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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129266
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027923
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】梅村 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 正
(72)【発明者】
【氏名】北村 晃輝
(72)【発明者】
【氏名】浅谷 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】村岡 靖浩
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA34
3D030DA55
3D030DA69
3D030DB12
(57)【要約】
【課題】制御装置をボス部に配設させることを容易に抑制できて、ボス部の小型化に寄与できるステアリングホイールを提供すること。
【解決手段】操舵時に把持するリング部Rと、リング部の中央のボス部と、リング部とボス部とを連結するスポーク部と、を備え、かつ、各部を連結する芯材3を備えたステアリングホイールWである。リング部に配設されるリング芯材部10の周囲には、被覆層20と機能部品とが配設される。制御装置50は、機能部品用の制御回路を設けた略長方形状の制御基板からなる。リング芯材部は、凹溝11を有した断面U字状として、凹溝を覆う芯材カバー60を上面10a側に取り付けている。リング芯材部と芯材カバーとの間に、制御装置収納用の収納スペース17が、配設され、制御装置は、短手方向SDを上下方向に沿わせ、長手方向を凹溝の配設方向に沿わせて、収納スペース内に位置決めされて配設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵時に把持する環状のリング部と、該リング部の中央のボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備え、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を連結する芯材、を備え、
該芯材における前記リング部に配設されるリング芯材部の周囲に、被覆層を配設させるとともに、制御装置により制御される機能部品を配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記制御装置が、前記機能部品を制御する制御回路を設けた略長方形状の制御基板から構成され、
前記リング芯材部が、上面側に凹溝を配設させた断面U字状として、
前記リング芯材部と前記被覆層との間に、前記リング芯材部の前記凹溝を覆って、前記リング芯材部の上面側に取り付けられる芯材カバーが、配設され、
前記リング芯材部の前記凹溝と前記芯材カバーとの間に、前記制御装置を収納する収納スペースが、配設され、
前記制御装置が、短手方向を上下方向に沿わせ、長手方向を前記凹溝の配設方向に沿わせて、前記収納スペース内に位置決めされて配設されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記制御装置が、前記芯材カバーに保持されて、前記収納スペース内に位置決めされて配設されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記芯材カバーが、前記制御装置における前記ボス部側の内側面と前記ボス部側から離れた外側面とを挟持する一対の挟持片部を備え、
前記一対の挟持片部が、前記芯材カバーにおける前記凹溝に対向する下面側から下方に突出され、下端側に、前記制御装置を挿入させて挟持可能な組付用開口を配設させて、形成されていることを特徴とする請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記芯材カバーが、前記制御装置における前記ボス部側の内側面と前記ボス部側から離れた外側面とを挟持する一対の挟持片部を備え、
前記一対の挟持片部が、前記芯材カバーにおける前記凹溝に対向する下面側から下方に突出され、上端側の前記芯材カバーの上面側に、前記制御装置を挿入させて挟持可能な組付用開口を配設させて、形成されていることを特徴とする請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記リング芯材部が、底壁部と、該底壁部の両縁側から対向するように上方に延びる一対の対向壁部と、を備えた断面U字状として、構成されて、
