調整可能な減衰バルブ及びこの減衰バルブを備えた緩衝器の提供を目的とする。
【解決手段】
周方向に配置される複数の減衰ポート30aを有するバルブディスク30に積層されて減衰ポート30aを開閉する環状のリーフバルブ31と、リーフバルブ31をバルブディスク30側に向けて付勢するばね部材40とを備え、ばね部材40は、リーフバルブ31の周方向に沿って配置される3つ以上のコイルばね41を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配置される複数のポートを有するバルブディスクと、
前記バルブディスクに積層されて前記ポートを開閉する環状の弁体と、
前記弁体を前記バルブディスク側に向けて付勢するばね部材とを備え、
前記ばね部材は、前記弁体の周方向に沿って配置される3つ以上のコイルばねを有する
ことを特徴とする減衰バルブ。
【請求項2】
前記各コイルばねは、自然長とばね定数が同一であって、周方向に等間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の減衰バルブ。
【請求項3】
前記各コイルばねのうち少なくとも一つのコイルばねの自然長は他のコイルばねの自然長と異なっているか、または、
前記各コイルばねのうち少なくとも一つのコイルばねのばね定数は他のコイルばねのばね定数と異なっている
ことを特徴とする請求項1に記載の減衰バルブ。
【請求項4】
前記ばね部材は、前記各コイルばねを収容する複数の収容部を設けた環状のホルダを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の減衰バルブ。
【請求項5】
筒状であって前記バルブディスク,前記弁体及び前記ばね部材を内部に収容するとともに内周に螺子部を有するハウジングと、
前記螺子部に螺合されて周方向に回転することで前記ハウジングに対して軸方向へ変位して前記ばね部材の反弁体側端の支持位置を軸方向へ変更可能なばねアジャスタと、
前記ばねアジャスタと前記ばね部材との間に介装されて前記ばねアジャスタと前記ばね部材との間で生じる摩擦を低減するベアリングとを備えた
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の減衰バルブ。
【請求項6】
前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体の開口部に螺着されるとともに前記ばねアジャスタが螺合される前記螺子部を有するキャップとを含み、
前記キャップの一端と前記バルブディスクとの間には内部に前記コイルばねを収容する筒状のスペーサが介装されており、
前記スペーサは前記コイルばねの径方向の撓みを規制するガイド筒部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の減衰バルブ。
【請求項7】
前記各コイルばねの前記弁体側端と前記弁体との間に介装される環状のばね受けを有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の減衰バルブ。
【請求項8】
前記バルブディスクは、前記各ポートの出口端をそれぞれ独立して取り囲む複数の弁座を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の減衰バルブ。
【請求項9】
シリンダと、前記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドと、伸縮時に液体が移動する2つの作動室を有する緩衝器本体と、
前記2つの作動室を連通する通路の途中に設けられる請求項1から8のいずれか一項に記載の減衰バルブとを備える
ことを特徴とする緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、減衰バルブ及び緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、減衰バルブは、車両のサスペンションに用いられる緩衝器に利用されて、緩衝器の伸縮時に発揮する減衰力で車体振動を抑制して、車両の乗り心地を向上させている。
【0003】
具体的には、緩衝器は、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンが連結されるロッドと、タンクと、伸長時に伸側室から圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与えて伸側減衰力を発揮する伸側減衰バルブと、圧側室とタンクとを区画して収縮時に圧側室からタンクへ向かう液体の流れに抵抗を与えて圧側減衰力を発揮する圧側減衰バルブとを備えている(例えば、特許文献1)。
【0004】
そして、特許文献1の圧側減衰バルブは、圧側室とタンクとを区画するとともに圧側室とタンクとを連通する複数のポートを有する隔壁部材と、隔壁部材に積層されてポートを開閉する環状板状の弁体と、弁体を隔壁部材側に向けて付勢するコイルばねと、コイルばねのイニシャル荷重を調整するアジャスタとを備えている。
【0005】
そのため、従来のバルブ構造は、コイルばねのイニシャル荷重を調整することで、圧側減衰バルブの開弁圧を調整して、緩衝器の圧側減衰力を調整できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように圧側減衰バルブでは弁体をコイルばねで付勢しているが、コイルばねのばね荷重は製品毎に一定せず周方向に偏りがあるため、弁体に作用するばね荷重の分布に周方向で意図しないバラつきが生じてしまう。そのため、従来の減衰バルブでは、弁体の開くタイミングが周方向でバラついてしまい、狙い通りの減衰力を発揮できない場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、弁体に作用するばね荷重の分布をコントロールして、意図しないばね荷重の分布のバラつきをなくすとともに、減衰力特性を調整可能な減衰バルブ及びこの減衰バルブを備えた緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、周方向に配置される複数のポートを有するバルブディスクと、前記バルブディスクに積層されて前記ポートを開閉する環状の弁体と、前記弁体を前記バルブディスク側に向けて付勢するばね部材とを備え、前記ばね部材は、前記弁体の周方向に沿って配置される3つ以上のコイルばねを有することを特徴とする。この構成によると、弁体に周方向で作用するばね部材のばね荷重の分布をコントロールできる。
【0010】
また、本発明の減衰バルブでは、前記各コイルばねは、自然長とばね定数が同一であって、周方向に等間隔で配置されていてもよい。この構成によると、弁体に対してばね部材のばね荷重が周方向で均等に作用するため、弁体が開くタイミングが周方向でバラつかない。そのため、本発明の減衰バルブが搭載された緩衝器は狙い通りの減衰力を発揮できる。
【0011】
また、本発明の減衰バルブでは、前記各コイルばねのうち少なくとも一つのコイルばねの自然長は他のコイルばねの自然長と異なっているか、または、前記各コイルばねのうち少なくとも一つのコイルばねのばね定数は他のコイルばねのばね定数と異なるようにしてもよい。この構成によると、ばね部材のばね荷重の分布を意図的に偏らせることで、弁体の開き方を任意に設定できる。そのため、本発明の減衰バルブが搭載された緩衝器の減衰力特性を調整できる。
