(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129204
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】水溶性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20220829BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220829BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20220829BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220829BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220829BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220829BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220829BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K47/14
A61K47/46
A61P25/00
A61P25/04
A61K9/08
A61K47/44
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027812
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】507322126
【氏名又は名称】株式会社吉兆堂
(71)【出願人】
【識別番号】521080853
【氏名又は名称】株式会社ヤマサン那須研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】ミュラーアレキサンダー丈嗣
(72)【発明者】
【氏名】中原哲也
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD44
4C076EE53
4C076FF68
4C206AA01
4C206AA10
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA72
4C206NA10
4C206ZA02
4C206ZA08
(57)【要約】
【課題】水に可溶で安定性の高い水溶性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】カンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有し、前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維を含有し、含有される前記中鎖脂肪酸油と、前記油脂包接粉末化基材との合計を100重量%としたときに、前記中鎖脂肪酸油を10重量%以上50重量%以下含有し、中鎖脂肪酸油に対して、カンナビジオールは30重量%以下の割合で含有する水溶性組成物とした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオールと、
中鎖脂肪酸油と、
油脂包接粉末化基材とを含有する
水溶性組成物。
【請求項2】
前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維を含有する
請求項1記載の水溶性組成物。
【請求項3】
含有される前記中鎖脂肪酸油と、前記油脂包接粉末化基材との合計を100重量%としたときに、
前記中鎖脂肪酸油を10重量%以上含有する
請求項1または2記載の水溶性組成物。
【請求項4】
含有される前記中鎖脂肪酸油と、前記油脂包接粉末化基材との合計を100重量%としたときに、
前記中鎖脂肪酸油を50重量%以下含有する
請求項1、2、または3記載の水溶性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カンナビジオールを含有するような水溶性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジオールは、主に大麻植物から抽出される親油性の化学成分であって、脳や体内の受容体と相互作用することで、向精神効果や鎮痛作用を発揮することが知られている。また、これらの効果を有することから、医療分野において主に使用されてきた。
【0003】
こうしたカンナビジオールの背景技術の一例が特許文献1に開示されている。背景技術では、カンナビジオールの治療薬として、親油性の溶媒または懸濁担体に溶解させることが記載されている。
【0004】
しかし、背景技術のような構成は、粉末や錠剤として携帯することが想定されていなかった。そして、カンナビジオールは、親油性であることから経口摂取の際に水に溶かしながら流し込むことが困難であった。また、カンナビジオールは水に難溶であるため、日常生活への用途や経口摂取の形態が限定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、カンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有する水溶性組成物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明の水溶性組成物は、少なくともカンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上を含有してもよい。
以下、上述した各成分について詳細に説明する。
<カンナビジオール>