前記リング部が、上面側に、前記機能部品としての点灯装置を配設させ、
該点灯装置が、発光する発光部を設けて構成されるとともに、前記点灯装置の配設部位における前記リング芯材部の前記凹溝を跨ぐように、前記一対の対向壁部の上端面側に支持されて、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに配設されるヒータエレメント等の機能部品を制御する制御装置、を配設させて構成されるステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステアリングホイールでは、操舵時に把持する略円環状のリング部と、リング部の中央のボス部と、リング部とボス部とを連結するスポーク部と、を備えて構成され、そして、ボス部には、リング部に設けたヒータエレメントの温度制御等の制御装置が配設されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-153271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、意匠上の観点から、ボス部の容積を小さくしようとする場合、制御装置が、略長方形板状の制御回路を設けた硬い制御基板から構成されている場合、この制御装置(制御基板)は、小型化し難く、ボス部の容積を小さくするようにして、ボス部に制御装置を配設するには、課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、制御装置をボス部に配設させることを容易に抑制できて、ボス部の小型化に寄与できるステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールでは、操舵時に把持する環状のリング部と、該リング部の中央のボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備え、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を連結する芯材、を備え、
該芯材における前記リング部に配設されるリング芯材部の周囲に、被覆層を配設させるとともに、制御装置により制御される機能部品を配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記制御装置が、前記機能部品を制御する制御回路を設けた略長方形状の制御基板から構成され、
前記リング芯材部が、上面側に凹溝を配設させた断面U字状として、
前記リング芯材部と前記被覆層との間に、前記リング芯材部の前記凹溝を覆って、前記リング芯材部の上面側に取り付けられる芯材カバーが、配設され、
前記リング芯材部の前記凹溝と前記芯材カバーとの間に、前記制御装置を収納する収納スペースが、配設され、
前記制御装置が、短手方向を上下方向に沿わせ、長手方向を前記凹溝の配設方向に沿わせて、前記収納スペース内に位置決めされて配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るステアリングホイールでは、制御装置(制御基板)が、リング部における断面U字状のリング芯材部の凹溝内に、芯材カバーに覆われて配設されている。そして、制御装置が、硬い略長方形板状としていても、長い寸法の長手方向を、リング芯材部の凹溝の配設方向に沿わせて、その短手方向を、リング芯材部の上面と芯材カバーの下面との対向方向(上下方向)に沿わせれば、容易に、制御装置をリング芯材部の凹溝と芯材カバーとの間の収納スペースに収納することができて、ボス部に制御装置を配設せずに済む。
【0008】
したがって、本発明に係るステアリングホイールでは、制御装置を、リング部に配設させて、ボス部に配設させることを容易に抑制できて、ボス部の小型化に寄与することができる。
【0009】
勿論、本発明に係るステアリングホイールでは、リング部の外表面側に、運転者の把持の感触を良好にするように被覆層が配設される構成としても、制御装置を収納したリング芯材部の凹溝は、上方を芯材カバーに覆われており、リング芯材部自体の下面側外周から芯材カバーの上面側外周に掛けて、すなわち、リング部の断面の外周面に沿って、円滑に、連続的に被覆層を配設させることができて、運転者の把持の感触を損なわない。また、車種に応じて、車両の走行を制御するクルーズコントロールユニットの操作スイッチ等が搭載されるスポーク部でなく、本発明に係るステアリングホイールでは、リング部における断面U字状のリング芯材部の凹溝内の収納スペースに、制御装置を収納する構成であり、リング部における断面U字状のリング芯材部の凹溝は、全ての車種において、リング芯材部の剛性を確保しつつ存在させることができ、容易に、制御装置の収納スペースを確保できて、各車種のステアリングホイールにおいて、容易に機能部品の制御装置を配設させることができる。さらに、車種に応じて、所定の機能部品の配設の有無があっても、その機能部品の制御装置は、リング芯材部の凹溝内への配設の有無となって、リング部の強度やリング部の外観に影響を与えずに、容易に対応できる。また、リング芯材部の断面U字状とした凹溝の開口側に、制御装置が収納される構成であることから、制御装置の組付は、凹溝の上方側から制御装置を下降させつつ配設する組付作業となって、上下を反転させたリング芯材部が断面逆U字状の凹溝でないことから、制御装置の組付作業も容易となる。