【0012】
また、本発明の減衰バルブでは、前記ばね部材は、前記各コイルばねを収容する複数の収容部を設けた環状のホルダを有していてもよい。この構成によると、コイルばねを周方向の望んだ位置に自動的に位置決めできるとともに、ばね部材の組み立て作業が容易となる。
【0013】
また、本発明の減衰バルブは、筒状であって前記バルブディスク,前記弁体及び前記ばね部材を内部に収容するとともに内周に螺子部を有するハウジングと、前記螺子部に螺合されて周方向に回転することで前記ハウジングに対して軸方向へ変位して前記ばね部材の反弁体側端の支持位置を軸方向へ変更可能なばねアジャスタと、前記ばねアジャスタと前記ばね部材との間に介装されて前記ばねアジャスタと前記ばね部材との間で生じる摩擦を低減するベアリングとを備えてもよい。この構成によると、ばねアジャスタを回転操作しても、ベアリングが滑って、ばねアジャスタの回転力がばね部材に伝わりにくくなるので、コイルばねがねじれたり、ばねアジャスタがばね部材に対して擦れてコンタミナントが生じてしまうのを防止できる。
【0014】
また、本発明の減衰バルブでは、前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体の開口部に螺着されるとともに前記ばねアジャスタが螺合される前記螺子部を有するキャップとを含み、前記キャップの一端と前記バルブディスクとの間には内部に前記コイルばねを収容する筒状のスペーサが介装されており、前記スペーサは前記コイルばねの径方向の撓みを規制するガイド筒部を有してもよい。この構成によると、スペーサのガイド筒部が、各コイルばねの外側と対向して、各コイルばねの径方向の変形を抑制するため、各コイルばねの圧縮時における外側への胴曲がりを防止できる。
【0015】
また、本発明の減衰バルブは、前記各コイルばねの前記弁体側端と前記弁体との間に介装される環状のばね受けを有してもよい。この構成によると、コイルばねの端部が、リーフバルブの背面に直接当接しないので、リーフバルブを傷つけるのを防止できる。
【0016】
また、本発明の減衰バルブでは、前記バルブディスクは、前記各ポートの出口端をそれぞれ独立して取り囲む複数の弁座を有してもよい。この構成によると、各ポートに対向するように各コイルばねを配置すれば、各ポートの開弁圧をそれぞれ独立に設定できるため、緩衝器の減衰力特性の調整が容易となる。
【0017】
また、本発明の緩衝器は、シリンダと、前記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドと、伸縮時に液体が移動する2つの作動室を有する緩衝器本体と、前記2つの作動室を連通する通路の途中に設けられる前記減衰バルブとを備える。この構成によると、2つの作動室を液体が移動する際に発揮される減衰力の減衰特性を減衰バルブによって調整できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の減衰バルブ及び緩衝器によれば、弁体に作用するばね荷重の分布をコントロールして、減衰力特性を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施の形態に係る緩衝器の全体を示す断面図である。
【
図2】本実施の形態に係る緩衝器の減衰バルブを拡大して示す断面図である。
【
図3】(A)は本実施の形態のばね部材のホルダの断面図であり、(B)は本実施の形態のばね部材のホルダの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0021】
本実施の形態に係る減衰バルブVは緩衝器Dに利用されており、その緩衝器Dは車両のサスペンションに利用されている。なお、本発明に係る減衰バルブVを含む緩衝器Dは、車両以外に利用されてもよいのは勿論、緩衝器以外に利用されてもよい。このように、本発明に係る減衰バルブVの利用目的は、適宜変更できる。
【0022】
本実施の形態の緩衝器Dは、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド2と、シリンダ1内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド2の先端側に連結されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、圧側室R2に接続されるリザーバ室Rを有するタンクTとを備える緩衝器本体4と、圧側室R2とリザーバ室Rを連通する通路の途中に設けられる減衰バルブVとを備える。
【0023】
以下、本実施の形態の緩衝器Dの各部について詳細に説明する。
図1に示すように、シリンダ1は、筒状であって、シリンダ1の図中上端には、シリンダ1の上端を閉塞するとともにロッド2を軸支する環状のロッドガイド5が設けられている。また、シリンダ1の下端は後述するボトム部材20の第一ボトム部21によって閉塞されている。
【0024】
本実施の形態のロッド2は、
図1に示すように、シリンダ1の図中上端から基端が突出するとともに先端外周にピストン3がピストンナット6で固定されている。ピストン3は、シリンダ1内に軸方向移動自在に挿入されていてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画している。また、ピストン3には、伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路7と圧側通路8が設けられている。そして、伸側通路7には、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の通過のみを許容するとともにこの液体の流れに抵抗を与える伸側バルブ9が設けられている。他方、圧側通路8には、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の通過のみを許容する逆止弁10が設けられている。なお、本実施の形態では、液体は作動油とされているが、液体は水、水溶液、電気粘性流体、磁気粘性流体といった他の液体としてもよい。
【0025】
また、
図1に示すように、ロッド2には、伸側通路7と圧側通路8を迂回して伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側バイパス通路11が形成されている。この伸側バイパス通路11の途中には伸側バイパス通路11の流路面積を調整可能な可変絞り弁12が設けられている。
【0026】
タンクTは、筒状であって、
図1に示すように、シリンダ1の側方に平行に設けられている。タンクTの
図1中上端には、タンクTの上端を閉塞するアッパーキャップ13が装着されている。また、タンクTの図中下端は、後述するボトム部材20の第二ボトム部22によって閉塞されている。さらに、タンクTの内部に形成されるリザーバ室Rは、タンクT内に摺動自在に挿入されるフリーピストン14によって気室Gと第二ボトム部22に面する液室Lとに区画されており、フリーピストン14が移動すると、気室G及び液室Lの容積が拡縮するようになっている。
【0027】
つづいて、前述したボトム部材20について詳細に説明する。本実施の形態のボトム部材20は、