【0010】
本発明で使用されるカンナビジオールは、固形状のものとすることができ、主に麻植物から抽出される化学成分であって、主に室温中で透明な結晶状態のものとすることができる。カンナビジオールは、水に難溶で親油性を示すことから、主に医療用途で広く使われている。また、近年はリラクゼーション効果が期待され、健康食品の成分としてオイルや飴の原材料としても使用されている。
<中鎖脂肪酸油>
【0011】
中鎖脂肪酸油は、カンナビジオールを溶解してカンナビジオール油とする。本発明における中鎖脂肪酸油としては、菜種油、アマニ油、ヘンプオイル、コーン油、アボガド油、ピーナツ油、ゴマ油、コメ油、グレープシード油、ココナッツ油、ノニ油、アルガン油、あるいは各種香味油等の各種食用植物油の内1以上を選択して使用できる。また、カンナビジオール油におけるカンナビジオールの割合は、上限としては70重量%以下の割合で含有させることができ、50重量%以下の割合で含有させることが好ましく、30重量%以下の割合で含有させることがより好ましく、下限としては5重量%以上含有させることができ、10重量%以上含有させることが好ましく、範囲として10~30重量%の範囲とすることがさらに好ましい。この中鎖脂肪酸油は、オイル状のものとすることができる。
<油脂包接粉末化基材>
【0012】
油脂包接粉末化基材とは、すなわち油脂を包接体粉末とするための成分である。本発明において、油脂包接粉末化基材は、中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたカンナビジオール油を包接し、粉末化して、親水性のカンナビジオール含有水溶性粉末とする。本発明における油脂包接粉末化基材としては、オーガニック食物繊維、シクロデキストリン、加工デンプン、乳化剤といった種々の基材から1以上を選択して使用できるが、少なくとも、オーガニック食物繊維の一種であるアカシア食物繊維を使用することが水溶後の安定性から好ましい。アカシア食物繊維は、粉末状のものとすることができる。
【0013】
また、カンナビジオール油(中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたもの)と油脂包接粉末化基材の配合割合は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、カンナビジオール油の割合を10重量%以上(油脂包接粉末化基材が90重量%以下)とすることが好ましく、10~50重量%(油脂包接粉末化基材が50~90重量%)の範囲とすることがより好ましく、10~30重量%(油脂包接粉末化基材が70~90重量%)の範囲とすることがさらに好ましく、20重量%(油脂包接粉末化基材が80重量%)とすることが最も好ましい。
【0014】
また、カンナビジオールの配合量は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、1~15重量%の範囲とすることが好ましく、6重量%とすることが最も好ましい。
<賦形剤>
【0015】
本発明では、上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて賦形剤を添加してもよい。賦形剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に倍散剤として作用する。賦形剤としては、例えばデキストリン、乳糖、オリゴ糖、マルチトールなどの各種糖類といった種々の賦形剤を使用できるが、少なくとも難消化性デキストリンを含有することが好ましい。難消化性デキストリンは粉末のものとすることができる。
<酸化防止剤>
【0016】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンCやトコフェロール等の食品に酸化防止剤として添加して使用される種々の食品添加剤を使用でき、トコフェロールを含有することが好ましい。トコフェロールはオイル状のものとすることができる。
<抗酸化剤>
【0017】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて抗酸化剤を添加してもよい。抗酸化剤としては、例えば、トコトリエノール含有米油抽出物、ビタミンE,A,C等の各種ビタミン類、アスタキサンチン、ルテイン、セラミドやコラーゲン等の美容成分等、食品に抗酸化剤として添加して使用される種々の抗酸化剤を使用でき、トコトリエノール含有米油抽出物を含有することが好ましい。トコトリエノール含有米油抽出物は、オイル状のものとすることができる。
<増粘剤>
【0018】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて増粘剤を添加してもよい。増粘剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に粉末間の結着剤として作用する。増粘剤としては、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム等を使用でき、プルランを含有することが好ましい。プルランは粉末状のものとすることができる。
<製法>
【0019】
カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とし、油脂包接粉末化基材を添加してカンナビジオール含有水溶性粉末とする。このとき、カンナビジオール、中鎖脂肪酸油、および油脂包接粉末化基材の配合割合が所定の範囲となるように調整する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上の添加剤を、目的に合わせて配合量を調整し、添加する。このとき、カンナビジオール結晶、中鎖脂肪酸油、油脂包接粉末化基材、および各種添加剤の添加、混合順は特に限定されないが、カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とする工程は、その他添加剤の混合前に行われることが好ましい。