【0010】
そして、本発明に係るステアリングホイールでは、前記制御装置が、前記芯材カバーに保持されて、前記収納スペース内に位置決めされて配設されていることが望ましい。
【0011】
このような構成では、制御装置を芯材カバーに保持させておけば、芯材カバーをリング芯材部に取り付ける際に、同時に、制御装置もリング芯材部に位置決めしつつ取り付けることができることから、制御装置のリング芯材部への組付作業が効率的となる。
【0012】
そして、前記芯材カバーが、前記制御装置における前記ボス部側の内側面と前記ボス部側から離れた外側面とを挟持する一対の挟持片部を備え、
前記一対の挟持片部が、前記芯材カバーにおける前記凹溝に対向する下面側から下方に突出され、下端側に、前記制御装置を挿入させて挟持可能な組付用開口を配設させて、形成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成では、芯材カバーの下面側の組付用開口から、制御装置を上方へ押し上げるように、一対の挟持片部の間に挿入すれば、制御装置が、一対の挟持片部に挟持されて、芯材カバーと一体化されて、その後のリング芯材部への取付時、制御装置の取り扱いが、芯材カバーと一体化されて、容易となる。
【0014】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、前記芯材カバーが、前記制御装置における前記ボス部側の内側面と前記ボス部側から離れた外側面とを挟持する一対の挟持片部を備え、
前記一対の挟持片部が、前記芯材カバーにおける前記凹溝に対向する下面側から下方に突出され、上端側の前記芯材カバーの上面側に、前記制御装置を挿入させて挟持可能な組付用開口を配設させて、形成されていてもよい。
【0015】
このような構成では、制御装置を、芯材カバーの上面側から、芯材カバーに対して組み付けることができる。
【0016】
さらに、本発明に係るステアリングホイールでは、前記リング芯材部が、底壁部と、該底壁部の両縁側から対向するように上方に延びる一対の対向壁部と、を備えた断面U字状として、構成されて、
前記リング部が、上面側に、前記機能部品としての点灯装置を配設させ、
該点灯装置が、発光する発光部を設けて構成されるとともに、前記点灯装置の配設部位における前記リング芯材部の前記凹溝を跨ぐように、前記一対の対向壁部の上端面側に支持されて、配設されていてもよい。
【0017】
このような構成では、リング部の上面側に機能部品としての点灯装置を配設させる構成としても、点灯装置を、リング芯材部の断面U字状の一対の対向壁部の上端面相互を跨ぐように配設できて、支持を安定させて、配設させることができる。また、点灯装置と制御装置とを結ぶ電線も、リング芯材部の凹溝内を通過させることが可能となって、その電線の取り回しも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態のステアリングホイールを示す概略平面図である。
図2】実施形態のステアリングホイールの芯材と、リング芯材部を覆う芯材カバーと、を示す概略分解平面図である。
図3】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図1のIII-III部位に対応する。
図4】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図1のIV-IV部位に対応する。
図5】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図1のV-V部位に対応する。
図6】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図1のVI-VI部位に対応する。
図7】実施形態のステアリングホイールに使用する左側の芯材カバーの平面図である。
図8】実施形態のステアリングホイールに使用する左側の芯材カバーの底面図である。
図9】実施形態のステアリングホイールに使用する右側の芯材カバーの平面図である。