図1に示すように、シリンダ1の下端を閉塞する第一ボトム部21と、タンクTの下端を閉塞する第二ボトム部22と、第一ボトム部21と第二ボトム部22とを連結する連結部23とを備える。
【0028】
詳細には、第一ボトム部21は、
図1に示すように、有底筒状であって上端外周に螺子部(符示せず)を有するボトム本体21aと、ボトム本体21aの中央付近から反連結部側に突出するストッパ21bとを備える。そして、シリンダ1の下端内周にボトム本体21aの螺子部に螺合させ、シリンダ1の下端がストッパ21bに当接するまでシリンダ1をねじ込んでいくと、シリンダ1の下端に第一ボトム部21が装着されるので、シリンダ1の下端は第一ボトム部21によって閉塞される。
【0029】
第二ボトム部22は、
図1に示すように、有底筒状であって底部が第一ボトム部21に対向するように図中横向きに配置されて内部に後述する減衰バルブVの減衰部V1を収容するハウジング本体24と、ハウジング本体24の側部から図中上方に向けて延びる円筒状の装着部25とを有する。また、装着部25の外周には螺子部(符示せず)が設けられている。そして、タンクTの下端内周を装着部25の螺子部に螺合させ、タンクTを下端がハウジング本体22aに当接するまでねじ込んでいくと、タンクTの下端に第二ボトム部22が装着されるので、タンクTの下端は第二ボトム部22によって閉塞される。
【0030】
また、ハウジング本体24の内周は断面円状に形成されている。さらに、ハウジング本体24の内径は、底部側が開口部側よりも小さくなっていて、ハウジング本体24の内周には、底部側の小径部24aと、開口部側の大径部24bとが形成されており、小径部24aと大径部24bの境界には段部24cが形成される。さらに、大径部24bの開口側端には、螺子部24dが設けられている。
【0031】
また、タンクTの液室Lと対向するハウジング本体24の側部の
図1中上側には、ハウジング本体24の大径部24bを貫通して、ハウジング本体24の内部とリザーバ室Rの液室Lとを連通する連通孔26が設けられている。
【0032】
連結部23は、
図1に示すように、第一ボトム部21のボトム本体21aの側部と第二ボトム部22のハウジング本体24の底部とを連結するとともに、第一ボトム部21の内部とハウジング本体24の内部とを連通する連通路23aを備えている。したがって、圧側室R2とリザーバ室Rの液室Lは、第一ボトム部21の内部と、連結部23の連通路23aと、ハウジング本体24の内部と、連通孔26とによって、連通されている。
【0033】
つづいて、本実施の形態の減衰バルブVについて詳細に説明する。本実施の形態の減衰バルブVは、前述したハウジング本体24を含むハウジングHと、ハウジングH内に収容される減衰部V1とを備える。そして、本実施の形態の減衰部V1は、圧側室R2からリザーバ室Rへ向かう液体の流れに抵抗を与える減衰通路P1と、リザーバ室Rから圧側室R2へ向かう液体の通過のみを許容する吸込通路P2と、圧側室R2とリザーバ室Rを連通するとともに通過する液体の流れに抵抗を与える可変オリフィスOを有する圧側バイパス通路P3とを有する。
【0034】
以下、本実施の形態の減衰バルブVの各構成について詳細に説明する。本実施の形態のハウジングHは、
図1,
図2に示すように、前述したハウジング本体24と、ハウジング本体24の大径部24bの開口側端に設けられた螺子部24dに螺着されるキャップ27とで構成されている。キャップ27は、
図2に示すように、ハウジング本体24の内部に挿入されて外周が螺子部24dに螺合される大径筒部27aと、大径筒部27aの基端側(図中右側)に連続し大径筒部27aよりも内外径がそれぞれ小さく形成されて内周に螺子部27dを有する中径筒部27bと、中径筒部27bの反大径筒部側(図中右側)に連続し中径筒部27bよりも内径が小さく形成される小径筒部27cとを有する。
【0035】
また、
図2に示すように、キャップ27の大径筒部27aの外周にはシールリングS1が装着されており、大径筒部27aとハウジング本体24の間はシールされている。また、小径筒部27cの外周形状は六角形状となっており、キャップ27をハウジング本体24の螺子部24dに螺合する際に、工具等でキャップ27を掴みやすくなっている。なお、本実施の形態のキャップ27の形状は一例であって適宜変更できる。
【0036】
本実施の形態の減衰部V1は、
図2に示すように、環状であって周方向に配置される複数のポートとしての減衰ポート30aを有するバルブディスク30と、バルブディスク30に積層されて減衰ポート30aを開閉する環状の弁体としてのリーフバルブ31と、リーフバルブ31をバルブディスク30側に向けて付勢するばね部材40と、ばね部材40のイニシャル荷重を調整可能なばねアジャスタ50とを備える。
【0037】
具体的には、バルブディスク30は、
図2に示すように、環状であって、外周端がハウジング本体24の段部24cにスペーサリング32を介して積層されており、ハウジング本体24の内部を圧側室R2側の部屋とリザーバ室R側の部屋の二室に区画する。バルブディスク30の外周には、ハウジング本体24の内周に摺接するシールリングS2が装着されており、バルブディスク30の外周とハウジング本体24の大径部24bとの間はシールされている。また、バルブディスク30には、圧側室R2とリザーバ室Rとを連通する減衰ポート30aと吸込ポート30bが周方向に交互に配置されて形成されている。なお、減衰ポート30aと吸込ポート30bの位置や数は、特に限定されず、適宜変更できる。
【0038】
また、バルブディスク30のリザーバ室R側(
図2中右側)には、各減衰ポート30aの出口端(
図2中右端)をそれぞれ独立して取り囲む複数の花弁型の弁座30cが形成されている。そのため、本実施の形態の減衰ポート30aはいわゆる独立型ポートとなっている。他方、バルブディスク30の圧側室R2側(
図2中左側)には、各減衰ポート30aの入口端(
図2中左端)を取り囲む環状の内側弁座30dと、各吸込ポート30bの出口端を取り囲む環状の外側弁座30eが形成されている。なお、本実施の形態では、弁座30cは花弁型とされているが、各減衰ポート30aの出口端を取り囲む環状型とされてもよい。
【0039】
バルブディスク30の圧側室R2側には、
図2に示すように、バルブディスク30の内周端に当接する筒部34aと当該筒部34aの反バルブディスク側端から外側に向けて突出する環状のばね受け部34bとを有するばね受部材34と、ばね受部材34の筒部34aの外周に摺動自在に挿入されて吸込ポート30bの出口端(
図2中左端)を閉塞する環状板35と、ばね受部材34のばね受け部34bと環状板35との間に介装されて環状板35をバルブディスク30側に向けて付勢する付勢ばね36とが設けられている。
【0040】
そして、リザーバ室Rから圧側室R2へ液体が移動する場合、環状板35は、付勢ばね36の付勢力に抗してバルブディスク30からリフトして、開弁する。反対に圧側室R2からリザーバ室Rへ液体が移動する場合には、環状板35は、液体の圧力によってバルブディスク30に押し付けられるので、外側弁座30eに着座して閉じたままとなる。
【0041】