【0020】
このようにして作製されたカンナビジオール含有水溶性粉末は、粉末のまま使用してもよいし、打錠して錠剤のような固形形状として使用してもよいし、水等に溶解させて使用してもよい。例えば、カンナビジオールのリラクゼーション作用を利用して、経口用粉末とする、入浴剤とする、加湿器の添加剤とする、ドリンクの添加剤とするといった使用方法を採用できる。本発明における水溶性組成物とは、粉末、錠剤、液体といった形状および形態に限定されない。すなわち、作製したカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたあらゆる形態に適用される。
【0021】
以上の構成により、水に可溶でカンナビジオールを含有する水溶性組成物としてカンナビジオール含有水溶性粉末を提供することができる。カンナビジオール含有水溶性粉末は粉末状であるため、高い安定性が得られるとともに、持ち運びが容易であり、どこでも使用することができる。
【0022】
利用者は、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に溶解するなどして簡便に経口摂取することができ、リラックス効果、健康促進効果、体調管理効果等を得ることができるとともに、自律神経を整えることやホルモンや伝達物質の流れを正常化することができる。また、このカンナビジオール含有粉末を液体に溶解してもオイル浮き等が発生しないため、利用者は抵抗なく摂取することができる。
【0023】
本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールと中鎖脂肪酸と油脂包接粉末化基材とを含有する。この構成により、カンナビジオールが中鎖脂肪酸に溶解したカンナビジオール油が親水性の包接体となり、カンナビジオール含有水溶性粉末を得ることができる。これにより、水やジュース等の飲料にカンナビジオール含有水溶性粉末を溶解して経口摂取するといったことが簡単に行える。
【0024】
また、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に含有させる、ソフトカプセル内に含有させてソフトカプセル製品とする、錠剤化して打錠製品とするなど、適宜の製品化をしてカンナビジオール製品とすることができる。このような本発明のカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたカンナビジオール製品は、これまで使用されてきたオイル等の形態と比較して油脂成分の含有量を低減することができ、経口摂取食品としてより好適に使用することができる。またこのようなカンナビジオール製品の製造にカンナビジオール含有水溶性粉末を用いることで、ハンドリングがよく安定した調合が行える。
【0025】
また、本発明の水溶性組成物は、油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維を含有する。この構成により、より親水性を発揮することができ、水への溶解性能を向上させることができる。すなわち、アカシア食物繊維を使用しない水溶性組成物と比較して溶解後の安定性を向上させることができ、カンナビジオール成分の分離によって油が浮いたような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の苦みが改善され、より飲みやすいカンナビジオール製品とすることができる。さらに、カンナビジオール含有水溶性粉末を成形する際のハンドリング性能を向上させることができる。また、アカシア食物繊維がダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0026】
また、本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールを中鎖脂肪酸油に対して30重量%以下の割合で含有する。この構成により、カンナビジオールの濃度による水溶性組成物の粘度を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を10重量%以上含有する。この構成により、中鎖脂肪酸油に溶解したカンナビジオールの向精神作用を十分に発揮することができる。
【0028】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を50重量%以下含有し、より好適には30重量%以下含有する。この構成により、油脂成分が分離したような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の口当たりを良好にすることができる。
【0029】
また、本発明の水溶性組成物は、賦形剤として難消化性デキストリンを含有する。この構成により、水溶性組成物に含有される油脂成分の割合を低減することができる。すなわち、使用者は含有される油脂成分を気にすることなく、向精神作用およびリラックス効果を目的として使用することができる。また、難消化性デキストリンがダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0030】
なお、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の実施例では、添加および混合の工程を人の手によって行うことを想定しているが、添加および混合の工程を機械等によって自動で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、カンナビジオールを含有した製品の製造、販売に利用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオールと、