図10】実施形態のステアリングホイールに使用する右側の芯材カバーの底面図である。
図11】実施形態のステアリングホイールの芯材カバーの変形例を示すリング部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のステアリングホイールWは、図1に示すように、操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央のボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S(L,R,B)と、を備えて構成されている。スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びるスポーク部SL,SRと、ボス部Bから後側に延びるスポーク部SBと、を備えている。また、ステアリングホイールWは、ボス部Bの上部側に配設されるエアバッグ装置80(図5の二点鎖線参照)と、ステアリングホイール本体1と、ボス部Bの下部側を覆うロアカバー82と、を備えて構成されている。
【0020】
ステアリングホイール本体1は、図1,2に示すように、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを連結するアルミニウム合金等の金属材からなる芯材3、を備えて構成されている。芯材3は、リング部Rに配設されるリング芯材部10と、ボス部Bに配設されるボス芯材部5と、リング芯材部10とボス芯材部5とを連結するように、スポーク部S(L,R,B)に配設されるスポーク芯材部7(L,R),8と、を備えて構成されている。ボス芯材部5は、車両のステアリングシャフトと結合される鋼製のボス5aを配設させている。また、スポーク芯材部7は、左右のスポーク部SL,SRに配設されるスポーク芯材部7L,7Rと、後部側のスポーク部SBに配設されて、ボス芯材部5側で左右に分岐し、そして、リング芯材部10側で結合されるような2本のスポーク芯材部8,8と、から構成されている。
【0021】
リング芯材部10の周囲には、図3~6に示すように、ウレタン等の被覆層20が配設されている。被覆層20の外表面には、皮革からなる表皮層22が配設されている。
【0022】
リング芯材部10は、上面側に凹溝11を配設させた断面U字状として、底壁部12と、底壁部12の両縁から上方に延びる一対の対向壁部13(I,O)と、を備えた断面形状としている。対向壁部13Iは、ボス部B側の部位であり、対向壁部13Oは、ボス部Bから離れた側の部位である。対向壁部13I,13Oの外側面側には、後述する芯材カバー60,70を取り付けるための複数の係止突起15(図4,6参照)が、配設されている。
【0023】
そして、リング芯材部10と被覆層20との間には、リング芯材部10の凹溝11の上方側を覆って、リング芯材部10の上面10a側に取り付けられるポリプロピレン等の合成樹脂製の芯材カバー60(L,R)、70(F,B)が、配設されている。芯材カバー60(L,R)は、リング部Rの左右の部位に、配設され、芯材カバー70(F,B)は、リング部Rの前後の部位に、配設されている。
【0024】
リング芯材部10の凹溝11と左右の芯材カバー60(L,R)との間には、略長方形板状の制御装置(制御基板)50(A,B,C,D)を収納する収納スペース17が、配設されている(図3,5参照)。そして、各制御装置50(A,B,C,D)は、短手方向SDを上下方向に沿わせ、長手方向LDを凹溝11の配設方向に沿わせて、収納スペース17内に位置決めされて配設されている(図7~10参照)。なお、実施形態の場合、各制御装置50(A,B,C,D)は、詳しくは、長手方向LDを、ボス部B周りのリング芯材部10の周方向に沿う接線方向CDと略平行に配置させて、収納スペース17内に位置決めされて配設されている(図8,10参照)。
【0025】
実施形態の場合、各制御装置50(A,B,C,D)は、芯材カバー60L,60Rに保持されて、収納スペース17内に位置決めされて配設されている。詳しくは、芯材カバー60L,60Rは、断面逆U字状に湾曲した天井壁部61と、天井壁部61の下面61bから対向するように突出するリブ64(I,O)と、を備えて構成されている。リブ64Iは、ボス部B側の部位であり、リブ64Oは、ボス部Bから離れた側の部位である。そして、リブ64(I,O)における制御装置50を保持する部位は、制御装置50を挟持して保持可能な一対の挟持片部66(I,O)としている。一対の挟持片部66(I,O)は、制御装置50におけるボス部B側の内側面50aとボス部B側から離れた外側面50bとに圧接されて、制御装置50を挟持可能な板状の支持突起66aを突設させて、対向する支持突起66a,66a間の開口を、制御装置50を下方から挿入させて挟持可能な組付用開口67としている。