したがって、ばね受部材34と環状板35と付勢ばね36は、リザーバ室Rから圧側室R2へ移動する液体の流れのみを許容するチェックバルブ37を構成している。よって、吸込ポート30bは、チェックバルブ37により、リザーバ室Rから圧側室R2へ向かう液体の通過のみを許容する吸込通路P2として機能する。また、環状板35には、
図2に示すように、減衰ポート30aと対向する位置に孔35aが設けられており、減衰ポート30aの入口端が環状板35によって閉塞されないようになっている。
【0042】
本実施の形態では、バルブディスク30,リーフバルブ31,チェックバルブ37等の部材が、取付軸38の外周にナットNで一体的に組み付けられて、バルブアッセンブリVAを構成している。
【0043】
具体的には、取付軸38は、
図2に示すように、軸本体38aと、軸本体38aの一端外周に設けられる螺子溝38bと、軸本体38aの他端外周に設けられて軸本体38aよりも外径が大きい摺動部38cと、軸本体38aの摺動部38c側外周に設けられるフランジ部38dと、軸本体38aを軸方向に貫通する貫通孔38eとを有している。
【0044】
そして、取付軸38のフランジ部38dに後述する環状の調整部材39、間座33、リーフバルブ31、バルブディスク30、チェックバルブ37をこの順で積層し、軸本体38aの一端外周に設けられた螺子溝38bにナットNを螺合して締め付けることで、これらの部材は、フランジ部38dとナットNによって挟持されて、取付軸38に一体的に組み付けられる。
【0045】
戻って、バルブディスク30のリザーバ室R側には、
図2に示すように、減衰ポート30aの出口端を閉塞する弁体として複数の環状板を積層して構成されたリーフバルブ31が積層されている。また、リーフバルブ31の反バルブディスク側内周には、リーフバルブ31の内周を支持する間座33が積層されており、リーフバルブ31の撓み支点を決定している。なお、リーフバルブ31における環状板の枚数は任意に変更でき、環状板の枚数に応じてリーフバルブ31の撓み剛性を調整できる。
【0046】
この構成によると、圧側室R2からリザーバ室Rへ液体が移動する場合に、減衰ポート30aの入口側からリーフバルブ31に作用する液体の圧力がリーフバルブ31の開弁圧を超えると、リーフバルブ31は、間座33の外周端を支点にして撓んで外周を弁座30cから離間させて開弁し、減衰ポート30aを通過する液体の流れに対してリーフバルブ31の外周と弁座30cとの間に生じる隙間の大きさに応じた抵抗を与える。この際、リーフバルブ31は後述するばね部材40によってバルブディスク30側に向けて付勢されているため、リーフバルブ31の開弁圧は、リーフバルブ31の剛性とばね部材40のばね荷重によって決定される。反対に、リザーバ室Rから圧側室R2へ液体が移動する場合には、リーフバルブ31は液体の圧力によってバルブディスク30に押し付けられて弁座30cに着座して減衰ポート30aを遮断する。
【0047】
したがって、リーフバルブ31とばね部材40は、圧側室R2からリザーバ室Rへ移動する液体の流れのみを許容して、この液体の流れに抵抗を与えるバルブとして機能するので、リーフバルブ31とばね部材40は、減衰ポート30aとともに減衰通路P1を構成している。
【0048】
なお、本実施の形態では、吸込ポート30bの入口端(
図2中右端)は、バルブディスク30のリザーバ室R側に形成される隣接する弁座30c,30cの間に開口しているため、吸込ポート30bは、隣接する弁座30c,30cの間に形成される隙間を介してハウジング本体24内のリザーバ室R側の部屋と連通している。つまり、本実施の形態のリーフバルブ31は、吸込ポート30bの入口端を閉塞しないようになっている。なお、リーフバルブ31は、内周固定されて外周が撓んで開くものには限定されず、例えば、バルブディスク30に遠近可能に積層されて圧側室R2の圧力を受けて全体がバルブディスク30からリフトするものでも良い。
【0049】
前述した調整部材39は、
図2に示すように、間座33に当接する環状のガイド部材39aと、フランジ部38dに当接する環状のスペーサ39bと、ガイド部材39aとスペーサ39bとの間に介装される複数の調整シム39cとからなる。この構成によると、リーフバルブ31の撓み剛性を調整するために、リーフバルブ31における環状板の枚数を変更し、間座33からフランジ部38dまでの軸方向距離が変わったとしても、調整シム39cの枚数を変更すれば、調整部材39の軸方向長さを間座33からフランジ部38dまでの軸方向距離に合わせることができる。
【0050】
次に、ばね部材40について詳細に説明する。ばね部材40は、
図2に示すように、リーフバルブ31の背面側と後述するばねアジャスタ50との間に介装されて、リーフバルブ31をバルブディスク30側に向けて付勢する。具体的には、本実施の形態のばね部材40は、
図2に示すように、リーフバルブ31の周方向に沿って配置される6つのコイルばね41と、各コイルばね41を収容する6つの収容部43を有するホルダ42とを備える。
【0051】
本実施の形態のホルダ42は、
図3(A),(B)に示すように、中心に開口孔44aを有する環状のシート部44と、開口孔44aを取り囲むようにシート部44から立ち上がり各コイルばね41の一端を保持する保持部45とを備える。
【0052】
シート部44は、
図3(A)に示すように、円盤状であって、中心に開口孔44aを備えている。また、開口孔44aの内周面には、保持部45側開口から遠ざかるに従って徐々に拡径するテーパ面44bが設けられている。
【0053】
保持部45は、
図3(B)に示すように、環状であって、内周にコイルばね41が嵌合される6つの円形の凹部45aを備えている。また、
図3(A)に示すように、保持部45の図中左端の内周には、凹部45aにコイルばね41を嵌合しやすいようにC面取りが施されている。なお、本実施の形態では、各凹部45aとシート部44とによって収容部43が構成されている。したがって、凹部45aにコイルばねの一端を嵌合すると、コイルばね41の一端は、保持部45に保持されつつシート部44に着座するので、コイルばね41の一端は収容部43に収容される。
【0054】
このように、コイルばね41がホルダ42に保持されると、コイルばね41を周方向の望んだ位置に自動的に位置決めできるとともに、ばね部材40の組み立て作業が容易となる。なお、上述したホルダ42の構造は、一例であって、本実施の形態の構成には限定されない。例えば、保持部45をシート部44に周方向に配置される複数の筒として、当該筒にコイルばね41を収容するようにしてもよい。
【0055】
本実施の形態の各コイルばね41は、全て自然長とばね定数が同一のものとされており、ホルダ42の各収容部43にそれぞれ保持されて収容されている。そして、前述したように、本実施の形態の収容部43は、周方向に等間隔で配置されているため、本実施の形態のばね部材40では、同一のコイルばね41が、周方向に等間隔で配置される。
【0056】
したがって、本実施の形態のばね部材40は、リーフバルブ31の周方向に沿って等間隔で配置される6つの同一のコイルばね41によって、リーフバルブ31をバルブディスク30側に向けて付勢している。そのため、ばね部材40は、リーフバルブ31の背面の6個所にばね荷重を均等に作用させ得る。
【0057】
