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特開2022-129222分析装置、分析方法及び分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129222
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法及び分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20220829BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027843
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 啓仁
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの周囲の環境を考慮し、室内で生活するユーザのストレスの状況を精度良く分析する分析装置、分析方法及び分析プログラムを提供する
【解決手段】分析システム1において、分析装置10は、建物2の中に存在するユーザU1、U2の行動に関する情報であるユーザ情報(例えば、マイクロホン20によって収集された音声)及びユーザの環境に関する情報である環境情報(例えば、温湿度計30によって収集された温度及び湿度)を取得する。分析装置10は、ユーザ情報及び環境情報を基に、ユーザUのストレスの度合いを表すスコアを計算する。分析装置10は、計算したストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動に関する情報であるユーザ情報、及び前記ユーザの環境に関する情報である環境情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報及び前記環境情報を基に、前記ユーザのストレスの度合いを表すスコアを計算する計算部と、
前記計算部によって計算されたストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する判定部と、
を有することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記ユーザが住む住宅に備えられたマイクロホンによって得られる音声を、前記ユーザ情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記計算部は、前記マイクロホンによって得られる音声の特徴と、あらかじめ用意された正常時の音声の特徴との差分が大きいほど前記スコアが大きくなるように計算を行うことを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記計算部は、前記マイクロホンによって得られる音声の特徴と、ストレスの増大に応じて行われる特定の行為によって生じる音声の特徴との類似度をスコアとして計算することを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記マイクロホンによって得られる音声を、前記音声を発したユーザを識別する識別情報と対応付けて取得し、
前記計算部は、入力された前記ユーザ情報及び前記環境情報から前記スコアを出力するモデルであって、前記ユーザのそれぞれに対応付けられたモデルのうち、前記識別情報によって特定されるモデルを用いて計算を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記ユーザの自宅に備えられたセンサによって得られる室内の温度及び湿度を、前記環境情報として取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
分析装置によって実行される分析方法であって、
ユーザの行動に関する情報であるユーザ情報、及び前記ユーザの環境に関する情報である環境情報を取得する取得工程と、
前記ユーザ情報及び前記環境情報を基に、前記ユーザのストレスの度合いを表すスコアを計算する計算工程と、
前記計算工程によって計算されたストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする分析方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の分析装置として機能させるための分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、分析方法及び分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが発生させる音声のデータを基に、当該ユーザのメンタル解析を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-90506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術には、室内で生活するユーザのストレスの状況を精度良く分析できない場合があるという問題がある。例えば、ユーザのストレスの状況は、周囲の環境の影響を受けると考えられる。