【0026】
また、断面逆U字状の天井壁部61の両縁は、取付縁部62として、リング芯材部10の係止突起15を挿入させて係止する係止孔62aが配設されている(図4参照)。そのため、芯材カバー60を、凹溝11を塞ぐように、上方に被せれば、係止突起15が係止孔62aを係止し、取付縁部62の内周面側が対向壁部13の外側面側に当接されて、芯材カバー60の下方移動が規制され、また、係止突起15が係止孔62aを係止することにより、芯材カバー60の上方移動が規制されて、芯材カバー60が、リング芯材部10に取り付けられることとなる。
【0027】
なお、実施形態の場合、各制御装置50を挟持する一対の挟持片部66(I,O)は、3組としており、それぞれ、対向する支持突起66a,66aの開口67側の隙間Hは、隣接する挟持片部66相互で同じであるもの、隙間Hには、剛性を有した略平板状の制御基板50を嵌合させることから、隙間Hを設ける開口67の配置位置は、ボス部B側を中心とした円弧状の配置ではなく、リブ64I,64O間で、周方向に沿った両端側の隙間H(E)側を、ボス部B側から離れた位置に配置させ、中央の隙間H(C)側を、ボス部Bに接近する位置に、配置させることとなる(図7~10参照)。そして、このような配置関係とすれば、略長方形板の制御基板(制御装置)50がその長手方向LDの長さ寸法を長くしても、湾曲して延びるように配設される凹溝11から形成される収納スペース17を、最大限活用して、効率的に、制御装置50を芯材カバー60に保持させることができる。
【0028】
また、前後の芯材カバー70(F,B)も、リング芯材部10の凹溝11の上方を塞ぐように、断面逆U字状の天井壁部71を備えて、天井壁部71の両縁を、係止突起15に係止される係止孔74aを設けた取付縁部74としている(図2,6参照)。さらに、天井壁部71の下面71b側には、凹溝11内に挿入されるリブ76(I,O)が突設されている。そのため、前後の芯材カバー70(F,B)も、凹溝11を塞ぐように、上方に被せれば、係止突起15が係止孔74aを係止し、取付縁部74の内周面側が対向壁部13の外側面側に当接されて、芯材カバー70の下方移動が規制され、また、係止突起15が係止孔74aを係止することにより、芯材カバー70の上方移動が規制されて、芯材カバー70が、リング芯材部10に取り付けられることとなる。
【0029】
但し、前方側の芯材カバー70Fは、左右方向の中央側に、点灯装置40を配設するための凹部72が形成されている。
【0030】
このリング芯材部10は、実施形態の場合、左右と前後とに取り付けられる芯材カバー60(L,R)、70(F,B)により、全周の凹溝11が覆われる状態となる。
【0031】
また、実施形態のステアリングホイールWでは、リング部Rにおける芯材カバー60(L,R)の配設される部位において、図3~5に示すように、被覆層20と表皮層22との間に、リング部Rを昇温させるヒータエレメントを配設させてなるヒータ30と、静電容量を検出可能として運転者の把持を検知可能な把持検知センサ32と、が配設されている。
【0032】
実施形態の場合、ヒータ30は、ウレタンシートにヒータ線を配設させて構成されるシート状のもので、ステアリングホイールWに搭載される機能部品の1つである。そして、ヒータ30は、所定の制御回路を設けた制御基板からなる制御装置50(A)に、昇温等の作動を制御される。
【0033】
ヒータ30を制御する制御装置50Aは、車内温度が設定温度以下であれば、車両側の所定の制御装置からの信号によって、ヒータ30を作動させて、所定温度まで昇温させ、その温度を維持するように、ヒータ30を制御する。
【0034】
把持検知センサ32は、センサとしての導体からなるシート材や線材をウレタンシートに配設させたシート状のもので、運転者の手等が接近すると、静電容量が変化することを検出して、運転者の把持を検出するものであり、所定の制御回路を設けた制御基板からなる制御装置50(B)に接続されて、制御装置50Bに把持検知の作動を制御される。
【0035】
把持検知センサ32を制御する制御装置50Bは、自動運転から手動運転に切り替わる際等のために、運転者がリング部Rを把持しているか否かを把持検知センサ32によって検出できるように、把持検知センサ32を制御して作動させるものであり、その把持状態の検出結果は、制御装置50Bから車両側の所定の制御装置に送信される。
【0036】
また、実施形態の場合、他の機能部品としては、ステアリングホイールWを振動させる振動モータを設けてなる振動装置34(図1参照)と、ナビゲーションシステム等と連動して、LED等からなる発光部44を点灯させる点灯装置40と、を備えている。