中鎖脂肪酸油と、
油脂包接粉末化基材とを含有し、
前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維粉を50重量%以上含有し、
テトラヒドロカンナビノールを含有せず、
前記カンナビジオールを1重量%含有する
水溶性組成物。
【請求項2】
前記カンナビジオールの含有量は、1~15重量%である
請求項1記載の水溶性組成物。
【請求項3】
前記アカシア食物繊維粉の含有量は、50~90重量%である
請求項1または2記載の水溶性組成物。
【請求項4】
前記カンナビジオールは、
麻から抽出したテトラヒドロカンナビノールを含有するフルスペクトラムオイルからテトラヒドロカンナビノールを除去したブロードスペクトラムオイルとして、
前記ブロードスペクトラムオイルを結晶化したものである
請求項1、2、または3記載の水溶性組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カンナビジオールを含有するような水溶性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジオールは、主に大麻植物から抽出される親油性の化学成分であって、脳や体内の受容体と相互作用することで、向精神効果や鎮痛作用を発揮することが知られている。また、これらの効果を有することから、医療分野において主に使用されてきた。
【0003】
こうしたカンナビジオールの背景技術の一例が特許文献1に開示されている。背景技術では、カンナビジオールの治療薬として、親油性の溶媒または懸濁担体に溶解させることが記載されている。
【0004】
しかし、背景技術のような構成は、粉末や錠剤として携帯することが想定されていなかった。そして、カンナビジオールは、親油性であることから経口摂取の際に水に溶かしながら流し込むことが困難であった。また、カンナビジオールは水に難溶であるため、日常生活への用途や経口摂取の形態が限定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、カンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有し、前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維粉を50重量%以上含有し、テトラヒドロカンナビノールを含有せず、前記カンナビジオールを1重量%含有する水溶性組成物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明の水溶性組成物は、少なくともカンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上を含有してもよい。
以下、上述した各成分について詳細に説明する。
<カンナビジオール>
【0010】
本発明で使用されるカンナビジオールは、固形状のものとすることができ、主に麻植物から抽出される化学成分であって、主に室温中で透明な結晶状態のものとすることができる。カンナビジオールは、水に難溶で親油性を示すことから、主に医療用途で広く使われている。また、近年はリラクゼーション効果が期待され、健康食品の成分としてオイルや飴の原材料としても使用されている。
<中鎖脂肪酸油>
【0011】
中鎖脂肪酸油は、カンナビジオールを溶解してカンナビジオール油とする。本発明における中鎖脂肪酸油としては、菜種油、アマニ油、ヘンプオイル、コーン油、アボガド油、ピーナツ油、ゴマ油、コメ油、グレープシード油、ココナッツ油、ノニ油、アルガン油、あるいは各種香味油等の各種食用植物油の内1以上を選択して使用できる。また、カンナビジオール油におけるカンナビジオールの割合は、上限としては70重量%以下の割合で含有させることができ、50重量%以下の割合で含有させることが好ましく、30重量%以下の割合で含有させることがより好ましく、下限としては5重量%以上含有させることができ、10重量%以上含有させることが好ましく、範囲として10~30重量%の範囲とすることがさらに好ましい。この中鎖脂肪酸油は、オイル状のものとすることができる。
<油脂包接粉末化基材>
【0012】
油脂包接粉末化基材とは、すなわち油脂を包接体粉末とするための成分である。本発明において、油脂包接粉末化基材は、中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたカンナビジオール油を包接し、粉末化して、親水性のカンナビジオール含有水溶性粉末とする。本発明における油脂包接粉末化基材としては、オーガニック食物繊維、シクロデキストリン、加工デンプン、乳化剤といった種々の基材から1以上を選択して使用できるが、少なくとも、オーガニック食物繊維の一種であるアカシア食物繊維を使用することが水溶後の安定性から好ましい。アカシア食物繊維は、粉末状のものとすることができる。
【0013】
また、カンナビジオール油(中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたもの)と油脂包接粉末化基材の配合割合は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、カンナビジオール油の割合を10重量%以上(油脂包接粉末化基材が90重量%以下)とすることが好ましく、10~50重量%(油脂包接粉末化基材が50~90重量%)の範囲とすることがより好ましく、10~30重量%(油脂包接粉末化基材が70~90重量%)の範囲とすることがさらに好ましく、20重量%(油脂包接粉末化基材が80重量%)とすることが最も好ましい。