一方で、従来技術では、ユーザの周囲の環境を考慮することができない場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、分析装置は、ユーザの行動に関する情報であるユーザ情報、及び前記ユーザの環境に関する情報である環境情報を取得する取得部と、前記ユーザ情報及び前記環境情報を基に、前記ユーザのストレスの度合いを表すスコアを計算する計算部と、前記計算部によって計算されたストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、室内で生活するユーザのストレスの状況を精度良く分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る分析システムの構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る分析装置の構成例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る学習装置の構成例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る分析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る学習装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、分析プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本願に係る分析装置、分析方法及び分析プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0009】
[第1の実施形態の構成]
まず、図1を用いて、分析装置を含む分析システムの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る分析システム装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、分析装置10は、ネットワークNを介して、建物2に備えられた装置との間で情報のやり取りを行う。例えば、ネットワークNはインターネットである。なお、分析装置10は、建物2の外部に備えられていてもよいし、建物2の内部に備えられていてもよい。
【0010】
図1に示すように、分析システム1は分析装置10を有する。また、分析システム1は、建物2に備えられたマイクロホン20及び温湿度計30を有する。また、建物2の中にはユーザU1とユーザU2が存在する。例えば、ユーザU1とユーザU2は、同居する家族又はパートナーの関係にある。例えば、建物2は、ユーザU1とユーザU2が住む住宅である。
【0011】
なお、本実施形態におけるマイクロホン20及び温湿度計30は、通信機能を備えたIoT(Internet of things)機器であり、ネットワークNを介して分析装置10との間でデータ通信を行うことができるものとする。また、マイクロホン20及び温湿度計30は、他の通信機器を介してデータ通信を行ってもよい。
【0012】
分析装置10は、マイクロホン20及び温湿度計30によって収集された情報が入力される。そして、分析装置10は、入力された情報を基に、ユーザU1及びユーザU2のストレスの状況を分析し、分析結果を出力する。
【0013】
マイクロホン20は、音声を収集し、収集した音声を所定の形式の信号として分析装置10に送信する。また、温湿度計30は、計測した温度及び湿度を、一定期間ごとに分析装置10に送信する。
【0014】
図2を用いて、分析装置10の構成を説明する。図2は、第1の実施形態に係る分析装置の構成例を示す図である。図2に示すように、分析装置10は、インタフェース部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0015】
インタフェース部11は、データの入力及び出力のためのインタフェースである。例えば、インタフェース部11はNIC(Network Interface Card)である。インタフェース部11は、ネットワークNを介して他の装置との間でデータの送受信を行うことができる。
【0016】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部12は、分析装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。
【0017】
記憶部12はモデル情報121を記憶する。モデル情報121は、モデルを構築するための情報である。例えば、モデルがニューラルネットワークを含むものである場合、モデル情報121は、当該ニューラルネットワークを構築するための重み行列及びバイアス値等のパラメータである。
【0018】
制御部13は、分析装置10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部13は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部13は、取得部131、計算部132及び判定部133を有する。
【0019】
取得部131は、ユーザの行動に関する情報であるユーザ情報、及びユーザの環境に関する情報である環境情報を取得する。例えば、取得部131は、マイクロホン20からユーザ情報を取得し、温湿度計30から環境情報を取得する。
【0020】
取得部131は、ユーザが住む住宅に備えられたマイクロホン20によって得られる音声を、ユーザ情報として取得する。また、取得部131は、ユーザの自宅に備えられたセンサによって得られる室内の温度及び湿度を、環境情報として取得する。
【0021】
計算部132は、ユーザ情報及び環境情報を基に、ユーザのストレスの度合いを表すスコアを計算する。計算部132は、モデル情報121から構築したモデルにユーザ情報及び環境情報を入力し、ストレス度合いを示すスコアを得る。図1の例では、モデルは「75」というスコアを出力している。