【0037】
振動装置34は、所定の制御回路を設けた制御基板からなる制御装置50(C)に、振動モータの作動を制御される。振動装置34は、運転席前方のインストルメントパネルやコラムカバーに搭載される運転者の目付近を撮影可能なカメラの撮影により、運転者が目を閉じて居眠り運転しているような運転不適正状態と判定された場合に、注意喚起するように、リング部Rを振動させて、運転者に注意喚起をするために作動されるものである。運転不適正状態の判定は、カメラの撮影画像に基づき、車両側の所定の制御装置が判定して、その信号が、制御装置50Cに入力され、制御装置50Cに制御されて、振動装置34が作動されることとなる。
【0038】
点灯装置40は、ナビゲーションシステムからの信号により、例えば、右折や左折等のガイド時、複数のLEDからなる発光部44を案内方向に流れるように点灯可能であり、所定の制御回路を設けた制御基板からなる制御装置50(D)により、点灯状態を制御される。
【0039】
なお、点灯装置40は、発光基板41の下面側に、可視光を発光させる複数の発光部44がリング部Rの周方向に沿って並設され、発光部44の発光時の光は、ポリカーボネイト等の透明な屈曲した導光体45を経て、上方に照射される。発光基板41の上面側には、運転者の目付近を夜間でも撮影可能に、赤外線を放射可能な発光部42が、レンズ43に覆われて配設されている。発光基板41の上方は、透明なカバー46により覆われている。点灯装置40は、発光部42,444を取り付けた発光基板41、断面逆U字状のカバー46、及び、導光体45を取付基板47に取り付けて構成され、そして、取付基板47を芯材カバー70Fの凹部72の部位の天井壁部71に取り付けて、配設されている。そのため、点灯装置40は、芯材カバー70Fの天井壁部71を介して、リング芯材部10に対し、断面U字状の一対の対向壁部13(I,O)の上端面13a相互を跨ぐように配設できて、支持を安定させて、配設される。また、発光部42は、運転者が目を閉じているか否かを判定するための撮影用の既述のカメラの光源として、発光するものである。
【0040】
なお、実施形態の場合、ヒータ30と把持検知センサ32とを制御する制御装置50A,50Bは、左右2箇所ずつのヒータ30と把持検知センサ32との配設部位に対応して、芯材カバー60L,60Rの配設部位65(L1,L2,R2,R3)に、それぞれ、配設され、振動装置34を制御する制御装置50Cは、芯材カバー60Rの配設部位65(L3)に配設され、点灯装置40を制御する制御装置50Dは、芯材カバー60Lの配設部位65(R1)に配設されている(図1,7~10参照)。配設部位65(L1,L2,L3)は、左側の芯材カバー60Lにおいて、前方側から順に配置される部位であり、配設部位65(R1,R2,R3)は、右側の芯材カバー60Rにおいて、前方側から順に配置される部位である。そして、各配設部位65(L1,L2,L3,R1,R2,R3は、実施形態の場合、三対ずつの挟持片部66(I,O)の支持突起66aを配設させて構成されている。
【0041】
そして、このステアリングホイールWでは、被覆層20を成形する前に、制御装置50(A,B,C,D)を、左右の芯材カバー60L,60Rの所定の支持突起66a,66a間に、組付用開口67から挿入し、左右の芯材カバー60L,60Rの各挟持片部66,66に挟持させておく。また、芯材カバー70Fの凹部72に点灯装置40を取り付けておく。ついで、点灯装置40や制御装置50(A,B,C,D)から延びる図示しない電線を、リング芯材部10の凹溝11内を挿通させて、芯材カバー60L,60Rのスポーク部S側に延びる張出部68の下面側に待機させておく。そして、各芯材カバー60(L,R)、70(L,R)を、リング芯材部10の上方から凹溝11を覆うように、被せて、取付縁部62,62,74,74の各係止孔62a,64aに、係止突起15を挿入させて、各芯材カバー60(L,R)、70(L,R)を、リング芯材部10に取り付ける。その後、被覆層20の成形型にセットして、被覆層20を成形する。なお、被覆層20の成形時、被覆層20の成形材料は、芯材カバー60,70の天井壁部61,71の下面61b,71b側の凹溝11内に充填されてもよい。
【0042】
被覆層20が形成されたならば、ヒータ30と把持検知センサ32とを被覆層20の外周面側に貼着させ、さらに、表皮層22を形成すれば、リング部Rを形成することができる。なお、ヒータ30と把持検知センサ32から延びる図示しない電線は、対応する制御装置50A,50Bから延びる電線に結合させるとともに、ボス部B側に配設されて車両側の制御装置や電源と接続される統合制御装置(統合ECU)90(図1参照)に、結合させておく。また、制御装置50Cから延びる電線を結合させた振動装置34を、リング芯材部10近傍のスポーク芯材部8に取り付け、この制御装置50Cや制御装置50Dから延びる電線を、既述の統合制御装置(統合ECU)90に結合させておく。