このように、リーフバルブ31に対して、ばね部材40のばね荷重が周方向で均等に作用していると、リーフバルブ31の各減衰ポート30aと対向する部分の開弁圧が等しくなり、緩衝器Dの収縮時に液体が圧側室R2からリザーバ室Rへ移動する際に、リーフバルブ31が周方向でほぼ同時に開く。そのため、本実施の形態の減衰バルブVは、減衰通路P1を通過する液体の流れに対して、狙い通りの減衰力を発揮できる。
【0058】
また、本実施の形態では、各コイルばね41の自然長とばね定数を同一にしつつ、各コイルばね41を周方向に等間隔に配置することで、リーフバルブ31が周方向でほぼ同時に開くようにしているが、各コイルばね41のうち少なくとも一つのコイルばね41の自然長とばね定数の両方あるいはいずれか一方を他のコイルばね41と異なるように設定してもよい。
【0059】
ここで、コイルばね41のばね荷重は、自然長からの変形量にばね定数を乗じた値であるため、コイルばね41の圧縮長さが変わらない場合、コイルばね41の自然長又はばね定数の少なくともいずれか一方を変更すると、コイルばね41のばね荷重も変化する。
【0060】
そして、各コイルばね41は、圧縮長さが同じになるように圧縮されているため、各コイルばね41の自然長とばね定数の両方あるいはいずれか一方を変更すれば、リーフバルブ31の周方向に沿って配置される各コイルばね41のばね荷重を任意の値に設定できる。
【0061】
したがって、各コイルばね41のうち少なくとも一つのコイルばね41の自然長とばね定数の両方あるいはいずれか一方を他のコイルばね41と異なるようにした場合、ばね部材40のばね荷重の分布を意図的に偏らせることができる。この際、リーフバルブ31は、周方向で作用するばね荷重が小さい部分から順に開く。よって、このように、ばね部材40のばね荷重の分布を意図的に偏らせると、リーフバルブ31の開き方を任意に設定できるので、緩衝器Dの減衰力特性を調整できる。
【0062】
具体的には、例えば、6つのコイルばね41を半分ずつ互いにばね荷重の異なる2種類のコイルばね41とし、異なる種類のコイルばね41を周方向に等間隔で交互に配置する。このようにすると、リーフバルブ31に対して、ばね荷重が小さい方のコイルばね41の荷重と、ばね荷重が大きい方のコイルばね41の荷重がそれぞれ周方向で均等に作用するので、リーフバルブ31は、周方向で均一に徐々に開く。したがって、緩衝器Dの減衰力特性を線形特性とできる。他の例としては、リーフバルブ31を軸方向視で半分に分けたときの一方側にばね荷重の小さいコイルばね41を配置し、他方側にばね荷重の大きいコイルばね41を配置する。このようにすると、リーフバルブ31は、一方側が開いてから、他方側が開くようになるので、減衰通路P1を通過する液体に対するリーフバルブ31の圧力損失の特性は、途中で変化する特性となる。したがって、緩衝器Dの減衰力特性を非線形特性とできる。
【0063】
また、本実施の形態のばね部材40では、各コイルばね41が周方向に等間隔で配置されているが、各コイルばね41を任意の周方向位置に配置するようにしてもよい。このようにすれば、リーフバルブ31の周方向における、コイルばね41が配置されている部分と配置されていない部分との間で、ばね部材40のばね荷重の分布を意図的に偏らせることができる。
【0064】
前述したように、ばね部材40のばね荷重の分布を意図的に偏らせると、リーフバルブ31の開き方を任意に設定できるので、各コイルばね41の周方向位置を変更しても、緩衝器Dの減衰力特性を調整できる。
【0065】
また、各コイルばね41の自然長とばね定数の少なくとも一方と、各コイルばね41の周方向位置の両方を変更して、緩衝器Dの減衰力特性を設定してもよい。
【0066】
なお、本実施の形態では、ばね部材40は、6つのコイルばね41を有しているが、コイルばね41の数は3つ以上であればよい。また、ホルダ42の全ての収容部43にコイルばね41を収容する必要はなく、例えば、6つの収容部43を有するホルダ42に対して、3つのコイルばね41を収容するようにしてもよい。そのため、収容部43の数は、コイルばね41の数以上であればよい。
【0067】
戻って、
図2に示すように、コイルばね41の他端とリーフバルブ31との間には、環状のばね受け46が介装されており、コイルばね41の他端が、リーフバルブ31の背面に直接当接して、リーフバルブ31を傷つけるのを防止している。
【0068】
また、本実施の形態のばね受け46は、
図2に示すように、取付軸38の外周に組み付けられているガイド部材39aの外周に摺動自在に装着されている。そして、ガイド部材39aは、リーフバルブ31の開弁時に、ばね受け46がリーフバルブ31によって押し上げられた際の、ばね受け46の軸方向移動をガイドする。また、本実施の形態のガイド部材39aは、単一の部材で構成されて、外周面が滑らかに形成されている。そのため、リーフバルブ31の開弁によりばね受け46がガイド部材39aに沿って軸方向移動する際に、ガタつきが生じない。
【0069】
また、
図2に示すように、ハウジングHにおけるキャップ27の大径筒部27aの先端側内周には、環状の段差27eが設けられており、キャップ27の段差27eとバルブディスク30との間には、筒状のスペーサ47が介装されている。具体的には、スペーサ47は、バルブディスク30に当接するバルブディスク側筒部47aと、キャップ27に当接しバルブディスク側筒部47aよりも内径が小さいガイド筒部47bとを有し、ばね部材40の外周を囲うように配置されている。
【0070】
バルブディスク側筒部47aには、径方向に貫通するとともにハウジング本体24の連通孔26を介してリザーバ室Rに連通する複数の径方向孔47cが設けられている。また、ガイド筒部47bは、各コイルばね41の外側と対向して、各コイルばね41の径方向の変形を抑制している。これにより、各コイルばね41の圧縮時における外側への胴曲がりはガイド筒部47bによって防止される。
【0071】
次に、ばねアジャスタ50について詳細に説明する。本実施の形態のばねアジャスタ50は、
図2に示すように、キャップ27の螺子部27dに螺合されてばね部材40の反リーフバルブ側端を支持する円筒状のアジャスタ本体51と、アジャスタ本体51の先端(図中左端)に設けられてばね部材40の内側に配置される有底筒状のケース52とを備える。この構成によると、ばねアジャスタ50を周方向に回転させると、ばねアジャスタ50が送り螺子の要領で軸方向に変位するため、ばね部材40の反リーフバルブ側端の支持位置を軸方向で変更して、ばね部材40のイニシャル荷重を調整できる。したがって、ばねアジャスタ50は、ばね部材40のイニシャル荷重を調整することで、ばね部材40によってバルブディスク30側に付勢されているリーフバルブ31の開弁圧を調整できるので、減衰通路P1の流路抵抗を調整できる。
【0072】
詳細には、アジャスタ本体51は、
図2に示すように、全体として筒状であって、キャップ27の大径筒部27a内に軸方向移動自在に挿入されてばね部材40の反リーフバルブ側端を支持する支持部51aと、支持部51aの反ばね部材側端に連続し支持部51aよりも外径が小さく形成されて外周にキャップ27の中径筒部27bの螺子部27dに螺合される螺合部51bと、螺合部51bの反支持部側端に連続しキャップ27の小径筒部27cの内周に摺動自在に挿入される摺動部51cとを備える。また、支持部51aのばね部材40側内周には、外径が支持部51aよりも小径に形成されるとともに、径方向に貫通する複数の連通ポート51eを有する円筒状の連結筒部51dが設けられている。