【0022】
計算部132は、ユーザ情報だけでなく環境情報を参照して計算を行うため、より精度良くストレスの度合いを計算することができる。例えば、高温、低温、高湿、低湿といった室内の状態は、普段と比べてメンタリティの急激な変化を招き、その結果人間のストレスの度合いを増大させることが考えられる。
【0023】
計算部132は、環境情報が示す快適さの度合いに応じて、スコアを調整することができる。例えば、計算部132は、温度及び湿度があらかじめ定められた範囲の外である場合、スコアに1より大きい所定の重みを掛けてもよい。また、例えば、計算部132は、温度及び湿度から計算される不快指数に比例する値をスコアに加算してもよい。
【0024】
計算部132は、マイクロホン20によって得られる分析対象の音声の特徴と、あらかじめ用意された正常時の音声の特徴との差分が大きいほどスコアが大きくなるように計算を行うことができる。例えば、計算部132は、正常時の音声の特徴を表すベクトルと分析対象の音声の特徴を表すベクトルとの距離をスコアとして計算してもよい。
【0025】
この場合、モデルは教師なし学習の手法を用いて訓練されたものであってもよい。すなわち、モデルは、各ユーザのストレスが溜まっていないとき(正常時)に発生する音声の特徴を学習しておく。そして、計算部132は、モデルを用いて、入力された音声の特徴の、学習済みの特徴からのかい離度合いをスコアとして計算する。具体的には、計算部132は、生成モデルを使った異常検知の手法、及びk-meansのようなクラスタリング分析の手法によりスコアを計算してもよい。
【0026】
また、モデルには、音声の特徴に加えて、環境情報が入力されてもよい。この場合、モデルは、正常時の音声の特徴と環境情報を学習しておき、入力された音声の特徴と環境情報からスコアを計算する。
【0027】
なお、音声には、ユーザが話す声だけでなく、呼吸音、足音、さらには物を動かすときに発生する音等、生活において発生するあらゆる音が含まれる。また、計算部132は、音声から抽出した特徴量(例えば、音声信号の高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform))をモデルに入力してもよい。
【0028】
また、スコアの計算に用いられる正常時の特徴は、日付や時刻に関係なく収集された音声から抽出されたものであってもよいし、特定の日付及び時間帯別に収集された音声から抽出されたものであってもよい。
【0029】
ここで、日付及び時間帯によって発生する音声の特徴の傾向は異なることが考えられる。正常時の音声の特徴が、特定の日付及び時間帯別に収集された音声から抽出される場合、分析対象の音声が収集された日付及び時間帯に合わせたスコアの計算が可能になる。例えば、分析対象の音声が月曜日の18:00~19:00の間に収集されたものである場合、計算部132は、分析対象の音声が収集された日とは異なる月曜日の18:00~19:00の間に収集された正常な音声の特徴と、分析対象の音声の特徴と、の差分をスコアとして計算する。
【0030】
また、ユーザの行動によって、発生する音声の特徴の傾向は異なることが考えられる。そのため、正常時の音声の特徴を、ユーザの行動ごとに抽出しておくことで、より正確なスコアの計算が可能になる。例えば、分析対象の音声がユーザが食事をしているときに収集された音声である場合、計算部132は、あらかじめ収集された正常時にユーザが食事を行うときの音声の特徴と、当該分析対象の音声の特徴と、の差分をスコアとして計算する。
【0031】
さらに、音声は、声と声以外の音(足音、物を動かす音等)とに、所定の手法により分離されていてもよい。この場合、計算部132は、分離されたそれぞれの音声についてスコアを計算する。
【0032】
ストレスが溜まったユーザは、ストレスを発散させるために特定の行動を取ることが考えられる。そこで、計算部132は、マイクロホン20によって得られる音声の特徴と、ストレスの増大に応じて行われる特定の行為によって生じる音声の特徴との類似度をスコアとして計算する。
【0033】
ストレスの増大は、イライラ、あせり、疲れ等をともなって生じることが考えられる。そのため、例えば、ユーザのストレスが溜まっている場合、イライラによる声量の増大、物の扱い方が荒くなることによる衝突音の増大、あせりによる足音の間隔の短縮、疲れによる足音の間隔の伸長等が発生することが考えられる。
【0034】
また、ユーザがストレスを発散するために特定の行為を行うことで音声が発生することも考えられる。例えば、ストレスが溜まったユーザは、ため息、指等の体の一部で机等を叩く、叫び声をあげる、体の一部を小刻みに動かす(いわゆる貧乏ゆすり)といった行為を行うことが考えられる。
【0035】
判定部133は、計算部132によって計算されたストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する。例えば、判定部133は、計算部132によって計算されたスコアが閾値を超えている場合、当該スコアに対応するユーザはストレスが溜まった状態にあると判定し、判定結果を管理者又は他のシステム等に対して出力する。
【0036】
ここで、ストレスが溜まっているか否かにかかわらず、ユーザの身体的特徴、性格、生活習慣等が異なれば、発生する音声の特徴は異なることが考えられる。そこで、複数のユーザのそれぞれに対して個別にモデルが用意されていてもよい。このとき、モデルは、各ユーザの正常時の音声の特徴を学習済みであるものとする。これにより、高い精度でユーザのストレスの度合いを計算することが可能になる。
【0037】