【0043】
なお、統合制御装置90は、各機能部品30,32,34,40を制御する制御装置50(A,B,C,D)の機能を集合させる構成より、容積が小さく、ボス部Bの小型化を阻害しない。
【0044】
その後、ロアカバー82を組み付けて、ボス芯材部5を、図示しないステアリングシャフトに結合させるとともに、統合制御装置90に車両側から延びる図示しない電線を結合させるとともに、エアバッグ装置80をボス部Bに組み付ければ、ステアリングホイールWを形成できるとともに、ステアリングホイールWを車両に搭載することができる。
【0045】
車両搭載時のステアリングホイールWでは、制御装置50(A,B,C,D)の制御により、機能部品としてのヒータ30がリング部Rを昇温させたり、機能部品としての把持検知センサ32により、運転者のリング部Rの把持状態を検出されたり、注意喚起のために、機能部品としての振動装置34がリング部Rを振動させたり、あるいは、機能部品としての点灯装置40がナビゲーションシステムのガイドを補助するように、発光部44を点灯させる。
【0046】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置(制御基板)50(A,B,C,D)が、リング部Rにおける断面U字状のリング芯材部10の凹溝11内に、芯材カバー60(L,R)に覆われて配設されている。そして、制御装置50が、硬い略長方形板状としていても、長い寸法の長手方向LDを凹溝11の配設方向の沿わせて(実施形態では、リング芯材部10の周方向に沿う接線方向CDと略平行に配置させて)、その短手方向SDを、リング芯材部10の上面10aと芯材カバー60の下面61bとの対向方向(上下方向)に沿わせれば、容易に、制御装置50(A,B,C,D)をリング芯材部10の凹溝11と芯材カバー60との間の収納スペース17に収納することができて、ボス部Bに制御装置50を配設せずに済む。
【0047】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置50を、リング部Rに配設させて、ボス部Bに配設させることを容易に抑制できて、ボス部Bの小型化に寄与することができる。
【0048】
勿論、実施形態のステアリングホイールWでは、リング部Rの外表面側に、運転者の把持の感触を良好にするように被覆層20が配設される構成としても、制御装置50を収納したリング芯材部10の凹溝11は、上方を芯材カバー60に覆われており、リング芯材部10自体の下面10b側外周から芯材カバー60の上面61a側外周に掛けて、すなわち、リング部Rの断面の外周面に沿って、円滑に、連続的に被覆層20を配設させることができて、運転者の把持の感触を損なわない。また、車種に応じて、車両の走行を制御するクルーズコントロールユニットの操作スイッチ等が搭載されるスポーク部Sでなく、実施形態のステアリングホイールWでは、リング部Rにおける断面U字状のリング芯材部10の凹溝11内の収納スペース17に、制御装置50を収納する構成であり、リング部Rにおける断面U字状のリング芯材部10の凹溝11は、全ての車種において、リング芯材部10の剛性を確保しつつ存在させることができ、容易に、制御装置50の収納スペース17を確保できて、各車種のステアリングホイールWにおいて、容易に機能部品30,32,34,40の制御装置50を配設させることができる。さらに、車種に応じて、所定の機能部品の配設の有無があっても、その機能部品の制御装置50は、リング芯材部10の凹溝11内への配設の有無となって、リング部Rの強度やリング部Rの外観に影響を与えずに、容易に対応できる。また、リング芯材部10の断面U字状とした凹溝11の開口側に、制御装置50が収納される構成であることから、制御装置50の組付は、凹溝11の上方側から制御装置50を下降させつつ配設する組付作業となって、上下を反転させたリング芯材部が断面逆U字状の凹溝でないことから、制御装置50の組付作業も容易となる。
【0049】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、制御装置50が、芯材カバー60に保持されて、収納スペース17内に位置決めされて配設されている。
【0050】
そのため、実施形態では、制御装置50を芯材カバー60に保持させておけば、芯材カバー60をリング芯材部10に取り付ける際に、同時に、制御装置50もリング芯材部10に位置決めしつつ取り付けることができることから、制御装置50のリング芯材部10への組付作業が効率的となる。