【0014】
また、カンナビジオールの配合量は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、1~15重量%の範囲とすることが好ましく、6重量%とすることが最も好ましい。
<賦形剤>
【0015】
本発明では、上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて賦形剤を添加してもよい。賦形剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に倍散剤として作用する。賦形剤としては、例えばデキストリン、乳糖、オリゴ糖、マルチトールなどの各種糖類といった種々の賦形剤を使用できるが、少なくとも難消化性デキストリンを含有することが好ましい。難消化性デキストリンは粉末のものとすることができる。
<酸化防止剤>
【0016】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンCやトコフェロール等の食品に酸化防止剤として添加して使用される種々の食品添加剤を使用でき、トコフェロールを含有することが好ましい。トコフェロールはオイル状のものとすることができる。
<抗酸化剤>
【0017】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて抗酸化剤を添加してもよい。抗酸化剤としては、例えば、トコトリエノール含有米油抽出物、ビタミンE,A,C等の各種ビタミン類、アスタキサンチン、ルテイン、セラミドやコラーゲン等の美容成分等、食品に抗酸化剤として添加して使用される種々の抗酸化剤を使用でき、トコトリエノール含有米油抽出物を含有することが好ましい。トコトリエノール含有米油抽出物は、オイル状のものとすることができる。
<増粘剤>
【0018】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて増粘剤を添加してもよい。増粘剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に粉末間の結着剤として作用する。増粘剤としては、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム等を使用でき、プルランを含有することが好ましい。プルランは粉末状のものとすることができる。
<製法>
【0019】
カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とし、油脂包接粉末化基材を添加してカンナビジオール含有水溶性粉末とする。このとき、カンナビジオール、中鎖脂肪酸油、および油脂包接粉末化基材の配合割合が所定の範囲となるように調整する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上の添加剤を、目的に合わせて配合量を調整し、添加する。このとき、カンナビジオール結晶、中鎖脂肪酸油、油脂包接粉末化基材、および各種添加剤の添加、混合順は特に限定されないが、カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とする工程は、その他添加剤の混合前に行われることが好ましい。
【0020】
このようにして作製されたカンナビジオール含有水溶性粉末は、粉末のまま使用してもよいし、打錠して錠剤のような固形形状として使用してもよいし、水等に溶解させて使用してもよい。例えば、カンナビジオールのリラクゼーション作用を利用して、経口用粉末とする、入浴剤とする、加湿器の添加剤とする、ドリンクの添加剤とするといった使用方法を採用できる。本発明における水溶性組成物とは、粉末、錠剤、液体といった形状および形態に限定されない。すなわち、作製したカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたあらゆる形態に適用される。
【0021】
以上の構成により、水に可溶でカンナビジオールを含有する水溶性組成物としてカンナビジオール含有水溶性粉末を提供することができる。カンナビジオール含有水溶性粉末は粉末状であるため、高い安定性が得られるとともに、持ち運びが容易であり、どこでも使用することができる。
【0022】
利用者は、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に溶解するなどして簡便に経口摂取することができ、リラックス効果、健康促進効果、体調管理効果等を得ることができるとともに、自律神経を整えることやホルモンや伝達物質の流れを正常化することができる。また、このカンナビジオール含有粉末を液体に溶解してもオイル浮き等が発生しないため、利用者は抵抗なく摂取することができる。
【0023】
本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールと中鎖脂肪酸と油脂包接粉末化基材とを含有する。この構成により、カンナビジオールが中鎖脂肪酸に溶解したカンナビジオール油が親水性の包接体となり、カンナビジオール含有水溶性粉末を得ることができる。これにより、水やジュース等の飲料にカンナビジオール含有水溶性粉末を溶解して経口摂取するといったことが簡単に行える。
【0024】
また、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に含有させる、ソフトカプセル内に含有させてソフトカプセル製品とする、錠剤化して打錠製品とするなど、適宜の製品化をしてカンナビジオール製品とすることができる。このような本発明のカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたカンナビジオール製品は、これまで使用されてきたオイル等の形態と比較して油脂成分の含有量を低減することができ、経口摂取食品としてより好適に使用することができる。またこのようなカンナビジオール製品の製造にカンナビジオール含有水溶性粉末を用いることで、ハンドリングがよく安定した調合が行える。