この場合、取得部131は、マイクロホン20によって得られる音声を、音声を発したユーザを識別する識別情報と対応付けて取得する。そして、計算部132は、入力されたユーザ情報及び環境情報からスコアを出力するモデルであって、ユーザのそれぞれに対応付けられたモデルのうち、識別情報によって特定されるモデルを用いて計算を行う。
【0038】
さらに、ユーザごとに個別のマイクロホンが用意されていてもよい。これにより、取得部131は、音声の送信元のマイクロホンを識別する情報をユーザを識別する情報として用いることができる。
【0039】
また、ユーザごとの個別のマイクロホンは、各ユーザが所有する携帯端末(例えばスマートフォン)、ウェアラブル端末等に備えられていてもよい。この場合、取得部131は、各端末を介して音声を取得し、さらに、あらかじめユーザと対応付けられた各端末の識別情報(例えばMAC(Media Access Control)アドレス)を利用してユーザを識別することができる。
【0040】
図3を用いて、モデルを訓練するための学習装置の構成を説明する。図3は、第1の実施形態に係る学習装置の構成例を示す図である。なお、分析装置10が、学習装置と同等の処理を行うようにしてもよい。図2に示すように、学習装置40は、インタフェース部41、記憶部42及び制御部43を有する。
【0041】
インタフェース部41は、データの入力及び出力のためのインタフェースである。例えば、インタフェース部41はNICである。インタフェース部41は、ネットワークNを介して他の装置との間でデータの送受信を行うことができる。
【0042】
記憶部42は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部42は、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部42は、学習装置40で実行されるOSや各種プログラムを記憶する。
【0043】
記憶部42はモデル情報421を記憶する。モデル情報421は、モデルを構築するための情報である。例えば、モデルがニューラルネットワークを含むものである場合、モデル情報421は、当該ニューラルネットワークを構築するための重み行列及びバイアス値等のパラメータである。
【0044】
分析装置10のモデル情報121は学習済みのモデルの情報であるのに対し、学習装置40のモデル情報421は、未学習又は学習中のものであってもよい。例えば、学習装置40は、モデル情報421を繰り返し更新した後、分析装置10に受け渡すことができる。
【0045】
制御部43は、学習装置40全体を制御する。制御部43は、例えば、CPU、MPU、GPU等の電子回路や、ASIC、FPGA等の集積回路である。また、制御部43は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部43は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部43は、取得部431、計算部432及び更新部433を有する。
【0046】
取得部431及び計算部432は、それぞれ分析装置10の取得部131及び計算部132と同様の処理を行う。更新部433は、計算部432によって計算されたスコアと、正解スコアとの差分が小さくなるように、モデル情報421を更新する。
【0047】
例えば、正解スコアは、スコアの計算対象となった音声を発したときのユーザのストレスの度合いを当該ユーザから直接聞き取ること等によって得ることができる。
【0048】
[第1の実施形態の処理]
図4を用いて、分析装置10の処理の流れを説明する。図4は、第1の実施形態に係る分析装置の処理の流れを示すフローチャートである。まず、分析装置10は、建物内の音声を取得する(ステップS101)。例えば、建物はユーザが住む住宅である。
【0049】
次に、分析装置10は、音声から抽出した特徴量をモデルに入力する(ステップS102)。続いて、分析装置10は、モデルを利用して、ストレスの度合いを示すスコアを計算する(ステップS103)。そして、分析装置10は、ストレス判定する(ステップS104)。
【0050】
図5を用いて、学習装置40の処理の流れを説明する。図5は、第1の実施形態に係る学習装置の処理の流れを示すフローチャートである。まず、学習装置40は、建物内の音声と正解スコアを取得する(ステップS201)。
【0051】
例えば、正解スコアは、音声発生時において建物内のユーザが実際に感じていたストレスの度合いである。次に、学習装置40は、音声から抽出した特徴量をモデルに入力する(ステップS202)。
【0052】
続いて、学習装置40は、モデルを利用して、ストレスの度合いを示すスコアを計算する(ステップS203)。そして、学習装置40は、計算したスコアと正解スコアとの差分を基にモデルを更新する(ステップS204)。
【0053】
[第1の実施形態の効果]
これまで説明してきたように、取得部131は、ユーザの行動に関する情報であるユーザ情報、及びユーザの環境に関する情報である環境情報を取得する。計算部132は、ユーザ情報及び環境情報を基に、ユーザのストレスの度合いを表すスコアを計算する。判定部133は、計算部132によって計算されたストレスの度合いが閾値を超えているか否かを判定する。このように、分析装置10は、ユーザ情報と環境情報の両方を用いてスコアの計算及びストレスの判定を行う。このため、本実施形態によれば、室内で生活するユーザのストレスの状況を精度良く分析することができる。
【0054】