【0051】
また、芯材カバー60が、制御装置50におけるボス部B側の内側面50aとボス部B側から離れた外側面50bとを挟持する一対の挟持片部66(I,O)を備えて、一対の挟持片部66(I,O)が、芯材カバー60における凹溝11に対向する下面61b側から下方に突出され、下端側に、制御装置50を挿入させて挟持可能な組付用開口67を配設させて、形成されている。
【0052】
そのため、実施形態では、芯材カバー60の下面61b側の組付用開口67から、制御装置50を上方へ押し上げるように、一対の挟持片部66(I,O)の間に挿入すれば、制御装置50が、一対の挟持片部66(I,O)に挟持されて、芯材カバー60と一体化されて、その後のリング芯材部10への取付時、制御装置50の取り扱いが、芯材カバー60と一体化されて、容易となる。
【0053】
なお、芯材カバー60に制御装置50を取り付ける際、一対の挟持片部66の間に嵌合させるように組み付ける構成とせずに、別途、ねじ等の取付手段を利用して、制御装置50を芯材カバー60に保持させて、芯材カバー60ごと、リング芯材部10に取り付けてもよい。
【0054】
また、芯材カバー60のリング芯材部10への取り付けは、実施形態のように、係止突起15に芯材カバー60の係止孔62aの周縁に係止させる他、芯材カバー60に係止爪を設けて、リング芯材部10に係止させて、芯材カバー60をリング芯材部10に取り付ける構成としてもよい。
【0055】
さらに、実施形態のステアリングホイールWでは、リング芯材部10が、底壁部12と、底壁部12の両縁側から対向するように上方に延びる一対の対向壁部13(I,O)と、を備えた断面U字状として、構成されて、リング部Rが、上面側に、機能部品としての点灯装置40を配設させている。そして、点灯装置40は、発光する発光部44を設けて構成されるとともに、点灯装置40の配設部位におけるリング芯材部10の凹溝11を跨ぐように、一対の対向壁部13(I,O)の上端面13a側に支持されて、配設されている。
【0056】
そのため、実施形態では、リング部Rの上面側に点灯装置40を配設させる構成としても、点灯装置40を、リング芯材部10の断面U字状の一対の対向壁部13(I,O)の上端面13a相互を跨ぐように配設できて、支持を安定させて、配設させることができる。また、点灯装置40と制御装置50Dとを結ぶ電線も、リング芯材部10の凹溝11内を通過させることが可能となって、その電線の取り回しも容易となる。
【0057】
なお、実施形態では、制御装置を芯材カバーの下面側に保持させる構成としたが、図11に示す芯材カバー60Aのように構成してもよい。この芯材カバー60Aは、制御装置50Aにおけるボス部B側の内側面50aとボス部B側から離れた外側面50bとを挟持する一対の挟持片部66A(I,O)を備えているが、一対の挟持片部66A(I,O)が、芯材カバー60Aにおける凹溝11に対向する下面61b側から下方に突出され、上端側の芯材カバー60Aの上面61a側に、制御装置50Aを挿入させて挟持可能な組付用開口67Aを配設させて、形成されている。なお、この芯材カバー60Aでは、一対の挟持片部66A(I,O)の下端相互は、連結部69で連結されている。
【0058】
このような構成では、制御装置50Aを、芯材カバー60Aの上面61a側から、芯材カバー60Aに対して組み付けることができる。
【0059】
なお、実施形態のステアリングホイールWでは、略円環状のリング部Rを例示したが、リング芯材部が断面U字形状であれば、リング部R自体は、円環形状に限定されるものではなく、四角環状や、楕円環状等の種々の形状としていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
3…芯材、10…リング芯材部、10a…上面、10b…下面、11…凹溝、
12…底壁部、13(I,O)…対向壁部、13a…上端面、17…収納スペース、20…被覆層、30…(機能部品)ヒータ、32…(機能部品)把持検知センサ、34…(機能部品)振動装置、40…(機能部品)点灯装置、50(A,B,C,D)…(制御基板)制御装置、50a…内側面、50b…外側面、60,60A(L,R)…芯材カバー、66,66A(I,O)…挟持片部、67,67A…組付用開口、
SD…(制御装置の)短手方向、LD…(制御装置の)長手方向、CD…(リング芯材部の周方向に沿う)接線方向、R…リング部、B…ボス部、S(L,R,B)…スポーク部、W…ステアリングホイール。
図1
図2
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図11