【0073】
また、
図2に示すように、支持部51aとばね部材40の反リーフバルブ側端との間には、支持部51aとばね部材40との間で生じる摩擦を低減するベアリングとしてのワッシャ53が介装されている。このようにすると、ばねアジャスタ50を回転操作しても、ワッシャ53が滑って、ばねアジャスタ50の回転力がばね部材40に伝わりにくくなるので、コイルばね41がねじれたり、支持部51aがばね部材40に対して擦れてコンタミナントが生じてしまうのを防止できる。
【0074】
さらに、摺動部51cの反螺合部側端には、外周が六角形状の頭部51fが設けられている。そのため、頭部51fの外周を工具で掴めば、ばねアジャスタ50をキャップ27に対して回転操作することができる。また、キャップ27の小径筒部27cの内周には、シールリングS3が装着されており、小径筒部27cの内周と摺動部51cの外周との間はシールされている。
【0075】
ケース52は、
図2に示すように、有底筒状であって、連結筒部51dの反支持部側に底部52aが連結されており、ケース52の外径は連結筒部51dの外径と等しくなるようにされている。また、ケース52の底部52aの中央には、底部52aの肉厚を貫通する孔52bが設けられている。
【0076】
さらに、ケース52は、
図2に示すように、ばね部材40の内側に配置されているため、ケース52の外周は、ばね部材40を構成する各コイルばね41の内側と対向している。そのため、ケース52は、外周で各コイルばね41の径方向の変形を抑制して、各コイルばね41の内側への胴曲がりを防止できる。
【0077】
また、ケース52の外径は、ばね部材40のホルダ42の開口孔44aよりも小さくなるように設定されているため、ケース52とホルダ42との間には、隙間が形成されている。本実施の形態では、当該隙間を液体が通過する際に、流路抵抗は生じないようになっている。ただし、当該隙間を通過する液体の流れに抵抗を与えるようにしてもよい。
【0078】
また、ケース52の内部には、
図2に示すように、取付軸38の摺動部38cが、摺動自在に挿入されている。そのため、ばねアジャスタ50を回転操作して、ばねアジャスタ50がキャップ27に対して軸方向移動する際には、ケース52は、摺動部38cの外周に摺接しながら移動する。この際、取付軸38の軸本体38aに設けられた貫通孔38eは、ケース52の底部52aに設けられた孔52bと対向する位置に開口しているため、ケース52が軸方向移動しても、貫通孔38eと孔52bは常に連通している。また、摺動部38cの外周にはシールリングS4が装着されており、摺動部38cの外周とケース52の内周との間はシールされている。
【0079】
したがって、本実施の形態では、貫通孔38eと、孔52bと、連通ポート51eと、ケース52とホルダ42の間に形成される隙間とで、減衰通路P1を迂回して圧側室R2とリザーバ室Rを連通する圧側バイパス通路P3が形成されている。
【0080】
また、
図2に示すように、ばねアジャスタ50のアジャスタ本体51の内周には、孔52bの流路面積を調整可能なニードルアジャスタ60が軸方向移動可能に装着されている。詳細には、本実施の形態のニードルアジャスタ60は、先端に孔52b内に挿入されるニードル部60aが形成される軸部60bを有するニードル軸60cと、ニードル軸60cの基端に連続し螺合部51bの内周に形成された螺子部51gに螺合される螺子軸60dと、螺子軸60dの反ニードル軸側に連続して摺動部51cの内周に摺動自在に挿入される基端軸60eとを備える。
【0081】
この構成によると、ニードルアジャスタ60を周方向に回転させると、ニードルアジャスタ60が送り螺子の要領で軸方向に変位するため、ニードル部60aの孔52bへの挿入量が変化して、孔52bの流路面積も変化する。
【0082】
したがって、本実施の形態では、孔52bとニードル部60aとで可変オリフィスOが構成されている。よって、ニードルアジャスタ60の軸方向位置を調整すると、孔52bの流路面積が調整されるので、可変オリフィスOの流路抵抗を調整できる。
【0083】
また、基端軸60eには、反ニードル軸側から開口する六角孔が設けられているため、この六角孔に六角レンチ等の工具を挿入すれば、工具を利用してニードルアジャスタ60を回転操作することができる。さらに、基端軸60eの外周には、シールリングS5が装着されているため、基端軸60eの外周とばねアジャスタ50の摺動部51cの内周との間はシールされている。また、摺動部51cの頭部51f側内周には、Cリング60fが装着されており、ニードルアジャスタ60は、Cリング60fによって抜け止めされている。
【0084】
なお、前述したばねアジャスタ50とニードルアジャスタ60の構成は一例であって前述した構成には限定されず、適宜変更できる。
【0085】
本実施の形態では、ばねアジャスタ50の支持部51aには、
図2,
図4に示すように、径方向に貫通して互いに対向する一対の収容孔70,70が形成されており、各収容孔70には、それぞれ一対のボール71,72と、一対のボール71,72間に介装される付勢ばね73が収容されている。
【0086】
ここで、キャップ27の大径筒部27aの内周には、
図4に示すように、軸方向に沿って形成されて周方向に所定の間隔で配置される複数の第一溝27fが形成されている。さらに、ニードル軸60cの軸部60bの外周には、
図4に示すように、軸方向に沿って形成されて周方向に所定の間隔で配置される複数の第二溝60gが形成されている。これらの各第一溝27fと各第二溝60gは、いずれも断面U字状に形成されている。
【0087】
そして、各収容孔70は、キャップ27の大径筒部27aの内周とニードル軸60cの軸部60bの外周に対向している。そのため、各収容孔70に収容された一対のボール71,72は、
図4に示すように、付勢ばね73によって、キャップ27の大径筒部27aの内周とニードルアジャスタ60の軸部60bの外周へ向けてそれぞれ付勢されている。そして、図中外側のボール71が第一溝27fに入り込んだ状態でばねアジャスタ50をキャップ27に対して周方向に回転させると、付勢ばね73が圧縮されてばねアジャスタ50の回転を妨げる抵抗力を発揮し、各収容孔70に収容された外側のボール71が第一溝27fに嵌合される位置へばねアジャスタ50を留めようとするので、キャップ27とばねアジャスタ50との周方向への相対回転が抑制される。よって、ばねアジャスタ50は、外側のボール71が第一溝27fに嵌合される位置でキャップ27に対して周方向で位置決めされるようになっている。なお、第一溝27fの数は特に限定されないが、第一溝27fの数を増加させると、その分だけばね部材40のイニシャル荷重を細かく調整できる。
【0088】
他方、図中内側のボール72が第二溝60gに入り込んだ状態でニードルアジャスタ60をばねアジャスタ50に対して周方向に回転させると、付勢ばね73が圧縮されてニードルアジャスタ60の回転を妨げる抵抗力を発揮し、各収容孔70に収容された内側のボール72が第二溝60gに嵌合される位置へばねアジャスタ50を留めようとするので、ばねアジャスタ50とニードルアジャスタ60との周方向への相対回転が抑制される。よって、ニードルアジャスタ60は、内側のボール72が第二溝60gに嵌合される位置でばねアジャスタ50に対して周方向で位置決めされるようになっている。なお、第二溝60gの数は特に限定されないが、第二溝60gの数を増加させると、その分だけ可変オリフィスOの流路抵抗を細かく調整できる。