取得部131は、ユーザが住む住宅に備えられたマイクロホン20によって得られる音声を、ユーザ情報として取得する。例えばカメラによって取得された画像を基にユーザのストレスを分析することが考えられる。しかしながら、ユーザによっては、カメラによって監視されることをプライバシー等の観点から嫌がることが考えられる。これに対し、本実施形態ではカメラを設置する必要がないため、ユーザに嫌がられることなく情報を収集することができる。
【0055】
計算部132は、マイクロホン20によって得られる音声の特徴と、あらかじめ用意された正常時の音声の特徴との差分が大きいほどスコアが大きくなるように計算を行う。これにより、ストレスが大きい場合の音声をあらかじめ入手できない場合であっても、正常時の音声のみでスコアの計算精度を高めることができる(教師なし学習)。
【0056】
計算部132は、マイクロホン20によって得られる音声の特徴と、ストレスの増大に応じて行われる特定の行為によって生じる音声の特徴との類似度をスコアとして計算する。これにより、ストレスの増大に応じて行われる行為を検知し、より精度良くスコアを計算することができる。
【0057】
取得部131は、マイクロホン20によって得られる音声を、音声を発したユーザを識別する識別情報と対応付けて取得する。計算部132は、入力されたユーザ情報及び環境情報からスコアを出力するモデルであって、ユーザのそれぞれに対応付けられたモデルのうち、識別情報によって特定されるモデルを用いて計算を行う。これにより、ユーザごとのストレスの感じ方の違いを考慮してスコアを計算することができる。
【0058】
取得部131は、ユーザの自宅に備えられたセンサによって得られる室内の温度及び湿度を、環境情報として取得する。これにより、温度及び湿度がユーザに与える影響を考慮してスコアを計算することができる。
【0059】
[その他の実施形態]
上記の実施形態では、分析装置10がマイクロホン20及び温湿度計30から情報を取得するものとして説明したが、分析装置10は、その他のセンサを備えた装置から情報を取得してもよい。また、モデルは各ユーザの生活周期において発生する音声を学習しておき、周期の乱れを基にストレスの増大を判断するようにしてもよい。
【0060】
また、分析装置10は、建物2の中に存在する複数のユーザのうちのいずれかのユーザのスコアが閾値以上であると判定した場合、他のユーザに対し判定結果を通知するようにしてもよい。例えば、分析装置10は、ユーザU1のスコアが閾値以上であると判定した場合、ユーザU2が所有する端末に対して、ユーザU1のストレスが増大していることを通知する。これにより、ユーザU2は、ユーザU1に対してストレスを低減させるような処置を行うことができる。
【0061】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。なお、プログラムは、CPUだけでなく、GPU等の他のプロセッサによって実行されてもよい。
【0062】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0063】
[プログラム]
一実施形態として、分析装置10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の分析処理を実行する分析プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の分析プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を分析装置10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。
【0064】
また、分析装置10は、ユーザが使用する端末装置をクライアントとし、当該クライアントに上記の分析処理に関するサービスを提供する分析サーバ装置として実装することもできる。例えば、分析サーバ装置は、ユーザ情報と環境情報を入力とし、ストレス状態の判定結果を出力とする分析サービスを提供するサーバ装置として実装される。この場合、分析サーバ装置は、Webサーバとして実装することとしてもよいし、アウトソーシングによって上記の分析処理に関するサービスを提供するクラウドとして実装することとしてもかまわない。
【0065】
図6は、分析プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0066】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0067】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、分析装置10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、分析装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020は、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した実施形態の処理を実行する。
【0069】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
N ネットワーク
U1、U2 ユーザ
1 分析システム
2 建物
10 分析装置
11、41 インタフェース部
12、42 記憶部
13、43 制御部
20 マイクロホン
30 温湿度計
40 学習装置
131、431 取得部
132、432 計算部
133 判定部
433 更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6