【0025】
また、本発明の水溶性組成物は、油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維を含有する。この構成により、より親水性を発揮することができ、水への溶解性能を向上させることができる。すなわち、アカシア食物繊維を使用しない水溶性組成物と比較して溶解後の安定性を向上させることができ、カンナビジオール成分の分離によって油が浮いたような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の苦みが改善され、より飲みやすいカンナビジオール製品とすることができる。さらに、カンナビジオール含有水溶性粉末を成形する際のハンドリング性能を向上させることができる。また、アカシア食物繊維がダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0026】
また、本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールを中鎖脂肪酸油に対して30重量%以下の割合で含有する。この構成により、カンナビジオールの濃度による水溶性組成物の粘度を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を10重量%以上含有する。この構成により、中鎖脂肪酸油に溶解したカンナビジオールの向精神作用を十分に発揮することができる。
【0028】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を50重量%以下含有し、より好適には30重量%以下含有する。この構成により、油脂成分が分離したような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の口当たりを良好にすることができる。
【0029】
また、本発明の水溶性組成物は、賦形剤として難消化性デキストリンを含有する。この構成により、水溶性組成物に含有される油脂成分の割合を低減することができる。すなわち、使用者は含有される油脂成分を気にすることなく、向精神作用およびリラックス効果を目的として使用することができる。また、難消化性デキストリンがダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0030】
なお、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の実施例では、添加および混合の工程を人の手によって行うことを想定しているが、添加および混合の工程を機械等によって自動で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、カンナビジオールを含有した製品の製造、販売に利用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオールと、
中鎖脂肪酸油と、
油脂包接粉末化基材とを含有し、
前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維粉を50重量%以上含有し、
テトラヒドロカンナビノールを含有せず、
前記カンナビジオールの含有量は、カンナビジオールと中鎖脂肪酸油を混合したカンナビジオール油と油脂包接粉末化剤の合計重量を100として1~15重量%であり、
前記油脂包接粉末化基材の含有量は、50~90重量%である
水溶性組成物。
【請求項2】
前記カンナビジオールは、
麻から抽出したテトラヒドロカンナビノールを含有するフルスペクトラムオイルからテトラヒドロカンナビノールを除去したブロードスペクトラムオイルとして、
前記ブロードスペクトラムオイルを結晶化したものである
請求項1記載の水溶性組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カンナビジオールを含有するような水溶性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジオールは、主に大麻植物から抽出される親油性の化学成分であって、脳や体内の受容体と相互作用することで、向精神効果や鎮痛作用を発揮することが知られている。また、これらの効果を有することから、医療分野において主に使用されてきた。
【0003】
こうしたカンナビジオールの背景技術の一例が特許文献1に開示されている。背景技術では、カンナビジオールの治療薬として、親油性の溶媒または懸濁担体に溶解させることが記載されている。
【0004】
しかし、背景技術のような構成は、粉末や錠剤として携帯することが想定されていなかった。そして、カンナビジオールは、親油性であることから経口摂取の際に水に溶かしながら流し込むことが困難であった。また、カンナビジオールは水に難溶であるため、日常生活への用途や経口摂取の形態が限定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、カンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有し、前記油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維粉を50重量%以上含有し、テトラヒドロカンナビノールを含有せず、前記カンナビジオールの含有量は、カンナビジオールと中鎖脂肪酸油を混合したカンナビジオール油と油脂包接粉末化剤の合計重量を100として1~15重量%であり、前記油脂包接粉末化基材の含有量は、50~90重量%である水溶性組成物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、カンナビジオールを含有する水溶性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明の水溶性組成物は、少なくともカンナビジオールと、中鎖脂肪酸油と、油脂包接粉末化基材とを含有する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上を含有してもよい。