【0089】
このように、本実施の形態では、ばねアジャスタ50の収容孔70に収容された一対のボール71,72及び付勢ばね73と、キャップ27の内周に形成された第一溝27fと、ニードルアジャスタ60の外周に形成された第二溝60gによって、ばねアジャスタ50とニードルアジャスタ60を周方向で位置決めするディテント機構が構成されている。なお、ディテント機構については、一例であるので、他の構造で構成されてもよいが、本実施の形態の構造で構成されると、ばねアジャスタ50をキャップ27に対して周方向で位置決めしつつ、ニードルアジャスタ60をばねアジャスタ50に対して周方向で位置決めできる。
【0090】
つづいて、減衰部V1をハウジングHに組み付ける手順について説明する。まず、ハウジング本体24の開口部側からスペーサリング32とバルブアッセンブリVAとをハウジング本体24の段部24cにスペーサリング32が当接するまで挿入する。
【0091】
次に、バルブディスク30の外周に当接させてからハウジング本体24内にスペーサ47を挿入して、リーフバルブ31の背面側にばね受け46を積層する。
【0092】
そして、キャップ27内にばね部材40、ばねアジャスタ50およびニードルアジャスタ60を組み付けてアッセンブリ化しておき、キャップ27をハウジング本体の螺子部24dに螺合させ、スペーサ47がキャップ27の先端内周に形成された段差27eに当接するまでねじ込んでいく。すると、減衰部V1はハウジング本体24とキャップ27とによって挟持されて、ハウジングHに組み付けられる。なお、
図2に示すように、キャップ27の大径筒部27aには、ハウジング本体24の螺子部24dに螺合される螺子溝(符示せず)とシールリングS1との間に径方向に貫通する孔27gが形成されているが、この孔27gはキャップ27をハウジング本体24にねじ込んでいく際のエア抜き用の孔であって、組み付けられた状態ではハウジング本体24の大径部24bによって閉塞される。
【0093】
このようにしてハウジングHに組付けられた減衰部V1の減衰通路P1,吸込通路P2及び圧側バイパス通路P3のリザーバ室R側端は、
図2に示すように、それぞれ、スペーサ47とキャップ27の内側のばね部材40が収容される空間と、スペーサ47に形成された径方向孔47cとを介してリザーバ室Rに連通される。
【0094】
次に、本実施形態の緩衝器Dの作動について説明する。まず、緩衝器Dの伸縮速度が極低速域であって、伸側室R1又は圧側室R2の圧力が、伸側バルブ9又は減衰通路P1に設けられるリーフバルブ31の開弁圧よりも低い場合について説明する。
【0095】
緩衝器Dが、伸長作動すると、圧縮される伸側室R1内の液体が伸側バイパス通路11を介して拡大する圧側室R2へ移動するとともに、ロッド2がシリンダ1内から退出するため、ロッド2の退出体積分の液体がシリンダ1内で不足する。そのため、チェックバルブ37が開いて不足分の液体が減衰バルブVの吸込通路P2を介してリザーバ室Rからシリンダ1内へ供給される。よって、極低速域における伸長作動時には、伸側バイパス通路11の途中に設けられた可変絞り弁12の抵抗に基づく伸側減衰力が発揮される。
【0096】
反対に緩衝器Dが収縮作動すると、圧縮される圧側室R2内の液体が拡大する伸側室R1内へ圧側通路8を介して移動するとともに、シリンダ1内へロッド2が侵入するため、ロッド2の侵入体積分の液体がシリンダ1内で過剰となる。過剰分の液体は、リーフバルブ31が開弁せず減衰通路P1が遮断されるため、減衰バルブVの圧側バイパス通路P3を通って圧側室R2からリザーバ室Rへ排出される。よって、極低速域における収縮作動時には、圧側バイパス通路P3の途中に設けられた可変オリフィスOの流路抵抗に基づく圧側減衰力が発揮される。
【0097】
つづいて、緩衝器Dの伸縮速度が、低速域以上であって、伸側室R1又は圧側室R2の圧力が、伸側バルブ9又は減衰通路P1に設けられるリーフバルブ31の開弁圧よりも高くなる場合について説明する。
【0098】
緩衝器Dが伸長作動すると、圧縮される伸側室R1内の液体が伸側通路7を介して拡大する圧側室R2へ移動するとともに、ロッド2がシリンダ1内から退出するため、ロッド2の退出体積分の液体がシリンダ1内で不足する。そのため、チェックバルブ37を開いて不足分の液体が減衰バルブVの吸込通路P2を介してリザーバ室Rからシリンダ1内へ供給される。よって、低速域以上における伸長作動時には、伸側バルブ9の抵抗に基づく伸側減衰力が発揮されるとともに、リザーバ室Rにより体積補償がなされる。
【0099】
反対に緩衝器Dが収縮作動すると、圧縮される圧側室R2内の液体が拡大する伸側室R1内へ圧側通路8を介して移動するとともに、シリンダ1内へロッド2が侵入するため、ロッド2の侵入体積分の液体がシリンダ1内で過剰となる。そのため、過剰分の液体は、減衰バルブVの減衰通路P1を通って圧側室R2からリザーバ室Rへ排出される。よって、低速域以上における収縮作動時には、減衰通路P1の流路抵抗に基づく圧側減衰力が発揮されるとともに、リザーバ室Rにより体積補償がなされる。
【0100】
前述したように、本実施の形態の減衰バルブVは、周方向に配置される複数のポートとしての減衰ポート30aを有するバルブディスク30と、バルブディスク30に積層されて減衰ポート30aを開閉する環状の弁体としてのリーフバルブ31と、リーフバルブ31をバルブディスク30側に向けて付勢するばね部材40とを備え、ばね部材40は、リーフバルブ31の周方向に沿って配置される3つ以上のコイルばね41を有している。
【0101】
この構成によると、各コイルばね41の周方向位置やばね荷重を調整することで、リーフバルブ31に周方向で作用するばね部材40のばね荷重の分布をコントロールできるため、液体がリーフバルブ31を通過する際に生じる圧力損失の特性を調整できる。したがって、この減衰バルブVを搭載した緩衝器Dでは、減衰力特性を調整できる。
【0102】
また、本実施の形態の減衰バルブVは、3つ以上のコイルばね41でリーフバルブ31を付勢しているため、従来の減衰バルブのように、弁体を1つのコイルばねで付勢する場合に比べて、コイルばね41の径は小さくなる。よって、本実施の形態の減衰バルブVでは、各コイルばね41のばね荷重の偏りを小さくできるとともに各コイルばね41のばね荷重の製品毎のバラつきを少なくできる。
【0103】
なお、弁体は内周固定されて外周が撓んで開くリーフバルブ31には限定されず、例えば、バルブディスク30に遠近可能に積層されて圧側室R2の圧力を受けて全体がバルブディスク30からリフトするリーフバルブであってもよい。
【0104】
これに対し、本実施の形態の減衰バルブVは、3つ以上のコイルばね41でリーフバルブ31を付勢しているため、従来の減衰バルブのように1つのコイルばねで弁体を付勢する場合よりも、各コイルばね41の径が小さくなる。ここで、コイルばね41の荷重の周方向の偏りは、コイルばね41の径が小さいほど小さくなる。そのため、本実施の形態の減衰バルブVでは、コイルばね41のばね荷重の周方向の偏りの影響も小さくなるので、製品毎に緩衝器Dの減衰力特性にバラつきがほとんど生じない。
【0105】
また、本実施の形態の減衰バルブVでは、各コイルばね41は、自然長とばね定数が同一であって、周方向に等間隔で配置されている。この構成によると、リーフバルブ31に対してばね部材40のばね荷重が周方向で均等に作用するため、リーフバルブ31の開くタイミングが周方向でバラつかず、緩衝器Dは狙い通りの減衰力を発揮できる。
【0106】
ただし、各コイルばね41のうち少なくとも一つのコイルばね41の自然長は他のコイルばね41の自然長と異なっているか、または、各コイルばね41のうち少なくとも一つのコイルばね41のばね定数は他のコイルばね41のばね定数と異なっていてもよい。この構成によると、ばね部材40のばね荷重の分布を意図的に偏らせることで、リーフバルブ31の開き方を任意に設定できるため、緩衝器Dの減衰力特性を調整できる。
【0107】
また、本実施の形態の減衰バルブVでは、ばね部材40は、各コイルばね41を収容する複数の収容部43を設けた環状のホルダ42を有している。この構成によると、コイルばね41を周方向の望んだ位置に自動的に位置決めできるとともに、ばね部材40の組み立て作業が容易となる。ただし、ホルダ42は、収容部43を備えていなくともよい。
【0108】
また、本実施の形態の減衰バルブVは、筒状であってバルブディスク30,リーフバルブ31及びばね部材40を内部に収容するとともに内周に螺子部27dを有するハウジングHと、螺子部27dに螺合されて周方向に回転することでハウジングHに対して軸方向へ変位してばね部材40の反リーフバルブ側端の支持位置を軸方向へ変更可能なばねアジャスタ50と、ばねアジャスタ50とばね部材40との間に介装されてばねアジャスタ50とばね部材40との間で生じる摩擦を低減するベアリングとしてのワッシャ53を備える。
【0109】
この構成によると、ばねアジャスタ50を回転操作しても、ワッシャ53が滑って、ばねアジャスタ50の回転力がばね部材40に伝わりにくくなるので、コイルばね41がねじれたり、ばねアジャスタ50の支持部51aがばね部材40に対して擦れてコンタミナントが生じてしまうのを防止できる。
【0110】
なお、本実施の形態では、ベアリングとして、ワッシャ53を採用しているが、ワッシャ53は一例であって、支持部51aとばね部材40との間で生じる摩擦を低減するものであれば、ベアリングは特に限定されず、例えば、ボールベアリングであってもよい。ただし、ワッシャ53は、ボールベアリングなどと比べて安価で薄いため、ベアリングとしてワッシャ53を採用した場合、減衰バルブVのコストを低減しつつ、減衰バルブVの大型化を抑制できる。
【0111】
また、本実施の形態の減衰バルブVでは、ハウジングHは、ハウジング本体24と、ハウジング本体24の開口部に螺着されるとともにばねアジャスタ50が螺合される螺子部27dを有するキャップ27とを含み、キャップ27の一端とバルブディスク30との間には内部にコイルばね41を収容する筒状のスペーサ47が介装されており、スペーサ47はコイルばね41の径方向の撓みを規制するガイド筒部47bを有している。
【0112】
この構成によると、スペーサ47のガイド筒部47bが、各コイルばね41の外側と対向して、各コイルばね41の径方向の変形を抑制するため、各コイルばね41の圧縮時における外側への胴曲がりを防止できる。
【0113】
また、本実施の形態の減衰バルブVは、各コイルばね41のリーフバルブ31側端とリーフバルブ31との間に介装される環状のばね受け46を有する。この構成によると、コイルばね41の端部が、リーフバルブ31の背面に直接当接しないので、リーフバルブ31を傷つけるのを防止できる。ただし、ばね受け46を省略して、コイルばね41を直接リーフバルブ31に当接させてもよい。
【0114】
また、本実施の形態の減衰バルブVでは、バルブディスク30は、各減衰ポート30aの出口端をそれぞれ独立して取り囲む複数の弁座30cを有する。
【0115】
この構成によると、各減衰ポート30aに対向するように各コイルばね41を配置すれば、各減衰ポート30aの開弁圧をそれぞれ独立に設定できるため、緩衝器Dの減衰力特性の調整が容易となる。
【0116】
なお、減衰ポート30aをいわゆる独立型ポートとする場合、減衰ポート30a毎に開弁圧が設定されるので、従来の減衰バルブのように弁体に作用するばね荷重の分布に意図しないバラつきがあると、各減衰ポート30aをリーフバルブ31が開く際のそれぞれの開弁圧にバラつきが生じて各減衰ポート30aがそれぞれ開弁するタイミングが狙い通りにならず、緩衝器の減衰力特性が設計通りにならない。
【0117】
これに対して、弁座30cを全ての減衰ポート30aの出口端を取り囲む環状型として、減衰ポート30aをいわゆる環状型ポートとする場合には、減衰ポート30aの出口端同士が連通しているので、従来の減衰バルブのように弁体に作用するばね荷重の分布に意図しないバラつきがあったとしても、リーフバルブ31の開弁時に液体は、全ての減衰ポート30aを流れ、開弁時に有効となるポート数には変化がない。
【0118】
よって、減衰ポート30aを環状型ポートとするよりも、独立型ポートとした方が、従来の減衰バルブのように弁体に作用するばね荷重の分布に意図しないバラつきがある場合に減衰力特性を狙い通りに設定できないという不利益が大きくなる。
【0119】
ここで、本実施の形態の減衰バルブVは、前述したように、リーフバルブ31に周方向で作用するばね部材40のばね荷重の分布をコントロールできるので、ばね荷重の分布に意図しないバラつきが生じない。よって、本実施の形態の減衰バルブVは、減衰ポート30aを独立型ポートとする場合に減衰力特性を狙い通りに設定できるという恩恵が大きくなる。
【0120】
また、本実施の形態の緩衝器Dは、シリンダ1と、シリンダ1内に軸方向移動自在に挿入されるロッド2と、伸縮時に液体が移動する2つの作動室としての圧側室R2とリザーバ室Rを有する緩衝器本体4を備え、本発明の減衰バルブVが、圧側室R2とリザーバ室Rを連通する通路の途中に設けられている。この構成によると、緩衝器Dの圧側減衰力の減衰力特性を減衰バルブVによって調整できる。
【0121】
なお、本実施の形態では、減衰バルブVが圧側室R2とリザーバ室Rの間に設けられているが、減衰バルブVは伸側室R1と圧側室R2を連通する通路の途中に設けられてもよい。この構成によると、緩衝器Dの伸側減衰力の減衰力特性を減衰バルブVによって調整できる。
【0122】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0123】
1・・・シリンダ、2・・・ロッド、4・・・緩衝器本体、24・・・ハウジング本体、27・・・キャップ、27d・・・螺子部、30・・・バルブディスク、30a・・・減衰ポート(ポート)、30c・・・弁座、31・・・リーフバルブ(弁体)、40・・・ばね部材、41・・・コイルばね、42・・・ホルダ、43・・・収容部、46・・・ばね受け、47・・・スペーサ、47b・・・ガイド筒部、50・・・ばねアジャスタ、53・・・ワッシャ(ベアリング)、D・・・緩衝器、H・・・ハウジング、R・・・リザーバ室、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、V・・・減衰バルブ