以下、上述した各成分について詳細に説明する。
<カンナビジオール>
【0010】
本発明で使用されるカンナビジオールは、固形状のものとすることができ、主に麻植物から抽出される化学成分であって、主に室温中で透明な結晶状態のものとすることができる。カンナビジオールは、水に難溶で親油性を示すことから、主に医療用途で広く使われている。また、近年はリラクゼーション効果が期待され、健康食品の成分としてオイルや飴の原材料としても使用されている。
<中鎖脂肪酸油>
【0011】
中鎖脂肪酸油は、カンナビジオールを溶解してカンナビジオール油とする。本発明における中鎖脂肪酸油としては、菜種油、アマニ油、ヘンプオイル、コーン油、アボガド油、ピーナツ油、ゴマ油、コメ油、グレープシード油、ココナッツ油、ノニ油、アルガン油、あるいは各種香味油等の各種食用植物油の内1以上を選択して使用できる。また、カンナビジオール油におけるカンナビジオールの割合は、上限としては70重量%以下の割合で含有させることができ、50重量%以下の割合で含有させることが好ましく、30重量%以下の割合で含有させることがより好ましく、下限としては5重量%以上含有させることができ、10重量%以上含有させることが好ましく、範囲として10~30重量%の範囲とすることがさらに好ましい。この中鎖脂肪酸油は、オイル状のものとすることができる。
<油脂包接粉末化基材>
【0012】
油脂包接粉末化基材とは、すなわち油脂を包接体粉末とするための成分である。本発明において、油脂包接粉末化基材は、中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたカンナビジオール油を包接し、粉末化して、親水性のカンナビジオール含有水溶性粉末とする。本発明における油脂包接粉末化基材としては、オーガニック食物繊維、シクロデキストリン、加工デンプン、乳化剤といった種々の基材から1以上を選択して使用できるが、少なくとも、オーガニック食物繊維の一種であるアカシア食物繊維を使用することが水溶後の安定性から好ましい。アカシア食物繊維は、粉末状のものとすることができる。
【0013】
また、カンナビジオール油(中鎖脂肪酸油にカンナビジオールを溶解させたもの)と油脂包接粉末化基材の配合割合は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、カンナビジオール油の割合を10重量%以上(油脂包接粉末化基材が90重量%以下)とすることが好ましく、10~50重量%(油脂包接粉末化基材が50~90重量%)の範囲とすることがより好ましく、10~30重量%(油脂包接粉末化基材が70~90重量%)の範囲とすることがさらに好ましく、20重量%(油脂包接粉末化基材が80重量%)とすることが最も好ましい。
【0014】
また、カンナビジオールの配合量は、カンナビジオール油と油脂包接粉末化基材の合計重量を100として、1~15重量%の範囲とすることが好ましく、6重量%とすることが最も好ましい。
<賦形剤>
【0015】
本発明では、上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて賦形剤を添加してもよい。賦形剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に倍散剤として作用する。賦形剤としては、例えばデキストリン、乳糖、オリゴ糖、マルチトールなどの各種糖類といった種々の賦形剤を使用できるが、少なくとも難消化性デキストリンを含有することが好ましい。難消化性デキストリンは粉末のものとすることができる。
<酸化防止剤>
【0016】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンCやトコフェロール等の食品に酸化防止剤として添加して使用される種々の食品添加剤を使用でき、トコフェロールを含有することが好ましい。トコフェロールはオイル状のものとすることができる。
<抗酸化剤>
【0017】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて抗酸化剤を添加してもよい。抗酸化剤としては、例えば、トコトリエノール含有米油抽出物、ビタミンE,A,C等の各種ビタミン類、アスタキサンチン、ルテイン、セラミドやコラーゲン等の美容成分等、食品に抗酸化剤として添加して使用される種々の抗酸化剤を使用でき、トコトリエノール含有米油抽出物を含有することが好ましい。トコトリエノール含有米油抽出物は、オイル状のものとすることができる。
<増粘剤>
【0018】
本発明では、さらに上述したカンナビジオール含有水溶性粉末に加えて増粘剤を添加してもよい。増粘剤は、カンナビジオール含有水溶性粉末の造粒の際に粉末間の結着剤として作用する。増粘剤としては、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム等を使用でき、プルランを含有することが好ましい。プルランは粉末状のものとすることができる。
<製法>
【0019】
カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とし、油脂包接粉末化基材を添加してカンナビジオール含有水溶性粉末とする。このとき、カンナビジオール、中鎖脂肪酸油、および油脂包接粉末化基材の配合割合が所定の範囲となるように調整する。また、必要に応じて賦形剤、酸化防止剤、抗酸化剤、および増粘剤の中から1種以上の添加剤を、目的に合わせて配合量を調整し、添加する。このとき、カンナビジオール結晶、中鎖脂肪酸油、油脂包接粉末化基材、および各種添加剤の添加、混合順は特に限定されないが、カンナビジオール結晶を中鎖脂肪酸油に溶解してカンナビジオール油とする工程は、その他添加剤の混合前に行われることが好ましい。
【0020】
このようにして作製されたカンナビジオール含有水溶性粉末は、粉末のまま使用してもよいし、打錠して錠剤のような固形形状として使用してもよいし、水等に溶解させて使用してもよい。例えば、カンナビジオールのリラクゼーション作用を利用して、経口用粉末とする、入浴剤とする、加湿器の添加剤とする、ドリンクの添加剤とするといった使用方法を採用できる。本発明における水溶性組成物とは、粉末、錠剤、液体といった形状および形態に限定されない。すなわち、作製したカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたあらゆる形態に適用される。
【0021】
以上の構成により、水に可溶でカンナビジオールを含有する水溶性組成物としてカンナビジオール含有水溶性粉末を提供することができる。カンナビジオール含有水溶性粉末は粉末状であるため、高い安定性が得られるとともに、持ち運びが容易であり、どこでも使用することができる。
【0022】
利用者は、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に溶解するなどして簡便に経口摂取することができ、リラックス効果、健康促進効果、体調管理効果等を得ることができるとともに、自律神経を整えることやホルモンや伝達物質の流れを正常化することができる。また、このカンナビジオール含有粉末を液体に溶解してもオイル浮き等が発生しないため、利用者は抵抗なく摂取することができる。
【0023】
本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールと中鎖脂肪酸と油脂包接粉末化基材とを含有する。この構成により、カンナビジオールが中鎖脂肪酸に溶解したカンナビジオール油が親水性の包接体となり、カンナビジオール含有水溶性粉末を得ることができる。これにより、水やジュース等の飲料にカンナビジオール含有水溶性粉末を溶解して経口摂取するといったことが簡単に行える。
【0024】
また、カンナビジオール含有水溶性粉末を飲料に含有させる、ソフトカプセル内に含有させてソフトカプセル製品とする、錠剤化して打錠製品とするなど、適宜の製品化をしてカンナビジオール製品とすることができる。このような本発明のカンナビジオール含有水溶性粉末を原料としたカンナビジオール製品は、これまで使用されてきたオイル等の形態と比較して油脂成分の含有量を低減することができ、経口摂取食品としてより好適に使用することができる。またこのようなカンナビジオール製品の製造にカンナビジオール含有水溶性粉末を用いることで、ハンドリングがよく安定した調合が行える。
【0025】
また、本発明の水溶性組成物は、油脂包接粉末化基材として少なくともアカシア食物繊維を含有する。この構成により、より親水性を発揮することができ、水への溶解性能を向上させることができる。すなわち、アカシア食物繊維を使用しない水溶性組成物と比較して溶解後の安定性を向上させることができ、カンナビジオール成分の分離によって油が浮いたような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の苦みが改善され、より飲みやすいカンナビジオール製品とすることができる。さらに、カンナビジオール含有水溶性粉末を成形する際のハンドリング性能を向上させることができる。また、アカシア食物繊維がダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0026】
また、本発明の水溶性組成物は、カンナビジオールを中鎖脂肪酸油に対して30重量%以下の割合で含有する。この構成により、カンナビジオールの濃度による水溶性組成物の粘度を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を10重量%以上含有する。この構成により、中鎖脂肪酸油に溶解したカンナビジオールの向精神作用を十分に発揮することができる。
【0028】
また、本発明の水溶性組成物は、中鎖脂肪酸油と油脂包接粉末化基材の合計を100重量%としたときに、中鎖脂肪酸油を50重量%以下含有し、より好適には30重量%以下含有する。この構成により、油脂成分が分離したような外観となることを防止することができる。また、経口摂取を行った際の口当たりを良好にすることができる。
【0029】
また、本発明の水溶性組成物は、賦形剤として難消化性デキストリンを含有する。この構成により、水溶性組成物に含有される油脂成分の割合を低減することができる。すなわち、使用者は含有される油脂成分を気にすることなく、向精神作用およびリラックス効果を目的として使用することができる。また、難消化性デキストリンがダイエット原料としても機能するため、ダイエット効果や美容効果を得ることもできる。
【0030】
なお、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の実施例では、添加および混合の工程を人の手によって行うことを想定しているが、添加および混合の工程を機械等によって自動で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、カンナビジオールを含有した製品の製造、販売に利用することができる。